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プロフィール
コメント数 2524
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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401.  コウノトリ大作戦! 《ネタバレ》  設定とか美術デザインとか人間側のドラマとか、いいところはいっぱいあるのに肝心の主人公のコウノトリに魅力が薄くて、となると映画全体の進行そのものがシンドくなってくるという。  主人公の思考と行動が理解できないんですよね。一貫性が無く、その場その場でどんどんブレていっちゃう。スラップスティックな線を狙っているんでしょうけれど、彼が物語の導き役である以上、そこに共感を得られるようにしてくれないとどんどんと取っ散らかった映画になっていっちゃう。  基本的には自己保身のための行動で、途中からは赤ちゃんを届ける使命感に変化してゆく、のですが、その明確な変化がドタバタの中に隠れて見えてきません。っていうか、先を急ぐ旅なのにフロートにわざと穴を開けて停滞させたのは、あれ、なんのためだったんでしょ? ちゃんと見てなかったのかなぁ。ひと休みするため?  一方で赤ちゃんを待つ一家の物語の方は家族の愛が描かれていてなかなか良かったのですが、これもそれまで子供を顧みない両親がコロリと子供寄りになる展開が唐突で、そこも取っ散らかり印象の一因かな。  あと、コウノトリ以外の鳥も色々と描かれながら、あまり活躍しない、伏線→伏線回収だけで真ん中がなかったりする存在がいたりして、ドタバタもいいけれど、もう少し腰を据えて落ち着いて描いて欲しい感じがしました。特にチリチリ赤毛のヒロインの個性、そのドラマをもっと落ち着いてみていたかったかな。ここはどうも扱いが軽すぎな気が。  切り捨ててしまうには色々と惜しい作品ではありますが。  でも、考えてみればこれって『モンスターズ・インク』とほぼ同じオハナシよね・・・[映画館(吹替)] 5点(2016-11-04 22:18:37)《改行有》

402.  スーサイド・スクワッド 《ネタバレ》  ビジュアルデザインだけは最高で、あとはメタクタ。まあ、最初からハーレイ・クインとカタナしか期待してなかったですし、その点ではそこそこ満たされたんでいいんですけど。  本当にビジュアル「デザインだけ」で、ビジュアルの見せ方自体はダメですし(そこら辺『マトリックス』とかザック・スナイダーの監督作くらいやってくれれば良かったんですけどねぇ)、映像やエピソードがちゃんと繋がってないのは、多分撮る要素が多過ぎて取捨選択しきれなかったんだろうねぇ、って。  物語的にはワルが集まったはいいけどヤケにウェットな連中で、尖がったのがおらずに皆丸い仲良しチーム、みたいなのが「あらら」って感じでしたし、敵がこの世の者ではないので力と力の戦いみたいな面白さがありません。各人その能力を存分に発揮できているとは言えず、それどころか何のために出てきたのか、何してたのか、あまりよく判らないようなメンバーもいる状態で。バットマンとジョーカーの中途半端なポジションも、映画に華を与えるどころか足を引っ張ってるように思えますし。  もっとイケイケ(死語)でいいのにねぇ。せっかくの素材がもったいないです。  でも正直『バットマンVSスーパーマン』もワンダーウーマンくらいしか見るところなかったし、考えてみれば『アベンジャーズ』だってブラック・ウィドウくらいしか見てないんだし、まあ私にとってアメコミ系の映画なんて、そんなモンなんでしょう。[映画館(字幕)] 5点(2016-11-02 23:01:36)(笑:1票) 《改行有》

403.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》  狂言回しポジションのヒロインの言動がいちいち甘ちゃん過ぎてイラッとしたのですが、最後まで見るとその感覚こそ恐ろしい事なんだと悟るという。  映画の進行上、ヒロインはクライマックス前にお役御免となって画面から姿を消し、以後デルトロの独擅場となります。その彼の取った行動、その深い深い闇こそが麻薬社会の現実で、そんな現実に立ち向かえるのは決して正常な健全な精神ではないというもう1つの現実。狂気に対抗し得るのは狂気でしかなく、狂気に頼らざるを得ない正義はもはや正義として成り立たない、そこにあるのは闇と闇の戦いでしかないという絶望感。  『コール・オブ・デューティー モダン・ウォーフェア』シリーズを思わせる画面は現在の兵器のテクノロジーを示し、直接死体を映す映像とは別に今の時代のリアルな恐ろしさを寒々しく表現しています。  効果音がそのまま重苦しい映画のBGMになっていて、一方でBGMも終始不安感を煽り、なので一部で効果音をBGMがジャマしてるように感じる箇所があって、BGMをもう少し抑えて欲しかった感もありました。  綺麗事を決して許さない、出口の見えない果てしない闇の重さを心の底に残す映画でした。[映画館(字幕)] 8点(2016-11-02 22:51:39)《改行有》

404.  インフェルノ(2016) 《ネタバレ》  『ダ・ヴィンチ・コード』よりは幾分面白かった気がするのですが(『天使と悪魔』見てないや)、多分尺がだいぶ短かったからでしょう。  歴史上の有名な芸術・事象を盛り込んだちょっと知的(に見える)な娯楽サスペンス、って事で、毎度そこそこなロン・ハワードに相応しいシリーズかもしれません。  前半の、謎を追い求めながら歴史的名所を巡る旅は観光気分も味わえて良い感じです。記憶が曖昧で何が起こったかが判らないという設定が興味を持続させてくれますし。  ところが後半に事件の全容を映画がクドクドと説明し始めるとゲンナリ。映画への興味がそこでなくなっちゃう、そこから先が全部読めてはいはい、って状態になっちゃいます。  クライマックスはその通りに展開するだけ、ごく普通のよくある時限サスペンスをダラダラ見せられて、あーもうどうせオチは判ってるのだからさっさと終わらせてよ、って。  だけど首謀者の中二秒的思考は、実際にそういう事を考えちゃう人がいる訳で、相模原障害者施設殺傷事件とか「怠惰な透析患者は殺せ」と主張した元アナウンサーとか、一体どういう立場からそういう思考ができてしまうのか到底理解できないのが湧いて出てる現実を思わせ、笑い事ではないなぁ、と。  あと、ベネチアの風景とかヒロインのポジションとか、いちいち『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』を思い出す映画でした。結局このシリーズって『インディ・ジョーンズ』がやりたいんですよねぇ? アクション的にはいま1つ2つ、ってところですが。[映画館(字幕)] 6点(2016-11-01 22:24:48)《改行有》

405.  ジェーン 《ネタバレ》  予告編のイメージだとナタリー・ポートマンが家族を守るために勇ましく銃を取る西部劇って感じだったのですが、実際のところは会話シーンと回想シーンばっかりのジミな映画で。  ナタリー自身は大して強くないというか、元婚約者に頼りっぱなし。クライマックスの対決に向けて『ホームアローン』的逆転劇を見せるように思わせながら、なんとも大雑把な展開で肩透かしを食らいますし。そんな見せ場なんて要らない、重要じゃない、大切なのは切ないドラマと情感溢れる風景描写、そう言ってるような感じだけれど、やっぱり大人数と少数との対決のシチュエーションはキチンと見せて頂きたいもので。  多用される回想シーンによって徐々にドラマの輪郭が浮かび上がってくる構成になっていますが、その構成ゆえに逆になかなか人物像が見えてこない、思わせぶりな時間ばかりが続く感じで、むしろそれって逆効果では?  そしてそのドラマも男頼りのやたらヒロインが弱い『キル・ビル』みたいな状態で新しいものを見ている感覚の薄いこと。  短尺ながら心動かされる瞬間がほとんどない(娘のところだけかなぁ)がゆえ、やたら冗長な映画に思えてしまうのでした。キャスティングからアミダラVSオビ=ワンなんてのを期待しちゃうと、もう全くまるで全然な、そんな世界なのでした。[映画館(字幕)] 5点(2016-11-01 21:48:51)《改行有》

406.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》  東京国際映画祭で鑑賞。  原作がマンガというフォーマットを最大限に活かした名作だったので、アニメ化には大きな不安を抱いていました。原作は絵の表現がそのまま主人公すずの描く絵と内面の心理描写とに反映され、すずの一人称的世界を構築していたのに対して、アニメは共同作業による三人称世界ですから、原作をそのまま置換する事はできない訳で。後半のある時点からの大きな変化を描く重要な部分を映像で表現するのは無理、その代わりをどうするのか?と。  結論から言えば、完璧ではないけれど、アニメならではの表現を模索していて、それなりに上手くいっていたように思います。少なくとも同じ作者の『夕凪の街 桜の国』の無惨な映画化に比べれば、原作に過剰な思い入れのあるファンでも納得のゆく作品に仕上がっていました。  基本は原作に忠実で、原作の絵柄を丁寧に再現し更に細やかにアニメートさせ、エピソードを上手くすくっています。  精密に描かれた戦中の広島と呉の世界に、声と動きを与えられたすずが生きていて、彼女が巻き起こす笑いが楽しく、それがゆえの後半の痛みも厳しく。  手の描写にこだわるのは原作からすれば当然と言えるのですが、その当然の事をきちんとできているかどうかが重要なわけで。これはとてもきちんと真面目に作られています。  リンのエピソードがかなり割愛されてしまっているのはとても残念なのですが、そこを描くとPGー12指定の映画になりそうな気もしないではなく、仕方ないのかな。  鬼いちゃんと座敷わらしのエピソードはもう少しハッキリと浮かび上がらせて欲しかったですし、ラストの邂逅も淡々とさりげなさ過ぎな気もします。  ですが、魅力的な存在感を放つすずを通してあの時代を暮らした人々の生が輝き、現在に繋がるこの国の人の営みを実感させてくれて見事です。  誠実な作りのアニメ映画、これもまた日本のアニメの力を示しています。どうか多くの人に見て貰いたいです。[試写会(邦画)] 9点(2016-11-01 14:47:30)(良:3票) 《改行有》

407.  アズミ・ハルコは行方不明 《ネタバレ》  東京国際映画祭で鑑賞。  オヤジ狩りの女子高生達は、あれ、つまり『2001年宇宙の旅』のモノリスみたいなモンですね。  描いているのは今の時代を生きる若い人達、映像表現はとんがった映画なのですが、なんだか随分古い感覚を受けてしまって、まるで70年代の青春映画みたいで、それは描いている事が普遍性を持ったものだから、だけでは説明できないような気がします。  実は結構芯が脆い映画なように思います。皮を剥いてゆくと意外と殆ど何もないような感じで、時系列バラバラなのもそれを少しでも隠すためのようで。それは映画の内容に符号してはいるのですが。  フェミニズムに寄っているように見えながら、単に男女の差異を描いているようで、そこに更に双方に対する差別的な意識が感じられてしまうのは、それこそがリアルなのかもしれませんが、でもその捉え方が昔からあるものだから、だから古い感じを受けるんですね。郊外の若者の暮らしぶりの描き方も含めて、リアリティという名の差別意識が働いてしまっているように見えてしまって、実はこれかなり救いのないネガティヴ志向な映画なんじゃない?って。登場人物全員馬鹿にしか見えない作りになってますし。  蒼井優は最近『オーバーフェンス』といいこれといい、ちょっと壊れ気味な役が多くなっていますが、それでいいのかなぁ?  キャラの抱くジレンマがそのまま映画の抱えたジレンマに直結しちゃてるようで、勢いの良さは虚勢を張っただけな芯の脆い映画という印象でした。[映画館(邦画)] 5点(2016-10-31 23:43:56)《改行有》

408.  GANTZ:O 《ネタバレ》 ・原作なり映画なりでGANTZの設定、システムを知っている。 ・国産CGアニメ特有の、表情の変化に乏しい、声優の演技に頼ったマネキン人形風キャラを、そういうもんだと割り切ってる。  この2つをクリアしていればかなり楽しめる作品だと思います。  タイトな上映時間にGANTZの世界が凝縮されています。時間が短いが故の難点もありますが。バトルが映画本体では1度だけ。その1度の戦いの中で様々な要素を描こうとしていますから、各キャラの成長や心の変化が唐突だったり、強さはセリフで語られるばかりで実力を発揮できないまま終わってしまうキャラだらけだったり、重要なポジションのように見えながらそんなには存在価値がないままなハンパなキャラがいたり。  ですが、無駄無く矢継早にアクションを重ねてゆくので、あまり細かい事に拘っているヒマもありません。  迫り来るバケモノに対して、自分か、誰かが落とした武器を拾おうと手を伸ばす、駆け出す、その危機一髪の瞬間をスローモーションで描く、ってパターンが多過ぎて、もう少し他にサスペンスを生むシチュエーションを考えつけないのかいな、とは思います。  武器のバリエーションが豊富なのはいいとして、明らかに『パシフィック・リム』なアレは明らかに浮きまくりで別作品になってるじゃん、みたいなのもあります。  突然の超展開でシーンやエピソードがちゃんと繋がってなかったり、まるで説明不足だったりもします。なんで東京チームは大阪に飛ばされて共闘って事になったのかなぁ?  でも、そういう点をツッコミながら見るような映画って感じです。  読めまくりのラストの展開も含めて、フルCGになってもあんまり変わらない国産アニメの様式美みたいなのを生暖かく見守って楽しむのが吉、ってところで。二人の女性キャラの気合い入りまくりなモデリングだけでも十分に楽しめますしね~。[映画館(邦画)] 6点(2016-10-14 23:14:04)《改行有》

409.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》  1作目を見逃すと当然2、3作目も見れなくて、そんなこんなでシリーズを最初にスクリーンで見たのが『レガシー』っていう。1~3はBSだかCSだかで一挙放送したのをゴロゴロダラ~っと見た程度。で、シリーズ通しての印象は1作1作の物語のカサがあまり無いって事と動かし過ぎのカメラワークがウザいって事。今回も印象はあまり変わらず。マンネリ度が更に増したけれど「それで終わりかよ!」って感じは少し軽減したかな?  とにかくあのカメラワークはもう要らないんじゃないかと。ひたすら見辛いだけです。前世紀末に流行ったのをいまだに引っ張ってる状態で、それこそがこのシリーズのアイデンティティだと言われるかもしれませんが、カメラが意思を持って存在をアピールしちゃうとね、それは一体誰の視線、もしくは誰の持ってるカメラよ?って事になっちゃう。いや、臨場感を出すために観客の視線を作ってあげてるんですよ、って事なんでしょうけれど、大きなスクリーンと対峙してるこちらにとっちゃ、そりゃ余計なお世話。せっかくのスタッフとキャストの仕事がガチャガチャな状態でしか記録されてませんっていうの、勿体なくないかなぁ?  それから念押しするような映像がクドくて。冒頭のギリシャのデモシーン、後半のカーチェイスシーンは不要なショットがかなりありますし、父親が殺害される回想シーンを何故あそこまで繰り返す必要があるのやら。これもまた親切心から?の余計なお世話ね。  物語はジェイソン・ボーンのごくパーソナルな話ですよ、っていうのが明らかになると共に底が見えて中盤以降は退屈気味。  せめてアクションやサスペンスに独自性があればいいのですが、なんかもうシリーズだけでなく、このジャンルの見せ場の繰り返しですね、っていう。その上、クライマックスの大事なところでモタモタと弱みを見せちゃうあたりはかなりガッカリ。続編をなんとなく意識したのか、微妙にボヤかしたエピローグも含めて、この程度の続編作っちゃったのねぇ、って印象。  もっとスゴい状態に成長したジェイソン・ボーンを見せて欲しかったのですが、むしろ退行してなかった?[映画館(字幕)] 5点(2016-10-10 14:39:59)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

410.  少女(2016) 《ネタバレ》  繊細で残酷な映画。全編をヒリヒリとした空気が漂い、心を締め付けてきますが、その切ない痛み、居心地の悪さがむしろ不思議な快感と感動を呼びます。  二人の少女が負った傷は他者の悪意の象徴。様々な悪意の中で傷付き、壊れ、死が囁きかけてくる、徐々に悪化してゆくそこから逆に得るもの。  幾つもの(痛い)エピソード、映像がパズルのように散りばめられ、組み合わさって1つのカタチを織りなしてゆく、それが心地良さを生んで。二人の少女、冒頭とラスト、共通する2つの映像(夕陽を駆ける二人、それぞれが防波堤を歩く、足が「治る」瞬間、二人の繋がりが遮られる刹那、水の中に沈んでゆく)、幾つもの対を成すものによって構成されて、その対比の組み合わせが大きなうねりを創り上げています。  因果応報を示す繋がりはファンタジー的ですが、ゆえに1つの作品の中に閉じ込められた、閉塞された世界が完成されています。  その世界を創造するロケーションも効果絶大、二人の身近にある海が生と死の境界を示していて。  闇を抱えて生と死の狭間を彷徨う女子高生を演じる本田翼と山本美月がとても良いです。  実はシンプルな友情物語、ヨルはまた来るのでしょう。[映画館(吹替)] 9点(2016-10-09 21:51:48)《改行有》

411.  アングリーバード 《ネタバレ》  中盤までは結構シンドい感じ。大してカサの無い単純な物語を、キャラのドタバタエピソードで埋めてゆくという状態なのですが、これがあんまり笑えるものではなくて。美術デザインが色々と凝っていて、飛べない鳥達が暮らす世界を見るのは楽しいものの、物語の進行が遅くてちょっとダレ気味。  でもこれが後半、反撃の物語になると途端に激しく弾んだ映画になって。飛翔と落下と破壊、その快感、3Dの効果も手伝って非常にエキサイティングなクライマックスを迎えます。前半のドタバタ描写も、この部分の各キャラの個性分けされた見せ場のためだったのかと思うと納得。  映画鑑賞後に元となったスマホゲーをプレイしてみたのですが、なるほど、シンプルなゲームのシステムをよくもまあ上手く映画化したもんだと。ゲームに親しんでから見ていたとしたら、徐々にそこに向かってゆく展開に焦らされた上で最高に盛り上がるクライマックスを迎えられたかと思うと、ちょっと残念な気もしますが、逆に何も知らないで見て、そのぶっ飛んだ展開に「なんじゃこりゃ!」って驚きを持って見られたので、それはそれで。どちらでも吉。  点数はかなり甘い気もしますが、クライマックスの異様なテンションにすっかりやられて見終わった時の満足感がハンパ無かったので。[映画館(吹替)] 8点(2016-10-06 22:54:21)《改行有》

412.  高慢と偏見とゾンビ 《ネタバレ》  私はよく「もしも小津作品にゾンビが出たら」とか夢想したりするんですが、コレはそういうノリを本当に形にしちゃった小説を更に映画にしちゃったような作品で。  ジェーン・オースティン作品と言えば19世紀の貴族階級の人々が惚れたハレたする、キラキラした恋愛模様を描いたオトメな世界、そこにゾンビを置いたらどんな面白さになっちゃうんだろう、って感じですが、どうもハンパに妥協しちゃった映画という感じで、もうひと捻り足らない状態のように思いました。  ジェーン・オースティンの映画化作品としては『いつか晴れた日に』『Emma』『プライドと偏見』がありますが、それらにあったオトメな色合い、イギリスの陽光、緑、田園風景、空、人々の優美さ、そういう成分が足らないんですよね。代わりにB級映画の安いノリがジワジワと侵蝕しちゃっているような風味で、それはガッカリだなぁ、と。一方でゾンビものとしてはごくごく控えめな描写で。あの美しい風景の中に恐ろしくおぞましいゾンビが置かれたとしたら、そのコントラストはどれだけ異様でステキな事でしょう、と期待したんですけどねぇ。  ヒロイン姉妹が中国で修業した武術の達人であるという設定も、あまり面白い画にできていない感じ。そこはジェーン・オースティン風味とハッキリ区切った武侠映画ノリで見せて欲しかったのですが、作っている人々にあーんまりそういう部分での拘りが無いらしく、ジェーン・オースティン、ゾンビ、中国武術、ついでに日本の剣術がコントラストを描く事なく雑多に置かれている状態でした。ジェーン・オースティン好きでホラー好きでアクション好きな人材なんていうのを求めるっていうのは贅沢なハナシなんでしょうかねぇ。  役者は良かったと思います。リリー・ジェームズとサム・ライリーの整った顔立ちはジェーン・オースティンワールドに相応しく、でも、だからこそそれを活かしきれていない脚本や演出が残念でした。  それでもジェーン・オースティン世界がどういうモノなのかを知っていればこそ楽しめるノリは随所にありはしましたが。パロディ映画としての域から出ておらず、そのもう一段上を目指す視点が欠けていたんじゃないか、そんな気がしてなりませんでした。[映画館(字幕)] 6点(2016-09-30 20:24:26)《改行有》

413.  レッドタートル ある島の物語 《ネタバレ》  映画がかなり進んだところまで映画と格闘状態でした。カメはなんのメタファー? この世界って主人公の心象風景? 主人公には見えていない、主人公の息子の視点が登場した時点で、ああ、これは描かれた事象をそのまま受け止めりゃいいんだ、って気付く始末。つまり孤島に流れついた男がカメに惚れられ、人間となったカメと孤島で暮らし、一生を過ごす物語。それだけ。  情報量はそれほど多くありません。シンプルなデザインのキャラと、描き込み過ぎていない背景、静かな音楽。いちばん情報量が多そうなのはリアルな環境音。主人公の出自など語られません。大自然に翻弄されつつ、その世界を受け入れてゆく主人公に心を重ねてゆけば、世俗から離れて何物にも煩わされず(不作法な観客がいなければ、ですが)、映画と自分との対話ができるひとときを過ごせます。強いて言えば、色々と削ぎ落とした(描かれる事も映画の表現法も)後に見えるもの、そこに物事の真価を問うているのかな、と。でも、そこに意味を求める必要もないですね。  カニが可愛かった、感想はそれだけでも十分な気がしないでもないです。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-29 22:54:28)(良:1票) 《改行有》

414.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》  2回の墜落イメージは貿易センタービルにぶつかった2機を表しているのでしょう。9.11を背負った映画である事に間違いはありません。ニューヨークの深い傷。これは新たな傷をつけないように努力した人々の物語。  余計なアクセントを差し込まない、事故のリアルで生々しい描写は、その結末が判っていても恐ろしい臨場感を持って迫ってきます。その短い間の、震え上がるような恐怖と、そこに居合わせた人々の生。それぞれがそれぞれの役割を果たす事で成し遂げられた奇跡。  クライマックスのシミュレーターこそは逆にその奇跡の後押しをする事になる、コンピューターには人的要因は理解できない、のだけれどコンピューターが人の価値を立証してみせた訳です。さんざん最新のVFXによる墜落映像を見せておきながら、肝心のクライマックスではシミュレーターのショボいCG画面が主役になるという構図が面白く。イーストウッド主演の『人生の特等席』では前時代的なコンピューターVS人間の図式を単細胞的に描いていてゲンナリしたものですが、イーストウッド本人は必ずしもソレを頭ごなしに否定せず面白く使いこなしている感じがします。  トム・ハンクスが良いです。昔からのオーバーアクト(いまだに『ビッグ』での少年が大人になってしまったパニック演技がチラついてしまうっていう)が抑えられる事で、プロとして事に冷静に対処する強さと、9.11を自らが再現してしまいかねなかった恐怖に苛まされる弱さと、英雄として持て囃される事に対する戸惑いとを1つのモノにしていて。機内に残された乗客がいない事を確認する姿は、決して英雄的ではなく、必要な仕事をこなしてゆく男の姿でした。  余分な贅肉のない、簡潔にして濃密な96分、齢86にしてイーストウッドはなお軽妙洒脱に映画を駆けてます。[映画館(字幕)] 9点(2016-09-26 22:20:44)(良:1票) 《改行有》

415.  映画 聲の形 《ネタバレ》  耳が聞こえないというのは、この映画では障害ではなく個性であるのだと思います。これは障害者の映画ではなく、いじめの映画でもなく、個人と個人についての普遍性を持った映画、なので障害やいじめに固執すると矮小化してしまう、そこを山田監督は真面目に丁寧に、バランス良く描いています。  それぞれの自分を守るための戦いが生む摩擦、その戦いから逃走する事で更に生まれる摩擦、ひたすら繰り返される闘争の傷とその痛みの容赦の無さ。映画はそこに真正面からぶつかっています。他者のパーソナリティを受け入れると共に自分のパーソナリティも受け入れる、それがどれだけ大変な事か、どれだけの傷を乗り越えてゆかなければならないか、その闘争について映画もまた表現の闘争を繰り広げている訳です。ゆえに受け手は見ていて古傷が痛む訳ですが、映画が戦っている以上、受け手もまたその戦いに向き合い、見届ける必要があって。  そんな映画の心を示す映像表現の数々が秀逸です。アニメならではの心象風景とリアルとの共存を端的に示す、顔の上のバッテンマークは勿論ですが、足だけ、顔が欠けている、誰かが収まっていていい筈なのに空いている、そんな不安定な構図が重ねられて、ほのぼのとした絵柄とは裏腹なヒリヒリとした痛みを伴う緊張感をずっと投げかけてきます。  同じ監督と脚本家、そして同じ京都アニメーション製でありながら、この作品とは正反対に位置しているとも言える『けいおん!』(摩擦は意図的に最小限に抑えられています)では複数のキャラのモノローグによって人称がブレて、流れがおかしくなってしまう箇所も見られましたが、今回はモノローグにも制限が与えられ混乱をきたす事がない点も成長が感じられます。  決して心地良い時間を運んでくれる映画ではありませんが(そもそも主人公のパーソナリティを受け入れられない人もいるかと思います)、そこに向き合う事に大きな意味のある作品です。その闘争の真摯な姿勢を高く評価したいと思います。[映画館(邦画)] 9点(2016-09-26 21:05:11)(良:4票) 《改行有》

416.  SCOOP! 《ネタバレ》  『モテキ』『バクマン。』に続いて、またまた編集部が拠点となる群像劇って事で、この監督の引き出しはソレだけなのかいな?  前半は快調です。ベテランのフリーカメラマンに無理矢理押し付けられた新人記者。まるでかみ合わない二人が夜の東京を舞台に繰り広げるドタバタ劇はスピーディで笑いもあって。  ところが中盤以降、徐々にテンポダウンしてきて、何やら小さなところでまとまりそうな感じもして、その程度の映画なのかなぁ、と思っていると更に続いて、この映画は一体いつになったら終わるの?というとりとめのなさを見せ始め。  そして唐突な展開によって映画のカラーそのものが変わるのがクライマックス。ここはサスペンスという事になるのでしょうが、どうにも緊張感に欠ける、ダラダラした画が連なっていて、登場人物それぞれの行動にまるで共感も納得もできず、その上で立てまくっていたフラグを当たり前に回収するという。カルいモノを撮るのは得意だけれど、シリアスな展開になるとボロが出る、みたいな感じですかねぇ。  更にその事が起きて以降がまた長くて、体感3時間、みたいな映画になっちゃってました。    大体、バディものとしてベテランがルーキーに夢を託し、その成長を描くのはいいとして、ロバート・キャパの精神を写真週刊誌のカメラマンに重ねるセンス、その写真を記事にするあたりのセンスを理解しろというのはかなり無理なハナシで。キャパの「崩れ落ちる兵士」の真贋騒動や、写真週刊誌のあり様(最初に最悪な仕事だと言わせつつ、最後には見ているこちらを置いてけぼりにする美化っぷり)を皮肉った上でそうしているのかいな?と考えたりもするのですが、じゃあ福山雅治の役はただの道化だったのか?って事になっちゃいますしねぇ。ドラマ上、福山雅治がそうなる事の必然性が薄い気がしました。  ラストの編集部一同の酔いっぷりも自己満足、自己完結っぷりがハンパなく、ずいぶんとスクリーンとこちらの距離が離れた映画だねぇ、って感じでした。妙に悟っちゃったような二階堂ふみや吉田羊はともかく、あの娘さんの物語上のフォローはしておいて欲しかったなぁ。[試写会(邦画)] 5点(2016-09-26 20:15:45)《改行有》

417.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》   笑いあり、スリルとサスペンスあり、感動ありで程よい感じの青春アニメではあります。  でも、脚本の構造のために歪みが生じているのも事実で。  まず時間を超えて入れ替わっていたという仕組みを隠すために二人が自分の身に起きた異常事態に対して日時の確認をしない、気付く事がない、っておバカになっちゃってるのが残念だなぁと(夢だと割り切ってたりして)。っていうか、スマホの日記アプリ使ってる時点で西暦は明確になりそうなものなのですが。つまりこれ、お利口さんでは成立しない物語なんですよね。  それから映画は三葉主体で始まりながら、クライマックス前は三葉の人格を脚本の構造のために出せない、っていうのも人称のブレを生んで「主役の心が消える長い時間」が生じるゆえの不満感が。  その他、おばあさんが仕掛けの説明のためだけに存在しているので、その説明が終了すると共に用なし扱いになってるとか、お父さんの意思決定が絶対的な〇か×かのみで成立しているけれど、その絶対性が生まれる根拠があまりに脆弱だとか、二人が入れ替わる理屈(システム的な)が結局曖昧だとか、始めに結論ありきで組み立てられているがゆえの強引さが目立つお話ではありました。  組み紐や流星の描く尾が繋がりを示し、開閉する扉が断絶を示すあたりの映像表現は良かったと思います。でも綺麗と言われる美術に関しては、んー、自分的にはラッセンの絵みたいなモンで。キレイですね、以上。みたいな。光と影の魔術師みたいな故・椋尾篁氏とか、深層に触れるノルシュテインとか、そういうトコ、そういう世界が見たいです。空気感、その匂いは希薄に思いましたしね。  モノローグが多用されるのって、「日本」の「マンガ起源」の「アニメ的表現」独特のもので、それをみんなが何の疑問もなく受け入れている状態は果たして良いのかどうか。人称ブレブレになるんですけど、それでいいのかなぁ? 私はそこで今一つ入りきれなかったんですよね。  意外に心よりも(余計な事に)アタマを使う時間が長い映画だったので、評価そこそこ。ひっかかりなく存分に心で見たいものですが。[映画館(邦画)] 6点(2016-09-24 06:10:59)《改行有》

418.  傷物語Ⅱ 熱血篇 《ネタバレ》  『帰ってきたウルトラマン』にウルトラマンが怪獣にバラバラにされるエピソードがありまして、ウルトラマンの大きな生首がドーンと堕ちてくる、って画に驚愕し、しばらくトラウマ状態に陥ったものでした。以降もウルトラシリーズはウルトラ兄弟の首が飛んだり、四肢バラバラにされたりと子供にとってはあまりに残虐なエピソードが唐突に登場し、現在に至るまでウルトラシリーズは自分にとって忌避すべきものとなりました(初代ウルトラマンは大好きなのですが)。後々判った事ですが、それらのエピソードは一人の脚本家特有のもので、つまり子供にそういう残虐なモノを見せたがったのは、その人の趣味以外の何物でもなかったんじゃないの?と。  そんな事を、この映画のヒロインの腸が飛び出す描写を見ながら思い出していたのでした。コレも監督の趣味なんだろうかねぇ?みたいな。映画にとって腸が飛び出る必然性など微塵もありません、っていうかその後の治癒描写では腸の存在が物理的にジャマで矛盾しちゃってるんじゃないかと。  人にトラウマを植え付けたいという悪意からならともかく、純粋にそう描きたいっていう願望からそうなってるとすれば、結構病んでない?  っていうか、この監督も庵野監督同様、私と同世代だったりしますが、この監督も庵野監督もああいうウルトラシリーズ見てトラウマになるより何かに目覚めちゃった系かしら? やーね。  さて、映画は相変わらず自己欺瞞的ですが、状況説明のみでプッツリ終わった前作に比べたら今回は物語が存在しているだけ幾らかマシです。ただしダラダラしていた前作と違って、もの凄いダイジェスト。前作で勿体つけた3人の吸血鬼ハンターとの戦いを、簡単にどんどんと消化してゆきます。3人目なんかあまりに唐突に描写が飛びまくるので次回予告かと思いましたわ。でもそれも、結局はどのあたりを気取ってるのかがありありと見えて、恥ずかしい感じで。  作品から演出家のカオが見え過ぎちゃうのって見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうので、自己欺瞞とか自己顕示欲とか自意識過剰とかの「自分自分自分!」って状態は幾分抑えて頂きたいもので。[映画館(邦画)] 3点(2016-09-13 22:17:23)《改行有》

419.  ゴーストバスターズ(2016) 《ネタバレ》  大変に気持ち良く見られた映画で。    女性が「女性らしい役割」を求められていない映画であり、だから(観客を含めた)男のために着飾ったキャラもいなければ、優雅さ優美さを求めてもおらず、カッコいいも面白いもお下品も、性差のボーダーを取り払った表現になっていて。  一方で徹底的に男を無能でダメな存在としておちょくっておりますが(旧作のメイン役者達ですらも!)、さんざん「そういう役割」を求められ続けた者の復讐の映画としての気持ち良さがあって。クリヘムはアレですね、昔の映画やドラマで向井真理子さんが吹替えを担当していたタイプのキャラの男版。その徹底した姿勢は旧作のビル・マーレーの役に対する贖罪というか価値観の変化の表明のようにも思えます。  これは単なる変種ではなく時代の要求であると思うのですよ。  旧作のリメイクとして様々な引用をしつつ、今の技術によっていっぱい(それこそ画面からハミ出すほどの)ゴーストを出して、その進化を楽しめるのもポイントでした。美術やVFXなんか旧作の色彩にちゃんと則ってましたしね。リチャード・エドランド風味。  あと、吹替え版と字幕版、両方見ましたが、吹替え版も悪くありません。メイン2人は喋れる芸人ですし、それをプロの声優が固めてる感じで。静ちゃんと鬼奴はアレですがちょいとしか出てきませんし。  今から32年前の3G対決のうち、期せずして『ゴジラ』と『ゴーストバスターズ』が再び対決する事になった訳ですが(『グレムリン』はどうした)、『ゴジラ』は実のところ32年前のアレとさして印象は変わらず、それに比べて『ゴーストバスターズ』はかなり成長したように感じるのは、単に当時期待してた旧作にガッカリしたせいで元々ハードルが低かったから、だけではないと思うんですよね。[映画館(吹替)] 9点(2016-09-13 21:49:35)《改行有》

420.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》  昔から庶民の視点で描かれた怪獣映画が好きで、政治家や役人や自衛官や専門家が右往左往するようなのは好きじゃないのですが、コレがそうだからと言って悪く言うつもりはありません。  ゴジラがむしろアチラのモンスター風になっちゃった、ってのも、CGが期待したほどではなくて舟だの車だの列車だのが重量感もなくパタパタ舞ってるなんてのも、まあ些細な事。人物シーンのライティングはもう少しどうにかなんなかったのか?とは思いますが。  私がひっかかって仕方ないのはゴジラを「戦後日本の亡霊」として登場させた部分で。  空回りする会議と会話を繰り広げるばかりで決断力と実行力が欠ける連中には途中で退場願って、異端であろうが傍流であろうがゴジラの暴走を止めるという共通の目的を果たすためにプロフェッショナルがその仕事を果たす、って点は良いと思います。ですが、それがいつまでも変わらない「戦後」に対する呪詛を基にしているようで、それは前向きと言えるのかどうか。  終戦直前から現代に至るまでの(原爆投下から東日本大震災による被害と、福島第一原発のメルトダウンによる被害と)この国家を襲った災厄に対して、それでも「頑張ろう日本」と言いたい映画、でも安保やら核やら、終戦から今の日本に変わらぬ重圧を与え続けている「戦後」に恨み節のひとつもヒネリたい、みたいな映画で。  両監督と同世代なので判らないではないんですよ、団塊に蹂躙された後の世界を生きてきた世代な訳ですし(笑) だけど、映画に漂う旧『日本沈没』と旧『日本のいちばん長い日』の影響が、まるでそこに留まる事に対する自虐的な言い訳のようにも思えて。  ナショナリズムをシニカルに捉えつつ(でも実際にそこに陥っているような感想がネット上に大量に見られるという)、それが自嘲、自虐の域から出ていない、その先の示すべき道を語ってくれていない気がするんですよね。まるで「仕方ないけど頑張ろう」みたいな。  怪獣映画における不可侵領域である皇居に言及しない今作には、もちろんそうする事の意味があるのでしょうが(東京駅と皇居はさほど遠くないのであの作戦をあの場所で展開するというのは国家的にかなり問題な訳で、即ちこの作品世界に皇居は存在しない)東京の中心に鎮座する事となるゴジラにそれが象徴されちゃってるとすれば、それはそれで、ねぇ。  個人的にポイントが高い点はご贔屓、市川実日子嬢がひたすらヘンなキャラだった石原さとみ嬢よりよっぽど良い扱いだったところ。彼女目的に見に行ったと言っても過言じゃないです。[映画館(邦画)] 5点(2016-08-02 17:21:29)(良:3票) 《改行有》

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