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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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421.  パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 《ネタバレ》 ハリウッドの大作らしく中身がスカスカって印象です。「シリーズ最恐」と宣伝されていた黒ひげさんが全くの肩透かしで、レギュラーのバルボッサの引き立て役くらいの扱いです。宣伝担当は映画を観てから切り口を考えているんだろうか? そもそも、ジャック・スパロウは押しの強いキャラクターではない。遡って、第一作はその変な物腰と意表を衝く能力の高さを笑いを交えながら見せたことがとても効果的でした。キャラの素性が知れた後は新たな魅力を付加して行かないと辛いのだけど、本作ではただの優柔不断男で活躍した印象が無い。昔付き合っていた女海賊との関係にもロマンスを感じません。当然だけど、主役に魅力が無ければ良い点数は付けられない。ついでに、新ヒロインも大して魅力的に見えなかった。シリーズ初の3Dも効果的とは言えず、画面を暗くしているだけです。自分はその暗さが苦痛で、途中3Dメガネを外しておりました。それでもあまり不都合が無かったから、これから観る方には2Dで充分とアドバイスさせていただきます。[映画館(字幕)] 3点(2011-05-22 09:19:32)

422.  GANTZ:PERFECT ANSWER 《ネタバレ》 ダメな邦画にパターンがあるなら、①理屈に合わないことを平気で放置する。②観せるべきシーンを端折り、どうでも良い台詞を重ねてテンポを悪くする。③情感だけを誇張し、それをオチにして終わらせる。この傾向は大作を装う作品に頻出し、本作にもきれいに当てはまります。山田孝之のように重要に見えて何もしていないキャラがいるオマケ付きでした。知りたかったのは、誰が何を目的にどんな技術を用いてGANTZを作ったかってこと。主人公の自己犠牲が完璧な解答? 制作者のパーフェクト・マスターベーションでしょう。[映画館(邦画)] 2点(2011-05-21 00:51:03)

423.  東のエデン 劇場版 II Paradise Lost 《ネタバレ》 この物語の骨格はジュイスの存在。その機能を最後まで使い切ったことで、シリーズを通してまとまりのある作品に落ち着いた印象は持ちました。ジュイスもセレソンの性格を映すように個性があり、AIだと分かった後でも人間より人間らしく感じられて楽しかった。NYの映画バカとジュイスの遣り取りは特に面白い。主人公の滝沢は捉えどころがないけど、とてもいい奴で魅力的。周囲を驚かせる判断や行動に嫌味を感じさせない造形が秀逸でした。キャラクターということでは、ジョニー狩りのお姉さんが大好きで、映画版での出番が少なめで残念でした。全体的には、細部を上手く作りこんだ上質なアニメだったと思います。滝沢が最後に取った手段は、不可ではないが合格というレベルでも無いという意見です。解答を他者の判断に委ねた部分が多く、口当たりは良くても永く続く訓戒にはならない。荒唐無稽な結末を用意する監督ではありませんが、アニメというメディアならもう少し突き抜けても良かったかなと思います。現代はとかくニートの性向だけが取り沙汰される世の中ですが、その対極に「アガリを決め込んだ大人たち」を配置することで、社会問題を違った方向から照らそうとした作品でした。ただ、ニートがニートたる原因を年長世代に転嫁するなら、もう少し年長世代を描写しないと説得力がありません。世代的には私も「アガリを決め込んだ大人たち」に分類されます。自分としては、揺れる景気に翻弄されて我が身のことで精一杯って気分なんだけど、就職先が見つからない若者からはそんな風に映るのでしょうか。決して若者世代、ニート世代を切り捨てている意識は無いんだけど。企業は利潤を追求する組織なのでデキない社員は切り捨てられますが、欲や上昇志向を持った若者はどこも歓迎しているはずです。私は経営者じゃないので大きなことは言えませんが、企業には新陳代謝が必要でそれを担うのは若者だと思っています。エラそうですみません。[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-05-19 01:57:41)

424.  ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 《ネタバレ》 批判するところは無いけど特筆するところも無く、そんな映画には眠くなる私。1作目も2作目も観ているが劇場&3Dで観るのは初めてで、何かが変わる期待もあったのだ。甘いと云うよりお人好しである。原作のことは知らないが、物語を転がす動機や必然の映画的説得が弱々しく、断片的には観たことのあるようなシーンばかりで興奮することがない。相変わらずキャラに魅力が感じられない。劇中の大人たちが特長の無い子供に従っているご都合に居心地の悪さを覚える。ルーシーはやっぱり益々悪役が似合う顔になっていて、彼女のキャスティングさえ変わればもう少し救われると思うのは自分だけ? ドラゴンになる前のガキの小憎らしさだけは、なかなかイケてました。…このシリーズのレビューは似たことしか書けなくて困る。[映画館(吹替)] 4点(2011-05-04 11:52:47)

425.  婚前特急 《ネタバレ》 いやいや、面白かった。タイトルの特急という単語がテンポの良い喜劇を想像させますが、期待を裏切らない。たくさん笑わしてもらいました。5人の男と付き合っている(!)女性が、友人の結婚に触発されて自分の将来を考え始める。その男たちを伴侶という視点で絞り込むためにリサーチを始めると不愉快が募って行く。自分が優位にいると思っていたのに、相手の男たちは誰も彼女との関係を真剣に考えていなかったようで…。結局は、5人の男を値踏みするというより、最安値の男との関係が中心に展開します。この女性を演じるのが吉高由里子。美人だけど極めて性格が悪い。男たちとの関係も、自己中が高じて相手の態度に無自覚だっただけ。その事実が彼女をイラつかせ、ますます性悪になって行く。でも、相手を選んで本音を言い放つ姑息な毒舌が可愛くもある。嫌な女なんだけど悪女ではなく、ギリギリで性格が悪いという範囲に収まっていて(それ、とても誉められたことじゃないけど)、見ていて飽きないし何だか憎めない。性悪がコミカルに映るのは役者の個性でもある。最後はやや予定調和的で、そこに至る経過を見ている分には少し大人しい締め方でしたが、人を好きになることの本質が軽いタッチで描けていると思う。「紀子の食卓」や「転々」で見受けられた特殊な存在感がやっと主演で発揮された印象ですね。主演女優を目当てに観に行って、十分に元は取った気分です。性格が悪くても相手が吉高ならオッケーという人にはおススメします。[映画館(邦画)] 6点(2011-04-30 03:00:12)(良:1票)

426.  ガリバー旅行記(2010) 《ネタバレ》 王道感のあるタイトルだけど、小ネタを楽しむ映画。もともとは風刺小説だけど、これはファンタジー。短いので退屈する間も無く終わります。特に何も言っていない割り切りが潔い。なんか、テーマパークのアトラクションのような作品でした。前もって知識の無い子供が観たら、ガリバーってメタボ系の下品なおっさんとして定着するんでしょうね。つまり、新しいガリバー像の創造ですね。特に意味ないけど。[映画館(字幕)] 4点(2011-04-29 08:38:29)

427.  レギオン はぁー(嘆息)、ネタが尽きたゾンビ映画、ってところかな。[CS・衛星(字幕)] 2点(2011-04-29 01:50:00)

428.  パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 《ネタバレ》 退屈はしなかったです。この種の作品はベテラン勢が脇を固めることが多いけど、生首で連れまわされるユマ・サーマンがちょっと可哀相ですな。007と呼ばれていた人たちはその役をやめてからの方が存在感が増すパターンが多いのが不思議です。[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-04-28 00:19:31)

429.  ザ・ファイター 《ネタバレ》 主人公は世界チャンピオンにまで登りつめたボクサーだけど、家内制手工業でボクシングをやっていることに驚いた。その家族仕立てが原因で一度は挫折し、やり直して成功する。簡単に形容するとそんなお話でした。ジャンキーの兄を始めとして、息子たちを溺愛する気丈な母親、見分けがつかない7人(だったかな?)の姉妹たちがボクシングのマネジメントに口を出す。「外野がうるさい」状態です。家族の繋がりは無条件の信用の証でもあるが、同時に甘えの構造でもある。ストーリーの前半はそれが悪い方向へ転がり、チーム体制は崩壊します。出所した兄を、周囲に反対をおして受け入れる主人公。不満を募らせても家族から離れない彼のスタンスは、実はプロとして甘っちょろく見えました。リングで殴り合うような商売をやりながらも、家族に寄り添う小市民という印象です。本作はその姿勢を肯定も否定もせずに追って行く。主人公の恋人が母親たちと喧嘩するシーンがあるが、言い争っていることの内容が幼稚園レベル。結局、家族まわりの心情的なもつれなんて、とても次元の低い話なんですね。この家族は全員がお互いを大切に思っていました。兄の出所祝いは感動的でした。それは家族にとって最も基本的な、そして最も大切なことです。そこさえ揺るがなければ、多少の問題は乗り越えて行ける。振り返ってみると、ボクシング映画というよりは、ひとつの家族像を描いた作品でした。エピローグに兄が弟を称えて涙ぐむ短いシーンが挿入されます。唯一、これが狙ったシーンだけど、狙い通りに泣かされる。兄役のクリスチャン・ベールのオスカーは頷けます。ボクシング映画は役者に肉体の試練を課す作品が多い。本作もそのひとつ。主演のマーク・ウォールバーグは正統に体を作ってましたが、クリスチャン・ベールは元ボクサーにジャンキーの要素を加えていて、大丈夫かと思えるほど病的に見えました。体を作る膨大な時間を役柄に込めるので、演技も自然と迫真の力を帯びるのだと思いました。[映画館(字幕)] 7点(2011-04-21 17:43:11)

430.  エンジェル ウォーズ 《ネタバレ》 勤務先で女性の同僚にこの映画を観に行くと言ったら「やっぱり男はあんなのが好きなのね」的な反応が返ってきた。自分としてはザック・スナイダーの絵を観るのが楽しみだったんだけど、世間の視線は違うようです。主人公にとってつらい現実があって、そこから逃避した妄想があって、その妄想からさらに踏み込んだ世界で戦闘が展開する。言葉にするとそんな構成ですが、やっぱり最深部の虚構世界の戦闘シーンを見せるための映画です。鎧武者、ナチスゾンビ、ドラゴン、アンドロイドと色んな敵を相手に戦う少女たちがアンバランスに強い。戦闘の重量感とか体技への細かい拘りがエッセンスです。ストーリーに言及するものがないのでこの点数だけど、映像的見応えは期待通り。最後に現実に理屈を付けて終わりますが、そんな言い訳しなくていいから、終始あの戦闘シーンの世界で物語が展開した方がスッキリしたと思いますね。主人公が意味不明にセーラー服で戦いますが、特にロリ趣味やパンチラで非難されるような作風でもなく、ストイックに作っている印象さえ受ける。羽目を外して品格を落とすようなことが無いのは私には好感でした。この程度で制作者の趣味性が言及されるなら、日本でアニメを作ってる人の大半は同類だと思いますよ。反対に、映像作家はみんな、この監督くらいに個性を主張すべきでしょう。ちなみに私が通うシネコンでは吹き替え上映だけでした。人気女性声優ユニット(そんなものがあることに驚く)の着ボイスキャンペーンとタイアップしているからなんだけど、やっぱり洋画は字幕で観たかったですね。[映画館(吹替)] 5点(2011-04-17 19:44:46)

431.  KG カラテガール 初回投稿、失礼します。私、「ハイキック・ガール」は観ていないんですが、この種の作品には食指が動きます。ブルース・リーから入った映画DNAと美少女好きが混然となって相乗した状態ですな。いや、ストーリーは酷いものでした。「ハイキック・ガール」のレビューを読んでいてもそんな意見が見られたので進歩していないようです。ロケ場所などは、低予算で作っていることを主張しているような風情です。いきなり雨が降ったり晴れたりします。でもいいんです。武田梨奈を観るのが目的だったから。芝居の方はまだまだですが、体を動かすことにかけては逸品でした。「チョコレートファイター」のジージャーに較べても見劣りしない。重心を落として構えた姿にはカンフーやテコンドーにはない、空手らしい凛とした美しさも感じました。しかもジージャーより色気あります。ただ映画全体としては見劣りします。褒められるのは最後の戦いに制服姿で臨んだことくらい(笑)。このマイナー感は予算さえ付けばある程度は改善されるのだろうが、スタッフにはもうひと頑張りして欲しい。確実に彼女にしか見せられないものがある。それを映画として活かしてあげたいと強く念じます。余談ですが、劇中に「それ、もしかすると空手?」という台詞が出てきます。これは「空手バカ一代」という往年の漫画の中で、ケンカ十段と異名を取った空手家が道場破りに使った常套句でした。製作陣のルーツも似たようなところにあるのだと思った次第です。[映画館(邦画)] 4点(2011-04-03 20:17:16)(良:1票)

432.  塔の上のラプンツェル 《ネタバレ》 ディズニーアニメの50作目を記念する作品は、オーソドックスな王道的プロットに現代的な捻りと感性と技術を注ぎ込んだ逸品でした。理屈抜きにとても楽しかった。高い塔に幽閉されたお姫様をドロボーが助け出すお話は、ニッポン人なら誰もが知る有名アニメに類似する。ディズニーの制作陣がそれを意識したかどうかはわからないけど、この取り合わせは観る側を退屈させない。ドロボーを捕えることに執念を燃やし、結果としてドロボーと共闘してラプンツェルを助けるマキシマスはさしずめインターポールの警部さんかな。快活でいて、でも決してただの優等生でもないラプンツェルの造詣がともかく秀逸。誰もが感情移入して共感するキャラじゃなかろうか。酒場の荒くれどもやユージーンを狙う盗賊たちも愛すべきキャラであり、展開するシーンすべてに色んなアイデアが詰め込まれている。ラプンツェルが目指した灯の風船の描写は3Dの見せどころで、湖面の映り込みを効果的に使った幻想的な美しさに見惚れてしまった。あの灯で童心に戻され、ディズニー色に染まって行くようでした。そうそう、フライパンの大活躍。あれが剣や銃じゃないことが、作品の性格に大きく貢献していますね。総じて欠点が見あたらない。夢と冒険と愛情とユーモアがバランス良く配され、ディズニーブランドの底力を改めて教えられた気分です。ちなみにユージーンの顔がアップになるたび、私はジェイク・ギレンホールの顔が被りました。[映画館(字幕)] 8点(2011-03-31 21:28:19)

433.  ツーリスト 《ネタバレ》 確かにそこには現代を代表するスターが二人いたけれど、大方の人が期待した映画とは違っていたのではなかろうか。アレクサンダー・ピアースが何を考えていたのかが分かりづらく、観終わった後も解釈に時間を取られました。最後に隠し金庫に残されていた紙片が「領収書」だったか「小切手」だったかを目視できず、それによって解釈がかなり変わりますが、元ボンドが二人を見逃す判断をしたことから、あれは小切手だったという前提です。最初、ピアースはエリーズと逃げることが目的だったと思いました。しかし、フランクになりすましてエリーズとの接点を作っても、警察がエリーズの監視を止める保障はない。また、最後まで警察はピアースをフランクと思い込んでいたから、ピアースは自ら正体を晒す必要は無かったはずです。そうなるとピアースは、金を返さずにエリーズと別れるか、金を返してエリーズと共に逃げるかの選択肢を持っていたと考えるのが妥当だと思われます。つまり本作は、ピアースが自分の気持ちとエリーズの気持ちを再確認することがテーマだった訳です。ギャングが乱入したのは予定外のアクシデントだったけど、警察が彼らを始末するように仕組んだのは危険な賭けだったのでしょう。ここで最初に戻りますが、エリーズがピアースに対する想いをフランクに話した時点でピアースの目的は果たされたはずです。でも、エリーズがその台詞を言うシーンもフランクが軽く失恋するくらいにしか見えないのが苦しいところで、オチとしての機能を果たしておらず、ラストシーンに繋がって行きません。観終えた後に納得しにくい不可解が尾を引いたので自分なりの解釈は見つけましたが、それでもスッキリしない。この二人の間には語られていないことが多すぎるのです。「ナイト&デイ」みたいな作品を期待していた訳ではないけれど、せっかくの初共演が分かりづらい心理描写と焦点が定まらない演出で凡作になりました。[映画館(字幕)] 4点(2011-03-08 21:16:19)

434.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 人が何かを乗り越える物語は映画に普遍するテーマのひとつ。そこには、当人と周囲の人の真剣な闘いがあるからストーリーも熱を帯びる。本作が乗り越えるべき課題は、ただ喋るだけ。しかし主人公が国王で、相手が全国民で、しかも本人が吃音症となると、その課題はとても深刻な問題に様変わりする。吃音が精神のストレスから起こる症状との自論を持つ施療家がその治療を試みる。メインとなる処方箋は自分が国王の友人になること。この二人の人柄と距離感が楽しく映画を牽引します。二人が喧嘩した後に「王の謝罪を待つ者は、長く待つ必要がある」なんて照れ隠しの台詞を国王が口にするシーンがとても微笑ましい。その二人の演技もさることながら、王妃を演じたボナム=カーターが絶妙でした。言うべきは言うけど、それ以上の思いやりを感じさせる役どころ。王妃である前に妻であり母であり、親近感たっぷりの姐御肌も見え隠れする。最近は「ハリー・ポッター」や「アリス」でエキセントリックな役を演じてましたが、本作では彼女自身が持つ存在感が優しさという形で遺憾なく発揮されていると思います。ドイツとの開戦スピーチが上手くいった時、私はボナム=カーターに感情移入していて、一緒に涙しました。アカデミー賞に最多部門でノミネートされていますが、テーマや品格という意味では受賞に値する作品であるという意見です。発表まで24時間を切りました。さて。 〈2012/2/28追記〉作品・監督・脚本・主演男優の4部門を獲得。最も獲って欲しかったボナム=カーターの助演は残念でした。でも、今後の彼女の映画がとても楽しみになりました。[映画館(字幕)] 7点(2011-03-04 01:17:08)(良:2票)

435.  ザ・タウン 《ネタバレ》 クライム・サスペンスとしての本作のオリジナリティは犯罪者と街の関係を扱ったこと。街=タウンとは、生まれ育った場所と同時に生業を共にする仲間がいる環境として描かれる。その仕事で親友たちから必要とされる。それが疑問を覚えつつも主人公が強盗業を続けてきた理由だった。奇しくも強盗被害者の女性との出会いが転機となり、主人公は街を出る決意をする。それは稼業で繋がった旧知の仲間関係を終わらせることでもある。冷徹なFBI捜査官よりも強盗仲間に感情移入してしまうのは、やっていることが犯罪であっても、その仲間関係にピュアな繋がりを見ることができるからだ。さらに、その繋がりを断とうとしている主人公の葛藤に共感するからだ。最後の犯行の緊迫感や激しい銃撃戦が登場人物たちの幾重もの思惑に重なり複雑な模様を描く。主人公は街という宿命から逃れる為に闘っているようでもあった。結局、彼は仲間を失い、女性を失い、故郷を失った。遠く離れた場所に身をおき、仲間との関係そのものであった街を想うとき、彼の胸に去来するものはなにか。主人公の新たな孤独には深い余韻がありました。監督2作目のベン・アフレックは、ひと言では表現できない複雑な感情の絡まりをアクションと共に見事に演出したと思います。前作がフロックで無かったことを証明しました。[映画館(字幕)] 6点(2011-02-24 21:24:09)(良:1票)

436.  冷たい熱帯魚 《ネタバレ》 村田(でんでん)の徹底した悪人ぶりに圧倒され、現実から逃げて楽な服従を選ぶ社本(吹越満)。実際、観ている側も圧倒されます。エスカレートする圧力へ反抗心が芽生えても、人のネガティブを知り尽くした悪魔のような村田の弁舌に消沈する。これは大人のイジメの話なのかと思いつつ、社本のストレスがいつ、どの方向へ解放されるかを心待ちにしました。タガが外れた後の社本は期待以上。村田をメッタ突きにして溜飲を下げた後、家族への態度も変わる。村田が口にしていたネタを教訓にしたような横暴ぶり。コイツは村田2世になって、その強権で家族をまとめ上げるのかと思ったら、そんなありがちな回答は用意していない。妻を道連れにし、娘には遺言として社会の厳しさを痛みと共に教えようとする。人生はイタイとかツライとか…。たぶん、円満な家族ならそれは伝わるけど、この家族には無理。娘にしてみれば「私だってイタイしツライわよ」で終わり。何の成果もあげずにウザイ親父の死として娘を喜ばせる。テーマはシンプルだと思う。崩壊している家族を徹底的に暴こうとした映画。あるいは、崩壊していても体裁を保つことが出来る、家族と呼ばれるあやふやな人間関係に豪快にケチを付けた映画だろうか。ウチはあそこまで酷くないと思える人には良い映画なのかも知れない。徹底的にやる映画は素敵だ。グロさのインパクトが不穏な余韻を残す反面、全てを見せられた快感がある。スクリーンに向かってもう十分と言いたくなる作品は滅多にありません。役者に対する褒め言葉に「体当たりの演技」と云うのがあるが、本作の黒沢あすかと神楽坂恵こそ、その言葉に相応しいと思います。[映画館(邦画)] 8点(2011-02-14 17:09:55)(良:1票)

437.  あしたのジョー(2010) 《ネタバレ》 原作にある力石戦後のエッセンスのいくつかを前倒しにアレンジして、この一作だけで「あしたのジョー」にしようとした努力は買います。同時に、丈は野性味が抜けて、かなり素直なボクシング青年に見えたことが残念でもあります。ストーリーに無駄は感じない。段平との大喧嘩、鑑別所→少年院という流れ、段平のプロライセンス再取得のエピソードなどがカットされたのは惜しいけど、これが限界でしょう。丈と力石のライバル関係だけに比重を絞っても見応えを担保できる原作の懐の深さに改めて思い至る。丈、力石、段平を演じたお三方には拍手です。原作やアニメ版をよく知る人からも不満が出ない役作りが出来ていると思います。体を作り上げた二人も見事ですが、香川照之は丹下段平にしか見えなかった。現場でも段平そのものだったらしい(笑)。これは凄いことです。原作をバイブルにしていた元青年としてひと言。「あしたのジョー」は力石戦の前後でテーマが変化します。丈が持つ闘争心や反発力は抑圧からの解放を目指したときフルパワーを発揮する。最初は力石の存在も、丈にとっては抑圧のひとつでした。それはルールに縛られた社会へのアンチテーゼでもありました。力石という目標を失ったあと、自身の青春を燃焼し尽くすことを最終的なコンセプトとしたのが力石戦後の「あしたのジョー」。この丈の変化と成長が、数多ある青春漫画の中でも特異な存在であり続ける所以だと思っています。今回の映画化は原作のひとつ目の山まで。このスタッフ・キャストなら、物語後半のテーマの実写映像化にも挑戦して欲しいと思いました。本来、そこまで描いてこその「あしたのジョー」です。[映画館(邦画)] 7点(2011-02-14 01:59:08)(良:3票)

438.  白夜行 《ネタバレ》 本作を観終えたとき、原作を読み終えたときと同じように心がざわついていた。悪くないと思う。少なくとも、キャラの性格を読み違えていたとしか思えないドラマよりは原作の味わいを享受できる。しかし、どうにも納得できないことがある。映画は原作とは離れて評価されるべきではあるが、私の原作解釈との違いに言及させてください。以下、ネタバレしますのでご注意。言いたいのは、原作を読んで感じた雪穂と亮司の関係に対して本作の解釈が随分と違うこと。原作には描かれない二人のコミュニケーションをモールス信号にしたのは映画なりの工夫だったが、それによって伝えられるのは雪穂が痛めつけたい相手の名前のみ。まるで亮司を犯罪マシーンとして扱うためのアレンジである。その流れのまま亮司は自殺する。犯してきた罪への呵責であろう。とてもわかり易いのだが、少なくとも原作では雪穂が自身の野望のためだけに亮司を利用していたとは思えない。原作には、亮司が雪穂をサポートするための準備を周到に進める描写がある。殺人と強姦だけではなく複雑な内容も含まれる。コミュニケーションの方法は示されないが、二人は密に情報を交換し、二人で計画を練り、二人で実行してきたはずなのである。亮司は事故死するが、事故さえなければその関係が終わるような空気も無かった。被害者の息子と容疑者の娘として表立って接触できない二人の関係を読み解くヒントは雪穂の「私には太陽に代わるものがあった」という言葉だけであるが、それが本作のような関係だったとはどうしても思えない。解りやすい映画にはなったが、個人的にはテーマに連なる最も大切な部分に安直な回答を嵌めたように思える。「太陽に代わるもの」と捕らえていたのは亮司も同じ。明かされないコミュニケーションの中で、目の前にある障害の排除以外に二人が何を話していたのかは想像するしかない。二人はどこかへ行き着くために犯罪を重ねていたと私は思う。二人で太陽の下に出られる場所を捜していたと思いたい。原作には白夜行の行き先を想像させられたが、本作の白夜行には目的地がありません。[映画館(邦画)] 7点(2011-02-12 18:57:09)(良:2票)

439.  RED/レッド(2010) 《ネタバレ》 若者の青い葛藤を見せるのが「青春映画」なら、これは人生経験豊かなベテラン勢の老練な対応力を楽しむ「実年映画」。彼らは基本的には静かに暮らしたいと思っているが、難癖を付けられたら喧嘩(戦争?)もするし、生意気な若僧がいれば懲らしめるし、新しい恋も見つけます。そんな元気な初老世代の心意気を見せてくれる作品でした。変わり者で笑えるマルコビッチをはじめ、ベテラン勢はみんな加齢をポジティブに味付けしてあって面白い。まぁ、命を狙われるのはご勘弁だけど、世間と接触せずに暮らすよりは、たまには起伏のある出来事も良いんじゃない、ってノリのアクションコメディでした。CIAエージェントがラストでブルース・ウィリスを「おじいちゃん」と呼びますが、あれは反語表現で、十分に現役で通用するという賛辞だったと思います。[映画館(字幕)] 5点(2011-02-12 01:30:34)(良:1票)

440.  グリーン・ホーネット 《ネタバレ》 悪くは無いと思いますが、私には少し期待はずれな作品でした。CG技術によってコミックの世界が映像化できるようになってからヒーロー映画も随分とたくさん作られています。差別化の視点は悪をやっつける能力と正義の動機。加えて悪役側の魅力でしょうか。本作は能力と動機に特別なものを感じないという意味で、ちょっと珍しいヒーロー映画でした。カトーの機械いじりと格闘の腕前が無かったら成立しないヒーローだけど、言いだしっぺと資金の面倒をみている自意識過剰の若社長がリーダー風を吹かして喧嘩を始める。たくさん家財を壊すけど中味は子供の喧嘩。でも、この喧嘩がイチバン面白かったような(笑)。冒頭の方で親父の銅像の首を落すイタズラがやっぱりよろしくない。最後に付け直すんだけど、死者に対する行為として私の中ではほとんどレッドカードでした。秘書役はキャメロンじゃなくても良かったですね。これを等身のヒーローという気にはなれず、全体としてリアルともフィクションとも言えない半端で微妙な見応えでした。っていうか、こいつらヒーローか?[映画館(字幕)] 4点(2011-02-02 22:59:00)(良:1票)

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