みんなのシネマレビュー |
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421. UFO学園の秘密 《ネタバレ》 ク○映画ウォッチャーなら幸福の科学は避けては通れない。『仏陀再誕』はネタ的に受ける部分はあったが、『神秘の法』はただただ退屈だった。今回は幸福の科学を前面に押し出すことを避け(例:教祖的な立ち位置のキャラを出さない)、観客と同じ目線の学生を主役に、地味に伏線を張っていたりと、プロパガンダとして巧妙になっており、意外にも前半は普通のアニメ風なのでちょっと肩透かしだ。それでもストーリー全体に起伏はなく、発表会でピンチの主人公が学長と拉致されたり、挿入歌で離散から再集結するあたりは御都合主義すぎて、作品としてまだまだ未熟。そして後半から延々と説明される啓発セミナー風の宇宙ネタにはついていけず、これぞ幸福の科学と言ったところか。終盤になってやっと盛り上がりを見せ始め、主人公が覚醒してビースト状態で敵を薙ぎ倒すのはちょっと面白かった。両手を合わせて光がパーッなクライマックスの演出も笑える。結局、幸福の科学らしい平常運転で、前2作より作りとしてはマシな出来なので、この点数で。[地上波(邦画)] 3点(2019-04-23 00:38:58) 422. 猿の惑星 《ネタバレ》 『サイコ』同様、あまりにも衝撃のシーンが有名すぎるため、結末までの流れが退屈に感じてしまう。惑星の真実を知り、自分と同じように嘆き悲しむ人間はもういない。神の能力を手に入れるまでに進化しすぎても、人間が猿よりも野蛮という皮肉。当時の冷戦を象徴させるようで時の流れを感じた。冷戦が終わっても、またしても核の危機が迫っており、本当にそうなってしまうかも。[DVD(字幕)] 5点(2019-04-23 00:36:21) 423. ハンコック 《ネタバレ》 マーベルでもDCでもない完全オリジナルで、強大な力があるが呑んだくれの嫌われ者のヒーローという設定が新鮮。ニュースでもYouTubeでも実在していること前提に描いており、如何に主人公が本当のヒーローへと生まれ変わっていくかの過程に胸が熱くなる。ところがサポートする男性の妻の正体が明らかになったあたりから雲行きが怪しくなり、作品のトーンもスピードも下がっていくばかり。その男性の広報するマークもあまり活かされていないので、せっかくの設定が勿体ないよ。[DVD(字幕)] 4点(2019-04-23 00:31:40) 424. ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 クイーンはよく知らない。 フレディ・マーキュリーがペルシャ系がルーツであることも最近知ったばかりだ。 そのため純粋に映画として見ると、彼の栄光と挫折、愛と孤独という在り来たりなストーリーには何かしらの捻りがなく、 演出も予想通りの陳腐さである。 そのマイナスポイントを誰もが聴いたことのある有名な楽曲とラミ・マレックら俳優陣の頑張りで大幅にカバーする。 7割方はこれらとライブ・エイドの再現による勝利だろう。 もっとも本物の歌唱力までは真似できず口パクで、エンドロールに本人たちの映像を流すあたり、 トップクラスのモノマネ大会に終始している感は拭えず。 数十年後も残る名作になるかひとときの熱狂で終わるかはこれからだろう。 クイーンを大まかに知れる分には悪くないかもしれないけれど。[映画館(字幕)] 6点(2019-04-23 00:30:36)(良:1票) 《改行有》 425. スパイダーマン:スパイダーバース 《ネタバレ》 サム・ライミ版とマーク・ウェブ版を少し見た程度で、 ピーター・パーカーがスパイダーマンになっていく過程もヒロインも違うのだが、 こんなに派生作品があるとは知らなかったし、 「誰もがスパイダーマンになれる」というテーマとして本作はうってつけと言える。 マイルス・モラレスが彼の遺志を継いで本物のスパイダーマンになっていく王道的な物語ながら、 ダメな方のピーター・パーカーを初めとする並行世界のスパイダーマンたちとの邂逅とチームプレイが本作の見どころ。 各々のバックグラウンドは簡潔な説明で済ませて見せ場が少ないながらもキャラが立っており、 物足りなさがある故、個人個人のスピンオフを作って欲しいくらい。 シリアスな物語の中に挟み込まれるユーモアも絶妙で、互いに家族を失った経験を持ち、 譲れないプライドをかけて挑むマイルスと悪党キングピンが激突する展開が熱い。 立体と平面を駆使したアニメーション表現が頭一つどころか頭二つも抜けており、色彩と映像の洪水に圧倒される。 アトラクション映画としてもスパイダーマン映画としても一つの到達点だろう。[3D(吹替)] 8点(2019-04-23 00:28:13)《改行有》 426. グリーンブック 「これが作品賞?」というのが正直な感想。 130分間退屈なく見れて、『最強のふたり』を彷彿とさせるユーモラスなフィールグッドムービーなので、 映画をあまり見ていない方にも薦められるくらい万人受けしやすい。 100を超えるレビューで平均点8点前後維持し続けているあたり、本作が証明している。 粗はあっても脚本がよくできていることは素直に認めたい。 ただ、やはり白人特有の上から目線の綺麗事、一時的な融和アピールにしか見えず、 作品にあまりのめり込めない自分がいた。 イタリア系だからと同じ白人から差別される用心棒と、 黒人コミュニティから外れたピアニストのはぐれ者同士の話なので事情はもっと複雑だろう。 とは言え、そこまで踏み込まず、ただの"良い話"で終わっている。 予定調和の中に新しい驚きがないのが大きく、物足りなさを感じた。 ヴィゴ・モ―テンセンもマハ―シャラ・アリも正反対なキャラクターでありながら素晴らしい快演で異論はないが、 全体の完成度の高さでは『ROMA/ローマ』に作品賞を与えるべきだったし、 13年前の『クラッシュ』同様、単に変革リスクから逃げたミステイクとしか言いようがない。[映画館(字幕)] 6点(2019-04-23 00:25:11)(良:2票) 《改行有》 427. テルマエ・ロマエⅡ 前作に比べると流石に新鮮味は薄れる。やっていることも相も変わらず語ることすらないけど、軽く見る程度ならそれほど悪くないかと。アケボニウスって聞いたことある名前だなと思ったら、曙なのがビックリというくらい。[地上波(邦画)] 5点(2019-02-21 23:02:42) 428. ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 外伝とは言え、主要キャラ全員死亡とは・・・。この手のブロックバスターでは珍しい。一見、表層的で印象に残らないキャラクターばかりで(あえて狙っているだろうが)、行動に説得力が伴わないのでのめり込めないし、恒例のドンパチにも新鮮味がなく、見慣れてしまったものばかりで高揚感もなく退屈ではある。スケールがこれほど大きく長く続けているとこうも陳腐化してしまう宿命なのかと。ただ、各EPで一瞬で殉職して退場していく多くの反乱軍の端役にもそれぞれの人生とドラマがあり、名前すら残らない末端の尊い犠牲によって結果的にEP4でのデス・スター破壊に繋がることを思うと、その悲壮感と儚さが一気に際立ち、対するダース・ベイダーの圧倒的な立ち回りをラストで堪能できたのなら、本作は成功しているのかもしれない。手の内の操れる範囲で何とかまとめたスタッフ、俳優にはお疲れさまと言いたい。[地上波(吹替)] 5点(2019-02-21 22:57:09)(良:1票) 429. ミックマック 武器輸出国のフランスだからこそ、思う部分はあるのだろうが、逆恨み当然のイタズラにしてはやりすぎな上、ターゲットの二つの武器会社には繋がりがないのでそれほど深みが感じられない。むしろ浅いからこそ、社会から爪弾きされた奇人たちが何を仕掛けてくるかコミカルに見ることができるかもしれない。深いメッセージなんてないのかもしれない。それでもジュネらしいポップな世界観が繰り広げられる中、イタズラの総仕上げがローテクすぎて楽しい。[DVD(字幕)] 7点(2019-01-22 23:21:32) 430. Mr.インクレディブル スーパーヒーローの本音と建前を描いた『ウォッチメン』の設定を意識しながらも、これより分かりやすく、かと言って深刻になりすぎないバランス感覚で、スピード感あふれるエンターテイメントに仕上がっていた。歴代のピクサ―作品では5本の指に入る出来。自分らしさと生き甲斐を見出せず、生きづらさを抱える"力のある者たち"が岐路に立たされながらも奮闘する過程が熱い。彼らだって一歩拗らせらばシンドロームみたいになっていたわけで、往年のヒーロー葛藤ものでは頭一つ抜けている。ピクサー(&ディズニー)でこれほど死が視覚化されているものは他にはなく、なかなか容赦ない作りなのが良い。[DVD(吹替)] 8点(2019-01-22 23:09:06) 431. 未来のミライ 《ネタバレ》 海外の批評家からは好評、国内では不評が少なくなかったそうだが・・・これは已む無しだろう。それだけ海外勢が真意を理解しているとも言えるが。誰に向けられて作られたのか分からないし、流石に監督のファンでも今後距離を置くのではないか。"作家性が強い"と言えば聞こえは良いが、同じ家族を描いたアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』ですら観る者の本能と感情を強く揺さぶるのに本作にはそれがない。作品のテーマに中身がついていっていない。ひたすら監督の狭い世界で完結し、シンプルなテーマをひたすら捏ね繰り回して難解にさせている無責任さがある。宮崎駿同様、裸の王様状態だ。なぜこうなったのか世界観を放り投げたまま、上から目線で家族がどうとかクドクド語られたらむしろ拒否反応しかない。四歳児のワガママにひたすら付き合わされるのもほどほどにしてもらいたい。アカデミー賞を始めとする海外の映画賞では候補で終わるだろうが、国内では海外で評価されてる&日テレ主催&細田ブランドで忖度同然の受賞は目に見えている。これより優れたその年の長編アニメがいくつもあるのに。[ブルーレイ(邦画)] 3点(2019-01-22 22:56:49)(良:1票) 432. ロストックの長い夜 1992年旧東ドイツのロストックに起きた難民襲撃事件前後を三人の視点で描く。日本ではソフト化されず、映画祭で上映されたのみだが、ネットフリックスで視聴可能な辺り、その恩恵は非常に大きい。監督のブルハン・クルバニはアフガニスタン難民の二世で、ドイツの若者として生きながらも難民としての苦難も経験しており、彼ならではの題材だろう。仕事にあぶれ鬱屈した日々を送るネオナチの青年と、保身と倫理の狭間で揺れ動きうろつくばかりの市会議員の父親、生命の危険から退去するか葛藤するベトナム難民の娘を中心に多角的に描くも、移民反対の理由にもっと踏み込まないと如何に深刻でも「嫌な事件だった」で終わってしまう。さらには終盤の"ある演出"が過剰で安直さに拍車をかける。惨状を伝える映画として、一定のトーンで描いてほしかった。無学の者が大衆迎合の意見に飲み込まれて暴走するさまはいつの時代も同じ。[インターネット(字幕)] 6点(2019-01-04 19:13:15) 433. マガディーラ 勇者転生 バーフバリの原点だけあって、荒唐無稽の無茶苦茶なストーリー。現代劇と歴史劇を輪廻転生で強引に繋げ、ラブコメと踊りとアクションで一気に突っ走る、良くも悪くもインドらしさ全開。バーフバリ以上に荒削りで中弛みもあるが、このアホ臭さとチャラさが逆に元気が出る。終盤のクライマックスなんて「ホントこれで良いのかよ?」なノリ。エンドクレジットもやっぱり踊ります(笑)。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2019-01-04 19:00:59) 434. 荒野の七人 『七人の侍』と比べられるのは仕方ないが、舞台設定を中世の日本から南北戦争後のアメリカに上手く落とし込んだものだと思う。躍動感あふれる有名なテーマ曲は言うまでもなく、文化や精神性の違いからくるエピソードの数々も興味深い。メイン7人がオリジナルに迫れていないとしても十分魅力的だった。[地上波(吹替)] 6点(2019-01-03 15:56:05) 435. ビューティフル・デイ 《ネタバレ》 いくらでも娯楽活劇に出来るプロットに状況説明も格闘シーンもあえて排除し、希死念慮を持った男の孤独をより一層強調する演出はレフン監督の『ドライヴ』を想起させる。父親からの虐待と従軍経験の絶えないフラッシュバックで、死にたくても死ねないのは介護しなければならない母親で繋ぎ止めているだけで、少女を救ったことからその日常が破壊される。生と死の狭間で揺れ動く男の心境にシンクロするように絶えず流れるジョニー・グリーンウッドの重層的なスコアが効果を上げ、特に湖の水葬シーンには美しさすら感じた。再び少女を救い出すも、彼女にはもう帰る場所がないし人を殺している。"救うことができなかった"自分に絶望して死んだって周囲は何も変わらないのではないか。だが、少女の一言に彼は微かな光を見出す。「明日はいい日よ」。決して明るい未来ではないかもしれないが、再生へ向けて不思議な余韻を残すエンディング。多くを語らない男の人生をホアキン・フェニックスの熱演で説得力のあるものにさせており、カンヌ男優賞は納得。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2019-01-02 08:54:28)(良:1票) 436. 女は二度決断する 《ネタバレ》 虚無の物語。 ダイアン・クルーガーの熱演を以って、淡々とした物語を引っ張っていく。 主人公が薬物やタトゥーに手を出す、純粋な善人ではないグレーな存在だからこそ、 優柔不断からのあの決断に至ったのだろう。 たとえネオナチの若い夫婦が有罪で終身刑になろうが、自らの手で復讐しようが、 残された彼女には悲しみや苦痛が和らぐことがない。 復讐が虚しいことは分かっている。 けれど、もう心も思考も完全に擦り切れて、その後の人生も闘えなくなってしまった。 どこに希望があるの? 当事者でないと分からないけどそう思えた。 「ヘイトクライムはやめよう」と呼びかけても、 完全にキャパシティが超過して疲弊しきった現在のドイツと重なる。[DVD(字幕)] 6点(2019-01-01 12:46:45)《改行有》 437. ザ・スクエア 思いやりの聖域 《ネタバレ》 崇高な理念を掲げる現代アートの欺瞞を暴く。誠実さと寛容さを掲げながらも、実は主人公自身がそれに当てはまらず、プライドの高さが仇となって、ドツボにハマるというもの。何度も出てくる物乞いのシーンを見ても分かる通り、普段は無関心なのに、利益になると見れば利用する尊大な態度があの炎上動画に集約されているのだろう。第三者が勝手に作ったとはいえ、本人は言い訳ばかりして、自分の愚かさに向き合えず、ひたすら周りに醜悪さを見せつける居心地の悪さ。一見社会的に進んでいるように見えて、個人主義と権利を重んじたために逆に綻んでいくヨーロッパの縮図のように思えた。[DVD(字幕)] 5点(2019-01-01 09:43:49) 438. ラブレス 《ネタバレ》 「避妊すれば良かった」。 同監督の『父、帰る』同様、説明的なストーリーテリングは避け、観る者に委ねる作り。 離婚調停中の身勝手な夫妻が主人公のため、常に醒めた目線で見届ける。 愛が欲しいだけで誰かに与えようともしない。 貰っても消費してさらに欲しがる。 その病理が冷徹な映像美から伝わる。 "要らない"息子が最後まで見つからないまま時が経ち、元夫は新たな子供を邪険に扱い、 元妻は今でもSNSに依存している。 ロシアによるウクライナの問題にしても、他者への無関心が貫徹していて、 これからも己のために底なしの幸福を求めて満たされない日々を繰り返すのだろう。 その愚かさに気付くことなく、風化していく捜索チラシと枝にはためくテープが息子の存在証明として残り、 記憶とともに忘れ去られていく、その非情さがただただ虚しい。[DVD(字幕)] 6点(2019-01-01 01:15:58)《改行有》 439. 犬ヶ島 オールスターキャストから独創的な美術まで徹底的に作り込まれた唯一無二の世界観はウェス・アンダーソンならでは。しかし、今回は肌に合わなかった。独裁と迫害と虐殺の歴史を犬に例えるのは分かるが、盛り上がりが欠けたまま終わってしまった印象。いくらコンセプトが素晴らしくても、癖の強すぎる造形で行き場を失った犬の悲しみが迫ってこない。粗製乱造のブロックバスターとは別のベクトルで外観優先とも言える。それもまたこの監督の魅力かもしれないけれど。[ブルーレイ(字幕)] 4点(2019-01-01 00:39:04) 440. ROMA/ローマ 《ネタバレ》 ガレージの床洗いで水面に写る飛行機のショットだけで只者ではない。タルコフスキーを彷彿とさせる数多の水の表現が生と死を雄弁に語り、片付けられては転がっている犬の糞がどうにもならない不条理を表現する。東洋武術に代表されるシュールな光景が暴動に繋がっていく非現実感と、父親不在の脆く崩れそうなのに何気ない日常をやりくりする家族の現実感が表裏一体で、白黒画面の奥に色が見えるようだ。不安定な家族を救ったのは、恋人に去られ死産を経験した家政婦だった。彼女なしでは今の自分はいなかったとキュアロンが語るように、社会の片隅にひっそり生きる女性が一見輝いていなくても、"家族"として認められ居場所を見つけた、その過程に言葉で表現しようのない感情が湧き上がった。すぐに拭かれる水面の飛行機が果てしなく広がる大空へ羽ばたくみたいに。(追記)期間限定で劇場公開とのことで再視聴。小さなスケールとは思わせない緻密な撮影と隅々にまで行き届いた音響効果は映画館向け。観客席はがらんどうでヒットする映画ではないが、その貴重な体験に加点せざるを得ない。[インターネット(字幕)] 9点(2018-12-30 23:15:00)(良:1票)
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