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プロフィール
コメント数 2524
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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461.  キングスマン 《ネタバレ》  コリン・ファースの退場の仕方、あんなんで良かったと思います? あれ、納得できます?  どうにも面白いと言ってしまえないひっかかりどころが結構あって。  マイケル・ケインは頭部爆発の原因が判明して以降も普通に傷晒していて結果的にどんだけ大穴よ?ってくらいの墓穴掘るし。  サミュエル・L・ジャクソンの思想と計画のオリジナリティの無さ(それは作品全体を貫くモノのオリジナリティの無さに直結します)、その軽薄な描かれ方には悪意を感じるし。  アクションシーンは例によってコマ切れで見づらく。  でも、それらよりも個人的にはせっかくのスタイリッシュなスパイアクション映画がグロテスクな映像とグロテスクな精神で汚されている感じがとても嫌で。  教会のシーンと『威風堂々』のシーンには嫌悪感しか湧きません。アレを笑って見られる神経が私の中にはありません。  007や『それゆけスマート』『おしゃれマル秘探偵』(あるいはそのリメイクの『アベンジャーズ』・・・マーベルのでなくレイフ・ファインズとユマ・サーマンのアレ)などのオマージュのようでありながら、それらが築いた伝統をも汚してしまっているような感覚を受けてしまって。  キングスマンの基本設定は良いのにそれをわざわざバカ映画にしてしまった感じでガッカリでした。[映画館(字幕)] 4点(2015-09-16 22:23:38)(良:1票) 《改行有》

462.  ピクセル(2015) 《ネタバレ》  超限定的な名作。  『シュガーラッシュ』『スコット・ピルグリム』同様、ゲーマーでないと本当の面白さが判らないという点では同じですが、ハリウッドメジャーな娯楽映画でありながら、その間口は更に狭く。  新風営法施行前のゲーセンで夜を明かしたようなゲーマーにとっては夢のような映画で、そしてそれ以外の人には理解し難い領域を描いているのですよね。だからそこには単なるノスタルジーではなく今に続くモノが込められている、なんて事だって当時からリアルタイムにゲームの進化を見続けている人間以外にはなかなか理解できないでしょうし、あくまで夢物語でちっとも教訓としてオチてない点からして、ちゃんと映画として見て欲しいなんて思ってもいないのだろうなぁ、と。    8ビットのレトロゲーを(あくまで個性を損なわずに)現代の映像テクノロジーでこの世界に出現させる、その素晴らしき世界を誰が否定できるでしょう? メインタイトルとエンドロールを飾るうっとりするようなフォントの美しさ、ラストのQバートの選択だって、あれはゲーマー的にとっても正しいのです。あくまであっち側はあっち側でしかないのですよ、なんて当たり前の退屈な描き方は望んじゃいないわけです(その点、ちょっと残念だったのは字幕がちゃんとゲームに詳しい人の監修を受けていないっぽかった点。「創世記の香りがする」って訳、その「ジェネシス」はアメリカ版メガドライブの事を指してるんじゃありません?)。  で、んなこたぁフツー理解できないでしょ? ある種の断絶を生む映画ではあるわけです。  結局、映画を映画のみで語る事には限界があるのでしょうね。私にとってテレビドラマ映画やテレビアニメ映画の殆どが理解できないシロモノであるのと同様に。だからこれ、映画として云々でなくて(もはやコレを映画として語る事に意味があるとすら思えません)、当時のゲーマー、当時からのゲーマー限定でお薦め。  ちなみに、でも私はこれらのゲーム、ヘタクソでした。『ゼビウス』ならカンストまで行けたんですけどね。[映画館(字幕)] 9点(2015-09-16 21:48:14)(良:2票) 《改行有》

463.  ラブライブ!The School Idol Movie 《ネタバレ》  スクールアイドルって? ラブライブって? 劇中一切説明ないのね。もうこの時点で「一見さんお断り」。映画からスタートする人間なんてモノは一切想定していないっていう。  キャラが全員同じ顔をしていて、髪型と髪色、瞳の色で区別を付けている状態(っていうか髪型すらもサイドのレイヤーが顔にかかってるキャラが半数以上で描き分けが雑)で誰が誰やら。全員同じ表情で横並びになってるカットで「クローンかよ!」って笑えましたが、なんか実のところ笑い事ではない感じの映画で。  男という性の存在は作品内から意識的に消されています。世界にいない訳ではないけれど完全に無視されるものとして扱われ、彼女達のファンになってゆくのも女子高生。本来の作品の主力ファン層の存在を削ぎ落とす事で逆に「アイドル」「萌えアニメキャラ」の純化を図っている、男の存在は作品にとってはノイズにしかならないのでしょう。  しかし、その純化から生まれているのは激しい閉塞感と画一性。キャラの描き分けができていないのは絵だけではありません。心に闇を持たない世界ではみんな仲良く、声はみんなアイドルアニメ声優らしいハイトーン、歌は全員で同じキーを歌います。キャラの個性の振幅は最小限に抑えられ、萌えキャラのフォーマットというのは実はあまり応用が利かない、ごく限られた範囲の中に収まっている事を示します。そして、そんなキャラだけで構成された世界は当然、とてつもなく狭く閉鎖的に映ります。まるでクローンばかりの世界。  クライマックスにおいてその世界は極まります。全国から集まった何千というスクールアイドルがアキバの街を埋め尽くし、同じ歌を同じキー、同じ振付で歌います。それはまるで『スター・ウォーズ』のクローン・トゥルーパーの如き姿であり、もはやホラーです。  この作品が実はアイドルや萌えキャラのクローン的記号化を批判する社会派アニメっていうのならばシニカルな、なかなか挑発的な映画だと思うのですが、多分そうじゃないんですよねぇ。  作る側が「お前ら、こんな記号に萌えられるのか?(笑)」ってバカにしてるくらいの方がまだマシ、無自覚でやってるとしたら恐いわ。めっちゃ恐いわ。こんなのがクール・ジャパンとやらなんスか?  結論。『ラブライブ! クローン・ウォーズ』が相応しいタイトルだと思いました。[映画館(邦画)] 2点(2015-08-30 20:06:36)(良:2票) 《改行有》

464.  ミニオンズ 《ネタバレ》  ミニオン達の可愛さが第一。なのでブラックな笑いとかSF的ガジェットの世界とかを、これまでの『怪盗グルー』シリーズからの流れで期待してしまうと何やらハンパな感じで。まあまあ、そこそこ、良くも悪くもイルミネーション作品ってこのくらいだったっけねぇ、と。  60年代のイギリスを主舞台にする事でブリティッシュロック流れるレトロなユニオンジャックワールド(『オースティン・パワーズ』にイメージが直結するような)を堪能できたりするのですが、いや、そこってそんなに求められてるモノなのか?っていう疑問も湧いてしまって。そこに拘り過ぎちゃいませんか?とツッコミ入れたくもなる世界で。  それからいくらミニオンの言葉が意味不明だからって冒頭からしばし延々とナレーションで状況説明をしてくるのがなんかとても不粋な感じ。二度目の鑑賞時に注意して見ていたのですが、本来ナレーションが一切無くても映像だけで話は判るように出来ているんですよね。親切のつもりが逆に客観的な視点になって何かよそよそしいモノを生んでしまっている感じがしました。  スカーレット・オーバーキルはビジュアルは魅力的なのですが、彼女に与えられた設定、背景がどうもキャラの魅力に直結していない感じで惜しいなあ。天海祐希の見事な吹き替えによってキャラは立っておりましたが。  犯罪者一家とか犯罪者集団とかエリザベス女王とかの脇キャラが魅力的だったりする一方で、グルーは前2作を見ていてナンボ程度のポジションだったり、肝心のミニオンズはメイン3人(その関係性は『グルー』シリーズのマーゴ、イディス、アグネスのポジションに通じています)以外殆ど個体の見分けが付かないくらいの扱いだったりと、シリーズのファン大満足、ってレベルに達してはいない気がしました。  最も気になったのは『映画ひつじのショーン』との大量ネタカブリっぷりですが(主人探しの旅、イギリスが舞台、上に重なって人に化ける、ちびっこいのが熊のぬいぐるみ抱いてる、アビーロードのビートルズジャケパロ等々)、これはまあ題材的に似ちゃうモンだと。  いっそ「ミニオンズかわい~、ボブかわいい~」っていうそこだけに特化していてもいいんじゃないかと思うのですが、あれもこれもと八方美人的に、あるいは拘りを盛り込んでちょっと雑音が多かったかな。  とはいえやっぱりミニオンズは魅力的で彼らの奮闘っぷりにおっさん、ちょっと泣けましたわ。[映画館(吹替)] 6点(2015-08-12 21:03:59)《改行有》

465.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》  トムの映画ってば毎回俺様っぷりがハンパなくて、その「俺を見て見て!」っぷりは「お前はジーン・ケリーか!」みたいな状態で、『M:I-2』の頃なんかはそれが鼻に付いちゃって仕方なかった訳ですが、最近のトムはその俺様っぷりにキチンと俺様なりの筋を通してる感じがします。  冒頭の飛行機シーンだって物語にとって必然性のある映像って訳じゃない、始めに「凄いコトしちゃってる俺ちゃんを見て見て」ありき。だけど常識で考えて「離陸する飛行機にノースタントでしがみつくハリウッドのTOPスター」なんていないですよ。冒頭が凄くて霞みがちではありますがバイクチェイスのシーンにしたってめっちゃ大変。  「やっぱりカッコいい俺様をしっかと見てもらうにはそれ相応の凄いコトしてみなきゃね」っていう。凄まじき映画バカっぷり。  映画自体はキープコンセプトって感じです。『知りすぎていた男』オマージュなオペラシーンや、カースタント、バイクスタント、水中時限サスペンス(このシーンはCG臭ハンパないんですが)と見どころを散りばめつつもIMFピンチ!(組織名までいちいち覚えてないんで予告編では国際通貨基金の敵だとか解体とかって何?世界規模の金融危機サスペンス?とか思っちゃったんですけどね)の窮地からの脱出パターンは毎度おなじみ。新味には欠けますが、悪いヤツに翻弄されながらも最後には大逆転なお話、そのカタルシスを味わわせて貰えました。  個人的にはヒロインより「彼女が今回のヒロイン?・・・って殺されちゃった・・・」なお嬢さんの方に魅力を感じたりしましたが。  大予算で俺様っぷりを発揮しながらちゃんとエンターテインメント。今や誰も真似の出来ない(かつてはジャッキーがそうでしたが)映画バカゆえの意地の成せる技を堪能できる映画でした。[映画館(字幕)] 7点(2015-08-12 20:00:06)《改行有》

466.  進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 《ネタバレ》  不安定な足元の世界でキャラ達がもつれるように動いてゆきます。明確な前進のベクトルの無い、運命に囚われた世界。  だけど映画自体が足もつれまくっちゃってるような状態で。  特撮に期待しましたが周囲がヨイショし過ぎたせいか「結局こんなモンか」って。革新的な映像!とか視覚的興奮!とか、そういうトコには行ってなくて。「大きい巨人キタわ~!・・・って『学校の怪談2』のラスボスに似てね?」みたいな。小型サイズの巨人は普通の日本人の方々が演じていらっしゃいます、ってのがよーく見えてちょっといたたまれなくなっちゃいますし。立体機動はハニメーションみたい、つーか『キャシャーン』あたりからちっとも変ってない感じ。  でもね、そんなでも結構面白く見られました、巨人シーンと立体機動シーンは。  問題はドラマ部分で、これがもう面白くもなんともなくて。なんでしょ、ドラマがちゃんとドラマとして昇華されていかない感覚、キャラにちっとも心が動いていかないもどかしい感じ、様々なエピソードや表現が上滑りしまくってる印象、脚本とか演出とか編集とか音楽とか、もうちゃんとまとめようって気が無いのかいな、っていう分裂症気味なシーンの連続なんですよね。カットごと、いや1つのカット内でも画面上のキャラごとにテンションやリズムがバラバラなの。流れが無くて混沌としていて。それは狙った混沌とは違う混沌が生じてるんでないかと。  樋口監督は役者さんを上手く撮る人ではないので、そこを改善できないかなぁ。唐突なスローモーションに頼ってもそれが印象的になるって訳ではないですしねぇ。とりあえず目線、なのかなぁ。もっと印象的な目があれば。  っていうか、それは巨人も同じで。平成ガメラも敵怪獣には目線が存在してないんですよね。ギャオスも成体レギオンもイリスも黒目が無いの(群体レギオンにはあったような気がしてきた・・・確認すんの面倒クサイ)。巨人は黒目があるのですが、その目で見られる恐怖ってのが薄かったなぁ、と。『大魔神』の恐ろしい目、アレが欲しかったなぁ。  人の目を見て話しましょう、って、過去作から見てもそこら辺がウィークポイントになってるのかな。  ただ、IMAXで見るだけのサイズ感はある映画だと思います。邦画には稀有ですから、その点だけは、はい。[映画館(邦画)] 4点(2015-08-01 19:15:05)《改行有》

467.  HERO(2015) 《ネタバレ》  テレビシリーズを見ていない人間には何が面白いのか判らないシーンだらけ。純粋にこれ単体で映画を見に来た人向けのフォローは一切ありません。  また、脚本的に何の冒険もしていません。「犯罪捜査が大使館の外交特権に阻まれて」なんてお話、刑事ドラマでお馴染みですよね。そこから何らはみ出す事はなく、映画として刺激を受ける部分が希薄です。事件そのものの解決はしても、人間関係にケリつけるような事はせずにお茶を濁してみました、みたいな。  結局テレビシリーズのファンのためのお祭り映画。それ以上のものではありません。最近の邦画にありがちな冒険のない、保守的な展開に人気キャラ配してみましたパターンの映画。見る方も余計な頭も心も使わず安心。アニメも含めてこのところそんなのばっかり。かと言って冒険してるような邦画は大抵監督の自己満足世界だったりしますけど。  キャラのリアクションにウケまくる満席の劇場内で激しい疎外感を抱きながら思ったのは「キムタクは何を演じてもキムタクだねぇ。だけどなんか老けてシャープさが欠けてきたねぇ」とか「お松は齢を重ねてもやっぱりいいねぇ」とかって程度の事。  あと、いちいち食べ物がアクセントになっているところがちょっと面白かったかな。  これと言って特に見るべき、語るべきところもない中で、ちょっと気になったのはカメラの位置が微妙に悪い?って事。人物をミディアム~アップで捉える時のカメラの高さ、これがちょっと低い気が。かなり多くのカットがアオリ気味なんですよね。顔アオると不細工に見えたり高慢に見えたりするんで、その顔でよかったの?ってカット多数。背景の映り込みポジションを優先しちゃったかな?  あ、あと音楽がうるさかったでした。とにかく音楽鳴らしとけ、みたいな。  そんな訳で「テレビシリーズも見てないような映画オタクが特に期待もせずに見たところでカメラポジションの心配しちゃったりする程度の映画」でした。[映画館(邦画)] 4点(2015-07-29 21:53:01)(良:1票) 《改行有》

468.  ヒックとドラゴン2 《ネタバレ》  映画的には6~7点くらいって感じなのですが、前作が私の生涯ベストワンでスクリーンで58回見てシネコンで貸切の上映会までした、それだけ思い入れのある作品の続編の個人的感想としては精一杯でも4点というところで・・・  まず私が最も問題に思ったのは今日的な現実を反映し過ぎた作りだと言う事。フロイトのエディプス・コンプレックスをあからさまに引用し、9.11がなければ存在しないような物語であり、その現実感は『ヒックとドラゴン』の世界に意識が入り込んでゆく事を阻害します。  トゥースがヒックと一心同体である事が描かれた上でのストイックの最期は父親殺しを示していますし、母親とのランデブーは近親相姦願望をイメージさせる、つまりこれは絵に描いたようなエディプス・コンプレックスの世界なわけです。そしてそれは前作をも穢してしまう事になるわけで、トゥースは男根の象徴であり、テストドライブのシーンは精通と射精の快楽を、トゥースがストイックに連れ去られるシーンは去勢の恐怖を象徴していると取れます。もちろん、到底受け入れ難いです。  また理解し合う事のできない敵を配し、「誤った思想」を「正しい思想」の下で力によって制圧する事の正義なんていうのを描かれた日にはアメリカの大義を感じない訳にはいかず、そんな事を『ヒックとドラゴン』でやるなよ・・・と悲しくなります。  この作品内ではヒックはもはや成長もせず(妙に悟ったつまらないキャラで状況を受け入れるだけ)、ヒロインであった筈のアスティにはドラマすら無いヒックの飾りポジション。ラフの方がよっぽどドラマがあるっていう。  また、描きたい事を優先させるあまりに展開に不自然な点が多く、キャラの行動に納得がいかない点ばかり。敵ボス前でヒックが延々と儀式的行為に走り、ボスは何故かそれを放置するという状況が二度も存在しているあたり、どうにも擁護のしようがありません。  作品の価値を高めようとメッセージ性を強めたがゆえに逆に妙に視野が狭く不自然な流れの映画になってしまっている気がしました。  それでも日本では劇場公開されなかったのが残念でなりません。私はたまたまイベント上映に応募してシネコンの大スクリーンで見る事ができましたが(ブルーレイ上映でしたが)、劇場で見たかった多くのファンが涙を飲む事になりました。最近、やたら日本の映画後進国っぷりを象徴する出来事が起こりますが、これもそんな中の1つ。20世紀フォックス配給になってから6本製作されたDWA作品はまだ1本も公開されておらず、中でやっと『ペンギンズ』がビデオ発売と同時に限定公開という扱い。早く他社に配給が移って欲しいもので。[試写会(吹替)] 4点(2015-07-24 22:10:31)《改行有》

469.  バケモノの子 《ネタバレ》  つまんなかったです。  何が問題かって、全部セリフで説明しちゃうの。キャラの状況や背景はおろか、その時の心情や象徴される事柄やメッセージ、テーマまでも。物語まるごとセリフで構成されている状態で、そこに描かれたものが世界の全て、だから当然ながらそこからは情感、情緒が抜け落ち、こちらは頭や心を全く刺激されないんですよね。  一から十までこと細かに説明しなくちゃならないと思ってる、作る側が観客を一切信用してないの。  一方で構成は明らかに不自然で、九太が大きくなってからの取って付けたような唐突な展開は何か途中で色々面倒臭くなったんか?みたいに思えるような雑さ加減。楓との出会いから人間としての意識を広げてゆく部分でのやっつけ仕事っぷりは、急速に映画の温度を低下させてゆくような印象。そこで慌てて色々な伏線を登場させたようにも思えて、その前との繋がりが希薄になっています。  で、せめてじゃあビジュアルで面白がらせて欲しい、刺激して欲しいところなのですが、大して動くわけでもなく(モブはCGでゆーらゆーら動かしてる状態ですし)、目を見張るような斬新な、或いは奇想天外な世界が広がっているわけでもなく。  この監督の作品に共通している、影を付けずにその分動かすっていうの、元々『未来少年コナン』の昔に宮崎駿監督が言ってた事なわけで、時代も違うし、テレビと劇場用映画っていうフォーマットも違うし、杉野昭夫作品のように3段影付で華麗にアニメートさせてみせる世界だってあるわけだし、っていうかならばもっと動かしてみせてよ、っていう。  『サマーウォーズ』以降、アニメーション表現が定型フォーマット化してきていて、その傾向は改善されるどころか、どんどん強まっている気がします。形骸化した国産アニメの姿を見せられているようで見ていてつらいんですよね。宮崎駿監督はどんなに作品重ねたって、作品的な出来不出来は別としても刺激的な絵を作り出してきた、それに比べるとなんか小さいところでまとめちゃってるよなぁ、と。  今、日本の観客に求められているものはこのくらいの塩梅のもの、という作られ方をしているような気がして、ちょっといたたまれない気持ちになってしまうのでした。[映画館(邦画)] 3点(2015-07-24 21:27:17)(良:2票) 《改行有》

470.  愛を積むひと 《ネタバレ》  話はほぼ『あなたへ』と同じ。アレの旅が石塀作りに代わったようなもの。  夫婦二人の静かな北海道生活。まー邦画にありがちなリアリティのない甘ったるいスローライフな世界。幾ら都内(蒲田)とは言え、親から継いだ工場を手放して借金返済した上で北海道に新築一戸建ての広めな土地を購入して働きもせずに老後過ごせる、ねえ、無いよねぇ。車プリウスだし。軽に乗って細々と暮らしてゆくのが精一杯でしょうねぇ。  でもまあシネスコ画面に広がる北海道の景色はいいですし、役者も悪くないですし、あとはセリフを5分の1にカットして、ベタベタとした音楽も5分の1にカットして、説明的な映像を半分にすればいい映画になるんじゃない?みたいな感じ。  とにかく全部セリフと音楽で説明するものだから、別に映像なんてほとんど無くたって話としちゃ成立するんじゃね?って。真珠のエピソードなんか全部先読みできるの。ああ、じゃあ毎年1つずつなんだな、で、あの時に盗まれたんだな、みたいな。新しいモノを見るのではなくて確認作業をしているような感覚。  作る側が「見る側のアタマの程度はこの程度だから」みたいに思っているので親切にコマゴマ説明した作りになるんでしょうけれど、子供だって判るハズの『インサイド・ヘッド』に対する理解力を見るに、本当に日本の観客は何から何まで親切丁寧に説明されないとダメになってきてるのかもしれませんね。アニメも含めて邦画全体がそういう作りになってきている気がしますもん。  そのうち日本で上映される映画の画面には「この後想像を絶する大事件が!」みたいなキャプションと映像見て判りやすいリアクションとるタレントの顔が必要になってくるのかもしれませんね。[映画館(邦画)] 5点(2015-07-20 14:34:38)(良:1票) 《改行有》

471.  インサイド・ヘッド 《ネタバレ》  シンプルなキャラクターがシンプルに織り成す複雑な「心」の物語。  ライリーという一人の少女を中心に据えてその心の動きと精神の成長を描いていますが、それはライリーのみの閉じた世界ではなく、誰にも共通して存在する世界。映画を見ているうちに自然と観客は自分を見つめる事になります。これは子供向けのようでありながら、全ての世代に対応した物語。  指令室から放り出されてしまったヨロコビとカナシミが帰還するまでの冒険物語は、引越しによって大きく揺らぐライリーの心にシンクロし、そこには成長する事の痛みが描かれます。谷底に棄てられた無数の記憶、イマジナリーフレンドとの別離はこちらの深層をも揺さぶってきます。可愛らしいキャラクターとファンタジックな映像によるポップな映画のように見えながら、非常に奥の深い作り。  ディストピアもののようなスタイルで、世界が滅びに向ってゆくファンタジー(そう、『指輪物語』や『はてしない物語』のように)でもあって、そこには暗さ、重さ、悲しさといったネガティブなイメージがつきまといます。でも、それこそがこの映画のテーマを映しているのですね。悲しみもまた成長にとって重要な感情であるという事。喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、恐れ、それらと上手くつきあって成長する。自分はそれと上手くつきあえてますか? 子供や他人のそれと上手くつきあえてますか? そんな事を考えさせてくれる映画。  そこにはディズニー、ピクサーの作品的成長すらも反映されていて、アメリカのアニメーションの奥行きと可能性をしっかと感じさせてくれる作品でした。良質なものに触れて心を豊かに、そんな成長の欲求を満たしてくれる映画だと思います。 【追記】字幕版を見てきましたが、字幕版の方が理解しやすいようです。吹替版は何故か抽象的表現が多くて難解になっている気が。それにしてもセリフだけでなく各所のブロッコリーの映像を全てピーマンに置き換えてあるあたり、ディズニーのローカライズ能力は凄いです。 【追記2】日に日に思い返しては心の中で大きくなってゆく映画で、なので点数をちょっと訂正。本当はいちばん悲しい存在なのはヨロコビ(ジョイ)なんですよね。それが切なくて。[映画館(吹替)] 9点(2015-07-18 21:23:43)《改行有》

472.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》  ジャパンプレミアで鑑賞。  予告編時点でイヤな予感はしました。その映像や設定から連想されるのが『ジョーズ3』だったり『ディープブルー』だったり。  で、実際に見てみたら見事にそこら辺の感じと言うか、もう少しレベルダウンして『ジュラシック・ランド』とか『ダイナソー・パーク』とかいったタイトルが付いてるような、ビデオスルーの低予算亜流映画みたいなお話し(実在する作品的には『シャークトパスVSプテラクーダ』に設定や話が近いです)。そういう映画のCG部分がチャチじゃなくて超豪華仕様になってます、って感じ。  ここ一番ってところのキメの演出、パシッと決まった画で飾るってのが、もう全然出来てないの。恐ろしいもカッコイイもなんだかダラーンと繋がった画の中に呑み込まれちゃっていて、そんな中ではキャラクターの感情もメリハリが薄く感じられて、存在感のない、軽い登場人物ばっかりのB級感。初代『ジュラシック・パーク』は今見ると大仰な演出が目立ちますが、あのくらいやってくれるからこそ人間も恐竜も際立って見えたわけで。  テーマパークのスケール感やリアリティは格段に上がっていて、大ゴトっぷりも今までの比ではない筈なのに、なんでみんなそんなに呑気に喰われちゃってるの?みたいな。  2万人もの観客が危機に陥る中で、パークの人間達の行動には疑問符付きまくりですし、クリス・プラットの人間的魅力が描かれていないので恋愛描写も子供達の信頼も取って付けたような状態。子供達に与えられた設定が最終的にちっともドラマに昇華されていかないもどかしさ。  それでも点数がいいのは子供目線でワクワクする恐竜ランドの世界をハッキリと視覚で見せてくれたから。これまで部分部分でしかなかった、あの島に広がるテーマパークが完成されていて実際に大勢の観客がいて、その中でみんなと一緒にドキドキの体験をするような感覚。それは一作目の『ジュラシック・パーク』の、観客を島内ツアーに誘う作りに見事に則っています。  最近大活躍のマイケル・ジアッキーノ担当の音楽も手伝って、その世界のワクワク感は『トゥモロー・ランド』と似ていたりしますが、両作ともこれまでは成し得なかった子供の夢の具象化が今の技術で表現可能になったという点で感慨深いです。  あと、恐竜にこれまでは殆ど無かった性格・個性・意思を与えている点は賛否あると思いますが恐竜がキャラ立ちする事で怪獣映画っぽくなって個人的にはそれはそれで心ときめく感じで。クライマックスなんか、色々な不満をねじ伏せる気持ち良さ。  なのでこれは大画面、大音響で楽しんでこその映画。シリーズに則ってビスタサイズなので通常のスクリーンよりもビスタサイズを大きく表示できるIMAXの方がより効果的かもしれません(TCXならフルサイズがシネスコの日本橋、新宿、六本木よりもビスタの船橋ですね)。アトラクション要素が強いので4DX、MX4Dでも存分に楽しめるでしょう。  正直なところ、映画としてはツッコミどころ満載なのですが、細かい事は気にせずに、その見世物映画っぷりを味わうのが吉という映画でした。[試写会(字幕)] 7点(2015-07-16 23:11:05)(良:4票) 《改行有》

473.  リアル鬼ごっこ(2015) 《ネタバレ》  「園子温、嫌いやわ~」っていうのをわざわざお金払って時間かけて再確認しに行くという不毛な作業ね。  ドローンやステディカムを使った、風のように流れてゆく映像は良いです。死(あるいは時間)からの逃走を試みて駆ける少女をひたすら捉えてゆく、運動し続ける画。  だけど、映画はわりとすぐにこれが不条理劇である事が見えてきて、となるとその生も死もサスペンスも不確実な、不確定要素ばかりな世界だと悟り、つまりは何が起きたところで、それはそういう世界で閉じたモノなんだ、って事になっちゃうのでそれはそれであんまり面白くないなぁ、と。  実際「2人目と3人目」のエピソードに移行してからはどんどんと絵空事っぷりが加速していって、なんだかバカらしい映像が繋がってゆく感じに思えてしまって冷める冷める。  でも、むしろそのままラストシーンまで不条理劇で突っ走ってケムに巻いてくれた方が良かった気も。クライマックスでその不条理の理由をセリフで説明するという不粋な事をしてしまっているので、うっわー、ダサいわー、って感じになっちゃって。どんだけありがちよ?って話に堕ちちゃう。  そこにあるのはある種の悪意ですわな。女性という性を男の消費の対象にするな、っていうフェミニズムを「そういうパッケージング」をされた作品で打ち出してみせる、っていう。見に来たオタクに「オタク大嫌い」って冷や水浴びせた『THE END OF EVANGELION』みたいなモンで。  だけどこの作品の興味はどうにも前半の女子高生が無惨に殺されてゆく部分の方にあるようにしか見えません。大勢の女子高生が胴体真っ二つにされて血飛沫上げてるって画こそが見たい見せたいやりたい事だったんだよね?って(頻出するパンチラはさすがにあざとすぎてわざとらしいですが)。  となるとなんだか自虐的な、言い訳がましい映画のように思えちゃって。「お前が言うな!」ってツッコミ待ちな映画って事かしら?  トリンドル玲奈は可愛らしく撮れておりますが、篠田麻里子は「アイドルも歳を取るんだよ」みたいな撮り方で、そこら辺もその悪意の中の1つって事なのかな?と。  そりゃ舞台挨拶見に来たオタクの方々と舞台上の女優さん達との間に微妙な空気も流れるってモンですわ。上映後の舞台挨拶だったのですが「もう1回2回と見にきてください」って言われた後の気まずさと来たら(苦笑)  あ、私はチケットがダダ余りしてたのでどんなモンなんざんしょ?って取っただけで誰のファンとか全く一切無くてそもそもこのトシでアイドルとか無いわ~って状態なのであくまで蚊帳の外の存在ですからね。そこんとこハッキリさせとかないと(言い訳)。  ヤなモン見ちゃった感じで、いい加減そろそろこの監督の映画にお金払うのやめたいわねぇ・・・。[映画館(邦画)] 4点(2015-07-12 20:10:03)《改行有》

474.  ターミネーター:新起動/ジェニシス 《ネタバレ》  「審判の日を回避するだとぅ? 『2』の愚行を再び犯すのか!」と予告編見て憤懣やるかたない状態だった『1』至上主義な私ですが(なので個人的には『2』よりも『3』や『4』の方がまだマシ)、本編見たらそれ以前の問題でした。どんどん別の時間軸が生じて、どんどん書き換え可能です、って設定にしたらさ、もうなんでもアリだっての。そんなもん、幾らでも作れちゃう。  映画は二次創作みたいな状態です。『1』と『2』の事が大好きなオタクが妄想爆発させました、みたいなシロモノで、その両作の設定をひたすら弄ぶばかり。物語は『4』以外の定型フォーマットに則って毎度おなじみの事してます、って状態。何か新しい事をしたか、と言えばその都合のいい設定をした事と、今回の敵が(既に予告編時点でネタバレしてるので書いちゃいますが)ジョンだって事くらい。それだって過去の設定を弄んだだけですけどね。  T-800が老けてる部分を始めとして「むしろファンとしてこのオマージュから来る面白味を共有してね」的な甘い作りが目立ちます。でも、そのワリにそこはおかしいんじゃない?って部分もあって。カイルがジョンから貰ったサラの写真は途中で燃えちゃうハズじゃなかった?みたいな、そもそも『1』と比較してズレてる部分があれこれあるんですけど?って点があって。  大体、シュワT-800の顔にはとことんこだわってるクセになんでサラとかジョンとかカイルとか似てなさ過ぎなん?  でも今回最大の問題はキャラにちっとも魅力がない点ですね。T-800は単なる過去作のパロディキャラの域を出ませんし、サラはこれまでと別の第三の人格として登場しますが背景がややこしい事になっているので背負ってるものの重さが見えてきません。カイルに至っては一切の影が無くなってただの短気なおっさん。T-1000は単なる咬ませ犬で「これでもか」っぷりがとても希薄。  色々なシチュエーションを並べて「これって面白いでしょ?」って見せつけてくる感じですが、キャラに魅力がなくて、どうとでもなる設定では危機感も希薄になって、もう『ターミネーター』の世界で遊んでます、って感覚。  謎を残して更なる続きの予感を示して終わりますが、この物語に延長線を引っ張ったところで同じ事をダラダラ続けるばかりになる気がするんですが。  未来に向かうとか言いながらひたすら過去に囚われ続けてちっとも未来に進んでいかない皮肉なデキの映画ではありました。[映画館(字幕)] 4点(2015-07-10 22:06:49)(良:3票) 《改行有》

475.  アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 《ネタバレ》  「今回は社長の発明が地球の危機を呼ぶの? じゃあなんでもアリな神様相手と違って面白いかも」って思ったんですけどねぇ、結局いつものヤツで。そもそもあの杖の存在が一見さんお断りを高らかに宣言しちゃってる訳で、ちゃんと関連作全部見てきてるハズの私だっていちいち覚えてないっての。  とにかくゴチャゴチャ。ただでさえヒーローいっぱいな上に絡んでくるキャラがいっぱいでエピソードが複雑に絡み合う、と言うよりももう少し整理しようよ、ってレベルでゴテゴテと盛られてる状態。マイケル・ベイとかクリストファー・ノーランの映画みたいにとにかくエピソードたっぷり詰め込んでおかないと不安です系ハリウッド大作のパターン。  ウルトロンが成立してゆくまでの過程とか、新ヒーロー誕生までの過程とか、なんであんなに回りくどい必要があるの?みたいな。  ヒーローに対する洗脳もいちいち進行の足を引っ張ってる気がしますし。その恐れから見る夢というか幻覚がキャラによって過去か未来かの差がある点が興味深くもあったりするのですが、全員洗脳される訳でもないのでなんか半端です。  クライマックスのスペクタクル要素満載なアクションシーンはもちろん面白いのですが、そこまでさんざん自分達のせいで大ゴトになってるのに人命救助がメインな展開になるっていうのはツッコミどころですか。ヒーローはやっぱり人命救助してこそ!みたいな?  ハルクVSハルクバスターとか、アクションシーンは総じて面白かったと思いますけど、何やってるのか判りづらい状況が多かったのはIMAXのいちばん前なんて席で見た私が悪かったのかな?  結局ファンのためのお祭り映画。そんなに各キャラに思い入れない私としてはスカヨハのブラックウィドウが心の拠り所でしたね。クインジェットからバイクで降りるシーンなんか、『ガッチャマン』でゴッドフェニックスから降りる白鳥のジュンのバイクを思わせて心躍りましたわ。  クライマックスで敵だったスカーレット・ウィッチにホークアイが「ここから外に出たら君もアベンジャーズだ」って言うあそこの上がりっぷり、あの上がりっぷりをもっともっと体験したかったなぁ。[映画館(字幕)] 5点(2015-07-05 09:32:45)(良:2票) 《改行有》

476.  ストレイヤーズ・クロニクル 《ネタバレ》  面白くなりそうな要素はあるのに、脚本と演出が延々と外してゆくような感じ、明後日の方向を向いたまま最後まで突っ走ってるような感じでもどかしいったらありゃしないっす。  大雑把に言っちゃえば安っぽい、スケールの無い『X-MEN』なわけで、それでも面白くする事は可能だと思うんですが、とにかくまず脚本が雑で。  各キャラクターが何を考えているのか、何を動機としてその行動に出るのか、どう心情の変化が生まれてゆくのか、そこら辺がもうまるで計算されてないんですよね。ただだらーっと並べてあるだけ。エピソードが唐突で繋がっていない状態で羅列されるばかり。だから誰にも感情移入できず、悲劇なのですが全く心に迫ってきません。何しろ殆どのキャラクターは「クライマックスまでずっとただの馬鹿に見えるけれど唐突に実は悲しい存在として散ってゆく」って状態で。散々馬鹿だったのに最期だけドラマティック気取られても、みたいな。  クライマックスに向ってゆくに従ってどんどんテンポダウンして、間延びしてダラダラモタモタした状態を見せられるのは苦痛です。  大体、岡田将生が洗脳されちゃった仲間に首絞められて「うぎぎぎ」ってのを3回も繰り返す必要がこの話のどこにあるんでしょう?  そして、物語がそんな状態なので演技が大根状態に思えてしまいます。この映画のキャラ達は画面に映っていないところでは棒立ち状態になっているとしか思えないんですよね。他キャラが動いている間、一体何をしていたのかまるで見えてこず、計算したようなタイミングで画面内に割って入ってくるような状況が連発され、それはまるで学芸会的タイミングの世界。エピソードに流れが無くてブツ切れになっている事も手伝って、こんなにも役者を揃えているのに全員大根演技に見えてしまうんです。  演出は中途半端にスタイリッシュ気取ってますが(画面に時間経過を表す文字を出すなら最初の方でほんの数回でなく全編通すべきですし、分割画面もちょっとだけ使ってみました、みたいなハンパさではそこだけ浮きます)、それよりも各キャラを明快に、だけど奥深く描く事に腐心して貰いたかったところです。  碇ゲンドウの出来損ないみたいな伊原剛志の存在も含めて独りよがりの設定を納得させる努力も無く、なんだか随分と自己陶酔型の映画を見せられちゃったなぁ、って印象。最後まで見るのがシンドかったです。あまりのツラさに「あー、やっと終わった、もうとにかくさっさと帰ろう」と気が急いてシネコンに傘忘れてきちゃいましたよ。[映画館(邦画)] 3点(2015-07-01 23:20:13)《改行有》

477.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》  個人的には「ツイッターのTLに溢れてる“映画史に残る大傑作”って程の映画じゃあねえよなあ」とは思いましたが、でも面白かったです。  映画のルール的にはどうなんだろ?って思う部分もありました。イマジナリーラインをガン無視していて、それはそれでスタイルとしてアリなんですけど、その無視し過ぎっぷりが爆走のベクトルを曖昧にしちゃってるんですね。みんなして迷走状態なの。どっち目指してるのか、逃げてるのか立ち向かってるのか、映像的に決まった方向性が無いので、もう乾いた大地をひたすらグルグルしてるだけです、って感じになって。  だからノンストップ猪突猛進映画を期待していたら、意外と足が鈍ってるところがあるぞ、みたいな。そこで今ひとつノリきれなかったかなぁ。  映画自体は西部劇の超最新作、あるいはヒャッハーの世界のチルチルとミチルみたいな、古典的な要素が礎にあって、それが独自性の強い世界観で語られるのが良かったと思います。暴力的ですが、抑制が効いていて激しい生理的嫌悪感を与えるような映像はありません。むしろそこには特有の美しさがあって。  ヒャッハーの祖がデジタルの時代の毒々しい色彩を用いてヒャッハーの美学、ヒャッハーの美を徹底的に描出してみせる、その映像と音響の陶酔感は他では得難いもの。大スクリーンに大音響という環境にこそ相応しい、イベントムービーでした。[映画館(字幕)] 7点(2015-06-30 21:06:02)《改行有》

478.  海街diary 《ネタバレ》  原作は『BANANA FISH』で少女マンガの極限にまで到達した作者がガラリと雰囲気を変えて打ち出してきた純文学路線。  画面にすずが出てきた時点でそれまで頭の中に圧縮されていた原作の記憶がばーっと解凍されて先読みしまくって感動先走り状態だったりしたのですが・・・  この映画は原作にかなり忠実、ゆえにメリハリのない、だらーっとしたものになってしまった感があって。姉妹たちの日々の生活のエピソードが幾重にも重ねられてゆく事で作品世界を形作ってゆく、それは単純な起承転結構造の中には納められないもので、元々映画化は難しい素材だったと思います。原作を壊さずに表現しようとすれば、やはりエピソードの羅列状態になってしまうのは明白で。  原作にあったすずの友人関係のエピソードを大幅に省き、「四姉妹の映画」を強調した事は間違いではなかったと思います。ですが、外には四人それぞれの世界があって、それが時に摩擦やすれ違いを生んだり、共鳴したりといった、作品の持つ奥行きは中途半端にスポイルされ、原作ファン的に見ても、映画として見ても、少し残念な、物足りない感覚を受けてしまいました。原作にあまり囚われず、もっと特定の何か(幸かすずの内面とか)を強調したドラマ作りがあっても良かったかもしれません。  四姉妹の個性はとても良くて、原作のイメージから最も遠い綾瀬はるかも気の強い長女役を好演していました。この姉妹の物語をもっともっと見ていたい感じで。  あと、鎌倉を舞台にした、風景がポイントになるのは明白な作品だった筈ですが、これがあまり良く捉えている感じがしなくて。景色と人間との調和、そこに腐心してない訳じゃない、それをやろうとしているのだけど、なんかしっくり来ない、そんな感じ。  ビスタサイズじゃなくてシネスコサイズで撮ったら良かったんじゃないでしょうかねぇ。ラストの海辺の4人の間隔はビスタならではの距離感なんですけど、シネスコの余白があっても問題は無かったかな。  作品世界の雰囲気、空気感はちょっと残念、人は良かった、そんな感じでした。[映画館(邦画)] 6点(2015-06-14 14:34:28)《改行有》

479.  予告犯 《ネタバレ》  戸田恵梨香(この人の映画見るの、2ヵ月の間に3本目ですな)はなんかちょっと違うんでないか?と。極端な味付けをし過ぎていて。あんな延々ギスギスした演技ばかりしてたんじゃ、んなヤツぁいねーよ、とツッコむしかない訳で。過去の回想シーンとの対比で「だからこういうキャラなんです」ってのは安直に過ぎる気が。で、やっとラストの方でキャラ的に救われるんですが、それがまた本来あり得ないシチュエーションでしか救われてないっていう。刑事だったらあんな行動は取らないよね・・・。そこら辺、ホントに作り物臭くて、また他のメンバーは『SP』の出来損ないのようでもあり、警察側は見ていてかなり厳しい出来な感じ。  一方、犯罪者側はよくできていたと思います。中二病をこじらせたクズのように見せながら、薄皮を徐々に剥いでゆくようにそこに至る悲劇と、でも悲劇だけに終わらない、彼らなりに獲得できた幸せな時間とが明らかになっていって。  名前が映画を貫くキーワードになっていて、名無しの時代に損得勘定でなく名前を持つ人間同士で繋がりたいと願う、切ない話。ネットが普及して誰でも世界に向けて情報が発信できる、けれどその解放されている筈の世界の閉塞感は一体どうした事か?と。底辺で足掻くしかなかった名無しの束の間の輝きが胸に迫ります。  新聞男4人+ヒョロ+インターネットカフェのバイト、役者の好演で存在感を得た彼らによって、映画はこの時代を映す意外な拾い物になっていました。[映画館(邦画)] 7点(2015-06-11 20:40:54)《改行有》

480.  トゥモローランド 《ネタバレ》  謎をひっぱり過ぎたせいか、知りたいところがちゃんと見えてこない困った映画。  ユートピアがどのような意志によって成立していったのか、そしてそれが何故独裁者が支配する排他的世界へと至ったのか、その辺がどうも明確でないので映画全体がモヤモヤとした印象。とにかく肝心の後半がバタバタ。世界は大量のセリフによって説明され、それを咀嚼する間も与えられず少人数な登場人物のまま戦いが行われ世界は救われました、みたいな。  見終わって、なんかヘンな映画って感覚は否めません。  でも、それでもここまでいっぱい好きなものを並べられてしまうとね、低い点数付けるわけにもいかなくて。  最初のディズニーお馴染みシンデレラ城から既に世界は夢のトゥモローランド。レトロフューチャーなデザインの中にちゃんとディズニーランドのトゥモローランドのデザインも紛れ込んでいて(スペースマウンテンなんかハッキリと存在を主張してます)。  昭和の昔に少年少女が夢見た希望に溢れた未来都市がこうして明確な形でヴィジュアル化されているのを目の当たりにして、ときめかない訳がありません。  数々のSF映画のオマージュ(っていうかモロなモノいっぱい)まで散りばめられたそこは幸せに満ちた映像空間。  そして都市の守護女神の名を持つアテナ。クラシカルな魅力を持った謎の美少女。彼女の存在によってこの映画はまばゆい輝きを放ちます。想像もしなかった彼女の意外な見せ場も満載で(笑)  セリフで語られるテーマは安直に思えますが、でも、実際にそういう夢を見ていた人々が、今、未来に希望を見いだせなくなっているという現実。この映画に対する批判に多く見られる選民意識、それを感じるならば、それこそが未来に希望を抱けていない事の証明のような気もします。何故自分は選ばれる側の人間だと思えないの?と。夢と希望を持ち努力する全ての人間にトゥモローランドは開かれる、そんなオプティミスティックなメッセージを受け止める事がポイントだと思います。  『鉄腕アトム』と『メトロポリス』と『火の鳥2772』を足したような、本当に手塚治虫な世界の映画で手塚ファン必見の作品でもありました。[映画館(字幕)] 9点(2015-06-09 21:47:31)(良:2票) 《改行有》

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