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プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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501.  にがくてあまい 《ネタバレ》 原作マンガは読んだことがない。イケメンで料理上手な同性愛者とヒロインが同居する、という設定にどういう必然性があるのかわからないまま進んでいくが、恐らく女子の人々にはこういうシチュエーションが心地よく感じられるのだろうとは思った。また自分は何とも思わないが、野菜料理の映像面でそそられる観客もいたかも知れない。ブロッコリーの茎の部分まで刻み始めたなと思っていたらそこが重要なところだったらしい。 一応のドラマらしきものもないではないが話が薄いので、まずはこの状況自体を楽しむことの方が大事なのだと思われる(連続TVドラマ向きか)。男女関係の方は進展しないままで焦らす感じになっているが、男同士の関係も濃密にはならず、キュウリの件などで気を引いておいてはぐらかすのは女性向けの刺激的サービスか。バカバカしいので笑ってしまうところもあり、キノコの件は発想の原点がどこにあったのか聞きたい(ある程度以上の年齢なら昔の記憶を呼び起されるものがある)。また個別の場面としては、元同居人のシャツをヒロインが直球で投げたところは悪くなかった。 自分としては主な対象層に含まれているとは全く思わないが、見れば意外に悪くない雰囲気だったのでそれなりの点にしておく。男女関係のラブコメよりもかえって単純に面白がれる話ができている。 なおキャストに関しては、主演女優が好きで見たわけではないので、どちらかというとその母親(さぞかし昔は可愛かったろうと思わせるおっ母さん)に見とれてしまった。また途中で登場した美少女タレントは半端な存在感を出して終わってしまったので、出したからには最後にもう一場面くらいフォローを入れてもよかったと思う。ほかバーのマスターの出番は妙に心地よく感じた。[DVD(邦画)] 6点(2018-10-07 20:25:51)《改行有》

502.  脳内ポイズンベリー 《ネタバレ》 原作マンガは読んだことがない。「インサイド・ヘッド」も見ていない。 ラブコメとのことだが大笑いするのは脳内世界のやり取りの方で、現実世界の三角関係は特に笑えるものではない。若い男には全く共感できないが、その場で怒ってくれなければわからない、という発言だけはそうだそうだと支持してやりたくなった。また編集者の男が変にいい人なのは怪しく見えたが、本心を小出しにしておいて信頼感を出すという手法は嫌いでない。終盤でキレたのを見ると普通にまともな男だったようで、ここは普通に感動的だった。 しかし問題なのはヒロインが全く好きになれないことで、序盤でこそ少し可愛げがあると思っていたが、一体何をどうしたいのか本人にもわからないというのが非常に苛立たしく、こんな面倒くさいのに惹かれる男連中の気が知れない。後に改善されたのだろうが、ラストの顔など見るとまた同じことを繰り返すのではとしか思われず、どうもあまり深入りしたくない(やるだけ損する)人物像のまま終わってしまった。ちなみに最後に鉢合わせした男の靴は編集者と似た感じだったが、こんなのに関わるのはもうやめろとこの男には言いたい。 そのほか脳内キャラクターでは、ネガティブの人(この人が「吉田」ではないのか?)が強烈なのは期待通りとして、「衝動」を子役がやっていたのも説得力がある。最後に子どもらしく泣くのを周囲の大人が慰めている図は、作中でいわれる「衝動」の本質を表現していたようで、ここも何気に感動的だった。また黒い女は「本能」というのが定説らしいが、自分としては脳内会議の不得意な「断行」だけをして結果は度外視、または単に「暴発」という感じに見えた。ちなみにこの役は主演女優の二役だったようである。[インターネット(邦画)] 6点(2018-10-07 20:25:48)《改行有》

503.  さいはてにて やさしい香りと待ちながら 《ネタバレ》 題名が日本語としてこなれていない上に、何となく「北の××」のようなのをイメージさせるのが事前の印象を悪くしており、そもそも能登半島の突端(石川県珠洲市)とはいえ「さいはて」は言い過ぎである。またかなり心が騒ぐ場面があるので癒し系映画ともいえず、その意味でもミスリードな題名と思われる。 主演女優はいまだに童顔だが(一生そうだろうが)、今回は化粧っ気がなさすぎのようで老けた子どものようにも見える。性的アピールをする気がないということだろうが、それでも見境なく犯そうとする男の邪悪さを際立たせるためとも思われる。この辺は外国人の監督なので感覚の違いがあるかも知れない。 ところで問題なのは結局何が言いたいのかわからないことで、ラストで???の状態のままエンドロールが始まるので困ってしまう。しかし無理に理屈で考えると、これはもしかして男は不要ということを言いたかったのか。かよわい人々を脅かす男は憎むべき敵であり、シングルマザーは金沢市の男どもに依存する生活をやめてから見違えるほど愛情深い母親になった。また主人公は父親(男)の帰りを待つ必要はなくなったが、ここにいる動機がなくなったわけではないことに改めて気づいたということらしい。 そういう結末が可能なのは主人公にもともと経済力があったからで、相続放棄をしなかったのも負債など何とでもできる見通しがあったからと思われる。こんな場所で店開きして大丈夫なのかに関しては、青森県八戸市尻内町から注文が来ていたように、日本国中どこにいても繁盛する基盤ができているとの自信があったのだろうし、そもそもモデルになった実在のコーヒー店(特別協力 二三味珈琲)が同じ市内にあるわけなので、その点は問題にならないと判断したのかも知れない。 そのようなことで、要は主人公の実力を背景にして男を排除し、女性のための理想郷を作った話ということらしい。年齢に関わらず呼び捨ての友達関係ができており、また小学生2人の間でも、弟には恐れがないが姉には不安がある、と男女で微妙に差をつけていたようでもある。男の居場所はないようで困るわけだが、主に映像面がいい感じだということと、主演女優が嫌いでないこと、また子役も存在感を見せていたので悪い点は付けられない。 ちなみに男は不要でも警察は必要である。あの男がいつか必ず復讐に来る、という危惧を残したまま終わってしまう映画だった。[インターネット(邦画)] 5点(2018-10-07 20:25:46)《改行有》

504.  リベンジgirl 《ネタバレ》 超ハイスペック女子が選挙に出る映画とのことで、そんなものを一体誰が見るのかと思っていたが、実際見れば要はツンデレ女とドS男のラブコメだった。また全体的にはダメ人間が奮起して一躍トップを目指すサクセスストーリー形式になっている。 基本がラブコメなのであまり真面目に見るものではないわけだが、嘘をつかない政治家というのが現実味は別として素朴な期待感を持たせるところもあり、またラブコメ部分も笑わせるので途中までは結構面白く見ていた。この部分で得られる最大の人生訓は、プライドは持っていて見せるものではなく自分が生かして使うものだということである。 しかし終盤に至ってリアリティがゼロにまで落ち込んでしまったのは大変遺憾だった。最終日の街頭演説で、聴衆が意気消沈する話を長々とやらかした上に公衆の面前でキスシーンというのでは、エキストラならニヤニヤしていれば済むが選挙民ならドン引きである。ラストの一言もうまくまとめたというよりは“男次第で女はどうにでも変われる”と言ったのと同じことで、これで観客が喜ぶと思っていたのなら、要は一般向けの映画としては作られていないと思うしかない。 そういうことで、事前の期待を上回ってはいたが最終的には残念な映画に終わった。ちなみに主演女優(腕が細い)以外では佐津川愛美さんと馬場ふみか嬢が目立っている。また主人公の妹役は主演女優と同じ事務所で映画初出演の竹内愛紗という人で、劇中では普通に可愛らしい女子高生だが、主人公の妹であるからにはかなり優秀な人物のはずなのでそのつもりで見ていた。主演女優だけでなくそういうところも見た方がよろしかろうと思う。 追記:斉藤由貴についてコメントするのを忘れてしまったが目立っている。[インターネット(邦画)] 5点(2018-09-29 18:57:58)(良:1票) 《改行有》

505.  クハナ! 《ネタバレ》 三重県桑名市(合併前の旧多度町)の小学生が急造のジャズバンドで大会に出る話である。当然ながら「スウィングガールズ」(2004)を思い出すが、あっちと明らかに違うのはメンバーにまだしも可愛げがあることである。 「文部科学省選定」(平成28年8月)とのことでご立派な映画のようだが、Cカップとか孫を作れとかスナックでのやり取りなど聞いているととても子ども向けには思えない。…と思ったら社会教育用/教養/青年向き・成人向きとのことでお子様専用でもないらしい。それにしても最初から最後まで笑わせにかかるふざけた映画のため、どこが「社会教育」「教養」なのかわからない。 現地の事情は知らないが、これを見て意外だったのは登場人物の言葉がほぼ関西弁のように聞こえたことだった(「半分の月がのぼる空」(2009)ではもう少し微妙だった気がする)。言葉だけでなく登場人物のやり取りが終始漫才のようで、かなり深刻な場面にもコントを入れてみたり、新生ジャズバンドの名前(映画の題名そのもの)に口々に突っ込みを入れて貶める場面があったりもする。また顧問の自宅に子どもらがなだれ込んだ場面や保護者を集めた場面など、視点を固定して群像を見せるのが舞台演劇のようでもあり、大阪の演芸場で喜劇を見ているような気もした。 しかし言葉が関西の割にコンテストは東海ブロックだったり、また多度山の展望台(多分)からの眺望では名古屋のものらしい高層ビルが見えたりして、基本的には中京圏に属するという微妙さが地域性の表現なのかも知れない。ちなみにハマグリは言葉でしか出なかった。 物語としては何がいいたいのか不明だが、学校が廃止されるとか外国人労働者が大挙流入して地元民が失職するなど真面目に深刻な話も全部笑い飛ばして楽しもうというなら結構なことで、全く関係ないところの住民である自分も楽しめた(笑わされた)のでよかったということにする。終盤の展開だけはさすがにないわーと思ったが、これぞ即興性の極致??ということで納得しておく。 なお個別の台詞で心に残った(笑った)のは「あっ、松永さんが横切った」という、まるで黒ネコが道を横切ったかのような物言いだった。その松永さんは非常に愛らしく映っており、現地採用の子役の中では一番得な役回りのようだった。[DVD(邦画)] 7点(2018-09-29 18:57:56)《改行有》

506.  真白の恋 《ネタバレ》 富山県射水市を中心に富山市や立山で撮影した映画である。陰気なだけと思われそうな冬の日本海沿岸を美しく映像化しており、主人公の色鮮やかな衣服が寒色の背景に彩りを加えているところもある。 場所は旧新湊市の「日本のベニス」と呼ばれているという内川周辺が中心だが、観光地紹介の意図がほとんど見えないのが好印象である。運河沿いの家並みだけでなく、背景の火力発電所を正面に捉えたように見える映像があったのは、観光地というより生活感覚の中の美観を表現していたように思われた。また「海王丸パーク」という場所で撮っているのに、当の海王丸が映らないという非常に抑制的なところもあった(写真には出ていた)。ちなみに外部の人間の目で変だと思ったのは、まだ雪のある時期に自転車の二人乗りで呉羽山(富山市)まで行った場面だった。 物語に関しては、まず前半は周囲の見知った人々に囲まれて、景色は冬でも暖かい雰囲気で時間が過ぎる。東京から来たカメラマンも自然に主人公の存在を受け入れてくれたようで安心できたが、後半になると波乱が生じて何ともいえない厳しい状況になる。 誘拐と不倫の二択という話ではないだろうが、一般論で簡単に割切れる問題でないのも間違いない。しかし引きこもって何もしなければ何も変わらないのも間違いないことで、今回この主人公が自分の好きになれるものを発見し、同じ風景が人によって違って見えることに気づかされ、また他人の心を受け入れて自分の心を豊かにすることを覚えたのは大きな変化だったはずである。ただそれでも「人を好きになるのは、苦しいね」という従姉の言葉が切なく感じられる映画ではあった。 もう一つ、カメラマンが言っていたのは、人々の間に初めから線が引かれているわけではなく、連続性のある分布のどこかに位置づけられるだけということだと思われる。彼の場合は職業柄、世間の枠組みにとらわれず、自分の目で物事の本質を捉えようとする人物だったので自ずとそのように見えたわけだが、この映画を見る観客の方も初めから「知的障害者の恋物語」(障碍者、障がい者)という枠をはめてしまわずに、こういう人の恋物語、と思って見るのがいいのではないか。 なお主人公には写真の素質があったようで羨ましい。劇中では誰も言っていなかったが、写真嫌いだった主人公が初めてかわいく写った写真はカメラマンが撮ってくれたのではなく、自分が撮ったものだったことに本人は気づいていたかどうか。[インターネット(邦画)] 9点(2018-09-24 08:49:59)《改行有》

507.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 基本は恋愛映画のようだが、ひと通り見てああそうですかで終わってしまい、深入りする気になるわけでもなく引き込まれもしなかった。あらかじめ感情移入の種なり解釈の柱になるものを持っていないと上っ面で終わってしまうということかも知れない。自分としてはただ第三者的に眺めるだけの映画だったが、一つだけ思ったのは、自分の所業を悔いることと、相手がどう思っていたかは別次元の問題という状況はわからなくもないということだった。 なお妖婆のようなヒロインの話し方には最後まで馴染めなかった。また男が最後によりを戻した元彼女はどこがいいのか全くわからず(驚くほど可愛くない)、これは男がとりあえずの間に合わせとして使っただけだろうという印象だった。 ほか登場人物がほとんど関西弁で、「西寝屋川警察署」(架空)という言葉も映像に出ていたので北河内という設定かと思うが、そういうディープな?大阪に沈んだヒロインの境遇と、地方から出て来た男のギャップを出そうとしたようでいながら実際そうでもなく、この場所設定の意義があまり感じられないのは少し変に思った。ヒロインの住居のある一角も、いたいけな(したたかな?)少女2人とエロオヤジ1人の存在感しかなく、乾いた空き家が建ち並んでいるだけに見える。 ちなみに撮影地は首都圏のようで、海の場面はどうせ千葉県だろうと思っていたらその通りだったらしい。制作上の事情はあるのだろうがこういうところは結構興醒めで、かえって初めから東京の話にしてしまっても支障なかったのではと思う。[DVD(邦画)] 5点(2018-09-24 08:49:56)《改行有》

508.  EVIL IDOL SONG 《ネタバレ》 主演の藤田恵名という人が劇中人物どおりの「シンガーソングラドル」だそうで全く洒落にならない。これが実体験に基づく映画だという話は別に出ていないが、仮にそうだと言われれば本当にそうだろうという気になる。「みんなやってるし」とか言われてしまうとそうなんですかと思うしかない。 しかしそういう世界で惨めに踏みにじられたような状態が最後まで続くわけでもなく、途中で悪魔化してぶち切れたのはいいとして、その後は社長も含めて人格が一変してしまい、さらにマスコミの群れを振り切って飛び立つという流れは唐突感がありすぎる。クライマックスに至っても、マンガのような警察が気分の高揚を邪魔しているようで、ドラマ的には自然に乗れる展開になっていなかった気がする。 一方で、その間もマネージャーだけは正常な精神状態を保っていたのかも知れないが、しかし最後にはもう悪魔でも何でも主人公に共感して応援したいという、いわばファンとしての感情で行動するに至ったらしい。自分としてはそれより先、ライブを目前にした段階ですでに期待感が高まっていたので、この男よりは早いうちにファンに近い立場に立てていたはずである。 本番が始まって、熱海市の廃校?でも東京でも大阪でもワシントンDCでも、人々がみな幸せそうな顔で死んでいったのは正直感動した。最後は、天使なら昇天して終わりのところ悪魔だったので堕ちてハッピーエンドである。いろいろあったが最終的にはみんなをしあわせにするアイドル映画だったということで評価が確定した。点数は、主演の人を応援する意味で+1にしておく。 なお注意事項として、この映画の紹介で主人公が世界または人類の滅亡を目的としていたように書いてあるものがあるが、最後にみんなを幸せにすることができたのならそれが目的だったということになるのではないか。死んだ連中は基本的に自由意思で歌を聴いたのであって無差別テロともいえず、幸せになりたい人々が自ら幸せになろうとして、結果的に人類が滅亡したなら仕方ないことである…しかしどんな場面でも幸せを掴めない人間は必ずいるわけなので、どうせ滅亡などはしないだろうが。[インターネット(邦画)] 7点(2018-09-16 08:55:01)(良:1票) 《改行有》

509.  劇場霊 《ネタバレ》 まずは劇中劇の「鮮血の呼び声」などという陳腐な題名を誰がつけたのかと思うわけだが、中身は実在の「血の伯爵夫人」エリザベート・バートリ(1560~1614)をもとにした話だったようで、そういう背景をくどく説明しない態度は悪くない。 しかしホラー映画としては人形が人を襲うという設定を生かせておらず、立って歩いて来るなら逆に近づくまでは危険がないのだろうから、近接する前に蹴り飛ばしてしまえば簡単ではないか、という方に考えが行ってしまう。だいたいこういうモンスター的なものを出せば済むと思っているのは呆れるしかなく、終盤、舞台の上で騒いでいたあたりは面倒くさくなって早く決着をつけろという気分だった またドラマ的にも話が薄く必然性のない展開で心に訴えるものもない。特に問題なのは主人公が本物のバカに見えることで、「人形が」で台詞を止めることに何かこだわりでもあったのか。そもそも何を言ったところで中止するはずないのだから放っておけばいいだろうがとしか思われず、足立梨花さんには申し訳ないが、人々の死に特に悲哀を感じるようなこともない。 あえて真面目に考えると、エリザベート・バートリや劇中の人形と同じように、他人のものを奪ってでも我を張り通して生き残れ、という芸能人向けのエールだったのかも知れないが、それにしても万人が共感するようなものではない。とりあえず個人的には、先日見た「劇場版 私立バカレア高校」(2012)の方がよほど娯楽としてまともにできている気がした。 余談として、この映画のように舞台の演出家が主演女優に個人的関係を要求するとか(先行例としては「リング0」)、アイドルが売り出しのために枕営業を強いられるとか(最近見た別映画)が多い気がして、演出家だけでなく映画監督とかプロデューサーとかの全部がもれなくこういうことをしているのだろうと思うようになってきたが、業界の立場としてはそう思われてもいいのか。自分には縁のない世界なのでどうでもいいが。[インターネット(邦画)] 3点(2018-09-16 08:54:59)《改行有》

510.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 大評判なのは知っていたがやっと見られた。 大変いい映画だとは思うが、申し訳ないが最初のワンカット部分は正直見るのが苦痛だった。初めからこういうクオリティで撮っているという設定でもあり、不自然な箇所については後で説明もあるわけだが、これを延々と見せられている間に体調のせいもあってか頭が痛くなってきた。 後半をあわせて見ればよくできたお話で、最後はみんな笑顔で和む映画になっている。真相を明らかにした中で個人的に面白かったのは監督の台詞にアドリブが入っていたというところだった。最終的に一番いい役は監督の娘だったようで、ちゃんと両親のいい所だか悪い所だかを受け継いだ人物になっている。 前半で忍耐を強いられたせいで絶賛というわけにもいかないが、それなりの点数にしておかなければと思わせる映画ではあった。[映画館(邦画)] 7点(2018-09-15 08:56:06)《改行有》

511.  空人 《ネタバレ》 特攻隊の生き残りの話である。主演の奥野匡氏は撮影当時おそらく87歳、昭和20年では17歳だったはずで、このあたりの世代(昭和一桁世代)に向けた映画とすれば対象はかなり限定的ということになる。戦後世代向けには全く見えないが、世代が違っていてもわかる限りはわかろうとしなければという気にはさせられる。 全体の中で特攻隊の部分は意外に短く、兵舎が中心で戦争映画としての派手さはないが、零戦が飛ぶ映像だけは作ってある。題名の意味は特攻隊に由来するのだろうが、残念ながら自然に納得する感じではなかった。 現代パートは、悔いを残して生きてきた主人公が人生の終わりを予感したことで、これまでのことを清算しようと思い立ってからの話になっている。もう近所に戦争の話をする相手がいなくなった、と劇中人物が語るのを聞いて思い出したのは、自分の身内でも、戦時中に航空隊に志願?したが軍医に耳をほじくられて中耳炎になって帰されたので今も生きている、というような話をする者がいたことである(故人)。自分が死ねばそんなことを知っている者もなくなるはずで、そういう形で人は死んで忘れられて記憶も失われていくのだと、変に達観するような気分にさせられた。 主人公も序盤から健康上の不安が見えており、“向こうに連れて行かれる”話まで出ていたので、この人物ももう終わりだということは強く印象づけられていたが、しかしその上での最後の場面は非常に意外だった。なるほど主人公も自分のことだけやれば済むわけでなく、生き延びたことで新たな責務を負ってしまった面がある。あの世に行くのも当分延期だな、という清々しさがあり、要は“死ぬまで終わりはしない”という物語だったのかと思った。息子の妻もかわいい感じの人で、年の離れた女性に好かれているのは羨ましい。 なおヒロインは対象世代に合わせてかなり古風な人物になっているが、演者の高橋かおりという女優は相変わらずの美形である。これとは別に思春期向けの青春映画など見ていると、あまりに主人公(男)にとって都合のいい展開になっていて呆れることがあるが、この映画も年代は違うが若干そういう雰囲気がなくもない。どうやら男は死ぬまで夢(妄想)をもって生きるということらしい。 ちなみに原作を読むと、この映画がいかに一般向けに抑制を効かせて手際よくまとめてあるかがよくわかる。点数の内訳は映画が8、原作が-1である。[DVD(邦画)] 7点(2018-09-07 22:12:29)《改行有》

512.  都市霊伝説 心霊工場 《ネタバレ》 心霊を製造する工場の話だとすれば斬新なアイデアだと思ったら違った。 大まかにいえば心霊のいる廃工場を訪れた連中が破滅する話で、いわばスタンダードな邦画ホラーである。全体としてそつなくできた印象はあまりなく、個別の台詞や人物の動作が不自然で引っかかる点もなくはない。ドラマとしては編集者同士の確執と姉妹の情愛の二本立てのようだったが、それ自体が大して心に訴えるところもない。こういう場所にわざわざ行く連中は本当に馬鹿だと思うが、哀れとかとか思わなくて済むので気は楽だ。ただ、こんなことでリーダーシップを求められる会長というのもしょうもない役職だとは思った。 ホラーとしても別にどうということはなく、何かに引きずられる、便所に籠るというのは定番である。しかし内部に夫婦者のようなのがいて、暗いところで密談していたあたりは悪くない。また何か良からぬことが起こっているのを音で暗示する場面があり、クラクションとか固定電話とか救急車などはありきたりの部類だが、たまたま近くにいた男が別件で怒鳴り始めたのは日常に紛れた凶兆の表現のようで面白かった。 登場人物としては、姉役の深月ユリアという人が本物の魔女?とのことで存在感を出している。時々説明なしで呪文を言っていたようなのは何語だったのか(ヘブライ語? アイヌ語? ポーランド語?)。また色っぽい編集者役の大塚麻恵という人は他の映画でも見たことがあったが、現在は結婚して別の方面にも活動範囲を広げているらしい。メイキングで大あくびしていた石原あつ美という人が実質的な主役に見えたが、ほか編集部に残っていた男女や便所ペアの扱いなど見ていると、とにかく若い役者に出番を用意しようという意図をもった企画なのかと思った。[DVD(邦画)] 4点(2018-09-07 22:12:26)《改行有》

513.  血を吸う粘土 《ネタバレ》 著名な特殊メイクアーティストが監督・脚本を務めたホラー映画である。主要キャストとして、講談社主催「ミスiD2017」のグランプリと受賞者の計4人が出ているのでアイドルホラーとしての性質もあったらしく、うち藤田恵名という人は主題歌「私だけがいない世界」も歌っている。ほか講師役の女優と監督は夫婦とのことである。 見た感じでは、いま映っているものが何を表現しているのかよくわからないところが多く、また一つの場面がしつこく続き、その間の一本調子の悲鳴がやかましい。全体構成としても何回危機を繰り返せば気が済むのかという感じで(早く家を出ろ)、やっとここまで来たかと思ったらまだ10分も残っていると思うところもあったが、まあ最後の展開を見ればそういうことかとは思った。ドラマ的には登場人物の悲痛な思いが表現された場面もあったが、残念ながら自分としてはそれほど同調できなかった。 なお何で粘土ホラーなのかは不明だが、監督がやりたかったからというのなら別に言うことはない。人の顔をちぎって潰すとか、粘土化した人物の顔を直接バーナーで乾燥させたりするのは素材を生かした趣向かも知れない。また終盤でクレイアニメーションを使うとか、土人形がハロウィンのように見えるところもあった。 ところで劇中の学校は美術大学向けの予備校という設定だったようで、その背景に監督の怨念があるというのはわかったが(本人が言っている)、どうも劇中人物がトーキョーにこだわる理由が不明で、行きたければ行けばいいだろうがとしか思えない。監督の出身地とされている神奈川県藤沢市は、本物の地方人の立場からすればほとんど東京も同然であり(首都圏という意味で)、誰の思いを代弁しているのかわからなかったが、ただもしかすると本物の地方人というよりは、首都圏の周縁部から都心部を眺めているイメージなのかという気もした。ラストの遠望ではそういう劇中世界が端的に表現されていたようでもあり、いまだに東京のシンボルが東京タワー?というのは古風な世界観だが、これは奥多摩から上京して東京タワーを目指した「モスラ」(1961)の再現を意図したものかも知れない。最後は土人形というよりイモムシ+「デビルマン」の某キャラクターのようなものになっていたようである。 以上のようなことで、独創的というか独特なところが多いが、絶賛ともいかないのでそれなりの点数にしておく。[DVD(邦画)] 5点(2018-09-01 16:26:47)《改行有》

514.  ブリード 血を吸う子供<OV> 《ネタバレ》 SFホラーとでもいうべきものだろうが、ジャンルとしてはそうだろうというだけで、これがSFといえるわけではない(科学的な説明はない)。またホラーというのが怖いものでなければならないとすればホラーでもない。 基本設定としては「光る眼」のような感じで、違うのは明らかに地球人の仕業だということと、「子供」が吸血鬼の性質を持っていることだが、しかし何で吸血鬼でなければならないと制作側が思ったかは不明である(本当は「スペースバンパイア」(1985)のようなのがやりたかったのか)。またそこに、当時まだ本気にされていたのか「百匹目の猿」も絡めているが、これがストーリーの本質に関わるものとも思われず、単にたまたま知っていたことを盛り込んだだけのようでもある。 物語的にも特に心を動かされるものはなく、これからもまた同じことが繰り返されるというオチだったのかも知れないが、それで戦慄とか悲哀とか何かを感じるわけでもない。最後になぜか尻を出して素っ裸で走って行ったのがいたが、こういうのを見せられてこれはどういう意味かと真面目に考える人間など日本国民の何%いると思うのか。どうも小理屈と技術だけで作って志も心もない製作物という印象だった。 なお唯一よかった点としては、川上麻衣子という人の頬がふっくらして、この時点でもかわいく見えることだった(顔つき自体は今も同じだろうが)。[DVD(邦画)] 2点(2018-09-01 16:26:44)《改行有》

515.  血を吸うカメラ 《ネタバレ》 最初の街娼が2ポンドで、次の卑猥な写真が4ポンド10(シリング)だったのは、生の実物よりも映像化した方が商品価値が上がるという意味に取れなくはない(素材の質や感染症のリスクは関係するだろうが)。またグラビアのモデルが殴られた跡を消してくれと頼んでいたことからしても、序盤では写真(や映画)の特性や効用を表現しようとしていたように見える。 また劇中映画の現場では、コメディがなければと劇中監督が宣言した後、実際にかなり笑わせる出来事が頻発する(さりげなく持つ、主演女優が逃げた、あれは監督だ)。序盤で出ていた映画会社の社長?の言動も含め、何か映画というものを茶化してみせていたかのようでもあるが、そういったことがどのように全体のテーマに関わっていたのかはわからなかった。 最終的に本筋だったのは、幼少時の心の傷が原因で異常な性的嗜好を持ってしまった男の話だったらしい。その話題自体は現在では珍しいともいえないが、しかしこの映画ではヒロインが最後まで主人公に対する好意を失わなかったのがかなり都合のいい設定に思われる(母性本能をくすぐる男だったのか)。またヒロインの母親までが主人公に更生の機会を与え、それで本人も一度はその気になっていたというのは、基本的なところで人の本性が善なることを信頼した映画に見えた。この映画は公開当時、メディアから袋叩きにされて「映画界の恥」とか言われたそうだが、これほど良心的な映画にそう言うのであれば、大衆の欲求通りに俗悪映画を作って恥じない現代の映画業界など廃絶せよと言わなければならなくなる。 ちなみに主人公が熱意をもって取り組んでいた映像作品に関しては、なるほど殺人事件をドキュメンタリーとして撮ったものはなかっただろうとは思ったが、これが今後の新たな可能性を示したものとして捉えることもできない(関係者インタビューでは単純に「スナッフフィルム」と言っていた)。いろいろ思うところはないでもなかったが、結局全貌が見えた気がしないままで終わる映画だった。 ほかキャストに関して、主演のカールハインツ・ベームは有名な指揮者のカール・ベームの実子だそうで、劇中の姿だけではわからなかったが、関係者インタビューで2005年当時の顔を見るとなるほど雰囲気は似ているかとは思った。またヒロイン役の人は美形とは全くいえない容貌だが、なかなか愛嬌のある女優さんで好きになった。[DVD(字幕)] 5点(2018-09-01 16:26:41)《改行有》

516.  血を吸う薔薇 《ネタバレ》 少し間が開いているが、「血を吸う人形」(1970)と「血を吸う眼」(1971)に続くシリーズ第3作である。 今回の吸血鬼は前回のように家系に受け継がれるものでなく、「不死身の魔性の者」が約200年前(江戸時代)から時代を越えて生き続けてきたようで、小説のドラキュラに近いイメージになっている。ただし同じ外見でいると怪しまれるからか、別人の顔の皮を自分の顔に張り付けて姿を変えていくということらしい(わかりにくいが)。フランス文学の男もそういうことを言っていたが、もう少しスマートにできなかったかとは思う。 また前回同様に、日本で本物の吸血鬼を出すからには外人が発端でなければと思ったようで、台詞では「この先の漁港」に外人が漂着したと言っていた。しかし冒頭で出た駅が国鉄(当時)小海線の甲斐小泉駅で、学園の住所が長野県で、背景に八ヶ岳(多分)が見えている場所でさすがに漁港はないだろうと思った。 なお今回の顕著な特徴として、血を吸うときに毎度オッパイにかみつくというのは許しがたい習性である。全裸にされてしまう人もいたりして、今回はエロさが売りになっていたらしい。成人男子がそれ目当てで見るほどではないが小学生には見せられない。 物語としては寮付きの女子短期大学が舞台で、序盤で女子学生3人がテニスをしていたりしてそれなりのキャピキャピ感(※まだ死語ではない)を出している。しかし単なる賑やかしで出ていたわけでもなく、この中から後に正統派ヒロインと邪悪なヒロインが出るので重要人物ということになる。3人の中で、外見的に好きなタイプの人が邪悪な方に転じてしまうのは残念だった。 今回は地元の伝承という形で吸血鬼の誕生哀話が語られるなどの趣向もあり、途中まではそれなりに面白く見ていられたが、役割のよくわからない登場人物が多いなど納得のいかない点も結構ある。シリーズ恒例になった医師(演・田中邦衛)は、全体の擬洋風で世間離れした雰囲気を和風居酒屋などで中和していると思ったが、途中でいなくなってしまったのが拍子抜けだった。 ほか特に終盤の展開がかなりしつこく感じられ、日本を代表する吸血鬼役者の演技も、今回早くもマンネリ化したように思われた。最終的にはそれほど大満足ということもなく終わったのは残念だったかも知れない。[DVD(邦画)] 5点(2018-08-25 17:22:26)《改行有》

517.  呪いの館 血を吸う眼 《ネタバレ》 「血を吸う人形」(1970)に続くシリーズ第2作である。個人的な記憶として、この映画が地元で上映されていたときに街中にあった立て看板を見て怖くなり、それ以来、この題名と岸田森氏の顔が忘れられなくなってしまったことがある。その時は当然見なかったが、その後のDVDの普及のおかげで、耐性ができてからの状態で見られたのは幸いだった。ちなみにDVDで予告編を見ていたら最後に「お待ちしています」とキャプションが出たのは笑った(行きたくない)。 内容としては第1作より本格的な吸血鬼映画になっており、最初に棺が送られて来たのがいかにもそれらしい。終盤で主人公男女が能登半島に出かけたのは小説「吸血鬼ドラキュラ」を真似たもののようで、つまり能登は日本のトランシルバニアということになる。東欧の伝承にある吸血鬼なら、家系に伝わるというより何らかの条件に合った個人が死後になるものだろうが、この映画では家系という要因と、死んでから蘇るという特性を組み合わせた形にしてある。また日本に西洋風の吸血鬼が出る理由に関しては、要は日本在住の外国人だったという適当な理由付けでごまかしている。 吸血鬼が好色というのは普通のことだろうが、この映画では何と5歳の少女に目をつけて、年頃になるまで待つならまだしも(それも執念深いが)5歳のままで「花嫁」というのがとんでもない幼女趣味で、こんなケダモノは早目に滅ぼしておかなければ駄目だと思わされる。この吸血鬼がクールな容貌ながら、終盤でステンドグラスか何かを破って出て来たところとか、断末魔のわめき声はものすごい迫力で唖然としてしまった。ここはさすがの岸田森氏といったところである。 そのほか姉妹間の確執を絡めたのは物語に一定の深みを加えており、またその姉妹の間で翻弄されそうな位置にいる男が極めて理性的で、一貫して恋人たる姉の方を信頼しているのは頼もしく見えた。この男が医師であり、ヒロインとともに吸血鬼退治に尽力する役割だったのも基本を押さえている。また鏡に写らなかったので気づいたのでなく鏡に写らなかったので気づかなかったとか、死んでいた男の手が机に張り付いていて半端に剥がれたといった細かい見どころもあった。 ちなみに劇中の台詞で、戦後にイギリスで吸血鬼が処刑されたと言っていたのはロンドンの吸血鬼として知られた事件だろうが、これは吸血鬼だから処刑されたのではなく、連続殺人犯だったから普通に死刑になっただけのようである。[DVD(邦画)] 6点(2018-08-25 17:22:23)《改行有》

518.  幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形 《ネタバレ》 東宝の「血を吸う」シリーズの第1作である。この後、「血を吸う眼」(1971)、「血を吸う薔薇」(1974)と第3作まで続く。 古めかしい洋館に吸血鬼のようなものが出る古風な怪奇映画だが、吸血鬼映画のようでいて本物の吸血鬼は出て来ない。本来、吸血鬼というのは土葬が主流の欧米でこそ成り立つ話だろうが、この映画でもその点はわかった上で適当な理屈で埋めたことにしている。また最後はキリスト教に頼らないで滅ぼすためにどうするか考えたとのことで、結果的にはかなり無理のある展開になってしまっているが、日本で吸血鬼映画をやろうとするといろいろ困難が生じることはわかる。結局は吸血鬼でも何でもなくなっているが、腐敗なし、吸血なしの“不死者”の状態ではある。 ちなみに中盤で出た医師は、役者が特撮TV番組「ミラーマン」(1971-72)の博士役と同じだったこともあり、この人物がヴァン・ヘルシング教授の役どころなのかと期待したがそうでもなかった。しかし第2作、第3作でも医師が出るので、吸血鬼映画には医師の登場が必須と思われていたのかも知れない。 内容は、大人が見れば当然それほど怖いものではなく、中盤で役場職員が昔語りをしたところとか、終盤でヒロインが怯えてドタバタするなど笑わせるところもある。しかしクライマックスで相手が一瞬で距離をつめて来た場面は、劇場で見ればかなりドッキリだったろうと想像される。ここで衣服が切れていたのは芸が細かい。そのほか中盤で出ていた南方で死んだ兵隊の話は、本当に出征した誰か(この映画の関係者など)の体験談だったかのように聞こえて、かえってこういうのは少し背筋が寒かった。 またこの映画で注目されるのは女優陣である。松尾嘉代という人の若い頃(当時26~27歳くらいか)の姿は記憶になかったが、この映画を見るとかなり愛嬌のある人で、びっくりした顔など表情の変化に目を引かれるほか、当時の流行だろうがミニスカートだったのが何気に色っぽい。また小林夕岐子さんは意外に出番が少なかったが、美貌の吸血鬼顔に凄味があり、題名の「人形」とは主にこの人の容貌の形容と解される。ご本人もぜひやりたいとの意向だったと聞けば他人事ながら嬉しくなる(DVDのコメンタリーでも出演)。その母親役の女優(南風洋子)も、艶消ししたようでいながらそこはかとない色気を見せていた。[DVD(邦画)] 5点(2018-08-25 17:22:20)《改行有》

519.  人狼ゲーム インフェルノ 《ネタバレ》 連続TVドラマに続く劇場版だが、ドラマ版を見てからの間に早くも忘れてしまい、武田玲奈さんと上野優華さん以外は誰が誰だかわからなくなっている。恒例の自己紹介もないためわかりにくいが、少しずつおさらいをするので一応思い出す。 話としては前回の続きだが、やはり高校の同じクラスから欠員補充したため学校から持ち込まれた対立関係ばかりが目立ち、純粋な生き残りゲームとしての性格は薄れているように見える。しかし逆にその学校からの対立を軸にして、人狼ゲームの場で展開する愛憎ドラマと思うこともできなくはなく、結果として、ミステリー調だったTV版よりも人間ドラマとしての充実感は出ていたかも知れない。 主人公は真面目な人なので今回また誰も死なない方法を提案し、一度は成功したようだがあとには続かず、結局主人公の学級委員長的正義は通用しない世界になっている。半端な友情を切り捨ててからもあくまで正しさを志向していたようだが、あまりに理不尽に正義を否定された腹いせからか「私情」を目の敵にし始めたようにも見える。最後の判断など別にそうでなくてもよかったはずで、ここはどうやら私情絶対主義へのダメージを優先したらしい。映画のキャッチコピーは「勝者こそ正義。」なので結論としてはそうなのだろうが、しかし自分の立場としては、“カワイイは正義”と同レベルで武田玲奈さんは正義と思って主人公の行動を支持していたので(私情だが)、もしそういう人物が劇中にいたら主人公はどうなっていたかということは思った。 ほか警察側のドラマはほとんど進展しておらず、一方で以前使った施設に警察が入ったことで、かつて古畑星夏さんが上って行った階段も(「ラヴァーズ」ラスト)もう使えないことになってしまった。今後どうするかは原作者を含めて検討しているのだろうが、続けるのなら運営側の男が無惨に滅びるタイプの結末を用意しておいてもらわないと納得できない(「何人殺してきたと思ってんの!」が本来の正義)。 なおキャストとしては今回も最初から最後まで武田玲奈さんが見どころで、また上野優華さんも相変わらずの役どころだったが、小倉優香・都丸紗也華の両人も別映画で見ていたことに今回は気付いた(千里山女子の部長/イースターバニー)。どうもこの手の映画ばかり見ていると覚える若手女子の数が増えて来る。皆さん悲鳴がリアルだった。[DVD(邦画)] 6点(2018-08-19 09:29:13)《改行有》

520.  映画 「咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A」 《ネタバレ》 マンガもアニメも見たことがなく麻雀も知らないままで本編劇場版に続いて見た。本編と同じくアニメ版あっての実写化ながら、もとからのファンに叩かれていないらしいのはうまく作ってあるのだろうと思われる。 今回は、主演の人さえ知らないからには他の誰も知らないだろうと思っていたらそうでもなく、奈良の部長でもっさりして一番可愛くない人物が「女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。」(2015)の「美少女」の人だったのは意外だった。また福岡の先鋒は「手裏剣戦隊ニンニンジャー」(2015)でシロニンジャーをやっていた矢野優花という人だが、今回はかなりくせのある人物役で同じ人には全く見えず、こういう人々は出ている場所で違う顔を見せるのだということを思い知らされた。当然だが。 そのほか恒松祐里さんは当然知っており、今回はずいぶん可愛い役をやっている。しかし西東京のエースは、顔は妹に似ているが全く可愛げのない人物のため存在意義が感じられない。本編の登場人物としてはその妹も一瞬出ていたようだが、個人的には鶴賀学園の大将とステルスモモが顔見せしていたのが嬉しい。清澄のおっぱいさんがわざと胸を目立たせる場面があったりもした。 内容としては原作またはアニメ準拠なのかも知れないが、今回は登場人物がわりと普通の女子高生に見えなくもなく、かえって長野県がいかに変人ばかりだったかと思わされる。しかしやはり個性的な人物が目立っており、特に北大阪はボーイッシュなのとかおばさんっぽいのとかいろいろで面白い。また特殊能力のある人々も多いようで、そんなオカルトありえませんというのが原則通用しない世界だったようだが、映像面でアクセントをつけるのには役立っている。ほか奈良は別として、福岡と大阪は方言にこだわりがあったらしいのが印象的だった。 準決勝では先鋒戦に力が入っており、やっていることはよくわからないながらもとにかく感動的だというのはわからせられる。また大将戦では膝枕エピソードが効いていて、どうせ最後は西東京が勝って長野と姉妹決戦だろうとは思うわけだが、北大阪や福岡にも負けさせたくない思いは募った(主に両校の先鋒の印象から)。 こういうサイドストーリーを発展させるタイプのコンテンツを見ると、実際の競技の世界でも、勝敗の別なくそれぞれのチームにそれぞれのドラマがあることを改めて知らされる気がして悪くないと思った。 [追記]見てから少し経った時点で一番心に残っているのは花田煌という人物だった。こいつはえらい。 [2018/10/7追記]主演の桜田ひよりという人は知らなかったが、美少女タレントでもアイドルでもなく子役時代から演技の実績のある人だったらしい。知らなくて失礼しました。 [2018/12/23追記]エンディング後の追加場面は、最後に改めて全ての発端の時点(5年前)まで遡ってみせたものらしい。TVドラマ版にもない場面なのでなかなか感慨深い。[DVD(邦画)] 7点(2018-08-19 09:29:10)《改行有》

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