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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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541.  便利屋エレジー 《ネタバレ》 便利屋営業の3人が、シングルマザーと家族の間をつなぐ話である。大人同士の関係ではもう動きが取れなくなった状態で、あえて子どもを中心にすることで物語が前に進んでいき、ラストは子どもの笑顔が嬉しいハッピーエンドになっている。柄にもなく子役の表情にキュンとさせられるところがあり、また料理が父子の距離を縮めるというのもいい話だった(ただし作ったものはちゃんと食え)。 やりすぎ、できすぎという面はあるだろうが、そこは架空のお話ということで問題を感じない。社長には過去の体験から、困っていても言い出せないでいる人を助けたいという思いがあり、また年長の社員も父親が原因で心に傷を残していて、それぞれの事情が行動を促す形になっている。結末も絶対ありえないわけではなく、劇中タレントの既成イメージにうまく乗せられれば今後の持って行き方はありそうな気はする。マネージャーの変心だけは少々都合よすぎかと思ったが、これもその前の場面で家族のつながりを見せつけられたからだと解される。 ネット上で観察した限り、日本中でほとんど誰も見なかったかのような印象もある事実上の超マイナー映画だが(著名レビューサイトでも現時点で投稿が1~2件)、見れば意外に泣かされる話だったので少しいい点にしておく。 なお登場人物では、元AKB48の永尾まりやという人が夜の仕事で子育てしているシングルマザーになっている。女の子でもないがくたびれてもおらず、ほどよく華のある母親役だった。[DVD(邦画)] 7点(2018-06-17 09:57:47)《改行有》

542.  口裂け女VSカシマさん<OV> 《ネタバレ》 ひたすら逃げる映画である。最初の出現時には、歩道のフェンスも自転車小屋も乗り越えてひたすらカメラと鎌が迫るのを見て少し期待できるかと思ったが、その後はただ逃げるだけになる。夜になって登場人物がやっと周囲に助けを求め始めたので少しずつ進歩しているのかと思ったが、同じ行動様式を最後まで続けるのでは呆れてしまう。 しかし途中でこれは画期的だと思ったのは、人のいないところばかり狙ったように走っているのを登場人物が自覚していたことである。これは制作上の都合を登場人物に語らせるメタフィクション構造ということか、あるいは観客の心理を代弁させたということなのか。また宣伝に出ていた「渾身の長回し」というのは、地下駐車場で柱の周囲を回る場面がそうだったのかも知れないが(前後含め約5分)、見た結果としての感想は「さっきの、何だったの」「おれもわかんねえよ」という発言の通りで、ここも登場人物と観客の一体感をわずかに出していた。 今回登場の二大キャラクターはそれぞれ独立の存在のはずだが会えば対立するようで、ゴジラのような二足歩行怪獣の脅威が迫ったところに、脇の方から別の怪獣がのそりと這い出して睨み合う、といった昭和怪獣特撮を思わせる場面もあった。ちなみに二大キャラクター以外にヒトコワ系変質者が出たのは唐突で意味不明だったが、ここは何らかの必然性があったのかどうか。 最後に追い詰められた(自分で追い詰まった)場所は、「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」(埼玉県川口市上青木3-12-63)の屋上だったようである。ここでの出来事も理解不能だが、あえて解釈すれば都市伝説のキャラクターは人の心の負の感情からできており、破裂して飛び散ったものを浴びた2人がそれぞれの内面をさらけ出してぶつかり合ったことで相互理解に至ったという感じか???? …結局よくわからないが、ちなみにいえば口裂け女の本質が「追いかけても届かない」ことだというのでは恐れられる理由がなくなり、存在意義まで危うくなるので納得できない。ただ最終的にラブストーリーだったらしいのは大変結構なことで、少し前までAKB48所属だった永尾まりやという人のキスシーンもあったりするので軽くは扱えない。 以上、最大限真面目にコメントしようとしたが、褒めるには申し訳ないが能力の限界がある。出演者・制作スタッフには今後の活躍を期待する。[DVD(邦画)] 2点(2018-06-17 09:57:44)《改行有》

543.  リアル人狼ゲーム 戦慄のクラッシュ・ルーム 《ネタバレ》 「リアル人狼ゲーム」(2013)という映画に続く第二作という扱いらしい。「人狼ゲームを題材にした」とされているが、驚くべきことに人狼ゲーム自体は出て来ない。グループの中に殺人者が混じっていて人が次第に殺されていくのを人狼ゲームに見立てたのだろうが、それにしてもよくここまで堂々と開き直るものだと思う。なお自分としては人狼ゲームを見るのが目的ではなかったので別にどうでも構わない。 前作は見たことがないが、今作は(も?)基本的には密室サスペンスといった感じのもので、マンションの一室にたまたま集まった8人が殺されていく展開になる。メインテーマのような曲とか仕掛人の人物像からすると古風なミステリーの雰囲気でも出そうとしたのかと思ったが、そもそも未知の科学力だかオカルトだかわからないネタを使っているわけなので真面目に考えても仕方なく、これで最終的に辻褄が合っていたかも不明である(考える気がない)。また全般的に登場人物の考え方や行動に人として不自然な点が多く、「前作よりも緻密なストーリー展開」とされている割には緩い印象があるわけだが、それより専ら意外性が重視されていた気はしなくもない。発端になった出来事の真相などはありがちな感じだったが、何より人が死んでいく順番が意外だったとはいえる(1人目を除く)。 ちなみにこの映画は当時AKB48所属だった永尾まりやという人の初主演映画ということになっているが、登場人物の中で唯一特殊な立場というだけで、終始大活躍でもなかったのはかえって妥当な扱いかも知れない。また若手女子では花村裕加という人(後の小西キスという人?)も結構目立っていたが、2人とも唇が特徴的なので重複感があるというか何かこだわりがあったということか。もう一人、少し年上で落ち着いた感じの所里沙子さんは、これまで見てきたところでもあまり派手な役がなかったので今後に期待したい。[DVD(邦画)] 3点(2018-06-17 09:57:41)《改行有》

544.  万引き家族 《ネタバレ》 家族を扱った映画らしい。劇中の家族は当然ながら法的枠組みのもとでの家族より不安定で、いわば万物が流転する中での一瞬の状態を捉えたように見える。年長者の死去や構成員の離反がきっかけで最後は離散してしまったが、いずれこうなるのは目に見えていたともいえる。また家族の情愛も確かに存在してはいたようだが、そもそも私利私欲が動機で集まっていたのなら真の家族といえるのかどうか疑わしいということになる。しかし、それもこれも含めて、実は劇中家族も制度的な家族も本質的には大して違っておらず、また血縁が決定的な役割を果たすともいえない面は確かにある。それより大事なことは、今この瞬間に親しい他者とどういう関係を作り、どのように互いを支え合うかだと思わされるところはあった。 この後のことに関して、特に気になるのは子どもらの行く末である。少年の方は分別もあって最後の別れもしっかり受け止めており、もうこの歳で父親を乗り越えてしまった印象もあったが、それでも家族だった男への情愛はちゃんと残していたようである。また少女の方は心許ない状況だったが、しかし実母をちゃんと他者として捉える兆しは見えていた、というように取ればいいか。この少女の心には、いわば他者との接続ポイントがすでにできていたようで、一度つながった人々とは切れてしまったにしても、いずれまた誰かとつながるのを待っているのだと思いたい。 以上、悪い話ではなかったが、それほど大感動ということもなかったので点数は7点である。ちなみに個人的にはこの内容を、何らかの社会問題や政治問題に直接結びつけて語る必然性は感じなかった(個別の台詞としては何か言っていたが)。ただ全国の児童相談所には頑張っていただきたい。 ところで先日、この映画に関してネット上で少し騒ぎがあり、制作側からも両派に対して自制を呼びかけていたようである。個人的には特に何を言おうとも思わないが、こういう騒ぎが起きること自体が感情問題として不快なため、上で7点としたのを改めて採点放棄の0点にする。今後とも、自国といわず人類全体の文化を豊かにしていただきたい(物議を醸さずに)。 なお余談として、豊かであってもなくても犯罪にだけは手を出さず、真っ当に生きている人々にとって犯罪が許せないのはごく自然な庶民感情であり、実際に被害に遭った人ならなおさらのことである。この映画が芸術作品かどうかはともかく、興行前提の製作物であれば一般から悪感情を寄せられるリスクは当然覚悟の上と思われるので、自分としてもこの面でこの映画を擁護する気にはならない。[映画館(邦画)] 0点(2018-06-16 19:58:01)《改行有》

545.  ホワイトアウト フローズン・リベンジ 《ネタバレ》 邦題は気分的なカタカナ言葉を長々と連ねているが、原題の”Прячься”というのは隠す/隠れるという意味の動詞の単数命令形のようで、要は「隠せ」とか「隠れろ」の意味かと思われる。 日本向け宣伝では「クローズド・サークル・サスペンス」とされており、非常に真面目な作りで変な見せ場は全くない(オカルト・SF・ファンタジーなし)。人里離れた測候所で消息を絶った5人と、後日、それを捜査に来た捜査官2人を中心に、何が起こったのかを次第に明らかにしていく物語で、時間差のある出来事が並行して進んでいく形になっている。それで特にわかりにくいわけではないが、最初に時間を遡った場面で、画面の左下にロシア語で「二日前」と表示されていたのを字幕で説明していないのは不親切である。 世間的な評判としては悪くないようだが、自分にとっては申し訳ないがそれほど感慨深い話でもなかった。ただし名探偵の相棒を気取っていた若手捜査官が、最初に自ら進んで残留したのが残念な結果になったのだなとは思う。また昔起こった殺人の理由は不明瞭なまま終わったが、こういう国ではそういうことがよくあった(ある?)のだろうなと思わせる台詞は出ていた。 なお舞台の測候所は高地にあり、それほど厳寒期でもなく地表面も見えるので「ホワイトアウト」の状態に至る場面はなかったが、天候によっては全く視界が効かなくなり、また晴れれば遠くの平地まで視界が広がって開放感が生じるといった変化は出していた。序盤のヘリコプターで空からしか来られない場所ということが印象づけられるので、当方としては字幕に出ていた「ウラルから極東まで」のどこかをイメージしていたわけだが、実際の撮影場所はクリミア半島だったらしいのは意外だった。そういうつもりで見れば、遠方の都市部のように見える場所はクリミアの首都シンフェロポリかという気もするが、そのように思ってしまうとかなり興醒めである(シベリアとかだと思いたかった)。 そのほか登場人物に関して、妻役の女優はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」にも出演したマリーナ・アレクサンドロワという人だが、この映画では単なる化粧の濃い美女であって特に可愛く見えるところはない。19歳の男を誘惑する30歳の女(女優の年齢は27~28歳くらい)という役どころで、素っ裸になりそうでいてならないのはちゃんと抑制がかかっている。[DVD(字幕)] 5点(2018-06-10 19:30:00)《改行有》

546.  ストリート・レーサー 《ネタバレ》 ロシアの大都市サンクト・ペテルブルグの街中(と郊外)を、若い連中が車で走り回る映画である。原題の”Стритрейсеры”はStreetracersそのままの言葉で、邦題も同じく素直なネーミングになっている。 車の種類はよくわからないが日本車がかなり出ているようで、そのせいか当時は日本向けのオフィシャル・サイトもできていたらしい。どうせ壊されるのは日本車ばかりだろうと思っていたらそうでもなく、欧州車も最後はブチ壊れてしまう運命にあったが、ヒロインの愛車であるトヨタ・セリカは最後まで無事だったようである。外観的にピンクのデザインがキュートでヒロインに似合いのクルマだった。 なお唯一のロシア(ソ連)製乗用車だった主人公の車(Т-34と書いてある)は早々に退場してしまっていたが、ほかに冒頭の戦車レースでは本物のロシア(ソ連)製戦車らしきものも出ていた。 物語としては、ロシア社会の裏にはびこる悪に若い連中がからめとられていくのかと思っていると、結果的には真の悪が無残に滅び、自由な若者が祝福される話になっている。若者同士の対立関係も陰湿にはならず、特に主人公とライバルの対決の結末は意外で、こういう展開もありうるのだなと感心した。ほかに笑わせるところも結構あって楽しめる(コックリさんなど)。 映像面では、暗く冷たいロシアという先入観(というか偏見か)を崩すような暖色系の色彩が中心で、車のカラーリングもどぎついというより普通にカラフルな印象になっている。都市景観の面では古い街並みも見えていたが、特に川沿いで空が広く見える風景にこの街らしさが出ているのではと思ったりした(1回しか行ったことがないが)。また運河の名前も出て水の都を印象づけている。 登場人物としては、ヒロイン役はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」にも出演したマリーナ・アレクサンドロワという女優である。今回は走り屋の不良娘だが、なかなか可愛いところも見えるのはよかった(変顔も出る)。 なお余談として、劇中の車に関する情報は各所に出ているが、序盤で出た戦闘機?が何だったのかの解説はない。見たところ、機首部分やエアインテークの形状、並列複座であること、また可変翼のように見えたことからSu-24と思われる。もう一つ、菅田将暉似の男の車のナンバーが「1000000УЕ」(Условная единица)だったのは多分「100万ドル相当」という意味である。もともとインフレが激しかった時期の表示方法らしい。[DVD(字幕)] 6点(2018-06-10 19:29:56)《改行有》

547.  限界戦線 《ネタバレ》 邦題は中身と関係なく適当に付けてあるが、原題の“Последний бронепоезд”は「最後の装甲列車」という意味のようで、英題はその直訳らしい。ちなみにロシアとベラルーシの合作ということになっているが、場所がベラルーシというだけで、ベラルーシという国の主体性は特に感じられない。 本来は映画というよりTVドラマであって、オープニングなどいかにも連続ドラマ風にできている。IMDbによれば放送時には全4回で計124分、拡大版が6回で計215分で、映画版として上映されたのはTV4回版に相当するものらしい。TVドラマをつないだためか、戦闘場面のほかに若手・年増女子2人とのからみとか戦闘ともいえない殴り合いなど、各種の見どころを少しずつ出して連続させていく形に見える。しかし全部通して見ての高揚感とか満足感があるわけでもなく、いわば暇つぶしで延々とTV番組を見ている感じになっている。 物語としては1941年6月の独ソ戦開始から3週間経った7月中旬の出来事で、ドイツ軍が早々に占拠してしまった鉄道橋を、現地のソビエト軍が装甲列車に頼って取り返す話になっている。スターリンによる粛清で軍が弱体化していた時期であり、地位を追われて収容所にいた元軍人を主人公に据えることで、最後にソ連側が勝ってもソ連万歳には必ずしもつながらない話を作っている。 軍事に関しては詳しくないが、原題の装甲列車は文字通り装甲していて砲や機関銃も備えていて勇ましい感じに見える。またグライダー(滑空機)による空挺作戦が珍しく見えたり、急降下爆撃機がこういう風に降りてきたら怖いだろうと思うところもあった。特に個人的に印象深かったのは、砲撃で死んだ男の腹が裂けて腸がはみ出していた場面で、実戦なら陸海問わずこういうことはいくらもあっただろうが、映像化してみせたのは自分としては初めて見た。 ほかキャストに関して、若い看護師役はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」に出演して強い印象を残したマリーナ・アレクサンドロワという女優である。この人がなんと裸になるというのがこの映画の売りになっていた(少なくとも自分はそのつもりで見た)が、実際はほんの一瞬上半身を見せるだけの控え目な露出だった。別にそれで落胆して点数を落としたわけでもないが。[DVD(字幕)] 4点(2018-06-04 21:25:55)《改行有》

548.  極限水域 ファースト・アフター・ゴッド 《ネタバレ》 第二次世界大戦中のソビエト海軍の潜水艦長の話である。原題の“Первый после Бога”は英題と同じ意味で、邦題だけが誇大広告気味になっている。 劇中の潜水艦基地はフィンランドにあるとのことで、あえて特定するとすれば1944/9/19の休戦協定により海軍基地として租借されたポルッカラ半島のことかと思われる。劇中ではフィンランド語を話すフィンランド人やスウェーデン語を話すフィンランド人?が出ており、”HOTELLI”の看板とか製材所の喫煙禁止表示もフィンランド語のようだった。ちなみにフィンランド語/フランス語/スウェーデン語?の台詞の直後に音声でロシア語訳を被せていたのは非常に聞きづらい。 戦争映画としては、艦船の映像はそれなりに見えるがほとんど架空の戦記のようで、最後のドイツの大型艦など名前が変で排水量も半端な数字である(後述の客船に合わせたのかも知れないがあまり意味はない)。また最初の攻撃で輸送船を撃沈した意図はわかるとして、その後はどういう理由で潜水艦が出撃していたのか不明瞭だったが、それは邦訳がまずいせいもあるかと思われる。どうも基本的な軍事用語がわかっていないらしい。 ところで外部情報によると、主人公にはモデルになった実在の英雄がいたようで(cf.「ヴィルヘルム・グストロフ (客船)」)、要はこの人物を顕彰するのが目的の映画と取れる。しかしこの人物が英雄だと観客が自然に納得するよう作られているわけでもなく、初めから英雄扱いなのをそのまま受け入れろと要求されるだけである。 また片思いの少女も浮いた感じの人物で、出番が少ない割に全部見ていたかのようにナレーションまで担当していたが、実際主人公のことなど何もわかっていないのにFIRST AFTER GODなどという勝手な思い込みが痛々しい。まあそれは仕方ないとしても(まだほんの子どもらしいので)そんなことが主人公の顕彰につながるわけでもない。 どうも半端で独りよがりな映画のようで突っ込みどころが多いのは困る。そもそも難民船でも引揚船でも平気で撃沈して恥じることのないソ連潜水艦など称揚するわけにはいかない(cf.「三船殉難事件」)。 なお若干面白かったのは艦内に「ケマルチュク」というのが住んでいるという話で、要は単なるホラ話だろうが、この後もこの潜水艦が生き延びていくとすれば都市伝説的に語り継がれていくのかも知れない。ちなみに劇中潜水艦(S-113)のモデルになったと思われるS-13は1954年に退役している。 [2022-05-14追記] 難民船を撃沈して悪名の高い潜水艦長を、忘れた頃になって引っ張り出して英雄扱いしようとする魂胆が気に食わない。最初は穏便にと思って4点を付けていたが今回改めて点数を落としておく。日本人も「三船殉難事件」や樺太(「氷雪の門」1974)や満州やシベリア抑留などのことを忘れてはいない。残った点数はケマルチュクの分だ。 なおそのケマルチュクКемарчукとはこの潜水艦だけにいるのでなく、“目に見えない乗員”として船乗りの間で共通認識になっているのかも知れないと思ったが、今回改めて調べてもネット上に情報が少なくわからないのは残念也。この映画で見た限りでは、勤務中に寝てしまった奴がいた場合のおとぼけや揶揄に使うもののようでもある。[DVD(字幕)] 2点(2018-06-04 21:25:53)《改行有》

549.  THE レジェンド -伝説の勇者- 《ネタバレ》 邦題が俗な感じで全く信用する気にならない。原題の“Stara baśń. Kiedy słońce było bogiem”は英語でいえば“Ancient Tale: When the Sun Was God”のようで、要はポーランドにキリスト教が導入される以前、太陽を信仰していた頃の昔話である。 この辺の歴史はよく知らないが(それをいえばどこの歴史もよく知らないが)、ポーランド王国の最初の王朝「ピャスト朝」につながるピャスト家の創始に関わる映画であるらしい。年代としては9世紀あたりのようで、日本では平安時代に当たる。史実とも限らないが全部が創作ということでもなく、年代記に書かれた内容をもとにして、英雄とか恋愛とか当時の風習などの見どころを加えて娯楽性を高めようとしたものらしい。大昔の話ということで若干のファンタジー感も出してある。 話の大筋としては、部族連合の長?だった王が絶対権力を得ようとして失敗し、代わりに皆の支持を集めた者が王になって、サクソン族やバイキングといった外敵に対抗する体制を整えた形になっている。王の専制を否定する点で、後世のいわゆる「貴族共和国」のようなあり方を目指していたようでもある。 しかし実際見て思うのは著しくスケールが小さいことで、せいぜい田舎の村同士で抗争している印象しかないが、逆にこの時代のこの場所では実際この程度のものだった、というようにも取れる。少々古くさい映画に見えなくもないが、それでもCGを入れたりしているのは一応21世紀の創作物である。 考証的に正しいのかわからないが興味深かったのは、夫が死ぬと妻が生きたまま一緒に火葬される風習(本当か?)やバイキングの行動様式といったものである。湖水に守られた木造の城塞は目を引くが、これに当たるものが実際にKruszwicaという場所にあったらしい。また舟で渡る聖堂の島はアルノルト・ベックリンの「死の島」を意識していたように見える。ほか王が籠城を決めた後に、何が行われているかをしばらく説明せず、王子の死で一気にわからせるといった少し気の利いた展開もあった。 登場人物としては、ヒロイン役のマリーナ・アレクサンドロワという人はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」では可愛らしいロシア女性を演じていたが、この映画でも注目せずにはいられない可憐な美女になっている。主人公の男もけっこう格好いいのでヒロインとはお似合いだと思ったが、この男に横恋慕した船着場の娘はかわいそうだった。[DVD(字幕)] 5点(2018-06-04 21:25:50)《改行有》

550.  キル・鬼ごっこ<OV> 《ネタバレ》 孤島に集められた連中が殺し合いをする映画で、宣伝では「バトル・ロワイアル」(2000)の流れをくむものとされている。今になればもうこの手のものなど見なくていい気もするが当時はまだしも新鮮味が残っていたものか。題名は「キル・ビル」(2003)と「リアル鬼ごっこ」(2001年発行)から借りたのかも知れないが、鬼ごっこにはなっていないので看板に偽りがある。殺戮の残虐度が低い上に緊迫感もなく、人間を盛大にぶち殺したい観客の意向には全く応えられないと思われる。 テーマについては監督本人がいろいろ語っており、作り手が何も考えていなかったわけではないことはわかる。一応紹介しておくと、17歳くらいの少年少女に生死の問題を意識してもらうこと、また欠点との向き合い方を考えてもらうことが重要だということで、要は17歳前後の観客が見る映画ということである。また出演者の言葉として、これを見る時は部屋を暗くして仲間と騒ぎながら見てもらいたいと言っていたのは本質をついている面もあるとは思うが、そういう場面で本当に有用なのかも若干疑問がある。 個人的感想としては登場人物の反応がいちいち鈍いのが非常に苛立たしく見えたが、映像的には絵として見映えのする場面も多いように思った。撮影場所は島ではなく静岡県とのことである。 登場人物に関しては、誰ひとりとして17歳には見えないがそれを言っても仕方ない。ヒロインはかろうじて18歳くらいだと思うが大人びているのでセーラー服が似合わない。また近年もあることだがダンスグループのメンバーが大挙出演しており、そのせいか劇中に特に必然性のないラップとかダンスの場面が入っていたりして、噂に聞くインド映画とはこういうものかと思わせる。その程度はまだいいとして、突然の剣劇などは若者向けの趣向とも思われず、こういうストーリーと無関係な演芸を披露するのはさすがに不可解だった。 またエンディング後の追加場面は、製作上の要請でやったとのことだが明らかに不要である。ただ明らかに不要な印象を受けることからすれば、逆にこれは無視して構わないという意思表示だったとも取れる。[DVD(邦画)] 2点(2018-05-30 21:51:14)《改行有》

551.  無人島物語 BRQ 《ネタバレ》 見る予定はなかったが時間が短いのと無料だったので見た。題名は今の感覚だとBBQと間違えそうになるので注意が必要である(全く違う印象の題名になる)。 レースクイーンの出演が売りのようだが、自分としては当該分野に全く関心がなかったのでほとんど誰も知らない。かろうじて「牛川とこ」という人だけは名前のインパクトもあって記憶に残っており、この人を見ようというのも動機になったとはいえる。それにしても2001年の製作ということは、この人ももうそれなりの年齢だったということになるわけだが、もとが童顔なのでそこは許される気がしなくはない。現在は引退して子どももいるとのことで、公式ブログなど見ると今でも可愛く見える写真が載っている。 この人以外の顔は全くわからないが、例えばいかにも曲者じみたアオイという人物役が誰なのかくらいは知りたいところだった(麻田ユリカという人か?)。どうせこんな映画?で名前にこだわる必要もないだろうから、出演者名と役名を全部同じにしてしまえばよかっただろうが、そういう知恵は当時はなかったらしい。 中身に関しては、要は孤島に集められた連中が殺し合う話である。政府がどうしたとかいう大仰な理屈もなく、ただ単にシチュエーションだけが用意された印象で、最後に何か説明のようなものもあったがそれで納得するわけでもない。極限状態での人間模様という面からすれば、一応それぞれの人格に対応した行動なども描写されていたようだが基本的に浅く、前記アオイという人物のキャラクターが特徴的なくらいだった。かろうじてラストの「強いね」だけは少し和んだ。 これよりなら、同種類似で5番煎じくらいの「シンデレラゲーム」(2016)の方が4倍もましに見える。よほど21世紀初頭に活躍していた人々が見たいのなら別だが、そうでなければ新しいのを見た方がいい。[インターネット(邦画)] 1点(2018-05-30 21:51:12)《改行有》

552.  バレンタインナイトメア 《ネタバレ》 「ハロウィンナイトメア2」(2015)に続くシリーズのようなものらしい。前作もちょっとどうかという感じだったがこの映画に関しては、予算面のほかにも例えば(素人がいうのも何だが)よほど時間がなかったとか、あるいは3時間くらいに作ってしまって無理に短縮したとかいうような、何かの事情があったのではという気がした(真面目に作ったという前提でいえば)。特に“フランケンシュタインの怪物”の件が唐突で、何がいいたいのかは薄々わかるとしても、それが今回の事件全体とどう関わっているのかがわからない。 ちなみに大事なところでオーケストラ付きの歌曲(リヒャルト・ワーグナーとのこと)が流れるのは別に好きではないが嫌いでもない。が、エンディングで出ていた邦訳で、自称が基本的に「僕」だったのに一か所だけ「私」だったのは、仮に何か意図があったとしても変である。この歌詞とストーリーとの関係もあまり明瞭でない気がした(要はあの場で死んだということか?)。 また最も不満に思ったのは、主演女優の魅力がほとんど出ていないことである。役柄との関係なのか演出なのかその他の理由かわからないが、他の映画で見た時の(2回だけだが)強力なオーラのようなものが感じられず、単なる普通の女子のように見えている。かえって死者役の芋生悠という人が、特殊メイクなしだといい感じに見えた。また他の映画では名もない端役に甘んじていることもある佐々木萌詠さんが、今回は目立つ役だったのは個人的に嬉しい(また悪役だ)。もう一人、加納美香役の藤井衣瑠花という人が頑張って演技していたのは目についた(少し笑ってしまうところもあったが)。 ちなみに監督の今野恭成という人物は、この少し前の「リスナー」(2015)というオムニバス映画でも名前を見たことがある。今回は監督・脚本・撮影・編集を一人でしていたようでご苦労様だった。[DVD(邦画)] 2点(2018-05-24 18:58:26)《改行有》

553.  HALLOWEEN NIGHTMARE ハロウィン ナイトメア2 《ネタバレ》 名前からすると「ハロウィン ナイトメア」(2015)の続編らしい。前作は見ていないが、これ単独で見る限りはストーリーなどどうでもいいように見える。ほとんど空虚な映画だが、そこを何かが起こりそうなこけ脅しと、主演女優の映像で埋めて1時間にした感じである。 こけ脅しに関しては、いかにも何かが起こりそうでいて、何もないまま次の場面に移って束の間の安心感を生じさせるのは、中身のないホラー映画の典型のようでもあるが実はそれほど嫌いでない。また女子高生4人組がメインと見せておいて早々に脱落者を出してしまい、主演女優ばかりが終始目立っていたのも結果的には悪くない。武田玲奈さんの初主演映画らしいが(自慢にもならない感じだが)、この人の顔はもちろんすらりとした体型を含めた全体像を印象づける映画になっており、そっちの方が真の製作目的かとも見える。 また、どこかのショップ(注:原宿に直営店があった輸入コスチューム・ランジェリー販売店)で「かわいい」連発の映像を延々と流すとか、カボチャの投げ合いをまた延々と続けるとかを含めて全体が1時間なわけだが、終盤のパーティ会場の怪しげな空間(注:東武線曳舟駅近くのダイニングバーを借りたらしい)での妙な高揚感も含めてgirlyな色付けがなされており、これがエンディングにも引き継がれて変な余韻を残す映画になっていた。 ほか細かいところでは、女子2人が走って逃げた場面で傘が裏返ったとか、2人目の失踪場面で背後に宅配便のトラックが意味ありげに停まったとか、主人公が友人を探しに出ようとして少し突っかかったとかいうのは意図不明だった。しかし女子2人の後を追ってストーカーが出て行ったところの流れは好きだ。 ちなみに山下洋助監督は、この少し前の「リスナー」(2015)というオムニバス映画で「RADIO GIRLS」というのを見たことがある(女子高生4人の太ももが見どころとのこと)。その時点で東京芸大の院生だったはずだが、当時からこういうことをやっていたらしい。 そのほか余談として、主人公の父親が関わっている月刊誌に「比謝愛未VS狐憑き」という記事があったので“比嘉”愛未ではないのかと思ったが、今野敏という作家の「心霊特捜」という小説に比謝里美(ひじゃさとみ)という登場人物がいて、「狐憑き」というエピソードもあるらしいので読んでみるかという気になった。映画化の素材としてもいいかも知れない。[DVD(邦画)] 3点(2018-05-24 18:58:23)《改行有》

554.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 一般論としては“生きるために生まれてきた”というのが重要なように見える。映画を見ていると、なんで登場人物がそんな大事なことを都合よく忘れるのか?と思うわけだが、しかしそれを忘れて生まれるのは姫だけでなく人間全部が同じと思えば、少なくとも若年者に対しては劇中世界を超えた普遍的なメッセージになっている。 姫の犯した罪と罰というのは意味がわからなかったが、生きる苦痛から逃れようとしてこの世を去らねばならなくなり、親を泣かせた上に自分がしたいこと、すべきこともできなくなったのが罰なのだろうとは思う。それにしても逃げに走ったのが一瞬だけだったのに、いきなり召還というのは酷な気もしたが、それは罰というより父親が早く実家に呼び戻そうと待ち構えていた感じだったのではと思ったりする。 ところで最後の迎えが阿弥陀来迎図なら、西方極楽浄土(いわゆる極楽)が月にあるような設定ということになる。現代では天国とか極楽とかいったものがディストピア風に扱われることが多い気がするが、しかし昔は生きること自体が本当に過酷だったからこそ、輪廻を離れて永遠の安穏が保証された世界を願ったという面もあったのではないか。それを安易な逃げとして簡単に否定してしまう今の日本はよほど恵まれた時代なのかも知れない。また歴史的に見れば、実際に平安末期から大流行した浄土信仰を否定して終わったようなのが時代に逆行した感じで変な気もする。 自分としては残念ながらあまり心に染みるものはなかったが、しかしここのレビューを見ていると結構さまざまな見解があってなるほどと思わされる。そのように見た人それぞれの反応を引き出せる深みを持っているのは、この映画が優れた創作物であることの一つの証明かも知れない。 ほか余談としては姫の屋敷がそれらしい感じの寝殿造りで、東に中門があって西に釣殿があり、実在した「東三条殿」を模したような構造だったのが興味深い。こういう建物が出て来るからには劇中年代は平安時代ということになる。また富士山から煙が上がっていたのは芸が細かい。 登場人物では「車持皇子」の一人芝居に笑った(これはやりすぎだ)。「御門」の顎はハプスブルク家の真似ではないか。また、ひときわ雑な顔をしている「女童」は、最初は不気味に思ったが、結構愛嬌があって可笑しいキャラクターなので和んだ。これはこれで有能な人物なのだろうが何歳の想定なのか。なんで田畑智子さんがこんな役をやっているのかもわからない。[DVD(邦画)] 7点(2018-05-19 00:00:09)(良:1票) 《改行有》

555.  竹取物語(1987) 《ネタバレ》 原作付きの映画ということになるがまともに読んだことはない。 当時の感覚としては「未知との遭遇」(1977)などよりはるか大昔から、日本ではこういう壮大なスペースファンタジーがあったと言いたかったのだと思われる。最初がまるきり「まんが日本昔ばなし」だったのは少し呆れたが、求婚者のうち一人を本命扱いして純愛物語のようにしたのは悪くなく、衣装にかなり力が入っていたのが目を引いたりして、娯楽映画としてけっこう楽しめるものになっている。大昔にTVで見たときには割といい印象だったのを憶えているが、それもそれほど間違ってはいなかったらしい。ただ主人公の姫は人物造形が不十分のようで、どういう人格なのかがはっきりせず、結局あまり好きになれなかった。また眉毛をきつい感じで描いていた割に凛とした感じが足りないようでもある。 ところで少し気になったのは劇中年代がいつなのかということで、原作で求婚者のモデルになったとされるのは飛鳥時代から奈良時代初期にかけての人々だが、映画のラストでは「八世紀の末の(西暦七九〇年頃)ことである」と出たので少し驚いた。七九〇年が西暦というなら八世紀も西暦だろうがそれはまあいいとして、この時代設定だと劇中の「帝」は桓武天皇ということになり、従来の世界観を覆す出来事に触発されたために(長岡京を経て?)平安京へ遷都したということにしたかったのか。 そうすると映像に出る条坊制の都は藤原京ではなく平城京だったことになるが、それなら最初の風景映像に出た大和三山のような感じのもの(4つ見えるが)は何だったのか。また劇中人物の名前でも「耳成の長者」「畝傍の真名井?」といったようなのがあり、どうも最初は飛鳥時代のこととして制作を進めていたのが、途中で方針を変えて前記キャプションを入れたので変になったのではという気がした。 なお自分として面白かったのは、求婚者の一人が竜を発見した場面が東宝伝統の怪獣特撮だったことで、ここで海面に竜が現れたので船が危ないと思ったら、いったん無視して通り過ぎていったのはかなり意外で斬新だった。怪獣映画なら最初から狙ったように船を壊しに来るだろうが、この映画では変に刺激しなければ難を逃れられたはずというのが野生生物的といえる。[DVD(邦画)] 6点(2018-05-19 00:00:06)《改行有》

556.  こころに剣士を 《ネタバレ》 戦後にエストニアでフェンシングの指導をした人物の伝記物語のようなもので、年代は終盤の大会の時点で1953/2/25とされている。 フィンランドとエストニアの合作とのことで、監督はフィンランド人だが出演者は基本的にエストニア人らしい。言葉も基本的にはエストニア語で、ロシア人と話すときはロシア語だったように聞こえる。ちなみに言葉が何か聞き取れないかと頑張って聞いていたが、かろうじて“isa”というのがわかった程度だった(フィンランド語が話せればもっとわかるはずだが)。撮影は劇中のハープサルのほか基本的にエストニア国内だったらしい。 映画としては時間が短くシンプルでストレートなお話になっている。特に終盤はかなり都合のいい展開だが、実在の人物の業績を極端に圧縮するとこうなると思うしかない。物語の表現としてもわりと淡々とした感じで、かえって景観映像の方が雄弁に見えるところもあった。 印象的な場面としては、劇中の女性教員がいわば母親の立場だとすると(長い台詞を一気に吐き出していた)主人公がいわば父親の立場として、子どもらにしっかり伝えるべきものがあるという決意を見せたところだった。またラストの駅の場面では、主人公と女性教員を中心とした大きな家族ができていたように見えて和む。 登場人物では主人公の風貌やたたずまいが好印象だった。また補欠の少女の面構えが非常に良好で、基本的に我の強い頑固者のようでいながらいざとなると怖気づいていたのが可笑しい。これが極端に都合のいい展開の中でのささやかな波乱要因になっていた。 ほか余談になるが、屋台で物売りしていたおばちゃんのような人物はなぜかロシア語だったようで、庶民レベルでロシアの影響が浸透していたことの反映かと思われる(現在もロシア人はエストニアに多く住んでいる)。 また主人公の学校が「第2中学」だったのに対してレニングラードが「第148中学」、モスクワが「第117中学」だったのは圧倒的な人口規模の差を示していたようである。最後にうなだれていた少年には悪いが、小国エストニアの小都市ハープサルの弱小チームが大モスクワを下したのは正直痛快だった。ちなみに会場で用具を貸してくれたのは、エストニアとは別の連邦構成共和国であるアルメニアの代表だったようで、ハープサルの勝利を一緒に喜んでくれていた。[DVD(字幕)] 6点(2018-05-12 10:56:05)《改行有》

557.  バルト大攻防戦 《ネタバレ》 宣伝によれば「エストニア独立の闘いを描いたベストセラー小説を完全迫力映像化」だそうだが、できた映画が1時間半しかないというのは大胆に省略しているのかと思われる。その割に、原作になかった部分を大衆映画向けに大きく加えてあるとの噂もあるが、しかし例えば主人公の兄の背景事情くらいは推察できるようにしてもらわないと、原作を知らない人間には不親切に見える。 基本的にこの映画のいいたいことは(勝手に決めつけてしまって何だが)、第一次大戦後には義勇兵が頑張ったおかげで独立が得られたが、第二次大戦ではそんな気概もないままソビエト連邦に併合されてしまい、かつての義勇兵の犠牲が無駄になったので、今後はそういうことがあってはならない(フィンランドを見習え)ということと思われる。ちなみに日本でいう反戦映画では全くない。 義勇兵といっても高校生であるからガキでヘタレなところを見せつけてくれるが、主人公に関していえば、一目ぼれの彼女(清い関係)を守るために初めて本気で戦う決心がついたということらしい。それだけなら単なる個人的事情でしかないわけだが、実際はそういう類のことが無数に起きるので、これを総体として防ぐのが義勇兵(エストニアの民衆)の戦いだ、という本質論を語っていたのかも知れない。 しかし、とにかくこの恋物語の付け足し感が非常に大きく、青春ラブストーリーとしても話が飛びすぎで都合も良すぎで、これで真面目に見る気がかなり失われた。その後の戦闘にしても緊迫感がなく、登場人物が物語の都合で順次死んでいくだけで心が痛いと思うこともない。個人的にエストニアの悪口はいいたくないが、いい映画かどうかとは別問題というしかない。 ちなみに外国人としてわかりにくかったのは、主な敵としてラトビア人の赤軍部隊が出る理由(単に実態がそうだったから?)と、白服の兵隊はフィンランド人だったのか??ということである。領主館にいた東洋人(吹替えでは中国人)は何だったのかも気になる。 なお邦題は実態を全く表していないが、こうでもしなければ邦訳付きのDVDが見られないのだろうから仕方ない。英題の“大理石の名前”というのも意味不明だが、エストニア語とフィンランド語の題名には大理石とともに“黒板”を表す言葉が含まれているので、要はラストで黒板に書かれていた名前のことだと思っておく。それ以上の深い意味があるかはわからない。[DVD(字幕)] 3点(2018-05-12 10:56:02)《改行有》

558.  ポエトリーエンジェル 《ネタバレ》 田辺・弁慶映画祭第10回記念映画とのことで、撮影の多くが和歌山県田辺市で行われている(他に栃木県)。田辺市は全国を代表する梅干しの産地らしく、主人公を梅農家の息子という設定にしたことで、あまりくどくない適度なご当地映画になっている。 「詩のボクシング」というのは実在の競技で、表現手段としては狭く「詩」限定ではなく散文でも詩吟でも何でもありということらしい。劇中で出場者が「詩」とはとても思えない好き勝手な表現をしていたのも、それ自体は咎めだてするようなことではないようである。 監督によれば「誠実に作ったつもり」とのことで最終的にそうなっていたのは当然として、しかし序盤はかなりふざけた映画という印象が強い。特に最初の練習試合では、こんな出鱈目な連中を部活で真面目にやっている生徒と対戦させるのは無礼ではないかとも思われた。メンバーは変人ばかりだが、特にサークルの指導者が怪しすぎるのとやかましすぎるのと適当すぎるのとバカすぎるのが極めて不快で、こんなのを記念映画にしてしまっていいのかという気分だった。 ただその間も主人公男女のまともなドラマが展開していき、後半の試合では発表内容も少しましになる。それまで停滞していた主人公のアイデアも、やっと父親に聞かせるだけの実のある内容に発展したようだった。また、ずっと攻撃的防御の姿勢で固まっていた少女が、劇中初めて皆の前で率直な思いを一生懸命告げたのは当然ながら少し泣かされた(これで負けたというのが信じられない)。ラストの笑顔にもまた和まされ(こういうのに弱い)、結果的にはいい印象を残す映画になっていた。 なお試合の場面は競技かるたなどと比べて緊迫感はなく、個々の発表内容もそれほど感心はしなかったが、高校生は真面目なのが比較的多いのでよかった。自分としては最初の対戦での「詩吟の板屋」の発表がシンプルで好きだ。 キャストに関しては、主人公男女のうち男の方は前から知っていたが、少女役の若手女優は今回初めて存在をしっかり認識した(正確には直前に見た「咲-Saki-」(2017)から)。同じ監督の短編映画「チキンズダイナマイト」(2014)に続いてのキャスティングとのことで、当初の取り付く島のなさそうな固い表情と、殻を外した状態でのかよわい素直な表情の対比が印象的だった。また富田望生という人にも注目していたが、今回は可愛く押し倒される役だった。[DVD(邦画)] 6点(2018-05-06 19:58:26)《改行有》

559.  バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ 《ネタバレ》 近年、邦画のロケ地として栃木県がのしてきているようで、この映画でも最初から栃木県が前面に出ている。自分が気づいたところでは旧・喜連川町(現・さくら市)と宇都宮のオリオン通りが出ていたが、このまま最後まで栃木県では映像的に地味だろうと思っていたら後半は本物の沖縄に行ったようで、うるま市のゆるキャラ「うるうらら」が狙撃されて倒れたのは気の毒だった。 ストーリーとしてはただの高校生が世界の命運を左右するタイプの大それた話で、終盤などは一応スリリングな展開になっているが、そもそも主要キャスト3人をジャニーズJr.で固めた企画なのでたかが知れるところはある。NERV風の演出とか「宇宙人、未来人…」とか、微妙に既成アニメのパロディに見えるところもあるがだから何だという感じである。基本的にはコメディだが全編にわたって笑えるわけでもなく、寒いギャグが多い中で部分的に可笑しいところもあるという程度だが、個人的には「今日、恋をはじめます」とウィキペディアはツボだった。 なお少し感心したのは、NSAという略語の意味が2つあったということである。また1999年7月生まれの「恐怖の大王」が出て来るので、昭和年代から生きてきた者としては、もうこのネタをこういう風に使える時代になったのかと感慨深いものがあった。 ほか登場人物としては、男を見るためだけの映画かというとそうでもなく、マネージャー名目でついて来ていた女子2人(演・美山加恋、山崎萌香)も可愛く撮られているので、そこを目的にして見るのも変ではない。他の生徒役ではイケメンにデレデレしていた女子(演・北村優衣?)には笑った。またヒロイン役の竹富聖花(当時)さんはこの人に似合いのクールな美少女役だが、今回はアクションもあっての大活躍で、「女の子なのに!」のところはそうだそうだと言ってやりたくなる(反論は認めない)。この人にはどうか今後とも頑張ってもらいたい。[DVD(邦画)] 4点(2018-05-06 19:58:22)《改行有》

560.  氷菓 《ネタバレ》 原作もアニメも抜きで映画から見た。公開中から大爆死とかいう評判だったが、これだけ見れば別に悪い映画には思われないので、人気のある原作やアニメ(特にアニメ?)に便乗しようとする企画姿勢が反感を買ったのだろうと思っておく。映画の最後はまだまだ先がありそうな雰囲気で終わっていたが、以後の映画化はなさそうで寂しい気もする。 内容としては、ミステリーにふさわしく彩度を落とした暗めの映像だが陰気でもなく、特に最初は結構ユーモラスな展開で、「ラッキーアイテム」のところの人物の動きとか顔のイラストなどには笑わされた。しかしそれで羽目を外すわけでもなく、学園もののイメージを保ちながらテンションを抑えた劇中世界を作っている。メインキャスト4人は高校1年生というには無理のある役者ばかりだが、それは他の映画でもよくあることで、この映画ではかえって落ち着いた雰囲気につながっている。 登場人物としては、個人的にはヒロインの「私、気になります」の顔がかなり好きだ。温和でおしとやかに見えても有無を言わさない迫力があり、自分も腕を掴まれて謎解きを強要されてみたくなる。もう一人の女子は高校生ながら可愛いとも断言できない微妙な役だが悪くない。また問題の人物は、高校時代の面構えがなかなかよかったが、失踪直前の物悲しい表情も心に染みる。 ストーリー的に変だと思ったのは昔の事件で、問題の人物が生贄にされた経過が不自然だったことである。しかしそのような理不尽に対してこそ団結して斗争すべきところ、全員が保身を図って沈黙したというのがリアルかどうかは別として、この頃の騒動などその程度のものだった、と見切ったような筋書きだったのは面白い。ちなみに江戸時代の民衆運動なら、代表者は本当に生命を失う覚悟が必要だったわけである(岐阜県内の例では郡上一揆)。 なお映画の後で原作(小説)を読むと、付加と省略はあったがかなり忠実に映画化されていたようである。映画にあった「千反田が納得することだ」という台詞は原作にはなかったと思うが、真に必要なことを端的に言い表しているという意味では悪くない。また問題の人物が今いる場所を推定してみせる場面が原作にはなく、これは「納得」の具体例として映画で付加したものかも知れないが、それ以前の場面であらかじめ失踪場所への言及がなかったため、主人公の発言が若干唐突に感じられたのは惜しい。[DVD(邦画)] 7点(2018-04-30 23:58:10)《改行有》

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