みんなのシネマレビュー |
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561. スプリット 《ネタバレ》 シリーズもの2作目ということで鑑賞。 1作目とはうってかわってホラー色の強い内容。めちゃめちゃ怖いわけではありませんが、途切れない緊張感で最後までハラハラさせてくれます。 終盤で女の子たちが必死で逃げようとするシーン。あと少しで扉の鍵が開く…!そこまで見せたら次はビーストとの攻防…!と思いきや、次のシーンではすでにビーストに捕食されちゃっている女の子たち。この辺はシャマラン監督独特のセンスを感じます。 本来であれば一番観客をひきつけるビーストとの攻防シーンをあえて省くなんて、よほど腕に自信がなければできないと思うんですよね~。 主演のジェームズ・マカヴォイもすごい。 仕草だけでなく、雰囲気や声色まで変えて複数の人格を演じ切ります。 ヘドウィグのときは子供にしか見えないし、パトリシア?のときには女性に見えます。 この人の演技力があって、初めて成立する映画ですね。 ヒロインはやられちゃうのかと思ったら、生き延びましたね‥‥。次作でも出てくるのでしょうか。 それにしてもビースト以上にケダモノの叔父。この人に何の罰も与えられないまま物語が終わっちゃうのが消化不良。こいつにこそえぐい罰を与えてほしかったものです。 次作ではいよいよダンと相まみえるのか…今から楽しみだ…[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-09-05 03:33:10)《改行有》 562. アンブレイカブル 《ネタバレ》 『握手をするときがきたようだ。』が、まさかの真相につながっていくとは…!このオチのためだけにあるような映画です。ミスター・ガラス。まさかのサイコ・パス! デヴィッド・ダンは不死身。デヴィッド・ダンは力持ち。デヴィッド・ダンはエスパー。 これだけの力を持ちながら、なかなか行動に移そうとしない姿にはもやもや。 イライジャとの出会いにより、遂に自ら殺人鬼と対峙する。 まあ、見所がこことオチしかない割には、結構飽きずに見られた気がします。 ベンチ・プレスのあたりがやや冗長かもしれないですねー。最初は落とすんじゃないかと思って独特の緊張感だったのに、あまりにひっぱるもんだから途中で飽きちゃった・・・・。もう少し短い尺でスパッと驚かせてくれたらいいのになー。 ああ、もう一つ見所がありました。息子が銃をつきつけるシーン。そして息子にそっと新聞を差し出し、『シー』っとジェスチャーで伝えるシーン。息子との交流全部まとめて、名シーンと言えるでしょう。 ただ、『なぜ息子は父親に無敵のヒーロー像を求めるのか』という動機付けは弱かったように思います。 夫婦仲が次第に修復していくケースというのも、ある意味珍しいかもしれません。 割と緊迫感のあるサスペンス調の映画。箸休め的な夫婦イベントや家族イベント。それが適度な匙加減。メリハリが利いてて良かったです。 つっこみどころは多いかな。 病気になったことがないのは自分が一番よくわかっているだろーに、奥さんや職場の人に尋ねるのはわざとらしすぎ。 それに病気になったことがないのに、なぜその症状を知っているのか。 うん、もう少しヒーローとして覚醒してからの活躍を見てみたかった気持ちは否めないです。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-08-16 01:43:19)《改行有》 563. アンノウン(2011) 《ネタバレ》 つかみが100点。オープニングからぐいぐい惹きこまれます。 最初はよくあるなりすまし系のサスペンスなのかと思っていたのですが、リズ(妻)と自分でない男のツーショット写真が出てきたあたりで、実はすべてリーアム・ニーソンの妄想なのかと思ってみたり。『これはちょっと先が読めないぜ…!』と映画にのめり込んじゃいます。 マーティン・ハリスが頼みの綱にしていたロドニー・コールもなんやら危ないやつだし。そのロドニー・コールにもう一人の現地の協力者ユルゲンが殺されてしまうし・・・。この辺までは8点~9点くらいの、もうかなりよくできたサスペンスです。 ただ、正直申し上げて、真相がわかり始めてからオチに至るまでの盛りあがりが弱い。これぞ典型的な尻すぼみ映画。 そんななか終盤のお気に入りシーンは、プラスチック爆弾の解除が間に合わずにリズが爆死してしまうシーン。ここで間に合わせないのはちょっと好きな演出です。珍しいパターンだし、ちょっと笑っちゃいました。 殺し屋グループのみなさまも、個性があって良い味出していました。 ただそれぞれの最期はあっけない。ロドニー・コールの最期なんて、本当にあれで良いのだろうか。素人のジーナに瞬く間に二人もやられているんですけど・・・。 それにしても『リーアム・ニーソンが普通のおっちゃんやってる!なんか新鮮!』って思っていましたが、その正体はやはり凄腕の暗殺者。ですよねー!でも一流の殺し屋が空港に忘れ物してんぢゃねーよ。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-07-24 21:17:15)《改行有》 564. トランス・ワールド 《ネタバレ》 最初はホラーかと思ったのですが、すぐに違うと気づきます。 ああ、きっと『世にも奇妙な物語』系のサスペンスなんだろーなと。この人たちはきっと死んでいるんだろーなって。 で、その予想は当たっていたわけですが、まさかの血縁関係、これは予測できず。 非業の死を遂げた一族が、時代を超えて一堂に会するというのはなかなか面白い設定です。そしてその事実をすぐには明かさない。伏線をはり、違和感を演出し、驚きとともに真相に近づいていくストーリー展開が興味をそそられます。 そしてその目的が『未来改変』っていうのも私が好きなジャンルです。 ただどうしても未来改変ものとなると、『バタフライ・エフェクト』を考えてしまいますので、戦死するはずの祖父を助けてしまったら、ここにいる人たちはサマンサ以外消えてしまうのでは、・・・、と、どーしてもそこが気になりますね。 まあ、そーゆー細かいことに目をつむれば、非常によくできたサスペンス。 『クラシックな車でかっこいいね。』『そのダサいジャケットを貸せ。』『これ最新モデルなんだけど』などなど、小さい伏線に後から気付くわけです。これもう一回見直して伏線チェックしてみると面白いかもしれない。新しい発見がありそう。 ガソリンスタンドのおっちゃんは神様か何かなんでしょうかね? やたら強盗二人の女の人生修正しようとしますが、男のほうをなんとかしたほうが良いんじゃないだろうか?もしかしてここは笑いどころなのか??[DVD(字幕)] 7点(2022-07-20 07:47:47)(良:1票) 《改行有》 565. 祈りの幕が下りる時 《ネタバレ》 東野圭吾の小説も、加賀恭一郎シリーズも結構読んでいるのですが、この作品は未読。 どうしても見る前に期待値が上がってしまっていたので、映画そのものはその期待値を超えるものではありませんでした。 ただ期待値を超えてきたのは浅居父娘のパート。ここから全く別の雰囲気に。 小日向演じる浅居父が崖の上で何やら決意する。『ごちそうを食べに行こう』といって蕎麦屋に行く。この辺りからもう辛くて見ていられませんでした。 14歳の浅居博美がワゴンに連れ込まれてからしばらく無音でワゴンだけを映すシーン。このシーンが最高に怖い。そこからのトンネル。皆さんが口をそろえて絶賛されているように、今作の名シーンだと思います。ワゴンからトンネルでの父娘の別れまでが強烈すぎて、他のシーンが霞んでしまったようにさえ思えます。 ミステリーとしてはちょっと不満が残ります。 苗村先生と容疑者が全くの別人だったっていうところはわくわくしたのですが。 結局苗村はただの目撃者。押谷もただの目撃者。生きているはずのない浅居博美の父を目撃したから殺されただけ。 そうなってくると、浅居忠雄にも同情しづらくなります。 もちろん毒妻のせいで生き地獄を味わわされたことは同情に値するでしょう。 ですが『自分の存在を見られた』なんて理由で罪のない人を2人も殺していいはずがありません。娘のためにというならば、苗村先生に見つかった時点であきらめるべきでした。親が殺人犯として捕まるのは最悪。ましてや親が自分のために死ぬのはもっと最悪。でも更に最悪なのは、子供の手で自分を殺させてしまうこと。その時点で死ぬのもあきらめてほしかったです。 いや、そもそも論になりますが、なぜあんな女と結婚したのか。 あんな女を妻に選ぶなんて見る目が無さすぎでしょう。 真相が明らかになるまでは抜群の安定感で楽しめるのですが、真相がわかって腑に落ちないのは東野圭吾作品ではよくあります。 やはりこの人の作品はプロセスを楽しむものなんでしょう。 オチに期待してはいけませんね。 ちなみに加賀恭一郎シリーズは個人的に『卒業』が一番面白いと思っています。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-28 16:07:22)《改行有》 566. モンスター・ホテル2 《ネタバレ》 1作目より好き。 『バンパイアでも人間でもどちらでも良いよ』と言いながら、やはりバンパイアになってほしいじじバンパイア。 子供を人間として育てたい母バンパイア。 どっちでもいいけど、自分はモンスターホテルで働きたい父バンパイア。 これ面白いのが人間の父バンパイアはモンスターホテルに残りたくて、母バンパイアは人間の世界への憧れもあって子供を人間社会で育てたい。普通逆を望みそうなもんですけど、平和でなによりです。 で、それをひっかきまわすのがじじバンパイア。 ここも前作とは人物相関図に変化がありまして、前作でさんざん人間のジョナサンを嫌っていた父バンパイアがジョナサンを頼っているのがなんとも微笑ましい。そして溺愛していたはずの娘の母バンパイア(メイヴィス)とはやや敵対気味。こーゆー変化が楽しいですね。 そしてメイヴィスとジョナサンの子供がなんとも愛らしい。これはキャラクター勝ちですね。 前作のメインキャラクターたちが引き続き登場してくれるのも嬉しい。 モンスターたちの世界に現代文明が入り込み始めているのも最高。スマホやフェイスブックを扱うゾンビ。 バンパイアの特訓場は、バンパイアのキャンプ場に。保険会社との契約の関係で安全第一の経営。 現代の子供たちをとりまく過保護すぎる社会をちょっと揶揄っちゃうような描写には、メッセージ性も感じられます。 フランケンは人間の人気者になっちゃってるし、狼男とマミーはすっかり隠居気味で『やれって言われてもずっとやってないからな~』ってとにかくゆるい。 最後は子供が覚醒してちょっとヒーローもののような盛りあがりさえ見せます。 まあ若干つめこみすぎてしまった感はありますが、サービス精神てんこもりの見せ場の多さで飽きの来ないエンターテイメントに仕上がっていると思われます。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2022-06-28 03:46:32)《改行有》 567. マネーモンスター 《ネタバレ》 マネーモンスター。誰かを象徴している言葉かと思いきや、まさかの番組名。苦手な投資系社会派サスペンスかと思ったら全然違いました。いや、そうなんですけど、違いました。 要は上場企業アイビスの社長が会社の8億ドルを横領。アフリカの鉱山ストで暴落した鉱山株をその8億ドルで購入。鉱山ストのリーダー『マンバ』を買収。元の値まで鉱山株が戻ったら購入した株を売却。ところがマンバが買収に応じなかったためさあ大変。8億ドルは為替取引のコンピューターのバグにより生じた会社の損失ということにしてしまおう。というお話。 でも真相がわかるのは最後のほう。真相がわかるまでは、全財産をアイビスに投資した結果破産した若者が、アイビス株を推していた投資番組『マネーモンスター』とアイビスを逆恨みしてテレビ局を乗っ取るという、逆恨みドラマにしか見えません。しだいに司会者のリーが犯人に同情的になっていくのもストックホルム症候群みたいなもんだろうと。 それはそれで面白いんですが、『いや、何やら裏がありそうだ』と物語が真相を追い始めてから更に面白い。真相が明らかになるにつれ、まじで若者悪くないじゃん、ってのがわかってくるわけです。自動株取引かなんかのためのアルゴリズムを作ったエンジニアが、『このプログラミングでは8億ドルの損失が出るまで取引をすることは絶対にない』って電話で言うシーンがゾクゾクします。純粋にこの企業の株が下がったのであれば自己責任。ですが今回は明らかに人為的で社長の私欲による損失。つまり、番組の予想もそれに乗っかった若者も正しかった。実際は被ることのなかった損失を被ったわけです。 まあ映画はわかりやすいのですが、何やら専門的な単語の数々で若干煙に巻くような感じがしないでもない。しかも断片的な情報ばかりで、多少のわかりづらさがやはりマイナス。 でも全部理解できていなくても、なんとなくで楽しめちゃうストーリー展開とわかりやすすぎるキャラ造形は良し。 後味は良くはないですね。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-24 04:00:04)《改行有》 568. ヒドゥン・フェイス 《ネタバレ》 殺された女性の霊か?それとも天才指揮者のサイコパススリラーか? いやいや。うっかりさんのインキー事件簿でした。 アドリアンはベロニカと浮気をしています。ですがそれがいつからなのか、どの程度のものなのかは写真くらいでしか判断できません。もしかするとベレンがいなくなる前は、電話やメールのやりとりだけだったかもしれません。で、ベレンには正直に浮気を認めます。終盤ではベロニカに自分から関係の解消を告げます。浮気をしたことはダメですけど、そこまで不誠実な人間には見えません。 何が言いたいかといいますと、ベレンの計画ってちょっと度を越している気がします。ベレンが陥った状況というのはとても利己的な行動の末なので、同情も感情移入もしづらいです。 ファビアナはファビアナでベレンを見殺しにしようとします。でもアドリアンの浮気写真を見せられたら、じゃあベレンを助けてあげようかなって、こいつもこいつでなかなかです。もしかしてさっと身を引いたベロニカが一番いい女なんじゃ・・? 映画自体はとってもわかりやすくて好きなジャンル。 前半、浴槽でファビアナが慌てだした理由が実はよくわかっていなかったのですが、そーゆーことだったんだぁーって、すっきりします。前半のささやかな怪奇現象のネタばらしが面白い。ファビアナとベレンのイエス、ノークイズはもはやコメディ。 だから悪くはないんですが、ラブロマンスとスリラーが半々になっちゃって、どっちも印象が薄くなっちゃったのがもったいない。スリラーならスリラー、脱出劇なら脱出劇に的を絞ったほうが良かったんじゃないでしょうか。[DVD(字幕)] 7点(2022-06-21 14:37:37)《改行有》 569. コンテイジョン 《ネタバレ》 淡々としたドキュメンタリーチックな映画。 2年前にコロナが世界中に流行し始めた頃を思い出します。 クラスターやロックダウン、濃厚接触者の隔離に、ウィルスの変異、実行再生産数から導き出される予想感染者数、この映画で想定されていたことはコロナ禍においてすべて現実のものとなりました。奇しくも感染源までほぼいっしょなのがまるでコロナを予言しているかのようで恐ろしい。 誇張した表現や演出はほとんどありません。リアル路線。リアルな作風は退屈と結びつきがちですが、この作品ではリアルな作風が感染症の恐ろしさと崩壊していく社会を強調していて効果的に働いています。 子供やケイト・ウィンスレットといった、普通の映画では犠牲にならないような人たちが次々と犠牲になっていきます。ケイト・ウィンスレットがその他大勢の人たちと埋葬されていくのは胸が詰まります。 世界規模のパンデミックを題材にしているわけですから、膨大な情報量をまとめなければなりません。1つ1つのエピソードが薄味になってしまうのは致し方のないことなのでしょう。だからこれだけリアル路線でいくのであれば、映画ではなくドラマでじっくり見せたほうが良いのかもしれません。 一番最後に『1日目』をもってくるストーリー構成は素晴らしいと思います。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-21 01:32:25)(良:3票) 《改行有》 570. 麒麟の翼~劇場版・新参者~ 《ネタバレ》 東野圭吾はクエスチョンの出し方は上手くて興味を引かれるのですが、それに対するアンサーはたいしたことがない、ってのが多い気がします。 鶴、水泳、工場でのワンシーン、ネカフェの会員証、麒麟の像を見上げる婦人、張り紙、などなど、ヒントの出し方が小出しで断片的。でもあからさまに伏線ですよってわかりやすくしてくれている。でもどーつながっていくのかが予想できない。だから興味を引かれる。よーできてます。刑事もの、ミステリーものとしては見ごたえがあります。 こんな感じで東野圭吾の小説はそのプロセスを楽しむものが多い。もちろん物語の9割はプロセスなんだからそれは小説が、ドラマが、映画が面白いということと直結します。でも最後まで見てしまうと火曜サスペンス劇場とスケール的には大差ないというのが正直な感想。まあ、火サス好きなんで別に良いんですけど・・・。 キャストは凄く豪華なので、そこはザ・映画って感じがします。ただ、一部の大根のせいで全体が安っぽい印象に。青柳家の娘や八島の工場友達などは特にひどい。ガッキーもこの作品はなんかいまいち。脇役も大事ですねー。 この映画で一番緊張感あって盛り上がるシーンが、『加賀ぁ!捜査を振り出しに戻して!お前はどの線を追っているんだ!』って警察本部長が恫喝するシーンですからね。ベテラン俳優は凄いです。若い役者さんたちにも頑張ってもらいたいものです。 それにしても、結局青柳家は父が殺され、社会的には父の汚名もそそがれないまま映画は終了。なのに晴れ晴れとした顔をしている、この事件の発端となった青柳家長男。八島だって本当は死ぬ運命じゃなかったかもしれないのに。なんかちょっと良い雰囲気で終わっていますが、切ないうえに決して後味の良い作品だとは思えないんですけどね。[ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-06-19 16:26:22)《改行有》 571. 蜘蛛の巣を払う女 《ネタバレ》 前作がかなりラブロマンス、ミステリー、サスペンスに力を入れていたのに対し、本作はアクションに力を注いだ感じ。もちろんこれはこれで好き。ミッションインポッシブルや007みたいで楽しい。 ただ、前作が唯一無二と言っても過言ではない映画だったのに対し、今作は楽しいけれど凡百とある作品の一つに成り下がった感はあります。おそらく前作の内容は一生覚えていそうですけど、今作の内容は忘れそうな気がします。 キャストが総入れ替えになっちゃったのは痛い。 クレア・フォイはダメじゃないんですが、ルーニー・マーラと比べると表情が動きすぎます。クールさが足りないんです。 ミカエルにいたってはもはや別人。名前を覚えていなかったら前作のミカエルと同一人物だと誰も気づかないほどの別人です。そして影薄すぎ。 この作品単体で見れば決して悪い作品ではありません。特に敵対する相手が組織になっていて、しかもかなり強力で凶悪になっているところは良い。何度もピンチに陥る展開は目が離せません。リスベットも機転が利くし、罠はしかけるし、高い能力を発揮します。そのリスベットを追い詰めるほど敵は組織的に動きます。やばいやつが2人います。しかもその1人は姉。そーゆーところは凄く良いんですけどね。 前作のリスベットとミカエルの関係を期待するとがっかりしちゃうと思います。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-18 13:36:28)(良:1票) 《改行有》 572. 処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ 《ネタバレ》 車酔いをするゾンビ。吐いたゲロをもう1回食べるゾンビ。なんというか、この映画を作った人はゾンビが好きなんだなーっていうことが痛いほど伝わってくる作品。『ゾンビにこんなことさせてみた』ってのがいっぱい出てきます。 ジャンル『ホラー』となっていますが、怖さはほぼ皆無。内容はグロアクション。夜のシーンより昼のシーンが多い。つまり見ている人を怖がらせよーなんてことは微塵も思ってなくて、しっかり見てもらって楽しんでもらおうという気概に満ちた作品ではないでしょーか。じゃないとゾンビ同士のミリタリーバトルなんて思いつかないでしょう。蘇った恋人とキスをすんのか?それともハグか?と思ったらいきなりのカーセッ〇ス。そんな映画は後にも先にもこの映画だけでしょう。 障害者、高齢者、子供、みんな分け隔てなく殺しちゃいます。モラル無視。超不謹慎。お母さんたちが子供に見せたくない映画No.1。誰にも勧められない映画です。 でも私はこの映画好きです。主人公の右手がナチゾンビの親玉ヘルツォークの右腕になっちゃう。そして凄い力を手に入れます。素手でゾンビを粉砕するパワー。更に死者を蘇らせて自分の配下にできるチート能力。あれ?これってヒーローものですか?っていう趣まであります。 ゾンビスクワッドの面々も、ゲイの博物館員も、みんな良い味出しています。 ひとつ不満を上げるなら、最後の戦い。ここでもっとマーティンに無双してほしかったのですが、急に沈黙する右腕パワー。更にせっかく復活させたソビエトゾンビとナチゾンビの戦いが互角でない。個人的には今まで好き放題殺戮を繰り返し平和な街を蹂躙してきたナチゾンビに天誅を下す意味でも、最後の大乱闘は主人公グループに圧倒してほしかったです。[DVD(字幕)] 7点(2022-06-17 07:55:41)(良:1票) 《改行有》 573. パッセンジャー(2016) ええー?許せるかなー?どーかなー?いや、許せないでしょ、やっぱり。 ただジムも純粋に被害者なんですよね。もちろんだからといって他の人を道連れにしていいわけはありません。ですが、最初目覚めたのが自分一人だと気づいていなくて、鏡の前でウキウキしているところから、その後あまりに残酷な現実をたたきつけられたジムに同乗の余地はあるかと思います。 オーロラに真実がばれたとき、正直に認めたのは潔し。その後のオーロラのキレっぷりも良い。寝ているジムを殺しそうな勢いで殴る蹴る、いや、鈍器で本当に撲殺寸前までいっています。そーです。そんぐらいキレてもらわないと。 自分がジムと同じ状況になったら、気がふれてしまうかもしれません。無人島であれば、まだ誰か助けに来てくれるかもしれないという希望がもてます。ですがジムの状況ではそれすらもかなわない。ひとカケラの希望もない。それが最も辛い。 オーロラを目覚めさせたこと。そしてそのことを隠そうとしたこと。この2つは絶対に許されません。ですがその2点を除けばジムはいたって常識人。善良と言っても良いでしょう。 終盤ではジムの本来の善良さが炸裂します。贖罪の意味もあったのでしょう。オーロラと宇宙船を救うために自らの命を犠牲にしようとします。そして奇跡的に一名をとりとめた直後、今度はオーロラをもう一度コールドスリープに入れようとする。もう自分の事は二の次。オーロラの事だけを考えて行動しています。私は、ジムが自分がやってしまったことを心から後悔しているのだと感じました。 私はジムがしでかしたことは許せませんが、ジムという人間は許せそうです。 そして映像は美しく、映画は面白かった。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-15 03:59:07)(良:1票) 《改行有》 574. カウボーイ&エイリアン 《ネタバレ》 タイトルから企画もののB級作品と決めつけて見ちゃったのですが、大真面目で大掛かりな作品でした。 よく見たらハリソン・フォード出ているし。 内容はタイトル通り。エイリアンとカウボーイが戦う。ただそれだけ。ただカウボーイというより荒くれもの集団という感じでしたが。 もちろんその結果は火を見るより明らか。どー考えても勝てるわけないでしょ。それは最初のエイリアン襲撃の時にも強く感じたのですが、これをうまいこと互角の勝負にもっていって、最後の戦いではそこそこ良い勝負に持っていっちゃう。人間側のほうが犠牲が多いように見えますが、エイリアン側も着実に仕留めている。その辺のバランス感覚は上手いと思いました。 敵対するグループが手を組み、侵略者に立ち向かう。使い古されたプロットですが、間違いなく盛り上がります。 ただし、アパッチ族までくるとさすがにクドい。この辺りはダレる原因になっていそうです。 アパッチ族が仲間になるくだりをまるごと省略して90分くらいにまとめたほうが良さそうです。この題材で2時間越えは長い。 多少文句は出ちゃいましたが、ホラー演出あり、アクションありでエンターテイメント性は高い。 こーゆー映画嫌いじゃないです。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-13 01:58:05)(良:1票) 《改行有》 575. テルマエ・ロマエⅡ 《ネタバレ》 勝手知ったる2作目なので、序盤からローマと日本をいったりきたりっていうテンポの良さは良かったと思います。ここで前作みたいにもったいつけられたら気分が醒めちゃうかもしれません。 前作の前半のノリが大好き。だから今作でもそのノリを踏襲してくれたのは嬉しい。 マジック・ショーで気絶するシーンが最高です。 今作では温泉というより温泉街を模倣します。古代ローマになんちゃって温泉街が出来上がっていく様子がなんとも微笑ましくて楽しい。相撲文化をコロッセオに取り入れるのなんて何気に斬新。なのに最後のほうではまた血生臭いコロッセオに戻っていたのはとても残念。それだったら最後のほうで相撲文化をコロッセオに取り入れて、血生臭い殺し合いはなくなりましたってフィクションにしてくれたほうが良かったです。 今作はシリアスなドラマパートも前作よりなんだか楽しんで見られました。ただケイオニウスの兄と元老院にどんな罰を与えるのか、どんな逆転劇を用意しているのかちょっと期待していたぶん、力技と説得だけっていうのは正直期待外れでした。 ラストは結構好き。死の運命を受け入れるルシウス。離れ離れになる二人。でも真美の漫画がヒットして映画化されるというサクセスを用意。切なさと幸福感を次々と感じられるラストはなかなか良い。 最後に結局ルシウスが日本に来ちゃったのは、嬉しいけれど、蛇足感は否めない。 そういえば、混浴のシーンでルシウスが『なんて牧歌的なんだ・・・』みたいに、めっちゃ良いようにキレイごと言ってましたけど、私は普通にえろいと思いました。[ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-06-08 02:26:17)(良:2票) 《改行有》 576. スウィッチ 《ネタバレ》 計画そのものに『運』や『偶然』に頼ったものが多い穴だらけサスペンス。 まずソフィがスウィッチなるサイトを利用するのも、ベネディクトの家を指定するのも、偶然の産物。せめてスウィッチやパリを勧めた女性が犯人のベネディクトとグルならかろうじて説明もつくかもしれませんが、この女性も殺されてしまいます。 逆にスケープ・ゴートになるなら誰でも良かったというほうがまだ説得力があります。それにそのほうが理不尽さが増してサスペンス的にも面白かったように思えます。 そして自称イラク人のパキスタン人(ややこしい)。この人の役割って結局なんだったの?どーやらベネディクトとグルだったようですがいったい何をやったの?それにこの人が犯人側っていうのは意外性がありましたが、この意外性って必要?個人的には味方でいてほしかったのですが。 意外性で言えばベネディクトの母親がグルでなかったというのも意外。きっと警察組織の中にベネディクトの協力者がいるんだろうと思っていたけれどいなかったのも意外。私の予想は悉く外れたので意外性があるのは間違いないんですが、その意外性が映画の面白さと結びついていないんです。 じゃあこの映画何が面白いのかっていうと、そのミステリーな状況と、主人公の逃走劇。追いかけっこシーンはいくつもあって、臨場感がありハラハラできます。一番のお気に入りは病院からの逃亡シーン。つまり、ありえない設定に目をつぶれば、逃亡型サスペンスとしては実に面白いのです。それに冤罪をはらすストーリーっていうのは何らかのカタルシスが得られるので好きです。 まあこの映画に関して言えば、親切にしてくれた女性も母親も殺された上に、おそらくソフィは足を粉砕骨折させられているのであまりカタルシスは得られないのですが・・・。[DVD(字幕)] 7点(2022-06-05 07:44:20)《改行有》 577. ザ・ライト -エクソシストの真実- 《ネタバレ》 こーゆー『悪魔憑き』系の映画って別に好きなジャンルではないんです。でもなぜかあるとついつい手が伸びちゃって借りちゃって見ちゃって・・・もうこれが悪魔の仕業なのだとしたら、悪魔ってすげぇ。『面白いかも・・』『なんか怖い体験できるかも・・』みたいな、まさに悪魔の囁きが聞こえるわけですよ・・! さて、本題。まずこーゆー題材にして、主人公の神父の卵が、信仰心がまるでないっていうのが面白い。いや、信仰を無視はできていないみたいなので、まるでないっていうのは語弊がありますね。 神を信じない主人公が、なぜか『素質がある』みたいな評価を受けて、なぜかエクソシストに推薦されて、エクソシスト養成所に入ってしまう。まるで少年漫画のようなノリではありませんか。これが実話だってんだからすごいです。 しかし養成所に入っても、主人公はやっぱり信じない。もう頑な。『ドイツ人がロシア語を話した』と聞いても、目の前で少女が釘を吐き出しても、やっぱり信じない。自分の身に危険が差し迫って、ようやく信じてみよーかなって。本当に素質あるんかいな、こいつ。 本当にこいつが主人公でいいのか、という疑問はさておき、映画は雰囲気が良く、適度に恐怖心を煽ってくれて面白いです。 でもルーカス神父が劇中で1回も悪魔祓いに成功していないのっていささか気になります。 教会のお偉いさんから最高のエクソシストみたいな紹介をされたにも関わらずこの体たらく。 主人公は最終的には悪魔の存在も神の存在も信じたようですが、教会という組織に対しての不安はないのでしょうか。いや、だからこそ自分はしっかりしなくては、って思うのかな。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-05-31 02:50:48)(良:1票) 《改行有》 578. テルマエ・ロマエ 《ネタバレ》 ず~っと最初のノリでいってくれたら8点~9点。 中盤くらいから笑えるところがほとんどなくなって残念です。 それは裏を返せば前半のコメディセンスがずば抜けていたということ。 特にウォシュレットのくだりは笑いの神様が降りてきていますね。これ笑わない人いるんでしょうかっていうくらい笑いました。 それに、『現代の文明を過去に持ち込んだらどーなるか』っていうアイデアは使い古されていてもやっぱり面白いのです。わくわくしちゃうのです。ポスター。衣類かご。フルーツ牛乳。そのたもろもろ。 阿部寛は唯一無二の役者さんですね。この人が出ているだけで映画やドラマが面白くなるんだからたいしたものです。 上戸彩はなんだか本来の持ち味が活かされていなかった気が・・・ 彼女のセリフがなんともありきたりなものばかりでぱっとしないです。これは彼女の責任というより、脚本・演出が良くない気がします。 ストーリーは悪くないのですが、戦時下の戦場で湯治場づくりとはずいぶんと気の長い話だと思いました。まあみんなで協力して湯治場を作っていく雰囲気はすごく楽しげで活気があって悪くなかったです。 もう少し前半のカルチャーショック祭りを楽しみたかったので、少しばかりの物足りなさを感じつつ終劇。 前半8点。後半6点。間をとって7点というところでしょう。[ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-05-29 01:52:22)《改行有》 579. 美女と野獣(2017) 《ネタバレ》 ミュージカルは苦手。ふだんまず手にとりません。 ですが『美女と野獣』はアニメ版を何回か見ていて、その楽曲に好きなものが多いので見ちゃいました。もうひとつの理由は当然エマ・ワトソンです。 まずアニメ版の曲はすべて使われています。それに加え、本作のために新曲が3曲も追加。そのうち2曲は流れる時間こそ短いものの、3曲とも良い曲でした。 そしてストーリー。実写版用に多少アレンジ、追加、変更はあれど、ほぼ原作通り。おとぎ話なのでそれでOK。アニメでしか表現できない世界があるのと同じように、実写でしか出せない味わいというものが確かにあります。 それがクライマックス。野獣がガストンの銃弾で息を引き取るシーン。そしてタイムリミットを迎え、屋敷の人たちが骨董品になってしまうシーン。アニメ版では感じなかった悲しさと切なさでなんと目頭が熱くなってしまいましたとさ・・・! 当然その悲しさの反動は、そこからのハッピーエンドの幸福感をより大きなものにしてくれるのです。 ちなみにルミエール、コグスワース、ポット夫人などはアニメ版のほうがかわいいです。 とはいえ、アニメ版のデザインそのものを起用しちゃえば、実写版の雰囲気を壊しかねません。そう考えるとこれはこれで正解なのかな? そしてなんといってもこの映画最大の立役者はエマ・ワトソン、この人でしょう。その美しさ。その歌声。あまりの美声にてっきりプロが歌っているものと思っていました。歌っているのはエマ・ワトソンその人じゃないですか。わずか3カ月のトレーニングでここまで歌えるようになるなんてただ者じゃありません。まさにすべてを兼ね備えたスーパー女優です。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-05-22 21:19:39)(良:1票) 《改行有》 580. シグナル 月曜日のルカ 《ネタバレ》 原作の小説が結構面白かったので映画も見てみました。 まず杉本ルカが原作のイメージにかなり近くて良かったです。杉本ルカを演じた女優さんはとても魅力的なかわいらしい人ですが、この作品以外映画もドラマもほとんど出ていないようです。もったいない。 もう一人の主人公宮瀬恵介。演じるのはAAAの西島隆弘。イメージがどうとか言う前に、かなり大根です。とくに序盤は演技がへったくそで気になって仕方がありません。でも不思議なことに、見ているうちにそれがだんだん『味』に変わってきます。これはこれでアリかと。 そして舞台がいいですね。レトロな映画館。そこで映写技師をするヒロインと主人公。上映される映画も古い映画ばかり。昭和の空気感がたまらない。映写室とか、こーゆー映画館が身近にないので、小説では想像しきれなかった画を見られて満足です。 ウルシダレイジはもう少し華奢なイメージでしたが、性格は結構イメージ通りかもです。人の話を聞かない。子供。被害者意識が強くサイコパスの才能あり。そうそう、こんな感じです。 原作では金でチンピラを雇って恵介を襲わせていましたが、映画では単身映画館に乗り込む武闘派。どちらかと言えば映画館の外で待ち伏せするタイプなんですけどね。ウルシダレイジのおかげで映画に程よい緊張感とメリハリが。 そしてラスト。恵介とルカの今後が見たくなる、そんな余韻が残る終わり方がまた良い。[DVD(邦画)] 7点(2022-05-20 03:17:24)《改行有》
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