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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  双生児 感激した。江戸川乱歩という異世界を自分のものにして、原作に負けないくらいの映像にできる才能が存在するとは思わなかった。俳優、映像、メイク、美術、音楽、すべての要素において優れ、さらに全体として調和している。中でも美術班の功労は大きく、ねばりつくような耽美の世界を完璧に作り上げていた。本木雅弘がこんなに細やかで迫力のある演技ができる人だとは知らなかったし、眉毛を落としてもまったく見劣りのしないりょうの美しさには驚嘆した。浅野忠信も、ちょっと顔見せしただけなのに瞼に焼きつくくらいのかっこよさ(これも美術班の力かな?)。音楽は大好き。個人的にこういうぎゃんぎゃんしつつも綺麗な音、好きです。気持ち悪いような、心地良いような、日本的な妖しさ。だけど不思議に新しい感じもする、アヴァンギャルドな江戸川乱歩。素晴らしい。人を選ぶだろうが、選ばれた人にとっては最高の映画だ。[DVD(字幕)] 9点(2006-01-06 04:33:02)(良:2票)

42.  ビヨンド・ザ・マット ピューク(げろ)というレスラーが登場した冒頭の時点で、レンタルするビデオを間違えたかと思ったのだが、伝説的スターのテリーやミックらが中心となってからは普通に楽しめた。中でもDDTの開発者であるジェイク・ロバーツのエピソードが強烈。リングに大蛇を持ち込むパフォーマンスをする狂犬みたいなおっさんなのだが、この人の生涯がまた不幸の連続なのだ。そして父親や娘との空虚な家族関係について語った後の、「理想の家族は?」という質問に対するあまりにもナイーブな返答。あれにはさすがに泣いてしまった。あのいかつくて、怖そうな連中の内面に、普通の人と何も変わらないナイーブな感情が隠れているのだ。プロレスに興味はないし、この映画を観る前には彼らのうちの一人として知らなかったのだが、充分に見ごたえのある作品だった。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-01-03 11:40:45)

43.  鬼畜大宴会 グロいというよりかは、汚い。登場人物も舞台も、とにかく汚い。70年代の若者の不細工さが妙にリアルで、役者に演技力はないが、とにかく嫌なキャラクターばかりで胸がむかついた。狭い部屋にやり場のないどろどろとした鬱屈が溜まっていく息苦しさはひどく不愉快で、そりゃ学生運動で爆発しなきゃやっていけないだろうなと思わせる。映像にも音楽にも独特のこだわりがあって、なかなかどうして成功しているように思えた。とくに荒んだ空気の表現が非常に上手いのだ。しかし人間が狂気に囚われていく過程としては、さほど真に迫っているとは思えなかった。恐慌へ向かう集団心理のリアルな描写を期待していたのだが、細かな経過はすっ飛ばしていきなり発狂。「へ?」という感じ。これじゃ学生たちにもともと発狂する素質があったとしか説明のしようがない。狂気そのものを描くという意味ではすごいのだが、おかげで少し物足りなかった。もっともこんな題名の映画にドラマを求める方が筋違いなんだろうが……[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-03 05:41:51)(良:1票)

44.  キャメロット・ガーデンの少女 《ネタバレ》 少女のキャラクターのせいで素直に楽しめなかった。そもそもトレントが逃げ出す羽目になったのは主人公の少女のせいなのに、少女が助けてめでたしめでたしと言われても…。子どもだから仕方ない、というのが大人の解釈なのだろうが、こんな子は可愛いとは思えない。わざわざトレントを変態と誤解させるような言い方をして追いつめてしまうところは観ていて腹が立った。ちょっと頭が悪すぎるんじゃないの!?[ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-03 03:17:47)

45.  モハメド・アリ かけがえのない日々 本作鑑賞後、興奮冷めやらず、酔っ払ってシャドウボクシングしていたことを白状します。【黒猫クロマティ】さんは観終えて疲れたとおっしゃってるんですけど、自分は逆にアリの溢れんばかりのエネルギーを分けてもらったような気がして、元気が出ました。ボクサーとしての強さというか、人間としての強さに魅せられた感じです。彼が残した世界一短い詩が今でも脳裏にこびりついています。誇りのために、自分が自分であるために全力で戦う。その生き様の力強さ、美しさは鮮烈でした。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-01-03 03:02:19)

46.  リュミエールと仲間たち 百年前の技術で撮影された映像は繊細な光と影が美しく、詩的だ。もしかして大して力のない人間が適当に撮っても、それなりに深いように見えるんじゃないかと少し疑ってしまった(いや、やっぱり差は出るだろうけど)。四十人の作品の合間に入るインタビューや撮影風景は余計に思えた。作品の撮影開始の瞬間、撮影終了の瞬間を作品に直接つなげるのは感心しない。冷めてしまうし、作品の味を殺している。曲の順番も考えない、数秒の間も置かないアルバムみたいなずさんな編集だ。一分間の異世界の余韻に浸る暇すら与えてくれない。監督への質問も、意味深長にみえて実は中身がない。  映画誕生時の撮影で、たとえ一分以下の時間でも素敵な映画が撮れるのはわかった。しかし総監督のサラ・ムーンのやり方には疑問が残る。贅肉を極限まで削ぎ落とした映画の結晶のような繊細な作品を乱暴に扱い、わざわざ蛇足を継ぎ足している。一時間足らずに収めるべきだったろう。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-27 15:46:26)(良:1票)

47.  美しき諍い女 優れた芸術作品が生まれる過程が実際にこの映画のような流れだとは思わない。リアリティを感じない。  まず、画家の人物造型に胡散臭さを感じてしまった。例えば「銀河が始まる前の混沌、それを君に見たいんだ!」という言葉には失笑してしまう。芝居がかったことを言い、大げさに苦悩するのだが、こんなことを言うのは理屈ばかり先行する三文画家だと思う。コメディ作品の画家を風刺する場面ならこんな台詞があってもよいが、大真面目に才能ある画家を描きたかったのだとしたら、類型的で安直なイメージだという他ない。  そして予想通り、四時間かけたあげく完成した作品は見せてくれない。あれほど期待を煽ってしまえば、本当に絵画史に残るような傑作を見せないと観客は納得してくれないだろうから当然だ。マンガの中に登場する「素晴らしい絵画」がしょぼくて読者に嘲笑されるのと同じで、仕方のない流れである。だが仕方ないとわかっていても、やはりこの映画は絵空ごとだったと白けずにはいられなかった。私は絵が好きで、よく美術館にも行くが、この映画に出てきたような被写体の内面を露にして、モデルを苦悩させるような絵が実在するとはどうしても思えないのだ。絵が登場しなかったことについて何かしら深い意味を読み取ることもできるのだろうが、ただ単にそんな絵を見せる自体が不可能だったのだと思う。  もしも創造の過程を描きたいのなら、実際の画家に密着してドキュメンタリーを撮ればいい。沈黙の中に絵筆の滑る音だけが響く場面は確かに心地よかった。でもこれは安っぽい嘘っぱちだ。いくら映像や演出でリアリティを求めたとしても、現実には遠く及ばない。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-15 15:53:20)

48.  ハモンハモン つまらないんだけど、ある意味ではものすごく面白かった。何度も「えええええ?」と目を疑う展開が待っていた。「は? そこで関係しちゃうの?」という。登場人物の関係を図にしたらマジでとんでもないことになる。貞操観念が動物以下です。本当に欲望のままです。途中ペットの子豚が死んでしまい、哀しみつつも丸焼きにして食べてしまうというシーンがあったけど、あれがこの映画全体を表している。欲求がすべてのモラルを超越する(笑)。いや、モラル以前に、こいつら何も考えてないんじゃないか? 『ソウ』よりも遥かに意外なラストシーンは誰にも想像できないであろう、バカすぎるラブストーリー。自分もぜひスペイン人に生まれたかった。[DVD(字幕)] 5点(2005-12-13 11:10:16)

49.  ストレイト・ストーリー 本作とはまったく趣が違うけど、デヴィッド・リンチって『ロスト・ハイウェイ』といい『マルホランド・ドライブ』といい、「道」を中心に据えている。それらの二作が難解と言われるのは、主人公が辛い人生から逃避して自らの記憶を書き換えているがために、現実と非現実の境界が不明瞭になっていくからだ。  しかし本作はまったくその正反対で、主人公の老人は今まで放置してきた家族の断裂を修正し、人生で失ってきたものを取り返すために行動する。『ロスト・ハイウェイ』や『マルホランド・ドライブ』で印象的だったのは、深夜の真っ暗なハイウェイをヘッドライトがかすかに切り開く映像だ。暗闇を探りながら疾走する真新しい自動車。だけどアルヴィンはたとえ時間をかけてでも、昼間の明るい青空の下を、着実に、穏やかに進んでいく。乗っているのは時速30kmのおんぼろトラクターだ。  最初はリンチが異色作を撮ったのだろうかと思っていたのだが、きっと根にある主題は同じだ。人生の不幸に、どうやって向き合うか。その答えは「最後まで自分でやり遂げたい」という老人の言葉に現れている。優しく時間をかけて傷を癒していく老人のやり方はじれったいように見えて、実はいちばん真っ当な方法なのだろう。[DVD(字幕)] 7点(2005-12-10 08:04:16)(良:1票)

50.  初恋のきた道 どうしよう、わからない…。気持ち悪かったの一言。今回ばかりはおすぎに同意する。途中までは可愛らしいと思っていられたのだが、二人ですごい笑顔を見せながらすれ違うシーンで引いた。このキモカップルをどうしてくれようかと思った。普通に走って馬車に追いつこうとする場面では戦慄。望月峰太郎のストーカーマンガ『座敷女』の、異常なスピードで追いかけてくる女を思い出した。と思ったら案の定転んでお弁当を地面にぶちまけて泣いている。そんなベタなことはさすがにやるまいと思ったのに、マジでやるとは…。  自然の風景や食事の温かみなど、雰囲気的にはいいと思える部分もあったのだけれど、どうしてもこの少女に感情移入することができなかった。たぶんチャン・ツィイーが致命的に好みではないのが敗因だろう。なにしろどこが可愛いのかが理解できない。顔はいいけど、おさげもいや、仕草もいや、笑顔もいや。純情ぶったぶりっ子にしか見えない。なぜ他の方はみんな褒めているのか? 自分の好みがマニアックだとか? いやいやそんなはずは…。 生理的に受けつけなかったので、本作を楽しめる人たちを羨ましく感じる(皮肉ではなく)。[DVD(字幕)] 5点(2005-12-09 09:30:55)(笑:1票) (良:2票)

51.  ギャラクシー・クエスト 前半のマイナス要素が、後半になってすべてプラスに転じるというカタルシス。似たような話の流れを繰り返して主人公の成長を示すというテクニックはしばしばみられるが、これほどきれいな形で着地させている脚本は珍しい。巧みに張り巡らされた伏線が収斂していくさまは、ほとんど推理小説のように秀逸だ。基本的には笑えて楽しく、それでいて何度も目頭が熱くなる。夢中になってのめり込んで、待っているのは爽快なハッピーエンド。娯楽作品としての一つの理想形ではないだろうか。[ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-02 20:15:40)

52.  ベティ・ブルー/インテグラル<完全版> 桃の薄皮のようにやわらかい感受性で包まれた、ゴムまりのように跳ね回る激しい感情。平和な日々が続いているうちはいいとしても、破裂するのは時間の問題だったろう。半ば結末がわかっているだろうに、なんとか転げ落ちないようにバランスをとろうとするゾルグの姿が痛ましく、苦しい。  ベティの激しさには不思議と崇高さのようなものがある。フランス映画というのは無闇にベッドシーンが多いものというイメージがあるけど、今作でのそれはどうしても必要なものだったと感じた。セックスというといかがわしいイメージがつきまとうのは避けられないが、ある意味ではもっとも「純粋」に愛情を通わせる行為でもある。理性からは遠く、野生動物のように本能的にに愛し合う彼らを表すためには、性描写がどうしても必要だった。逆説的だが、過激な描写でなければ二人の「純愛」は描けなかったと思うのだ。  中心となる物語はシビアなのだが、意外とコミカルなシーンも多く、たびたび噴き出してしまった。コートみたいに壁にかけられてしまう子供とか、バカすぎる新人警備員とか。深刻すぎるとかえって不幸に酔っている空気を感じていやになるが、この映画はユーモアというスパイスを効果的に使っていた。[DVD(字幕)] 7点(2005-11-27 04:04:55)

53.  シビル・アクション 《ネタバレ》 かなり硬派で、渋いストーリー。つまりは地味なのだが、退屈はしなかったし、個人的にはスリリングだとすら感じた。財政的に追い詰められ、仲間の信頼も失い、老獪な弁護士(この一癖も二癖もあるキャラクターが素晴らしい!)にこてんぱんにやっつけられる主人公。しかし多くの苦難の果てに、巨大な火柱がまるで罪を告発するかのように燃え上がる。公害という立証も難しい隠れた罪の大きさを、目に見えるように効果的に表現したあの場面は、終始鬱屈していたこの映画の空気を吹き飛ばすハイライトである。正義を達成した結果として残ったのは、たった14ドルとラジオのみ。それなのに満足げな笑みを見せるあのラストシーンは、いい。地味だけど、かっこ良すぎる。弁護士を頼むなら彼のような人に頼みたいと思う。一緒に働くのはごめんだが。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-26 00:12:29)

54.  グッドフェローズ 強力な伝染病の話を思い出した。致死率が五割を超えるエボラ出血熱の一種は、宿主たる人間が減りすぎて、病が広まる前に死に絶えてしまったのだ。並外れた攻撃性は諸刃の刃となる。  ちょっとした気に食わないといっては人を殺し、分け前が惜しいからといってはまた殺す。ここまでくると凄みがあるとかいう以前に、バカである。いくら非合法組織といえど、信頼関係もなく裏切りを当然のものとすればいずれ組織が立ち行かなくなるのは目に見えている。「道から外れたものはすぐに殺し、恐怖で統制を取る」という台詞があったが、逆効果だ。恐怖がもたらしたのは疑心暗鬼と混乱、そして破滅。頭の悪いチンピラの物語は『ゴッドファーザー』のようにかっこよくはないものの、徹底したリアリズムには惹きつけられる。  ただ実話だから仕方ないが、終盤が退屈。麻薬が絡み始めてから失速し、尻すぼみに終わってしまう。つかみは素晴らしいし、趣味のいい音楽にのせて流れるストーリーはなかなか楽しめたのに、終わり悪ければ全て悪し。結末で一気に評価が下がった。[DVD(字幕)] 7点(2005-11-20 23:11:01)(良:1票)

55.  王妃マルゴ 血なまぐさい宗教戦争と権謀術数飛び交う王宮のドラマを、カラヴァッジョの絵画を思わせる暗く陰惨な映像で雰囲気たっぷりに描いている。全編に渡って暗闇が多く、ラストシーンでようやく美しい日の光が差してほっとさせられた。それぞれの思惑が絡み、もつれた末に、思わぬ結末に至る運命的な物語が面白かった。  しかしマルゴを含めたすべての登場人物に距離を感じてしまい、入り込むことが出来なかった。マルゴの丁寧な心情描写がないので、彼女がどんな人物なのかをつかみにくい。アンリが一番共感しやすかったが、彼よりもマルゴとラ・モールに感情移入させる作りにしなくては話にならないのでは?   映像に凝っているようでいて、とりたてて美しいと思える場面が少ないのも残念。いちばん印象的なのは、暗闇に白く浮かび上がるカトリーヌ・ド・メディチの顔。どう見ても吸血鬼ノスフェラトゥ(笑)。歴史に残る悪女とはいえ、あんまりな扱いだ。[DVD(字幕)] 6点(2005-11-15 16:57:27)

56.  フロム・ダスク・ティル・ドーン ものすっごい、バカ。これでタランティーノが好きになりました。映画って何やってもいいものだと思うんですけど、タランティーノほど無邪気に、ばかげたことを平気でやっちゃう人は存在しない。唯一無二、子供のような天才です。  絶対に読めない後半の展開。深い人間ドラマも何もなく、脚本は意図的に破綻させられている。まちがっても完成されている作品とは言い難い。それなのに、感動してしまった。この超がつくほどのバカぶりに。どこまでも自由な、あまりにも自由なタランティーノに。万人受けするものではないが、個人的には心から楽しむことが出来た。  常識的な考え方、大人ぶった良識にファック・ユーを突きつける爽快感。中学生の頃に初めてこの映画を見てから、自分の心を縛っていたある種のくだらない思い込みを振り払うことが出来たように思う。もっとバカになって、はちゃめちゃに生きてもいいんだ、むしろそうしなきゃ損なんだと思えた。常識を捨てて、バカをやることの素晴らしさというものを教えてもらった。こういう作品に出会わなかったら、自分は今よりずっとつまらない人間になっていただろう。そんな思い入れをこめて、大サービスの10点。[ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-13 03:28:55)(良:1票)

57.  ブレーキ・ダウン アクションというより、むしろサスペンス、ホラーとして観たほうがいい。この映画最大の特徴は、不気味すぎる敵役の造型にある。平凡な家庭を営む善良な一般人のような顔をして、地味な、しかし冷酷な犯罪に手を染める。動機は単純にお金。生活費の足しにでもするつもりか、大それた目的はない。なんというか、淡々と仕事をするように、平然と残酷なことをするのだ。普通の人の仮面を被りつつも、まったく良心というものがない。貴志祐介の『黒い家』を思わせる、異様な犯人像だ。  ストーリーは運のない主人公が犯罪に巻き込まれ、孤立無援の窮地に追い込まれるという一見『ダイハード』的な流れ。だが圧倒的不利をどのように挽回するかという娯楽的な面で孤立を描く『ダイハード』に対し、こちらはひたすら恐怖を煽る。助けはどこにもなく、主人公は刑事でもなんでもないごく平凡な男。いつ殺されてもおかしくない状況下で、針の穴を通すようにぎりぎりで危機を乗り越えていく。おまけにとことん地味で、リアルである。  『ジョーズ』公開の翌年には海水浴客が減ったそうだが、この映画を観た後ではアメリカの片田舎を自動車旅行する気にはなれない。荒れ果てた広大な土地に、だだっ広い道路が一本だけ。助けを求めても誰にも届かないのだ。  アクションの棚ではなくサスペンスの棚にあったならもう少し注目されていたであろう、秀作。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-08 13:53:45)(良:2票)

58.  12人の優しい日本人 根本的なところに疑問がわいてくる。陪審員が推理して有罪だ無罪だと騒いでいるが、状況証拠しか存在しない以上、最初から推定無罪であることはわかりきっている。有罪を主張する陪審員の推理は、すべて偶然で片付けることもできるようないい加減なもので、あれで人の有罪無罪を決められたらたまったもんじゃない。被告や被害者がいちいち合理的に行動したとは限らないし、物理的な証拠はゼロにひとしい状況ならなんとでも「推理」できる。ピザの大きさで殺意の有無を測れると?  陪審制度の危うさに警鐘を鳴らす意図があるとしたら、大成功を収めているといえるだろう。ハッピーエンドを迎えてしまう本家よりもずっと。  パロディをやる以上、ある意味では本家を超えるネタがないと単なる退屈な二番煎じになってしまう。どんでん返しの数で本家を上回り、テーマ自体も対照的なところにあるこの作品はパロディとしては最も秀逸な部類に入るのではないか。  ただし、時代もあってか、別に笑えない。ところどころ面白い場面もあったが、とてもコメディとして優れているとは言えないのが難点だ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-01 09:01:41)

59.  運動靴と赤い金魚 テレビ番組「はじめてのおつかい」を髣髴とさせる、子供の可愛さ全開の作品。兄のえなりかずきを思わせる老け顔が気になったが、あまりの情けなさに可愛く見えてくるから不思議だ。妹も文句なしに可愛らしい。「天使のような子供たち」という原題にあざとさを感じずにはいられないが、わかっていても監督の術中にはまってしまう。DVD特典の採用秘話は必見。  ラストでは金魚がお兄ちゃんの頑張りを称えてくれたということかな? けっしてカバの背中をつつく鳥みたいに、寄生虫をエサにしているわけではないよね? あと、親父、お前はもっと頑張れ。[DVD(字幕)] 7点(2005-10-28 04:10:05)

60.  キリクと魔女 《ネタバレ》 魔女の呪いが解けた瞬間に咲き零れる花々があまりにきれいで、なんだか涙が出そうになった。ストーリーよりも映像に感動して泣きかけたのは初めてのことだった。  実際この映画を元に画集を出せるんじゃないかってほど画の質は高い。緻密な描き込みや、原色に近く、それでいて透明感のある色彩には息を呑んだ。たとえ地中であっても、よく見ると背景に不思議な模様がある。最初の村の場面にはノルシュテインを連想したけど、この強烈な色彩感覚は誰にも似ていない。アニメーションよりもむしろ絵画に近く、アンリ・ルソーや(他の方も言及していらしたが)ゴーギャンを思わせた。  物語はおとぎ話調で、終盤はとくに一寸法師に似ている。ほんとはこういう寓話的な話は好みではないのだけれど、キリクがお祖父ちゃんにすがりつく場面でちょっぴりぐっときた。魔女を口説く場面など、寓話のようでいて妙に生々しいところもあるのが面白い。 キリク「小娘なんかに興味ないよ!」って、おいおいお前が言うのかキリクよ。 魔女「どうせ召使いが欲しいだけなんだ」 キリク「召使い扱いなんかするもんか!」 魔女「男はみんな最初はそういうのさ」 なぜか急に夢のない話に……。[DVD(字幕)] 8点(2005-09-29 14:01:40)(良:3票)

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