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プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  醜聞(1950) 《ネタバレ》 う~ん、微妙。雑誌ジャーナリズムの横暴から法廷ものを経て、最後は改心もの。テーマが入れ違いに現れて、全体として見応えを殺していました。法廷でダメ人間が改心するって、シドニー・ルメット&P・ニューマンの「評決」などがすぐに思い浮かぶけど、こちらは途中からそのテーマに切り替わった感が強くて深さを感じません。途中で何度もあった改心する機会を引っ張った理由は、志村喬の最終答弁に告発と告白と懺悔を集約して一気に解決させたかったから。そこは強引さが否めず呆気なくて拍子抜けでした。そもそも、原告側の弁護人が被告に買収されていたことが、争点を決定づける証拠になるものだろうか? 「情婦」が本作の7年後の製作だから、このジャンルはまだまだ未開拓の部分が多かったのだろう、と勝手に納得しておこう。[CS・衛星(邦画)] 4点(2010-11-18 19:55:12)

42.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 初めて観たのは30年近く前のテレビ放送。まだ高校生だったと思う。その当時は陪審員の役割を知らず、観終わってから調べました。そして、有罪・無罪を決するのが裁判官ではなく陪審員であることに驚いたのでした。判決と評決の違いもその時に知り、日本で通用している手続きとの違いに強い違和感を覚えました。容疑者の罪と罰を司る裁判官は絶対的な存在と思っていたからだろう。国が変われば制度も変わるような相対的な尺度で人を裁いて良いものなのか? この疑問は今も持ち続けている。それは人が人を裁くことの難しさと同義であり、正解は存在しない。さて、今作は会話劇として珠玉のエンタテイメントであり、疑わしきは罰せずの精神のお手本であり、日常に潜む多様な偏見を浮き彫りにもする。色々な見方が出来ると思うが、普遍性を持ったテーマはタイトルに現れています。みんな怒っていました。怒りの感情は瞬間的にでも真剣になった証拠。人を裁く任を負い、その局面だけでも役割に真摯に向き合った姿勢の表れです。評決はたまたま無罪に転じたけれど、その過程とそこに居合わせた陪審員たちのスタンスに重きを置いた作品だろう。評決が決した後、彼らは裁判所の外で初めて氏名を名乗り合いました。それまでは固有名詞を持たない社会構成員として、各々の義務を果たしていたということでしょう。裁判所前を日常へ戻って行く12人を収めたショットの清々しさが格別だ。納得の行く回答へ辿り着いた達成感と重たい任を終えた開放感を、通り雨に洗われた街並みが象徴していました。97分の尺に3時間くらいの重さが詰まっている傑作です。これ以上の密度を持った作品は滅多にない。日本でも先日、裁判員制度がスタートしました。[地上波(吹替)] 9点(2010-11-13 08:56:52)(良:1票)

43.  宇宙人東京に現わる 《ネタバレ》 期待して観てしまったためにかなり脱力しました。シナリオを書いた小国英雄氏の経歴には凄いタイトルが並びますが、この方面はからっきしダメですね。望遠鏡の狭い視野で本当に空飛ぶ円盤が観測できると思っていたんじゃないだろうか。1956年という制作年度を割り引いても、SFとして評価できる部分が極端に少ないです。フィクションはあっても、サイエンスはありません。原版の保存状態が良いのか、カラーはきれいでした。宇宙人が青空ひかりというタレントに化けるけど、このキャスティングがかなり微妙。日本女性のスタイルがこの50年で随分と変わったことは良く分かりました、とさ。[CS・衛星(邦画)] 2点(2010-11-01 23:49:28)

44.  風船 《ネタバレ》 最後の最後になって、やっとテーマが浮上する。あの親父の生き方だ。本人に害意は無いが、結果から云うと家族を振り回している。以下、本音の私見です。本来、人はあの親父くらい自分勝手で良いはずなのだ。いや、そうあるべきだと言いたいくらい。奥さんや子供達に対して、その生活を保障するのは最低限の義務であり責任であるが、食べるに困らない財と雨露を凌ぐ家を残している。それ以上に精神的な充足が要求されるのであれば、求める方が甘えているのだ、と思う。人は究極として「個」であるし、魂の自由はそこから出発する。家族を犠牲にしてまで、自らの価値観を純化して尊重した行動に共感する。60歳にして、世間体や見栄と云った他者の評価を、人生からきれいに切り落とした態度に共感する。こういうカタチで「自由」を描いた映画は、ありそうだけど観た記憶がない。50年以上も昔の作品で出会ったことに驚いた。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-10-31 02:42:27)

45.  地球防衛軍 《ネタバレ》 見どころが多い映画でした。本多猪四郎監督と円谷英二氏は「ゴジラ」に始まりこの種の映画はまだ数作目。文法が定まっていない分野で色々なことを試しているような描写が面白い。例えば鉄塔を倒すモゲラの前景に家屋を入れ、電線が切断されるタイミングで家屋内の照明を点滅させてから消すような芸の細かさ。鉄塔が倒されるシーンは怪獣映画の常套だけど、この演出は観た記憶が無い。ミステリアンの日本語に被せて聞き取れない声を入れ、自動翻訳も表現していました。これらは手間と効果の関係でその後は省かれた手法なのだろう。こんな試行錯誤が、東宝怪獣映画の王道を築いて行ったのだと思いました。現代との比較で面白かったのはテレビ。防衛軍の幹部たちが取り囲んで戦況を見つめるのは14型の脚付ブラウン管。対するミステリアンは42型の液晶かプラズマ。現代の産業技術は映像ディスプレイに関してはミステリアンに追いついたようだ。領土交渉に際してミステリアンたちがもっともらしい嘘をヌケヌケとつくあたりは、北○鮮の外交みたいだけど、そのミステリアンに問答無用で攻撃を仕掛ける防衛軍はそれで良いのかとも思う。終戦から十余年ということを考えると、たぶんあれが戦争外交の常識なのでしょう。最後にモゲラ。1体目のモゲラのやられ方もどうかと思ったが、2体目は凄まじいですな。あれだけでも一見の価値あります(笑)。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-10-22 16:10:41)(良:1票)

46.  密会(1959) 《ネタバレ》 50年前の不倫サスペンスです。大学教授夫人と教授の教え子。その二人が神社の裏山でラブラブの密会中に殺人事件を目撃する。不倫がバレるのを覚悟で警察に届けるという学生。それだけは何としても阻止しようとなだめすかす婦人。この綱引きが何の捻りもなくかなりアホくさい。この学生が気持ち悪い。殺人現場の目撃を黙秘することには猛烈に罪悪感を覚えて錯乱するが、不倫は大丈夫なようで教授に対しての罪悪感は無い。どうもバランスが狂っている。その自己満足的な正義感にイライラしていたら、夫人が電車に突き落として殺してくれました。その現場を近くで見ていた人がいて夫人もお縄。めでたしめでたし。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-06-05 10:53:50)

47.  死刑台のエレベーター(1958) 初めて観たときは良く出来たサスペンスだと思った。その後JAZZを聴き込んだ時期があって、今回はマイルスの演奏への興味で観たんだけど、前回の観賞で抱いていたサスペンスとしての秀作ぶりはなりを潜めてしまったことにびっくり。この25年間にサスペンスのレベルが上がったのか、複雑などんでん返しを当たり前のように観すぎたのか、とても粗が目立ちましたね。でも、当初の目的だったマイルスのトランペットには聞き入ってしまった。か細いけど説得力のある音色がモノクロ画面の中の薄幸そうなジャンヌ・モローに絶妙にシンクロする。ラッシュを観ながらの即興演奏らしい。さすが帝王と呼ばれた人だと思います。[試写会(字幕)] 5点(2010-05-29 09:50:48)

48.  戦場にかける橋 《ネタバレ》 第一ラウンドは士官が労役に就くかどうかで、これはニコルスンの圧勝だった。捕虜になりながらも、自分のプライドと信念を貫いた。 そこで止めておけば良かったのに、自分の勝利に酔って調子に乗り過ぎた。架橋に積極的に取り組むことで兵士の統制だとか自覚を促すだとか、色々とお題目を並べていたが、日本軍に対して自分たちの民族の優位性を誇示したがっている意図がありありだった。しかし、破壊工作に現れたシアーズと視線を合わせた数秒間に、自分がやったことの意味を一気に反芻する。まだ彼が幸せだったのは、近くに着弾した擲弾筒のおかげで自己嫌悪に至る前に意識を失くしたことだろう。ということで、第二ラウンドは斉藤の勝ちというよりは、ニコルスンの負けでしょう。 そして両司令官の意地の張り合いは、創造と破壊の意味を問いかけるテーマにも直結している。人はモノを創ることに喜びを見い出すように作られている。なのに戦時下では破壊行為が主目的として是認される。今作ではその矛盾が、ラストシーンで浮き彫りにされる。既存のモノが破壊されるのではなく、苦労して作ったモノが完成直後に製作者たちの目の前で破壊される。その虚しさは反戦という題目以上に、人の営みの意義を問いかけている。[ビデオ(字幕)] 6点(2010-05-29 09:45:39)(良:1票) 《改行有》

49.  海底二万哩 《ネタバレ》 日本が黒船来航で騒いでいた直後あたりの設定なので、ノーチラス号の性能は突出していたことでしょう。あれは絶対に原子力潜水艦ですな。でも、ネモ船長の描写がよろしくない。自分の過去に起こった不幸の腹いせに、無差別に船を沈めているように見える。乗組員全員を道連れにする決断もいただけない。せっかくの特撮も、ノーチラス号のデザインも、グレーに霞んでしまった。子供の頃に読んだ原作はこんな殺伐とした話ではなく、もっと夢のある海洋冒険譚だった記憶がある。そのギャップのせいか、あまり楽しめなかった。ストーリーとは別に、カーク・ダグラスという役者が息子よりずっと演技の幅の広い人だったことは良く分かった。1954年は第一作「ゴジラ」が製作された年でもあって、テーマが微妙に被っているところが面白い。特撮比べという視点で観ても面白いが、どちらが優れているかは言いません。[地上波(吹替)] 4点(2010-05-27 22:46:16)

50.  浮雲(1955) 《ネタバレ》 成瀬巳喜男監督の代表作らしいが、自分には良作とは映らなかった。身寄りの定まらない女の不幸な人生描写に創作物としての見どころを感じなかった。終戦直後の世相をテーマにしているとも思えない。なぜ一人の男に執着しているのかも分からない。一途な女の心情の浮き沈みはしっかり演出さているが、なぜ一途なのかは説明されない。女は「一途」が当たり前の時代だったのか…。男は多くの女を相手にぐだぐだと揺れ続けるが、それにも特に決着を付けずに終わる。リアルなのかもしれないけれど、どう評価してよいものやら…。当時は、こんな泥沼映画が希少価値だったのだろうか。好みのタイプではないけれど、病死する直前の高峰秀子は、はっとするくらい奇麗でした。[CS・衛星(邦画)] 4点(2010-05-05 00:47:32)(良:1票)

51.  晩菊 およそ映画にならなさそうな一線を退いた元芸者たちを主役に据えて、でもそれなりに見せるストーリー。僻み、妬み、憐憫、同情、優越、虚栄、驕り、などなど。露わにしないことが節度とされる現代の常識を軽やかに飛び越え、ネガティブな感情をほぼ剥き出しにして生きるおばさんたち。みなさん、概して打たれ強い。観ているこちらの腰が引けると同時に、世間話の現場を覗き見しているような微妙な見応え。特に、燃え残った妄執を金儲けに捧げるハリネズミ・きんさんが強烈。人生って、実は一線から退いた後半戦にこそ、それぞれの生き方の色が出るのかな、なんて感慨が浮かぶ。妙な満腹感。凄い映画なのかも…。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-04-26 22:18:02)

52.  遊星よりの物体X 《ネタバレ》 えっ、これで終わりなの。呆気ない。視点の置き所が定まらない感じ。遥か宇宙の彼方からやって来たにしては、この植物怪人は頭悪そう。それを「完璧で純粋な生命体」とか言ってましたね。アッシュが「エイリアン」をそう形容していたけど、もしかしてこれのパクリだったの? 見応えという意味では、カーペンターのリメイクの方が3倍くらい面白い。たぶんSFホラーの古典的作品なのでしょうが、敬意を表す義理もないので点数はこんなことろ。それにしても、この映画に出てくる科学者は傲慢で腹が立った。科学の探求以前に考えるべきことが何も思い付かないバカでした。普通は傲慢な軍人に腹を立てるんだけど、反対の映画って珍しいかも。[CS・衛星(字幕)] 4点(2010-04-25 21:35:36)

53.  山の音 《ネタバレ》 ↓えっ、上原謙って山村聡より年上なんですか。それはある意味凄いキャスティングだ。笠智衆が、よく年上を相手に父親役をやっていた話は聞いたことがあるが、これは山村聡が老けているというより、上原謙が若すぎるんでしょうね。2世代が同居する家を舞台にしたホームドラマ。この家は不協和音に満ちている。直接の原因は不貞の夫と出戻りの娘。その夫の寒々しい態度に耐え続ける不幸な嫁。それを精神的に支える舅。一見、そんなふうに見えるのだが、この不協和音の原因は実は舅にある。それに気付くと、物語がグッと奥深いものに変化した。舅は物分りが良く、有能(な社長さん?)で、鷹揚でいて細かい気遣いも出来るキャラクターなのだが、それが災いしている。これが違うタイプの映画なら嫁と舅に「間違い」が起こりそうな空気だった。たぶん、事あるごとに嫁が舅を頼り、夫はそれが面白くなくて心が離れて行ったのだと思う。出戻りの嫁が持っていたコンプレックスも、そもそもは出来すぎの父親から見透かされるような視線を受け続けたことが原因だろう。舅はそれを自覚していない。原作は未読だが、映画では夫が父に対して抱いているはずの嫉妬には一切触れないし、舅は最後まで家族の苦悩を背負った男として描写される。このあたりに川端文学らしい行間と落とし穴的なテーマが見える。エンディングで老夫婦は田舎に隠居すると言っていた。その判断がもう少し早ければ、中絶&離婚という結果にはならなかったと云うのが私の見立て。2世代同居の歪を描いており、過去に観た記憶がない類いの映画でした。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-04-12 11:26:09)(良:1票)

54.  めし エンディングで原節子のモノローグが定義する女(=主婦)の幸せに、現代の女性たちのどれほどが素直に頷くかは甚だ疑問だけど、形態だけを見ると主婦のポジションの本質はあまり変わっていないのだと思います。正直に言うと、普通に始まって、ゆるい夫婦喧嘩とゆるい家出をして、さしたる理由も無く元の鞘に納まっただけの印象で、それ以上のものを感じなかった。原節子の容姿が全く自分のタイプじゃないからだと思う。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-03-02 18:34:01)(良:1票)

55.  地球の静止する日 《ネタバレ》 60年前の映画ながら、最後まで興味深く鑑賞できる。宇宙人・クラトゥのキャラクターに対する興味でストーリーがぐんぐんと引っ張られる。現代ではCG技術を駆使した派手なスペクタクル表現が本流になっているSF映画だけど、本来の魅力は未知のものに対するワンダーや期待感であることを再認識しました。高速で飛ぶ円盤や破壊光線を発するアンドロイドも出てきますが、この映画の見どころは別にある。観賞側からは宇宙人と知れているクラトゥとそれを知らない地球人との会話や、宇宙人の目から観た地球人の価値観表現に引き込まれる。展開が容易に想像出来ないという意味で、SF的な好奇心をそそられます。よくよく考えると「スタートレック」の最初のテレビシリーズなども、カークやスポックが今作と同様に会話劇としてSF的な面白味を演出していたのだと思い至りました。二次大戦終結から数年後の作品なのに、すでに冷戦構造下の国際情勢への危惧や、核が従来兵器と決定的に違う意味合いを持つことをメッセージとして残していることも慧眼と言える。一部のデザインやファッションには古さを感じますが、面白さと見応えに古さはありません。[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-02-24 20:36:49)

56.  独立愚連隊 面白いと感じられなかった。佐藤充の目的が分からない前半は特に退屈だった。適当に戦争をやっている感じが好きになれないのだと思う。[CS・衛星(邦画)] 3点(2010-02-19 19:45:16)

57.  無法松の一生(1958) 《ネタバレ》 「無法松」というからには、もっと無茶苦茶な男を想像していたんだけど、大きく予想に反しました。あの程度の乱暴は現在の視点なら「合法」でしょう。一途で義理堅く子供好きな男の健気な生き様でした。自分の恋心を切り出せずに、その純情を墓まで持って行ったのは、死んだ旦那に対する義理だったのでしょうか。コンセプトが一貫している生き方は潔く美しいと思います。でも、自分は観賞後にすっきりしないものがまとわりつきました。というか、映画自体が面白く感じられなかった。それは主人公の「一生」が最も大切なものを我慢していたからだと思います。我慢を美徳とする精神があるならば、それは間違いも内包していると思います。[CS・衛星(邦画)] 4点(2010-02-10 21:48:26)

58.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 今回、デジタル技術で復元された「デジタル完全版」なるバージョンをハイビジョン放送で観たのだけど、この作品の映像の素晴らしさには改めて見入ってしまった。アングルの切り取り方。動感と静寂のバランス。モノクロならではの光と影の美しい階調。名カメラマンと言われる宮川一夫氏の手腕がいかんなく発揮されていると思います。自分は勝手に、黒澤映画の多くは宮川氏の撮影によるものを思い込んでいたのですが、記録を辿ると今作と「用心棒」だけでした。映像的には稀代の才能がタッグを組んだ稀少作品ということですね。映像のレベルに言及されている方はたくさんいらっしゃいますが、この「デジタル完全版」のハイビジョン視聴はオススメです。ストーリーの方は、いきなり志村喬の親切で結ばれる流れに、初めて観た学生時代から食い足りなさを覚えています。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-02-08 15:52:29)

59.  美女と液体人間 《ネタバレ》 核兵器実験による放射能を浴びたことが原因で、液体に変身した漁船の乗組員が東京でパニックを引き起こす映画。この映画の数年前に製作された「ゴジラ」は放射能が生んだ怪獣とされ、自分が子供の頃などは「放射能」という言葉が禍々しい突然変異を生み出す代名詞になっていたような気がする。これ、核兵器=放射能=人や動物の変身、といういう図式で誤った科学知識を市井に吹き込んでいたと言えなくもない。そもそも、放射能を浴びる、という言葉が正しくないよね。とはいえ、モチーフは明らかに1954年の第五福竜丸の被爆事件であり、当時としては生々しい題材だっと容易に想像できる。劇中に説明は無いが、液体人間たちが無差別に人を溶かしてゆくところには人としての意思が感じられないが、そんな彼らが東京に現れたことは故国への郷愁が本能として備わっていたからと解釈できる。地下水道で炎に焼かれて立ち尽くす液体人間たちには、安堵感よりも悲哀感が先行しました。怪獣が出ない東宝の特撮ものとしては「透明人間」に次いで2作目の作品で、シナリオの練られ方などがまだまだ稚拙であるが、人間の変身ものでは初のオリジナル。日本の特撮史的には意義のある作品でしょう。良いものは必ず使いまわす円谷プロは「ウルトラQ」の「2020年の挑戦」でも人を消し去る液体を扱っており、この映画での表現が活かされています。不気味な余韻を残す「ウルトラQ」のナレーションも、この映画から引き継がれて行ったことを知りました。[CS・衛星(邦画)] 4点(2009-12-15 23:02:37)

60.  透明人間(1954) 《ネタバレ》 この映画が製作されたのが1954年。これは「ゴジラ」と同じ年で、この年が日本の特撮映画元年と言っても良いのでしょう。その後、東宝は「ゴジラ」に代表される怪獣ものと、この映画のような変身人間ものを両輪として特撮映画を製作して行くことになる。その意味では歴史的作品とも言える。主人公が二次大戦中に軍部によって肉体改造を施された透明特攻隊(!)の生き残りという設定で、平常時からピエロのメークをして社会生活を営んでいる姿には悲哀が滲む。戦争の傷跡を背景に据えたドラマである。しかし「ゴジラ」に迫力が有り過ぎるのか、1930年代の同名ハリウッド映画が存在するからか、どうも小振りな感が否めない。自分はさほど面白く感じなかったのも事実である。それは安直なストーリーに負うところも大きい。特撮部分に主眼を置いて製作されたとしても、同じ年に「七人の侍」が世に出ていることを考えると、この脚本はレベルが低いと言わざるを得ない。透明人間と戦っている悪人たちが、一人芝居を演じている様がしらじらしく映った。申し訳ないが、自分には当時の銀座の街並みや街頭テレビを見入る人たちといった、タイムカプセル的要素の方に意義があった。[CS・衛星(邦画)] 3点(2009-12-15 22:57:40)

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