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プロフィール
コメント数 109
性別 男性
自己紹介 2008 7/22みんなのシネマレビュー登録

ぼちぼち復活。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー 《ネタバレ》 これはスゴイ。2009年まだまだ年初めながら傑作と言っても過言ではないでしょう。『パンズラビリンス』を作って一皮剥けた様子のギレルモ・デル・トロ。前作では大いにやり残したことがあったように思うのですが、今作では彼のビジュアル・センスは遺憾なく発揮されています。すでにキャラ紹介が済んでいるおかげで、ヘルボーイ、エイブ、リズらの人物の掘下げに集中できているうえ、インパクト不足だった前作に比べ、冒頭の木偶人形での語り、ヌアラ王子の殺陣、“歯の妖精”襲撃シーンでデル・トロのファンタジックながらもどこか生々しい圧倒的な世界観に引きずり込まれる。 物語はストレートなものながら、その核を担っているのはヘルボーイ、エイブの人並みに純粋な恋という点が他とはひと味違う所。 身内の者を除いて人間には例外なく嫌われ、自身もその容姿に悩んでいる。しかし中身はもの凄く人間的で恋人の悩みを相談し(愚痴り?)合い、酒を飲んでカラオケを歌いまくる。この笑ってしまう場面でヘルボーイらの人間味が大いに感じられる。 前作では人間側を代表してマイヤースがいたものの、今回はほぼ完全に人間側の視点を排して、いくら忌み嫌われ世界が滅びようとも、最愛の人がそばにいればそれで構わない、といったヘルボーイたちの愛情がブレずに見事に描けているように思う。 アクションシーンも大満足。ヘルボーイvsウィンクのガチンコ対決や“森の神”エレメンタルの大怪獣シーン、ラストのゴールデン・アーミー、ヌアダ王子との決戦。どれも文句なしに素晴らしい。 それに今作は死の天使やゴールデン・アーミーの造形などのサブキャラクター達にもデル・トロらしいこだわりが見られて良かった。堅物のようで意外と武闘派のヨハン・クラウスが実にいいキャラ! クリーチャーの造形・描き方としては一つの完成形とも言える大傑作。 映画館で観られて本当に良かった。[映画館(字幕)] 9点(2009-03-01 23:17:45)(良:1票) 《改行有》

42.  ベンジャミン・バトン/数奇な人生 《ネタバレ》 作品の出来も発しているメッセージも悪くはないし、3時間弱もの長尺も全く飽きることはありません。 ブラピもケイトもその演技力、監督らの撮影、メイク技術と相まって画がとても映えます。しかし、この映画の予告編以上でも以下でもない、というのが正直な所。ベンジャミンの人生を80年分観た時と、3分弱の予告編を観た時とで考えたことや気持ちに大差がないのです。 この作品の最終的なメッセージは「数奇な体を持って生まれたベンジャミンの人生も素晴らしいものでした。だからどんな職業・生き方の人々の人生もやっぱり素晴らしいものです。」というようなことですが、この単純で、しかし描き方次第でいくらでも深くなるこのメッセージが意外と浅い。作品内で語られたこと以外に解釈することがほとんどなく、劇中で語り過ぎなのか、「だから?」という感がどうしても否めない。 原作は未読ですが、50ページにも満たない短編小説で原作者もさらっと書いたお話、言ってしまえばほとんど思いつきに近いネタだと思うので、これを膨らませるのであれば、もっと寓話的にして、いっそのこと群像劇にしてしまえば良かったのではないかと(でもそうすると主題がブレるかな・・・)。この作品もベンジャミンと関わる人々が多いので群像劇の要素は大いにあるのですが、もっと深く様々な職業、年齢、性格の人々を描けば「数奇な体のベンジャミンもそうでない人々も人生は素晴らしい」というメッセージは生きて、さらに感慨深い、感動できる作品になったはず。冒頭の時計職人のようなエピソードがもう少し欲しかったか。 デヴィッド・フィンチャーは大好きな監督ですけれど、このテーマを扱うにはまだ若かったな、と。 決して悪い映画ではない、というより非常に良心的ないい映画なんですが。[映画館(字幕)] 6点(2009-02-14 23:54:37)(良:1票) 《改行有》

43.  レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで 《ネタバレ》 レオにケイトのあの黄金カップルが夫婦役!、なんて宣伝したら『タイタニック』の続編か何かだと思う人はいっぱいいるだろうなぁ。夫役のレオはケイト直々のご指名とのことで(ついでに言えばキャシー・ベイツも出てるし)、監督らは『タイタニック』目当ての観客の気分をどん底に落とそうという実に意地の悪~い魂胆があって撮ったのではないかと。この意地の悪さは好きですよ。 『タイタニック』を観ている観ていないに関わらず、理想のカップルとして有名な二人。若く、夢と希望に満ちあふれた二人が結婚したらどうなるのか?興味が湧かないわけがないキャストと設定で、夢も希望もない現実が描かれる。『タイタニック』で夢見たことを全てぶち壊します。 互いに夢、というかほとんど幻想のようなものを抱き、またそれを相手にも期待して結婚してしまったが為に、子供ができて好きな事ばかりしていられなくなった時、相手に大きな失望感を覚える。もともとこの二人は夢や理想については共有できていたものの、現実的な事柄については何も噛み合っていなかったのだと思う。エイプリルの計画の欠点を論理的に指摘しているようでいて、実際は今のような生活が保証されないのが恐くて恐くてしょうがないフランク。根は弱気で、口でしか夢を語れない彼もすごく悲しい。彼自身もきっとそれが嫌だから喧嘩しても必ず先に謝りにいくのだろう。このディカプリオの薄っぺらでつまらない男の演技はもっと評価されていいはず。 それに対するエイプリル。彼女も彼女で辛い。女優という目標があったにも関わらず出産によって断念せざるを得なくなり、その原因であるフランクに当たる。彼女の計画が上手くいきそうになるといつも妊娠に邪魔される。だからラストでも自分の夢を断った原因を消し去りたかったのだと思う。 どっちも感情的になってるんだけど、それぞれの立場になってみたらそれは誰でも少しは抱えてしまう不満だからどっちにも同情してしまってキツイ。 夫婦間のやり取りだけながら、そこらのホラー映画は軽く超えてしまう恐い映画です。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-13 20:33:47)(良:1票) 《改行有》

44.  20世紀少年 -第2章- 最後の希望 《ネタバレ》 苦痛以外の何ものでもない140分。原作は1章を観たあと全巻読破しました。後半はモヤモヤ感が残る展開でしたが、今作は何十倍も酷い。 まず異様なまでに間延びしている割に、誰が何のために何処で何をどうしたいのかさっぱり分からない。誰かを中心に物語を進めるわけでもなく、皆まんべんなく存在感が薄い。監督ももはや物語を語る気はないのだろう。中途半端に原作のまねっこをさせた俳優で中途半端に原作に似た画を撮っているだけ。小泉響子役の木南晴夏はなかなかいいと思うが、それ以外の俳優は軒並み酷くて目も当てられない。中には他作品で素晴らしい演技を披露している人もいるので、この責任はやはり監督にあると思う。演出力はもちろん、そもそも演出する気すらないようなので、この支離滅裂な物語の中でもこれはいい!と思えるようなシーンが一つもない。その為どのようなスタンスで観てもちっとも面白くない。 あと一作・・・一応観ます。どうか面白いシーンを一つでも作って下さい。[映画館(邦画)] 2点(2009-02-08 18:04:29)(良:1票) 《改行有》

45.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 映画の一番最初のカットからやられた。樹木希林とYOUの何気ない会話。彼女らの背景については一切説明がないのに確かな存在感がある。阿部寛や原田芳雄がぼそっと放つ小言、仕草など、俳優陣の演技力も超一流ながら是枝監督の演出力は半端じゃない。日本映画の良さを感じられる素晴らしいホームドラマ。 家族だからこそお互いに嫌な所を知り尽くしているし、長い付き合いでうんざりしてくる。そう簡単には断ち切れない縁だからこそ鬱陶しい。だからこそ親族との関係は希薄にもなるし、争いごとも絶えない。 みんながみんな嫌な所を持っていてさらりと嫌みを言うし、喋ることが無くなってしまった時の場の空気といったら辛いの一言。ほとんどサスペンス。大したことでもないのに家族の前だと何故か突っ張ってしまって、でもやっぱりあとで反省してこっそりと破いた紙を貼り直す。このあたりのシーンを見ていると何とも言えず居た堪れない思いになり、キリキリと心が痛む。見ているのが辛い程に。 この登場人物の異様なまでにリアルな存在感の中、老いた母親が見せる心の闇には痛ましさとともにぞっとする程恐くなる。普通にしていれば気付かない所で人はその脆い心に闇を抱えているのかもしれない。 月日を経るほどに家族という存在はお互い面倒くさくなってくる。一緒にいても辛いことばかり。 しかし、まるで他人の家に来たようだった次男の息子も、この何気ない2日間で父親に心を開くきっかけになった。最後に母親から聞いたどうと言うことのない話を次男は娘に語った。 この時に感じた優しさ、温かさはやはり家族だからこその物だと思う。[DVD(邦画)] 9点(2009-02-08 00:18:49)(良:2票) 《改行有》

46.  ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン! 《ネタバレ》 いやー、もう最高!ホントに劇場で観られて良かった・・・。SHOWBIZ COUNTDOWNで見かけてから一年待ちました。観たくて観たくて署名もしてしまった輩です。公開前から馬鹿みたいに期待して、ホット・ファズを観る為だけに毎日生きているようなものでした。観終わったら死ぬんじゃないかと思うくらいだったのに、その期待をも上回った数少ない映画です。 滅茶苦茶なようでメチャクチャしっかりしてる脚本、演出、何から何まで可笑しくて楽しくてしょうがない! ヘンな役なのにかっこいい“破壊者”ティモシー・ダルトン、クレイジーな村人(オーメンやインディのあの人も!)、洗脳だって一言で解けちゃうお気楽警察署員、そしてお人好しオタクのダニー、熱血スーパー警官エンジェル・・・出てくるキャラ全員が楽しませてくれる。笑えるのにエンジェルとダニーの会話とかはじんわりといい雰囲気出してくれるんだよなぁ。 オマージュ(パロディ?)シーンだって本家よりも魅力的に描かれてるんだから堪らない。「ハートブルー」のシーンなんてこちらの方が説得力有り!エンジェルが完全武装で白馬に乗ってくるシーンなんて、カッコ良過ぎて、アツ過ぎて、不覚にも感激で泣きそうになっちゃいましたよ。そこから、エンジェルとダニーがショットガンを“ガシャン!”「それでこそ相棒だ」熱い!最高!!名シーンです!涙腺直撃。 この映画のために「ハートブルー」、「バッドボーイズ2バッド」、なんて観た甲斐がありました。 これからご鑑賞の方は上記のものと「オーメン」、警官映画をたくさん観ておくと良いですね。それから、容赦ない強烈なスプラッターがあるので心の準備を。 ショットガン、2丁拳銃撃ちまくり、大怪獣(?)対決、中坊の夢がこれでもかと詰まった最高の超一級の娯楽作品です。 結局劇場で3回も見てしまいました。やっぱりこういう映画は劇場でこの作品を好きな人が集まって、皆で笑っているのが暖かくて最高です。ラストの『ハートブルー』のシーン、白鳥の襲撃シーンでは拍手まで起きたんですから。改めて映画を劇場で観る事の素晴らしさを教えてもらいました。 監督初め、スタッフの皆様、公開運動を起こしてくれた方々、本当にありがとうございました。 生涯思い出に残る作品です。[映画館(字幕)] 10点(2009-01-24 13:04:54)(良:3票) 《改行有》

47.  その男ヴァン・ダム 《ネタバレ》 ヴァン・ダムって言うと「バンバンババン、ヴァン・ダム!」みたいなCMぐらいしか馴染みがないんですが、この作品は彼の背景を知っていればなかなか泣けちゃいますね。あの独白シーンはもちろんのこと、僕の涙腺が一番緩んだのは強盗を退治する幻のシーン。やるせない・・・。ラストの受話器をコツコツと当てる仕草も切なくて凄く良かった。 作品全体で言うとこのせっかくの「ヴァン・ダム自虐ネタ」という題材が生かしきれていないように思えました。こんなネタの割に演出・脚本ともにちょっと真面目過ぎたのかな。もっとコアなヴァン・ダムの映画のネタを物語に組み込んでいけばさらにテンポ良くなったと思うし、冒頭の「ヴァン・ダムが郵便局を襲撃してる!」みたいなアホらしいぐらいのセリフをもっと入れて良かったのではないでしょうか。コメディ演出をしたからといってあのヴァン・ダムの哀愁は消えないと思いますし。 ただ、この映画を見たら誰でもジャン=クロード・ヴァン・ダムという人が好きになるはずです。これだけは自信を持って言えます。ホントですよ。[映画館(字幕)] 6点(2009-01-24 12:56:47)(良:1票) 《改行有》

48.  バッドボーイズ2バッド 《ネタバレ》 評判の程は聞いていましたがこれほどとは・・・。「型破りな警官」ってのを目指していたんだろうけど、これじゃただのチンピラ。モラルは一切なし。「警官」以前に人として相当マズイ。いや、ここまでやってるってことは、これが正義だ!とでも思ってるんですかね?やたらと上映時間は長いし、陳腐な物語の間には低俗で笑えないギャグばかりでイライラしてきます。アクションもオリジナリティは全くないですし。パクリと言われても金かけて銃撃戦、カーチェイスやろうってのは構わけど、それなら余計なもの挟まないでくれ!PVみたいになってもいいから90分でまとめてくれ!作品全体が汚く、下品で生理的にも受けつけません。[DVD(字幕)] 2点(2009-01-22 02:29:23)

49.  ヘルボーイ 《ネタバレ》 撮影技術、ヘルボーイらの質感も感じられそうな美術は素直に評価できます。何よりもクロエネンのゼンマイ、素顔、刀さばきのこだわり様は素晴らしい。前半のキャラ紹介はなかなか楽しめました。しかしその後のストーリー展開がチープなB級映画になってしまったのが残念。魔物と人間の間で葛藤するヘルボーイの物語なのか、未知の世界に触れ新たに世界を知っていくマイヤースの物語なのかハッキリしないように思えたからかな?いずれにしろヘルボーイとマイヤースの友情がもっと深く描かれるべきだったと思う。どうもラストではマイヤースが除け者のようで、結局彼はヘルボーイにはついていけなかった、という風にも見えてしまいました。それにヘルボーイが角を折るシーンも描き方が淡白過ぎる。 アクション面についても中途半端。ヘルボーイにもクロエネンの刀さばきのような強力な見せ場を用意したうえで、真正面から二人をぶつければさらに張り合いが出たのではないでしょうか。[DVD(字幕)] 6点(2009-01-22 00:18:26)《改行有》

50.  キンキーブーツ 《ネタバレ》 主役であるはずのチャーリーは物語が進むにつれてどんどん魅力を失っていく。彼の彼女に比べ、ローレンが随分ときれいに映っていたのでこの二人がくっつくであろうことは早い段階で分かりました。しかしそれにしてもチャーリーはもっとしっかりけじめをつけるべき。あれでは彼女の方が捨てられた形になってしまいちょっと後味が悪い。そして2度までも周囲の人間を失望させるような展開があるので、こちらまで失望してしまいます(どこまで実話なのかわかりませんが)。 しかしそんな詰めの甘さを全て吹き飛ばしてくれたのがローラ。彼女(彼?)の圧倒的な存在感、女らしさ、男らしさ、格好良さはホントにすごい。 自分らしくってのはなかなか難しいことでそう簡単にできることではないけれど、だからこそ堂々と「本当の自分」でいる人は誰よりも輝く、それをローラはあの眩い華麗なショーで見事に体現しています。[DVD(字幕)] 7点(2009-01-14 21:45:04)《改行有》

51.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 完璧に無駄を削ぎ落とし、物語も実にストレートで分かりやすい。しかしどのシーンをとってもクローネンバーグの異彩、力強さがある。銃は一度も使わず、全てナイフや素手でバイオレンスが展開する。銃を撃った時のような爽快感は微塵もなく、あくまで生身のピリピリとした痛みがある。このピリピリ感はバイオレンスシーンだけでなく全編に漂い、危険なのに魅力を感じてしまう世界観が確立されている。そしてこの作品のクライマックスは勿論サウナでの格闘シーン。丸腰の状態で襲われる恐怖、体を切られた時の痛み、全てが生々しく感じられる。本物の暴力、痛みを見せつけられた気がする。 ギャング映画としても画の美しさ、プロットの出来は素晴らしいものだが、それに加えてニコライ、キリルらの心の闇から生じるドラマも上手い。全ての登場人物が抱えている自己矛盾は今作の暴力描写なみにリアル。ニコライは正義と悪の間で揺れ、言葉の端々、さりげない仕草から優しさが垣間見える。キリルは威張り散らしながらも気弱で、子供への接し方からは十分な優しさが見える。ギャングのボスであるセミオンもまた身内と外部で穏やかさと残酷さが同居している。 皆残酷であり、優しくもある。犯罪映画でここまで強く“人間らしさ”を感じさせてくれるものはそうはないだろう。 バイオレンス映画としても、人間ドラマとしても最高峰の作品だと思う。[DVD(字幕)] 9点(2009-01-04 23:24:26)(良:1票) 《改行有》

52.  エグザイル/絆 《ネタバレ》 時代の流れとは無関係な男たち、悪事ばかりしてバカみたいな生き方しか出来ない男たち。しかしいくら時代が変わろうとも彼らの笑顔は少年時代から変わらない。ふざけあい酒を飲み回し、最後は4人vsヤクザの壮絶な銃撃戦。 こりゃ~もう完全に『ワイルドバンチ』の再現じゃないですか。懐かしいなぁ。あの古き良き映画を甦らせてくれるとは。 親友一人の為に金も地位も捨てて生き、その親友、生きる目的すらも失いフラフラ彷徨った挙げ句、死に場所を見つける。もう何も残すものが無くなった4人は死際に最高の笑顔を見せる。最後に子供の遊びのように缶蹴り。それがフィナーレの幕開けとなり、4人は銃を抜く。ブレイズのコートが翻り銃を構える瞬間。あの瞬間がたまらなくかっこいい。空き缶が宙を舞う僅かな時間の中で彼らは生き様を見せつける。 どうしようもない生き方しか出来ないけれど、だからこそかっこよくて愛おしくて好きになる。 ジョニー・トー、素晴らしい作品ですよ。[映画館(字幕)] 8点(2009-01-01 16:55:38)《改行有》

53.  パコと魔法の絵本 《ネタバレ》 『下妻物語』は好きな作品なんだけどなぁ・・・。これは映像面に偏り過ぎた気がします。阿部サダヲとか笑えるシーンもあり、アヤカ・ウィルソンはホントに可愛いとは思うのですが、あの始終カメラ目線のギャグがしつこく、寒いとも思ってしまいました。ラストの絵本のシーンだけならまだしも、全てのシーンでキラキラな加工しているものだから画面がうるさくてしょうがない。そのせいで全く奥行きが感じられません。 プロットを疎かにして、CGとコントだけで乗り切ろうとしているように見えて仕方がないのです。 さすがにラストの絵本は綺麗で迫力もありましたが、その後の展開は全く必然性がありません。あそこでパコを死なせるのは、大貫が死んでなかった!のギャグをやってしまった為にオチが付けられない・・・じゃあパコを死なせてお涙頂戴で終わらせよう!・・・ごめんなさい、ちょっと過剰な言い方ではありますがとにかく作為的な意図しか感じられなかったのです。[映画館(字幕)] 5点(2008-12-26 23:41:10)《改行有》

54.  ゲット スマート 《ネタバレ》 嫌いではありませんがまだまだ狙い過ぎな点が多く見られます。やはり映画たるものコントではなくシチュエーションで笑らせるべきかと。好みの問題ではありますが、その辺りは『ホット・ファズ』と比べると脚本の出来やネタの組み込み方の上手さがよく分かります。 アクションパートはかなり力を入れて演出しているのは好感が持てるし、こういったアクションがしっかりしている程コメディパートとのギャップが楽しめるのだと思います。もう少しアクションとコメディを融合させる事が出来れば一気にレベルが上がったことでしょう。 最後のキスシーンは直前のフラッシュバックも含め、あの使い方とても好きです。 それと六本木ソルジャーさんに同じく、主役はスティーヴ・カレルではなくもっとお固い感じの俳優にすべし! 『シューテム・アップ』のクライヴ・オーウェンのように。[映画館(字幕)] 6点(2008-12-24 21:45:50)《改行有》

55.  インファナル・アフェア 《ネタバレ》 香港の映画なんて全く気に留めることがなかった私ですが、この作品を観てそんな自分を猛省いたしました。近年これほど真正面から脚本で勝負をかけ、なおかつ大成功した作品はそうないでしょう。100分という最近では短いくらいの尺の中、ゾクゾクとした緊張感が途切れる事なく続く。少々突飛とも思える設定も、主役二人を中心に人物描写の上手さのおかげで全てリアルなものに仕上げています。演技も素晴らしい。アンディ・ラウやアンソニー・ウォンもさる事ながら、トニー・レオンには心から感服。これ以降、お三方の出演作をチェックするようになりました。やたらと手の込んだ演出など無くとも、スタイリッシュで渋くて切ないカッケー男のドラマは描けると言う事を再確認。久々の男くさい作品に痛く感動しました! 傑作![DVD(字幕)] 9点(2008-12-19 20:04:38)

56.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 そこそこ期待してはいたものの、これほどとは思いませんでした。これは傑作! 1時間50分という尺で主人公ら強盗団、ギャング、汚職・堅気警察、MI5などの組織の関係、対立をす早い語り口でタイトに描ききった脚本は素晴らしい。 そして見事なキャストと演出。有名どころはステイサムだけと言ってもいい地味なキャストながらも、ステイサムだけが目立ち過ぎる事もなく、ほぼ全ての人物の個性がきちんと際立っている。 正攻法で確実に落ち着いた映像、緊張感と軽快さを絶妙に兼ね備えた演出も、古き良き犯罪映画という感じで心地いい。 それに加えて1970年代の雰囲気、ファッション、音楽(T-REXの“Get It On”サイコー!)もいい。 これは抑えた演出でこそ光る点でしょう。 そして最後に映画的なカタルシスがバッチリ効いてくる。駅の裏口(?)で殴り合いという小さなアクションでも、それまでの積み上げたドラマ、演出でグッと際立つ。ジェイソン・ステイサムかっけー! キメるところはビシッとキメた素晴らしい犯罪映画です。2008年公開作ではベスト3に入る作品です。[映画館(字幕)] 9点(2008-12-18 21:13:04)(良:1票) 《改行有》

57.  NEXT-ネクスト- 《ネタバレ》 いや~、はっちゃけてますねニコラス・ケイジ。原作は未読ですが、よほどフィリップ・K・ディック原作とは思えない実に微妙なアクションコメディに仕上がってますね。まずケイジとジェシカ・ビールで恋人として成立してしまうって事にもの凄く突っ込みたい。終盤の分身もケイジが真面目な顔であればあるほど笑えてくる。で、ラストは「間違えた!」なんて衝撃の展開。良くも悪くもニコラス・ケイジの決してかっこつけられない風貌、雰囲気がこの作品に強く作用しているようです。 しょーもない感じはするけれど、このバカさ加減、嫌いじゃないです。[DVD(字幕)] 5点(2008-12-17 23:59:22)《改行有》

58.  リダクテッド 真実の価値 《ネタバレ》 ここ最近アメリカでは反戦映画が連発されているが、今作は群を抜いて厳しくアメリカ批判に徹底している。 物語の設定・構成は同じくデ・パルマ監督作の『カジュアリティーズ』とほぼ同じ。 ただし今回は容赦ない。有名な俳優は一人も出演していないし、フェイク・ドキュメンタリーの体で撮影し、生々しい描写で甘さを一切捨て去っているように思える。 気怠く退屈な長い長い検問所での任務。でもいつ現れるか分からない“敵”の為に緊張を強いられる。さらに仲間だって突然死んでしまう。気が狂いそうな生活だ。 そして目を覆いたくなるような惨劇が続き、唯一の良識人にさえも慰めはない。しかしあれほどの悲劇が続くと、故郷に帰れただけでも十分な救いに思えてしまう。 ベトナム戦争後からかなりの年月を経てようやく映画化できた『カジュアリティーズ』と違い、事件直後であり、どこまでも厳しいまなざしで戦争の暗部を描いた本作は大いに影響力のある作品だと思う。[映画館(字幕)] 8点(2008-12-17 23:00:26)《改行有》

59.  トロピック・サンダー/史上最低の作戦 《ネタバレ》 期待通りとはいかなかったものの、なかなか楽しめました。ややテンポが遅めに感じたせいか、大きな笑いはあまりなく、始終クスクス笑いのみになってしまったのが残念な点ではあります。しかし、全編下らないと言ってしまえば下らない作品に、莫大な制作費をかけて撮ってしまうベン・スティラーの気合の入りようには感服いたします。また、そんな映画に何十億だって出してくれるハリウッドも偉い。やるなら何処までも本気でっていう姿勢は大事ですな。物語のスケールに見合った、と言うよりそれ以上にド派手で本気の演出は、普通に戦争アクションものとしても全く遜色なし。 それから劇中で結構見せ場のあったトム・クルーズ。この作品でおちょくられてる俳優のトップに立っているやも知れない男があれだけ頑張っているものだから、彼の事はだいぶ見直してしまいました。 本編だけでなく、劇中の裏設定がやたらと凝っていてメイキングのつくりまで半端じゃなく気合いが入っており、こちらの方も相当面白い。本編でもギャグがマニアックなものが多いので、メイキングも含めて1度目よりも2度目、3度目の観賞の方が楽しめるかも。[映画館(字幕)] 7点(2008-12-10 18:39:18)《改行有》

60.  その日のまえに 《ネタバレ》 私は重松清さんの大ファンでして、この映画の原作も発売後すぐに読みました。好ましい題材ではないのですが、そこは重松さんの力でカバーしきれていたように思います。重松清さん原作の映画を観るのは今回が初めてだったのですが、私は若造ゆえ大林監督作も初めての観賞なのです。噂には聞いておりましたが、演出が派手、というか若い、若々しい!音楽はほとんど鳴りっぱなし、時間軸もちょくちょく戻り、幻想・回想シーンも連発。その映像からは危惧していた妙な辛気くささなど微塵もなく、爽やかな心地よさが感じられます。 俳優陣も良し。今井雅之、筧利夫、南原清隆、そして永作博美。彼女のカラッと元気なキャラが上手いこと作品の爽やかさにマッチしています。ホント永作さんで大正解のキャスティングです。 峰岸徹さんはこれが遺作になってしまったようで、ご冥福をお祈りいたします。 大林監督は、本人よりも作品を観てどれくらい元気があるかよーく分かったんで、他の作品観たことないのにこんな事言うのもナンですが、これからも元気に撮り続けてもらいたいものです。[映画館(邦画)] 7点(2008-12-10 12:24:19)(良:2票) 《改行有》

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