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581.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 ~Trainspotting~鉄道マニア(Trainspotter)が自分が観察した車両を記録すること≒些細なことに夢中になること≒ドラッグだけでなく女、007、サッカー、ケンカなんかも。またスコットランドではドラッガーが廃鉄道基地を溜まり場にしていたことから付いた隠語。 '90年代当時“クール・ブリタニア”ってムーブメントがあって、古くてカビ臭いイメージのイギリスから、若くて才能ある人々が台頭して、クールなイギリスを世界にアピールしてきた。ブレアは若干43歳で首相になり、オアシスやブラーがブリット・ポップとして音楽業界を席巻。映画界ではドラッグと向き合ったこのトレイン・スポッティングが、不活性な映画業界を引っ張った。 余談の余談だけど、このムーブメントに影響を受けたクール・ジャパンに足りなかったものって、客観的な視点と正しい自虐感だと思った。 快楽のためには座薬ドラッグをケツに入れて、汚い便所に手を突っ込む。社会に出ないでダラダラ・ズブズブとドラッグにハマるレントンを、ブリット・ポップに乗せて、奇妙な友人たちと共に描いている。ドラッグの禁断症状シーンの表現がまた素晴らしいんだ。どう考えても汚らしく格好悪いこんな所まで、スタイリッシュに描けるセンス。 仲間内ではマトモだったトミーは(セックスを自撮りする時点でマトモではないが)ドラッグにハマり、猫のバイ菌で死ぬ。カッコイイ大人の女ダイアンが、まだ学生だった制服姿のショック。育児放棄の犠牲になる赤ちゃんなんて、誰の子か解らないグチャグチャな状況。 レントンはドラッグを断って真面目に働く矢先、悪友に付きまとわれてドラッグの取引に手を染める。最後はその金を独り占めして悪友との縁を断つ。これで良いのか解らない結末。でもあくまで明るく、辛くても楽しげに、その日その場を生きる若者たち。イギリスが内側から壊れていく様子を、自虐的とも開き直りとも取れる魅せ方で表現したところがこの映画の格好良さだと思う。 初見時は私も20代前半だったか。あぁもっと若い時に、多感な時期にレビューしたかったな。この映画を初めて観た、あの当時の衝撃ときたら…手近にドラッグとかがなくて、本当に良かったと思う。[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-28 14:36:38)《改行有》

582.  スターシップ・トゥルーパーズ 《ネタバレ》 ~Starship Troopers~宇宙船の突撃部隊。宇宙の戦士ってSF小説が原作。 少年「僕だって戦うよ!」兵士たち『ハハハハ!』コレです、このワザとらしい演出。ヤラされてる感がキモい。 兵士の手から弾丸を貰い、嬉々として軍用ライフルを構える子供たち。死刑の生中継が娯楽になり、ゴキブリを踏み殺すとママ大喜び。 「良い虫は死んだ虫だ!」実際の災害現場で決めゼリフ。まるでバラエティ番組のような死者数のカウント。WARの文字の入り方。 人類が先に戦争仕掛けたって?虫相手に戦争を?そんなの成立するの?なんか、素直に信じられんのですけど… 軍事政権下、恋にスポーツに、若者らしい青春を謳歌したあとは、秀才もバカも当たり前のように軍に入隊する。 男も女も全部平等。訓練も食事も寝る部屋もシャワーも一緒。これならフェミニストも文句ないべ? 参政権ほか魅力たっぷりな市民権を得る為に、良く解らん巨大昆虫と戦ってバタバタと死んでいく若者たち。 走る兵士の息づかい、勇ましい音楽、飛び散る手足。死の生々しさがダイレクトに伝わる。戦車?パワードスーツ?そんなのもったいない、銃持った人間使った方がコスパ良いし…ってかい。死に方グロいわ。無残で恐いわ。観てて過呼吸になりそうだったわ。 巨大な宇宙船の発進シークエンス。宇宙ステーションに漂う被弾した戦艦たち。轟沈するロジャー・ヤング、宇宙に吸い出されるクルーたち。脱線する脱出ポット、宇宙を漂う死体。なんだこの作り込み具合は。 「恐怖心だ…怖がってるぞ!!」『イエアー!!(空に銃バババッ)』ISISか?何と野蛮な、何て無慈悲な、テンション下がるわ。 目の前でボーイフレンドが脳みそ吸い取られて死んだ直後、自分がフった元カレと笑顔でズッ友宣言。変態だ。コイツら絶対変態だ。 主人公側の勝利なのにこのモヤモヤした感じ、一緒に喜べない感じ。この血みどろの戦いを、一歩引いて、戦争とは無縁の安全な場所で観る私らの感覚。 考えたら人類の歴史は戦争の歴史、長い歴史から見ると、今の私たちみたいな平和な状況が稀で、一見野蛮な彼らの姿が、本来の人間社会、人間の本質なのかもしれない。だって彼らのその気持ち、ちょっと理解出来てしまうから。そして“あぁ、平和な国・平和な時代に生まれてよかった”って再認識。 しかし何て映画だ。作った人間も変態だわ…って何だバーホーベンか。スゴいっす。[DVD(字幕)] 8点(2021-10-27 19:27:11)(良:1票) 《改行有》

583.  女子ーズ 《ネタバレ》 テレ東とかの30分の深夜ドラマ枠でやってそうな番組を、3~4本繋げて映画にしたような作品。 コントなので最後まで見るのは苦じゃないけど、スーッと始まってあと味なくスーッと終わった感じ。だけどテレビドラマやお笑い番組の1コーナーじゃないんだから、もう少し映画なら映画らしく面白く出来たんじゃないか? みんなデッカいヘルメット被ってるけど、顔小さいし脚も長くてシュッとしてカッコイイ。 桐谷美玲、レッド対メタルゴードンの部下戦、顔が出てるぶん、アクション頑張ってるな~。あと高畑充希と並んで走るところ、延々と走ってるな~。みんなでウンコと叫んだり、有村架純はヤスケン相手にキレたり、みんな頑張ってるわ~。演者がこれだけ頑張ってるけど監督の設定したハードルが低いから、なんかモッタイナイ使い方な気がしてしまう。佐藤二朗のいつものネタ。なっがい歩道橋ネタ。全体の雰囲気がユルユルなために活きてない。 主人公だからか、他のメンバーより赤木のプライベートを細かく描いている。同期との恋愛要素、設計担当の同僚との人間関係なんかだけど、97分の短い映画にソレを入れた効果がイマイチ解らない。 5人それぞれのプライベート、それぞれのヒーローとしての個性・技。シリアスな戦闘や命に関わるピンチ。感動。お色気要素。そういったものを敢えて排除したんだろうから、それに変わる映画らしい満足感を用意したほうが良かったんじゃないかなぁ。 でも、この作品がテレビシリーズだったら、毎回喜んで観てたと思う。[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-10-23 23:10:37)(良:1票) 《改行有》

584.  拳精 《ネタバレ》 子供の頃、石丸さんの吹き替えをジャッキー自身が喋ってると思った人、手を挙げろ。 当時ジャッキーのカンフー映画は、ゴールデン洋画劇場でよく流れてた印象がある。次の日は学校がないので私も最後まで観せてもらえた。 見たことのないカンフーの動き、美しさ、風を切る効果音。解かりやすいコミカルな演出。子共たちはみんなジャッキーが好きだったよ。さてこの拳精は、変な精霊も出てきてコミカルさが突出した異色作。最後“俺の技で決めろ”“いやいや俺ので”って言い争うところなんて、子どもたち大爆笑でしたよ。 ~Spiritual Kung Fu~霊的なカンフー。“カンフーの精霊”的になるかと思ったけど、そういう訳を見付けられず… 久しぶりに鑑賞。字幕版。う~ん、精霊たち、当時は可愛らしいと思って観てたのに、あんな、ただの白塗りのオッサンだったっけ?高画質で顔の違いが解るぶん、残酷な現実を突きつけられた感じ… しかもチャイナ・ガール流れないのね。酔拳のカンフージョンとかは、日本語だし後付けの主題歌だって中学生くらいには気がついてたさ。でもチャイナ・ガールは英語だし、当然掛かると思ってたさ。アレ掛からないと、変な感じなのさ。 今の目で観ると、イーロンは自己中で反省とかしない悪ガキ。負けた女の子にリベンジとか、子供じみてる。まぁ女の子見たこと無いって設定だから、ブルマに初めて会った悟空みたいなものかも?根っこは悪い奴ではない。 カンフーの組手はとても綺麗で、ガードを外して正拳をブチ込む、ガチな空手系の七殺拳。対して動物をモチーフにした奇っ怪な動きの五獣拳。なんかタイトルの意味はこの辺に掛かってきそう。十八羅漢との棒術もトンファーも見事。コメディ映画なのに武器の使い方の教科書みたいだ。見えない精霊とのパントマイムもよく見ると結構上手。 可能なら石丸さんの吹き替え版を観てほしいなぁ。チャイナガーr チャイナガーr フンフンフンフ~フン…♪[地上波(吹替)] 6点(2021-10-22 12:04:42)《改行有》

585.  夕陽のガンマン 《ネタバレ》 ~for a few dollars more~あとほんの数ドルの上乗せのために。 私がもう一回りくらい世代が上だったら、きっと子供の頃に西部劇を楽しんでいただろう。だけど子供の頃は刑事モノやSF、カンフー映画なんかが流行っていて、西部劇はロードショーとかでも滅多に流れなかったから、名作と言われるものも、ほぼ観た記憶が全くない。最近になって、ようやく数作品観るようになったくらいで、マカロニ・ウエスタン鑑賞はこの作品が初めて。 モンコ(これ名前じゃないみたい)の泊まる宿の子供やマダムがもっと話に絡んでくるかと思ったけど、主題に関係ない描写をバッサリ切り取る、この潔さも良いと思う。バイオレンス・アクションが多めで、生活感が薄め。普段なに食ってんだ?とか、どうでも良い生活に絡む設定、必要じゃない情報や描写を削って、描くべきアクションを全面に出す描き方って、北斗の拳とかのアクション漫画なんかにも活かされていると思う。また勧善懲悪とも言い切れない、賞金稼ぎという立場も良い。 まだ若く、それでいてふてぶてしい貫禄がある、イーストウッドの格好良さを堪能する映画。とも言えるけど、ライバル•ポジションのリー・ヴァン・クリーフも格好良いではないか。影のあるモーティマーの過去。敢えてセリフで語らず、懐中時計とインディオの回想で結びつける描き方が、想像力を掻き立てて印象深い。 モーティマーの妹夫婦を襲ったインディオ。突発的な強行ではなく、実はずっと思いを寄せていたんじゃないか?とか…殺しの場面で懐中時計を使うのは、精神的な自傷行為に近いんじゃないか?とか…インディオにも単なる悪党で片付けられない魅力があるから不思議。 モンコとモーティマーの2人が最後に戦う展開かと思ったけど、復讐と賞金で2人の目的を棲み分け。カッコイイ主役2人をどちらも立てる展開は、後味が良くて素直に素晴らしい。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-20 07:10:46)(良:2票) 《改行有》

586.  007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 新型コロナ感染拡大により、公開予定から1年半以上も延期となった本作。確かに、コロナはどこかが作った兵器じゃないか?とか、ワクチンを打つと後々まで人体に影響が出るんじゃないか?なんて、不安が広がっている時期の公開は、避けたい内容かもしれない。 イタリア・マテーラの美しい景色。そこを舞台に繰り広げられるド派手で豪華なカーチェイス。序盤から『これこそ007』と言える満足度。ノーミの“ウワサ”は耳に入っていたけど、やはりショック。MI6本部のネタは面白かった。今回のボンドガール・パロマはとてもチャーミングで、もっともっと出番増やしてほしかったな。監督に日本人の血が入っている為なのか、サフィンとボンドが対面するシーンは、メトロン星人を彷彿とさs…あっセブンだからか! 私の中ではジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグなんです。強さ、格好良さ、不器用さ、弱さが視える、本当に素晴らしいボンド・シリーズだったと思う。本作が最後と言われていたので、どのような結末になるか期待と不安が両方あった。他の007シリーズは1話完結感があるので、いつ終わっても、いつまで続いても大丈夫な創りだった。だけどクレイグ版は1作目からストーリーが続いているため“最後”と言うからには、次には続かない終わり方をするんだろうなって。そういう意味では前作の終わり方でも良かったとは思う。もう、続きが気になるとかでなく、クレイグ・ボンドが観られるなら、それだけで観に行きます。って感じ。…愛なのか? タイトルは『死ぬ暇はない』なんだけどTime to DieをNoで否定してるんだと思う。ので、 ~No! Time to Die~死に時は今じゃない。って感じだったりね。 おぉ、たまたまだけど現時点(私でレビュー25人目)で平均点7.00。なんかスゲー![映画館(字幕)] 7点(2021-10-17 03:10:45)《改行有》

587.  ハプニング 《ネタバレ》 ~The Happening~出来事。事件。 オープニング、ベンチの女性のセリフからヤバいことが起きてる感、躊躇なく自分の喉に突き立てるかんざし。無言でビルから降ってくる人々…突然起こるギョッとする事件。すぐにニュースになり、まずはテロと判断されるところとか、訳も解らず映画の世界に放り投げられる感が素晴らしい。その後も次々と自殺する人々。立ち止まりと逆歩き。変な言葉の繰り返しの共通項。他人に暴力を振るわず、無言で自死を選ぶ気味悪さ。ミステリーとしても面白いと思う。どんな理由と驚きの結末が待っているのか、期待してたんだけど… エリオット達を乗せてくれた人が「原因は植物だ」ってズバリ。麻薬もトリカブトも植物だし、花粉症の私は植物の怖さは充分に知っているから、植物が犯人説でも良い。でもいろんな説の一つではなく、最初からほぼ、植物と断定しての一本道過ぎるストーリー。対してシャマラン監督の定番『コレコレだと思っていたら、アラ以外、実はソレソレだった』に期待してしまうのもあって、物足りなく感じてしまう。 植物説を採ったのに、車を捨てて徒歩で草原に入っていく謎行動。観てる私は世界の動きが気になるのに、どんどん社会から離れていくエリオットたち。情報収集しない、人の話を聞かない独居老婆のジョーンズ夫人。離れの小屋の会話が筒抜けの部屋とか、これはこれで面白いかもだけど、この映画の後半としてはどうだろう? 命からがら逃げてきたのに、早朝エリオットに何も伝えず、アルマとジェスは呑気に離れの小屋でカエルと遊んでるとか、謎な行動取るし。ゾンビ映画みたいな集団自殺事件と、ミザリーみたいな怖い老婆の話。構想途中の2つの話を、無理やりくっつけて一本の映画にしたような印象を受けた。 最後にエリオット達が生きることを諦めた時、彼らはたまたま助かる事になった。もしかしたら“自ら死を選んだんだから、殺す必要がなくなった”のかもしれない。って思ったけど、3ヶ月後のテレビによると、事件は同時に終焉したらしいから、やっぱエリオット達はたまたま助かったってことか。 その3ヶ月後の、何事もなかったかのような町並み。テレビでもまだ学者の仮説に半信半疑な状況。あのペースだと相当の人数が犠牲になったと思うのに、死者数とか被害状況とか、私ら映画鑑賞者にも教えてくれ。途中まではすごく良かったのにな。[DVD(字幕)] 4点(2021-10-15 01:57:28)《改行有》

588.  ゼイリブ 《ネタバレ》 ~They Live (We Sleep)~彼らは生きている(そして我々は眠っている)。彼らは住み着いている。とか。 まるで星新一のショートショートをそのまま一本の映画にしたような、面白いアイデアとインパクトがある映画。 気が付かないうちに自分の意識を変えられている可能性。刷り込み、インプリンティング。ほんのちょっと、脳に刺激を与えて相手の感情をコントロールするなんて、今の技術でも充分にできそうだ。背乗り、なりすまし、スプーフィング。隣の人は本当に身分証通りの人だろうか?場合によっては自分自身が被害や変化に気が付かずに、普通に生活を続けているかもしれない。だから、恐い。 テレビ(最近はネットだけど)を見て、欲しい物を買って、消費する。カリブ海の水着のポスターのメッセージが“結婚し出産せよ”ってのが解りやすかった。リゾートで遊び呆けることと、結婚と子育てで身を固めることは、相反するようでいて辿り着く先は一緒。ホントは洗脳されてるんだけど、自分で選んだ気にさせて、宇宙人に隷属する立場の労働力を作れ。と。 サングラスをしたナダは、躊躇なく警官(彼ら)を撃ち殺し、たまたま入った銀行でこれまた手当たり次第殺していく。精神に異常をきたしたヤバい奴による無差別殺人事件や通り魔事件。サングラスをしていない一般人には、殺人鬼ナダが、殺す場合と見逃す場合の境目が分からない。分別基準も連続殺人犯の中だけのルールみたいで、あの場に居たら恐かっただろうな。 「サングラスをしろ!」「イヤだ!」から始まる6分にも及ぶ路上プロレス。ナダ役がプロレスラーだって後から知ったけど、初めてテレビで観た時は、あの路上プロレスの長さに驚いたわ。そしてナダとフランクの最後の呆気なさにも驚いた。このプロレスとエンディングの微妙なバランス。そこもまぁ、この映画の魅力かもしれない。[地上波(吹替)] 6点(2021-10-14 23:52:41)《改行有》

589.  八つ墓村(1977) 《ネタバレ》 「祟りじゃ~~」幼少期、犬神家と共に“日本の映画=怖い”と刷り込まれた原因の一作。こんなののCMが夕方のテレビで頻繁に流れてたんだから、油断も隙もない時代だったわ。 石坂金田一を散々観てからの鑑賞だったので、時代設定が現代なのに違和感を感じる。だけどジャンボジェットや当時の都会の町並みを見せてから、延々と時間を掛けて辺境の八つ墓村に行く過程を見せることで、まるでタイムスリップしたような感じを味わえた。もっとも、'77年の大阪や岡山の街の風景、村の商店や墓地、東屋の家屋も雰囲気アリアリで、美しいメインテーマと相まって懐かしく魅入ってしまった。 本作はショッキングな殺人シーンが多い。毒殺するだけで良いだろうに、徹底的に痛めつけられる落ち武者…これは呪われても仕方がない。この映画のメイン、要蔵による32人殺しも目を覆いたくなる惨状。真っ赤な血と人形丸出しな村人なんか、今の目で見るとリアリティが弱いかもだけど、行われてる内容が恐い。特に32人殺しは、後々モトになった事件の存在を知って更に怖くなった。ハラハラと不安を煽る曲と、夜の桜の下を走る要蔵の美しさは、今どんな技術を駆使しても撮れない画じゃないかなぁ。 鍾乳洞で辰弥を追いかける美也子の怖さ。あの声が頭にこびりつく。要蔵と美也子に追い掛けられる夢を2日連続見たわ… 村娘を座敷牢に監禁して手篭めにするなんて、戦後なのに人権や常識が通用しない田舎の怖さを感じた。双子お婆さんとか、祟りのお婆さんとか、128人の村であんな個性的な老婆が居ると、恐いなぁ。 大虐殺の恐ろしい回想シーンに対し、現代の殺人は毒殺ばかり。そして主役のハズの渥美金田一が物語の中心でないことも予想外。犯人を特定するのは見事だけど、実際、具体的にはどのように殺人が行われたのか、最後の謎解きを見てもピンとこなかった。最初の殺人はどのタイミングで毒を?とか、祟りのお婆さんとかどうやって?って思うし、小竹婆さんは「小梅さんが、鎧武者に捕まえられ…」と言っていたけど、誰が鎧武者だったんだろう? 後半は鍾乳洞の中ばかりで、もっと風景が見たいと思ってしまったのと、春代にしても美也子にしても辰弥に会おうとしたら会いに行ける鍾乳洞の構造。回収も検死もされない小梅と久野の遺体。そこに隠れる辰弥。 何年も見つかってない要蔵の死体の謎。そもそも劇中の32人殺しって、犯人行方不明の未解決事件なのかな。 本作は推理モノではなく“祟りを悪用した財産目的の犯行…と見えるように仕組まれてるけど、実は尼子の祟り”という怪談モノ。祟られた要蔵も美也子も顔が真っ白だけど、あれは顔が真っ白になって死んだ尼子義孝の祟り・憑依みたいなものなんだろう。 ちょっと気になったのは、最初の祟りの村の長・庄左衛門は、村人7人を殺してから自殺して8人。 今回も祟りなら、最後の美也子とその後の小竹お婆さんで9人になるのでは…あ、32人殺しも要蔵入れたら33人か?[DVD(邦画)] 7点(2021-10-11 02:09:37)《改行有》

590.  病院坂の首縊りの家 《ネタバレ》 オープニングのジャズ、スタッフ紹介の文字の大きさから、今までのシリーズらしさ(悪く言えばマンネリさ)を払拭しようとしたんだろうか?統一感は薄い。そして黒いマントを纏った金田一が、今までの事件に振り回される感じでなく、一歩引いた落ち着いた感じで、何とも格好いいのだ。それら脱マンネリ策に、最初見た時は違和感を感じたけど、2回目視聴の時には、これも良いなって思ってしまった。お約束のセリフ、仕草はしっかり健在で、等々力警部は粉薬の大サービス。 家系図がとっても複雑で、劇中まんま家系図メモを見せるくらいだけど、それでも充分に理解できたとは思えない。弥生の娘と孫が…という解釈で良かったろうか?もう人間関係が女の髪のように複雑に絡み合っててドロドロだよ。千鶴がなんで天井裏に隠れて暮らしてたのか、劇中聞いてたのに忘れたんだか… 夜中の廃屋で挙げる結婚はミステリアスで、視線の定まらない由佳利の演技はなかなかのモノ。その後の生首事件に繋がる下りは、戦後の怪談としても不気味で興味を惹かれる。謎解きのキッカケ、意外な人物の意外な裏の顔も、ミステリーとしてしっかりした作りに思えた。電話を使っての“誰が誰と話してるのか?”を混乱させる撮り方も上手い。 弥生がもう不憫で不憫で…15の頃から猛蔵に写真で縛られ、写真乾板をネタに脅迫され続け、結婚写真を使った敏男の法眼家への復讐は、法眼家に人生を狂わされた弥生に向けられる事になるハズだった。結果的に娘を2人も失い、そしてあの結末。原作と違い弥生を殺害に関与させたのは、あまりに一方的に不幸過ぎる生涯だったからだろうか。弥生の由佳利に対する想いが今ひとつ掴みきれなかったと思うけど、襖を挟んで小雪と話す弥生の姿に、由佳利への思いも込められていたのかもしれない。 これで石坂金田一を5作品+1を製作年順に続けて観た。前作から1年3ヶ月ほど経っての公開。舞台は昭和26年。んん?年代的に5作品のちょうど真ん中だ。真ん中だけど金田一が渡米(?)を前にして起きた最後の事件ということ。う~ん、作品ごとの関連性が見えるかと思ったんだけど、キャラクター設定は一緒でも、他作品との繋がりらしいワードは一切出てこなかった。 作品ごとに完成度にムラがあるけど、犬2006を除く5作品(女王蜂も除いて4作品でも良い)を、年代ごと(獄→犬→病→(女)→悪)に、脳内で補完しながら観ると、テンポよく観られるかも?[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-10-06 22:48:52)《改行有》

591.  女王蜂(1978) 《ネタバレ》 石坂金田一第4作。昭和27年の秋が舞台だから、悪魔の手毬唄と同じ年、同じ季節の話ってことになるか? まずこの4作品の上映スパン。犬神('76/10)→悪魔('77/04)→獄門('77/08)→女王('78/02)。いくら当時の映画界が元気だったとは言え、このペースで名作を作り続けられたらバケモノだわ。 満を持して作られた犬神家と、構想が膨らんで作られた悪魔の~と、ブームだからと作られた獄門島以降の作品では、完成度が落ちるのは必然。 本作は前の3作にあった、ドロドロした田舎の跡目争いといった、戦後のバタバタした空気が浮き彫りにした気味悪さ、私が勝手に言ってる戦後の怪談映画の雰囲気はなく、探偵が推理で事件を解決するサスペンスに落ち着いている。唐の間や時計塔で行われる殺人は血まみれで、綺麗な死体が多かった獄門島で消化不良だった、惨殺死体は出しているけど、どうも表面上の怖さに終止している。古びた和洋折衷の建物、複雑な人間関係は過去作と同様におどろおどろしい雰囲気はあるけど、月琴の里と京都を行ったり来たりするので、その土地に根付いた風土、習慣の怖さが感じられない。怪談面ではイマイチだけど、加藤武、坂口良子ほかシリーズおなじみの面々に過去の3女優共演と、キャラクターは満喫出来るので、割り切って楽しんだほうが良ささそうだ。 『唇にミステリー』ネットで調べたら、劇中のお母さんの形見の口紅が、まんまカネボウから売られてたみたいで、なんか思いっきりでスッキリしたわ。 あの場だけの秘密としていた真犯人を、なぜ等々力警部が知っていたのか謎だけど、4作目にして金田一と仲が良さそうな等々力警部を観られて、こっちもスッキリ出来た。これがシリーズ最後というか、3部作+オマケの1作って感じで作られたんだろうか? でも'79/5にもう1作公開されるんだよな…[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-10-04 14:35:07)《改行有》

592.  ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 《ネタバレ》 ~Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan~原題は邦題のままのようです。 モニタリングという番組があって、アスリートが老人メイクをして、一般のアマチュアに教えてもらう体で競技に参加して、突然本領発揮して驚かすってドッキリ企画なんだけど、アレどう見てもメイクってバレバレだし、一般の人もバレバレメイクに気付かないフリするのも、正体バラす時に驚くのも、大変だろうなぁって、見ていて辛いからチャンネル変えてしまう。あの番組まだやってるのかな? こういう企画はドッキリだってバレたら元も子もないけど、仕込み・ヤラセが見透かされると途端に面白くなくなると思う。けどこのボラットは最後まで騙し通すところがスゴい。ニュース番組出演、ロデオでの国歌斉唱、変な宗教団体に参加など、収録後のネタバレをせず、ウソを突き通したようだ。 ヤラセとコメディとドキュメントの境界線が絶妙で、どこからどこまでがヤラセか判断が付きにくいけど、アンティークショップはヤラセで、パメラ・アンダーソン誘拐は本人了承済みとのこと。だけどパメラのボディガードは知らないんだろうな。 ボラットとアザマットが全裸で格闘するシーンは吹き出してしまった。こういう下品な下ネタのシーンで笑ってしまうと、人に言えない自分の性癖を知られるのと同じくらい恥ずかしけど、まぁ、観てる時1人だったので…劇場だったらどんな反応しただろう。 で、この格闘のあと、パーティ会場で全裸で暴れるドキュメントに繋がる(…ルース・ベイダー(当時、最高裁判事)がゲストらしいけど姿は見えず。同姓同名か、ここもヤラセか?)。住宅ローン販売員のパーティらしいけど、公開2年後にサブプライム・ローン問題。数カ月後にリーマン・ショック。 出演する一般人にモザイクが掛かってないのが不思議だけど、これが映画として成立するのは、ボラットの非常識な行動や言動に対する一般人の対応が、カメラの前で行われてることだと思う。彼らは隠し撮りをされたわけではない。ロデオのオーナーがボラットに『ヒゲを剃らないとテロリストみたいだよ』とか『イラクのテロリストは全員縛り首だ』とか過激なことを言う。NYテロの割とすぐ後だから仕方のない感情とも言えるけど、彼はこのカメラの先に、カザフスタンの国民が居ることを了承したうえで、そう答えたハズ。 お下劣コメディとして笑うのも良し。 社会問題にメスを入れたとかナントカ、小難しい顔をして観るのも良し。 不愉快だ、詰まらないと記憶から消しても良し。 そして、観ないのも良しだ。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-10-04 13:04:43)《改行有》

593.  獄門島(1977) 《ネタバレ》 戦後を舞台にしたシリーズだから、軍に徴用された釣り鐘のエピソードとか、復員兵詐欺とか、戦後特有の空気がいい雰囲気だ。 “獄門島”という名前、その由来、そして本家・分家の争いと、犬神家同様に怨念渦巻くドロドロした内容が想像できる。オマケに海賊の生き残りまで上陸している。小さな島で犯人が解らない殺人事件が起きてる割に、思いのほかのんびりした雰囲気で話は進んでいく。 床屋に現れる鵜飼、黙っていると不気味なのに、しゃべるとナヨっとして不気味さぶち壊し。3人娘が揃ってキチガイの役だって、いまいち解ってなくて、単に(当時の)今風な、大人の話の通じないギャルなんだなって観てしまった。花子が殺されても、残る2人とも雰囲気があのまんまだったから、なんか拍子抜けしてしまったというか、観てて緊張感が無かったというか… お小夜が一番不気味。草笛さん綺麗。与三松の弟を念じ殺したとか、恐い。本鬼頭に居座るお小夜を座敷牢に入れて狂い死なせるなんて、こんな怖い話をなぜ映像化しなかったのか。同じ座敷牢で飼い殺されてた与三松。鍵を開けられてから行方不明だったと思うけど、どこで何してるんだろう?見逃したかな? 俳句をモトにした殺人(というか死体の残し方)は、過去2作同様印象的なんだけど、金田一シリーズを現代の怪談映画然としているのは、殺人や死体の内容と言うより、その舞台となる家や村から漂うおどろおどろしい空気が大事なんだな。って思った。絵面がカラッと爽やかになったために、精一杯おどろおどろしさを演出するための、あのオープニングの不気味な絵だったのかもしれない。あと島に掛かる夕陽の上に、上手い具合に雲が掛かって、まるで鬼の目のように見えるシーンは恐くて美しい。よくあんな画が撮れたよ。 犬神家の大ヒットから、当時横溝作品の実写化が盛んだったとは聞いていたけど、まさか公開直前に獄門島がテレビドラマ化されるなんて。それで犯人を変えざるを得なかったんだろうか? 石坂金田一のシリーズ3作目にして、昭和21年の事件との事だから、犬神家の前の年が舞台。この辺り、今だったら“○○ビギニング”とか“○○エピソード0”とかってやりそうだけど、特段シリーズとしての関連性も、説明もなく物語は進む。でも最後お七に、これからどこに行くかわからないと言っているから、東京で探偵をやる以前の話ってことになる。ウィキであらすじ読んだら、金田一はこの事件をキッカケに探偵事務所を開いたらしい。けどわざわざ「探偵の経費で落とせる」ネタを入れるためだけに、この辺の筋を曖昧にしたのかな。 たぶん映像で一番印象に残るのは電線のスズメだと思う。あれは可愛い。小林昭二のフンドシ姿も素晴らしい。それ以上に公開前の“特報(トレーラー)”の短い動画の、坂口良子がトンデモなく可愛い。出番は4秒くらいだけど、You Tubeにあると思うので、興味があれば是非。[DVD(邦画)] 5点(2021-10-03 22:28:46)《改行有》

594.  ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 ~Solo~ぼっち。ほう、ハンでなくソロをタイトルにするのか。SWは家族の話だけど、ハンは天涯孤独だから、ピッタリなタイトルかもな。きっとハンがチューイと出会うまでの、やさぐれた一匹狼時代の話なんだろう…と思いきや、ハン君には可愛い彼女がいて、ぼっちだった期間はすっ飛ばして、すぐ相棒チューイと強盗仲間が出来る。 そんな中、サラッととんでもない事を言うハン「親父はクビになるまで、コイツを組み立ててたんだ…」何ですって!?あなた、お父さん居たの?じゃああの、人の良さそうな帝国軍のおじさんが付けてくれた、ファミリーネームの件は何だったの?? 西部劇を下地にした本作。南北戦争っぽいドロ臭い戦場。仲間と焚き火。列車強盗。インディアン(クラウド・ライダーズ)まで出てくる。酒場にカードゲーム。スパイス鉱山はゴールドラッシュ金採掘地。一対一の決闘…やりたい方向性はわかった。でもこれ、別に興味無いな… 賛否両論の否が多いEP8から立て続けに上映された本作。次のスピンオフは既にオビワンで決定とか。この時期“スターウォーズ疲れ”という言葉があったんだな。私だけじゃなかったんだ。 戦場で拳銃無双するベケット、カッコいい!縦横自在なモノレールもカッコいい!雲海を進むスターデストロイヤーもカッコいい!ランド「I Hate You!」ハン「…I know」EP5とEP3の絶妙なマリアージュ凄く良い! 後半に行くほど尻すぼみだけど、無難に良く出来てる。 けどSWは映画のヤツしか観ない私としては、このくらいの佳作を連発されても何も嬉しくない。 アメグラを意識したようなカーチェイス。黒い箱車、隣にアメグラのローリーっぽい髪型のキーラ。 当時のスタッフのお遊び程度だったサイコロを、EP8から急にハンの形見のように持ち上げる無理矢理な下地作り。 最後のモール、部下との通話にいちいちセイバー光らせる幼稚なアピール。 何かこう、コアなファンが喜ぶと思ったであろう演出が、かえってシラケてしまう。 よく解らないけど、とにかく早いんだろうって“ケッセルランを12パーセク”。ハンがまだ駆け出しの頃に、しかもファルコン最初の操縦で、話を広めそうなギャラリーも無い場で、一回限りの行き当たりばったりなやり方で行われてたとは。私にはあれが40年後の片田舎のレイでさえ知ってる“伝説の瞬間”には見えなかった。EP7のスター・キラー基地着陸の方が何倍か高等技術に見えた。 ファンが100人居たら100通りのイメージがあったであろうケッセルランを、あんな雑に映像化するなんて。 チューイとの出会い、ハンの拳銃、ランドとの腐れ縁、ファルコン入手、ケッセルラン、ジャバの元で仕事…ハンソロの過去の有名なエピソードの、ほぼ全部が今回の出来事に詰まってた。EP4の10年前の出来事。じゃあ、あとの10年は何してたの? 商売だからどんなスピンオフを作っても構わないけど、ファンが想像で楽しむ余地くらいは残してほしい。そもそもこういうスピンオフは、内容にうるさい面倒くさいファンしか観ないんだから。 「顔が似てない」「ハンとは思えない」公開されたら好評価の倍くらい不評が出ることのは、やってる本人が一番心配していただろう。 それでもやり通したエアエンライク。ハン・ソロ役という重圧に耐えてよく頑張ったよ。 EP8のローズ役のトランもだけど、配役と演技の内容を決めるのは制作者側。彼ら無名の若手俳優は、与えられた仕事を一生懸命やっただけなんだ。 私の基準で5~6点くらいの映画だけど、SWを名乗ってこの内容なので…[映画館(字幕)] 4点(2021-09-28 22:38:44)(良:1票) 《改行有》

595.  陰陽師 《ネタバレ》 当時すごく流行ってた記憶があるけど、観る機会に恵まれず、今回初視聴。こちらでの評価が低いけど、案外面白く観られた。 姿勢良くシャキッとして、物腰は柔らかい晴明。普段は滑舌良く話すけど、呪文を唱える時のボソボソ話す姿は結構インパクトが有る。ナルホドこりゃあカッコイイわ。 ちょっと不思議な晴明の住まい、瓜の中から蛇が出てくる最初の依頼が、何かほのぼのしててとても良かった。“シキガミ”とか“シュ”とか馴染みない言葉が多く出てくるけど、その辺の説明も丁寧で解かりやすい。 ニコニコしながらセリフ言う役の蜜虫とか、キョエちゃんみたいなカラスとか可愛いキャラも出てくる。最初気になってたあまりに大きな魚が、実は人魚だったとか、観せ方もなかなか上手い。 最初の晴明と道尊の戦いとか、如何にも呪術って感じで、今までにない感じが不思議で良い。だんだんゴースト・バスターズみたいな“呪”が出てくるけど、このくらいはまだ許容範囲。博雅と望月の君の淡い恋愛も、青音と親王の悲しい恋愛も、古風で良いなぁ。わら人形がボトボト落ちてくるところなんて、けっこう怖い。当時の最新技術、CGモーフィングで鬼になってしまう望月の君。最初の白塗りメイクのままでも良かったかも? 道尊が大暴れする後半からアクション多めに。ゆるりと動く萬斎と、伸びやかに動く真田のアクションはなかなか良いと思うけど、ここまで長時間派手に立ち回るとは思ってなかった。陰陽師だからもっと静かな戦いを想像してた。 まだCGがチープなのと、全体的に展開が漫画チック。俳優の力が大きいけど、緩急のテンポも心地よく、思いのほか悪い出来だとは思わなかったな。何だろう?最近ありがちなタレントのカメオ出演が無いからかな?[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-09-27 18:33:01)《改行有》

596.  悪魔の手毬唄(1977) 《ネタバレ》 犬神家の舞台が昭和22年で、本作は昭和27年の物語。 犬神家の続きものと言ってよいのか、同じ俳優が別な名前と役柄で出てくるから、慣れないと結構ややこしく感じる。橘署長は別人の立花刑事の役だから、金田一と初めて会った時の首を傾げるのが可笑しくて。 今回は山あいの村が舞台。自然の美しさと静けさ、夕方から日が落ちるのが早く、とても寂しげで怖さも感じる。 登場人物が多く、4世帯に女4人、娘4人、息子が3人?最初の方、名前が出る時に細かく顔がカット・インするの、便利で解かりやすいと思ったけど、覚え続けるのが大変で…鑑賞3回目にして金田一みたく家系図を作ってみたので、今回は何となく関係が解ったかな。 他人の話をべらべら喋る女中がザル屋なのを聞いて「ピッタリじゃ」には吹き出した。他にも金田一と磯川警部のやり取りが絶妙で面白く、自転車の二人乗りなんて何とも微笑ましい。 このシリーズの影のヒロイン草笛光子。殺人を問い詰める方言がなんか可愛い。 総社の宿でおはんが去年死んだと知らされる時とか、大瓶の中の大きなサンショウウオとか、恩田の写真を見る女3人とか、見ていてゾッとする演出が上手い。 極め付きが村娘を表した手毬をする日本人形。あんなの、子供の時見ていたらギャー!!だよね。 葡萄酒作りとか、田舎のモール詐欺とか、弁士の失業とか、あの時代ながらの問題・話題がなんかリアル。 同い年の仲良し村娘4人組に、これまた闇深い事実が隠されていたけど、子を思っての犯行って考えたとしても、あまりに突飛な動機。そんなの感情論で妨害するなり、口で上手く説明すればって思う。手毬唄にちなんだ殺人は、ご隠居以外に知っている人が居ないマイナーな唄なのに、どうしてその唄に合わせる必要があったのか?…まぁそういうの全部、犯人の心が病んでいたって思うとスッキリか。 でも源治郎と恩田の、村人との関係がどうもシックリこない。20年経った今なら過去のことだけど、当時はリアルタイムの人間関係があった筈で、それなのに、あんな小さな村で夫婦生活するなんて、当時の彼は何でそんなリスキーな事をしたのか。…もう一回くらい観れば何か掴めるかな? 犬神家同様に、戦後の怪談話として、観てる間“ヒエぇ~~…”ってなれる、とっても趣のある懐かしさと怖さ。[DVD(邦画)] 7点(2021-09-27 02:33:13)《改行有》

597.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 いよいよルークの出番だ!タイトルが赤いのカッコイイ!雪の下が赤い地表の星カッコイイ!そしてキャリーの遺作になったか… EP7もローグ・ワンにも満足してたので、本作にも当たり前に期待してたのさ…でもEP7で出された多くの謎や伏線を次々ぶち壊す展開に驚いた。 Q.レイの両親って誰?A .名前のない普通の人。 Q.じゃあ何でレイはフォースを使えるの?A.厩舎の子供のようにジェダイじゃなくてもフォースが使えるようになってきた。 Q,レイとフィンの恋愛要素は?A.自然消滅。レイにはベン、フィンにはローズが。 Q.スカイウォーカーのライトセイバーの役目は?A.・・・ポイ!知らんわ。こんなの途中で真っ二つだ。 Q.スノークって何者?A.よく解らないままにアッサリ退場。 この映画の本線が“ファースト・オーダーの追跡から逃げるレジスタンス”で、アトラクション映画とは思えないノロノロ展開で退屈。燃料切れ作戦なんて現実的すぎて興ざめなのに、それが本線。 レイアの宇宙遊泳…それやっちゃ駄目!って誰か言わなかったの?劇中ポーに「シールド内だからまだ助けられる!誰か宇宙服を!」とでも言わせないと… ホルド提督がたった一言「あの星に旧反乱軍の基地があるの、そこまで逃げるのよ」って仲間に言わなかったために起こる反乱。 ノロノロな戦艦チェイス中に他の惑星で人探し。追われてる戦艦から自由に行ったり来たり出来る謎。カジノで尋ね人と接触できず、駐車違反で逮捕。武器商人が善悪両方に武器を売っていたから、ファルコンのレーザーが赤なのか? 賛否両論のホルドのワープ特攻…ってか両軍とも作戦が甘くない?主力艦に特攻されたって、他の戦艦が輸送船をプチプチ撃ち続ければ良くない? で、逃げ道のない基地に籠城。またノロノロと大砲を準備…衛星軌道上から砲撃しようよ。勝算もなく貧弱なスピーダーでみんなで特攻。私情でフィンの邪魔をするローズ。最初でさえ400人(え?少なっ!その辺の駐屯地より少なっ!)だったレジスタンスが、最終的にファルコンに乗り切れる人数に。ここからどうSWを続けろって? ベンの暗黒落ちのキッカケになったルークに呆れて、修行らしい修行をせず、師弟関係も結べずに帰るレイ。…タイトルの最後のジェダイって、ルークでもレイでもなく、ベンのことだったのね。 後日譚だからルークの最後も受け入れる。けどルークの死の場面に夕陽とフォースのテーマ流しとけば、お前ら泣くだろ?と思われてることは腹立たしい。 良かった点もあった。「素晴らしい すべて間違っている」は好き。レイアのホログラム。砂漠出身のレイが雨に喜ぶところ。ヘイシアン・メタルの使い方。赤い岩と塩の星は魅力的。ホウキを掴む少年…でもこれEP9の最後にやる画でしょ。 レイとベンの遠距離フォース会話。賛否両論あるけど、多くの人が死ぬのを感じたり、死者と話せたりするのがフォースなら、出来なくもないと思う。新3部作でシェイクスピアのような古典恋愛を。旧3部作では当時の現代的な恋愛を。そこで続3部作はスマホやSNSを使った今の恋愛を落とし込んで描こうとしたんだろう。レイとベンの会話をルークが聞けないのも良い。 レイとベンが赤い親衛隊と戦うところはすごくカッコイイし、2人の関係が進んだようで良かった。…けどレイはいつの間にファルコンに戻った? どうにも行き当りばったりな本作。単発映画が予想外に好評で、じゃあ続編でも作ろうか?って言うならアリだけど、本作は最初から3部作と決まっていて、更に歴史あるシリーズの続きものなのに、脱線ばかりで物語が全然進まない。この続3部作のストーリー全体を管理、把握してる人って居るの?そもそも向かうべき結末というものは用意されているの?って思った。 たしか当時『SWはあと3作品作られる』とか『毎年スピンオフが作られる』とかって噂が流れ“SWもディズニーの商品の一つになったんだな。”って残念に思った。そして“もう勝手にやれば?”って気持ちに。スピンオフで何を作ろうと構わないけど、SW9作品は、しっかり納得の行く作品にしてほしかった。 今回レビューの為に渋々BDを買って観たけど、思いのほか観られたのさ。きっと展開が解ってたから公開時と違って冷静に観られたんだと思う。多くの方の批評と重複してると思うけど、元々自分の為の備忘録として始めた映画レビューなので、今は多少本作を許せても、公開当時観た時の気持ちを忘れないように、クドクドと書いてみました。無駄に長くなってすみません。[映画館(字幕)] 2点(2021-09-26 23:42:52)(良:2票) 《改行有》

598.  ロッキー・ホラー・ショー 《ネタバレ》 ~The Rocky Horror Picture Show~ミュージカル“ロッキー・ホラー・ショー”の映画化で、ピクチャー・ショーとは映画の昔の言い方らしい。日本だと活劇とかシネマ、キネマだろうか? ホラー・ショーではなく、フランクン博士が作った人造人間の名前がロッキー・ホラー。ロックとホラーから名付けたんだと思う。『活劇!人造人間ロッキー・ホラー!!』とか、そんな感じかなぁ? 画面いっぱいの唇。“深夜の2本立てSF怪奇映画の2本立て”って変な歌から始まる。往年の映画と俳優の名前とともに紹介されるこの映画のあらすじ。ブラッドとジャネットも出るよって、知らんわ。この映画ともう一本は禁断の惑星か?とにかく、ひと昔前のSF映画と怪奇映画への愛は伝わる。 目のクリクリした女の子がスーザン・サランドンなのが驚いた。ストーリーを理解しようと頑張ったけど館に入ったところで無理だって諦めた。こっそり帰ろうとするブラッドとジャネット同様、私もDVDの停止ボタンを押したくなったけど、フランクン博士登場で目が冷めた。うわっカッコイイ!トランスセクシュアル星。今で言うトランスジェンダーか。最初以外マトモに服を着てないブラッドとジャネット。ここで見せられる実験が、タイトルのロッキー・ホラー・ショーなのかな?いやいや電話借りに来ただけなのに… ジャネットだけでなくブラッドも襲われるとこ、関係を持ったことのバレ方、タバコ吸ってくつろいでるブラッドに吹き出した。“タッチ・ミー”の可愛さ。ジャネットの尻の軽さ。スコット博士と顔合わせのテンドンは笑うしかない。こんな盛り沢山な夜の、深夜に始まる晩餐会。配膳の雑さ。一方的に初めて一方的に終わるハッピーバースデーソング。この辺のセンスかなり好き。 石膏像にされて、みんなセクシー衣装で踊りだして、ホント何がしたいんだ?? スゴいけどカッコイイけど楽しいけど、大好きか?って言われると、そう言うのでもないんだな。不思議な魅力は満載。[DVD(字幕)] 6点(2021-09-24 18:33:47)《改行有》

599.  犬神家の一族(2006) 《ネタバレ》 You Tubeで犬神家の短い動画を見たのがキッカケで、アマゾンでDVD買ったんですよ。中古の安いので良いやって。届いたのがこれ。 しばらく観て、岸部一徳って容姿が変わらないなぁなんて思ってたら、松嶋菜々子が出てきたんで???ってなって… 同じ監督、同じ主演でこんなセルフリメイクがあったなんて知らなかった。アマゾンも'76年版と'06年版を同じコーナーに一緒にしたら駄目だよ。 間違い探しレベルに同じ展開をなぞる本作。2作品を見比べると、那須の街の本通りを金田一と古舘が歩く屋根上から見下ろす画なんて、どこかの裏庭だろうか、本通りには見えない。そこまで無理して再現するか?ってくらい似せて作ってる。 '76年版ではセリフのなかった間、いわゆる行間に、「え?」とか「あぁ!」とか、いちいち感情を表すセリフを入れて、見てる側にわかり易く作られてるのかな。そのせいか前作にあったピリッとした空気感までが薄まったような。珠代役の松嶋菜々子からは島田陽子にあった緊張感が感じられない。画面によっては含み笑いをしているようにも見えて、“犬神家の面々より珠代のほうが強いんじゃないか?”って印象。 勝手な想像だけど、'76年の現場って今よりもっとピリピリしていて、島田陽子も先輩大女優に気を使って、それが映画に上手く作用したんじゃないだろうか?それが今は上下関係も昔ほど厳しくなく、みんなフレンドリーな環境で、松嶋菜々子も他の先輩諸氏と対等か、下手したらそれ以上な待遇で撮影されたんじゃないだろうか?残念だけど前作に勝る部分が見つからず、これは全てにおいて前作の劣化コピーと言える。 ウィキを読むと、どうもこれは市川監督が創りたかった企画・内容じゃなかったように思える。90歳にもなる市川監督が本作を意欲的に撮るとしたら、金田一は'96年の八つ墓村と同じトヨエツか、別な若い男優を立てても良かったと思う。昔のままのシナリオで手を加えることすら出来ないなら、もういっそ、自分の好きなお世話になった人を集めて、同窓会的に楽しく撮ろうじゃないかって、開き直りがあったのかもしれない。 監督や俳優が映画人生の末期に、自己満足と揶揄される作品を作ることがある(と思う)。宮崎駿の風立ちぬ、高倉健の鉄道員のように。それは観方を変えれば遺言であったり、身内へのメッセージやお礼であったりで、決して万人の観客を喜ばせる新しいものや意欲的なものではない。自身の最後になるかもしれない自身のための作品。市川崑は'06年犬神家の一族がそれなんだろう。巨匠最後のワガママ。市川監督がかつての仲間たちとワイワイ楽しく撮影できていたなら、それでもう充分じゃないかな。 ヨキ・コト・キクについて、菊も琴も凶器じゃないのにどうして最後、斧(ヨキ)だけ凶器だったのか?キクの時は花鋏だし、コトの時は帯紐が凶器だった。そもそも斧は発見されてないから凶器と断定できないって思ったけど、実は凶器は何でもよくて、スケキヨを逆さにしてヨキケス、下半身だけ湖から出して“ヨキ”にしてたのね。[DVD(邦画)] 4点(2021-09-23 16:53:20)(良:2票) 《改行有》

600.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 推理物としてみると伏線とかヒントもなく、かと言って意外性もなく“あぁそうだろうな”って結末。ホラーとしてみるとペンキのような真っ赤な血のりと人形丸出しの死体でショボい。でも、恐い。幼少期の記憶が、この映画を“恐いもの”としてインプットしているんだろうけど、私はこの映画をサスペンスでもホラーでもミステリーでもなく“怪談話”として観ていたんだと思う。 幼少期の夏まつり会場。公園に掛かる橋のたもと。しだれ柳の下に片足のない軍服を着た兵隊が居た。夜だからロウソクを灯して、軍帽を被って下を向き続ける日本兵。足元に小銭の入った空き缶…オバケを見たとかでなくホントの話。'70年代後半に傷痍軍人…の偽物だったらしいけど、怖かったなぁ。そんな時代の子供だから、終戦直後を舞台としたこの映画の出す空気は、四谷怪談とか武士が出てくる大昔の怪談話でなく、いまの私の時代に繋がる身近な怪談話に感じらて、恐くて恐くてマトモに観てはいられなかったっけ。 そんな記憶から、ビビリの私が再視聴したのはごく最近。キッカケはYou Tubeで短い動画を見たんだけど、テーマソングが私の古い記憶をグルングルンと呼び覚ました。そしてデカデカと映される明朝体。あぁ、エヴァはここから…。これは、買うしか無いとDVDを購入。黒い床、重たい壁、綺麗だけど年季の入った襖。寂しい廊下の電気。重苦しい空気を醸し出す和洋折衷の犬神家の屋敷。街の風景と併せて映像の美しさが際立つ。石坂=金田一のフケ、探偵の経費。加藤=警部の粉薬、よし解った!。金田一の乗る車の運転の荒さといったお約束。そして女中役の坂口良子はいちいち可愛くて一服の清涼剤。佐清のあまりに立ったキャラクター。ゴムマスク恐い、焼け焦げた顔も恐い。マスクを被ったあとの口をモゴモゴ動かすのも恐い。湖から伸びる両足のインパクト。これほどの映像美を感じさせる死体の画は右に並ぶものがない。 製薬会社の裏でケシの栽培をして、軍と結びついて一代で財を築いた佐兵衛。これが最大の秘密でなく、地元の知ってる人は知っている暗黙の事実だったこと。犬神家の佐清、佐武、佐智、小夜子。愛人の子・静馬。そして珠世。犬神の屋敷の中で繰り広げられる男女関係。みんな犬神佐兵衛の血を引く子と孫なこと…なんて気持ち悪い内情だろう。 今まで表沙汰にならなかった財閥の内側が、相続で起こった醜い争いとともに、次々と白日のもとに曝されていく。出征が巻き起こした混乱と、今までの閉鎖的な習慣をぶち壊した敗戦。戦争が暴き出したドロドロした系譜の内側と、そこに繰り広げられる人間模様が、オバケなんかよりずっと恐ろしい。[地上波(邦画)] 9点(2021-09-20 15:43:39)《改行有》

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