みんなのシネマレビュー |
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621. 預言者 《ネタバレ》 成り上がり系の映画は嫌いではないのですが、これはいまいち乗れなかったです。 勢力関係も人物相関図も複雑。状況説明、人物描写、背景描写は必要最低限。鑑賞者側に知識、知性、理解力を強く求める内容だと思います。はっきり言って不親切。ずっと頭フル回転で、ついていくのでやっとです。 マリクという人間は嫌いではありません。 入所してすぐ、靴を奪われます。ですがすぐ正面から取り返しに行き、返り討ちにあいます。 彼はきっちり反骨精神のある人間。それでいて、ここは正攻法が通じない場所。そういったことを印象付けるエピソード。 おそらくマリクは、そんなたいした罪で服役しているわけではないのでしょう。 そんな彼が、人を殺さざるを得ない状況に追い込まれてしまい、実行します。終盤では自分のために、立派な暗殺者になってしまいます。これはとてもハッピーエンドとは言えないし、サクセスストーリーとも言えないでしょう。 友人やその家族を大事にする。そういった、弱者への思いやりや優しさを失っていないことがせめてもの救いでしょうか。 逆に言えば、そういった生来善良な人間が、立派な犯罪者に生まれ変わってしまうストーリーなわけです。 マリクが立派な裏社会の人間として出所していく様子に、複雑な気分にさせられました。 内容が内容なだけに、成り上がっていってますよ、ってのがわかりづらい演出、構成になっています。ですのでカタルシスを感じることはありません。2時間30分もかけて、疲労感だけが残る作品。 最初に殺した人間の幻が予言を行うという設定が邪魔でしかなかった。最初は罪の意識から見える幻覚だと思っていたのですが、犯罪を助長するような予言をするあたりそうだとも言い切れず。 これはエンターテイメント作品ではありません。私とは相性が悪い作品です。見る人を選ぶでしょう。[DVD(吹替)] 3点(2020-06-02 12:47:16)《改行有》 622. フィッシュストーリー 《ネタバレ》 1つ1つのエピソードはそんなたいしたことはないけれど、それがつながって世界を救うことになっちゃう爽快な結末。 1975年、1982年、1999年、2009年、2012年。 異なる時代で起きた出来事を1つにつなげる壮大な物語。 こんな大掛かりにも関わらず、すっきりまとまっていてわかりやすい。しかも2時間以内にきれいに収めてしまう。かといって、駆け足になっている感じは全くしません。1つ1つのエピソードを、じっくり丁寧に見せてくれます。そこに描かれる登場人物たちの心の機微までしっかり伝わってくるのです。 こーゆー仕掛けの作品って、奇をてらうものも多いですが、この作品は至極真っ当でストレート。そこが好感触でもあり、物足りなさでもあります。 森山未來を育てたのは濱田岳ってすぐわかっちゃうし、ミサイルの計算をしたのが多部未華子ってすぐわかっちゃいます。ですので、良くも悪くもこちらの予想を超えてくることはないでしょう。 また、どう考えても要らない人物とエピソードの存在が気になります。それが谷口と1999年。要る?私はそこだけ不協和音を感じてしまって、正直谷口も1999年も無くてよかったです。というか、無いほうが良かったです。ついでに言うなら、健太郎と悟が1999年に登場してくるのだって正直蛇足だと思っちゃうのです。 それなら、高橋真唯があのあとどうなったのか、そっちのほうを教えてほしいくらいです。[DVD(邦画)] 7点(2020-06-02 00:37:07)(良:1票) 《改行有》 623. ウォルト・ディズニーの約束 《ネタバレ》 実話を元にしているから仕方ありませんが、メリー・ポピンズの原作者であるトラヴァース夫人がまず好きになれません。傲慢。高慢。謙虚さも聡明さも足りません。辛い過去があったのは同情に値しますが、それとこれとは話が別です。こーゆー人とは肌が合わないのです。共感もできません。周りにいる人間が親切な人ばかりだったから良かったようなものです。 トラヴァース夫人以上に気に入らないのがその父親。ヘレンの父と言うべきか。 現実逃避。アルコール中毒。家のことは妻に任せきり。子供に良い顔ばかりすれば、それは子供に好かれますよ。当たり前です。ですがそれが本当の愛情でしょうか。私は奥さんが不憫でなりません。これだけ苦労をかけられた挙句、父親はまるで忠告を聞き入れず体を壊して他界するわけです。娘だって甘やかしてくれる父親にべったり。 そんな父親と原作者ばかりにスポットが当たり、二人を肯定的な目線で描くストーリー構成。私はとてもそんな気分になれません。私はこの父親みたいな人間が本当に嫌いです。 キャストは良い。演出も良い。音楽も良い。みなさん名演だし、そもそも私はディズニーが大好き。ですから良い映画なのは間違いないのでしょうが、私的にはこれはナシ。 え?これって結構好き嫌い別れる作品だと思うのですが、違うのでしょうか。 ただ、この映画を見たおかげで、メリー・ポピンズを見てみたくはなりました。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-06-01 02:52:11)(良:1票) 《改行有》 624. メガ・シャークVSグレート・タイタン 《ネタバレ》 シリーズ4作目にしてやっとまともな映画になった気がします。 面白いかと問われれば微妙な気がしますが、前作までのシリーズに比べれば格段に進歩が見られます。 『え?進○の巨人の超大型○人?』と、ここはつっこまざるをえないほどのパクリ具合。ここまで堂々とパクってくれるともはや清々しい。でも良いんです。このでかい巨人が標準装備でレーザー持っているだけで許します。 ただそのレーザーを戦闘機撃ち落とすのにはがんがん使うのに、メガシャーク相手には全然使ってくれないのはちょっと不満。 そんなメガ・シャーク。今作では遂に宇宙へ。人工衛星を破壊します。ここまでやってくれると笑うしかない。でもこの馬鹿さ加減は良い馬鹿馬鹿しさ。これこれ。こーゆーのを待っていたのです。 CGアクションはシリーズ中最も良い出来。 オススメできる作品ではありませんが、暇つぶしにはなると思います。 前作までを見ていなくても、全く問題がないってのも、メリットの一つです。[DVD(字幕)] 4点(2020-06-01 01:29:36)《改行有》 625. メガ・シャークVSメカ・シャーク 《ネタバレ》 最初のうちは良かった。なんか演技もまともだし。CGもちょっと良くなったし。 だけど最初だけ。後半にすすむにつれて、いつも通りどんどん質が下がる。いや、いつも以上か。 メカ・シャークが人間を襲いだすトンデモ展開。挙句の果てに、『メカ・シャークを海に誘い出せばメガ・シャークが倒してくれるかもしれない。』とか言い出す始末。いいのか?それで?倒すべき相手に助けてもらおうとする、そんな根性でいいのか? そもそもメカ・シャークの持っている武器が魚雷と電圧スキンだけって。今までの潜水艦と変わんないじゃん。全然相手にならないからつまらない。そしてその殺傷能力は人間相手に本領発揮されるというお粗末さ。CG駆使して、もっといろんな武器出さんかい。 なぜか逃げ回る子供。軍人に止められたとき、なぜか身分を明かさず脅迫まがいのことを言う主人公。シーンが変わった瞬間血を噴出している通行人。荒削りとか、もはやそんな次元ではない仕上がり。 そのくせ、要所要所で、ちょっと一流の映画っぽい演出入れようとするから無性に腹がたちます。 ってゆーか、最初メガ・シャーク2匹いませんでした?いつの間にか1匹になっているんですけど?私の見間違いですか? ふー、いよいよ次でラスト。頑張って見ましょうかね。無駄な時間を過ごす覚悟は出来ています。[DVD(字幕)] 1点(2020-05-31 13:42:30)《改行有》 626. ラッシュ/プライドと友情 《ネタバレ》 そもそもF1に興味ないのに観てしまった自分が悪い。ということを踏まえての感想。 まず興味がないにも関わらず、最後まで見れちゃったので、良い映画なんだろーなと思います。 ただしルールとか、当時のこととか、全然知らないまま見ていますので、本当の意味で楽しめていたのか自信がありません。序盤は正直ちょっと退屈だったし。 主にニキ・ラウダとジェームズ・ハントの二人の人生に焦点を絞ってくれたのはわかりやすかったです。二人の伝記もの、人生ドラマとして親しみやすい構成になっています。また、音楽の使い方、それに伴う演出や盛り上げ方がかなり上手。実際ニキ・ラウダが自分がセットアップしたマシンのタイムを計らせるときにかかる音楽は自然と気分がアガっちゃいます。乗せられてんなーと思います。 実話ものなので仕方がありませんが、悪人はほとんど出てきません。ですので、伝記ものとしての枠を超えるものではありません。また、ファンにとっては変なアレンジはして欲しくないというのが本音でしょう。 ですが変なアレンジをせずとも、実際に起きた出来事がまず凄すぎます。クラッシュして大火傷。そこから奇跡のカムバック。焼けた肺から膿を吸引する描写の凄まじさ。事実を映像化するだけでも凄い映画になっちゃうわけです。 ラウダが終盤の雨天レースで、視界がほとんどきかない中、奥さんの顔を思い出し、レースを途中棄権したのがぐっときます。 ラウダは言います。『死亡率が20%を超えるのは嫌だ』。 私は思います。死亡率20%でも全然嫌なんですけど。F1レーサーはどっか感覚が麻痺しちゃっているんでしょうね。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-30 09:15:32)《改行有》 627. パンドラム 《ネタバレ》 『いったいどういう状況なんだ?』っていう好奇心がストレスに変わっていくまで、さほど時間はかかりません。あんまり閉塞的な状況や『よーわからん』っていう状態が続くと退屈が好奇心に勝ります。作成している側はストーリーを知っているうえで作っているわけだから何も感じないでしょうが。観る側の気持ちへの想像力が足りないと思います。 もともと『世界の終末+宇宙』の組み合わせが好きではありません。総じて『抽象的』『絶望的』になりやすく、カタルシスを感じづらいからです。この映画も例外ではありません。『未来への希望』『日常の回復』こういったものが目的として明確にあれば、いっしょにハラハラできるというものです。 『どうせ地球はなくなったしなあ』『最愛の人とは別れちゃっているし、地球に置いてきちゃったし』 これが私がこの映画を見ているときの気持ち。これを諦観といいいます。こーゆー気持ちで見ていると、『大変そーだ』とは思っても、一緒にハラハラはできないんだな、これが。タイトルにもなっている『パンドラム』の秘密なんて、どーでもよくなっちゃうんだな。 まあそうは言っても、『クリーチャーから逃げる』『宇宙船を再起動させる』という、ストーリーの単純化は良かったと思います。この設定だけで楽しめます。 昨今のSFっていうのはやたら話を複雑にしたり、宗教色からめたり、設定を小難しくしがちな気がします。昔の『エイリアン』やら『遊星からの~』みたいに、SFだからこそ誰が見ても楽しめる世界観を提供してほしいものです。[ブルーレイ(字幕)] 4点(2020-05-29 15:27:23)《改行有》 628. 天使の恋 《ネタバレ》 佐々木希をはじめとした女の子たちの演技がクソすぎて、全然ストーリーに入り込めなかったです。 コメディタッチなシーンはまだ全然良いんですが、シリアスな演技は総じてだめ。友子役の女の子は佐々木希と逆で、シリアスな演技は上手だけど、はしゃいでいる演技はわざとらしすぎて寒気がします。 谷原章介は良かったです。演技の上手さが際立っていました。映画が谷原章介でもっているという感じです。 イジメ、レイプ、中絶、援交、かつあげ、脅迫、殺人、飛び降り自殺。あまりにもメインストーリー以外の不純物を盛り込みすぎ。それに盛り込んだ内容も全体のバランスを崩しているだけ。 例えば、理央の『14歳でレイプ、中絶』って壮絶な過去に同情はするけれど、かと言って他の人間をひどいめにあわせて良い理由にはならない。理央たちが友子にした仕打ちは到底許せるものではありません。天使?どこが?理央という人間に共感できず、物語に入り込めません。 奈緒子の自殺は理央のせいではありません。ですが、この重すぎるエピソードのおかげで、病気の悲劇が薄まってしまいます。 唯一良かったのはコメディパート。ここは、脚本、演出、演技、すべてにわたって冴え渡っていたように思えます。主演二人の何気ないやりとりだけでも楽しい気分になれるからたいしたものです。公共の場で猛然と大声アピールをする理央にとまどう光輝。少しずつ理央にほだされていく様子が微笑ましい。 いろんな要素を詰め込みすぎず、すっきりラブコメ一本に絞ったほうが良かったんじゃないかな。[DVD(邦画)] 4点(2020-05-28 12:08:44)《改行有》 629. パーフェクト・ゲッタウェイ 《ネタバレ》 不穏な空気。得体の知れない緊張感。それだけで1時間以上ひっぱるのだからたいしたものです。何か起りそうで何も起きないので、40分過ぎたあたりから多少退屈はし始めたのですが。 出会うカップルが怪しいのばかり。 予備知識なしで見たものですから、まずは『お?ヒッチャー系か?』と思います。 その後、もう一組怪しいカップル登場。ぱっと見は好印象。だけどこーゆーやつが怪しいんだよねーってことで、『こっちが真打か!』と確信します。 ですが物語は意外な方向へ。意外というか、反則というか。これをミスリードと言っていいのでしょうか。 これは結構賛否あるみたいでして、実は『会話の内容は成立している』という情報を耳にし、再チャレンジ。いやいや、もう一回見てみましたが、やっぱ二人きりの会話の内容おかしいですって。 ですがその謎を解き明かす人物が。通りすがりの医療従事者。彼は言った。『彼女の瞳孔は正常だけど、お前の瞳孔が開いているのはなぜだ。』 なるほど、クリフの頭の中はお花畑でいっぱいだったわけですね。クリフっていうか、ロッキーね。薬物の乱用で人格が分裂しちゃったって可能性もありますね。 だとしたら何でもアリになっちゃうじゃねーかよ。 とは言え、見ている間は結構面白かったです。[DVD(字幕)] 6点(2020-05-27 13:51:21)(良:1票) 《改行有》 630. メガ・シャークVSクロコザウルス<OV> 《ネタバレ》 中学生が『こんな映像撮ってみたい』って思った映像を並べて、適当にストーリーをくっつけてみたような映画。前作とあまり変わりません。相変わらず同じ映像使いまわしているし。 サメがでっかくなったり、小さくなったり、場面場面で寸法が合っていません。 卵がいっぱいあるっつったり、ないっつったり、そのときそのときで言うことがばらばらです。 セリフも聞いていられなくて、半分くらい見たところで、試しに吹替えに切り替えてみたところ、多少マシになりました。 また、今作ではサメもワニも結構ずっとでずっぱりで暴れてくれたので、そういった面は前作より大分良くなりました。 今作を見て気付いたのが、今作では人が食べられちゃうシーンがまあまああるっていうこと。これは大事です。やっぱり無機物ばかり相手にされてもつまらないですから。 総評として、前作より倍は面白くなったということで、点数もどど~んと前作の2倍の点数つけちゃいます。 前作が1点なので今作は2点! 3作目と4作目は自分で登録要望出したので、責任もってレビューを書くために見ようとは思っていますが、こんなもんがあと2作も続くのか・・・気が重いぜ。まさかこんなにつまらないとは・・・[DVD(吹替)] 2点(2020-05-27 09:02:29)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》 631. メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス<OV> 《ネタバレ》 アルバトロスだし。いかにもB級だし。期待という名のハードルを下げに下げて鑑賞。 結果、下げに下げたはずのハードルを、更に下回る結果に。 こいつはつまんねーぜ。なにがつまんないかっていうと、馬鹿映画にもなりきれていないってとこ。馬鹿映画には馬鹿映画の面白さが。なのにこいつは、馬鹿映画なのに、頭よく見せようとする変なプライドを感じちゃうのです。変に真面目に作ろうとしちゃっているのです。で、作りたいものに対して、技術も演技力も脚本も演出もそのすべてが全然追いついていないのです。だから見ていて苦笑もできないくらいひたすら寒いのです。 変にドラマ性をもたせようとするから、中盤メガ・シャークと大ダコが全然出てこないんです。退屈で仕方がありません。 そのくせやたら同じ映像使いまわして手ぇ抜こうとしています。 あとこんな作品に恋愛要素をぶちこまないで。寒いだけだから。 ラストのメガ・シャークVSジャイアント・オクトパスはちょっとだけ面白かったけど。潜水艦がチョロチョロ邪魔で仕方が無かった。 そういえば、こんなこともありました。メガ・シャークと大ダコをおびき出す作戦にしたんです。主人公達が軍から頼まれて、実験したり、化学薬品調合したり、なにやら一生懸命作っているんです。一心不乱です。徹夜っぽいこともしているみたいです。くたくたです。期限があるみたいで、必死です。で、その合間に恋愛に発展するんです。そうしたら、『そうだ!フェロモンだ!フェロモンでおびき出せばいいんだ!フェロモンを作ろう!』って、今何を作るかが決まったみたいなんです。だとしたら、今まであなたたちが一生懸命作っていたのは何?私はもうそれがおかしくて仕方が無かったのです。[DVD(字幕)] 1点(2020-05-26 21:20:31)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》 632. ブライアン・シンガーの トリック・オア・トリート 《ネタバレ》 怪しい雰囲気満載のオムニバス系ホラー。オムニバスとはいえ、すべて同じ街、同じ時間帯に起きている出来事。 あるエピソードでは通りすがりであった子供達が、次のエピソードでは犠牲者に。女性を殺す殺人鬼が次のエピソードでは犠牲者になっていたり。絶妙に関連しあっている構成がすごく面白い。 なにしろ、かぼちゃ子供のおばけ、サイコパス親子、ウルフマンの一族に殺人鬼、子供のゾンビたちなどが一堂に会するわけです。ホラー好き、クリーチャー好きなら見て損はありません。 これだけエピソードを盛り込んでいるにも関わらず、上映時間は短め。手際よく犠牲者を量産していきます。 80年代~90年代のようなテイスト。懐かしささえ匂わすホラーの詰め合わせ。グロ描写が比較的少なめではあるので、ホラー初心者にもおすすめの良作です。[DVD(字幕)] 7点(2020-05-26 14:52:49)《改行有》 633. レクイエム(2009) 《ネタバレ》 フィクションではありますが、エンターテイメントとは言い難い作品。娯楽の一環として見るのであればオススメはできません。 なにしろ映画の大部分を独白が占め、少年の同じ映像が何回も挿入される。もちろんそれがこの映画の大事な部分ではありますが、私には少々くどく感じました。 リーアム・ニーソンとジェームズ・ネスビットの演技は素晴らしいです。この2人の熱演があればこそ成り立つ映画。逆に言えばこの2人の熱演に頼りきった作品と言えなくもないです。 『あいつは自分が人を殺した話をするだけで世間からちやほやされて金が入ってくる』と怒りを露にするジョー。 しかし現実は、12年の服役後、ずっと孤独で空っぽなアリスター。妻がいて娘がいるジョーのほうがはるかに充実した人生を送っていると言えるでしょう。これはこの作品におけるある種の救いの表現なのかもしれません。やはり罰せられるべきは加害者であると。そして再生の道は被害者にこそ与えられるものだと。 過去に囚われているのは二人とも同じ。ですが過去と決別するかどうか、その選択権があるジョーに対し、その選択権すらないアリスター。この差は大きいと思われます。アリスターが過去と決別するためには、ジョーに会う必要があったのです。アリスターこそジョーを必要としていました。 ジョーが最後に下した決断。それは自分だけでなく、アリスターも過去の呪縛から解き放ってあげることでした。 最後の電話は、本来であればする必要がないものです。あの電話により、アリスターもまた救われたのです。この意味は大きいと思います。 つらつらと語っちゃいましたが、私はこの映画、概ねつまらなかったと最後に言っておきます。[DVD(字幕)] 4点(2020-05-25 15:29:19)《改行有》 634. ワナオトコ 《ネタバレ》 『ワナオトコ』って(笑)。と、小馬鹿にする気持ちで鑑賞。いやいや、思いっきりドキドキしました。ワナオトコも罠も、その不気味さったらないよ。なめてかかると痛い目見る映画です。 かなり『痛い系』ホラーですが、ぎりぎりの倫理感はあるようで。『子供は殺さない』『舌は切らない』『おなかに虫を入れようとしたら警察登場』。グロいの好きな私ですが、ここは思いとどまってくれて良かったです。 知らない間に罠が増えていくっていうアイデア、シチュエーション、面白いですね。ここまで罠に特化した殺人鬼は初めてでしょう。 ただこの作品ね、せっかくの罠がちょっと見えにくいんですよ。まず夜だから仕方がないのですが、電気もつけないのでとにかくずーっと暗い。更にはアップが多くてちょっと見づらい。目が疲れちゃいますよ、もう。アイデアだけで面白いんだから、トラップを断片的に見せるのはもったいないですよ。こーゆーのはもうはっきり見せちゃったほうが良いですって。 それにしてもこの家族、仕事を頼んだ人間がプロの泥棒とサイコパスって、どんだけ運が悪いんだ。 ちなみに私は『ワナオトコ』ってタイトルはかなり好きです。 普段タイトルなんかどーでもいいと思っている私ではありますが、この徹底的にダサいタイトルはかなり好きです。[DVD(字幕)] 7点(2020-05-25 03:16:58)(良:1票) 《改行有》 635. 42~世界を変えた男~ 《ネタバレ》 実話を元にした映画っていうのは、事実を捻じ曲げることができません。 ですので、映画として、どうアレンジし、味付けしていくのかが大切だと思います。 そういった意味ではこの作品、やや薄味すぎるのではないかなと。 ジャッキー・ロビンソンという偉大なメジャーリーガーの伝記としては価値ある作品。 ただ映画の内容は、史上初の黒人メジャーリーガが成功していった事実を淡々と述べただけのものに収まっています。 劇中の障害は差別のみ。描かれる差別は『トイレ』『シャワー』『宿泊拒否』『飛行機』といったオーソドックスなもので、そのひとつひとつが表面的な描写のみです。あとはひたすら『ヤジ』ですね。 ロビンソンを強く差別していたチームメイトはトレード。リッキー会長という最も強力な権力者は味方だし、チームメイトも一部を除いて良い人ばかり。野球だって順調に活躍し、挫折なんてしません。 いや、サクセスストーリーは好きなんですよ。ですがさすがにここまで山場がないと、カタルシスを感じることもないわけです。 かといって事実にない事件を起こすわけにもいかないでしょうし。好きなジャンルではあるんですが、実話ものの限界を感じます。 音楽はすごく良かったです。 『全選手が42のユニフォームを着る日』や『42は全球団において永久欠番』のエピソードは感動しました。それを知ることができただけでも、この映画を見た価値があります。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-25 02:37:47)(良:1票) 《改行有》 636. スパイダーマン:ホームカミング 《ネタバレ》 スパイダーマンのアクションはスピード感があって良いですね。 今までのスパイダーマンと違い、アベンジャーシリーズの1作としてのスパイダーマン。もはやスピンオフ的作品。もちろん期待はできないわけです。ですが、エンターテイメント作品としては抜群に面白い仕上がりでした。 ただ、サム・ライミ版と比べれば、どうしてもドラマ性は低くなります。 それもそのはず。彼は最初からスパイダーマン。ベンおじさんだっていない。メイおばさんはきゃぴきゃぴ。『ヒーローとは何か。正義とは何か』そんな深いことでは悩みません。彼の悩みは就職活動。『どうして僕をアベンジャーズに入れてくれないんだよ』、この一点。今までのシリーズでは恋愛が原動力になってましたが、本作ではヒロインの影は限りなく薄いのでした。よって、サム・ライミ版や、アメージング版のようなドラマを期待すると、物足りなさを感じます。 これ単体でも十分に楽しめますが、アイアンマンがちょいちょい顔を出すことからもわかるように、これはアベンジャーズファンのための作品と言えそうです。 本作の主人公を演じるトム・ホランドはピーター・パーカーのイメージにぴったりです。 更にはアントマン同様、コメディテイストの演出が多いのがとても楽しい。やたら『即死モード』を提案するAIが面白すぎます。 アクション面での見所は、何と言ってもエレベーター。スパイダーマンの真骨頂は『人助け』だと思っているので、このシークエンスはアツい。そこから先は終盤に向け面白さは尻すぼみになっていった印象です。 フェリーバトルはまだ良いのですが、最後の空中戦なんかつまらないです。 そういえば、『MJもグウェンもいないなぁ・・・』って思っていたら、MJ!お前いたのかよ! [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-24 02:35:12)《改行有》 637. 重力ピエロ 《ネタバレ》 『放火犯は春』。なぜかそのオチだけ知っている状態での鑑賞。そのオチをどこで知ってしまったのかは思い出せない。ですが、オチを知っていたとしても、なかなかどうして面白い。面白いと感じるのは、春が放火犯であろうが、そうでなかろうが、そこは重要ではなかったからかもしれません。 その春を演じた岡田将生。今までこの人の演技を良いと思ったことがなかったのですが、これは良かったです。役が岡田将生にぴったりです。 時系列バラバラ系の作品は得意ではありませんが、今作は過去と現在を同時進行で進めていくだけのすっきり展開。母の身に何が起ったのか。春はどのようにして生を授かったのか。それがわかる過去のシーンは重要でした。 過去では被害者。現在では加害者。レイプ、事故死(自殺?)、ガン、放火。奥野一家が背負った運命はあまりにも重く、悲しい。にも関わらず、この映画では奥野家がどれほど素晴らしい家族でどれほど幸せだったかを見せつけてきます。兄弟仲が悪い私にとって、その兄弟の絆、家族の絆は確かに輝いて見えたのです。 『楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえるんだ。』 幸せであろうとするから、何が起きても幸せなんでしょうね。 春がジンジャーエールを注文するのを絶望的な表情で見つめる兄。・・・だけど春にはもうひとつのクセが。春はウソをつくとき唇を触る。自分と同じクセを持つ春を、嬉しそうに見る正志。実の父の血が流れているという過酷な現実がある一方で、育ての親のクセがうつるという救いも描く。この何とも言えない絶妙なバランス感覚が好きです。[DVD(字幕)] 7点(2020-05-24 01:23:00)(良:1票) 《改行有》 638. テケテケ2 《ネタバレ》 こーゆーやつの2作目って前作とはまた違う舞台になることが多いのですが、これは完全なる続編。一作目の生き残りである大橋可奈の現在からストーリーは始まります。個人的にはこの大橋可奈の悲劇には8点をつけたいくらいです。 完全なる続編にも関わらず、『イジメ』という新たなテイストを加えたことは評価に値します。 このイジメが結構陰湿で、いじめられっこに感情移入し始めたところで、テケテケさん登場。『いじめっこは月に代わってお仕置きよ。』ってノリでテケテケさんがばっさばっさといじめっこ達を一刀両断。まさに文字通りの一刀両断を繰り広げるのです。時代劇も真っ青です。もはやヒーローのようなテケテケさん、そこにはカタルシスさえ感じてしまうのです。 ただそこはやはりジャパニーズホラーってことで、最後にはちゃあんと悲劇が用意されているのです。ぬかりがない。 前作とは違う味わい。ターゲットとなる犠牲者も前作より多い。比較的かわいい子が多く、スパスパシーンも多く、画的な満足度は高いです。しょぼいB級作品とはもはや言えない、立派なエンターテイメント的魅力があります。 つっこみどころは前作より多いです。 あれだけテケテケさんを怖がっていながら、夜中に一人歩道橋を渡る大橋可奈。 歩道橋から踏み切りにテリトリーを広げるテケテケさん。更には踏み切りからも出ちゃって、建物の中にも普通に出ちゃうテケテケさん。『赤は嫌だー』って言いながら人間真っ二つにしたら、その『赤』がいっぱい出てくるんだよ、テケテケさん。男性に乱暴されて自殺したのに、女性ばかりを狙うテケテケさん。いったい何がしたいのかな。頭が弱いのかな。 [DVD(邦画)] 8点(2020-05-23 04:47:58)《改行有》 639. テケテケ 《ネタバレ》 都市伝説。妖怪。こーゆーの大好きです。 まあ正直馬鹿にする気まんまんで見たのですが、冒頭からいきなりびびらされました。 いつも見る前は威勢がいいのですが、見始めるとしょぼいホラーでも結構びびるタイプ。そんな自分にぴったりの作品です。 テケテケさんの足音。いいです。恐怖心をくすぐられる不快な音です。テケテケさんが歩く姿はおろか、ジャンプする姿まで見せられた日にゃあもはやコメディ。・・・のはずなのに、なんでしょう、ちょっと怖い。なぜか絶妙に恐怖心を刺激されます。日本のホラーの音響や雰囲気作りってほんとうまいです。 おそらく低予算であろう作品。低予算がゆえに、過剰な演出は一切なし。それが逆に日常とリンクされて、ちょっとリアルな雰囲気を作っちゃってます。 ストーリーが実にシンプルなのもいーですね。 テケテケが来た。振り向いたら殺される。だから振り向かない。下から覗き込んでくるテケテケさん。まじで怖い。ん?行った?このまま振り向かずに帰ろう。呼びかける声。死んだはずの友達の声。思わず振り向く。だまされた。 ホラーはこれくらいわかりやすいのがいいですね。テケテケさん、技ありです。[ビデオ(邦画)] 7点(2020-05-23 03:53:47)(良:2票) 《改行有》 640. ダラス・バイヤーズクラブ 《ネタバレ》 実話とは知らずに鑑賞。 エイズが判明。余命30日。エイズ治療薬AZT。まだ臨床実験の段階で処方されず。違法に手に入れるも、薬は効かず病状は悪化。ワラにもすがる思いでメキシコの医師を訪問。免疫機能を向上させる毒性の低い薬。ただし未承認。ウイルス除去はできずとも、病状は緩和。病気を治すのではなく、病気と共に生きていくことを決意。自分を助けてくれた薬の販売を企画。『ダラス・バイヤーズ・クラブ』設立。ロン・ウッドリーフが仕入れてくる未承認の薬を求めて集まる人々。黙っていない国家権力と製薬会社。捜査のメスが入り、摘発・・・。 という膨大なストーリーを2時間に凝縮した本作。更には医師との恋愛、患者仲間でもありビジネスパートナーでもある友人との友情、死別までも盛り込んだ内容。 当然後半になるにつれストーリー展開は駆け足になり、説明不足な部分は出てきます。 実話だから仕方ないのですが、本当に人の命を助けてくれる薬が、FDAと製薬会社の癒着により、臨床実験すらされず、人の命が軽んじられる現実が腹立たしい。しかもその事実を隠し、自分たちは正義だと謳っている病院と製薬会社はタチの悪さを通り越して存在そのものが非人道的。もちろん、この映画で述べられていることを鵜呑みにしたらの話ですが。 勉強になる映画ではありますが、個人的には鑑賞後の後味があまりよろしくないので、好きなタイプの映画ではありません。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-21 14:39:15)(良:1票) 《改行有》
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