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641.  植村直己物語 《ネタバレ》 全般的にやたら流れが慌ただしくて、優秀な再現フィルムを見た気にはなっても、映画を見た気にはあまりならない。特に、家族部分とか国内部分の描写は、かなり凡庸な出来といわざるをえないのではないか(あれだけ豪華キャストを投入しておいて・・・)。一方で、冒険部分の撮影には膨大な手間がかかっているであろうことが容易に推測でき、その部分で作品が誠実性を確保している。犬橇って、広大な平原を一直線に走って行って・・・というものかと思っていたのですが、例えば氷塊ごろごろエリアなんかも頻繁にあったりして、その場合でもとにかく意地でもそれを乗り越えていくしかないんですね。[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-02-20 02:12:36)

642.  キャプテン・マーベル 《ネタバレ》 いやもう、これはブリー・ラーソンです。よくぞこのアクション・ヒロインに、この演技派の彼女を当てようと考えたものです。そして主人公の設定は、ひたすら攻撃!攻撃!攻撃!です。あれこれ大義に悩んだりとか、普段は私生活のことを考えたりとかしていません。それをブリーが演じるからこそインパクトがありますし、だからこそクライマックスのヒロイン全完成シーンでは、エレン・リプリーばりの格好良さと神々しさがあります。ゲストでアネット・ベニングやジュード・ロウといった巧者も登場しますが、それすら存在感が霞んでいます(アネットが共演者からあれほど押されるのって、珍しいのでは?)。●一方で「記憶たどりサスペンス」としての風味もあり、これもこれで面白い。寒々とした記憶内容と、それが暖かい友人の家庭で解き明かされるギャップ。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-02-18 01:17:38)

643.  居眠り磐音 《ネタバレ》 作り方はあちこちで今ひとつなんだけど、何というか、登場人物を何とか格好良く撮ろうという根っこの部分の意欲みたいなものは伝わってくるので、駄目とは切り捨てられないんですよね。一番の弱点は、とにかく若手役者陣に個性と存在感がないことなんだけど(特に女優陣)、後の大俳優も若い頃はそうだったなんてことは多いので、その辺は大目に見ましょう。クライマックスの花魁道中なんかも、あの「吉原炎上」の域には遠く及ばないものの、それなりに頑張っていたと思います。[CS・衛星(邦画)] 4点(2022-02-15 01:17:13)

644.  アントマン&ワスプ 《ネタバレ》 前作に引き続いて、まさにウププな世界。大体、マイケル・ダグラスなんて、このシリーズならどこかの作品で悪役で登場していてもおかしくないのに、徹頭徹尾善玉側である。しかも、若手のスコットやホープに引っ張り込まれて、しっかりコメディな演技をしている。それくらいのパワーが作品にある。●そして悪役のゴーストが、別に何か邪なことを考えているわけではなく、ただ単に自分が助かりたい!が行動動機であるのが、強さと同時に哀しさを感じさせます。あくまでも日常生活内ヒーローであるアントマンにふさわしい敵役です。一方、フォスターの描写は割と通り一遍で、フィッシュバーンの投入がもったいなかったかな・・・(私はクレジットを見たときは、彼こそがラスボスかと思っていたのですが)。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2022-02-12 00:26:50)

645.  LONDON CALLING/ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー 《ネタバレ》 あくまでも「ジョー・ストラマーのドキュメント」であって、クラッシュの、ではないところがミソ。よって、序盤では生まれてから成長期のあれこれが続きますし、一方でクラッシュの時期はあっという間に進んでいきます。それぞれのアルバムがどうやってできたのかとか、その辺はほとんどありません。むしろ、アフター・クラッシュの方が制作者のメインだったのかな・・・と思うようなウェイト配分です。で、どこから取り寄せたんだろうと思うような映像の数々の積み重ねの力はなかなかですが、それが系統立てて整理されているかというと、そうではありません。ひたすら断片をちりばめていくような構成です。それでも、最後の「ミック・ジョーンズとのジョーンズ脱退後最初で最後の共演」には、僅かな時間で、全部を回想させるほどのインパクトがあります。[DVD(字幕)] 6点(2022-02-11 01:49:20)

646.  雷神-RAIJIN- 《ネタバレ》 殴り合いと制圧と問答無用の強さこそセガールの本質なのに、それをあんな分かりにくい映像にされては、まったく作品の意味がありません。それと、冒頭で出てくる敵とメインの敵、何か絡みなり関係があるのかと思ったら、単に2本分の話を1本にしただけだったとは・・・。[CS・衛星(字幕)] 2点(2022-02-07 02:05:05)

647.  フルートベール駅で 《ネタバレ》 最初の部分で結論は明かされている分けなので、あとはいかにそれに向けてドラマを積み重ねていくかが肝なのですが・・・最後の1日に絞ってその主人公を追う、というコンセプトは分からなくもないですが、この作りだったら、むしろ多視点系にした方が、かえって主人公の存在は浮かび上がったんじゃないのかなあ。制作視点が「主人公を追っているだけ」で、そんなにドラマが広がっているわけではないので、優秀な再現セミ・ドキュメンタリーを見た気分にはなっても、映画を見た気分にはなりにくいのです。[DVD(字幕)] 5点(2022-02-04 21:24:52)

648.  マグダラのマリア 《ネタバレ》 最後の字幕が、つまりこの作品の動機なんですね。つまり、長年(何世紀も)娼婦とされてきたマグダラのマリアが、2016年に至って遂に使徒と同列されたということ。よってこの作品では、イエス達の伝道を影ながら見守る(?)みたいな従来のイメージではなく、イエスにスカウト(?)されたら一気に教団の中心に位置し、ほとんどナンバー2並になっている。それはまあ、斬新で興味深いんだけど、肝心のマリアの描写自体が、イエスから何を伝えられ何を感得したのかとか、その辺の内面が描写されてないんだよな・・・。●それとやっぱり、ホアキンのイエスというのがいかん!彼がやってしまうと、苦難に立ち向かう選ばれし神の子というよりも、長年修羅場を経験してすでにどんな場面でも何とでもできる堂々たるキャリアのオッサン、にしか見えないのですよ。よって、処刑のシークエンスも妙に唐突です。[DVD(字幕)] 5点(2022-02-03 01:10:59)

649.  HUNGER ハンガー(2009) 《ネタバレ》 初期設定は謎として実に魅力的であり、であればこそそこで起こる心理の綾とか頭脳戦に期待したのですが・・・結局、途中からは単なるサバイバルになってしまいましたね(そういえば、序盤で一人が「水が大量にある」と発言したのに対し口元で「オッ」となるリアクションがあったと思いますが、あれはそれだけだったってこと?)。もっともらしく提示される「この5人の共通点は?」も、結局何も解決してないですし。あのカスの兄ちゃんが最後までそのまんまカスだったというのも、ひねりなさすぎ。●とはいえ、この超限定空間だけで最後まで話を引っ張った豪腕はなかなかのものであると思いますので、点数はそこに対して。[DVD(字幕)] 5点(2022-01-31 00:05:31)

650.   《ネタバレ》 筋立てを再現したところで制作側が力尽きてしまったという感じです。80年代のドラマ作りの悪い面が出てしまった、ともいえます。この主人公は、難しいことは何も考えず(考えられず)に突っ走るだけで、組業界全体の経済方向へのシフトにもついていけなかった、という点が大事なはずなのですが、そのヒリヒリ感なり追い詰められ感がありません。一方で、藤谷美和子のような上品な美人をあっという間に落としてしまう都合の良さ(笑)とか、実家も何か裕福そうな感じであるとか、その辺も展開を阻害しています。[DVD(邦画)] 4点(2022-01-30 00:33:43)

651.  マイティ・ソー/バトルロイヤル 《ネタバレ》 このシリーズの場合、悪役を誰が演じるかという楽しみもあって、ハリウッドの名だたるスターが嬉々として極悪非道な(または低俗下劣な)敵キャラを演じていたりするんだけど、本作は何とケイト・ブランシェット!!いやもうこれだけですべてOK、成功約束みたいなものです。はたして、最初に現れた数分間だけで、もうこれはとんでもなく強い、ソーでもロキでもみんなが集まっても歯が立たん、ということが瞬時に分かってしまうわけです。しかも彼女の場合、台詞回しからして、もしかするとアスガルド訛りというのが世の中には本当に存在するのか、と思わせるほどの個性とパワーを発揮しているのです。●で、実は、そこからクライマックスに至るまでは、びっくりするほどそのヘラの出番が少ない。グランドマスターだの異星脱出だのというつなぎにすぎない場面がやたら長い(これはこれで面白かったけど)。いや、分かります。あのヘラをまともなペースで出していったら、一人で全部持って行ってしまいますし、そもそも正義のヒーローが勝てない流れという、あってはならない展開になってしまいます。見る側に鬱的絶望感があふれてしまいます。●ソー対ハルクという、アベンジャーズ肉体武闘派同士の対決もナイスオプション。ドクター・ストレンジの入口オマケスパイスもいい感じ。逆に、ナタリーとステランを出さなかったのも正解。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-01-26 01:24:47)(良:1票)

652.  ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク 結局これ、「恐竜」じゃなくって「怪獣」になってしまってるだけなんですよね。ただ暴れているだけで。こういう作品なら、裏設定でも何でもいいから生態とか個別能力のディテールにこだわってくれないと、さっぱり面白くないんだけど、映像ができた時点で制作側が満足してしまいました。というか力尽きていました。前作は「いつどうやってどういうのが出てくるか分からない怖さ」というアドバンテージもあったけど、続編なら当然そういうのもないしなあ。[CS・衛星(字幕)] 3点(2022-01-23 00:13:27)

653.  今朝の秋<TVM> 《ネタバレ》 もうこれは、ひたすら「俳優・笠智衆」を鑑賞する作品です。ステテコ姿でとことこ歩くだけですでに芝居になっていますし、台詞はあれこれ言わずに一言でびしっと決める(「ここには誰もおらん!」が最高です)。また、大半が寝たきり状態なのに、表情だけですべてを伝える杉浦直樹のサポート演技も渋すぎ。一方で、杉村春子や倍賞美津子は、不自然な説明台詞をいろいろ喋らせられているのが残念。演出の興味関心が笠さんに一点集中しちゃったんだろうか、と思ってしまうくらいです。●ただし、実は一番画面上に出てきて嬉しかったのは、婦長役の五大路子さんだったりします。[DVD(邦画)] 6点(2022-01-22 00:03:48)

654.  夜がまた来る 《ネタバレ》 94年にもなってこんな昭和中期の作品が堂々とあったのにびっくり。94年にもなってこの豪華助演キャストがこの低予算(にしか見えない)作品に集合しているのもびっくり。しかし内容はそのインパクトにふさわしいとはいえず、進行するごとにむしろしょぼくなっている。一番の敗因は、主人公が「堕ちてない」「覚醒してもいない」ことでしょうか。どのシーンでも状況に対して差がないように見えます。いろいろ脱がせている割には、綺麗に撮られてもいないしなあ。[DVD(邦画)] 4点(2022-01-20 23:52:22)

655.  銭形平次(1967) 《ネタバレ》 67年の作品だから、まだTV版も始まったばかりの頃だったんだな。一応、平次のエピソード・ゼロみたいな感じで、元はただの遊び人の親不孝者だった平次が、一念発起して岡っ引きになるところから始まりますが、その前置きはものの10分強で終わります。つまり、中身はいつもの平次と変わらず、やや登場人物が重層的でちょっと尺が長めなところが違うくらいです。しかしいくら尺を延ばしたとはいえ、この敵方、何度も集団で平次を囲みながら、そのたびに撃退されているのは、実は弱いんじゃないかと思ってしまいますが・・・。なお、登場シーンは少ないながら、妖刀美剣士といった趣の舟木一夫のインパクトはなかなかでした。[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-01-19 00:21:25)

656.  ロックンロール・ハイスクール 《ネタバレ》 厳格な教育者に生徒たちがロックで反抗する、だったら、「フットルース」も「スクール・オブ・ロック」もあるじゃん・・・と思っていたら、何とこっちの方がずっと先だったのですね。しかもこの内容的な脳天気+自信満々の暴走ぶりは、数多くの80'sアホ青春映画の源流のように感じられたりもします。前半は一応もっともらしく学園ものっぽく進行するのですが、後半1/3くらいはそんなものはほとんど無視で、完全にラモーンズのライブフィルム状態です。しかしなぜかそれが前半から浮いておらず、何となくまとまっているのが微妙に怖かったりします。最後は何をするかと思ったら、校舎爆破です。カオス状態です。というかむしろテロ状態です。しかしそれもここまで自信満々に進められると、意外とまっとうな学園ものの結末っぽく見えてくるから不思議です。[DVD(字幕)] 6点(2022-01-18 01:48:22)

657.  カモン・ヘブン! お父さんが亡くなりました。さてそこに集まった家族たちはどうなるでしょう、というそれだけの初期設定で、その発想自体は悪くないのですが、そうすると必然的に描写対象は一家族内に限られていくことになるので、かなりの周到な描き分けが必要となってきます。が、この作品はその辺が不十分であり、しかもみんな似たような芝居しかしてないので、設定の意味もあまりないことになってしまいました。ウーピーの出番もほぼないのですが、この作品で焦点を当ててしまうと、1人で全部持っていくことになったんだろうな。[DVD(字幕)] 3点(2022-01-17 03:13:38)

658.  スパイダーマン:ホームカミング 《ネタバレ》 とにかく前半の主人公が幼すぎ、精神レベル低すぎ。それならそれで、例えば駐車場の尋問(?)シーンみたいに、未熟ならではの笑わせ場面に徹してくれればいいのに、それも中途半端。●悪役がよりにもよって初代バットマンのマイケル・キートンというのは、なかなか気が利いてますねえ。ただ、バルチャーはもっと格好良くなるはずなのに、バックが暗いシーンが多くて見づらく、あと翼の細かい動きが表現されていない。●で、この作品のMVPはジェニファー・コネリーではないでしょうか。あのスピードに発声だけで乗っていって、しかも(あまり芝居が上手くない)主人公に的確に絡んでいって笑いをとる絶妙さ![ブルーレイ(字幕)] 5点(2022-01-14 01:41:19)

659.  日蓮 《ネタバレ》 「当時は異宗とされて迫害も受けていた日蓮宗の始祖」ということは知っていても、それ以外のことは知らなかった日蓮の伝記もの。青年期からの一生を(回想も交えて幼少期も絡めるなどして)丁寧に追っていますが、限られた時間の中なので、例えば流罪にあった→えっもう戻ってきたの、みたいないきなり高速度な場面もいくつかあります。ただその中でも、「とにかく法華宗を全国に広める」という生涯の目標は一貫されていますし、また、歌舞伎で鍛えた錦ちゃんの力強い発声は、辻説法で人々の心を捉え、最高権力者の執権相手でも平然と対峙した主人公にぴったり合っています。難点は、序盤と終盤に顕著なナレーションがものすごく邪魔なことと、この豪華キャストの使い方が超雑なこと(そこそこ出番があって物語上の存在の意味があったのって、松坂慶子と田中邦衛くらいでは)。[DVD(邦画)] 6点(2022-01-13 01:47:10)

660.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 《ネタバレ》 オープニングのところで、後ろでガーディアンズが必死に戦っているのに、カメラはふらふらうろついているだけのミニグルートを追い続ける。戦うメンバーは完全なバック映像というか、どうでもいい扱い。もう最高。よく分かっていらっしゃる。そしてもっともらしくミッション達成かと思いきや、さしたる必要性もなくさくっと電池を盗んでくるロケット。これですこれです。これがシリーズの他の作品にはない、ここのキャラならではの魅力なのです。●なのに、中盤でどこかの星に移動してからは、途端に分かりやすくダレてくる。大体、神の血筋とか宇宙を左右できる能力とかって何よそれ。このガーディアンズのメンバーは、負け組の集合体で、ほっとけば誰も相手にしないようなヤクザ者で、それがなぜか宇宙の危機を救ってしまうところに痛快さがあったんじゃないの?こんなことだったら、ほかの作品でもできますよ。●というわけで、なぜクイルを助けるのかを訊かれたロケットが平然と「これからアイツにでかい面ができるから」と答える、そういうゲスなシーンをもっと見たかったのです。●あと、事前にキャスティング一覧を見たときには、「ついにスタローンが悪ボスで登場か?やるなあ、このシリーズ」と大いに感心&期待していたのですが・・・。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2022-01-10 01:50:09)(良:1票)

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