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661.  ナイス・ガイ このころのジャッキー・チェン映画は、あきらかに体力的に峠を越している彼がどこまでやれるか、という興味でつい見てしまうものだったが、けっこう期待に応えてくれていた。前半が特に立派、ただし後半はさすがに息切れ気味で、最後の見せ場が大型トラック頼りってのがちと辛い。一つのアクションシーンを撮るだけでも、準備段階から相当な気力・労力を消費すると思われ、ナマ身で一本の映画全編を通すってのはやはり大変なんだろう。どんな場所で・どんな道具で、ってところがアクションシーンの工夫のしどころ、そこが見てるほうも楽しみなわけ。デパートとか、馬車とか、工事現場とか。コンクリート壁と青いドアの効果、ああいうのが大事だ。料理人という設定は、特別アクションに生かされていなかった。ギャングの名前は悪魔団と言う。[映画館(字幕)] 6点(2009-03-05 12:07:45)

662.  英国万歳! フランス革命の前年、アメリカ独立のショックもまだ残っている英国で王が狂う。『バリー・リンドン』のラストで、これはジョージ三世の治世下の出来事である、と出たのは、狂った王の下というニュアンスを含んでいたのか。多くの狂人が王になりたがるわけだが、そもそも王は狂と近い。気でも狂わなければ“絶対”なんてやってられない。人間離れしなければならぬ王と、人間である王との葛藤。狂者になることで人間になれるのかと思ったら、やはり王位の椅子のような拘束椅子に座らせられてしまう。どっちにしろ椅子に拘束される存在。彼が王であることを逃れられるのは、「リア王」の台本読みで狂王を演じるとき、という皮肉に至る。やや理が先行する脚本で、映画として酔える種類の作品ではなかった。屋外シーンは美しい。[映画館(字幕)] 6点(2009-03-04 12:09:41)(良:1票)

663.  ピースメーカー ドリームワークス第1回作品というのにしては夢のない陰鬱な映画。無垢の人がたくさん死ぬ。「仕方がない、これが現代なんだ」という言い訳が製作者サイドにはあるわけだし、確かにそういう警告としての役割りも映画にはあっていいかも知れないが、こう悪夢の可能性をハリウッドが先回り先回りしていくと、それらがかえって現実感を失い、世の中の生々しい悲惨が単純なものに感じられてしまうという危険もある。実際同時多発テロのときアメリカ人はまず第一に、ハリウッド映画のようだった、という印象を受けたわけだ。この映画には、世の中の悲惨に対するアメリカの、こっちにこないで、という正直な気持ちが反映しているとは言える。まあ悲惨の存在を見ているだけ日本よりはマシか。それにしても、放射能がドラマに全然影響を与えないのは、いつもながら困ったもんだ。[映画館(字幕)] 6点(2009-03-01 12:15:23)

664.  スリング・ブレイド なんか『うなぎ』みたいな話だが、キリスト教が絡む、父殺しの神話性が絡む。一番引っかかったのは、周囲の主人公への反応で、やさしいか軽蔑かのどっちかなんだな。誰も薄気味悪がらない。最初スーパーに来たとき、母親が「つけてきたの?」と言ったときぐらい。こういう前科もの・精神病院退院者の場合、薄気味悪がられるってのはドラマとして大事な要素だと思うんだ。明確な拒絶でも受け入れでもない中途半端さが、社会というもののややこしさのエッセンスを見せてくれて。どうなんだろう、個人主義が発達したあちらの社会ではこういう応対が普通なのか、このドラマだけの演出なのか、やたら薄気味悪がる日本の濃厚な“世間”の方が異常なのか、そこらへんが気になった。この映画のポイントじゃないんだけどね。あとアーカンソーあたりだと、日本ふうの竹林があることを知ったこと。[映画館(字幕)] 6点(2009-02-28 12:07:10)

665.  ブレーキ・ダウン 荒野で高速道路を走っていると、自分が「誰でもいい一人」になってしまう怖さがあるわけだ。そういうものは、たとえば都会の群衆の中でもっぱら感じられるものと思われがちだが、そこは田舎のほうが怖い。都会では全員が無名同士になるが、田舎ではガッチリ組まれたチームの中に無名のよそ者として入っていくことになるわけだから。というわけで前半はへんにリアルでけっこう怖かった。通り過ぎた車が向こうでターンしてこちらを見てる感じ。食堂での田舎の人たちの無関心、無表情。このまま不安感が持続する田舎の迷宮に入っていくって展開だとハリウッド映画にならないから、直接的暴力が襲ってきてレベルが一つ落ちる。でも上映時間90分ちょっとという手ごろ感が好ましい。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-24 12:13:48)(良:2票)

666.  シーズ・ソー・ラヴリー お父さんのジョン・カサヴェテスのシナリオ。ひとことで言えば、愛は厄介だ、という話で、お父さんの映画と同じく、心にガラスの破片が刺さっているような人々が右往左往する。ヒロインの演技がちょっとオーバーで、若きジーナ・ローランズで見たかったな、と思うも、隣人のジェイムズ・ゲンドルフィーニが絶品だから、まあいいか。後半の10年後の部分が、私はいいと思う。さらりと、あなたも好きだけど、エディを愛してるの、と言う。そりゃ、トラヴォルタも怒るわな、でも受け入れる。子どもとビールをのみかわす。エディは、子どもと結婚したんじゃない、と子どもの前で叫び、二番目の友だちになろう、と言う。愛は周囲のみか、己れをも傷つけ走り去ってしまう、ってことだ。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-21 11:58:47)

667.  ラリー・フリント 良識が眉をひそめるもので表現の自由を語る、という切り口は正しく、最初の裁判で25年の刑が言い渡されたのは、アメリカの怖さを改めて感じさせてくれた。でも映画としては、この“困った男”をもう少し突き離せなかったか。彼が、戦争と猥褻とどっちがいいか、とローローと演説する場など、もっと滑稽味を出してこそ、テーマに切り込めたのではないか。「調子に乗っちゃって」というような。裁判相手になる宗教家も、いかにもからかいたくなるような造形でなく、もっとホントにマジメそうな、からかっちゃ悪いような人物であったほうが、ドラマとしてエグれた。「良識」の怖さが狙撃という形で突出してしまったのも残念、この怖さはもっとジワジワと包囲してくるものだろう。[映画館(字幕)] 6点(2009-02-20 12:11:55)(良:1票)

668.  ピーター・グリーナウェイの枕草子 珍作だったなあ。『プロスペローの本』のあたりでこの人、怪しくなって、コンピューターによる画面いじりを楽しんでいるオタクっぽくなった。前作のそのヤバイ感じは悪いほうへますます進み、とうとう“お笑い”になってしまった。本へのこだわりという点では同じなんだけど。書物の永遠と腐敗する人体(『ZOO』)の対比。人間書物、人間書簡、本になる夢、皮膚をなめして作られた恋人の本、と材料は揃っているのに、調理してくれない。最後の死の書はおすもうさんでまた大笑い。「敵は幾万」が流れ出したとき、すでに危ないなと思ったもんな。もちろん作家が日本的なイメージを勝手に捏造するのはかまわなく、どんどんやって結構ですが、その中で自由に動けなくなるのでは考えもの。[映画館(字幕)] 5点(2009-02-18 12:13:55)

669.  ジャッキー・ブラウン 《ネタバレ》 主人公を演じるパム・グリアーの、開き直った安っぽさに痛快味があり、でも実質上の主役はロバート・フォスターでしょうな。しがない中年男の味。サミュエル・L・ジャクソンが悪い人、イキがってる馬鹿だが、それだけに危険というところ。周囲の人間みんなが馬鹿にしているのに気づかない。デ・ニーロはあっさり殺される効果として適役。マイケル・キートンは、ま誰でもいい役。ヒーロー、ヒロインともに“しがなさ”を生きてる共通項があって、そこに互いに惹かれていく。ドラマが動き出すのは中盤からで、なにやら裏切りいうか、騙し合いの匂いが立ち込めてきてワクワクさせる。一番の見どころは試着室の場、三者の経過を繰り返して見せる。キューブリックもやってたけど、照らし合わせの妙味、主観と客観の交錯、映画ならではの面白味でした。ジャッキーの好きという曲をカーステレオで聴く中年マックスがいじらしい。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-17 12:12:00)(良:1票)

670.  ポストマン(1997) これは非常に不愉快な映画だったので覚えている。アメリカの精神というやつは、フランク・キャプラのような宝石も作るが、ときにこういう腫瘍も作るから怖い。大まかな設定はいいの。強圧に対抗して個々の手紙がネットを作っていく、って。でもなんでその時にアメリカ合衆国やら星条旗やらの古いものが必要なんだ(設定は近未来)。組織に対して個人が同格で立つのが、本来の理想のアメリカ精神であろうが。ヘンなボーイスカウト的な青年組織がナチの親衛隊みたいな澄んだ目をして、少年野球の監督のようなケビン・コスナーのまわりに集まるってふうにもなっちゃうところが、“アメリカの精神”の怖さだ。系としては、敵の組織とこのボーイスカウト連中とは同じものであって、このポストマン集団が邪悪な組織の芽にも成り得るってとこを突かなくちゃ、この枠組みを設定した意味がない。悪の強圧を熱狂的に支持する群衆がいなければ、あれぐらいの武器で支配はできまい。悪辣ぶりを示すのに、中世の領主のような倫理性を持ってこなければならなくなる。現代の怖さは、熱狂的に支配されたがる群衆が簡単に組織されることだ、中世のような悪を持ってくるのは、その現代の恐怖と向き合うのが面倒くさいからであろう。それとも単純に、自国が戦場になったことのない国民のノンキさか。[映画館(字幕)] 4点(2009-02-15 12:19:28)

671.  007/トゥモロー・ネバー・ダイ 007が中国諜報機関と協力するなんて、世の中も変わったものだ。香港返還記念か。もっともオートバイで平然と、有色人種であるアジアの町や暮らしをぶっ壊していくところは同じだが。面白いのは動機で、何のためにイギリスと中国を戦わせようとしてるのかと言うと、巨大市場の中国での放映権のため、ってのが変にリアルで怖い。戦争があると儲かる仕事、一歩進んで戦争をあおるメディアの怖さ。この不気味さは後のイラク戦争のときに半ば現実となった。007の新兵器も、ケータイ電話とか車の無線キーとか現実の世の中にどんどん追いつかれているので、開発担当者も大変であろう。キーボードに漢字が並んでいるギャグが笑えた。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-14 12:20:41)(良:1票)

672.  セブン・イヤーズ・イン・チベット 西洋を中心とした文明社会が混乱を極めていたとき、登頂を拒む聖なる山の麓に桃源郷があり、そこで精神的な時を過ごした、って話で、これはもう欧米人にとっての理想化した東洋の見本みたいなもので(もちろんドイツ人もチベット人も英語をしゃべる)、いい加減にしてくれよ、とも思うが、ただ一点、そうだ山岳映画というジャンルがあったなあ、と懐かしく思い出させてくれたのは嬉しい。映画ならではの広がり。まだ外国の風俗や風景が珍しかったころ、スクリーンはそこへの窓だった。まして秘境ならなおさら。絵葉書と違って大きいし動くのだ。その中に立っているような気分になれる。映画はもっと深くいろんなことを描けるはずだ、と思うとともに、映画の基本はこの記録精神だなあ、とも思う。[映画館(字幕)] 6点(2009-02-12 12:11:07)

673.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 《ネタバレ》 隠れた天才もののファンタジーの味と、心の回復物語とが、うまく噛み合っていないような気がした。そもそも精神的なものの対極にすぐ数学を持ってくるのが安易だと思うのだけど、まあ人生に対する臆病さってのが、基本的なテーマとしてあって、そこらへんで統一感はある。親友との場はいいな、おまえと会うのは楽しいけど、いつかいなくなることを期待している、って。でフトいなくなって、微笑を浮かべ車に戻り、するといつも後ろの席の奴が助手席にまわってくる。仕事に貴賤はない、人は平等と言うけれど、そうも言い切れないところにこの世の活力は生まれているのかもしれない。若者らが集まってバカ話をしているあたりの雰囲気がよかった。あとガールフレンドのミニー・ドライヴァーが、カラッとしていながらちゃんと女でもあっていい。[映画館(字幕)] 6点(2009-02-10 12:12:44)

674.  ブラス! 《ネタバレ》 ブラスバンドの響きに乗って光の列が歩いてくるが、それは真鍮の輝きではなく、炭鉱夫のライト、という冒頭にこの映画のすべてが集約されている。灰色の世界と金ぴかでりりしい制服との対比。タイトルのpとfが赤になっているのも洒落てる。生きるということは惨めなことが多いが、でも音楽は誇りとなり得るし、そういう人生を鼓舞してくれる、って。芸術絶対派のダニーも肺を冒されていて、生きることに身を削られているわけだ。ちょっと後半荒っぽいのが残念だが、「威風堂々」でのダニーの顔は実に見事で、ここに誇りのテーマが凝縮していた。労働者の生活をドキュメント的に描くのはもうイギリス映画のオハコで、一見強硬派でありつつ借金に追われ、スト破りの側に投票するダニーのせがれなんかいい。泣かせどころは、やっぱり病院の見舞いに庭でダニーボーイをやるところ、ヘルメットライトが生きている。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-09 12:13:58)

675.  のど自慢 『人のセックスを笑うな』は珍しい桐生ロケだったが、これも桐生であった。あっちには蒼井優・忍成修吾が出てるが、こっちには伊藤歩が出てる。みんな『リリィ・シュシュ…』の同窓生だ。あれっ、『リリィ・シュシュ』のロケもたしか北関東のどこかだったな。なにか北関東の空気って、どうだ、と“地方”を誇示するわけでもなく、もちろん卑屈さはかけらもなく、シャラッとしていて小気味よい。基本的に笑顔の似合わない女の子ってのが好きで、伊藤歩って似合わないでしょ、けっこう好きなの。でもこれは、暗い子が明るくなりました、って役柄で、笑顔になっちゃうんだ。でもまたそれもいいか(これで高校生演じた後で『リリィ…』で中学生演じたわけか)。予定調和的な話だけど、人前で、大観衆相手に、放送を通じて全国相手に歌う晴れがましさってのは、歌う楽しさの本質なのかも知れない、と思った。竹中直人は、葬儀の受付でただシミジミ泣いてたほうが笑いを取れた。[映画館(邦画)] 6点(2009-02-07 12:18:05)

676.  カルラの歌 この人は「悪い時代の国」を描くのだけど、その悪い時代の中にひそむ若さや可能性を、老いたグラスゴーの街と対比して見ている。うらやましいなどと思ってはいけないが、と作者自身自戒しつつ、どこかでうらやましがっているような。不自由な国の中で自由を求めて戦っている者にのみ、自由は味わえるのではないか、と。老いた国での自由は、二階建てバスでピクニックをしてしまうこと、ただし失業と引き換えだ。バスがグラスゴーとニカラグアをつないでいる。この人は、どこかで起こっている悲惨に常に関心を持ち続けているが、それはまた常に自国との関係において問われているところがいいんだ。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-06 12:11:42)(良:1票)

677.  ナージャの村 チェルノブイリの被害を受けた村の、リンゴの収穫から冬を経てまた春までの一年。こういう四季ものってのは、だいたい時間の循環を描くものだが、隔離され滅びるのを待たれている村なので、その循環がかえって直線的に滅亡へ向かう現状の厳しさを際立たせる。生活の営みはあるけれども、着実に人は減り、死者となって帰ってくる。バス停も店も草に覆われ、終末のイメージは隠せない。村に残っているのは老人ばかりでなく、タイトルのナージャという女の子もいれば、ボクサーという名のうさんくさい男もいる。屋根のスレートを剥がしては売りにいき、あとは釣りをしてブラブラしている。そういった豊かなキャラクターがありつつも、着実に村は衰亡に向かっている。ヤギのシロも死ぬ。ナチの侵攻に耐えた村だったが、「今度のやつは…」と村人は言う。それでもおばあちゃんは種を植え「外はいいぞ、早く芽を出せよ」と唱えるの。希望を見いだしづらい映画だが、現実がそうなのだから仕方ない。編集に佐藤真。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-05 12:11:29)(良:1票)

678.  鉄塔 武蔵野線 数字の誘惑。そうなんだ、子どものころって何か異常に数を数えることが好きで、カウントダウンした果てへの興味というか、「はるかさ」への誘いというか、もうこの主人公の気持ちが分かりすぎるほど分かって、懐かしくて仕方なかった。数字の果てが、電線が連続した向こうに確かにあるんだ、という興奮。家電製品からコンセントまで、そのはるかさの入り口として誘いかけてくる。これはもうたどって行くっきゃない。これぞ武蔵野という埼玉の風景。コンクリートと緑が平然と同居している。土留めの脇に雑草が繁り、どぶ川を自転車で越え、いちいちが懐かしい。父親とのからみがやや文学臭を与えてしまったが、ラストで、父‐ラーメン‐草刈りとつなげていくあたりは自然で納得。ミッチャンと呼びかける4年生のアキラ君もなかなかいい。[映画館(邦画)] 9点(2009-02-03 12:11:20)

679.  鬼火(1997) 老いの秋ではなく、青々とした夏が背景となっているので、なかなか街に溶け込めないムショ帰りの主人公の気分が生きてくる。墓参りして改心した原田芳雄が街に戻るが、しかし力仕事はもう無理、けっきょくヤクザのとこの運転手となりズルズルかかわっていってしまうあたりのリアリティ。世の中と合わないこの感じを突き詰めていけば、新しい映画ジャンルを拓くか、とも思ったが、けっきょくタメて爆発するという仁侠映画の大枠に収まっていった。スカッとはするけど、ああまたそこに戻っちゃったか、という気もある。古本屋での会話「ハイ、百八十万円」「釣りはとっといてよ、家でも建てて」なんてあたり、いいよね。[映画館(邦画)] 7点(2009-01-31 12:17:02)

680.  ムーラン(1998) ディズニーアニメって、なにか壮大な変奏曲を聞かされ続けているようなところがあり、同じ定型の勇気のストーリーを趣向を変えて反復し続けている。歌も同じようなトーンに聞こえるし、小さい助っ人がだいたい登場する。そういった中では、本作は珍しい東洋味で、個性は強く出た。雪山のスペクタクル、白と黒の渋さがいい。都での襲撃、実は一番嬉しかったのは、屋根の上に悪漢が立つところで、ある種の懐かしさを感じた。なんだろう、この懐かしさは。子ども向けの活劇もので、よくこういうの見てたのかなあ。屋根の上に立つ怪人てのは実にまがまがしいものがある。なにかが取り憑いたって感じだろうか。ここが都の中心の宮殿で、下に人々が集まって見上げているという状況もいいんだろう。エンディングタイトルの中に、勇敢・決心・孝道・自重などと徳目があらわれるのが愉快。[映画館(字幕)] 6点(2009-01-28 12:14:32)

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