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プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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661.  人狼ゲーム 《ネタバレ》 [2017-10-29再視聴による改訂] 現時点で6作まで続いているシリーズの第1作である。改めて見ると特徴が見える気もする。 そもそもこういうゲームを小説化なり映画化して本物の人間が死ぬ物語を作ったからには、良識人が眉を顰めるタイプの創作物になっているのは間違いない。台詞にあった「アリとクモを戦わせて遊んでる」ガキ向けのような企画だが、しかしそういう枠組みを逆用して、見事にヒューマニスティックなドラマを作ったのは大人の仕事である。 主人公は最初の事件のせいもあって現実に適応できないままで経過するが、後半に入って親友の幻影を見たことでやっと覚悟が決まったらしい。このこと自体は前進ではあるが、ただ本人の話を聞くと理屈先行で少し行き過ぎたところがあったようで、そこを補正して妥当な見解に落ち着かせたのが新しい友人(恋人)の男だったように見える。これまでずっと主人公を助けてくれていたという親友の役割を、この男が引き継いだというのは台詞にもあったとおりである。 誰も殺さない+自分も死にたくない、というのが許されない状況で、自己保全のための利己主義が正当化されるのは当然だろうが、しかし自分のことしか考えないのが当然ということにもならない。この物語では、利己主義を超えたところにある人間の情(姉妹愛と恋愛感情?)が計2人を生き延びさせたのであり、逆にこの2人が死者の思いを背負う形で、これから生き抜いていく務めを課せられたのだと思われる。男が最後に人としての矜持を見せたのもよかった。 ちなみに映画を見ていて主人公を腹立たしく思った観客も、本当にこの状況になれば主人公と同じになる可能性があり、それは劇中出ていた戦争の話のとおりと思われる。そういうレベルから初めることで、普通人がこの手の話に感じる心理的抵抗に一定の整理をつけたことにより、以降の続編を見るための基盤が整備されたという意義づけもできなくはない。まあ純粋にこのゲームの愛好者とか、単純に人殺しの映画を好む向きには満足できないだろうが。 なおこのシリーズは現在も若手役者の熱演で知られているが、この第1作では後に残る役ほど感情の爆発を強いられる構造だったようである。井上姉妹のこのみちゃんが主人公を殴り返す場面は毎度少し驚く。 また藤木毅役の入江甚儀という役者は、自分としては最初にこの映画で見たのが原因で今も悪人イメージが残っているが(この男が「ヤクザ」扱いされていたのは笑った)、しかし改めて見たところ、粗暴なように見えてちゃんと思慮もあり人情もあることがわかってこの人物を見直した。後のシリーズに出る一部の連中よりよほどまともである。 ほか細かいことだが誕生日という趣向は悪くない(少し切ない)。月を映して人物を見せないのは奥ゆかしい。[DVD(邦画)] 8点(2017-10-29 19:40:23)《改行有》

662.  美少女探偵団~飛鳥からの風~ 《ネタバレ》 グラビアアイドルで人目を引こうとする安手の企画である。 基本的には奈良県明日香村を中心に女子高生4人組が歴史名所をめぐる「旅情ミステリー」とのことで、合間に水着姿も披露したりするので暖かい目で見たいところだが、女子高生が見事にやかましい+苛立たしい連中なので反感しか生じない。唯一、主人公ではないがキーパーソンの坪井ツクシ(演・大蔵淳子)が素朴な感じで和むものがある。 物語としては、飛鳥時代の遺物を受け継いだ女子高生(上記ツクシ)が、友人3人とともに飛鳥を訪れて奇跡を起こす感じの話である。飛鳥時代から現代までの間に室町時代のエピソードを挟み、さらに現代から30年ぐらい前の出来事も加え、各時代に関わる人々の思いを重ねて現代に伝える形になっている。 特に室町時代の話は変に深刻で、歴史の重みと社会体制に抑えつけられた人々が、いつとも知れない奇跡にあくまで希望を託すのかどうか迷う心情が切なく感じられたといえなくもない。そこで語られていた「4人の賢者」というのが女子高生4人組のことだったらしく、さすがにそれはこじつけが過ぎるだろうと思ったと同時に劇中人物の台詞で「いいじゃないですか!」と笑い飛ばされたので黙らされてしまう場面もあった。確かに、ほとんどありえないとしても、希望が全くないよりはあった方がいいとはいえる。 最後は何が起こったのか正直よくわからなかったが、起こったはずの奇跡をどう生かすかは観客次第という投げかけだったのか。対象が「ひのもと」全部であるからには、「恋のおまじない」限定というより人の世のあり方全てが問われていたと思われる。 キャストとしては現在すでに引退している人も多いようだが、女子高生4人組のうち西原楓役の古賀美智子という人は、現在は「F チョッパー KOGA」なる名前でガールズバンド「Gacharic Spin」のベース兼リーダーを担当しているそうである。この当時は16歳くらい??で非常に愛嬌のある顔をしているが(今もかわいく見えるが)、劇中人物としては最高度にバカの役だったのは残念である。また謎の美女・茜役のあだち理絵子という人は、すでに2児の母だそうだが劇団に所属して芸能活動を続けている。ほか男では、室町時代の頭領役の古賀亘はアクション俳優で、現在はモーションキャプチャーアクターとして名が知られているらしい。それぞれ活躍中のようなのは他人事ながら喜ばしいことである。[DVD(邦画)] 3点(2017-10-23 22:42:43)《改行有》

663.  くノ一忍法帖 柳生外伝 《ネタバレ》 基本的には監督兼主役に焦点を当てたアクション映画ということのようで、ほかにジャンルとしては「エロティック」というのもあるがそれほどのエッチ感はない。妖怪じみたキャラが奇想天外な術を操る荒唐無稽時代劇だが、意外にも実在の歴史的事件(会津騒動、1639~1643年)を背景にしている(原作がそうだからだが)。もとは106分の映画とのことだが現在見られるのは上下巻に分かれたDVDで、いわゆる未公開映像も加えて単純加算で155分にもなっている。 登場人物では、題名の女忍者7人が大きな見どころになりそうなものだが実際は見事に誰にも愛着がわかない。オッパイ攻撃とか股開き攻撃とか恥ずかしい技を修得した者は生き延びるが、そこまで踏み切れないと途中で死んでいくというのが理不尽である。 オッパイを見せないグループでは「お笛」(演・菅原晶子)が目立っていて色気もあり、出自や最期の様子からも悲哀感を出していたといえなくはない。また敵方の「おゆら」(演・栗林知美)も目を引くところがあったが、以上2人は主人公に次々と惚れては死んでいく役で、結局みんな使い捨てかという印象だった。ほか「お品」役の鵜川薫という人も別のところで見たことがあるので注目していたが、特に何だということもなく退場してしまったのは残念だ。若手女子ばかり見るのでなく、主人公の男ぶりにほれ込んだということにでもなればそれなりに楽しめる可能性もなくはない。 なお参考として原作を読むと結構まともな時代小説であり、奇抜な妖術のようなものはそれほど多くなく、そもそも忍者は出ない。しかし映画化に当たってはかなり原作に忠実な筋立てにしようとしていたことがわかり、特に上下2巻のDVD版は、上下2巻の原作長編を可能な限り再現することが主眼だったとも考えられる。違いとしては、原作では会津芦名氏の存在感が大きく「賤ヶ岳の七本槍」の加藤家がかすんで見えるほか、特に仇討ちの女子衆7人(8人)の扱いにかなり差があったように思われる。主人公が敵の城に単身乗り込んだ際、ものすごく格好よく啖呵を切る場面は原作にも映画にもあるが、これはどちらかというと原作の方が全体との関係で活きていた気がする。[DVD(邦画)] 4点(2017-10-23 22:42:40)《改行有》

664.  狙われたアイドル 実録ストーカー<OV> 《ネタバレ》 「平成8年10月、東京都港区で起きた事件」とされているが、事実との対応関係はわからない。少なくともDVDのPR文はこのビデオの内容を正確に表現してはいない。 全体としてまとまった話には見えるが、突出したものがないので何を表現しようとしたのか正直よくわからない。少なくとも、童顔であどけない感じに見える被害者が、気色悪い加害者からあからさまな性的迫害を受けるのを見て喜ぶタイプのものではない。また加害者が犯行に至るまでの過程をそれなりに描写していることから、そこに共感する視聴者もいるかも知れないが、この人物の立場で見ることで何らかの感慨が得られるかというとそのようにも見えない。 出演者に関していえば、主演の人物(被害者役・菅原晶子)はこれ以前から一定の知名度があったらしいので、この人物に焦点を当てたアイドル映画のようなものだったのかとも思われる。煽情的なタイトルを付けた安手のアイドル映画という企画だったにも関わらず、内容としては生真面目な、いわば社会派映画のようにしたことで、何を見ればいいのかわからない印象のものになったということか。 ただ、現実世界でストーカー規制法(2000年)の契機になった埼玉県桶川市の殺人事件(1999年)よりも前であり、時代を反映あるいは先取りしているといえなくはない。また主人公が世間への露出度の高い危険な立場であることから、著名人の安全確保に関する問題提起になっているとも取れる。製作から17年も経った2014/5/2になってDVDが発売されているが、同じ月の25日には実際に著名アイドルグループの握手会で傷害事件が発生しており(ストーカーではなかったようだが)、偶然にしても洒落にならない話といえる。 以上、結果的に真面目な作品になっているように見えたのでひたすら真面目に書いた。ネット上ではこのビデオに関する評価感想等を書いたものが他に発見できなかったので、この文章が参考になれば幸いである(誰も見ないだろうが)。[DVD(邦画)] 2点(2017-10-23 22:42:37)《改行有》

665.  愛MY~タカラモノと話せるようになった女の子の話 《ネタバレ》 吉本興業とテレビ東京が共同制作した映画で、NMB48所属だった門脇佳奈子・上西恵の2人がダブル主演しているほか、声の出演で吉本芸人が多数参加している。監督はテレビ東京のディレクターが担当しており、ちなみに主な撮影期間は4日間だったようである。 内容としては著しくスケールの小さい映画であって、学園もののような体裁でありながら女子寮の場面が中心で教室とか教員とかは映らない。テーマに関しても、いかにも微視的かつ女子っぽい人間関係の取り方が問題にされていて、成人の目からは微笑ましくも見える。主人公が大事にしているモノがしゃべり出す、というファンタジー要素は、単に本人の内心の葛藤を外部化しただけではないかと思ったが、とりあえず隠していたものを全部表に出すことから物語を動かす趣旨だったかも知れない。 当方としてはおおむね緩い気分で見ていたわけだが、しかし終盤の和解の場面はさすがに少し心を動かされるところがあった。また全体構成としても、最初が街頭インタビュー(少し怖い)で始まり、最後にまた同様のインタビューで締める趣向は悪くない。エンドロール後に出た全体のオチもかなりいい感じで、制作上の各種制約はあったにしても、けっこう愛すべき小品ができているように思わされた。 ちなみにキャストについて、他の映画では美少女のようでいながら悲惨な目に遭わされたり、美少女のようでいながら微妙にあか抜けなく見えたりしていた吉田まどかという人が、今回は普通にまともな美少女役だったのはよかった(少し性悪)。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-17 19:28:19)《改行有》

666.  島々清しゃ(しまじまかいしゃ) 《ネタバレ》 どこか南の島のこぢんまりした静穏な劇中世界ができている。女性の登場人物が多いがあからさまな美女などはおらず、外見よりも内面を見せようとする映画のように思われる。題名の歌をはじめ突然のセッションなど音楽で聴かせるところもあり、この雰囲気に乗ることができれば、映画全体を好ましいものとして受容することができるのかも知れない。 しかし自分としては各所にある微妙な齟齬のようなものが気に障って共感が妨げられる映画だった。 そもそも少女が音を不快に思うのは音感がどうとかいうより音のずれを脳が許容できるかどうかの問題ではないかと思ったが、序盤では発達障害か何かを示唆したように見えながら、最後には単なる気の持ちようで終わった感じなのははぐらかされた気がする。また母娘それぞれの事情~思い~行動の関係とか、サックス奏者がバイオリン奏者に喧嘩を売った経過など、話のつなぎに食違いが生じているようなのは気持ち悪い。 そのほか個別の台詞や行動などにも何かと違和感のあるところが多いが、そういうことが気になって素直に映画を見られないのは、少女と同じく特殊な性質のために生きづらい人生を運命づけられた人間と思うべきか、あるいは少女と同じく心を開けば共感できるはずだということなのか。よくわからないがグルーヴの問題か。 物語的にも最後に何がどうなったのか正直わからず困惑するばかりの映画だったので、点数は4点が限界である。ちなみに、序盤のステージ上で音楽家同士が揉め始めたのと、落ち込んでいる少年にバイオリン奏者がちょっかいを出していたのは面白かった。 付記:エンドクレジットの「撮影協力」に「環境庁慶良間自然保護官事務所」とあったので、これは一体いつの時代に撮ったのかと思ったが、出演者の顔ぶれ(特に伊東蒼さん)からすると今の映画としか思われない。単純な誤記ではないかと思うが、こういうものの事務的なチェック体制などはないということなのか。[DVD(邦画)] 4点(2017-10-13 00:14:00)《改行有》

667.  天使のいる図書館 《ネタバレ》 主人公に倣って思ったことをそのまま正直に書く。 ◇主人公の人物像が支離滅裂である。奇矯な行動や硬直的な思考は先天的なもののようでもあるが、それなら自宅でも四角四面でなければ変ではないか。外でだけ無理しているというより完全な別人格に見えて著しく不自然である。書籍類を机に叩きつけるとか人を指さすのは本人の地なのか演技なのかわからないが、ものの食い方が汚いのはさすがに許容しかねるものがある。また、幼時の出来事のために神様の類を否定するに至ったことと、現在の変な状態は関係あるのかどうかも不明である。 ◇劇中で問題にされていたのは神道の神様だと思うが、題名の天使というのは神道でいうと何に当たるものなのか。あるいは自分が信じたいものは何でも神、と言った時点で神道も何も関係なくなって西洋風イメージの天使でもいいことになったのか。主人公自身が天使だったと思ってもいいのかも知れない(そう思いたかった)が、するとあの羽根は誰が落としたのか。 ◇現実になされた結婚を祖母が否定してしまうと孫の存在までが完全否定されるはずだが、それを当の孫はどう思っていたのか。ある程度の年齢になれば、今ある現実に適合するよう自分の生涯イメージを再構築するくらいの賢明さが備わるものではないのか。人は死ぬ間際まで煩悩に苛まれ続けるということを表現したかったのか。 ◇観光誘客の意図が前面に出過ぎで、最初からPRしたい場所を回るように物語が組まれているのが気に障る。主人公が夜中に一人で出歩いていたが、奈良県葛城地域というのは治安に問題ない場所なのか。 ◇劇中語られていた図書館のあり方についても物申したいことがあるが、専門外のため自粛する(一応、図書館関係の全国団体が協力している)。 ご当地映画としての性質から無理にひん曲げた部分がどれだけあったのかはわからないが、全体として非常に残念な映画だった。ただし現時点でネット上で見た限りではおおむね評判がいいようなので、どうかそっちの方を信用していただきたい。 なお小芝風花さんを見ようとする分にはいい映画と思われるが、自分としては主人公がレファレンスコーナーでにっこりしている宣伝写真そのままの姿を本編でも見たかった。この表情が物語の終着点だろうという気がする。[DVD(邦画)] 2点(2017-10-12 23:53:17)《改行有》

668.  傷だらけの悪魔 《ネタバレ》 よくわからないがスマホアプリ「comico」で連載されたマンガの映画化とのことで、現時点でここのサイトに登録されている映画では「ReLIFE リライフ」(2017)と同様である。今も連載が続いているらしく、この映画はどういう段階でどのように切ったのかわからないが一応まとまった形になっている。ただしエンドロール後の追加場面は意図不明である。 自分としてはこういう映画が好きなわけでは当然ないが、ときどき見かける足立梨花という人が主演だからという理由で見た。その仇敵役の江野沢愛美という人も以前に他の映画で見たことがあり、この映画では思い切り黒い感じだが相変わらず高身長でモデル風の容姿である。また女王役の加弥乃という人はこの手の映画ではもう安定の中堅どころのような印象がある。 内容としてはありがちなイジメの話だが、昔の所業に対して復讐される展開のため加害と被害の関係が相対化され、善悪度外視の抗争として見ることができる。中盤でとんでもない恥辱を受けた主人公が、それで挫けることもなく猛然と反攻に出た後半は痛快だった。 終盤で最大の敵2人を打倒した後は、ついでに傍観者全員(観客を含む?)を糾弾してなぎ倒す形になっていたが、それだけで終わってしまっては物事を単純化し過ぎで面白くない。自分としては中盤で出ていたイワシ人間の否定の方が、年齢性別を問わず人間社会に広く通用するメッセージに思われる。要は個人の自立ということを説く物語であって、後半で主人公が人名を書いては消していたのは多数派形成が目的ではないとの表現と思われる。主人公の「で?」とか「だから何?」とかいう突き放した物言いは非常に好きだ。 映像的にもいわゆるポップでドライな感じなのがいい。クライマックスの「死ね」からの高揚感も心地よく、最終的には足立梨花さんの脚がきれいだ、という感慨が残るラストになっていた。大変結構な映画でした。[DVD(邦画)] 7点(2017-10-12 23:53:14)《改行有》

669.  テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる 《ネタバレ》 とりあえず題名に惹かれて見た。邦題は原題のほとんど直訳らしい。 題名からするとまず「テハンノ」というのがどこなのか気になって仕方ないので映画を見る前に調べたが(どうせソウルのどこかだろうとは思ったが)、要は漢字で書けば「大学路」で、ソウル市観光公式サイト(日本語)によれば「若さ溢れる演劇の街」だそうである。ただし劇中では魔窟のような扱いになっている。 表音文字のはずのハングルで대학로 dae-hak-ro と書いてあるのに「テハンノ」と読めというのは理不尽なものを感じるが、これはハングルというものがいわば“漢字を使わないで漢字を表記する”コンセプトの文字だからと思えばいいのかも知れない。一方で上記の市公式サイトではなぜかカタカナで「テハクロ」と表記しており、これは日本人が「大学路」という漢字に結びつけやすいだろうという親切心ということか。しかし実際に行った日本人が「テハクロ」と発音して現地住民に鼻で笑われたなどということになったらどうしてくれるのかと思うわけだが、この映画を見て行こうと思った人ならそうならないことは間違いない。そんな人がどれだけいるかは別として。 映画本体に関しては、少なくとも最初のうちはけっこう笑える。婆さんの愚痴たれなどはまるきり異民族の行動様式なので笑ったが、これはもしかして現地の観客にとっても笑う場面だったのか。続く「夕暮れのTVセット」などはもう支離滅裂で脱力感しかないが、しかし中盤の月の場面になると変に物悲しい雰囲気になり、これは意外に真面目な映画なのかと一瞬思わされる。 後半になっても映像的には凝ったようでいながら大して盛り上がらないまま終わってしまうが、それでも素っ気ないエンディングの背景音楽が哀愁を帯びた感じで余韻を残すので、それなりの映画を見た気分にさせられてしまう。なお開始直後にエンドロールの巻き戻しのようなのが出ていたのが、むかし起こった出来事の回想をこれから始める、という意味だったとすれば、少なくとも映画公開の時点ではまだテハンノにいたということかも知れない。 こんな映画を褒めるわけにはいかないが、なかなか愛嬌のある感じで嫌いともいえない。 ちなみに自分としても「万」の単位が何なのかは気になった(当時も今も1円≒10ウォン)。また女子高生がセーラー服のようなのを着ているのは、もしかして日本統治時代から続いている慣習だとすれば、いわゆる「日帝残滓」であるから徹底的に攻撃して排除すべきではないか。[DVD(字幕)] 5点(2017-10-07 20:23:06)《改行有》

670.  世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す 《ネタバレ》 序盤は言葉の説明が長いのでニュース映画のようだ。 はっきりしないが宇宙人は北極星から来たと思えばいいのか。劇中でたまたま捕獲した宇宙人が老齢であることが示唆され、パワードスーツの機能が老眼鏡とか補聴器のように思わされたのは意味不明だったが、個人的にはこれが日本の特撮TV番組「ウルトラセブン」第11話の元ネタになったのではと思ったりした。「我々の惑星は崩壊」したということの原因は、日本特撮なら核戦争で破滅したと説明して済ませるところだが、この映画では星の寿命で自然崩壊したイメージだったものか。 この映画で「世紀の謎」なのは、宇宙人が世界を相手にしているはずなのに何でワシントンに来るかということで、この疑問は観客だけでなく劇中人物も口にしていたので当時としても普通の感覚と思われる。博士が一応の見解を示していたが何か歯切れの悪い感じで、EARTHというよりアメリカ合衆国vs.侵略者という構図になってしまっている印象は確かにあった。ホワイトハウスが破壊される映画は見たことがあるが、ワシントン記念塔とか国会議事堂をわざわざ壊す映画は多くないのではないか。 映像面では、円盤の造形はジョージ・アダムスキー氏のデザイン(1952年発表)ではない、端正で正統派の空飛ぶ円盤である。円盤が飛んでいる場面で、手前の飛行機との相対関係で安定しないように見えるのは臨場感があった。宇宙人のスーツも素っ気ないデザインだが、円盤内で部屋の外から地球人を見ていた場面などはなかなか不気味である。 また戦闘場面では実写映像をうまく使っていたようで、実写のミサイル発射から命中まで直接つながる(ように見える)映像を作っていたのは新鮮である。攻撃された飛行機が墜落炎上する場面も実写だったが、死者が出た事故映像だったとすると面白がってもいられない。 全体としてそれほどの驚きも派手さもないが、大昔の特撮映画にしては悪くなく、特に期待しなければそれなりに見られるものと思われる。[DVD(字幕)] 4点(2017-10-07 20:23:03)《改行有》

671.  心が叫びたがってるんだ。(2015) 《ネタバレ》 たまたま実写版を先に見たが、その時に書いたことと基本的に変わらない。特に同級生がみな良心的な人々で、ささくれ立つような場面があってもすぐに収まるのは安心する。主人公が廃墟で叫ぶ場面では、実写版よりアニメの方が言葉が荒いと聞いていたが、実際はさんざん悪態ついたようでいて終わってみればその程度かという感じで、これなら聞いた側がまっすぐ受け取って心に収めたことにも共感できる。ラストのほのぼのしたハッピーエンド感も心地いい。 主人公の外見やキャラ設定に関しては、どちらかというと初めからマンガとして作ってある方が可愛いところは可愛く、可笑しいところは可笑しく見えて、「応援したくなる」という言葉もふさわしいように思われる。普段は極度に内向的なようでも、携帯の会話などでは本来の性格がはみ出していたように見え、あらかじめ人格の全体像を想像させる感じにはなっている。 ミュージカルの場面では、当初は主人公の思いに引きずられただけの連中が、その場になればみなそれぞれ自分のこととして本気になっていたのが見ていて嬉しい。2つのメロディを重ねる場面も感動的だったが、聞くだけだと言葉が重なってしまってわかりづらいのも確かである。字幕付きにしてみると、歌っている2人それぞれの心情が歌詞になっていることがわかるので、逆に最初からそういう見方をするものとして作られていると思えばいいか。 なお実写版の方で「普遍性が感じられる」と書いたのは実は少々書きすぎであって(「良」が付いているので今さら直しづらい)、やはりこの物語は基本的に若い人々のものだという気はする。自分の年になると、いくら言葉を尽くしても根本的なところで人はわかり合えない、という思いが強くなってしまっているので、かえってこれから世界が広がる人々は発展性と希望があって羨ましいという気分だった。 以上のようなことで、幸い「ここさけ」への好意は持続できたという結果だった。若い登場人物への優しい視線が感じられるアニメで正直好きだ。劇中歌も思い切り耳に残る。[ブルーレイ(邦画)] 7点(2017-10-02 19:56:08)《改行有》

672.  ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ 《ネタバレ》 完璧な映画では当然ないにしても、多少のことは主人公のキャラクターだけで全部許しちゃるという気分だった。自然体で邪気のない愛すべき人物で、東京に行ってからもぜひこの方言のままで通してもらいたい(周囲に真似されそうだ)。終盤で、この主人公が父親と祖父の間で手をつないだところでは少し感動した。最後の歌もかなりいい感じである。 全体としても、基本的には退屈せずに見て、それなりに盛り上がってからすっきり終わる普通に面白いアニメだった。しかし一方では必然性不明の設定とか細切れの事物が流れ去っていくような落ち着かない感じの話になっており、また宮崎ヒーロー並みの離れ業とかコリコの街の発明少年のようなのとか第3新東京市で使徒を迎撃するような状況には新しさを感じない。それでも全部通して見れば、細かい点でわからないことはあっても(考える気がない)何を表現したかったのかはおおむねわかる気がする。 個人的な疑問点としては、2020年までに自動運転車を実現するというのが変に現実味のある設定で、単に事実に取材しただけのようで夢が感じられないことである。人が要らない完全自動運転にしても、すでに現実の延長上に見えるものであって驚きも何もないわけだが、あるいはもしかすると“発達した技術は魔法と区別がつかない”というような主張を、抽象論ではなく今ある現実に即して見せようとするとこうなるのかと思ったりした。またそれよりも自分としては、“年配の科学者が不可能だと言った場合、それはほとんど間違っている”(クラークの三法則の1より)ということの方が思い出され、これから伸びようとする若い世代への期待を込めた物語だったのかという気もした。 そういうことで点数は、主人公のおかげもあって少しいい点にしておくが、これはDVDで見た場合の点数であって、もし映画館で見ていればさらに+1くらいにはしていたかも知れない。 ついでに、関係ないかも知れないが思いついたので書いておくと、劇中の整備工場(特に灯台の下にあった方)は、エドワード・ホッパーの「海辺の部屋」のイメージ(部分)かと思ったりした。[DVD(邦画)] 6点(2017-10-02 19:55:51)《改行有》

673.  先輩と彼女 《ネタバレ》 この手の映画にしては落ち着いた感じなのは悪くなく、主要人物もみな大人に見えるのに、主人公だけは本物のバカという状況が延々と続くのは結構つらい。マンガで描いたものはどうだったのかとは思うが、少なくとも実写映画の登場人物としては極めて印象が悪かった。自分が先輩の立場だったら、こういう煩わしいのはどこかの段階で切り捨てる。 またライバルの女性も魅力的な人物ではあるが、自分としては主人公の方に一生懸命共感しようとしているうちに印象が悪化し、結局は主人公もライバルも両方好きになれないで終わってしまった。ちなみにライバル役の小島梨里杏という人は、前に見た「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」(2016)では主役をやっていた人なのだった。気づかなくてすいませんでした。 ほかの登場人物としては、特に主人公の親友はしっかりした人格が表に出た感じでかなり好印象だった。また寿司屋の息子もなかなかいいキャラクターになっているが、主人公の親友と似合いとは思わない。 なお余談として、この映画(原作?)に出ていた「つけま」というのと、別の映画に出ていた「まつエク」とは根本的に違うものだということが今回調べて初めてわかった(そもそもエクステという言葉の意味がわかっていなかったようである)。映画を見ているといろいろ勉強になる。[DVD(邦画)] 5点(2017-09-25 20:29:09)《改行有》

674.  向日葵の丘 1983年・夏 《ネタバレ》 日本版「ニュー・シネマ・パラダイス」とのことである。その映画を見たことがないので比較できないが、多分この映画に似た感じなのだろうと思っておく(若い頃に家を出て30年くらいして帰って来るなど)。 どれだけ似ているかは別として、この映画に関していえば受け取り方がなかなか難しい。映画への思い、時代の変化に対する複雑な感情、ものや金より大切なことといった各種要素が交錯していたようだが、少なくとも自分にとっては結論が見えない映画という印象である。うち高校パートで出ていたような学校が悪い、親が悪いといった話は同じ監督の「海と夕陽と…」(2006)でも聞いた気がするが、今となってはもう戦前世代も世を去りつつあるわけで、昔の怨みは捨てて和解に転じたようにも見える。また一方、映画とは時代の記憶を伝えるものという意義づけがされていたようでもあり、題名のヒマワリも映像には残せなかったが、自主映画の題名としてかろうじて残されたとも解釈できる。 見た人がそれぞれ勝手に何かを受け取ればいい映画なのかも知れないが、自分としては懐古趣味というものがあまりないので大感激ということにはならなかった。ちなみに突っ込みどころがかなり多いので、さすがにもう少し締めてもらった方がよかったのではという気がする。 そのほか終盤で登場人物が重要事項を延々と語るとか、女子高生の可愛らしさが印象的なのも前記「海と夕陽と…」と共通に見える。特に上映会の場面では、現在の3人と高校時代の3人を直接比較する形になり(比較してしまって申し訳ないが)、若い方の溌剌さが際立つので非常に和むものがあった。また主演の常盤貴子という人もそれなりの年齢なわけだがかなりキレイで可愛く見えるので、高校時代の若手女優との間でも違和感がなかったが、そのせいで30年も経っているという実感も全くなかった(藤田朋子とも差があり過ぎだ)。 ついでに書くと、前半の映画撮影の場面で、可愛らしい若手女優(芳根京子)が大御所俳優(津川雅彦)に対し、「何でできないんですか!」というのは笑うところだと思われる。[DVD(邦画)] 5点(2017-09-25 20:29:06)《改行有》

675.  今日、恋をはじめます 《ネタバレ》 いうまでもなく原作は読んでいない。映画としてはちゃんとまとまって見えるので、これでいいという人にはいいのだろうが、自分にとっては役に立つところ(笑うとか泣くとか勉強になるとか)が全くないのは困った。とりあえず気づいたことだけ書いておく。 (1) 劇中人物の年齢と見た目が一致しない。主人公(前半のみ)と妹だけはそれらしく見えたが、それ以外は全て演者の年齢そのままに見える。主人公の彼氏とその元彼女は23~24歳、主人公も二度目のクリスマスイブの場面で満16歳にはとても見えず、その他の人物はばらばらである。少女マンガ原作で人気俳優を使う場合にはこういうのはもうどうでもいいということになっているのか。ちなみに主人公の友人ミホ(浴衣を着せられた)役の山谷花純という人がちょうど劇中年齢ぐらいと思われる。また彼氏の元彼女はオトナすぎる。 (2) 原作段階からのことかも知れないが、主人公の彼氏の父親が「許せないってことは、愛してるってこと」だと悟ったように語っていたのは、こういう人物というより好悪の感情だけがあって正邪の観念がない人間の発想ではないか。正当な理由があって憎悪しているのに「ほんとはあたしを愛してる」と脳内変換されるのではたまらない。この映画の本来の対象層はともかく、まともな大人がこういうのを真に受けてはならない。 (3) もう一つ書くかと思ったが嫌味になるのでやめる。 なお一ついいと思ったのは、主人公が本気で取り組んでいる仕事を彼氏が邪魔しなかったことで(職場から無理に連れ出して走るなど)、色恋沙汰に振り回されるだけでなく、主人公が主体性を確立していく話になっていたのはまともである。これも原作由来だろうとは思うが。 以上、いろいろと思うところはあるが、これはこれで原作ファンその他この映画の対象層に支持されるよう詳細にわたる検討の上で製作されたものと思われるので、投下された労力なり専門知識・技術に対する一定の敬意を点数に表しておく。[DVD(邦画)] 4点(2017-09-18 23:34:06)《改行有》

676.  リセット ~本当のしあわせの見つけ方~ <TVM> 《ネタバレ》 原作付きのTVドラマである。2011年時点で45歳の女性3人が、17歳の高校生だった1983年に戻ってやり直す話になっており、役者としては鈴木保奈美・高島礼子・坂井真紀の3人が、高校時代では志田未来・桜庭ななみ・山谷花純になる。ちなみに鈴木保奈美と志田未来は同一人物には全く見えず頭が大混乱する。 45歳はともかく高校生の3人は可愛らしいと言いたいところだが、実際はみな言動が微妙におばさんっぽいので何ともいえない。当時まだ15歳の山谷花純さんもおばさんらしく頑張っていたが、出演者インタビューで同級生役が15歳と聞いた志田未来がちょっと目を丸くし、桜庭ななみが「若っ!」と言っていたのは面白かった(両者とも当時満19歳)。 物語としては立場の違う自分が見てもそれなりの内容で、恐らくは制作側の目論見どおりサプライズの場面が泣かせどころになっている。実生活でそんな都合のいいことが起こるわけないと劇中人物も思ってはいたようだが、しかしこのエピソードを通じて、不満足な現状の中にも「しあわせ」が内在していることを、可能性の形で示してみせたのは現実的で巧妙ともいえる。 それを含めて結果的には三者三様の悟りがあったようだが、いったん昔に戻ってやり直す、という荒唐無稽な設定がなければ知り得なかったことかというとそうでもない気はする。ただ、全くやらずに終わってしまえば悔いが残るがやって失敗したなら納得できる、というような話は、確かにやり直したからこそ実感できることだったかも知れない。 なお参考として原作も読んだところ、原作に比べてこのドラマはかなり簡素化されてラストの充足感も十分とはいえないが、これはTVの視聴者にとって現実感のある内容として再構成したということかも知れない(専業主婦向けの印象が強くなったか)。原作の方は、立場の違う自分としても痛快な指摘と思われるところが多々あり(性差というより世代の関係で)、また最後の一文には泣き笑いさせられた。[DVD(邦画)] 5点(2017-09-18 23:27:06)《改行有》

677.  映画 聲の形 《ネタバレ》 2016年はいろいろと当たり年だったがこの映画は見なかった。一般論として女子高生のスカートが短いアニメを劇場で見るのは恥ずかしい。公開中、世間でカニの形と呼ばれていた(「蟹の形」で検索してもヒットする)という話はかなり笑った。 そういうことでDVDを見たが、残念ながら自分として共感できるものはない。見る側の年齢・性格・境遇によっては劇中人物の心情をいま現在のことのように感じ取れるのかも知れないが、自分の立場としては全くそうならない。そもそも序盤の小学生編で好意的に見ようとする気が完全に失われてしまい、以後はもっぱら第三者的な立場で観察するだけになるので共感どころでない。劇中世界に自分がいるとすればどこにいるかと一応考えたわけだが、主要人物の中でこれと思うのはいなかった。ちなみに高校の友人でイケメンの方は、もう少しどういう人物なのかを見極めたかった気はする。 自分が見た限り、この映画では主にいじめを「する」(した)側の事情を訴えているように感じられる。いじめられる側にも原因(責任?)がある、とまでいうと開き直りのようでもあるが、この映画が多くの共感を得ているからにはそれもまた人の世界の真実ということか(福祉施設での虐待なども正当化し始めるようになったら終わりだが)。一面的に悪を処断する話でもなく、人々の相互作用で変わる人間関係の立体像を表現することで、主に若年者?の共感を得ようとしている物語かという気はした。昔のように変に社会問題化したりせず、あくまで個人の心を見つめる物語にとどめているのは現代風ということかも知れない。 自分としてはあまり高い点をつける気にはならなかったが、ちなみに個人的な好き嫌いを別にすれば、同年の「君の名は。」より劣る映画という気はしない。 なお余談として個人的な感情論をいえば、石田将也は小学校の段階で人として見放してしまったので、以降は同情する気にもならず勝手にやっていろという気分だった。その母親が肯定的に扱われているのも気に入らない。ほか川井みきはまともに相手にしないのが無難な人物だが、植野直花は存在自体がマジ害悪だ(こんなのの×をはがす必要はない)。西宮硝子と佐原みよこは心優しい普通の人だった。[DVD(邦画)] 5点(2017-09-15 19:57:05)《改行有》

678.  たまこラブストーリー 《ネタバレ》 TV版は見ていない。「けいおん!」の劇場版と似たようなものかと思ったが、こっちの方が単体の映画としてまとまっている。ちなみに冒頭で「南の島のデラちゃん」という小編が出るが、各映画情報サイトではなぜかこれだけで独立の映画として扱われており、この「たまこラブストーリー」を見る上では完全無視で構わないと思われる。 各種情報によると、TV版の方は妙な生物が人々の平穏な暮らしをひっかき回す類のコメディだった感じだが、この映画は普通に人(若年者)の心を扱ったドラマになっている。ただTV版の雰囲気を継承しているからか、特に前半は結構笑わせる(失笑させられる)展開で、体育館の床をササササというのも変だが、主人公が告白された後の迷走ぶりなども笑った。 後半はひたすら清純なラブストーリーになるが、恋の結末というよりも、何かをまともに受け止める、というテーマの方が前面に出ていた感じである。ラストでは公衆の面前で感情が爆発するのかと危惧していたところ、最後は2人だけの専用回線に移行したのが奥ゆかしい感じで、ここは自然な共感を呼ぶ作りになっていた。この2人は、この先何ともならないままで別離に至る可能性もないではないだろうが、まだ3年生の前半のうちだろうから今後の進展があるのかも知れず、また劇中で親世代の夫婦像が提示されていたこともあり、何にせよ決して悪くない未来があるはずだ、と思わせる結末にはなっていた。 ほか主人公の親友2人にも多少の変化があったようで、ちなみに常盤みどりは少し腹黒いところが「聲の形」(2016)の植野直花のようでもあるが、最後まで主人公の味方だったのは安心した。もう1人の親友も突っ込みが容赦ないようでいて悪気が全くないところが好きだ。そういうこともあってこの映画全体も好きになった。 なお余談として、救急車に「うさぎ山消防局」と書いてあったということは、商店街だけでなく都市全体が架空の「うさぎ山」市なのかと思うわけだが(兎山の表記も見られる)、実際は現地に詳しくない者でもわかる実在の場所が映像に出て来る。登場人物が川に沈んで目を開けてブクブクする場面があったが、そういうことができるほど鴨川(高野川?)の水はきれいだということか。終盤の京都タワーはさすがに見覚えのある風景だった。[DVD(邦画)] 7点(2017-09-15 19:57:02)《改行有》

679.  銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 《ネタバレ》 原作はかなり昔に読んでいる。全体テーマとしては、独裁制と共和制とどっちがいいか考えよう、というようなことを10巻も使って延々と問いかけるようなものだったが、とにかく読んで面白いのは間違いなく、また登場人物への好感度が読むほどに高まる中毒性の高いシリーズだった。 OVAを見ていた皆さんには珍しくもないかも知れないが、自分としては映像化されたものを今回初めて見たので非常に興味深い。さすがに動画の質はよろしくないが、全体的には結構あか抜けた感じに見えており、艦艇デザインがこれで合理的かは別として、格好良さを優先しない形状に見えるのはリアリティがなくもない(帝国軍の方が若干優美?)。宇宙空間で音がするのは昔からの慣例なのでいいことにして、戦闘が激しくなると爆発音なども消えてしまって背景音楽が前面に出るのは斬新である。曲目としては、クライマックスに向けて盛り上げるための選曲もなかなかいいが、個人的には北欧びいきなので序盤でカール・ニールセンが出て来たのは少し嬉しい。 戦闘の仕方としては平面感覚から完全に脱却しているわけでもないが、艦がわざわざ上?を向いて砲撃したり、モニターが3次元的に表示されているなど一応は全方位の戦闘を意識したものになっている。ただ終盤で、ラインハルトの乗艦(劇中で名前が出ないがブリュンヒルトか)の腹にヤンの乗艦がくっついていたのは、艦底?が不用心になっているという前提があってのことだろうから不自然ではある。またモニターのせいもあって図上演習のようでもあり、実物の躍動感が不足していた感じもなくはない。 ほかドラマ部分では会話が少々くどい印象もあり、必ずしも激賞できるものではないが、宇宙モノのアニメといえば小学生向けで済まされていた時代の常識を振り切った出来になっていたとは思われる。 なお余談として、上には媚びて外づらを良くして下を踏みつけにするタイプの人間は世間に時々いるわけだが、そういう者が人生の最後を迎えたとき、いま生きている自分を知る者の多くが自分を憎んでいる、という状況をどう思うかと考えることが最近ある。この映画でキルヒアイスが「…助けられた数百万の将兵の感謝に比べれば…」と言っていたのは当然、後のローエングラム朝の創始につながる台詞だろうが、もっと卑俗な庶民の人生に照らしてみても結構共感できる言葉だった。[DVD(邦画)] 6点(2017-08-25 20:35:38)《改行有》

680.  地球へ・・・ 《ネタバレ》 まず宇宙船が土俗ホラーマンガ風のデザインのため、観客が共感すべき相手が乗っているようには全く見えない。また主題歌の「ツ~テ~ラ~」というのが昭和の歌謡曲風で非常に聞きづらい。ほか物語の展開がかなり唐突で、場面が少し飛んだように見えるところもあるのは不自然である。 キャスティングに関してはジョナ・マッカという人物の声がいかにも下手くそで、中性的な少年という設定なのだろうとは思うが、明らかに女の声であるのに自称が「ぼく」では非常に困惑する。専業の声優でない者がアニメの声を当てるのを嫌う風潮に同調するつもりは特にないが、この点に関してはさすがに納得できない。 また個別エピソードで非常に違和感を覚えたのが自然出産の候補者選定で、映画では初めから自分好みの若い女に目をつけていた男が、無理やり自然出産の方針を決めておいてなし崩し的にモノにしたように見える。申し訳程度に相思相愛の場面も入れていたが表面的なごまかしとしか思われない。こういうところに勘繰りを入れるのは見る側の心が汚れているからなのか。 ほか全体的なテーマとしては、環境破壊とか管理社会に否定的なのはわかりやすいが、その上に「愛」などというものが出て来るのがいかにも当時の風潮で、多分「愛の戦士たち」とか「愛は地球を救う」とかの影響だろうが、その愛とは何のことなのか不明瞭なまま雰囲気だけで適当に通そうとするのが気に食わない。終盤で、種族の別なく助け合う姿が見られたのもいわゆる災害ユートピアによる一時的なものに過ぎず、出奔した一団が帰るまでに「愛の星」の基盤になるものが見えていたとも思われない。いずれまた殺し合いになるだけではないのか。 以上、とりあえず悪いことだけ書いたが、ちなみに映画を見たあと原作(なぜか自宅にあった)を読んだところ、好きなタイプのマンガかどうかは別にして変だと思うところは特になかった。当時のSFファンタジーの佳作と思われる。[DVD(邦画)] 3点(2017-08-25 20:22:35)《改行有》

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