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プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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681.  劇場版 仮面ライダーウィザード in Magic Land 《ネタバレ》 TVシリーズは当然見ていない。特にこの映画を見る義理があったわけでもなく、同時上映の戦隊モノを以前に見たのでその関連でということだが、メインキャストのうち3人(白石隼也・奥仲麻琴・戸塚純貴)をこのサイトで人名登録したのが自分だということもあって若干の思い入れはなくもない。うち白石隼也は、映画初出演の「制服サバイガールⅡ」(2008)では最悪の印象を残していたわけだが、さすがにこの段階に至るともう違和感もなく、基本的にはイケメン役者だろうがとぼけた感じも出していて、かなり好感度の高いキャラクターになっていた。ほか凛子ちゃんというのもきりっとして感じのいい人である。 この劇場版では日常を離れた異世界で物語が展開し、単純なTVの拡大版でないのは「劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト」(2003)のようでもある。世界が「マジックランド」になってしまったために主人公の強さが相対的に低落し、TVシリーズを見ていなかった自分としてはもっと普通に格好いいところを見せてもらいたいと当初は思ったが、中盤以降は当然ながら本領発揮していたようで結構だ。ちなみに黒が基調で透明感のある赤という姿は嫌いでない。 ストーリーとしては何だかよくわからないところもあるが、今回の劇中世界では浮いた存在に見えた「ファントム」というものが終盤でちゃんと意味を持つことがわかったのは感心した(感心するまでもなく当然だろうが)。また自分としては、特にエンディング後のしあわせ感のある場面が非常に嬉しかった。登場人物の役名で「マヤの妻」というのがあったのでどこに出たのかと思っていたら、最後になってそういうことだったのか、という意外感がある。「世界を一つ、ブッ壊した甲斐があったな」という台詞が感動的だったといえなくもない。[DVD(邦画)] 6点(2017-08-19 21:01:34)《改行有》

682.  劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 《ネタバレ》 10年以上前の仮面ライダーに今どきコメントをつけるのも何だが、とりあえず見たので書いておく。 TVシリーズは見ていなかったが映画版は完全に別物とのことで、仰々しいディストピア設定がよくわからないながらも黙って見ていたが、「人類の進化形」に乗り遅れた人間が2433人しか残っていないのなら共存などというまでもなく滅んでしまえばそれまでだと思うわけで、主人公その他の人々は一体何のために戦っているのかと空しくなるが、それでもなぜか一私企業が世界を支配している体制はどこかの段階で打破すべきだろうから(日本国政府はどうなったのか?埼玉県庁はまだあるのか?)、そのために主人公とヒロインはこれからも戦い続けるのだろう、と思っておく。そう思わなければラストをどう受け取ればいいのかわからない。 全体的には深刻すぎて陰気くさいところがあるが、一応の見どころとしては、さいたまスーパーアリーナの10000人エキストラというのがけっこう圧巻で、大勢がその気になってアクションに合わせた動きをしているのは笑った。またキャストとしてはヒロイン役がかなり可愛い人だったが、ほか黒川芽以という人が若い頃の姿で出ており、薄汚れた小娘の役だがちゃんとお化粧して可愛らしいところも見せている。劇場版だけ見た人間が面白がる要素は少なかったので主に女優の顔が印象に残る映画だった。[DVD(邦画)] 4点(2017-08-19 20:54:29)《改行有》

683.  4月の涙 《ネタバレ》 1918年のフィンランド内戦の時期を扱っているが、戦争映画というより人間ドラマに重点があり、映像美とともに登場人物の心理をじっくり見せようとする映画になっている。 しかし個人的には序盤の白軍宿舎の場面で、トイヴォ・クーラのピアノ曲 op.3b-2 “Häämarssi” を適当にアレンジして弾いていたのが悪趣味で非常に腹立たしく、これでいきなりこの映画自体の印象が悪化した。だからといって見るのをやめるわけでもなく最後までまともに見たが、結局は主要人物の誰にも共感できないままで終わってしまった。特に女性兵士の人格形成の背景が一切わからず、主人公男女の心情を推しはかる上で支障が生じているのは困る。ちなみにイヌのような生物(恐らく雌の狼)が一瞬映ったのは原作との関係かも知れないが意味不明である。 この映画が本当に何をいいたかったかは別として個人的に感じたのは、女に手を出さなければ同性愛者という決めつけも、民族主義か共産主義かの択一を迫るのも同じようなものだということで、要は個人の独自性なり主体性といったことが理解不能な人々への皮肉である。そういうことならわからなくはないが、それだけで賞賛する気にもならない。 なお映像面では、フィンランド南部(西ウーシマーとのこと)の岩ばかりの海岸風景や林地景観が印象的だった。まだ冬の残り香をとどめたようでいながら春の陽射しも見えて穏やかだが、人がやっていることの方は悲惨である。 ほか余談として、この映画では前記のピアノ曲以外にも各種の劇中曲が使われているのが特徴的だった。サティとベートーベンは日本人にもわかるとして、登場人物が歌う現地語の歌としては次のようなものがある。 【女性兵士】 ①”Punakaartilaisten marssi”(赤衛軍の行進曲) 【判事】 ②”Laps’ Suomen”(フィンランドの子) ③”Jääkärimarssi”(狙撃兵行進曲、シベリウスop.91a) 【少年】 ④”Varšavjanka”(「ワルシャワ労働歌」のフィンランド語替え歌) 【孤児院】 ⑤”Kotimaani ompi Suomi”(わが故郷はフィンランド) このうち①④は明らかに赤軍側、③はいわば白軍側の歌だが、⑤は劇中での扱い通り子どもらも素直な気持ちで歌える歌であり、従って最後に出たこの⑤が国民の融和を象徴していると思われる。しかし②についてはフィンランド国歌の作曲者の曲であり、児童合唱団が歌うのを聞いたこともあるのでそれほど極右的でも軍国主義的でもないと思うのだが、これを判事に歌わせていたのはどういう含意があったのかわからず、この辺は異国人としての引け目を感じる。 ちなみにこの映画は1918年4月の話だが、前記のトイヴォ・クーラ(作曲家)はその翌月に、白軍の戦勝祝賀会場で喧嘩相手に撃たれて死んだとのことである。この人物も熱烈な民族主義者だったらしい。[DVD(字幕)] 4点(2017-08-12 23:58:20)《改行有》

684.  心が叫びたがってるんだ。(2017) 《ネタバレ》 アニメ版は見たことがない。チケットカウンターで「ここさけ20:45からです」と言われてそういう略称だったのかと思った。 ここさけ初心者として率直に書くと、意外にも普通に感動的なお話だった。若年者の心情に密着し過ぎて部外者には共感しづらいのではと思っていたが、実際は対象年齢以上にも広く受け入れられそうな普遍性が感じられる。また殊更に人の暗黒面を見せつけるタイプのものでもなく、人間の善性を信頼した物語のようで安心させられる。 なんで突然ミュージカル?とは一応思うわけだが実際やれば当然感動的で、特に2つの旋律にそれぞれの言葉を乗せて重ねる趣向は非常によかった。恋愛感情も絡んで来るがあまり生々しくもなく、物語を進める原動力になった後は一定の整理をつけて未来につなぐ形になっていたのは清々しい。最後に観客みんなが笑顔になるようなものにしたい、というような感じのことを劇中人物が言っていたのは正解である。 全体的には都合良すぎのようでもあり、また細かく見れば説明不足だとか意味不明に思われるところもなくはなかったが、あまり気にならない範囲でうまくまとめてあるようには見えた。アニメ版と雰囲気などの違いがあるかは後で確認したい。 ほかキャストもなかなかいい感じで、芳根京子という人は高校生というには少し年齢が上に見えたが、いかにもアニメ少女っぽい挙動とか“つぶらな瞳”感のある目などはよかった。また石井杏奈という人も親しみやすい顔を見せており、ダンスのような場面も一応入れてある。端役ながら見覚えのある金澤美穂・萩原みのりといった人々が出ていたのも個人的に嬉しい。また成瀬順の幼少時の子役(平尾菜々花)が上手すぎて、父親が呪いの言葉を吐きたくなる気分が大変よくわかった。父親にまで共感してしまった。[映画館(邦画)] 7点(2017-08-12 18:59:18)(良:2票) 《改行有》

685.  ULTRAMAN 《ネタバレ》 この映画を見て実感したのは「シン・ゴジラ」(2016)で、「自衛隊の弾を国民に向けることはできない」と総理大臣が言っていたのは現実問題として絶対的に正しいということである。 この映画では主人公が自衛隊員のため、当初は見る側としても劇中の自衛隊に好意的だった。しかし銃を持った連中が民間会社に押し入ったあたりで気分が反転し、以降は劇中自衛隊の全員が国民の敵に見えるようになる。バケモノを包囲して攻撃しようとした連中が皆殺しになるわけでもなく、ほとんど生き残ったように見えたのは甘いとさえ感じた。 その後も国民の「射殺許可」を求めてみたり、何か起これば銃を持った兵隊が戒厳令よろしく街に出て一般市民を威圧するのはいわゆる“暴力装置”の表現のようで、最後に子どもを助けたくらいで悪印象が挽回できるものではない。見る側としても騙されたような気がして怒りを覚える。 ちなみにこの映画が賞揚していたのは飛行機乗りであって自衛隊などではなく、自衛隊はあくまで主人公にとって大事なものを残す上で否定し去るべきものという扱いでネタにされただけである。こんな映画に平気で協力した防衛庁(当時)と陸海空自衛隊の気が知れない。 また劇中自衛隊との関連で憎むべきは「私の恋人だったのよ」などというおちゃらけた理由でバケモノを取り逃がして多数の犠牲者を出しておきながら終始偉そうな顔をしていた女であって、責任を感じて自決するでもなく自分がバケモノを退治すればそれで免罪されるとでも思ったのか。危険が迫る場面は複数あったがなぜか死なずに生き残るので死ね死ね死ね死ねと何回思ったことか。だいたい顔が変にすべすべして見えるのが気に食わない。 そういう理由で映画全体に否定的な感情が強まると、「星川航空」などという昭和特撮ファンに媚びたような趣向もかえって苛立たしくなる。監督と同年代だからといって何を出されても有り難くいただくというわけもなく、宣伝文句の「すべての世代に響く」など見ると人を馬鹿にしているのかと怒鳴りたくなる。 ちなみに主人公が子どもの頃、戦闘機が飛ぶのを見たのが動機でパイロットになったというエピソードには感動した。自分に同じ経験があるわけではないが、昭和40年代の日本で、大怪獣が出現した際にやられるとわかっていても(:見ている側では)勇敢に立ち向かっていったF-104J戦闘機に1点入れておく。あとの点数は劇中の家族思いのお父さんへ。[DVD(邦画)] 4点(2017-08-12 18:32:43)《改行有》

686.  なぞの転校生 《ネタバレ》 何かと面倒臭い映画だった。不確定性とか多元宇宙なら実体のある概念なのでいいとして、世間に変な能力者がいて3人以上集まると世界が破滅する、というような作り話を長々と説明して一回聞いただけでわかれというのは無理がある。原作でも、実は時空間は5次元だった、などという話は当時の中学生にはわかりづらかったろうが、科学への関心を高めてもらうために絞った形で疑問点を設定しておいたとも考えられる。しかしこの映画では作り手の自己表現が目的でしかないようで、こういうのにはもう付き合っていられない。 物語の面では、基本的には悪くない雰囲気なので黙って見ていたが、クライマックスでの主人公(香川翠)の感情の動きが長々とした意味不明な説明に依拠しているためにリアルタイムで受け取れず、何でこの人物は泣いているのか、ということが最後になってかろうじてわかる始末だった。 それより幼馴染の男(岩田広一)の方は、より単純な感情なのでわかりやすいはずだが役者に問題があり、言語不明瞭で台詞が上滑りしてヒキガエルを潰したようなこの男に共感する気には全くならない。当初はこんな状態でも、20年近く経てば立派な役者になっているのだから偉いものである。 ほかに見どころとしては転校生役が長身で超個性的な風貌でモデル的に見栄えのする人で、宇宙人的クールビューティで通すのかと思っていたら普通に喜怒哀楽もあって人間味も出ているのだった。「ガキ!」のあとでこの人はどこへ行ったのか。[DVD(邦画)] 4点(2017-08-11 23:45:09)《改行有》

687.  シンデレラゲーム 《ネタバレ》 山谷花純さんの初主演映画ということで見た。大きな目が特徴的で怖い顔を見せることもある人だが、個人的には困惑したような表情が好きだったりする。またこの映画では京都出身の人(演・吉田明加/Chu-Zオレンジ担当ミク)もなかなかいいキャラクターになっている。 スタッフとしては、監督は違うが企画・製作その他に「人狼ゲーム」シリーズの関係者が関わっているようで、中身も要はそういう感じの映画だが、登場人物がアイドルばかりのため人間一般というより芸能人の人間模様になっている。残虐場面を面白がるタイプの映画ではないが、劇中の売れないアイドルを貶めて笑って観客が相対的な優越感に浸る効果はあるのかも知れない。 テーマ的には結局何が言いたいのかわからなかったが、メイキングで主演女優が、自分の本当に大切なものは何かを考えるきっかけにしてもらいたい、と言ったのを聞いて、えっそういう映画だったんですかと言いたくなった。主人公役の本物の芸能人がそのように言うからには、肉親を死に追いやってでも任期1年再任なしのトップアイドルの座に生命を賭けるのが本当に大切だ、というかのようで、これはもう一般人にはとてもついて行けない世界になっている。 それではさすがに変なのでやむなく原作を読むと(結構厚い本だ)、原作通りであれば確かに主演女優の発言も理解できなくはない。要は基本路線が原作と同じで内容は表現し切れなかったということだろうが、特に個人的には、映画の主人公が否応なしに変節を強いられて終わったように見えたのが不快だった。最後に主人公の真の主体性が求められる形であればよかったがと思う。 そういうことで不満足感のある映画だったが、点数としては前記の両人と、見覚えのある佐々木萌詠さん(リーダー/涼夏さん)を含めた3人に大盛り気味にポイントを入れておく。役に立たないだろうがファンからの応援のようなものということで。 ちなみに劇中の桃園りん【りりぱっと★学園】の演者もメイキングに出ていたが、自身のイメージ低下を恐れもせずにこういう役をやっておいて悪びれることもないというのでは、本当にこの業界ではこれが当たり前のようで空恐ろしい(他人事だが)。[DVD(邦画)] 4点(2017-08-04 18:57:55)《改行有》

688.  陽炎の辻 完結編 ~居眠り磐音 江戸双紙~ <TVM> 《ネタバレ》 時代小説シリーズ「居眠り磐音 江戸双紙」を原作として、2007~2009年にNHKが放送した連続TVドラマの特別編である。前回の特別編はTVシリーズの締めくくりとして放送されたものだったが、原作小説はその後も2016年まで続いて完結したことから、その最終状態を反映した「完結編」をTVでも製作したという形らしい。なお自分としては原作・TVとも未見である。 前回の特別編から7年になるがシリーズ開始からだと10年になり、その間に役者もみな10歳年を取ったことになる。劇中人物としても落ち着きが増しているように見えたが、特に前回は新婚半年だった主人公に子ができたことで、この主人公とその他の登場人物を含めた親子の情愛が大きく扱われ、これが今回のテーマにつながっていたようである。今回初出のキャストとしてはその息子が存在感を見せているほか、レギュラーの娘役で優希美青さんという人が出ており、ルーズな父親に厳しいしっかり者を演じていた。 今回は完結編とのことで、これまで因縁のあった田沼意次のほか、松平定信が顔出しで登場するため話のスケールが大きくなっている。大まかにいえば田沼が悪玉、定信が善玉だが、両者それぞれに善悪もあり理想もあり、欠けた部分や未熟な部分もあって単純な勧善懲悪にはなっていない。 田沼と主人公が対面する場面は2回あったがいずれも結構な緊張感があり、特に田沼の心情が顔に出るのが見どころである。主人公は前にも増して抑制の効いた人物に見えたが、定信の側近を𠮟りつけた場面だけはどうやらボロが出たということらしい。この場面で主人公の真意をどこまで勘繰ればいいのかよくわからなかったが、ここだけ言葉が乱暴なのは内心の弱みを突かれた形だったからかも知れない。 ちなみに個人的感覚としては、刃傷沙汰の張本人が事後にニヤリと笑ったのは痛快だった。その後の庶民の無責任な噂話も可笑しい。 そのほか見せ場としての剣劇も当然あるが、それより人の心をじっくり見せようとするドラマになっており、特に今回はいわば“青年期の終わり”を感じさせるものだったように思われる。本編ファンがどう思うかはわからないが、個人的には「完結編」にふさわしい内容になっていた気がした。[DVD(邦画)] 7点(2017-07-19 00:02:17)《改行有》

689.  陽炎の辻 ~居眠り磐音 江戸双紙~スペシャル 海の母 <TVM> 《ネタバレ》 時代小説シリーズ「居眠り磐音 江戸双紙」を原作として、2007~2009年にNHKが放送した連続TVドラマの特別編である。それまで3年3期にわたったTVシリーズの最後をこの特別編で締めくくるということだったらしく、原作小説はこの後もまだ続いていたが、TVの方は主人公が所帯を持って地位も安定したように見えたところで一旦終了にしたようである。 自分としては原作・TVとも未見だが、今回見ると主人公はなかなかの好人物で、少々ご立派すぎるのがかえってマイナスかという感じである。長屋の衆など番組レギュラーの近況を一応紹介する場面もあったが、ちなみに本編ではもう少し存在感のある人物だったはずのお有(演・海老瀬はな)という人が、この特別編では顔出しだけで終わっていたのは個人的に残念だった。 今回のメインになるのは13歳の少年が御家存続のために仇討ちをするエピソードである。真の悪人はいないにもかかわらず結果的に人は死ぬという展開だが、武家の論理を理不尽なものとして否定するということでもなく、この時代なりの社会の厳しさに年若い少年を直面させて成長を促す話だったように取れる。登場人物の思いの絡み方が結構複雑なのは原作由来だろうが、母とか祖父とか幼馴染とかの様々な心情を見せることで視聴者が共感できるポイントを各種用意していたように見える。 なお今回は話のかなりの部分が江戸を離れて房総半島で展開しており、上総上湯江(千葉県君津市上湯江)、安房北条(千葉県館山市北条)といった実在の地名が出る。ただし北条湊の場面は岩手県大船渡市で撮影したとのことで、リアス式海岸のため房総半島にしては風景が狭苦しかったりする。港湾施設で突然仇討ちが始まったのは周囲の迷惑だろうが、野次馬で見ていた町民は本気の真剣勝負を間近に見て度肝を抜かれたのではと思ったりした。[DVD(邦画)] 6点(2017-07-19 00:00:42)《改行有》

690.  神の左手 悪魔の右手 《ネタバレ》 非常にかったるい映画だった。噂によると原作に近いとのことだが、映画を見る限り白々して単調で面白味がない。かろうじて悪人を絞り上げるという発想と、ラストの強引な展開(場面が変わるごとに怪我が治って衣服がきれいになる)が注目される程度だった。最後はかなり素っ気ない終わり方だが、「正しき人を蘇らせる」と言っていたからにはケーキ屋の娘やその妹分も復活したのだろうし、残された少女は中盤に出た児童養護施設に預けられてひとまず安心(松金よね子さんにおまかせ)ということになったはずで、その辺は適宜に察しておけばいいのだと思っておく。 なお自分としては原作を読んだことはないが、寝ていた少年が突然起き上がって目を見開いて「いけない!」と叫ぶのはいかにも楳図マンガ風だとは思った。主人公が頬を切られてギャー、ギャーと一本調子に叫ぶのもそういうことか。後半、絵を見ただけで家族関係まで見抜く老人が登場したのは不気味だったが、ここは読者に対する原作者の思いを込めた場面ということだったのかも知れない。 出演者としては、渋谷飛鳥(「デビルマン」)と前田愛(「ガメラ3」)の豪華キャスト競演かと思ったら一人が途中で脱落してしまったのは残念だ。また中学生役の紗綾という人はこの後もホラー映画などによく出ているが、この段階(12歳くらい)から結構ひどい扱いをされていたようである。 ほか2階で寝ていた少女は、少女嗜好丸出しの撮り方をされているが非常に可愛らしく映っており、ほとんど真の主役に見える。この子役は他の映画でも少女役で出ているのを見たことがあるが、現在はもう芸能活動をしていないようで、こんないかがわしい業界に関わるのをやめて真っ当な人生を歩んでいるのであれば幸いである(今年で20歳?)。[DVD(字幕)] 3点(2017-07-15 07:52:09)《改行有》

691.  恋に唄えば♪ 《ネタバレ》 最初は優香がかわいいのとおバカな展開で笑いながら見られる。まもなく出た竹中直人のくどい芸には辟易させられるが、引続き優香はかわいいので毒消しになる。何でこんな映画で海外ロケまであるのかとか何でオーストラリアなのかという疑問はあるが、優香がかわいいので問題にはしない。優香がかわいい以外にも、端役ながら中山忍とか(ガメラつながり?)、石野真子さんとか(何のつながり?)が出ていたのも大変よいことである。ストーリー的には出来すぎだが安心のハッピーエンドで、終盤の花屋の場面で篠原ともえに乗せられた形で玉山鉄二の歌が始まったところは少し感動した。 自分としては特にミュージカル映画とは意識していなかったが、見ればなるほどミュージカル映画のパロディのようでコメディの味付けになり、また当然ながらラストの盛り上げにも貢献している。竹中直人の顔を見ないことにすれば文句なしに楽しく幸せな映画だったので、ここは少しいい点をつけておく。かなりの部分が優香のおかげである。[DVD(字幕)] 6点(2017-07-15 07:52:06)《改行有》

692.  メリーさんの電話 《ネタバレ》 「ムラサキカガミ」(2010)に続く紗綾(さあや)の主演ホラー2作目で、今回はAKB48の菊地あやかとのダブル主演という名目だが、実質的には紗綾の行動が主軸である。登場人物が女子だけなのは1作目と同じで、今回は微妙に男子向けサービスと思われる場面もあったのは前回の反省かも知れないが苦笑した。 題名の都市伝説に関しては、本物は冒頭(と最後?)に出るだけで、ほとんどは映画独自の話に変えられている。ホラー要素にオリジナリティが感じられず、設定やストーリーも緩い感じなのは前回同様だが、肩透かしながらも微妙に怖い画面づくりがされており、意図的ミスリード?ともいえる箇所があったりするのは低予算なりの工夫とも思われる。登場人物が暗くて怖いところへ入る際、普通のホラーであれば怖がらせのために暗くしたままにするところ、あえて電気を点けていたのは一般常識に合わせた感じで好印象だった。それからクライマックスで、前回に続いてまた便所に逃げ込むのかと思わせておいてからの展開は意表をついていた(笑)。 ところで劇中では、誰でも知っている有名な交霊術の名前をわざわざ変えて使っていたが、これは撮影中に本当に交霊術をやってしまうのを避けるためだとすれば良心的な対応と考えられる。また凶兆におびえた友人が思わず不吉なことを口にするのを主人公が諌める場面があったが、こういう不用意な連中が人心を不安に陥れ、あるいは自ら墓穴を掘るようなことをやらかすのに対して警告を発しているようなのも理性的に見える。特に今回は、主人公が前回同様に怖がりな性格ながらもしっかりした人物だったことで、“正しく怖がるのを恥じることはない”という若年者への教育的配慮が感じられる映画になっていた。 ただその割に、登場人物が芝居がかった調子で延々と昔語りをする場面があったりするので、そういうことを現場で口に出すのは自ら災難を呼び寄せるようなものだからやめろと言いたくなるが、まあこの語り自体は前回に続いての定例行事と理解した方がいいのかも知れない。何にせよ前回同様の実直な印象で個人的には結構好きだ。前回と共通のエンディングテーマも悪くない。 ちなみに冒頭のタイトルが無粋な感じの明朝体になっているのは、自分としては1968年のTV番組「怪奇大作戦」の第4話「恐怖の電話」を連想させるものがあったが、意識してやっていたのかはわからない。[DVD(邦画)] 5点(2017-07-10 21:03:18)《改行有》

693.  ムラサキカガミ 《ネタバレ》 主演の紗綾(さあや)という人は結構いろんな映画で目にするので(主にホラーだが)、この映画が初主演というのは少し意外だった。本業はグラビアアイドルだったはずだが、終盤でおののく表情など見てもちゃんと役者の顔で熱演しているように見える。 女子しか出ないホラーとのことだが実際かなり地味な感じで、高校のテニス部であるのに季節柄ということなのか露出も少なく、屋内の場面も含めて男子向けサービスがほとんど皆無である。興行的にこういう作りでよかったのか疑問だが、自分としてはかえって真面目な映画に見えて好印象だった。 劇中の出来事は題名の都市伝説の通りでは全くないが、もとのままでは映画にならないので鏡が出る他の都市伝説の要素を取り入れて勝手に作ったものと思われる。既存のホラー要素の組み合わせが基本のようで独自性はほとんど感じられず、また特に前半は単なるこけおどしが多いが、それは低予算なりに全体的な緊張感を持続させるためとも思われる。終盤に出た生ゴミ集積所などは結構生々しい感じだった。 ストーリーとしては、何が起こったのかはよくわからないが一応真面目に考えると、まず鏡の中の人物はそもそも主人公のように感受性(共感力)が強く、従って怖がりな女子だけをターゲットにしていたと思われる。面白半分で来る連中は、そういう人物を強制的に連れて来る役割を果たすだけで、ほかは役に立たないので殺されるということではないか。 ここにあえて教訓的なものを求めるとすれば、①そもそも余計なことはするな ②やるなら他人を巻き込むな、ということだろう。やるならあくまで自己責任でと言いたいところだが、それができないのが女子高生ということか。そのほか序盤で、わざわざこの場で口にする話かというようなことを喜々としてしゃべっていた怪談マニアの教員が、最後に巻き添えを食っていたのも自業自得であり、これはなかなか道徳的な映画のようである。 派手なところは全くないが、低予算ながらも極めて実直な印象のあるホラーだった。[DVD(邦画)] 5点(2017-07-10 20:59:51)《改行有》

694.  ウルトラセブン 《ネタバレ》 1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」(全49話)の第18話で、これだけが1968年夏の「東映まんがパレード」で劇場公開されたために映画扱いになっている。高畑勲氏が監督で宮崎駿氏も動画制作に関わった「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)と同時上映だったとのことである。 この第18話「空間X脱出」(1968/2/4放映)は第2クールのいわば安定期に入った頃のもので、特別に面白い回ともいえないが、日常を離れた異世界が舞台になるため若干の特別感はなくもない。また宇宙生物が4種類も出るので若干豪華といえなくもないが、着ぐるみは「音波怪人 ベル星人」(スズムシの宇宙人)だけで、あとは操演と上からバラバラ落ちて来るだけのものである。ちなみに樹上から吸血生物が落ちて来るとか底なし沼とかは、戦時中に南方へ出征した人々の体験に基づくものという話を読んだ気がする。 ドラマとしては、人間だれしも長所と短所があるので協力して補い合うことが大切だ、といったような、シリーズ初期らしい年少者向けの生真面目な教育的意図が込められている。またラストではかなり唐突に格言のようなものを出してそれなりの教訓に結びつける形だが、その「神なき知恵は…」というのは玉川大学創立者の言葉を一部アレンジしたものだったらしい。 登場人物はいつもの通りだが、この回ではマナベ参謀が出ており、人事交流か何かでアメリカ(ワシントン基地)に行っていたという経歴を披露している。またこの時期はまだショートヘアだったアンヌ隊員がかわいい。すでにモロボシダンのことを人一倍気にかける様子を見せている。[DVD(邦画)] 5点(2017-07-05 19:44:56)《改行有》

695.  太陽の王子 ホルスの大冒険 《ネタバレ》 古いアニメと思ってほとんど期待していなかったが、冒頭から狼との戦いのスピード感で予想を裏切られた気分になり、序盤で舟を操る主人公の背景を太陽が横切ったところなどは少し驚かされた。かなり力の入った動画のようだが、ただ途中、なぜか静止画ばかりが続く場面があったのはさすがに制作上の都合を勘繰らざるを得なかった。 音楽面でも聞くべきものがあり、ヒロインの独唱のほか、管弦楽を背景にした合唱の場面もあったりして歌劇とかオラトリオのような印象を出している。非常に微妙ながらソビエト連邦の大衆向け音楽の雰囲気が感じられたのは時代の反映かと思うが、劇中でも歌を大衆の心理操作に利用しようとする人物が出ており、そういうことを制作側がどの程度意識していたのかはわからなかった。 お話としては子ども向けには地味かも知れないが、終盤で巨大怪獣同士の戦いのようになっていたのは昭和特撮の影響かと思ったりする。真っ正直な主人公が秘密の多いヒロインに翻弄され、単純バカのように詰られていたのは思春期物らしい印象だが、結局は主人公のまっすぐな意志が事態を打開していたのは人の世の正道を示したようで清々しい。男子たるものやはりこうあるべきだろうと思わせる。 結果としては大感動作ともいえないが、「まんが映画」という触れ込みの割には素人目にも出来の違うアニメに見えた。 以下はよけいなことかも知れないが、ストーリーの基本は地縁共同体が団結して外敵を撃退した話になっており、敵は単純に人を滅ぼそうとしていたのであって支配と搾取を目的にしていたわけではない。また最終的に村長の地位が揺らいだようでもなく、倉を壊した場面以外は階級闘争の要素もない。東映の労働争議が制作姿勢に影響を及ぼしたとの話があるようだが、劇中で言っているのは「団結」までであって、自分としてはそれ以上の社会的な問題意識を提示しているようには見えなかった。「団結」だけなら労働者の団結も国民の団結も同じである。 ちなみに「ヒルダの子守唄」はまともに聞くとものすごく皮肉な歌詞なので笑った。解釈はそれぞれだろうが個人的には、生態系と同じように人間も複雑につながった社会を作っており、利害の対立がありながらも何とか成り立っているものであるから、単純思考で誰かを悪人にして叩けばよいというものではない、ということかと勝手に思った。[DVD(邦画)] 7点(2017-07-05 19:44:53)(良:1票) 《改行有》

696.  バイロケーション 《ネタバレ》 原作も一応読んだが、映画化に当たってはかなり手際よくまとめたようで、映画だけでも全体像はわかる。前宣伝ではラストが衝撃的とされていたようだが、実際は最後だけがひっくり返るような構造ではなく、徐々に観客の思い込みが覆されて自然にラストにつながる展開に見えた。結末が「表」「裏」の2種類あるのも基本的には肯定できる。ただ背景事情の省略のために最後までわからないこともあり、また御手洗という男は映画ではほとんど不要な人物になっている。 題名の現象に関しては、この映画で二重人格の実体化のような意味づけをされているのは原作を超えた趣向である。しかしそれだと本来は本体に統合するよう努めるのが筋ということになり、劇中で共存が理想というようなことを言っていたのは明らかに変である。物語中の状況ではやむを得ない発想だとしても、「裏」の最後の独白など聞くともう外部の常識が通用しない閉鎖世界ができてしまったようで、かなり独りよがりな印象になっていた。こういう変なところに踏み込まないで止めていた原作の方はまともである。 映像的な面では全般的に好印象だが、人や物が霧消する表現は少々安っぽい(演出上の意味のある場面はあったが)。キャストに関しては、まずは滝藤賢一氏が原作でも描写された凄みのある表情を見せている。また主演女優はこれまで可愛気がない人だと思っていたが、今回は女性的なところが前面に出ていたようで、特に結婚後の様子は可愛らしくも見えたのが意外だった。この映画で最もいいと思ったのは実はこの点である。また酒井若菜という人も嫌いでない(けっこう好きだ)。 なお冒頭の外国の場面は、19世紀のリヴォニア(現在のラトヴィア共和国)で起きたとされる事件の再現映像のようなものかも知れないが、仮にこの手の現象が実在するとすればこれ以前のはるか昔からあったはずで、現象自体が19世紀から発生し始めたかのように台詞で説明していたのは変である…オカルトの世界で話題になったのが19世紀のヨーロッパから、というならわかる。 ちなみにここでしゃべっていたのは何語なのか。リヴォニアの寄宿学校の事件とすればフランス語かドイツ語を使っていた可能性があるのでは。[DVD(邦画)] 5点(2017-06-30 19:48:23)《改行有》

697.  ゴメンナサイ 《ネタバレ》 携帯サイト「魔法のiらんど」で公開されたケータイ小説を原作とした映画である。原作の全3章のうち前の2章分を映画化している。 この映画と同時期に、同じく携帯小説を原作として、同じ監督と同じ主演(鈴木愛理)で製作された「携帯彼女」(2011)とはなぜか出来が段違いで、実際それほど革新的でもなく超怖いわけでもないが、映像や音響面で結構いい感じを出している。主要キャストはアイドルながら結構シビアな役柄で、劇中人物の発言によれば「貞子versus鬼」だそうだが、特に黒羽さん役などはこれで本当にアイドルなのか(本当にこういう人なのではないか)と思わせるものがある。主演の人も前記の映画より少し大人っぽい美少女に見えて結構だ(ナレーションは下手)。ちなみに個人的にはアイドルに関心がないが、相楽樹さんが目立っていたのは嬉しい。 全体構成としては、本来のお話の外側にアイドル映画の枠組みをもう一つ被せておいて、その枠組みも最後にはぶち壊して虚構性を最大限に否定してみせる趣向は面白い(「ファンの人とか見るんだよ」という台詞が生々しい)。冒頭の作品紹介の際に主演の人の態度が変だったのも、後になればそういうことだったかと思わせる。 ところで参考までに書いておくと、自分が本来好む実話系怪談の世界でいえば、実話という触れ込みで読者に実害が及びそうな話を予告なしに読ませるのは、少なくとも商業作品では禁じ手と思われる(最近はそうでもないかも知れないが)。 この映画は実話ではなく「フェイクドキュメンタリー」だそうだが(厳密にはラストのみ?)、原作が携帯小説であり、著者の実体験を匂わせる作りになっていることから再現ドラマの趣がある。現実問題としては台詞にあったように呪いなど真に受ける警察もないわけだが、しかし同じく台詞にあったように、呪われていると本人に自覚させることで、いわば高感受性者には精神面で実害が及ぶ恐れもなくはない。そういう合理的観点からしても、何の警告もなしにこういう映画を多数の観客に見せることはしないのが無難なはずである。 そういう配慮もなかった結果、ネット上あるいは日常会話で若年者が垂れ流す無責任な話を大人が平気で映画化(その前段で書籍化)してしまった印象があり、映倫は通っても倫理面で問題があると思わざるを得ない。劇中でも若年者の思慮のなさを嘲るような台詞があり、そこまでわかってやっているのであればイノセントともいえない。原作もかなり毒気のある小説だが(ふりがなが必要な読者にこういうのを読ませるか?)、さらに映画では最後の章を除去してオープンな構造にしたこともあって、作り手の悪意さえ感じられる状態になってしまっている。 そういうことで点数としては抑えておく。本当は少しいい点を付けたかったが残念だ。 追記:主要キャストのうち嗣永桃子(ももち)という人は本日2017/6/30をもって芸能界引退とのことで、惜しまれつつも祝福されながらの引退らしいのは他人事ながら喜ばしい。15年間お疲れさまでした、これから頑張ってください。[DVD(邦画)] 1点(2017-06-30 19:48:20)《改行有》

698.  お兄チャンは戦場に行った!? 《ネタバレ》 同じ監督の「沈まない三つの家」(2013)と同時に撮影されたもので、これだけが別の小編として編集されたとのことである。当然ながら同じ川が重要な舞台になっている。 導入部に刺激的な要素を持ってきているが(人体損壊・流血)、全体としては心温まる家族(兄妹)の物語である。当初は劇中の兄に同情もできずにこいつはバカかと突き放した気分だったが、そのうち事情があることもわかり、また何より妹が兄と観客の間を取り持ってくれているように感じられて、最終的にはこの兄に対する制作側の温かい視線にも共感できるようになる。結果的には最初の凶行も前向きな決断だったのだと納得した。妹の方は最後に何か変化があったのかどうかよくわからなかったが、次は妹の側が兄に背中を押されるような場面もありうるのかも知れない。 なお自作中に下世話なものを出すのがこの監督の特徴だが、今回は少し毛色の違ったものを出してきている。[DVD(邦画)] 7点(2017-06-24 09:39:42)《改行有》

699.  沈まない三つの家 《ネタバレ》 「チチを撮りに」(2012)、「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016)と同じ監督の映画で、やはり家族がテーマだが雰囲気は同じでもない。いかにも人工的な世界を作り込むのかと思ったらそれほどでもなく、また一つひとつの場面に細かい意味を込めているようだがわざとらしさは感じない。意外に普通の感覚で見られる映画になっており、どちらかというと「琥珀色のキラキラ」(2008)に近い印象である。 この映画で川が意味するものはよくわからないが、文字通り水に流すということのほか、自然かつ否応なしに前に進めていくという意味か、また題名との関係からすれば浮かすということもあるかも知れない。三つの家族それぞれに物語ができているが、ある程度の共通項として“必要とされること”が台詞に出ているほか、感覚的には“赦し”も大きな意味を持っていたように思われる。登場人物の中ではコンビニ店長が意外に重要人物で、キーパーソンというほどでもないが結節点にはなっており、顔の印象からしても“赦し”を体現していた感じである。また相模家の叔父がかなりいい男で、自分がこの映画の中にいるならこの人物の役でありたいと思った(痛いのは嫌だが)。自分がどうあれ誰かに必要とされるのは嬉しいことだ。 この監督の特徴と思われる露悪趣味に関しては、今回それほど気に障るところはない。見るからに下世話なものは出ていない(終盤で流下した液体は排泄物ではないと思われる)が、性的な危うさということでは、近親間の性愛感情(娘から父?)が背景に隠れていたようである。また不道徳という面では、神田家の妹役の松原菜野花さんが今回も万引きをさせられていた。ちなみに神田家の姉は非常に賢明で先読みする人物だったようで、おかげでDVの脅威は回避されたのだろうと思っておく。 ほか、やはり極端な誇張表現が若干あってどうも馴染めないが、それも監督の個性ということで納得するしかない。今回は川にマグロはいなかった。[DVD(邦画)] 7点(2017-06-24 09:39:38)《改行有》

700.  さとうきび畑の唄〈TVM〉 《ネタバレ》 森山良子氏の著名な持ち歌を取り入れたドラマで、最初と最後の現代パートは歌詞のシチュエーションを映像化したものである。ここでは歌の主人公のほかに態度の悪い女子高生もついて来ていたが、これは新しい世代にも伝えていきたいとの趣旨だろう。この歌は情景イメージを含めて時代の記憶を伝える力を持った優れた音楽作品であり、後世に残ってもらいたいというのは自分としての願いでもある。これを見たあと自宅にあったCDを引っ張り出して聴いてその思いがさらに深まった。 ドラマ本編に関しては、歌の主人公(新生児)も出て来てはいるが、全体的に騒がしい感じのため歌に喚起されるイメージとの間でかなりのずれがある。しかし歌自体のドラマ化が目的ではなくネタとして使っただけだろうから、合うとか合わないとかを問題にしても仕方ない。また悪玉にわざわざ過激なことを言わせておいて、そこに善玉が「同じ人間じゃないですか!」などと当たり前のことを突っ込んでみせるような安手のドラマだが、それもまあテレビだから仕方ない。 劇中の主張の中では、学徒動員の青年の考えは普通に理解できる。また親は戦争で死ぬために子を産んだのではないというのもその通りだが、しかし「戦争のない国を作って下さい」というのは具体的に何をどうすればいいと思うのか。戦争がない方がいいというのは平和な市民社会の誰もが願う当然のことだが、相手があることなので自分の国だけでは決められない。むしろ戦争を起こさないために、現実的な対処として何が必要なのかをシビアに考えることが大事であり、そこに沖縄戦の記憶を伝える意味もあるだろうと思われる。 ちなみにこのドラマでは主人公夫妻が関西出身という設定もあり、結果的に“沖縄の利害は国内他地域と相反する”といった分離主義的な印象が強くなかったのは幸いだった。もっとも制作当時は東アジアの国際情勢が現在と異なっており、この時点でそんなことはほとんど誰も考えていなかっただろうが。[DVD(邦画)] 2点(2017-06-21 23:19:21)《改行有》

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