みんなのシネマレビュー
かっぱ堰さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263

701.  貞子vs伽椰子 《ネタバレ》 題名からすると真面目な映画にはとても思えないが、既成キャラクターをネタにした悪ふざけに終わるわけでもなく、それなりにまともな邦画ホラーになっている。ストーリー自体が旧2作のハイブリッドだが、この2系列を最終的に統合するため白石監督オリジナルの「カルト」(2013)の要素を加えており、全体としては既存のホラー映画3つを組み合わせた形に見える。今回登場のハイパー霊能者は「カルト」の登場人物そのままでもよかったのではと思うが、そうすると真面目なホラーに見えないのでまずかったのかも知れない。 最後のぶった切り方は唐突かも知れないが、「カルト」からの連想でいえばこれも予想の範囲内とはいえる(どうせこんな感じだろうとは思った)。それにしてもこういう終わり方とすれば本体部分がよほど面白くないと困るわけだが、その本体部分が他からの借り物で独自性が感じられないことが自分としては不満足につながった。ちなみに問題のビデオがあまり凝った作りでなかったのは残念である。 ところで、この映画で両者の混合物ができてしまったのは個人的に喜ぶような話ではないが、VHSの衰退によって消滅の危機にさらされていた貞子が勢いを盛り返すためには、やはり今回のようなデジタルメディア化が必要だろうとはいえる。 ただ、これは伽椰子に関しても同じだが、これまでは呪われる条件を極めて限定的にしていたことで、その条件に合致してしまえば絶対逃げられない、という過酷さが成り立ち得ていた面がある。この映画のように野放図に動画が流れてしまうと人類が滅ぶとは言わないまでも、世間の反響が大きすぎてかえって拡散が妨げられる事態に至るのではないか。細く長く続けることが大事だろうと思うが、別に続編など期待しているわけではない。 [2019/2/2追記] 伽椰子編の主人公役は玉城ティナという人だが、どうもあまり可愛く見えるところがない。少なくとも「呪怨」シリーズは出演女優を魅力的に見せるというのが特徴の一つだったはずだが、この映画がその伝統を受け継いでいるように見えないのも不満足感につながっている。貞子編の方も、主演の山本美月という人はともかく佐津川愛美さんなどひどい顔ばかりである(本人がこれでよければ構わないが)。[DVD(邦画)] 4点(2016-12-24 10:14:53)《改行有》

702.  絶叫学級 《ネタバレ》 原作は当然読んでいないが、掲載された雑誌からして中学生以下の女子向けだったと想像される。この映画は結構シビアなので対象年齢はもう少し上かと思うが、特に前半ではマンガ原作の雰囲気を出そうとしたようにも見える。 内容としては一応邦画ホラー様式に乗っているようだが、実際は延々と学校内のイジメが続く話になっている。主に問題にされていたのはイジメの首謀者になるのがどういう人間かということかも知れないが、それとは別に、誰でもいいから自分以外の誰かを貶めたがるその他一般大衆も指弾されていたように見える。理科室にいた「黄泉」(優美)という人は、相手によって向ける顔が違うところが「大魔神」(1966)のようでもあるが、この孤高の存在に比べれば、主人公もわれわれ観客もみな「有象無象の人間ども」といったところではなかったか。 ところで波瑠という人は自分が見た限りでもいろんな映画に出てきているが(最悪だったのは「山形スクリーム(2009)」)、今回は美形で心優しく繊細な雰囲気の美術教員役で、序盤の生徒に挨拶している表情など見て少し惚れてしまった。ただ登場人物としてあまりいい所がないのは残念である。 また桐谷敦子役の松本花奈は、名前だけ見れば他の出演者と同じ美少女タレントのようでいながら実はとんでもない汚れ役をやっているが、この人はもともと映像制作の志望とのことで、現在は慶應SFCに在籍しながら映画も撮っている“女子大生監督”だそうである。誰よりも可愛いかどうかなどという価値基準にとらわれていない好例である。 そのほか主人公の友人役(松岡茉優)など見ても要所にそれなりの人物を配した印象があった。[DVD(邦画)] 5点(2016-12-24 10:14:50)《改行有》

703.  海賊とよばれた男 《ネタバレ》 何の予備知識もなくほとんど偶発的に見たので、どういう映画かわからないまま最後はどうなるのかと思いながら見ていたが、エンドロールに実在の社名が出てやっと何のことかわかった。原作は長編小説とのことだが映画としてはダイジェスト感が強く、特に登場人物については観客側の自主的補完にかなり頼っている気がする。 また全体として石油元売会社の社史なのか、創業者の一代記なのかが不明瞭である。実在する会社の沿革であれば「日章丸事件」(劇中では日承丸)で意気を上げたところで切り上げてもいいはずで、その後の後日談の意味がよくわからない。原作のどこを取り上げて構成するかの問題だろうが、少なくともこの映画ではせっかくの女優陣(綾瀬はるかと黒木華)が半端な登場人物に終わっていたようで残念である。 ところで個人的に「日章丸事件」のことは知らなかったが、これは憶えておいてもいい話だという気がした。巨大資本の脅しに一歩も引かず、また映像的な誇張はあるにせよ、横暴なイギリス海軍を相手に真っ向勝負というのは非常に痛快だった(単純に気分がいいだけでなく歴史的意義もあったようだが)。昨年は日本が関わる国際的美談の映画が同時に2つ公開されて両方とも微妙な印象だったが、今回のこれは日本人の心意気を示した点が素直に心地いい。 また個人的には船の映像が多いのがよかった。手漕ぎの舟から発動機船、復員輸送艦(駆逐艦神風)、大型タンカーに英軍艦(ベイ級フリゲート?)が映り、タンカーの進水式もそれらしい感じを出していた。どこまで特殊効果かわからないが素人的には出来に文句をいう気にならず、こういった映像面での印象が映画の価値を高めていた気がする。 ちなみに主演俳優の老け顔には特に違和感がなく、これはこういう男だ、という雰囲気は出ていたように思う。 追記:社歌の背景に必ずBGMが入って邪魔していたのは確かにわけがわからない。これはサントラCDを買って聞けということか。[映画館(邦画)] 7点(2016-12-24 09:45:08)《改行有》

704.  ポッピンQ 《ネタバレ》 題名の印象が強かったので出来心で作品登録してしまったが、自分が申請したからには率先して見なければという気になって行って来た。しかしさすがにこれを自分一人で見に行くのは恥ずかしい。チケットカウンターで題名を言えない。 映画としては東映アニメーション60周年記念とのことで、昔の東映動画まで遡れば各種さまざまなアニメが制作されてきたわけだが、今回のこれはセーラームーンとかプリキュアシリーズの流れだとすれば、そういうものを見ていることがますます恥ずかしい。 物語としては、当然ながらそれほどの深刻さもなく大らかな気分で見るものになっている。別々の場所に住んでいた中学3年生の少女5人が、卒業式の直前に異世界に呼び出されて全ての世界を救うために戦う話であり、その中で卒業後の新しい人生に立ち向かう勇気をもらったというようなことかと思われる。5人が揃うまでには少し時間がかかったが、最終的に揃ってみればそれぞれイメージカラーを生かしたコスチュームと特殊能力を付与された美少女戦士なり魔法少女のチームのように見えた。 本編はそれ自体としてハッピーエンドで終わるが、エンドロール後に後日談のようなものが入っていて、高校進学後の彼女らをまた新たな展開が待ちうけていることになっていた。どうもこれはシリーズ化の予告のようで、本編中の謎もそのまま持ち越されるらしいが、さすがに自分もそういうものまでは期待していない。 こういう映画にあまり真面目に突っ込むのも気が引けるわけだが、自分として残念だったのは異世界の風景だった。事前に見ていた紫基調のイメージ画(ティザービジュアル)の感じを期待していたところ、実際はアメリカ西部のようなあっけらかんとして乾いた風景で、空に向かって高く盛り上がる家々も劇中では生かされていなかった。背景設定よりキャラクターとダンスに力が入っていたのかも知れない。 ただ自分がこういうものを見慣れてないからかも知れないが、劇中の出来事そのものはたいしたことないと思いながらも雰囲気に巻き込まれて変に感動させられてしまう場面が複数あった(例:クールビューティの失言、橋を渡って11秒88)。これは劇場で見たからということもあるだろうが、作り方として上手いところがあるのかも知れない。 なお点数はかなり甘くつけておくのでそのままには信用できない。[映画館(邦画)] 6点(2016-12-24 09:45:05)《改行有》

705.  ビッグゲーム 大統領と少年ハンター 《ネタバレ》 いきなり最初からフィンランドにこんな険しい山があるわけないと思ったら、実際の撮影地はドイツのバイエルンだそうで、このあたりでこれはもうファンタジーなのでリアリティなど問題にすべきでないという気にさせられる。 アメリカ人役で出ているのは実際にアメリカで活動している俳優らしいが、原案・脚本・監督はフィンランド人であり、この映画もあくまでフィンランド映画である。その割にはハリウッド風の(大作風の)アクション映画のように見えるが、これは今回の趣向がそうだったというだけで、実際はフィンランド映画であるからハリウッド映画と直接比較するようなものではない。ただしフィンランド映画にしては金がかかっているのではないかと思われる(英独も製作に関わっている)。 物語に関しては、基本的には異質のようでも共通点のある2人が協力して困難を切り抜けたことでともに成長する話に見えるかも知れないが、題名に基づいて解釈すれば、テロリストと少年が狩りの獲物を奪い合う映画と思うのが正しいことになる。最後は少年が勝ったことでアメリカ大統領がクマとかシカ並みの扱いにされていたわけで、あくまで主人公はフィンランドの少年である。 またアメリカ大統領をめぐる陰謀の映画のようでもあるが、それが最終的にどうなったのかよくわからず、問題を残したままで終わってしまった印象もある。しかしあくまで主人公はフィンランドの少年であるからワシントンでこれから何が起こるかはもう関係なく、少年側がめでたい状態で終わればハッピーエンドである。 そういうことで、あくまでフィンランド側に視点を置いて見れば素直に良さが感じられると思われる。要は天下のアメリカ大統領をネタに使ってフィンランド人が盛り上がる痛快映画だが、単純に可笑しい場面もあって万人が楽しめる映画になっている。 ちなみに自分はフィンランド語は話せないが聞いているのが好きなので、劇中でフィンランド人が朗々と語る場面は聞き惚れてしまう。古老の言葉を後で少年が再現する場面があったが(“Metsä on ankara tuomari…”)、ここはこの少年が格好よすぎて少し感動した。[DVD(字幕)] 6点(2016-12-17 10:51:24)《改行有》

706.  歓びを歌にのせて 《ネタバレ》 大まかに何が起こっていたのかはわかったが、しかしそれで感動したかというと何とも思わなかった。世界が認めた良作なのだろうから貶めるつもりはないが、自分としては乗れなかったということである。ここを見ると自分だけではなかったようで安心した。 個人的印象を正直に書くと、劇中の田舎があまりに閉鎖的で人間関係が面倒臭い上に住民の感情の動きにもついて行けず、何となく冷ややかな目で見ながらラストに至り、そこでまたかなり人工的な感じのする出来事にも共感できるものがなかったという経過だった。また好きになれる人物が誰もいなかったというのも自分にとっては難点だった。 以上だけでは何なのでたまたま個人的に知っていることを書いておくと、スウェーデンの作曲家で音楽評論家のヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(1867~1942)がイェムトランド地方のエステルスンド市近郊に別荘を建て、当初は夏だけ通っていたがそのうち永住してしまい、そこで周辺の合唱団の指導もしていたとのことで、この映画もそんな感じかと思って見ていた…と書こうと思ったが昔の記憶のため今となっては出典不明で確認できなくなっているが、とにかくペッテション=ベリエルの場合は自らも合唱曲を書いていたので合唱指導というのも自然な気はする。[DVD(字幕)] 5点(2016-12-17 10:51:21)《改行有》

707.  トロール・ハンター 《ネタバレ》 けっこう面白い映画だった。 まずはまともな理由の説明もなしに政府が隠蔽していると説く陰謀論的世界観がとぼけた感じである。劇中の説明によるとノルウェーではそこら中にトロール実在の証拠が散在していたようで、谷間に散らばった岩などは実際にトロールのせいだとする伝承が残っている可能性もあるが(本当は氷河のせいだろうが)、そのほか倒木とかジャコウウシとか送電線など、その辺にあるものにいちいちこじつけて語る妄想気味の態度が可笑しい。またキリスト教徒かどうかを真顔で問うのもかなり変だが、実際に隠れキリシタンがカミングアウトした途端に死んでしまい、その後にいきなり代わりが来る流れは都合よすぎで笑った。 笑いの面では送電担当者の「美しい景色」が頂点だったが、ただし全編笑い通しだったわけでもなく、特に前半などはかったるいところもないではない。しかしそれを現地の秋の景観が十分に補っており、地元民にとっては珍しくもないのだろうが、外国人としてはやはりフィヨルドやU字谷のスケールの大きさに目を引かれてしまう。特に巨大な岩山を滝が滑り落ちる豪快さをカメラが捉えていたのは印象的だった。 ただし地方色豊かな映画のため、外国人にはわかりにくいところもあるのは残念である。 まず劇中でトロールの生息地とされていた「ドヴレ」は、ノルウェー国内のオップラン県に実在するDovreという場所を想定していたようだが、トロールとの関連でいえば「ペール・ギュント」にも出る魔の山のことになるだろうから、これは架空の場所を実在の地名にこじつけたと取ればいいのか? ちょっとよくわからないが、とりあえずエンディングの最後に流れた劇音楽「ペール・ギュント」の「山の魔王の宮殿にて」(I Dovregubbens hall / In the Hall of the Mountain King)は、この架空のドヴレに関わる曲であり、終幕に際してユーモラスな印象を残していた。 もう一つ、ラストで出た首相の話は、ノルウェー人であれば実在の「トロール油田」に関するものであることが何となくわかり、うまく編集したな、と思うのだろうが、知らなければ単に話のわかる首相が特別出演したのかと思うところである。 そもそもトロール自体に馴染みのない人間も世界には多いわけだが(自分としてはムーミントロールしか知らない)、それでも一応は制作意図に乗って楽しめる映画になっていた。[DVD(字幕)] 7点(2016-12-17 10:51:18)《改行有》

708.  レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー 《ネタバレ》 基本的に説明不足な映画だが、ほか各種差別感情がまる出しのために無用なところで反発を生む恐れもある。とりあえず自分としてはこの映画で対アイスランド感情が悪化した。 特に欧米人によって戯画化された日本人像をそのままネタにしているのが気に障り、自虐趣味の日本人なら薄ら笑いで済ませるだろうと思われたようなのが腹立たしい。かつて喜々としてキーセン観光に行っていた世代などは放っておくとしても、カミカゼアタックなど現代日本人が普通に口にする言葉ではなく、「トラトラトラ」は神風特別攻撃隊と場面が全く違うので一緒にするなと言いたくなる。また日本人は割箸?を凶器に使わない。 それはそれとして映画の基本構造としては、アイスランド人をあえて悪役にして、クジラを愛する人々(主にイギリス人?)を大殺戮して溜飲を下げる形だったと思われる。正義の味方に見えた沿岸警備隊もさりげなく殺戮側に加担しており、かつてイギリスとの間で「タラ戦争」を戦った連中の後継者であることを自ら示していた。救命ボートで逃げた2人も大型の海生哺乳類に追い打ちされ(シャチのようなものも向こうではクジラ扱いということでいいか)、最後に1人だけ残ったのはせめてものお情けか、あるいはこの惨劇を後世に語り継ぐべき証人ということか。 以上だけならわかりやすかっただろうが、そこに日本人を絡めたために素直に見られなくなっており、何かダシに使われただけではないかという印象もある。また外人の若手女優が2人出ていたのも区別しにくいだけで意味不明になっている。ちなみにこのフィンランド人女優の裸を見たのは2回目だが、だから何だというわけでもない。 かろうじて自分として喜ばしく思ったのは、外人男に比べて極端に小柄で幼く見えながらも対日ヘイトを受け流して賢く他者を出し抜いた日本人が、最後に一人だけかわいい顔で笑っていたことだった。「何やってんのよバカ」という台詞が心地いい。[DVD(字幕)] 4点(2016-12-17 10:51:16)《改行有》

709.  エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略 《ネタバレ》 1940/4/9にデンマークがドイツ軍に占領された時の話である。ドイツ側は装甲車や軽戦車で侵攻し、デンマーク側は自転車部隊やバイク部隊が応戦して兵も死亡しているので戦争映画だろうが、しかしどこまで戦争する気があるのかわからないのが特徴である。 前半でこそ開戦前の緊迫感や最前線の恐怖感があるが、そのすぐ後に20年前の話を持ち出す住民が出たのはかなり拍子抜けで、その後も一般国民に危機感というものが感じられず、国防の任にあたる者としては梯子を外された形になってしまう。それでも主人公は任務を忠実に果たそうとしたが残念な結果に終わってしまい、正直者が馬鹿を見た(死んだ人間は単純に損した)という印象が残る。 最後のインタビューは別々の述懐を並べたものだが一応の流れはできていたようで、様々な思いが交錯しながらも、結局は歴史的事実を受け入れるしかないという諦観があるようにも見えた。 その一方では国民国家の軍隊など無意味と主張しているかのようでもあり、日本国内でいうと例えば「無防備都市宣言」運動の推進者を元気づけそうな映画になっている。しかし無抵抗が有利になるのは相手が誰でも同じではなく、例えば基礎的な文化を共有しているとか、また特に占領側の倫理水準が低くないことが条件になるのではないか。加えてこの映画の場合、デンマーク人はドイツ人と同じくゲルマン系であり、小国ということ以外にドイツ側が見下す理由もなかったはずで、最初から一定の寛容さも期待できたのだろう。条件の違う他国がこの映画から学ぶことなどどの程度あるかという気はする。 またデンマーク王国は今でも徴兵制を維持しているとのことで、その本来の意図としては、他国の侵略に対して国民挙げて抵抗するという意思表示が含まれていたはずである。今になれば隣国(ドイツ・スウェーデン)が攻めてくるとは誰も考えていないにしても、戦後以来のNATOへの参加や近年の平和維持活動を通じて、実力保持が重要との意識は根付いていると想像されるので、やみくもに軍隊不要などと言っているのではないだろうと思うが。 結局何を受け取ればいいのか困る映画ではあるが、とりあえず世の中こういうこともあると思わせる内容にはなっており、邦題に騙されさえしなければ見ごたえのある映画かと思われる。なお少年が撃たれる場面をうちの老母が見れば、「こんなところに子どもを連れて来る親が悪い」と切り捨てることは間違いない。[DVD(字幕)] 7点(2016-12-09 00:15:58)《改行有》

710.  太秦ライムライト 《ネタバレ》 京都・太秦といえば個人的には大映の「大魔神」三部作(1966)だが、この映画は東映である。劇中で大御所役の松方弘樹氏も、大魔神と同時期の東映特撮時代劇「怪竜大決戦」(1966)に出ていたが、これは映画自体がそれほど知られていない。 この映画では冒頭から現代的な映像で斬新な印象を出しており、また特にラストが非常にすっきりした形で終わったのは感動的で、続くエンディングの曲も騒がしくなく素直な余韻を残していた。主人公は非常に謙虚な人物に見えたが、その場になれば大御所でも挑発してみせたりして、大御所の方もまたそれなりの顔で応じていたのはベタなようだが盛り上がるのは間違いない。 全体としては福本清三氏の時代劇への貢献を顕彰し、いわば記録保存する映画のように思われる。終盤、川島Pが突然変節したように見えたのは悪い意味で意外だったが、序盤でもこの人物は「人気のダンスグループ」の男の扮装を見て表情を曇らせた場面があったりしたので、別に時代劇を破壊するつもりだったのではなく、この人物なりに若者向け時代劇を再構築しようとしていたと思われる。この映画の監督は、年齢(と経歴)からすれば劇中の若手監督に相当するだろうが、実は劇中プロデューサーと同じ立場で先人に敬意を表する映画を作ったのかも知れない。 また本編の英語字幕が完備していて「北米劇場予告編」というのがあったりするので、時代劇というものを国内限定の文化遺産にせず、いわば人類全体で共有できる文化的価値として知らしめる意図があったとも思われる。実際この映画の監督が、このあと海外向けに「NINJA THE MONSTER」(2015)といった映画を作っているのは実践例かも知れない(が、中身を見ると少し心許ない気がしなくもない)。 ちなみに自分としては松方弘樹氏が、戦国時代を舞台にしたアイドル映画「ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-」(2011、有村架純初主演)で織田信長役をやっていたのを見たことがあるが、これも前記の特撮時代劇と同じように、基本のところがしっかりしていてこそのバリエーションということだろう。その時代劇の基本部分(歴史的事実の尊重を含む)をどのように維持していくかも重要ではないかと思われる。 なお余談として、主人公の妻役で出ていた海老瀬はなという女優は京都の出身で、これより前の松竹映画「京都太秦物語」(2010)には主演で出ていたが、その相手役が著名ダンスグループのメンバーだったことが映画の価値を落としていた。また軽薄なアイドル女優役で出ていた中村静香という人も、京言葉を話す場面はなかったが実は京都出身であり、特に意味のないキャスティングのようでも一定の意図があったのかも知れない。[DVD(邦画)] 7点(2016-11-24 22:22:33)《改行有》

711.  劇場版 獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 戦隊シリーズの第37作目とのことである。TVは当然見ていないが、なぜか女子が1人しかいない戦隊だったようで寂しい。この劇場版では女子力不足を補うためか、ゲストの若手女子としてスーパーアイドル1人(後述)と悪役2人が加えられており、うち悪役2人は型どおりカワイイ担当とセクシー担当(または「胸」担当と「脚」担当)という分担があったようである。 時間的には28分しかない映画で、それは戦隊モノの劇場版に共通だろうが今回は特に詰め込み過ぎのようで、展開も早いため部外者には何が何だかわからない。アクションと特撮に時間を取ったからかレギュラーメンバーの個性が出る場面が少なく、またせっかくの悪役女子も結構強かったようだが出番が少ないのでそれほど印象に残らなかった。また今回は副題で示唆されたようにミュージカル映画という趣向だそうだが、それにしては単に歌とダンスが入っていなくもないというだけで、どこがミュージカルだったのかという素朴な疑問が最後に残る。全体として、これの直前に見た「手裏剣戦隊ニンニンジャー」と比較すると、TVを見ていない人間が劇場版だけ見て楽しめる要素は少なかった気がする。 個人的に今回最大の見所だったのは、劇場版ゲストとしてのスーパーアイドルの登場である。冒頭のコンサートの場面では、これだけ多くの観客がいる中で撮影というのはどういうシチュエーションかと思ったが、これはこの映画のためだけに600人を集めたとのことで、観客が劇中の出来事に対応していちいち盛り上がるのが可笑しい。ストーリー的にも歌が重要な役割を果たしており、終盤でスーパーアイドルの歌が世界を救うのは少し(わずかながら)感動的だった。歌唱力の面ではちょっとどうかと思ったが、それはそれとして中村静香という人は可愛い(というかこの人が出ているのでこの映画を見たわけだが)ので、できればもっとかわいく見せてもらいたかった。[DVD(邦画)] 4点(2016-11-24 22:22:31)《改行有》

712.  新スパイガール大作戦 惑星グリーゼの反乱 《ネタバレ》 公式サイトによると、2011年4月に撮影の予定だったが震災の影響で6月に延期され、公開はさらに遅れて翌2012年の夏になったとのことである。「新スパイガール大作戦」のシリーズはこの映画で6作目とのことで前回からの出演者もおり、うち神楽坂恵という人は前作(2008年)の公式サイトでは「グラビアアイドルから女優転換を目指す」と紹介されていたが、前作からここまでの間に転換が実現したらしく、この映画では少し大物の役になっている。 ところで題名の惑星「グリーゼ」は、現地語で何か意味があるのかも知れないが、地球人にとっては地球の著名な天文学者ヴィルヘルム・グリーゼ(1915~1993)の名前の印象が強い。この学者は太陽系に近い恒星のリスト(グリーゼ近傍恒星カタログ)を作成した人で、「グリーゼ581」といった恒星の呼び名に頻繁に使われるので、個別の惑星の名前に使うということは本来考えられない。しかし日本国内では以前に「電磁波怪人 メシエ星雲人」(帰ってきたウルトラマン、1972年)のようなネーミング例もあり、この程度の非常識さは容認されていると考えられる。 劇中の惑星は地球から約20光年離れているとのことで、この惑星が属する星系の主星にもグリーゼのカタログ番号が付いている可能性がある(例:前記のグリーゼ581は約20光年、周囲に「グリーゼ581c」など複数の惑星が発見されている)。映画全体としては荒唐無稽な話だが、微妙に現代科学の知見を取り入れた内容のように見えなくもない。 また劇中ではなぜか2011年3月10日という日付が特定されているが、これがどういう意味なのかは結局最後までわからなかった。現実世界でこの日付の直後に起こった世界最大級の原発事故と、この映画に出る宇宙人が血液を欲していたことを考え合わせると、昭和特撮ファンとしては「ウルトラセブン」(1967~1968)の第11話と13話の間に放映された回(※現在欠番)との関係性を想定してしまう。しかし本当にそういう意図のもとで映画を作ると非常に不謹慎な内容になっただろうと想像されるので、この完成品のように多少気の抜けた内容でも制作中止になるよりはましだったと思われる。ちなみに題名の「反乱」の意味も不明だった。 ほか全体的には宇宙人の侵略物になっているが、超低予算らしくほとんど一つの建物内だけで撮影されたようである。笑えるところもなくはないが75分という時間に対しての密度は低く、またなぜか端役の一人ひとりに焦点を当てる場面が用意されていたりして冗長になっている。スパイガール3人は一応キャラ立ちしているが、個人的には「清純派グラビアアイドル」(映画公式サイトでの紹介)の中村静香という人がかわいいのを見ていれば満足であり、バストの大きさを強調しないのは抑制が利いていて好感が持たれる。 もしこれを見ようとする人がいれば(いないだろうが)、それぞれ何とか自分なりの楽しみ方を探すようお勧めしたい。こんな中身のない映画をネタにして長文を書く自分はえらい。[DVD(邦画)] 2点(2016-11-24 22:22:28)《改行有》

713.  THE MASKED GIRL 女子高生は改造人間 《ネタバレ》 45分という中途半端な長さだが、同じく女優のアクション映画「ハード・リベンジ、ミリー」(水野美紀主演、44分)と同時公開だったとのことで、2本合わせてそれなりのサイズということらしい。 中身に関しては、まずいたいけな少女を人体改造するという発想自体が気に入らない。君に×××の力を与えた、今日から君は○○○だ、と口で言えば済むものを、あえて物理的改造(手術台のようなもので白衣を着た者がする)にこだわる必要などあったのか。そういうものが好まれた時期だったのかも知れないが、史上最初の仮面ライダーの時点で、改造された人間の悲哀がにじんでいたことを知っている世代としては全く容認できない。 また変身ヒーロー物として見た場合、ラストで悪が滅ぶわけでもなく、当面の謎を残したまま次の戦いを待つ形で終わるので、要はTVシリーズの第1回に相当する内容しかないことになる。もしかするとシリーズ化を目論んでいたのかも知れないが、本物のTVシリーズなら30分番組の枠に収めるはずのものを45分もかけてやった形であるから密度は低く、これで次回に期待しようという気も起こらない。 一方アクションという点では、主要人物の女子高生役2人がけっこうハードに頑張っていたようで少し感心した。この2人は当時「美少女クラブ31」なるものに所属していてアクション志向などでは全くないだろうから、少し指導を受けただけで一応のアクションをこなすというのは基礎的な運動能力が高いのだろうと思われる。ダンスをやっているとこういう動きも無理なくできるのかと思ったりもした。 またこの女子高生役2人が期待どおりの美少女なのは大変よいことである。基本的には中村静香という人が出ているので見たわけだが、今回は主演の清水由紀という人も好印象で、劇中の事態に対する女子高生としてのリアクションが(リアルかどうかは別として)非常に可愛らしい。メイキングでは監督が、「変身ヒーロー物の作品」として作ったが、できてみると「これはアイドル映画なんだ」と思ったとのことで、それはまことに同感である。 なお変身ヒロインの名前はTHE MASKED GIRLなので仮面ガールだろうが、主人公がせっかく二輪車を愛用しているわけなので“ライダー”という言葉を使えなかったという気はする。具体的にどうすればいいかは思いつかないが。[DVD(邦画)] 2点(2016-11-24 22:22:24)《改行有》

714.  映画 鈴木先生 《ネタバレ》 原作とTV版は知らない。この映画だけ見て思ったことをとりあえず書いておく。 まず世の中グレーゾーンがないと困ることはあるだろうが、グレーとダーク(ブラック)の境界だけははっきりさせる必要がある(普通は法律などで決まっている)。個人的感覚でいえば、劇中の引きこもり男が公園で喫煙していたあたりはいいとして、生徒に危害を加えようとした時点でこの男に共感しようとする気が完全に失われた。この男の言っていた“真面目な人間が損をする”というのも単なる屁理屈で、現実には真面目かどうかより主体性のない愚かな人間が不利だというだけのことである。愚かなこと自体は罪ではないが、愚かなことを理由にして罪が許されるわけではなく、どういう事情があろうがやってしまったら終わりである。最後に教員が声をかけた場面は、紙一重の差を分けてしまったことを強く印象づけるものになっていた。 ちなみに教員の性的な妄想もグレーゾーンの範疇だろうが、この男が一線を超えることは決してないはずだ。 また選挙に関していえば、そもそも民主主義などグレーゾーンだらけであり、誰がどういう意図で投票したかなどわかったものではない。劇中で言われていたように候補者を真に支持する票と看做すほかないわけで、当選者には有権者の負託に誠実に応えようとする義務が課せられる(有権者にも結果責任が課せられる)。その点で、劇中の当選者は単なる「不満分子」ではなかったようで、新会長としての最初の提案は結構泣かせるものがあった。 ところで自分は学校教員をやったことはないが、劇中の教員が「世界を変える」と言っていたのは共感できることで、終盤で女子生徒に声をかけられた場面はかなり感動的だった。たとえわずかずつでも、自分の行動が世界を変えていくことにつながると考えなければ教員などやっていられないだろうし、またそれは教職に限らず社会に生きる人間全てに通じることではないかと思われる。こういう映画が作られているのを見ると、本当に世界は少しずついい方向へ変わっているのかも知れないと期待を寄せたくなる。 なお演劇は人が生きるための役に立つ、という主張は別のところでも見た気がするが、これに関する劇中の教員の語り口も悪くなかった。またキャストとしては、土屋太鳳以外にも未来穂香、小野花梨といった人々がそれぞれ所を得ていた感じだったが、個人的には三浦透子という人の雰囲気が好きなので、もう少し前面に出てもらうともっとよかった。[DVD(邦画)] 8点(2016-11-15 20:52:48)《改行有》

715.  学校 《ネタバレ》 かなり昔の映画のように見えるが、劇中の事物(金のうんこなど)や登場人物の発言によると、劇中年代としても製作時期と同じ頃だったようである。 自分としての感想を正直に書くと、映画のかなりの部分は生徒の個人的事情を描写しているだけで、かつそれ自体に心を打つものは特にない。また後半では泣きを誘うためか、田舎~不運~貧乏~愚か~善人といった定型パターンを持ち出してきたようで鼻白むものがある。終盤に至ってまとめにかかるが、個別事情の一般化とか話題の飛躍で物語の流れを無理に導くのが気に障り、結果として出た教育論らしきものも素直に受け取れない。創作物でしか実現できない理想状態を描写しようとしたとすれば文句をいう筋合いではないが、そのまま乗れない人間も当然いるということである。 ラストでは、これだけ雪が降ると東京の人なら転倒して怪我をするのではないか、ということの方が心配だった(タイル張りなどの上を歩く場合は要注意)。 個別の場面としては、クライマックスで出た“しあわせって何?”の論議が聞きどころだった。ここではまず焼肉屋店主の発言に非常に説得力があり、これは民族性などと無関係に人生の真理を語っていた気がする。その後、萩原聖人がかなり高純度にまとめた台詞を言ったので、これで結論が出たも同然と思ったわけだが、なぜか言った本人がこれでわかったとは認めない。その上で中江有里が、この発言をどう処理すれば教員が満足するか知っている優等生のような発言で教育の意義ということに繋いだので、そこで話が逸らされたように感じたのは不満だった。ただこの場面での裕木奈江の語りは、この映画のような学校の根源的な効用の一つを語っていた気はしなくもない。 ちなみに個人的な思い出話として、この映画と同じ頃に勤め先で大規模なコンピュータシステムの導入があり、それまで手書き伝票しか扱ったことのない庶務担当の人々(主に年長の女性)への講習を担当したことがあるが、そのうちの何人かがその後に定年を迎えた際に、在職中に電子機器を使えるようになって感謝している、というようなことをわざわざ言われて恐縮したことがある。この映画でそれを思い出し、学ぶことの意味を少し意識したのは間違いない。[DVD(邦画)] 5点(2016-11-15 20:52:45)《改行有》

716.  人狼ゲーム プリズン・ブレイク 《ネタバレ》 シリーズ4作目である。新作が出るたびに見る義理などないわけだが、今回は贔屓の若手女優が出ているからという理由が一応ついている。4作目にして初めて計画的な脱出を試みたのが特徴点だろうが、死角があるとか道具が備えられているとかは都合が良すぎる。 今回の主人公は最初から綺麗事(贖罪意識を含む)にとらわれがちで、自分としては第1作の桜庭ななみ嬢の再来かと思ったが、終盤に至ってもまだ情緒的な発言が多く、どこまでも現実を受け入れられない愚かな人物にも見えた。またラストでは、本物の愛で結ばれた2人だけが助かった、ということならかなりありきたりな展開で、かつ不自然である。 しかし好意的に見るなら主人公の行動も、状況に流されて悔恨を残すことは二度としたくない、という強い思いがあったからと取れる。またそのような純粋な思いに幼馴染が同調したからこそ、最後まで信頼関係を維持できたというならわからない話でもない。今回の主人公は単に生き延びただけでなく、最後まで屈することなく自らの意思を貫き、その上で本当に脱出してみせたというのが題名の意味と思われる。さらにそれが犯罪の摘発にまでつながるとすれば、単なる脱出ではなく文字通りのbreakということになるのかも知れない。そういう点でシリーズ全体の行方に関わる内容だったようでもあるが、次回もまたこれまでの繰り返しになる可能性はなくもない。 ところで余談として、エンドクレジットを見ているとゲームの参加者12人を役職別に並べていき、11人まで出したところで回想場面の子役2人が挟まって、最後を「ヒステリック女」役の山谷花純さんで締めていたが、ほとんど同年代の出演者の中でこの人だけを大御所のように扱うのが珍しい。実際この中では役者のキャリアが長い方かも知れないが、それよりこの人が最近の戦隊ヒロイン(手裏剣戦隊ニンニンジャー)、主役(小島梨里杏)はその前任者だったということで、この2人を並び立たせる扱いにしていたのかも知れない。 また眼鏡少女(岡本夏美)は、お笑いホラー「カルト」(2013)で悪霊に憑かれたかわいそうな少女役をやっていた人だが、今回も結局かわいそうな役で終わってしまった。劇中人物としては飛び抜けて理知的で、これからしっかり勉強してそれなりの人物(裁判官とか?)になりそうだったが残念なことである(悪いのは誘拐犯だ)。ほかの悲惨な死に方をした皆さんもご苦労様でした。[DVD(邦画)] 5点(2016-11-10 20:34:31)《改行有》

717.  帰ってきた手裏剣戦隊ニンニンジャー ニンニンガールズvsボーイズ FINAL WARS<OV> 《ネタバレ》 TVシリーズ終了後の特別編Vシネマとのことで、劇場公開の場合の時間的制約がないということなのか、サイズ的に55分もあって内容が充実している。序盤のニンニンガールズの大活躍がいきなり爽快で、なぜか突然アニメ化する場面もあったが個人的には実写の方がかわいく見えた。 今回はゲストが豪華なようで、中山忍という人は戦隊ヒーローの母親役にはさすがに若すぎる気がしなくもないが、もしかすると名前でキャスティングされたということか。またミドニンジャーの人は戦隊ヒロインとしては明らかに違和感があって笑いを誘うが、本編を見ていた人々にとっては声優の顔出し出演ということになるらしい。もう一人、敵方のおふくろさん役の声優も顔見せしていたようである。 今回も当然ながら視聴者を楽しませようという意図が前面に出ていたようだが、物語に込められた一応のメッセージとしては、夢は誰のものでもなく自分のものだからその気で頑張れ、ということらしく、そういうことなら番組終了後(いわば卒業後)の後日談にふさわしい。かすみ姉(個人的にファン)には自分としても研究者の道でがんばってもらいたいが、今回は可愛いアイドル姿を見せてもらって大変よかった。 ラストで「冠婚葬祭の時」にまた集まるようなことを言っていたのは現代日本の生活感が出ているが、シリーズはこれで本当に終わりということらしい。エンディングでの御礼と年少の視聴者への励ましを見ていると、自分は対象外だと思いながらも嬉しくなる。[DVD(邦画)] 6点(2016-11-10 20:34:28)《改行有》

718.  手裏剣戦隊ニンニンジャー THE MOVIE 恐竜殿さまアッパレ忍法帖! 《ネタバレ》 戦隊シリーズの第39作目とのことである。TVは当然見ていないが「忍ばない」というコンセプトは面白い。 映画といっても26分しかないのでTV放送の一回分と変わらないが、本物の城で撮影したという点が劇場版としての特別さかも知れない。公開時期にあわせた夏休みの宿題というのが今回の趣向で、ストーリーは極めて荒唐無稽だが嫌いでない。展開が早いので退屈せず、また毎度のことだろうがラストのダンスはノリがいいので嬉しくなる。とにかく観客を楽しませようという意図が前面に出ていたようだが、物語に込められた一応のメッセージとしては、“やりたいこと”と“やるべきこと”を一致させるのが大事ということだろう。多分。 ちなみにモモニンジャー/百地霞(ももちかすみ)役の山谷花純(やまやかすみ)という人は、他の出演作でも“かすみ”という役名で出ていることがあるが(「白魔女学園」白鳥かすみ、「劇場版 零~ゼロ~」野原カスミ)、これは事務所の意向か何かでこうなっているのか。[DVD(邦画)] 5点(2016-11-10 20:34:26)《改行有》

719.  太陽の坐る場所 《ネタバレ》 何が言いたいのかわからない。基礎的な情報量が不足の上に、ラストで集中的に語られる台詞も意味不明ではどうしようもないわけだが、しかしわからないなりに少し考えると、とりあえず人間のプライドの持ち方が問題になっているような気がした。 まず響子と今日子はとりわけプライドが高く(悪い意味でなく)、特に響子は自分のことは自ら決めるという断固たる意志を持っている。これは例えば武士が名誉のために自決する覚悟のようなものかと思ったが、ただし劇中人物(大人の方)はそれほど毅然として見えないのには疑問が残る。またその響子を最も認めていたのが実は今日子だったらしく、高校時代の響子との出会いがその後の人生を変えたようにも取れる。 この二人に対し、由希はプライドというより表面的な虚栄心だけで、地方コンプレックスの強さも人一倍なのが痛々しい。この人物が最も性悪な(最も普通の?)女になっており、最後だけは弱音を吐いたようでもあったが特に共感できるわけでもなかった。一方で島津はプライドとは全く無縁な男のようだったが、栄転というのが本当であればプライドなどと関係なく社会には認められるということだろうから、今後はもう変な女に執着せず前向きに生きてもらいたい。 映画を見た限りでは以上のような感想だったが、映画がよくわからない場合の通例として一応原作を読むと、プライドの持ち方がどうというより人生全体に関わる重要テーマがあったらしく、それはこの映画でも表現されていなくもないようだが、ただ自分としてはよくわからなかったということである。原作では映画と違うラストの作り方が素直に感動的で、また映画で省略されたエピソードには泣かせるものがあった。 原作との違いでいえば、響子が今の仕事を始めた経緯や、現在の社会的地位がどうなのかについては映画でも示してもらいたかった。映画ではこの人が“田舎でくすぶっている”ようにしか見えず、一方でキー局からの引抜きの話など出したため、地方人の劣等感を払拭する方向に話が行っていない。これでは山梨県の各界を挙げて支援する意義も薄れているのではないかという気がした。 なお映画に出た天文現象としての日食とÉquinoxe、特に後者は理詰めで考えようとするとかえって混乱の元である。 ちなみに余談として、女優になるような人はもともと自意識が強いだろうから、この映画の出演者も昔はこういうことを普通にやっていたのではと思ったりもした。[DVD(邦画)] 4点(2016-11-10 20:34:23)《改行有》

720.  燐寸少女 マッチショウジョ 《ネタバレ》 マンガの映画化である。主人公の衣装やメイクを見るととてもまともな映画には思えないが、外見をマンガに似せただけで話の中身は真面目である。マンガ原作のため全体的には軽いお話で、途中までは普通にダークファンタジー調だが最後に泣かされてしまうのが意外な展開だった。 映画では原作の第1巻から複数エピソードを選んで構成しており、最初に全エピソードが始まって同時並行で進むのかと思っていたら途中で先に2つが終結してしまう。その後の展開に???と思って見ていると、最後に事情がわかって泣ける話になっている。???の部分はシチュエーション自体に変な印象もあるが、一点だけ明らかな疑問が生じる箇所があり、それがヒントになって最後の種明かしにつながっていた。ちなみに「5年」の辻褄は合っている。 小道具の「妄想燐寸」に関しては、病室の老人が説明書きの意味を自ら理解して使ったのはさすが年長者だが、大学生は目的がはっきりしているが視野が狭く、高校生は単なる馬鹿、といった形で年齢差がついていたのは少し面白い。「妄想」と「願望」の違いは解釈が難しいが、妄想は定義からして破綻が見えており、あまり大がかりなものにしないのが無難ということか。年長者だと寿命1年間は切実に思えるだろうから、その点でも病室の老人の使い方は有効だったと思われる。 キャスト面では、一応は佐藤すみれ(AKB48→SKE48)主演のアイドル映画になっている。ただ主演といっても狂言回し的な位置づけであり、実際は各エピソードに出る役者が頑張っている。 DVDの売り方を見ると、看板アイドルのほか各エピソードに出る男の出演者で女性の観客を引こうとした節もあるが、それぞれに対応するヒロイン役もいるわけで(上野優華、唯月ふうか+森迫永依、美山加恋)、これを目的にして見る男がいても変ではない(自分もそうだ)。 なお若手に比べると病院の老夫婦はさすがの重厚感がある。丘みつ子という人は久しぶりに見た気がする。[DVD(邦画)] 5点(2016-11-04 20:32:20)《改行有》

0110.88%
1272.16%
2614.88%
3987.83%
418214.55%
532826.22%
628722.94%
717814.23%
8614.88%
9171.36%
1010.08%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS