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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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701.  ホラーの天使 《ネタバレ》 「葵わかな初主演映画」とのことで、朝ドラヒロインの初主演映画としては自慢にもならない感じだが、まあ若いうちはいろいろあるということか。また「くちびるに歌を」(2014)で主人公(本来の)だった恒松祐里、「先輩と彼女」(2015)で印象に残る水谷果穂といった人々が出ており、ほかにアイドル役で現役アイドルも2人出ているが、アイドル映画というより普通に若手女優の出る映画という感じである(男は無視)。 内容としては一般的なフェイクドキュメンタリーで、ほとんど全面的にPOVを取り入れている。映画撮影・漫才・アイドル合宿の3グループの話を並行させておいて最後に統合してみせる形になっており、終盤で一気にネタばらししているところもあるが、序盤でも真相を示唆するものが一部出ていたようなので、そういうものを探しながら謎解きの気分で見る趣向と思われる。 監督としてはとにかく怖い映画を作ろうとしたとのことだったが、純粋に怖い映画というより不快な映画という印象が強い。特に女子のやることが非常に気に障るので精神的に負荷がかかり、その上に突然バケモノが出てギャーギャー騒いで血が飛散するようなのを見せられてはやかまし過ぎて閉口する。前記の取っつきやすい謎解きを含め、主に若年者を面白がらせるホラーとしてはよくできているのだろうとは思ったが、ある程度年を取った立場としては付き合いきれないところもある。これがこの監督の作風と思えばいいのかも知れないが。 なお少しよかったのは人物造形で、特にアイドルの「ミク」はこの人物の本質的なところがよく出ていると思ったが、だからといって好きになれるキャラクターというわけでは全くない。題名の意味は結局わからなかったが、これはもしかすると出演者の誰かをそれぞれの好みで天使認定すればいいのだということか。主要人物として男も出てはいるが、若手女子しか印象に残らないのは間違いない。[DVD(邦画)] 5点(2018-01-06 10:59:08)《改行有》

702.  ひかりをあててしぼる 《ネタバレ》 2006年に渋谷で起こった殺人事件を題材にした映画とのことである。なぜかアメリカのホラー映画賞(最優秀作品賞と最優秀主演女優賞)をとったそうだが、普通一般のホラーとして見れば怖くも何ともないのでそういう見方はしない方がいい。 内容的には自分が見る限り、大変申し訳ないが何が言いたいのかわからない。実際の事件に合わせた展開に見えるが事件自体の映画化ではないらしい。また仮に普通の夫婦でも起こりうることを表現しようとしたのなら、まずは夫婦の相対関係の変化を地道に積み上げる形にしてもらいたかったところだが、特に序盤は実際の事件に合わせたエピソードが取ってつけたようで説得力に欠けている。第三者的に見る限りは何も感じ取れない話だったので、あとは個々の観客が、それぞれの事情に照らして見るべきところがあると思うかどうかの問題だと思われる。 出演者に関しては、夫役はこの役者としては普通の役どころに見えて特に驚きもなかったが、妻役の女優はこの人自体が見どころと思わずには済まない存在感を出している。この女優は近年では「渇き。」(2014)でも結構ハードな役をやっていたので、今回のこれもそういう流れの延長上と捉えるべきか。 観客側の立場としては、女優を見るからには主に表情とか声色とかを気にしているわけだが、しかし本人としては“身体の筋が見えるような(力のこもった?)動きが妻の怖さを表現している”というようなことが重要だったらしい。自分としても酒瓶を全力で振り下ろすのは思い切った感じでよかったと思うが、その後に細く長い手足で力技というのも強烈だったかも知れない。ボディラインが見える場面が多いので本当に細身の人だというのが印象づけられる(昔からそうだったが)。[DVD(邦画)] 5点(2017-12-27 19:52:34)《改行有》

703.  アイアン・メイデン 血の伯爵夫人バートリ 《ネタバレ》 冒頭でEurimages(ユーリマージュ、「欧州評議会」の文化支援基金)とスロバキア共和国文化省・チェコ共和国文化省の名前がクレジットされる。物語の主な舞台であるチェイテ城は現在のスロバキアにあるので、スロバキアにとってはご当地映画的な扱いなのかも知れないが、主人公を含めた登場人物の多くはハンガリー人であるから郷土の偉人のような位置づけではないと思われる。チェコは何の義理があったのかわからない。 主人公のバートリ・エルジェーベト(1560~1614)は題名のとおり「血の伯爵夫人」と呼ばれており、今日では残虐な常習的殺人者として知られている。しかしこの映画はその固定観念をひっくり返すことを目的としていたようで、これまで主人公の悪業とされてきたことを取り上げて、誤解だとか曲解だとかそれなりの事情があったとかいう形で丁寧に言い訳している印象だった。まあ高位の貴族なので臣下や領民の全員を人道的に扱っていたわけでもないだろうが、少なくとも大量殺人をする人物ではないものとして表現されている。 物語としては、残虐行為抜きだと普通にヨーロッパ貴族の没落の話になるのでそれほどの面白味はなく、また時間が長い割にダイジェスト感があったりもして娯楽性が弱い気がする。加えて珍妙な発明をする人物がいたりするのは意味不明で、必然性のないものを無理に入れ込んだようで目障りだった。しかし個人的には最初のところで本物のチェイテ城を映した後に、時代を遡って過去の全体像が復元されていく映像を出していたのは好きだ。こういうのを見ると観光誘客の効果はあるかも知れないとは思う。また死体が運ばれて行った後に黒ネコがニャンと言いながら全速力で道を横切った、というような芸の細かさはある。 ところでこの主人公は流血を伴う残虐行為で知られたせいで、後世の吸血鬼カーミラ(1872年の小説「カーミラ」より)のモデルということになっている。主人公に痣があったのは史実というよりカーミラのほくろに似せたものと思われる。 同様に近代の吸血鬼イメージの元になったとされる人物としては、現在のルーマニアにいたワラキア公ヴラド3世(1431~1476)が吸血鬼ドラキュラ(1897年の小説「ドラキュラ」より)のモデルとして知られている。この人物も残虐行為が多かったとされており、実際に串刺し刑を多用したからこそ「串刺し公」と呼ばれたわけだが、それにしても対立勢力によるネガティブキャンペーンのせいで、殊更に極悪なイメージが後世に伝えられたという説もある。現在のルーマニアでは、オスマン帝国の侵攻に果敢に抵抗した英雄として肯定的評価がなされるようになっていると思うが、これに倣って?この映画でも、悪名高い「血の伯爵夫人」の名誉回復を試みる意図があったのかも知れない。 ただ残虐行為がなかったことにしてしまうと単に陰謀で破滅した未亡人ということになり、この人物に注目する理由自体がなくなってしまう気がするわけだが、しかしそういうこととは別に、事実を尊重する気のない集団が悪意をもって情報操作した場合に、それが歴史として定着してしまうことの恐ろしさを訴えたとすれば、日本人にとっても現代的な意義のある映画といえる。[DVD(字幕)] 5点(2017-12-14 22:58:13)《改行有》

704.  バンパイア・ラヴァーズ 《ネタバレ》 題名の印象は全く違うが、1872年にアイルランド人作家が英語で書いた小説「カーミラ」(吸血鬼カーミラ)の映画化である。最初に出た古城の映像(絵)がいかにも安手で、続いて男が殺されたあたりで型どおりの定番ホラーかと落胆したが、その後は意外に原作に忠実にできている。舞台は一応原作通りオーストリアのスティリア(シュタイアーマルク)に設定されており、年代としては最初の古城が18世紀末、続く本体エピソードが19世紀前半ということになる。 全体構成としては、原作では登場人物の体験談だったものを映画では独立のエピソードとして起こし、時系列順に並べて見どころを作りながら盛り上げていく形になっている。終盤では、関係者が揃って古城に乗り込んでいくところでもう大丈夫、という安心感を生じさせず、屋敷での出来事を別に作って並行させることでスリリングな印象を出していた。ほかオッパイとか全裸の映像が無造作に出るがそれほど刺激的でもなく、かえってあっけらかんとした感じに見える。ちなみに男を誘惑するのは「カーミラ」の映画化としては反則と思われる。 なおカーミラ(カルミーラ)役の女優は右目の下にほくろがあるようだが、これをこの映画では原作に沿った形で生かす気がなかったらしい。古城にあった絵にもこれを描けばいいだけのことだが、なぜかしていないのはかえって意味不明である。 ところで登場人物に関して、劇中の「エマ」は原作の「ローラ」に相当する人物だろうが、原作では清楚なお嬢さんのイメージだったのに対し、映画ではそうでないとまでは言わないが若干のお転婆感が出ており(目玉も目立ちすぎ)、吸血鬼としてはその辺に惹かれたのだろうが自分としては必ずしも同調できなかった。原作では村娘の葬列が来た際、この人も一緒に歌うことで心優しい人物との印象を出していたが、映画では省略されていたようで残念だった。 題名のとおり映画では女子2人の恋愛感情をはっきり出す形になっているが、ラストでそれがどう表現されたのか自分としてはわからなかった。日本人的にはいわゆる成仏して終わったように受け取れるが、もう1人に継承されたというならちょっと洒落にならない結末であるからそういう解釈はなしにしてもらいたい。[DVD(字幕)] 5点(2017-12-14 22:58:10)《改行有》

705.  富江 replay 《ネタバレ》 伊藤潤二原作のホラーマンガシリーズ「富江」の映画化第2作である。第1作の続編ではなく完全に独立した別の映画だが、エンディングテーマは第1作とアレンジ違いの同じ曲を使っている。音楽についてはサントラCDまで出ていたりして、この当時はそういうところにも力が入っていたらしい。 今回は原作の「地下室」の話をもとにして、第1作よりは原作に近い雰囲気を出している。ただし一般の心霊ホラーのような演出で、自宅に何か出そうだとか押入れに何かいるとか天井を這っていたとかいうような場面もあるが、少なくとも自分はその手の怖がらせを富江映画には求めていない。また険悪な面相の特殊メイクなども不要である。 ドラマ部分では、いろいろあっても人間を信じたい、というようなことがバケモノとの対比で語られており、結局最後に愛が勝つストーリーだったのは大変結構だと思うが、一方で死ねない苦しみ、悲しみまで表現されていたのはバケモノの擬人化が過ぎる。分裂して増殖する生物?がもう終わりにしたいなどとは思わないだろうし、そもそも人を破滅させるのが生きる喜びというのが富江だろうが、まあそういうところがこの映画の特色かも知れない。 今回の富江に関しては、文句なしに美形だが少しきつい感じで、男の前に脚を伸ばしてみせておいてはぐらかすような行動は好きだ。なぜか出番があまり多くなかったのは残念だが、ラストで首だけになった顔は可愛らしく、自分なら投げる前にほっぺたを撫でたくなるだろうと思った。 またわずかながらドッキリ系の驚愕場面もあったが日本人形の件などは嫌いでない。主人公が可哀想な少女の自宅に行ったところで黒い影がヒラヒラしていたのも意味不明だったが悪くない(風で回転する葉っぱの影か)。また別の部屋にいた主人公が来て、男に毛布をかぶせたところは純粋にいい場面だった。 そのほか余談として、劇中語られていた「踏み出せばそこに道ができる」というのは、いかにも飲食店店主(自営業の創業者)が言いそうなことなので笑った。確かに、人生そのように自ら心に決めるということが大事である。[DVD(邦画)] 5点(2017-11-20 20:53:32)《改行有》

706.  富江 アナザフェイス<TVM> 《ネタバレ》 伊藤潤二原作のホラーマンガシリーズ「富江」の実写化である。シリーズ初の映画「富江 tomie」(富江役:菅野美穂)と同年に放映されたTVドラマで、同じ女優が違う富江を演じる3話オムニバスになっている。 【第一話】「クラスメートの富江が、死んでしまいました」のナレーションは原作最初のエピソードとほぼ同じ。女子高生を主人公とする学園ドラマの体裁で、殺しても生き返るという基本的な特性を見せている。富江役の女優は当時17歳くらいだろうから年齢的に最も違和感がなく、上ずったような甘ったれた声には笑ってしまう。「どうしてそんなひどいことを言うの…(泣)」が好きだ。 【第二話】カメラマンを主人公にして“富江は写真映りが悪い”という特徴を扱っている。劇中2人の富江が出ており、思い出のお姉さんの方はまだしも夜の女が踊るあたりは少し無理があったようだが、まあ笑って許す感じになっている。 【第三話】全体構成上の「転」「結」に当たる部分で、前2話でも顔見せしていた富江バスターのような男が表に出て来たが、富江退治には失敗していた(当然だ)。警察の記録で、制服姿で磔になっているとか浴衣で川に半分浸かっているとか多様な死体を見せていたのはいちいち着替えて撮ったのだろうから手間がかかっている。 ストーリーはほとんどオリジナルだがそれほど違和感もなく、オムニバス形式なのが原作マンガらしい雰囲気を出している。富江役の永井流奈という人は美少女ともいえるがカワイイ方へ寄った感じで、グロい場面は皆無だが(エロい場面もあまりないが)妖しいかわいさのある富江が見られる意義はある。安手の作りではあるが、現在までの実写化の中では最も普通に富江っぽい話になっていて好きだ。[DVD(邦画)] 5点(2017-11-14 19:27:56)《改行有》

707.  富江 tomie 《ネタバレ》 伊藤潤二原作のホラーマンガシリーズ「富江」の映画化第1作である。現在までの間に映画が8つ、TV番組が1つで計9つの映像作品ができているが、この映画が初の実写化である。 原作通りでは全くないが原作の要素は一応取り入れており、皆で殺してバラして捨てたが学級崩壊というのは原作最初のエピソード、写真をばら撒いた主人公の氏名は「写真」からだろうし、一見わけのわからない結末も「地下室」で、富江が他人の身体を乗っ取った話が背景になっていると思われる。そのようにして作った話の上に、この監督の作家性ということなのか、変に女の子っぽい感じで色づけした形になっている。インタビューでは主演女優が「女の友情」の話だろうと言っており、また監督本人も富江は友達に会いに来たと説明していたのを聞くとさすがに話が違うのではないかと言いたくなるが、まあそれがこの映画の特徴ということらしい。 またこの映画では、前半はわざと富江の顔を見せずに期待感を盛り上げる形にしたらしい。それ自体は別に悪くないが個人的に問題だと思うのは、いざ富江が顔見せすると、どう見ても絶世の美女に思えないので正直落胆を禁じえないことである。当方としては初めから菅野美穂とわかっているので過度の期待はしていなかったわけだが、それにしても何というかいわばボサボサ感のある外観には納得いかない。ただ原作者本人も主に目の印象からこの女優を推していたとのことで、それを聞けばまあ確かにそうかも知れないと思うところもなくはない。 また終盤も何が起こっていたのか全くわからず困ってしまうが、それでもラストの一瞬の映像に唖然とさせられ、空になった頭の中にエンディングテーマがすらりと入って来る流れには妙に納得させられた。キャスティングを含め、最終的にはこういう作りでよかったのだと思わされたのは騙されたような気もするが、しかし単純な怖がらせだけの安手のホラーに比べれば、まだしも一応の映画を見せられた気はしなくもない。[DVD(邦画)] 5点(2017-11-14 19:27:53)《改行有》

708.  劇場版 仮面ライダーオーズ/OOO WONDERFUL 将軍と21のコアメダル 《ネタバレ》 冒頭から「ドイツ・テューリンゲン州」とのことで大きく出たなと思ったが、その後はさらにわけのわからない展開になってせっかくの海外進出もどうでもよくなる。どうせ東映太秦映画村だろうなどと言わずに享保年間の江戸だと思わなければならない。 江戸市中に出現した妙な風体の連中が敵ではないと知らせるために、非常にわかりやすい場面が設定されていたのは大変結構だったが、徳田新之助なる人物の正体を最後まで明かさなかったのは過剰説明を避けた感じになっている。本人が「徳川家に献上されたもの」と言っていたのに劇中人物が反応しなかったのは、まあ取り込み中だったからその時は気づかなかっただけと思われる。 自分としてはこのシリーズの基本設定がよくわかっていないので、手だけが飛んで行った場面で何だこれはと江戸の町衆同様の気分だった。しかし何となく家族というものがテーマになっていたらしいことはわかり、疑似的な父母と子が手をつないだあたりは心和むものがあった。みんな家族などというのは綺麗事だと言われて、綺麗事でも欲望本位だからいいのだ、と開き直ったところは大笑いした。ここは見ていた側より制作側が一枚上手である。 またこの手の企画の通例どおり、終盤で次期ライダーが加勢する場面もある。個人的事情としては、平成に入って初めて見た仮面ライダーがフォーゼだったのでこれまで何とも思っていなかったが、別のライダーの劇中に並べてみるとフォーゼが変なライダーだったことがよくわかる。そういえば高校生という設定も初めてだったのかも知れず、「若いっていいな」という劇中人物の台詞が可笑しい。顔出ししていた福士蒼汰もいかにも若い。[DVD(邦画)] 5点(2017-11-09 19:39:38)《改行有》

709.  人狼ゲーム マッドランド 《ネタバレ》 前回から半年で新作というのではほとんど量産体制である。 副題の印象として、佐賀県のガタリンピック(1985~)のようなことを泥まみれでやるのかと一瞬思ったが当然そんなわけはなく、実際見ればいつもの研修施設のようなところで撮影している。landに付くならmadではなくmudと思うのが自然だろうが、ちなみに原作では英語で書いてあるので間違わない。またついでに書くと、今回は人物の背景に明らかに富士山が映っていた。要は小山町フィルムコミッションの関連施設である。 今回も役者の熱演は相変わらずである。前回は「運営」の内幕に立ち入っていたので、今後はシリーズ全体の終結に向けた動きが出て来るのかと思っていたがそうでもなく、まだまだ同じパターンで続く予感を残して終わっている。 今回特に感じたのは(以前からあったことだが)、登場人物がやたらに怒鳴るのがやかましいことで、人の感情を音量で表現しようとしているのかと思うほど気に障った。また女子が男言葉で他人を罵倒するのは21世紀の今日よくあることかも知れないが、20世紀人としては当人を思いやる気持ちが薄れてしまうので困る。これもまた感情を刺激するための安易なツールにしているようで気分が醒める。 そのようなこともあり、今回は一部を除いて登場人物の誰にも共感する気にならなかった。終盤での主人公の意外な行動はいわば無償の愛によるものだろうが、当初の純粋な利害関係がどのように変質してこの結果になったのか、描写はあったようだが納得はしない。性的マイノリティの心情も説明は理解できるが共感どころでなく、どうもドラマ部分が弱いのではと思ったが、唯一心から共感できたのは虐げられた男の最後の行動だった。個人的感覚ではこれこそが正しい人の道である(途中でやめなければもっとよかったが)。 ところで映画の宣伝上、このシリーズは「本格派女優の登竜門」とされているようで、別に桜庭ななみとか土屋太鳳といった人々がこのシリーズでのし上がったわけではないだろうが、中身が濃いので役者が印象に残るのは間違いない。今回は特に飯田祐真という人が否応なしに目についたが、ネットで検索しようとすると普通一般の美少女タレント並みに「飯田祐真 かわいい」とかいう予測候補が出たりしてイメージが大混乱する。とりあえず自分としては「TOKYO CITY GIRL -2016-」というもののDVD化に期待したい。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-29 19:40:28)《改行有》

710.  人狼ゲーム ラヴァーズ 《ネタバレ》 若手役者の熱演で知られるシリーズの5作目だが、ここまで来るといつまで続けるのかと問う気もしなくなる。今回は最初と最後、特に最後の施設映像が好印象だった。また中盤の長回しは約6分である。 今回はシリーズ初の「運営」という言葉が出て、ゲームの背景が少し明らかにされている。この世の悪は「金持ち」のせいというのは安易な感じだが、身内が有力者すぎて手が出せないことはありえなくはないので、一応は荒唐無稽になり切らない線を狙ったとはいえる。この運営側に関する説明は、前回ラストの出来事(ただし原作限定)と整合しており、また第1作の段階でも一部示唆されていたことが思い出される。「いけにえ」の存在も前回の劇中で匂わされていたもので、次第に真相に近づいていく雰囲気はないでもない。 今回初出の「恋人」は、その言葉自体にドラマ的な意味はなく、単なる役職以上のものではないらしい(原作者はそれなりの意味を付与していたようだが)。全員が経験者のため無用の混乱がなかったのは歓迎するが、一方で「処刑」を参加者自らすることになったのは過激さを増すための強化策ということか。しかし同時に追い出し方式が提案されていたのは結構なことで、毎度流血の大惨事では面倒臭いだろうし、またこの人だけは無惨な姿を見たくないという人物もいる。 最後の指名は意図がよくわからなかったが、金額の問題だけだったとすれば残念なことである。死んだ本人はこれで納得していたようでもあるが、しかし他人の純粋な好意を費消する形で個人的欲求だけを満たそうとするのではあまりに後向きな結末である。自分としては最後に残った者が死者の思いを受け継ぐ形にしてもらいたかったわけだが、当日朝の言葉からこういう結果につながるとも思われない。最後まで良心を持ち続けた人物を好んで犠牲にするのが「絶望型エンタテインメント」にふさわしいということか。 個別の人物に関しては、個人的には八木ひなた(演・溝口恵)という人がいい感じで、役者としては年上の方だろうが、劇中ではひ弱そうで控え目な下級生の姿ができている(鼻水が垂れずに済んだのは安心した)。またあからさまな美男美女ばかりを揃えないのがこのシリーズの通例だろうが、今回は名前に似合わず地味な牧詩央里という人物が「最悪!」と言ったあたりの“普通の人”感が非常に好きだ(少し惚れてしまった)。金髪の男は屑だ。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-29 19:40:25)(良:1票) 《改行有》

711.  ウルトラセブン 太陽の背信<OV> 《ネタバレ》 1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」の続編のようなものとして、1994~2002年にTVやOVで断続的に16本が制作されたいわゆる「平成ウルトラセブン」の5作目で、1998年の「ウルトラセブン誕生30周年記念3部作」の最終回である。著名な過去作を都合よく使って次々続編を出す類の企画は嫌悪するしかないが、前2作を見てしまってレギュラーの面々にも多少愛着がわいて来たので見ないわけにもいかなかった。 この回も普通に事件が発生して解決した後は、3部作の最終回としてラストを一応締める形になっている。 まず前半ではドタバタ部分がかなりの減点要因である。また中盤で明かされる宇宙生命の意図も極めて荒唐無稽だが、そこでまともに頼みごとをされてしまった人類側が悩んでしまうのは面白い。最終的に上層部が下した決定では結局、人類の自決権の問題として捉えられていたようで、地球人類が自らの意志で(自己責任で)という点は前回含めて一貫していたらしい。 また今回はレギュラー隊員それぞれの個性の表現が見所になっているが、特にハヤカワ・サトミ隊員(演・鵜川薫)の見せ場が多く、良心的で真っすぐな姿勢が非常に好印象で、これでこの人がますます好きになった。この人だけでなく、登場人物の誰もが抱えていたはずの罪悪感が最後にうまく解消されたのは都合よすぎの展開だが、題名に「背信」とあるにもかかわらず、サトミ隊員の良心が踏みにじられることがなかったのは幸いだった。 ほか科学的なところでは、180光年先に見える恒星は180年前の姿だ、といったような知識を主にサトミ隊員が何気なく披露していた。外見は女の子風でも、さすが隊員は意識が高いということの表現になっている。 なお今回はダンとフルハシがまともに再会する場面がクライマックスだったが、ここでフルハシに孫ができたという話は何気に感動的だった。これに続くダンの台詞は、ウルトラセブンと人間の寿命の違いに関する見事な説明になっている。ラストでは、すでにウルトラセブンの姿になっているのにフルハシがダンと呼びかけていたのも旧作のポイントをちゃんと押さえており、基本的には続編など認められない立場だが、こういう場面が感動的と思うのは世代のせいもあるので仕方ない。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-17 19:28:28)《改行有》

712.  ウルトラセブン 地球より永遠に<OV> 《ネタバレ》 1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」の続編のようなものとして、1994~2002年にTVやOVで断続的に16本が制作されたいわゆる「平成ウルトラセブン」の4作目で、1998年の「ウルトラセブン誕生30周年記念3部作」の2作目である。すでに完成された作品の続編など作られても基本的に見る必要など感じないわけだが、同じ題名で製作されているからには参考として見ておかなければという義務感が当時はあった。 この回は、3部作の1作目だった「失われた記憶」の延長上で、同じ登場人物が出るものとして製作されており、事件が起こって警備隊とウルトラセブンが解決して終わる普通の回という印象になっている。 今回の物語は、一言でいえば“地球人類の運命は地球人類が自ら決する”という決意を示したもので、ヒーロー任せが当たり前の怪獣特撮にしては極めてまともで正直感心した。また中核的なアイデアである「マントルプリューム絶滅説」なるものも、完全に無根拠で荒唐無稽というわけではないようである。宇宙人の説く「火の世紀」に関しては、当時はともかく近年はニュージーランドの地震(2011年)に続いて「平成23年東北地方太平洋沖地震」が発生し、また2016年には熊本地震が起きるなど、今となっては洒落にならない印象がある。現時点であらためて見れば、来るべき災害への備えを万全にせよという警告の物語になっているとはいえる。 ほか当時の世相として、不況のせいで好条件だが怪しげな求人に若者が集まるとか、「エコブームで、地球にやさしく」という風潮への皮肉が語られていたりするのは面白い。ほとんどの場面が陰気な感じで推移するが、最後は開放的で明るい雰囲気になって次回へつなぐ形になっている。当然ながら全般的に安手の作りで残念なところも多いが、志は買いたい作品ではある。 なお今回の女性キャラクターとしては、捨てられた工業都市に住む捨てられた女が登場し(演・菅原晶子)、もう人生終わったかのような顔をしていたが若々しい色気も感じさせている。また前回からのレギュラーの中ではハヤカワ・サトミ隊員(演・鵜川薫)の魅力が前面に出て来て、このあたりからこの人のファンになってしまった記憶がある。基本的には続編など認められない立場だが、この人を見るために次回も見なければ、という気になったのは間違いない。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-17 19:28:25)《改行有》

713.  チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜 《ネタバレ》 [2018-01-05修正]この映画の2年前に放送されたTVドラマ「チア☆ドル」と明らかに名前が似ているが事情は不明である。説明調の副題がTVドラマ以上の軽薄感を出している。 まず登場人物が福井福井としつこく言うのでそんな場所は知らんと突き放したくなるが、それでも映像に出ているのが福井という場所なのだろうと何となく思い込んでいたところ、実際の撮影地はほとんど新潟だったとのことで少しショックだった。地元としても期待がなくはなかっただろうが、そこをあえて地元密着にはしないことで、日本のどこにもある地方からいきなり世界につながりうる時代を表現しようとしたということかも知れない。 内容的には最初が少女マンガ原作かと思うようなバカ高校生の状態から始まるので呆れるが、続く前半のコメディ部分は結構可笑しい。「わからんのやってあんたには」のところは笑ったが、ほかにも滑ったようでいて滑り切ってしまわずにかろうじて引っかかったところで失笑させる緩さがある。県大会で大失敗しているのに観客は楽しげに笑っていたのも面白かった。 その後もあらかじめ見えている終着点に向けて着実に盛り上げて行く構成になっているが、自分としては主人公が端の方にいてもなお重要な存在になるという話なら期待できると思って見ていた。しかし結局最後は人気女優をセンターに置かなければ済まなかったらしく、その後に指導教員の内幕を延々と説明していたのが言い訳じみていて気が抜けた。本番でも素直に気分が高揚するのを許さず、不快な実況アナウンサーや教頭など(校長も)を出すのはコメディ要素にもなっていない。終了後も、観客の歓声がまだ続いている最中に笑顔を消してステージから去るなどという行動は全く納得できない。 そのようなことで、要ははじめの方はまあよかったが、後になるほど気に障ることの多い映画だったということである。個人的印象としては前年の「ちはやふる」(本物の福井が出る)に残念ながら負けている感じだった。 なお今回は中条あやみという人が少し好きになった。また富田望生という人は外見的な適性に恵まれないのに加えて家庭的にも恵まれない役で、悪いところを一人に押し付けたような設定が安易に思われたが、本番では一応この人の見せ場もなくはなかったようである(細切れだが)。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-17 19:28:22)《改行有》

714.  愛MY~タカラモノと話せるようになった女の子の話 《ネタバレ》 吉本興業とテレビ東京が共同制作した映画で、NMB48所属だった門脇佳奈子・上西恵の2人がダブル主演しているほか、声の出演で吉本芸人が多数参加している。監督はテレビ東京のディレクターが担当しており、ちなみに主な撮影期間は4日間だったようである。 内容としては著しくスケールの小さい映画であって、学園もののような体裁でありながら女子寮の場面が中心で教室とか教員とかは映らない。テーマに関しても、いかにも微視的かつ女子っぽい人間関係の取り方が問題にされていて、成人の目からは微笑ましくも見える。主人公が大事にしているモノがしゃべり出す、というファンタジー要素は、単に本人の内心の葛藤を外部化しただけではないかと思ったが、とりあえず隠していたものを全部表に出すことから物語を動かす趣旨だったかも知れない。 当方としてはおおむね緩い気分で見ていたわけだが、しかし終盤の和解の場面はさすがに少し心を動かされるところがあった。また全体構成としても、最初が街頭インタビュー(少し怖い)で始まり、最後にまた同様のインタビューで締める趣向は悪くない。エンドロール後に出た全体のオチもかなりいい感じで、制作上の各種制約はあったにしても、けっこう愛すべき小品ができているように思わされた。 ちなみにキャストについて、他の映画では美少女のようでいながら悲惨な目に遭わされたり、美少女のようでいながら微妙にあか抜けなく見えたりしていた吉田まどかという人が、今回は普通にまともな美少女役だったのはよかった(少し性悪)。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-17 19:28:19)《改行有》

715.  テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる 《ネタバレ》 とりあえず題名に惹かれて見た。邦題は原題のほとんど直訳らしい。 題名からするとまず「テハンノ」というのがどこなのか気になって仕方ないので映画を見る前に調べたが(どうせソウルのどこかだろうとは思ったが)、要は漢字で書けば「大学路」で、ソウル市観光公式サイト(日本語)によれば「若さ溢れる演劇の街」だそうである。ただし劇中では魔窟のような扱いになっている。 表音文字のはずのハングルで대학로 dae-hak-ro と書いてあるのに「テハンノ」と読めというのは理不尽なものを感じるが、これはハングルというものがいわば“漢字を使わないで漢字を表記する”コンセプトの文字だからと思えばいいのかも知れない。一方で上記の市公式サイトではなぜかカタカナで「テハクロ」と表記しており、これは日本人が「大学路」という漢字に結びつけやすいだろうという親切心ということか。しかし実際に行った日本人が「テハクロ」と発音して現地住民に鼻で笑われたなどということになったらどうしてくれるのかと思うわけだが、この映画を見て行こうと思った人ならそうならないことは間違いない。そんな人がどれだけいるかは別として。 映画本体に関しては、少なくとも最初のうちはけっこう笑える。婆さんの愚痴たれなどはまるきり異民族の行動様式なので笑ったが、これはもしかして現地の観客にとっても笑う場面だったのか。続く「夕暮れのTVセット」などはもう支離滅裂で脱力感しかないが、しかし中盤の月の場面になると変に物悲しい雰囲気になり、これは意外に真面目な映画なのかと一瞬思わされる。 後半になっても映像的には凝ったようでいながら大して盛り上がらないまま終わってしまうが、それでも素っ気ないエンディングの背景音楽が哀愁を帯びた感じで余韻を残すので、それなりの映画を見た気分にさせられてしまう。なお開始直後にエンドロールの巻き戻しのようなのが出ていたのが、むかし起こった出来事の回想をこれから始める、という意味だったとすれば、少なくとも映画公開の時点ではまだテハンノにいたということかも知れない。 こんな映画を褒めるわけにはいかないが、なかなか愛嬌のある感じで嫌いともいえない。 ちなみに自分としても「万」の単位が何なのかは気になった(当時も今も1円≒10ウォン)。また女子高生がセーラー服のようなのを着ているのは、もしかして日本統治時代から続いている慣習だとすれば、いわゆる「日帝残滓」であるから徹底的に攻撃して排除すべきではないか。[DVD(字幕)] 5点(2017-10-07 20:23:06)《改行有》

716.  先輩と彼女 《ネタバレ》 この手の映画にしては落ち着いた感じなのは悪くなく、主要人物もみな大人に見えるのに、主人公だけは本物のバカという状況が延々と続くのは結構つらい。マンガで描いたものはどうだったのかとは思うが、少なくとも実写映画の登場人物としては極めて印象が悪かった。自分が先輩の立場だったら、こういう煩わしいのはどこかの段階で切り捨てる。 またライバルの女性も魅力的な人物ではあるが、自分としては主人公の方に一生懸命共感しようとしているうちに印象が悪化し、結局は主人公もライバルも両方好きになれないで終わってしまった。ちなみにライバル役の小島梨里杏という人は、前に見た「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」(2016)では主役をやっていた人なのだった。気づかなくてすいませんでした。 ほかの登場人物としては、特に主人公の親友はしっかりした人格が表に出た感じでかなり好印象だった。また寿司屋の息子もなかなかいいキャラクターになっているが、主人公の親友と似合いとは思わない。 なお余談として、この映画(原作?)に出ていた「つけま」というのと、別の映画に出ていた「まつエク」とは根本的に違うものだということが今回調べて初めてわかった(そもそもエクステという言葉の意味がわかっていなかったようである)。映画を見ているといろいろ勉強になる。[DVD(邦画)] 5点(2017-09-25 20:29:09)《改行有》

717.  向日葵の丘 1983年・夏 《ネタバレ》 日本版「ニュー・シネマ・パラダイス」とのことである。その映画を見たことがないので比較できないが、多分この映画に似た感じなのだろうと思っておく(若い頃に家を出て30年くらいして帰って来るなど)。 どれだけ似ているかは別として、この映画に関していえば受け取り方がなかなか難しい。映画への思い、時代の変化に対する複雑な感情、ものや金より大切なことといった各種要素が交錯していたようだが、少なくとも自分にとっては結論が見えない映画という印象である。うち高校パートで出ていたような学校が悪い、親が悪いといった話は同じ監督の「海と夕陽と…」(2006)でも聞いた気がするが、今となってはもう戦前世代も世を去りつつあるわけで、昔の怨みは捨てて和解に転じたようにも見える。また一方、映画とは時代の記憶を伝えるものという意義づけがされていたようでもあり、題名のヒマワリも映像には残せなかったが、自主映画の題名としてかろうじて残されたとも解釈できる。 見た人がそれぞれ勝手に何かを受け取ればいい映画なのかも知れないが、自分としては懐古趣味というものがあまりないので大感激ということにはならなかった。ちなみに突っ込みどころがかなり多いので、さすがにもう少し締めてもらった方がよかったのではという気がする。 そのほか終盤で登場人物が重要事項を延々と語るとか、女子高生の可愛らしさが印象的なのも前記「海と夕陽と…」と共通に見える。特に上映会の場面では、現在の3人と高校時代の3人を直接比較する形になり(比較してしまって申し訳ないが)、若い方の溌剌さが際立つので非常に和むものがあった。また主演の常盤貴子という人もそれなりの年齢なわけだがかなりキレイで可愛く見えるので、高校時代の若手女優との間でも違和感がなかったが、そのせいで30年も経っているという実感も全くなかった(藤田朋子とも差があり過ぎだ)。 ついでに書くと、前半の映画撮影の場面で、可愛らしい若手女優(芳根京子)が大御所俳優(津川雅彦)に対し、「何でできないんですか!」というのは笑うところだと思われる。[DVD(邦画)] 5点(2017-09-25 20:29:06)《改行有》

718.  リセット ~本当のしあわせの見つけ方~ <TVM> 《ネタバレ》 原作付きのTVドラマである。2011年時点で45歳の女性3人が、17歳の高校生だった1983年に戻ってやり直す話になっており、役者としては鈴木保奈美・高島礼子・坂井真紀の3人が、高校時代では志田未来・桜庭ななみ・山谷花純になる。ちなみに鈴木保奈美と志田未来は同一人物には全く見えず頭が大混乱する。 45歳はともかく高校生の3人は可愛らしいと言いたいところだが、実際はみな言動が微妙におばさんっぽいので何ともいえない。当時まだ15歳の山谷花純さんもおばさんらしく頑張っていたが、出演者インタビューで同級生役が15歳と聞いた志田未来がちょっと目を丸くし、桜庭ななみが「若っ!」と言っていたのは面白かった(両者とも当時満19歳)。 物語としては立場の違う自分が見てもそれなりの内容で、恐らくは制作側の目論見どおりサプライズの場面が泣かせどころになっている。実生活でそんな都合のいいことが起こるわけないと劇中人物も思ってはいたようだが、しかしこのエピソードを通じて、不満足な現状の中にも「しあわせ」が内在していることを、可能性の形で示してみせたのは現実的で巧妙ともいえる。 それを含めて結果的には三者三様の悟りがあったようだが、いったん昔に戻ってやり直す、という荒唐無稽な設定がなければ知り得なかったことかというとそうでもない気はする。ただ、全くやらずに終わってしまえば悔いが残るがやって失敗したなら納得できる、というような話は、確かにやり直したからこそ実感できることだったかも知れない。 なお参考として原作も読んだところ、原作に比べてこのドラマはかなり簡素化されてラストの充足感も十分とはいえないが、これはTVの視聴者にとって現実感のある内容として再構成したということかも知れない(専業主婦向けの印象が強くなったか)。原作の方は、立場の違う自分としても痛快な指摘と思われるところが多々あり(性差というより世代の関係で)、また最後の一文には泣き笑いさせられた。[DVD(邦画)] 5点(2017-09-18 23:27:06)《改行有》

719.  映画 聲の形 《ネタバレ》 2016年はいろいろと当たり年だったがこの映画は見なかった。一般論として女子高生のスカートが短いアニメを劇場で見るのは恥ずかしい。公開中、世間でカニの形と呼ばれていた(「蟹の形」で検索してもヒットする)という話はかなり笑った。 そういうことでDVDを見たが、残念ながら自分として共感できるものはない。見る側の年齢・性格・境遇によっては劇中人物の心情をいま現在のことのように感じ取れるのかも知れないが、自分の立場としては全くそうならない。そもそも序盤の小学生編で好意的に見ようとする気が完全に失われてしまい、以後はもっぱら第三者的な立場で観察するだけになるので共感どころでない。劇中世界に自分がいるとすればどこにいるかと一応考えたわけだが、主要人物の中でこれと思うのはいなかった。ちなみに高校の友人でイケメンの方は、もう少しどういう人物なのかを見極めたかった気はする。 自分が見た限り、この映画では主にいじめを「する」(した)側の事情を訴えているように感じられる。いじめられる側にも原因(責任?)がある、とまでいうと開き直りのようでもあるが、この映画が多くの共感を得ているからにはそれもまた人の世界の真実ということか(福祉施設での虐待なども正当化し始めるようになったら終わりだが)。一面的に悪を処断する話でもなく、人々の相互作用で変わる人間関係の立体像を表現することで、主に若年者?の共感を得ようとしている物語かという気はした。昔のように変に社会問題化したりせず、あくまで個人の心を見つめる物語にとどめているのは現代風ということかも知れない。 自分としてはあまり高い点をつける気にはならなかったが、ちなみに個人的な好き嫌いを別にすれば、同年の「君の名は。」より劣る映画という気はしない。 なお余談として個人的な感情論をいえば、石田将也は小学校の段階で人として見放してしまったので、以降は同情する気にもならず勝手にやっていろという気分だった。その母親が肯定的に扱われているのも気に入らない。ほか川井みきはまともに相手にしないのが無難な人物だが、植野直花は存在自体がマジ害悪だ(こんなのの×をはがす必要はない)。西宮硝子と佐原みよこは心優しい普通の人だった。[DVD(邦画)] 5点(2017-09-15 19:57:05)《改行有》

720.  ウルトラセブン 《ネタバレ》 1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」(全49話)の第18話で、これだけが1968年夏の「東映まんがパレード」で劇場公開されたために映画扱いになっている。高畑勲氏が監督で宮崎駿氏も動画制作に関わった「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)と同時上映だったとのことである。 この第18話「空間X脱出」(1968/2/4放映)は第2クールのいわば安定期に入った頃のもので、特別に面白い回ともいえないが、日常を離れた異世界が舞台になるため若干の特別感はなくもない。また宇宙生物が4種類も出るので若干豪華といえなくもないが、着ぐるみは「音波怪人 ベル星人」(スズムシの宇宙人)だけで、あとは操演と上からバラバラ落ちて来るだけのものである。ちなみに樹上から吸血生物が落ちて来るとか底なし沼とかは、戦時中に南方へ出征した人々の体験に基づくものという話を読んだ気がする。 ドラマとしては、人間だれしも長所と短所があるので協力して補い合うことが大切だ、といったような、シリーズ初期らしい年少者向けの生真面目な教育的意図が込められている。またラストではかなり唐突に格言のようなものを出してそれなりの教訓に結びつける形だが、その「神なき知恵は…」というのは玉川大学創立者の言葉を一部アレンジしたものだったらしい。 登場人物はいつもの通りだが、この回ではマナベ参謀が出ており、人事交流か何かでアメリカ(ワシントン基地)に行っていたという経歴を披露している。またこの時期はまだショートヘアだったアンヌ隊員がかわいい。すでにモロボシダンのことを人一倍気にかける様子を見せている。[DVD(邦画)] 5点(2017-07-05 19:44:56)《改行有》

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