みんなのシネマレビュー |
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721. 歩いても 歩いても この映画を見ながら、ふと小津安二郎を思い浮かべた。小津監督の映画にも「家族」を描いたものがいくつもあり、この映画には「平成の小津」を感じさせる。ごく日常の会話としぐさ、しかしその中にそれぞれ違う立場の思いや心情が出たり引っ込んだり、そしてにじみ出てくる。やはりこういう感覚は日本映画でしか味わえない特別なものであり、私たちの生活にごく身近なものなんだろうと思う。蝶々とか、「歩いても、歩いても、小舟のように」と歌ういしだあゆみの歌が心に残った。[DVD(邦画)] 9点(2013-04-22 22:06:38) 722. クライマーズ・ハイ (2005)<TVM> 《ネタバレ》 映画版では、日航機事故に伴う地元新聞の奮闘記ということはよくわかるのだが、なぜ登山なのかがよくわからず、むしろ余計なもののような気がしてならない。ところがこのNHKドラマ版は原作にほぼ忠実で登山のシーンが重要な意味を持つことがわかるのだ。そして最大の「クライマーズ・ハイ」の「ハイ」の意味、最初は単に高い山に登るからハイなのだろうなんて軽く思っていたのだが、「ハイテンション」のハイ、ヤクの常用者などが「ハイ」という高揚した気分になるあの「ハイ」であることに気づく。映画との比較は一長一短があるのかもしれないが、私はタイトルの意味を持つこのドラマ版の方が好きだ。[地上波(邦画)] 8点(2013-04-21 08:40:17) 723. セルラー ちょっとだけ携帯電話のCMっぽいが、なかなか良い。スピーディなサスペンスでおもしろい。だけど携帯片手に運転は警察に捕まるんじゃないかな、良い警官か、悪い警官かわからないけど・・・。[DVD(字幕)] 7点(2013-04-20 21:03:32) 724. 呉清源 極みの棋譜 ライバル木谷実とともに定説を破る「新布石」を誕生させた呉清源、囲碁を楽しむ者であればその名を知らぬ者はないと言われる。その呉清源のエピソードを綴った映画だ。したがって興味ある者にとっては貴重な映画だ。しかしながら映画としては断片的になりすぎてドラマ性が高いとは言えない。私個人にとっては、少年の頃聞き及んだ碁の名手たちが数多く登場し大変興味深かった。[DVD(字幕)] 6点(2013-04-20 17:12:16) 725. ペンギン夫婦の作りかた 《ネタバレ》 グルメもの映画だが、料理に関心がさほどなくても、沖縄石垣島の海を見ているだけでも心が癒されてくる。島の人たちの温かい大きな心と帰国申請調査官の疑ってかかる心の対比がまた良い。そしてまたまたペンギン夫婦の名前の由来も・・・。心が和む夫婦愛の物語で素直に感動した。よけいなことだが、食事の前に見るのと後ではもしかしたら点数が変わるかも・・・。[映画館(邦画)] 8点(2013-04-19 13:09:12) 726. 耳に残るは君の歌声 良いキャストやすばらしいアリアを使いながら、すべてがちぐはぐでバラバラのように思える。だからストーリーもちっとも盛り上がらない。印象に残っていることと言えば、突っ立ってじっと見ているジョニー・デップ、身長があるのにさらに高いヒールのケイト・ブランシェット、声がちっとも出ていないクリスティーナ・リッチ、人物と歌の雰囲気がまるで合っていないジョン・タトゥーロといったところ。歌声が耳に残るどころか、少しも心に残らない映画だった。[映画館(字幕)] 3点(2013-04-18 00:18:40) 727. 魔笛(1974) モーツァルトの歌劇の中で「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」よりさらに優れ、彼最高の作品のひとつと言ってもまちがいない。歌と台詞の両方からなるジングシュピールという形式だから、優れた歌唱力と演技力の両方を要する歌劇である。さらに演出のおもしろさがあり、歌劇にまったく縁のない人もすぐにとけ込めるほどの親しみやすいものとなっている。私は今までにもテレビや舞台で何回か見たし、全曲版レコードも持っている。さてこの映画、イングマール・ベルイマンということで大変期待したのがやや期待はずれ。今まで見た「魔笛」より優れているという点はほとんど見あたらなかった。舞台をそのまま映画にしただけというか、衣装や演出などかなり地味、魔笛独特のおもしろさや幻想感もほとんどなし。その上歌唱陣も超一流とは言い難く、時々写る観客が返って邪魔に思える。[インターネット(字幕)] 6点(2013-04-17 10:28:55) 728. ぼくたちのムッシュ・ラザール 担任の先生が突然自殺しただけでも大変なことだが、教室での首つりとなると事態は重大だ。この大変な事態になぜラザールが志願したのか、彼の身の上が明らかになるにつれわかってくる。また彼の教える教材がなぜ古いフランス語なのかも。映画は教師と子どもの心のふれあいを描いているが、日本の金八先生のような熱血教師とはまったく異なっている。そこに教育の深さを感じるし、「一番大切なことは教科書には書かれてない」という監督のことばが響いてくる良い映画だった。子どもたちはかわいいが、それ以上に自然な演技がすばらしい。[DVD(字幕)] 8点(2013-04-17 07:59:10) 729. 秋のソナタ 《ネタバレ》 ショパンの曲に没頭しピアノを弾く母、その母をじっと見つめ続ける娘、最初の方のこのシーンだけで、この映画全体を暗示させてくれる。母と娘の長年の確執、秘められた思い、それが少しずつそして一気に爆発する。映画はさすがに見応えがあり、往年の大スターイングリッド・バーグマン最後の作品にふさわしい。スウェーデン出身で自国の映画界を飛び出し、米国ハリウッド女優の道を歩んだバーグマン、同じスウェーデン映画界の巨匠イングマール・ベルイマンの要請に応えたものだが、何かしら主人公のピアニストとバーグマン自身の人生とが重なってしまう。また娘役のリヴ・ウルマンの白熱の演技もすばらしく、少しもバーグマンに負けていないと思う。[映画館(字幕)] 8点(2013-04-16 21:46:54) 730. ラ・マンチャの男 《ネタバレ》 娼婦をお姫様、自分を騎士に見立て、大魔王が変身した風車に突進するなど、狂人としか思えないドン・キホーテ。他にもぼろ布の薄紗や洗面器の金の兜なども出てくる。しかしドン・キホーテは見果てぬ夢を追い、かなわぬ敵にも立ち向かう勇気ある正義の騎士だったのだ。映画を最初見たときは、舞台劇とは思いつつもまさかミュージカルとは思わずびっくりしたことを覚えている。宗教裁判にかけられ捕らえられたセルバンテスの物語の中の、気のふれたキハナ老人の、妄想の中の騎士ドン・キホーテの物語という複雑な構造でとまどうが、改めて見てみるとなかなかおもしろい。ミュージカルのタイトル曲や「ドルシネア」「見果てぬ夢」も良い曲だ。[映画館(字幕)] 8点(2013-04-16 05:06:41)(良:1票) 731. 大いなる遺産(1946) 1998年版のカラーの「大いなる遺産」と比べ本国英国の映画だけあって、すっきりくるし白黒の映像美も良い。デ・ニーロやアンバンクロフトなど大物スターはいないが、構成がしっかりしていてリアリスティックで物語的にもおもしろい。若いエステラのジーン・シモンズが少々目立ちすぎだと思うが・・・(少女より大人っぽい) ただ、見てから随分経っているので記憶が曖昧、DVDがほしい。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-14 00:03:29) 732. 大いなる遺産(1998) デヴィッド・リーン監督のモノクロの「大いなる遺産」も良かったけど、米国に舞台を替えたこの映画も大変好きだ。好きなのは主役のイーサン・ホークやグウィネス・パルトローではなく、ロバート・デ・ニーロ。この大物俳優を単なる脱獄囚で処刑されてしまっては話にならない。やはり後半きちんと出てきて彼らしいアクションになるのも良い。この映画を最初見たとき、すべてが彼の差し金とわかってジーンと来た。(何か浦島太郎の亀みたいだったけど)[DVD(字幕)] 8点(2013-04-13 22:56:56) 733. 男はつらいよ 寅次郎頑張れ! 寅さんが現役を引退して恋愛のコーチへ、と思ったら思いがけないところにお姉さんがいてたちまち現役復帰。ところがこのお姉さん藤村志保、皆さんご指摘のように控えめというかやや影が薄い。もちろん藤村志保らしい雰囲気は良く出ているのだが・・・。中村雅俊と大竹しのぶの若いカップルが初々しく、見ていてこちらもポッと赤くなるほどだ。この二人だが、大竹しのぶは映画「青春の門」で高い評価を得ていたが、中村雅俊はその頃はテレビドラマで活躍中で「ふれあい」という歌がヒットしていた。[DVD(邦画)] 6点(2013-04-13 05:58:32) 734. トト・ザ・ヒーロー 最初はサスペンスかなと思ったけど、明るく楽しげな主題歌が重い空気を吹き飛ばしてくれた。姉のアリスがかわいい、いや魅力的。主人公のトマが何もなかった人生と言っている割にはいろいろあっておもしろかった。ピストルを構えているにしては、ファンタジックで、爽快感がある。[DVD(字幕)] 8点(2013-04-12 06:36:58) 735. 肉体の門(1988) 壊れたビルやリンゴの唄などでそれらしくは装ってはいるものの、戦後の貧困にあえいだ混乱期の雰囲気には思えない。それどころかどうも監督の好きな任侠映画に近いような気がして私好みではない。[DVD(邦画)] 3点(2013-04-10 18:48:13) 736. 肉体の門(1964) 戦後流行した「リンゴの唄」や「星の流れに」が流れるが、特に「星の流れに」は彼女たちの運命を物語っていて涙を誘う。戦後の混乱期、焼け落ちたビルにバラック小屋や闇市が並ぶ街、駐留軍兵士やMP、帰還兵、浮浪者やパンパンなどがあふれていた。そういう時代を象徴するような映画、戦争の傷跡が生々しい。原作の浅田せんではなく、ボルネオマヤに扮した野川由美子の好演が光る。[DVD(邦画)] 7点(2013-04-10 15:03:08) 737. 永遠のこどもたち ホラーだとは知らずに間違えて借りてしまったDVDだったんだけど、まずまずだった。科学的に解明できる部分とミステリアスな部分がほどよくミックスされて雰囲気がとても良い。ホラー特有の残酷さも少なく、母親の子どもに抱く愛情を強く感じる。ラストもあれで良いと思う。[DVD(字幕)] 6点(2013-04-09 21:54:28) 738. 塀の中のジュリアス・シーザー 《ネタバレ》 刑務所の囚人たちが演劇を行う、しかもそれは学芸会レベルではなく本物のシェイクスピア、「ジュリアス・シーザー」である。日本では到底考えられないことだろう。ドキュメント風に綴られる映画はどこが芝居の練習でどこが日常なのかわからないほど、同一化されている。驚きと称賛に値するこの映画には、どう表現して良いか迷うほどだ。なおこの映画は本番の舞台劇のみがカラーで、当日までの刑務所内のシーンはすべてモノクロである。[映画館(字幕)] 7点(2013-04-09 15:42:36) 739. ズール戦争 戦争がなぜ起こったかの理由や植民地支配という時代背景にはほとんどふれず、盾と槍しか持たない原住民相手に容赦なく銃をぶっ放す戦争映画だ。宣教師の言葉も聞かず、「汝殺すなかれ」という神の言葉に背いたばかりか、宣教師をも閉じこめてしまう。そこには平和的な解決は全くなかった。派手な銃撃戦がかっこいいとか、勇ましいとか言っている間は戦争は決してなくならないだろう。愚かさを感じる。[DVD(字幕)] 2点(2013-04-08 22:01:13) 740. 市民ケーン 評判の高い映画のようだけど、私はこういう人物や社会は好きでないし、映画も何処が良いのかわからなかった。おまけに映像が悪く、字幕も途中大変見ずらかった。バラのつぼみもなんてことはない。第三の男といいこの映画といい、オーソン・ウェルズは苦手だ。[DVD(字幕)] 3点(2013-04-07 15:15:42)
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