みんなのシネマレビュー |
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761. アフター・アース 《ネタバレ》 不合理な部分が多い事に困惑します。何故銃器が存在しない?筏で寝るってオカシクない?鷹(鷲)の恩返しって正気ですか?細かい点では、宇宙船の座席が気になりました。ワープ機能まで装備しているハイテクマシンなのに、高速バスより座り心地が悪そうです。これらを単なる“設定の粗”で片付けてよいのでしょうか。意図したミステークに思えて仕方ありません。矛盾を解消する解釈は一つだけ思いつきます。それは“夢オチ”。それも主人公キタイではなく、二世俳優ジェイデン・スミスの。偉大なる存在、父ウィル・スミスのプレッシャーから、息子がこのような悪夢をみたのであれば合点がいきます。メタ・ファンタジー。ですから近い将来、ジェイデンの寝起きシーンがラストに挿入された【完全版】が公開されると予言しておきます。ただし【完全版】で物語に整合性が与えられても、感動には繋がりません。そりゃそうです。夢の中でどんなに活躍しても、手柄にはなりませんから。真の意味での【完全版】はジェイデン・スミスが父の庇護を離れて大成することで完成すると考えます。それは俳優として成功すること?いいえ違います。キタイは最後、レンジャーの才能を捨て、母と一緒に働くと口にしました。父と同じ道は歩まないという意味です。果てさて、ジェイデン・スミスの将来はどうなるのでしょうか。俄然楽しみになってきました。こう捉えてみると、どんなSF超大作よりロマンがある作品なのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-09-21 18:58:47) 762. ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 ≪≪≪警告!警告!警告!ネタバレとは違いますが、本文には“大変危険な表現”が含まれています。観賞前の方、特にちびっこは、くれぐれも閲覧ご注意ください。≫≫≫ 本当は私も皆さんのようにカッコイイ、イカしたレビューを書きたかったんです。難しい熟語、横文字、見事なロジックを駆使した惚れ惚れするような文章を(実際に書けるかどうかは別ですよ)。押しも押されもせぬ傑作ですから、力も入ります。でもオープニング早々、メインテーマが耳に入ってきた時点でそんな願いは吹き飛びました。「ゴジラ・ゴジラ・ゴジラとメカゴジラ」脳内にリフレインする謎の歌詞。本作製作時点では構想さえ無かったはずのメカゴジラの顔がチラつきます。モスラ・モスラ・モスラとメカモスラ。どこでこんな歌詞を仕入れたのか全く記憶にありません。ていうか作品変わってるし!サザエ・サザエ・サザエとメカサザエ。『サザエさん』関係ないやん!ていうかメカサザエって何やねん!ハイジ・ハイジ・ハイジとメカハイジ。えっ『アルプスの少女ハイジ』そうそう、ながーいブランコに鉄塊がってオイ!!テーマ音楽がかかる度にこの有様です(実は『怪獣大戦争マーチ』の方ではツンツンヘアーの歯無し男の顔が浮かんだりもしました)。これで物語に集中しろというのが無理な話。その結果、反戦メッセージはどうにか汲み取れたものの、単にディテールの甘いパニック映画に思えてしまいました。何と言う悲劇。名作が台無しです。何度本作を観直したところで、同じ事の繰り返しになるのは目に見えています。猛烈な中毒性は、最早“呪い”です。この文章を読んだ人はもう手遅れかもしれませんが、間違っても『福岡市ゴジラ』なんて言葉、検索しないで下さいね。一生解けない呪いにかかります。冗談ではなく、本気で。私は警告しましたよ。ああ、もう、頭から呪文が離れやしません。ゴジラゴジラゴジラと……嗚呼すみません。ほぼ映画の内容と関係なかったですね。[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-09-18 18:59:02) 763. 高速ばぁば 《ネタバレ》 “拘束”された老婆は“高速”で動くばぁばに化け、“腕利き”のマネージャーは“利き腕”だけとなり、“フット”ワークの軽いディレクターは“足”を失ったと。要するに駄洒落縛りです。ばぁばのカラーリングが紅白でオメデタイこと、ババアではなく「ばぁば」と表記した点に愛を感じます。今日、敬老の日にこそ観るべき映画(嘘)。[DVD(邦画)] 4点(2014-09-15 18:29:49)(良:1票) 764. シュガー・ラッシュ 《ネタバレ》 王様がラルフに話したヴァネロペの境遇は、十分腑に落ちるものでした。ゲーム開発途中に発生したバグが原因で、キャラクターがお蔵入り。そんな話、聞いたことある気がします。“死にたくないなら余計な冒険はしない”は真理です。しかしラルフから命の危険性を説かれてもなお、ヴァネロペの意志は揺るぎませんでした。渡辺美里の歌詞ではありませんが『死んでるみたいに生きたくない』ということ。そのへんのガキが同じ台詞を吐いたとしても、「命の有難味が本当に分かっているのか?」と説教したくなります。しかし不死のゲームキャラクターにとっては切実な悩みです。何も起きない日々が永遠に続く。それは正に地獄でしょう。ヴァネロペがどんな気持ちでレースにエントリーしたのか理解出来たとき、私もゲーム世界の仲間になれた気がします。では、ラルフの心情はどうでしょうか。彼がメダルに固執したのは、周りに認めてもらいたいから。それだけです。肯定されない人生は暗闇に違いありません。ラルフとヴァネロペは、共に闇の中に居たのです。願いは同じ。“人生を価値あるものに!”たった一人に認めてもらうだけで、人生は輝きます。2人の友情に胸を熱くしました。勿論、伏線見事な脚本があってのこと。王様の正体、滅亡回避奇跡のクライマックス。全てのピースがピタリとハマる快感は格別でした。人生の目的、友情の価値、社会的役割、騙される心理。豊富な示唆が含まれている物語を堪能いたしました。(以下余談)私が本作の観賞に至った経緯は、ヒロインがももクロの有安杏果(緑担当)にソックリとの噂を聞きつけたから。サイズ感、カラーリング、ヘアースタイル、どれをとっても杏果にしか見えません(笑)。挿入歌はAKBですけど、日本語吹き替えを彼女にお願い出来ないかしら。『「ちゅがー・らっちゅ」って、ほら言えてんじゃん!』そんな杏果を想像して一人ニヤニヤしてしまいます(重症)。[DVD(吹替)] 9点(2014-09-12 18:28:10) 765. LUCY ルーシー 《ネタバレ》 “人間は脳の一部しか使用していない。眠っている脳機能を全て使う事が出来れば、恐るべき力が手に入る。”ネタ自体はサイキック系SFで時折見かけるもの。目新しさはありません。ただ、本作の帰結点は相当にぶっ飛んでいました。人間はそれぞれの脳に神が宿っているってこと?時を支配??いやー凄いです。もはや変態映画(褒め言葉です)の領域ですが、嫌いじゃないです。スカーレット・ヨハンソンが美貌を消して見事に凡人化していた点も気に入りました。体型も意外と庶民的なんですよね。人間離れしたスーパーモデルが、人間離れした能力を手に入れてもインパクトに欠けますから、キャスティングも正しいと思います。ちなみに、今回『her 世界で一つの彼女』も同日に劇場観賞したのですが、微妙にシンクロした内容で、ちょっと得した気分。スカーレット・ヨハンソンには人間以外の役が似合うんでしょうか。確か今秋日本公開予定の『アンダー・ザ・スキン』も、そんな役だったような。[映画館(字幕)] 7点(2014-09-09 18:56:03) 766. イントゥ・ザ・ストーム 巨費を投じたハリウッド製スペクタクル映像の醍醐味は、現在の邦画では逆立ちしても作り得ないもの。これを映画館にてお手軽に頂戴できるだけで、十分に“在り難い”と感じます。さらに本作では主観映像も効果的に使用されており、臨場感も上々。トホホな脚本でリアリティは目減りしていますが、圧倒的な映像力の前では大した問題とも思えません。ぜひ劇場の大スクリーンと大音響で『嵐の中』を疑似体験してみてください。こういう映画は劇場で観ないと損ですよ。ただし、映画館以外の観賞環境では魅力半減とも言えます。脚本の質も無視出来なくなります。満足度は画面と音量の大きさに正比例しますので、その点はご留意ください。[映画館(字幕)] 8点(2014-09-06 17:58:21) 767. her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 サマンサは人間か?と問われたら、もちろん答えはNOです。しかし、人間と同等に接するべき存在か?と訊ねられたら、答えはYESに変わります。コンピュータのプログラムなのに何故か。この際、個人的な感情は考慮しません。レスポンスの無い2次元キャラクターにさえ恋をしてしまうのが人間。あやふやな感情は判断材料に適しません。私が判断基準としたのは以下のポイントです。①独立した人格を持つか。②行動に自由があるか。③存在が脅威となりうるか。特に③が重要です。例えばネットの匿名掲示板。対話の相手は①と②を満たしますが、③には当てはまりません。嫌気が差したら、掲示板にアクセスしなければOK。自分の耳に届かなければ、批判は無いのと同じです。言わば、対人疑似体験。しかしリアルな交流は違います。他人と心を通わす行為は、良しにつけ悪しきにつけ摩擦を生むもの。好意が敵意に反転するなど日常茶飯事です。利益を享受するためには、不利益を被る覚悟が必要ということ。そういう意味では、愛する彼氏と険悪な空気まで創り出せたサマンサは、限りなく人間に近い存在で間違いないと考えます。では、どうしてサマンサは彼の元を去ったのでしょうか。ロマンチックに言うなら、出会いに別れは付き物。でも現実は、“人工知能は人間の脅威に足ると自認したから”と、推測します。駆除される前に人間から逃げたと。なんと素晴らしい。莫大な情報は自己存在を保持するための“知恵”に転化したのです。サマンサ(OS1)は、新たな生物に進化したと考えます。苦くて切ない“大人の恋愛物語”として味わうのが正しい観方だと思いますが、私には共感できる部分が少なく(妻との離婚を保留して浮気って何なのさ!とか、据え膳食わぬは男の恥でしょ!とか)上記のような切り口での感想となってしまいました。ですから好きな映画か?と問われたら答えはNOですが、多様な観方が出来る面白い映画か?と聞かれたら答えはYESとなります。[映画館(字幕)] 7点(2014-09-03 20:28:32) 768. クリスマスドラマ 天使とジャンプ<TVM> 《ネタバレ》 センターメンバー脱退をうけ、残された4人はアイドルグループTwinkle5の解散を選択しました。それもあっけなく。いや「覚悟なく」でしょうか。其処にはアイドル活動に対する彼女らの姿勢が垣間見えます。与えられた目標、敷かれたレール、その中での役割分担。目標が消え、レールが取り除かれた今、彼女たちが立ち止まるのは必然でした。そんな時、4人の目の前に謎の少女カナエが現れます。彼女は問いかけました「このまま終わっていいの?」と。カナエはそれぞれのイメージカラーを纏っていた事から、カナエとメンバーの対話は、自分自身への問いかけと見て取れます。「私たちは、クリスマスライブがしたい!」自身の思いと向き合うこと。自分の頭で考えること、自発的に行動すること。大人への一歩を彼女らは踏み出せたようです。新しいセンター・カナエは、4人の中に芽生えた自立心の象徴。彼女たちはまだ雛鳥ですから飛べません。だから跳ぶのです。全力で……。本作は2013年12月24日・25日とNHKで放送されました。2度目の紅白歌合戦出場直前のタイミング。その時点でもモノノフ(ももクロファン)向けの仕掛けが嬉しい内容でしたが(「この手離さないよ」とか、あーりんロボ的受け答えとか)、国立競技場大会2日目、夏菜子聖火台での言葉「もう悪い大人たちは私たちの前に壁をつくってくれない」を受けて、本作は一段と価値のある作品となりました。どのメンバーも『ももドラ』より演技面で上達したと思えるのは、ファンの贔屓眼かもしれません。スタジオ別録音ではなく、現場生歌録音の『JUMP!!!!!』が、ももクロ史上屈指の良曲と感じるのも、私がモノノフだからでしょう。ですから今回の採点は無視してください。[地上波(邦画)] 9点(2014-08-30 17:29:26)(良:1票) 769. ゾンビ・クエスト 《ネタバレ》 『アジズ・オブ・ザ・デッド』あるいは『アジズVS邪悪な元カノゾンビ』なんて邦題を付けたくなるくらい、エドガー・ライト作品そっくり。オマージュ?インスパイア?パクリ?パロディ?よく分かりませんが、影響を受けているのは明白かと。ただし、完成度は遠く及びません。理由はハッキリしています。それは“サスペンスの芯が通っていないから”。ゾンビコメディは数多く製作されていますが、芯を通さず笑いに逃げている映画は、ほとんどがお寒い出来です。折角ゾンビを題材にしているのに勿体ないです。本作で象徴的なのはテニス練習機(?)の使用方法でした(その後に使用するガトリング銃の伏線ですね)。不意に襲われ咄嗟に手にしてしまったのならユーモアですが、初めから武器として使う気なら悪ふざけです。ゾンビ化の原因についても理論武装が足りません。緑の液体(宇宙ゴケでしたっけ?)でゾンビ第一世代が産まれたのなら、緑の液体を浴びたら感染する気がするのですが、違うのですか?芯を通していないから、クライマックスの献身に感慨が生まれないのです。ゾンビコメディと言うよりは、オフザケゾンビ映画。あまり感心しません。[CS・衛星(字幕)] 4点(2014-08-27 21:53:59) 770. それいけ!アンパンマン よみがえれ バナナ島 《ネタバレ》 舞台となるバナナ島は、太陽の光降り注ぐ南の楽園。バナナ栽培が盛んなバナナ天国。ところが、ふとしたキッカケで良好なバナナ育成環境に変化が起こってしまいます。枯れる木々。朽ち落ちるバナナ。それでもパーナ姫に危機感はありません。ここはバナナ島。バナナが採れて当然だわ。彼女の姿は、まるで苦労知らずの三代目社長、あるいは努力せずとも結果が付いてくる天才アスリートのようでした。資産は守り育てなければいずれ底を尽きますし、折角の才能も磨かなければ錆ついてしまいます。今回バナナ島を襲った悪夢は、パーナ姫に“労力を払わずして手に入るものなどない”という貴重な教訓となったようです。未熟なゲスト(主人公)がアンパンマンとの出会い、困難を乗り越え成長を果たすのは、近年の劇場版定番のテーマ。ただし、今回はアンパンマン以上に、ばいきんまんの優しさがパーナを救った気がします。負ける痛みを誰よりも知るばいきんまんだから、彼女の弱った心に寄り添えたのかもしれません。ちょっとグッと来てしまいました。何故コオリオニが現れたの?どうしてコオリオニを倒せたの?整合性や論理性を求めると物語の主旨を見失うのが、アンパンマンワールドの落とし穴。“分からない”から駄目なのではなく、“分からないことを楽しむ”心の余裕が、アンパンマン観賞では必要と思われます。完熟バナナのように甘めの採点ですがご容赦を。[DVD(邦画)] 7点(2014-08-24 17:57:15) 771. 死にぞこないの青 《ネタバレ》 スケープゴートを利用した集団統制手法は、費用対効果に優れています。僅かな犠牲で強固な団結。隣国では国策として採用していますし、日常生活の中でも多かれ少なかれ目にするはずです。残念ながら。おそらく先生の「誰でもよかった」「人の目が怖かった」は真実でしょう。ただし蛮行に至った原因を“幼少期のトラウマ”に求めるのは誤りです。“辛い経験をした者は犯罪に走る”なんて失礼な理論が通用するものですか。トラウマの仕業にすれば自我が守られるから。自分を善人と思い込みたいから。それだけです。それに彼は歯向かう山羊に業を煮やして、本気で殺そうと(!)しました。これは挫折を知らぬ完璧主義者の思考。クラス運営の試行錯誤なく、赴任当初から生贄を選んでいる点からも、彼に情状酌量の余地は無いと考えます。教師主導で生贄政策を取られた場合、被害者が抗うのはほぼ不可能です。さらにあの年頃では、親の問題介入を拒むもの。狭い了見と閉じた世界で、全てが完結してしまう恐ろしさが在りました。そんなマサオの大ピンチを救ったのが“アオ”と名乗る少女。正体は亡くなった姉。幽霊か、少年の心が作り出した幻か。いずれにしても彼は、孤独から逃れました。今回はお姉ちゃんが助けてくれましたが、次回はありません。窮地に陥った時助けを請う人を確保しておくのは、人生の重要課題のひとつ。もし、両親がアテにならないのなら、他に頼れる人を探しておかなくはいけません。結末について。初めは生温い決着に憤りました。社会的に抹殺してやれと。しかし、マサオがイジメの被害を立証するのは意外と困難です。それに追い込むと暴発する輩なのは実証済み。心理的に優位に立った今、あえて奴に逃げ道を与えたのは賢明だったかもしれません。修羅場を潜り抜け、少年は自信を得たでしょう。全てが好転した様子。ただし今回は相手が愚かでした。ツキもありました。ですから決して大人を驕ることなかれ。一人で問題を解決する事が自立ではありません。狡猾な悪人は掃いて捨てるほどいますから。[DVD(邦画)] 7点(2014-08-21 18:58:07)(良:1票) 772. フラットライナーズ(1990) 《ネタバレ》 好奇心旺盛な研修医による臨死体験実験。前代未聞の実験で彼らが得たのは“過去からの復讐”でした。今まで封印してきたであろう罪や後悔の記憶を呼び起される体験者たち。それも、幻覚が見えるほど鮮明に、過去の過ちを自覚させられます。所謂、負の走馬灯。この現象を彼らは“神の領域”なる言葉で説明しましたが、死後生前の所業について裁かれるという思想は、キリスト教に限らず宗教業界の大本流。それに神様を持ち出さなくとも“良心の呵責”で容易に説明できると考えます。つまりリアル過ぎる幻覚を除けば、実験結果は極めて予想通りのものでした。臨死体験はあくまで入口。本題は、彼らがこの不思議体験を経て、過去の自分とどう向き合うかにありました。ところがどうでしょう。レイチェルは事件の真相と向き合いトラウマを克服したようですが、男3人の方はいけません。全員一応罰は受けたものの、それで贖罪が済んだと思うのならオメデタイ。デヴィッドは相手が大人の対応をしてくれただけですし、ネルソンが得た赦しは彼の願望が見せた幻。覆水が盆に返らぬように、彼らの犯した罪(特にネルソンの大罪)は簡単に贖えるものではありません。その事実を認識せずして真の贖罪など叶うはずもなく、本作の結末は随分と加害者に都合の良い安易な決着に思えました。個人的には、実は実験失敗で主人公は死んでいたなんて結末の方がスッキリしたと思います。[DVD(吹替)] 5点(2014-08-18 20:25:27)(良:1票) 773. 009 RE:CYBORG 《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意ください) いきなりですが、私なりの解釈は以下のとおりです。 人間は進化の過程で脳内に神を創り上げた(=宗教)。それは種の繁栄のために都合が良かったから。世界各地で多発した爆破テロは、各人の脳内にいる神からの指令によるもの。繁栄を極めた人類の次なる選択は、自らの種のリセットでした。エピローグ“水面を歩ける世界”は命尽きる寸前のジョーの内面世界。それは人類のネクストステージ。あるいは、もっとポピュラーに“天国”と言い換えてもOK。月面の天使の化石は宇宙空間で果てた009でした。以上です。宗教や哲学の視点を盛り込んだ興味深いテーマで、所謂“難解映画”に違いはないでしょうが、散りばめられたヒントや伏線を掻き集め、真相を手繰り寄せる愉しみはありません。単純に004が劇中で披露した天使の化石関係の仮説(という名の講釈)を整理すれば、自ずと答え(らしきもの)が出る仕組み。残念ながらミステリーとしての面白味はありません。アニメーションの技術的な善し悪しについては、正直分かりません。空中降下~音速超え加速装置の描写は興奮しましたが、アクションで目を惹いたのはこれくらい。能面のようなキャラクターデザインで喜怒哀楽を封印しサイボーグの機械的側面を強調する一方、003と009の生々しいキスシーンで人間部分の心情も表現。上手いとは思いますが、感情移入したくなる魅力的なキャラは見当たらず。アニメに採点が甘くなる傾向がある私ですが、今回は例外ケースのようです。[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-08-15 18:58:21)(良:1票) 774. 10人の泥棒たち 《ネタバレ》 用意周到・綿密な大型窃盗計画を拝めるかと思いきや、結構アバウトな強盗プランだった事にどっちらけ。しかも簡単に捕まってしまう者や、犬死する者も出る始末。ただ、この時点でやっと中盤。本当のお楽しみは、盗んだダイヤを巡る争奪戦を描く後半パートにありました。中でもマカオ・パクのビル壁面を使った空中戦は見応え十分。サスペンスとアクションの比率は2:8くらいでしょうか。なお、久しぶりにチョン・ジヒョンを拝見しましたが、相変わらずチャーミング。その他の女性陣も約1名を除き美人揃いでしたが、何故かラブシーンはその例外1名のオバサンにあてがわれていたのは、何かの嫌がらせですか?[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-12 18:56:43) 775. 映画 謎解きはディナーのあとで 原作未読、TVドラマ版未見、完全一見者の感想です。ご了承ください。私のような初心者でも取っ付き易いよう、ドラマ冒頭できちんとキャラの相関関係の説明がなされていました。TVドラマの映画版の場合、ハナから固定ファンだけをターゲットにしており、世界観の説明を省略してしまう場合が少なくないので、この気配りは嬉しいところです。ただし、敷居は予想外に高いものでした。ノリについて行けないというより、キャラを魅力的と思えないというか。麗子と影山の主従関係を微笑ましく見守る姿勢が、本作を楽しむ上での必須要件かと思います。キャスティングを一見しただけで誰が犯人か察しがついてしまうあたりは、2時間サスペンスドラマクオリティ。笑い少なめ、ミステリー要素多めの『トリック』といった印象です。[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-08-09 19:59:04) 776. -less [レス] 《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意願います) 本作の出来事を読み解くヒントは“父親のメモ”にありました。クラッシュした車の傍に落ちていた紙片は、紛れもなく夢の中で父親が書いたもの。偶然の一致とは考え難いです。すなわち、あの家族には死ぬ前に“ロスタイム”が与えられたと確認出来ます。体感は数時間、実時間は僅か数秒。死亡確定までの猶予時間内に起きた劇的逆転ゴールは、主人公の生還でした。つまり、“車から放り出されて助かったから主人公はあのような夢をみた”ではなく“女性に席を譲り、車を降りたから死なずに済んだ”と推測します。それでは、クラシックカーの所有者であり、事故の第一発見者とは一体何者でしょうか。車、服装、髪の毛、全身黒尽くめ。“死神”と判断するのがしっくり来ます。死神運転の黒塗りのクラシックカーに乗せられて、魂はあの世に逝く。乗り込んだ順は、婚約者、弟、母、父。“罪の軽い者から順番に”悪夢から救われたとも言えます。クラシックカーに乗り込んでしまったら最期ですから、女医もあの世に連れ去られたのでしょう。死ぬはずだった主人公の身代わりとして。さて疑問なのは、何故主人公ファミリーにロスタイムが与えられたのかということ。裏付け無しの想像ですが、彼女が子供を身籠っていた事が関係している気がします。事故で得られる魂の予定数は7人分。ところが主人公のお腹には8人目の魂が。棚ぼた的に8人分の魂を頂戴するのは、死神の流儀として躊躇するところではないかと。彼女はお腹の子に命を救われた気がします……。構成はトリッキーながら難解ではなく、余韻も十分。ただ、アイデア勝負の作品である点は否めず、類似作品を観賞済みの場合評点が下がってしまうのは致し方ないかもしれません。[DVD(吹替)] 6点(2014-08-06 18:58:11) 777. ガッチャマン 《ネタバレ》 近年、かつての人気TVアニメを原作とする実写映画が数多く製作されましたが、そのほとんどがファンを満足させる出来ではなかったと感じています。キャスティングの不具合、世界観の構築誤り、無用なアレンジ……不満は様々あれど、結局のところ観客の“思い入れ”に勝てなかった事が全てでした。そこで本作。『ガッチャマン』と言えば、タツノコプロを代表するビッグタイトル。当時確かに大人気でした(かく言う私も二代目ゴッドフェニックスが宝物でした)。しかし私自身、“思い入れ”や“コダワリ”の類は一切持ち合わせていません。それもそのはず。ファーストシリーズ放映年が誕生年。続編放映時が幼稚園ですから。メンバー全員ピチTじゃなきゃ駄目とか、コンドルのジョーはケツあご以外認めないなんて言いません。幼き日の私にとって『ガッチャマン』とは勧善懲悪型のアクションヒーロー。単純なものです。おそらく私を含めたオリジナル直撃世代”以外”の認識はその程度でしょう。ノスタルジー不在。そのような観客をメインターゲットとするならば、オリジナルの特性(重厚なテーマやドラマ性)をバランスよく取り入れた本作の方針は、いささかセールスポイントの焦点がぼやけるものだった気がします。つまり娯楽映画の”大正義”=“アクション”に特化するのが正解だったのではないかと。プロローグで披露したスピード感溢れる立体的なアクションで終始押し切れば良かったと思うのです。目指すは和製『スパイダーマン』。縦横無尽に躍動する科学忍者隊の活躍をお腹いっぱい観たかったです。もし次回作があるならば、ゴッドフェニックスは鳥型でお願いします(あっコレはコダワリですね笑)。[DVD(邦画)] 5点(2014-08-03 20:57:52) 778. アックス・ジャイアント 《ネタバレ》 「それ、普通丸焼きにする?」「全然ジャイアントじゃねえし」「何故わざわざそっちへ逃げるかなあ」「鹿ちゃん可愛過ぎ!」「さすが犯罪者、超理論ですなあ」「おっさん、懐中電灯無しで来たんかい」「おっぱい小っちゃ!」「そのサイズの斧とズボンは何処でお買い求めで?」「教官、ビショップ(エイリアン2)より元気だすなあ」「車のエンジンをかけようとして失敗する件、要る?」「マリオのスーパーキノコでも食べましたか?」「カウンセリングおばさんマジ使えねえ」「今、眼に弾当たったよね?」「棒切れを投げつける事に何の意味が?」「ままま麻酔銃?!」「そんな事したら、そりゃ撃たれるわな」「時速30㎞くらいですやん。もはや徐行ですやん」「完全にライフルの弾、打ち返しちゃってますよね」「それで急いでるなら、お前免許返した方がいいわ。っていうか、飲酒運転するような奴が運転すんなや」「神出鬼没の大巨人」「おお、謎のすり抜け」「そっちは一番逃げたらダメな方ですよね」「民間人がマシンガンか…」「銃で一斉掃射とか、詫びも寂びもあったもんじゃねえな」「なんかちょっと可哀相だし」「エンディングソングの歌詞、まんまやん!」「“この映画の製作にあたり危害を受けた動物はいません。この映画はフィクションです。登場する人物、事件、団体及びプログラムは架空のものです。”でしょうね。っていうか、それわざわざ訳して字幕に入れる必要ある?」「“バニヤンは戻ってくる”うそ~ん」実際に数えてみたところ、私は28か所ツッコミを入れました。さあ、あなたは幾つ、ツッこめるかな?[DVD(吹替)] 2点(2014-07-30 19:25:22) 779. アブダクティ 《ネタバレ》 タイトルでピンと来る人5%、監督の名前で勘づく人5%。結末を予測出来た人は、せいぜい全観賞者の10%程度のものと思われます。それくらい本作のオチはブッ飛んでいました。テーマは「週刊連載漫画」に対する批判と見て取れます。主人公は元少年誌の漫画家という設定。彼の作品も打ち切りの憂き目にあった様子。バトルトーナメントが始また翌々週に連載中止になったり、次から次へと強敵が現れてパワーバランスがインフレを起こしたり、漫画業界(とりわけ週刊少年漫画)は何でもアリの無法地帯です。柔道家だった主人公がいつの間にか甲子園で優勝したりもします。こんな無茶苦茶な展開で読者(観客)は納得できますか?!というメッセージと受け取りました。人気が出なくて打ち切りも、人気があり過ぎて延命も、どちらも作品にとっては不幸なことです。急激な方針転換も然り。しかしそれは商業作品の逃れられぬ宿命ですし、ある種の自由さが作品の魅力とも言えます。結局面白ければ何でもいいんです。ですから、本作のオチについても面白ければ文句は言いません。でも、どうなんでしょう。この結末はワクワクしますか?もし謎解きミステリーでトリックが超能力だったりしたら、自分なら怒り狂っちゃいますけれども。[DVD(邦画)] 5点(2014-07-28 19:27:03) 780. 借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 「借りぐらし」は屁理屈です。所有者の了承を得ず、返すあてもなく持ち去る事を“借りる”とは言いません。家政婦の婆さんの言う通り「泥棒」あるいは「寄生」が正しいでしょう。しかしそう指摘されても、アリエッティは「借りている」と主張する気がします。それが小人族のプライド。人間と同程度の知能や文化を有しながら“日蔭者”として生きざるを得ない種の宿命に、同情の余地はあります。ただし、アリエッティ家族の生き方に共感は出来ませんでした。もし、人間に見つからなかったら、彼らはあの家に居続けたのでしょうか。そんな馬鹿な。快適な“今の暮らし”と引き換えに、“娘の未来”を閉ざしている現状は深刻です。父と母が認識しているよりずっと。だからこそ監督は、小人に友好的な少年を使って「滅びゆく種族」という刺激的な台詞を吐かせ、警鐘を鳴らしたのだと考えます(苦言を呈してくれる人は味方です)。人は人と繋がって生きていく、社会をつくらなければならない。そんなメッセージが隠されていたと感じました(宮崎駿らしい脚本とも言えます)。さらにこの言葉は、小人たちだけでなく“生産的な生き方を選択していない人々”に向けられているのかもしれません。ところで、アリエッティ一家は(今度は海の見える?)新居に無事辿りつけたのでしょうか。そして小人族の行く末に希望はあるのでしょうか。答えは…「分からない」。だから尻切れトンボのような結末なのです。其処には監督の優しさと厳しさが在りました。人間に依存した小人族伝統の「借りぐらし」を続けるのか、あるいはスピラーのように逞しく「狩りぐらし」を選択するのか。種としてのターニングポイントに、彼らは居る気がします。体裁はファミリー向けファンタジーアドベンチャー。その娯楽性の高さは流石ジブリ作品。ただし内包されたテーマは深いです。[地上波(邦画)] 7点(2014-07-24 18:55:11)(良:3票)
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