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プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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61.  ブレーキ・ダウン アクションというより、むしろサスペンス、ホラーとして観たほうがいい。この映画最大の特徴は、不気味すぎる敵役の造型にある。平凡な家庭を営む善良な一般人のような顔をして、地味な、しかし冷酷な犯罪に手を染める。動機は単純にお金。生活費の足しにでもするつもりか、大それた目的はない。なんというか、淡々と仕事をするように、平然と残酷なことをするのだ。普通の人の仮面を被りつつも、まったく良心というものがない。貴志祐介の『黒い家』を思わせる、異様な犯人像だ。  ストーリーは運のない主人公が犯罪に巻き込まれ、孤立無援の窮地に追い込まれるという一見『ダイハード』的な流れ。だが圧倒的不利をどのように挽回するかという娯楽的な面で孤立を描く『ダイハード』に対し、こちらはひたすら恐怖を煽る。助けはどこにもなく、主人公は刑事でもなんでもないごく平凡な男。いつ殺されてもおかしくない状況下で、針の穴を通すようにぎりぎりで危機を乗り越えていく。おまけにとことん地味で、リアルである。  『ジョーズ』公開の翌年には海水浴客が減ったそうだが、この映画を観た後ではアメリカの片田舎を自動車旅行する気にはなれない。荒れ果てた広大な土地に、だだっ広い道路が一本だけ。助けを求めても誰にも届かないのだ。  アクションの棚ではなくサスペンスの棚にあったならもう少し注目されていたであろう、秀作。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-12-07 02:52:52)(良:2票)

62.  悪魔のえじき/ブルータル・デビル・プロジェクト これは…キてます、かなりキてます。監督は確実に頭のネジが緩みまくったお方で、常人には思いつきもしない、思いついたとしても人格を疑われるので実行に移さないでおくようなことを平然とやってのける。途中でカンフーを出したくなったからといって主要登場人物を皆殺し。脚本が事実上リセットされてしまうという離れ業! しかもどうみても普通の玩具の怪獣を手で動かしているだけなのに、「怪物」と言い張るその強気ぶり! ていうか無意味な裸を出しておいて、モザイクかけるの忘れてるぞ。ゾンビとの戦いは、残酷の度が過ぎてもはや物理法則すら無視している。役者たちはすべて大根、やる気もない。たぶん現場で元気だったのは、監督だけだったのではないだろうか。超エネルギッシュなだけの、大バカ野郎……想像するだに恐ろしい。あらゆる意味でありえない映画である。配給会社はあきらかに適当なモノローグを付け足してブレア・ウィッチっぽく見せかけているが、これについては許そう。さじを投げるのも当たり前、叙情酌量で無罪だ。字幕もまったくやる気が感じられない。中国人に対して悪役たちがぶつける差別語がなぜかすべて中華料理に翻訳されているのには驚いた。「このチャーシューが!」とか「死ねラーメン野郎!」とか罵られても、中国人も怒るに怒れないと思う。  そして一番恐ろしいのは、原題に「Ⅲ」という文字が入っていること。すでに第三弾らしい。何を考えているんだドイツ人は?? このソーセージ野郎どもが![ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-02 20:18:46)

63.  ギャラクシー・クエスト 前半のマイナス要素が、後半になってすべてプラスに転じるというカタルシス。似たような話の流れを繰り返して主人公の成長を示すというテクニックはしばしばみられるが、これほどきれいな形で着地させている脚本は珍しい。巧みに張り巡らされた伏線が収斂していくさまは、ほとんど推理小説のように秀逸だ。基本的には笑えて楽しく、それでいて何度も目頭が熱くなる。夢中になってのめり込んで、待っているのは爽快なハッピーエンド。娯楽作品としての一つの理想形ではないだろうか。[ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-02 20:15:40)

64.  王妃マルゴ 血なまぐさい宗教戦争と権謀術数飛び交う王宮のドラマを、カラヴァッジョの絵画を思わせる暗く陰惨な映像で雰囲気たっぷりに描いている。全編に渡って暗闇が多く、ラストシーンでようやく美しい日の光が差してほっとさせられた。それぞれの思惑が絡み、もつれた末に、思わぬ結末に至る運命的な物語が面白かった。  しかしマルゴを含めたすべての登場人物に距離を感じてしまい、入り込むことが出来なかった。マルゴの丁寧な心情描写がないので、彼女がどんな人物なのかをつかみにくい。アンリが一番共感しやすかったが、彼よりもマルゴとラ・モールに感情移入させる作りにしなくては話にならないのでは?   映像に凝っているようでいて、とりたてて美しいと思える場面が少ないのも残念。いちばん印象的なのは、暗闇に白く浮かび上がるカトリーヌ・ド・メディチの顔。どう見ても吸血鬼ノスフェラトゥ(笑)。歴史に残る悪女とはいえ、あんまりな扱いだ。[DVD(字幕)] 6点(2005-11-15 16:57:27)

65.  フロム・ダスク・ティル・ドーン ものすっごい、バカ。これでタランティーノが好きになりました。映画って何やってもいいものだと思うんですけど、タランティーノほど無邪気に、ばかげたことを平気でやっちゃう人は存在しない。唯一無二、子供のような天才です。  絶対に読めない後半の展開。深い人間ドラマも何もなく、脚本は意図的に破綻させられている。まちがっても完成されている作品とは言い難い。それなのに、感動してしまった。この超がつくほどのバカぶりに。どこまでも自由な、あまりにも自由なタランティーノに。万人受けするものではないが、個人的には心から楽しむことが出来た。  常識的な考え方、大人ぶった良識にファック・ユーを突きつける爽快感。中学生の頃に初めてこの映画を見てから、自分の心を縛っていたある種のくだらない思い込みを振り払うことが出来たように思う。もっとバカになって、はちゃめちゃに生きてもいいんだ、むしろそうしなきゃ損なんだと思えた。常識を捨てて、バカをやることの素晴らしさというものを教えてもらった。こういう作品に出会わなかったら、自分は今よりずっとつまらない人間になっていただろう。そんな思い入れをこめて、大サービスの10点。[ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-14 00:57:22)(良:1票)

66.  12人の優しい日本人 根本的なところに疑問がわいてくる。陪審員が推理して有罪だ無罪だと騒いでいるが、状況証拠しか存在しない以上、最初から推定無罪であることはわかりきっている。有罪を主張する陪審員の推理は、すべて偶然で片付けることもできるようないい加減なもので、あれで人の有罪無罪を決められたらたまったもんじゃない。被告や被害者がいちいち合理的に行動したとは限らないし、物理的な証拠はゼロにひとしい状況ならなんとでも「推理」できる。ピザの大きさで殺意の有無を測れると?  陪審制度の危うさに警鐘を鳴らす意図があるとしたら、大成功を収めているといえるだろう。ハッピーエンドを迎えてしまう本家よりもずっと。  パロディをやる以上、ある意味では本家を超えるネタがないと単なる退屈な二番煎じになってしまう。どんでん返しの数で本家を上回り、テーマ自体も対照的なところにあるこの作品はパロディとしては最も秀逸な部類に入るのではないか。  ただし、時代もあってか、別に笑えない。ところどころ面白い場面もあったが、とてもコメディとして優れているとは言えないのが難点だ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-01 09:01:41)

67.  運動靴と赤い金魚 テレビ番組「はじめてのおつかい」を髣髴とさせる、子供の可愛さ全開の作品。兄のえなりかずきを思わせる老け顔が気になったが、あまりの情けなさに可愛く見えてくるから不思議だ。妹も文句なしに可愛らしい。「天使のような子供たち」という原題にあざとさを感じずにはいられないが、わかっていても監督の術中にはまってしまう。DVD特典の採用秘話は必見。  ラストでは金魚がお兄ちゃんの頑張りを称えてくれたということかな? けっしてカバの背中をつつく鳥みたいに、寄生虫をエサにしているわけではないよね? あと、親父、お前はもっと頑張れ。[DVD(字幕)] 7点(2005-10-28 04:57:01)

68.  キリクと魔女 《ネタバレ》 魔女の呪いが解けた瞬間に咲き零れる花々があまりにきれいで、なんだか涙が出そうになった。ストーリーよりも映像に感動して泣きかけたのは初めてのことだった。  実際この映画を元に画集を出せるんじゃないかってほど画の質は高い。緻密な描き込みや、原色に近く、それでいて透明感のある色彩には息を呑んだ。たとえ地中であっても、よく見ると背景に不思議な模様がある。最初の村の場面にはノルシュテインを連想したけど、この強烈な色彩感覚は誰にも似ていない。アニメーションよりもむしろ絵画に近く、アンリ・ルソーや(他の方も言及していらしたが)ゴーギャンを思わせた。  物語はおとぎ話調で、終盤はとくに一寸法師に似ている。ほんとはこういう寓話的な話は好みではないのだけれど、キリクがお祖父ちゃんにすがりつく場面でちょっぴりぐっときた。魔女を口説く場面など、寓話のようでいて妙に生々しいところもあるのが面白い。 キリク「小娘なんかに興味ないよ!」って、おいおいお前が言うのかキリクよ。 魔女「どうせ召使いが欲しいだけなんだ」 キリク「召使い扱いなんかするもんか!」 魔女「男はみんな最初はそういうのさ」 なぜか急に夢のない話に……。[DVD(字幕)] 8点(2005-09-29 14:02:42)(良:3票)

69.  宇宙で最も複雑怪奇な交尾の儀式 宇宙では地球人は「ファック星人」と呼ばれているらしい……あんまりである。けっこう地味(宇宙人視点なのに宇宙人は声だけ)なのに、すごく笑えたのはセンスがいいからだろう。精子の擬人化ネタには驚愕した。ばかばかしいのも限度を超えるとリスペクトに転じてしまう。ていうか、監督と友達になりたいな。[DVD(字幕)] 6点(2005-07-31 01:36:24)(笑:1票)

70.  ギルバート・グレイプ 生きていくうえでの痛みを乗り越えていくためには想像以上のパワーが必要になる。夫が自殺したら体重200キロを超えるまでバカ食いするのも当然だ。その重みで家が軋むのも、そこに住む家族の生活が歪むのも当然だ。今にも床が抜けそうになり、補強して何とか持ちこたえてる。  一番印象に残ったのはあの母親が留置場の息子を取り返しに行くために7年ぶりに外出する場面。彼女が外出して、ベッドで眠るために二階に登った辺りから、家族全体が回復し始めたように思う。彼女の死が家族にとって都合が良すぎる、と感じる人もいるだろうけど、もし彼女があの後生き続けたとしても、家族の足手まといにはならないようにそれなりの努力をしたと思う。あのとき彼女はすでにそれまでの彼女とは違っていたはずだから。ほんとうに家族を解放したのは彼女の死ではなくて、彼女の生への意志だったはずだ。  この映画はギルバートの心に背負った重荷を少しずつ捨てていき、歩いていけるくらい身軽になるまでを静かに描いたものなんだろう。終盤は冒頭をなぞるようなエピソードが多いが、それだけに確実に何かが変わったこと、それもいい方向に変わったことがわかる。死ぬために生きているような生活から、生きるために生きる生活へ。映画全体に、苦悩する登場人物たちをゆったりと見守るようなやさしい時間が流れていて、鑑賞中何度も泣きそうになった。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-05 13:20:06)(良:3票)

71.  ルナティック・ラブ/禁断の姉弟 荒涼とした光景が忘れられない作品。大切な時間を噛みしめるようにお互いを抱く二人が幸せそうなだけに、安穏な生活の終わりを暗示する結末が切ない。ジュリーの「…わたしたちは正しいよね?」の言葉には胸を打たれた。真実はセメントで塗り固められ覆い隠されたかのように思えたのに、やがてひび割れ、あっけなく崩壊する。堅牢に見えた庭は実はとてももろくて、それがどんなに楽しかったとしてもけっして長続きしない。喪失の痛みをごまかすために築かれた生活が、結局はその痛みをより大きなものにしてしまうやるせなさ。 シャルロット・ゲンズブールの瑞々しい魅力も印象に残る。そりゃ弟も惚れるって。[ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-25 18:41:19)(良:1票)

72.  うなぎ 潔癖で妻の裏切りも許せなかった男が、不倫して妊娠して金融とトラブル起こした女とやり直す。人間の汚さを受け入れられるようになってようやく安住が訪れ、うなぎと会話する生活から脱却できるようになる。テーマとしてはシリアスなんだけど、笑えます。いくら人間不信だからって、うなぎが友達かよ! 高崎の言う通り、幼稚園児レベルだと思います。いやなやつでしたが、なんだかんだいってあの変態の罵倒が山下にとって一番ためになるアドバイスだったんじゃないでしょうか。[ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-24 11:27:58)

73.  バートン・フィンク なぜか面白いが、なぜ面白いのかよくわからない。理屈でストーリーを説明できなくても、鮮烈なイメージだけでも充分楽しめる。 ただし、脚本はあまり好きじゃない。他のコーエン映画で観たような気がするシーンが数回あった。とくにコーエン兄弟の映画で描かれる犯罪は、いつも行き当たりばったりで解決の仕方まで偶然だったりして、うすっぺらい印象を受ける。コーエン兄弟はそういうのが好きなんだろうが、個人的には何が面白いのかよくわからない。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-05-08 14:51:03)

74.  ホーカス ポーカス ハリポタとかと比べるとまったく地味な話なんですが、三姉妹の魔女のキャラクターが強烈で楽しめました。妹二人のバカぶりが○。歌唱力には驚きです。ハロウィンで魔王の仮装をした男性を勘ちがいして崇めたり。口臭のきついゾンビや、とことんださい田舎の不良も好き。この映画の悪役は憎たらしいはずなのにとぼけていて憎めないんです。その代わり、主人公二人のキャラクターはとても薄っぺらいんですが(とくにヒロインの存在感のなさ!)。 ストーリーが町を駆けずり回るだけで終わるので、もっと派手なクライマックスがあればよかったと思います。 それにしても、子供向けの割には台詞で「童貞」を連発しすぎですよね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2005-04-20 17:31:04)(良:1票)

75.  ロゼッタ 終始、眠気との闘いでした。主人公の行動は訳がわかりませんね。知的障害者なんでしょうか。 深読みしようとすればできるんでしょうけれども、そうする気になれないほどつまらない。エンターテインメントしろとは言わないけれど、少しは観客の興味を惹こうとする努力をしてはどうかと。いや、他の方のレビューにもあったように、ロゼッタに感情移入できれば面白いのでしょうが……。僕はロゼッタにむかつきこそすれ、全然好きになれませんでした。 同じ監督の『息子のまなざし』はなかなか面白いと思ったんですけどね。40分くらいの短編にしてくれれば良かったと思います。90分観てこれだけだと、とても損した気になります。2点(2005-03-07 00:26:24)

76.  シュウシュウの季節 《ネタバレ》 眩暈を覚えるような怒りと、不快感。とくに病院でのシーンでは吐き気すら感じました。前半のシュウシュウが可愛らしいだけに、映画が終わったあとしばし呆然としてしまいました。  ただし、あまりにも悲劇を演出しすぎている点が鼻に付くのも確かです。あからさまなセックスシーンなど、「ほうら、こんなに可哀そうでしょ」という製作者の声が聞こえるようで…。『ほたるの墓』を思い出します。当時の政策を批判するために、とにかく悲惨な話にしようとしたのかな、と。 いや、丁寧な作りだし、なんだかんだいって泣けたし、こういう映画があってもいいと思うんですが、政治的な意図が見えるようで個人的には引きました。 悲惨すぎて、思考停止してしまうんですよね…7点(2005-03-04 22:17:30)

77.  ブルー・イン・ザ・フェイス 変てこな映画ですね。ストーリーもほとんどなく、全編味わい深い遊び心でできている。普通ならストーリーの装飾となる部分ばかりをかき集めた結果、ブルックリンという町の姿が自然と浮き上がってきます。住人のささやかだけど素敵な人生がうらやましく思えるんです。  深い意味がないけど味のあるエピソードを連ねるところなんか、ちょっぴり『パルプ・フィクション』を思い出しました。8点(2005-03-01 15:12:22)

78.  パリ・ルーヴル美術館の秘密 なんにも、面白くないですね……。説明もなく、たんたんと働いている人たちの姿を映すだけ。その様子も大して物珍しい作業でもない。たとえば絵の運搬風景は普通の引越しと変わらないし、救命訓練はただの救命訓練であって美術館とはあまり関係ない。またほぼ事務的な会話しかしない職員たちに感情移入することも魅力を感じることもない。インタビューや解説は意識的に排除したんでしょうが、失敗でしょう。非常に退屈。電車の窓から眺める風景の方がまだ楽しいくらいです。1点(2005-02-23 22:26:51)

79.  バッファロー'66 都合のいい話と言われたらそれまでなんです。でも、そこがいい。 とことん情けないダメ男ビリー。でもレイラはビリーのダメな部分を知っていてなお、「あなたほど素敵な人はいない」と無条件に愛してくれる。大抵の人はこういう愛情を両親からもらいますが、ビリーにはそれがない。そのままの自分を受けいれてもらったことがないと、普通の自尊心を持つこともできない、心の安定を欠いた人間になってしまいます(単純な言い方ですが)。あれだけ冷たくあしらわれているのに、親の関心を買おうとするところなんかリアルで、すごく痛々しい。 そのビリーに向かって、「あなたは世界一優しい人、世界一ハンサムな人」ってレイラが言うシーン。もちろんそんな訳ないんだけど、それでもあんなふうに言ってくれる。たいしてのめり込んで観ていたわけではなかったのに、そこでポロッと泣いてしまいました。 親との歪んだ関係にとらわれてバカげた罪を犯しそうになったビリーが思いとどまったのも、あの言葉があったからでしょう。ビリーがレイラのような女性に好かれるなんて、ストーリーとしてはご都合主義と思われても仕方がありません。しかし、ビリーのような人にはそんな奇跡的な出会いが必要でした。 これはラブストーリーであると同時に、心に何かが欠けた人間が満たされるまでを描く物語でもあるのです。とても優しく、希望に満ちた映画でした。9点(2005-02-23 21:17:37)(良:3票)

80.  パルプ・フィクション 時系列をばらばらにするプロットは普通ミステリーの文脈で使われるものだが、この作品はちょっと違う。無意味なものの積み重ねが、やがて絡み合い、だんだんと大きなうねりのようなパワーを生み出していく。 どこか頭のネジの足りない連中が、だらだらと無駄話をして、ときどき無節操に暴力をふるい、そしてちょっとした偶然に人生を左右される。その滑稽で、暴力的で、いかれた、しかしどうしようもなく人間くさい生き様――粗悪な紙に汚い言葉で記された俗悪な内容が、不思議と人を惹きつける。 この映画には意味がない。だけど確かに価値がある。10点(2005-02-21 06:23:59)(良:2票)

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