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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
61. ガス人間第一号 《ネタバレ》 自在に気体になることが出来る体を持った男と、踊りの美人家元との愛と葛藤の物語。 一つの超科学を想定したSFドラマであるのは、『電送人間』『美女と液体』と同じだが、こちらはガス人間と美人家元との、倫理を超えた愛(不倫って意味じゃなく)の物語が織り込まれ、他2作よりも見応えのあるものになっている。 表面的な倫理観で、人の思いを拒絶する女が多い、凡百の創作物中の女と違い、この家元・藤千代は、人殺しで銀行強盗の、狂気の愛とも言える思いを受け入れる。ここが、実にいい。そして、それでもこのまま生きては居れないという、藤千代の最後の選択が泣かせる。[DVD(邦画)] 6点(2012-10-09 01:31:25)《改行有》 62. 電送人間 《ネタバレ》 人間を伝送できるという超科学が、犯罪に使われる話。 物語のキモは、人間を伝送する技術によって、犯人が忽然と消え、また鉄壁なアリバイを作ることができる、その犯罪と警察の闘い。 本来なら、逃げ場のないところから犯人が消える謎、あるいはあるはずの焼死体が消えた謎、鉄壁なアリバイの謎などを提示して、観客を物語に引き付けるんだろうが、その辺が弱い。 それと一応、戦時中に横領した金にまつわる復讐譚、というドラマがあるが、さすがに今となっては魅力にかける話。『液体人間』の時と同じような、単なる事件記録を見ているような味気なさ。[DVD(邦画)] 4点(2012-10-09 01:30:05)《改行有》 63. 銀座の恋の物語 《ネタバレ》 夢を追う若き貧乏芸術家、認められずに悪事に落ちる仲間、事故で記憶を失った恋人。もはや古典的なキャラクタと状況で、どうなるのか想像もつくんだけれど、それでも面白く見られるのは、彼らキャラクタの魅力にヤラれてしまっているからだろう。悔しいけれど(何故?)裕次郎はそれなりに格好いいし、浅丘ルリ子は、カワイイ。それに、なんといってもこのストーリー、というか最後に記憶を取り戻すシチュエーションは、所謂テッパンの感動物語なのだと思う。 ところで、ジェリー藤尾の悪事が、最初は何だか分からなかった。人に教えてもらってやっと密造酒絡みだと知った。そういえば、なんにも貼ってないボトル、とか、散乱しているラベルなど描かれるが、こういうのは当時の社会状況を知らないと、厳しいかもしれない。 古い邦画を見る時の楽しみの一つは、昔の風景だが、銀座となると、今でも残っている建物も多く、「あれはどの辺だろう」などと考えを巡らせるのも楽しい。信号機の周りの緑・白の枠なんか、久しぶりに見たわ。[DVD(邦画)] 6点(2012-10-07 08:23:33)《改行有》 64. ある街角の物語 《ネタバレ》 音楽に乗せて動く、ポスターに描かれた人たちが愉快で面白かった街角。軍関係のポスターが現れ、壁中を席巻する様は、明らかに軍事批判なんだけど、戦争によって街はひどい事にはなったが、同時に様々な事が解決している。 女の子は、ぬいぐるみを取り戻せたし、街路樹は種を地に蒔くことができた。二人の音楽家のポスターも、添い遂げ二人の演奏をすることができた。 普通に考えれば、どんなに困っても煮詰まっても、戦争というのはすべてを破壊してしまう、という事なんだろうが、私は逆に考えてしまう。 ま、生き残った女の子と木々の新芽が、希望を感じさせるのだけは確かである。希望というのはいつでも、「これからの命」にあるものだ。[DVD(邦画)] 7点(2012-10-06 18:10:19)《改行有》 65. ネバダ・スミス 《ネタバレ》 両親を殺された、白人・インディアンの混血児の復讐譚。 3人の犯人のうち、2人目を倒した後で、神父だか牧師だかに救われ、復讐を諌められる。3人目の悪事に相乗りするかに見せて、その現場で復讐を果たそうとするが、この男だけ息の根を止めるに至らす、大怪我を負わせただけで、去ってしまう。 キリスト教徒的には、あるいは、現代的なモラリスト的には、いい結末なんだろうけど、この人はインディアンの女の善意と希望を踏み越え、土着の農業女の命の犠牲の上に、そこに至っているのだから、初志貫徹して欲しい気がする。 最後に出てきた、主人公に銃と復讐の手ほどきをした商人が、最後の最後になにか絡むのかと思ったが、残念。ここで出てくると、彼の別れ際の言葉「仲間と言えども信用するな」が、重要な伏線として、効いてくるのかと期待してしまうじゃないか。[DVD(字幕)] 5点(2012-10-03 23:21:54)(良:1票) 《改行有》 66. 男はつらいよ 《ネタバレ》 モノクロから始まる導入部、公開時にリアルタイムで見た人たちは、当時の白黒のTV版を思い出しながら、見たのかなあ。 物語の始めこそ、状況説明的に描写が進むが、さくらのお見合いの席あたりの寅さんの「舌好調」ぶりは、今見るとイタイほど。見ているこちらが恥ずかしくなってきて、いたたまれない。当時はあれが、庶民感覚として受け入れられていたのだろう。 それにしても、志村喬、というか子を思う親の心は泣かせるなあ。寅さんじゃないけど、すっかり気持ち持ってかれる。 そして、寅さんの初フラれ。意外とあっさりしていて、ちょっと拍子抜けではある。 後に何十作と作られるシリーズの、ほぼ基本的な構造が、第一作目にして出来上がっていたことに驚いた。というより、何十作も見たくなるような、フォーマットを的確に作り上げたセンスに拍手、と言うべきか。[地上波(邦画)] 8点(2012-10-01 10:08:55)(良:1票) 《改行有》 67. タイム・マシン/80万年後の世界へ 《ネタバレ》 時間を自由に移動できる、という発想とその描写に対して、行った先の世界の魅力が釣り合ってないのが残念。「良い世界ではない」という意味ではなくて。 未来に行って、大冒険をして帰ってきたが誰も信じない、という、この「大冒険」の部分の面白さと、信じてくれないというオチを見せたかったのだろうが、いかんせん、「未来に行く」という部分の魅力が大きすぎるのだと思う。花の開花の微速度撮影など、映像的時間操作をそのまま上手く、タイムマシンの動作として見せているのもさすが。 タイムマシン装置自体もうまく作ったものだ。あそこまで作ったら、キャスターくらい付けたかったろうが、定点という所がまた原初っぽくていい。最初の機械があの形なら、なるほどエメット・ブラウン博士が、自動車に組み込んだのも素直に頷ける、などと思うのも今となっては面白い。 それにしても、アメリカ映画の主人公は、異国の地でも戦場でも、宇宙の果てでも未来でも、必ず現地の女と恋に落ちるな。[DVD(字幕)] 6点(2012-09-22 07:13:06)《改行有》 68. 白昼堂々 《ネタバレ》 男はつらいよの前年かあ。この頃の倍賞千恵子の美しさは尋常じゃないな。こんな人をよくもまあ、あの寅の妹にしたな、と妙な所に感心する。 面白そうと思った柱が3つ。 ・集団万引きのスリルと滑稽さ。 ・娘の将来と友情に板挟みになった男の生き方。 ・凄腕女スリとの契約結婚。 1つ目に関しては、まあまあ。スリル側より、オモシロ側が勝っているが、基本、喜劇だからな。でも最後の"作戦"は、もうちょっと緻密にスリリングな感じ、というか、水上バスのシーから続くシリアス感を期待していた。 2つ目に関しても、そこそこ。直前まで、断り続けていたのに、手を貸してしまった葛藤をもうちょっと。「人情」喜劇の大事な部分だと思う。 3つ目、契約結婚の後、ワタ勝の留守を預かるようになるまでの、二人の関係をもうちょっと見たかった。何か唐突な感じを受ける。 全体的には、面白いし、豪華な出演者を楽しめる。[DVD(邦画)] 6点(2012-09-04 14:14:34)《改行有》 69. 地球の危機 《ネタバレ》 こういう古いSF映画は、映像・科学設定の部分が陳腐化するのは、仕方がない事が多い。多くの映画は、それでも他の部分で楽しめるものがあるものだ。この映画の場合、このスーパーサブマリンの中で起こる、乗組員たちの反乱の疑惑を中心とした、ドラマにあるはずだ。…はずだ、というのは、私にはこれが全然楽しめる部分には感じなかったからだ。 艦の中で、様々な事件が起こるのだが、いろんなことを詰め込みすぎて、独裁的な提督に反対している人の起こした事件、の影が薄い。誰なの?何故なの?っていう謎の強調も弱くて、大だこの事件(おい、海底2万哩のパクリかよ)なんかを見ているうちに、忘れてしまう。そういう意味では、サスペンスの部分がダメダメなのが残念。 ただし、最初に海からザッパーンと浮上してくる、シービュー号はカッコイイ。本当の潜水艦の現れ方だ。その後の水中カットは、変化がなくてガッカリだけど。ノーチラス号は魚の形をしていたが、このシービュー号は、黒くて細長いその船体がうなぎのように見えたことも、付け加えておく。[DVD(字幕)] 4点(2012-08-16 06:50:25)《改行有》 70. 笛吹川 《ネタバレ》 戦国時代、戦に翻弄された百姓一家の物語。部分的に着色された、モノクロなのにカラー、色がついているのにモノクロという不思議な映画。パートカラーって聞いたことがあるけど、それかな?必ずしも成功しているとは言いがたいが、一部では効果を上げていると思う。『野菊』や『楢山節』など見た時にも思ったが、内容的に保守的な映画を撮る割には、映像効果の追求には大胆な監督なのだと、今更ながら感心する。 ところで、この映画は反戦映画と解説されていることが多いが、私にはそう見えない。戦争は悲惨、不条理、とだけ叫んでいるわけではない。むしろ、貧しい百姓にとっては裕福になるチャンスであったりする。戦というものが一般市民と近しい関係なのだ、これが「戦国の世」というものなんだなあ、と妙なところに感心する。 今、戦国時代と武将は、大企業とその経営者に例えるような、イメージで語られる事が多いと思うのだが、そういった意味では、彼ら百姓は個人商店で、大企業に就職して出世する(か、死ぬか。)という話に見える。過剰な忠誠心や、情に流されちゃう人がいる描写もしかり。そして、個人商店は跡継ぎを失って滅びてゆき、大企業はより強いところに負け、吸収される。あれ?今も戦国の世? [DVD(邦画)] 6点(2012-08-04 04:27:37)《改行有》 71. エルダー兄弟 《ネタバレ》 非常に正統的でオーソドックスな西部劇。何しろジョン・ウェインだから。土地と牧場を騙され奪われたケイティの息子たちが、その復讐と、自身を陥れた罠に立ち向かう話。 土地の所有を巡ってのイザコザ、町に巣食う悪党たち、罠にはめられる主人公、囚人をリンチにしようとする町の衆と、それを防ぐために護送する保安官、主人公に(が)思いを寄せる美しいヒロイン、激しい銃撃戦、最後の決闘、ウエスタンのあらゆる要素がてんこ盛り。 そして、主人公の正々堂々とした行動原理の基であるのは、タイトルにもなった、ケイティ・エルダーという西部女。エルダー兄弟と言っちゃうと、その辺が薄れてくる感じだが、『ケイティ・エルダーの息子たち』というタイトルは、登場はしないが、この映画の重要な精神性の元になった、一人の女性の偉大さを感じさせる。「おふくろはそんな事はしなかった」「おふくろならこうしただろう」という、ジョンの真っ直ぐな行動規範を見ると、この大男の母親への思いが感じられて、微笑ましくさえなってくる。 ところで、昔っから、この名前を聞くと、あの有名な歯科医兼賭博師の情婦を思い出してしまうんだが、何かの狙いなのかな? [DVD(字幕)] 6点(2012-06-04 13:44:15)《改行有》 72. 武士道残酷物語 《ネタバレ》 戦国の世から続く飯倉家とその主君にまつわる話。宮仕えというのは、かくも辛く残酷なものか、と言いたいのかもしれない。 特に4番目の話の残虐さは、尋常ではない。『十三人の刺客』だったら、側近もろとも皆殺しになっているに違いない。ましてや、そこにいるのは錦之助なのだから、いつ殿様に斬りかかっちゃうかとドキドキしてしまった。 まあ、それはともかく、しかし今更、封建主義を批判しても仕方がない。というか、明治時代、現代の会社員の話を見ると、もはや、理不尽の元凶は殿様や、制度だけに起因するものではなくて、家臣側の心根も、そのように習性付けられてしまっているのではないか、と思えてくる。そこの所が恐ろしいといえば恐ろしい。 この映画が作られてからおよそ50年が経過して、今現在、会社組織と働く人の関係が一層おかしなことになっている。今こそ、新しい『残酷物語』が作れるのではないだろうか。今の働く人は、自ら被虐の人となってはいないだろうか? [DVD(邦画)] 6点(2012-05-26 07:45:43)《改行有》 73. 墓石と決闘 《ネタバレ》 OKコラルの決闘のその後を描いているが、よく言われているような所謂『OK牧場の決斗』の続編というわけではない。 法律で裁くことのできない悪に対して、力で立ち向かうという方法に移行したアープだが、大事な部分が描かれない急展開で、若干不満が残る。懸賞金がなくなって去ってゆく仲間と同様に、金の力で多くの仲間を失ったアイク・クラントンの物語をもうちょっと掘り下げて見てみたかった。 「銃の時間」でもあるけど、同時に「金の時間」でもあった物語だ。 [DVD(字幕)] 5点(2012-04-07 07:16:55)《改行有》 74. エル・ドラド(1966) 《ネタバレ》 体の中に銃弾という爆弾を抱えて、時折発作に見舞われながら、危険な任務に向かっていく、というストーリーを見て、日本の古い刑事ドラマを思い出した。いや、こちらの方が古いんだけど。 本作では、撃った人間と撃たれた人間の間には、大したしこりも、ドラマチックなやりとりも無い感じが、非サスペンスフルで、拍子抜け。確かに、大事な場面で発作が起き、敵に身柄を拘束されるが、主人公ルールなのか、ウェインは縛られただけで、返される。 撃った人間は、最後ジョン・ウェインが危ないところを援護射撃で救い、「ありがとう」「私こそゴメン」で、メデタシメデタシ。どうなのかな?これは。[DVD(字幕)] 4点(2012-03-29 05:38:58)《改行有》 75. 雪之丞変化(1963) 《ネタバレ》 主人公・雪之丞と義賊・闇太郎を、一人二役で演じるのが、何やら伝統になっているようだが…。一人二役というのが、作劇上の意味を持っていない物語というのを、というか物語の中で別人に見えるように意図された一人二役を、初めて見た。最初の衣笠監督版と同じ時代に原作が書かれており、原作にも監督の名をもじった役が登場するなどしており、この配役も原作者の意思かも知れぬ。が、この配役のために、雪之丞が復讐を果たす場面で「男の顔(亡き父の顔)になることが出来ない」というジレンマを持ったと思う。江戸時代の女形は、普通の生活時にも女の顔で生きていた、という設定を更に生かせば、戦うときにだけ男(父)の顔になる変身ヒーロー的にも描けたろうに。現に原作では、父の面影を仇に見せるようになっているのだし。 さて、この市川版。初代映画版のオリジナル・長谷川一夫も、さすがに年取っていて(当時55歳ですって!?)、最初のシーンで浪路が惚れるという設定にかなりムリムリな感じが漂う。この版は原作ほぼそのとおりの物語になっているが、それでも仇役が二人省略されて、さらにお初さんの悪巧みの部分がなくなり、ずいぶんと見やすい構成になった。 しかし、「時代劇」に期待される剣劇(チャンバラとは言いたくないニュアンス)の部分の爽快さがないのも、また原作譲り。せめて門倉平馬くらいは剣で倒してもいいんじゃないか。昼太郎と、雲助、島抜け法印の部分を削ってでも、もちっと楽しませる部分が欲しかった。 あと、お初さんと浪路さんは限りなく美しい。 [DVD(邦画)] 5点(2012-02-08 02:36:42)《改行有》 76. エル・シド 《ネタバレ》 スペインの実在した英雄の話。 自身はキリスト教徒なのに、通りがかりの戦で倒した異教徒の王の生命を救うなど、今の時代の目から見ても立派すぎる人物像。かと思うと、父親の名誉のために、妻となる女の父を殺してしまい、女から「愛されつつも憎まれる」という何ともドラマチックな人生を生きた人。でも実在の人らしいから、小説よりも奇なり、なんでしょうな。 この若妻と、ラブラブの状況から仇となり、王の命により再び妻となるも心離れてから、結局深く結ばれ合う二人の話。あるいは、異教徒の王たちの命を救い、彼らと友情で結ばれ、後に助けられ共に戦う戦士の話。名誉を重んじ、王から何度も嫌われつつも、忠誠を尽くし、自身も多くの人から讃えられる男の話。それぞれが一本の映画になってもおかしく無い、魅力的なストーリーが1つにまとまって、3時間を飽きさせない大作。 [DVD(字幕)] 7点(2012-01-23 17:18:16)(良:1票) 《改行有》 77. 上を向いて歩こう 《ネタバレ》 高橋英樹の腹違いの兄と、小百合ちゃんが不自然に知り合いで、彼らを引っ掻き回すのを除けば、フツーに青春映画として楽しめた。 数々の行き違いや、憎しみの応酬により起こった、青年たちの大げんかが、小百合ちゃんの一喝によって、終結し許される映画。新車のトラックや、当時10万という高額なドラムセットがダメになったにしては、明るく和解して(しかもそれぞれ新調している!)、ノーテンキに合唱しているのが、ちょっと引っかかる。 しかし、その歌声が日本の伸び盛りだった頃の、働く日本の元気に対する応援歌だという事に気づいた時、そしてその時代の働く人々の映像を見た時に、不覚にも涙してしまった。いろんな社会問題もあったけど、二年後にオリンピックを控えていたこの頃の、日本の未来は明るく希望があった。 この映画が、元になった歌のように、「泣きながら歩く、一人ぼっちの夜」ではなく、「手をつなぎ、歌おう、若い僕らの歌」と締めくくるのは、見ているものとしても、とても嬉しい。また、おこがましいようだが、この映画の主題歌として、まこと正しいと思える。 ワンフレーズだけど、高橋英樹、小百合ちゃん、浜田光夫らの歌声も聞ける。 【2011.1.1追記】なんだ、これ「幻の4番歌詞」ってやつだったのか…。でもいい歌だ。 [DVD(邦画)] 8点(2012-01-01 09:00:53)《改行有》 78. ガンマー第3号 宇宙大作戦 《ネタバレ》 2001年宇宙の旅が公開された年の映画、なんて事を考えなければ、それなりに楽しめる映画。もちろん、映像的な所は全てチャチくさく、宇宙ステーションの中にヘンに中二階があったり、当然のように重力があったり、小惑星の重力が全然表現されてなかったり、主要人物二人の因縁と、最後の自己犠牲的な展開が、ちょっと類型的に過ぎるが、パニック映画/サスペンス的な物語は、それほど悪くない。同年に東宝「怪獣総進撃」大映「ガメラ対バルゴン」を公開しているが、それらからすると、立派な日本のSF映画。[インターネット(字幕)] 4点(2011-11-24 02:41:52) 79. いつでも夢を(1963) 《ネタバレ》 前から見たかった映画。と言っても劇映画として興味があった訳ではなく、「いつでも夢を」のカラオケ映像に、赤いセーターの小百合ちゃんが上を見上げるカットがあって、それはもう神々しくキレイだったのだ。 問題のシーンは戦災で親を失った不幸な少女の一エピソードだったが、自分の生まれた翌年の映画であるこの時代は、まだまだ戦後を引きずっていたのだろう。丸の内らしい一流会社の佇まいは立派だが、お化け煙突で有名な千住・西新井界隈の貧しさは、大変なものだ。その時代の青春映画は、舞台としては恵まれた学生の話ではなく、定時制高校(夜学ってのは当時「いけない言葉」だったのかね?)だというのが、時代を写しているのだろう。物語は勤労学生や貧しさといった、当時の社会の問題を背景に、それでも雪の下の芽のように強く生きてゆこうとする、若者たちを描いている。ちょっと綺麗事すぎる感じもするし、夜学出身の自分から見ても牧歌的すぎる気もするが、これが時代というものかもしれない。とにかく国自体の将来に希望の持てる、「いつでも夢を」持っていることの出来る時代の若者の青春映画。この時代と比べると、豊かにはなっているが、これほど「夢を持」っていられるだろうか、今の若者は? こういう時代の映画は評価しづらいので、可もなく不可もない点だけど、小百合ちゃんの可愛さ、美しさに+1点。[DVD(邦画)] 6点(2011-11-08 14:09:10)《改行有》 80. サイボーグ009/怪獣戦争 《ネタバレ》 何やら、東宝映画の様なタイトルだが、これに出てくるような「怪獣」は、一作目でもう出てるし、新鮮味もない代わりに怪獣ブームに媚びたような、イヤラシサもない。 前作の最後に、BGのラスボスが言ったように、人々の邪な心によって、彼ら組織は復活した。人の心の欲望には際限がないから、彼らは永久に戦い続ける運命を背負ったわけだ。結果的には、これで巧く、TVシリーズに繋がる説明になった。というのは、後付けで、TVシリーズ以前に、主題歌から何から完成していたのは、驚き。 今回は、組織に改造されたものが、正義に与するかどうか悩み、自己を棄ててそれを成し遂げる物語。このあたりのシチュエーションは、後のやはり石森章太郎原作「仮面ライダー」によく似ていて、興味深い。もっとも先輩たち(001~009)は、縛りが無いせいか、考えるまでもなく、あっさり組織を裏切っているが。 今回のテーマは、平和というものは、身を切ってでもそれを成し遂げる心が必要なのだ、と言う事だろうか。自己犠牲というものが、どうも胡散臭く感じてしまう自分としては、ちょっと素直に評価しにくい物語である。 ところで、びっくりしたことに、この映画にはレインボー戦隊ロビンが登場する。今の特撮・アニメのヒーローに全開の、こういった無節操さって、東映の伝統だったんだなあ。 [インターネット(字幕)] 5点(2011-10-26 01:40:50)《改行有》
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