みんなのシネマレビュー |
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781. ダイ・ハード4.0 《ネタバレ》 ついにダイ・ハードシリーズもサイバーテロの世界へ。苦手なんですよね。このジャンル。自分が『プログラミング』や『ハッキング』に疎いっていうのもある。こーゆー実体がつかみづらいものに、ハラハラできないってのもある。 でもダイ・ハードだし。ジョン・マクレーンだし。誰が見ても楽しめるくらいのわかりやすいエンターテイメントには仕上がっています。オープニングの『Deleteキー』からのちゅどーん、なんて、インパクト大。つかみは十分。 まあそっからはいかにもなサイバーテロの連続。交通網乗っ取り。通信関係も掌握。最期は電気やガスのライフライン。そんで最終目的はやっぱ金っていう、そこはダイ・ハードおなじみのパターン。 アクションは凄い迫力ですね。アクション映像はCG技術の発展に伴い、すごい画が次から次に映し出されます。街中でのヘリとの攻防。トンネル内でのカークラッシュ。見所には事欠かない。ただやはり、『ひたすら映像押し』っていうのは、大なり小なり飽きがきちゃうものですね。F35とのアクションなんかもうやりすぎでお腹いっぱいです。それが、『人っ子一人いない状況』とあいまって、現実感が湧きません。前半はともかく、後半はスケールの大きさの割に世の中のパニックが全然伝わってこなくていまいち。警察やFBI、国家権力もここまで無力化されるとつまんないもんですね。 なんか不満ばかり書いちゃいましたが、全体の印象は悪くありません。 でもこの内容でしたら、私は『危機感』『緊張感』『臨場感』に加え、『人間味』のすべてにおいて、『3』のほうに軍配をあげます。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-05-20 14:44:30)(良:1票) 《改行有》 782. HATCHET/ハチェット 《ネタバレ》 こーゆー昔ながらのテイストを守り続けているホラー映画は大事。やたらリアルな死体もあれば、もう作り物まるだしの死体もあって、そーゆーB級感が結構好き。一番近いのは『13日の金曜日』でしょうか。小心者の自分はこんな小粒のお化け屋敷みたいな作品でも十分ドキドキできて楽しいです。 でてくるのは畸形の殺人鬼1人だけ。そんで攻撃が効きます。『攻撃が効く』ってのは単純だけど大事。銃が効く。火も効く。キックさえ有効。何とかなりそうって思えちゃう。何とかなりそうだからこそ焦る。この焦りが恐怖を2割増ししてくれます。 で、こーゆー映画は『出てきているとき』より『出てきていないとき』のほうが怖いもんです。『いつ』『どこから』でてくるかわからない恐怖。これがパニック系ホラーの醍醐味。とはいえ、この作品はその辺の雰囲気づくりはどーでもいいみたいです。いきなりドアバーン、がおー、ですもんね。どちらかというと、スプラッタ好きのためにスプラッタに力を入れている印象。それこそいろんなバリエーションを見せてくれます。楽しい。 後半は結構単調な追いかけっこになっちゃいましたが、それでもまあ割りと楽しんじゃいました。ただそんなに険しそうでもない森から誰も抜け出せず、何回も小屋に戻ってきちゃうってのは、いくらなんでも無理矢理すぎて好きじゃない。『どうしても逃げられない。闘うしかない。』ってのを、もう少しうまく見せて欲しい。 ラスト唐突に終わるのは少々ビックリ。でもこれはこれでアリかも。もしかするとメリーベスだけあそこから助かったかもしんないし。ビクターはワニに食べられちゃったかもしんないし。解釈の仕方次第で無理矢理ハッピーエンドにできます。[DVD(字幕)] 7点(2019-05-13 04:24:02)(良:1票) 《改行有》 783. ロンリーハート(2006) 《ネタバレ》 実際に起きた連続殺人事件をモチーフにしたサスペンスドラマ。2人組の殺人犯と、それを追う刑事、両者の目線で描かれます。 2人組みの殺人犯はレイとマーサ。マーサはわからないが、レイは後天的に殺人鬼となっている。レイが殺人鬼へと変貌していくその過程、それがこの映画の見所の1つだと言えます。マーサが一方的にレイを愛しているように見えますが、レイが嫉妬しているような演出が適度に見られるため、二人は相思相愛と見て間違いないでしょう。とは言え、レイのマーサに対する愛情そのものが、マーサの洗脳によって作られた可能性は否定できません。 とにもかくにも、二人は純粋な結婚詐欺から、次第に殺人へとその犯行内容をエスカレートさせていきます。最初のうちはマーサが殺すのですが、途中からはレイもその手を汚します。また、マーサは最初から葛藤がほとんど見えませんが、レイは良心の呵責や自責の念が伺えます。これはレイが小心者の一般人であることの証明でもあります。つまり、マーサのように初めからイカレていたわけではないのです。ところがそのレイも終盤の警官殺し、老人殺しではいとも簡単に引き金を引きます。特に老人殺しは殺す必要がないのに殺しています。完全にレイが正常ではなくなっていることを印象付ける重要なシーンです。 とゆーことで、二人の狂気のロードムービーという位置づけで見れば、これほど見応えのある作品はなかなかないでしょう。 二人を追うバスター刑事のターンは良くも悪くも普通の刑事ドラマ。そこに、『妻の自殺』と『息子との和解』という人間ドラマを盛り込みます。それはまあいいのですが、同僚とのラブロマンスはさすがに必要なかったのでは。一番中途半端で、作品のテンポを悪くしているだけのように感じます。そこだけ減点。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-05-12 23:55:47)《改行有》 784. ネバー・サレンダー 肉弾凶器 《ネタバレ》 走る。殴る。走る。殴る。時々撃つ。爆破。ギャグ。 プロローグ⇒ジョン・トライトンの強さ、魅力際立つアクション。文句なしです。 前半⇒悪者グループ登場。策士かつ武闘派。クールで容赦の無さがgood。ジョン・トライトンの相手として申し分なし。 中盤~後半⇒失速。まずトライトンが不覚を取るシーンが結構多い。冒頭の鬼神のような強さをインプットしちゃったせいで、期待はずれ感や物足りなさを感じてしまいます。また、単調な追いかけっこに終始しすぎてしまったので、多少の飽きがきちゃったのは事実。ついでに言うと、後半になるにつれて強盗グループのくだらない諍いが増えて、萎えます。仲間を撃っちゃうのはダメ。雑魚がもっといっぱいいるような組織なら良いけど、こじんまりとしたパーティーなんだから全部トライトンに始末させなきゃ。 プロローグから前半にかけては展開がスピーディなうえ、肉弾凶器も強盗グループも大変魅力的に描けています。このノリで最後までいってくれたら8点~10点くらい。ただしクライマックスは再び盛り返します。なので全体としてはクオリティ高めなB級グルメとして、幅広い世代に味わえる作品となっています。シンプルイズベストとはまさにこのこと。アクション好きな人なら観て損はないし、暇つぶしには最高な一品じゃないでしょうか。[DVD(字幕)] 7点(2019-05-06 04:18:33)《改行有》 785. 100年後... 《ネタバレ》 しっとり系。でもホラーの雰囲気は抜群。恋とホラーは雰囲気作りが命。前半から中盤にかけての雰囲気作りはB級作品とは思えない凝りよう。廃墟系の建物が多いのがまた良いですね。 『正体不明系ホラー』はその正体がわかると途端に恐怖が半減してしまうものも少なくありません。ですがこの作品は子供ゾンビが出た後も、一定レベル以上の恐怖クオリティーを保っています。恐怖演出が上手なのかもしれませんね。 『血縁関係には手を出さない。』『でも興奮すると手がつけられない』このあいまいなルールが非常に良い。こちらの振る舞い方次第で助かるかもしれない。でも絶対に安全と言うわけではない。だから気が休まらない。だから助かったときの開放感が大きい。これ大事。恐怖は希望と背中合わせになっているからこそ、より一層輝きを増すのです。 地主を徹底的にクソ野郎に描いているのも重要。最後の犠牲者なわけですが、変なカタルシスまで得られる始末。復讐とは無関係な人、気の良い若者達などかわいそうな犠牲者たちがいるため、ハッピーエンドとは言い難い。子供ゾンビの肩をもつわけにもいかない。でも母娘が助かるので、見終わったあとの満足感は高いです。 B級ホラーにありがちな、『夜のシーンがみづらい』っていうのは、この作品も例外ではありません。いや、この作品は特に見えづらい。とゆーかもう真っ暗でほとんど何も見えない。そんなシーンが結構いっぱいあります。そこだけ減点。[DVD(字幕)] 7点(2019-05-05 01:40:36)《改行有》 786. レミーのおいしいレストラン 《ネタバレ》 天才ねずみシェフと素人コックの変則バディもの。二人の友情が温かく、サクセスコメディが面白い。 背景、食材、調理器具など、無機物のビジュアルは実写と見まがうレベル。 レミーの天才っぷりが最高。どんな料理でどう盛り上げてくれるのか、終始わくわく。 レミーは人間の言葉は理解できても、自分の言葉は通じない。すべてジェスチャー。この度が過ぎないファンタジーの匙加減が絶妙。前半から中盤にかけての面白さ、神懸かっています。 中盤以降はややサスペンス色が強くなりすぎてしまっただろうか。店のシェフを悪人に仕立て上げすぎたことで、ぼやける主題。もちろんこーゆー人が出てくることに反対はしないけれど、ちょっとくどい。原付でひたすらおっかけっこするシークエンスなんか、面白いけどちょっとやりすぎです。もっとレストランでの料理やお客さんがらみのエピソードで盛り上がってほしかったかな。 レミーの家族、ねずみの社会を描いたのは良かったと思います。シンプルだからこそ、ねずみ目線でのねずみ社会と人間社会の対比構造がぐっときます。レミーのお父さんがレミーを『害虫駆除の店』に連れて行くシーンなんか衝撃的。人間に置き換えればホラーレベル。人間目線。ねずみ目線。立場が違えばそこから見える景色の意味合いも全然違うものですね。こーゆーメッセージ性の強さっていうのは、子供が見るアニメだからこそ大事なのかもしれません。 ラストのネズミ達が料理するシーンは、画的には面白いのですが、ストーリーの味付けとしては好みではないです。正直に秘密を打ち明け、レミーと仲間たちに謝罪するリングイニ。『なんだそうだったのか』と、レミーもふくめ再び仲間たちは手をとりあい、最高の料理でイーゴとスキナーをもてなす。店は再び最盛期の輝きを取り戻す。・・・そーゆーありきたりなプロットでも良いと思うんですけどね。お客さんたちがいるのに厨房出て行くコックたちの無責任さにがっかりです。 保健所の調査員だって、レミーのスーパー料理で納得させるとか、そーゆーところでこそ、スーパーファンタジーパワーを使ってほしいものです。 ねずみたちの待遇が良くなっているエピローグは最高。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2019-04-30 04:23:36)《改行有》 787. ピアノの森 《ネタバレ》 天才系の映画って面白い。作品の出来不出来に関わらず、単純に自分はこのジャンルが好きなんだろうと思います。 雨宮修平と一ノ瀬海というW主役の設定も好き。秀才タイプの人間が、何の努力もしてこなかった天才に嫉妬する。何も知らない天才に、『元天才』が師としてめぐり合う。もう何もかもがベタすぎて、でもベタだからこその味わいもある作品。 更にはコンクールでの女の子の登場が、エンターテイメント性をより強くしましたね。 雨宮君が弾いた後、女の子が弾きます。演奏の描写とピアノの音が凄く良くて、ざわつく会場。審査員が身を乗り出して、『今年はレベルが高いですね。』の一言。そしてここで海君の登場。このシークエンスが全部好き。否が応にもテンションがあがります。 海くんだけ予選落ちになるのは予想通り。阿字野先生が海をより広い世界へ連れて行こうとうするラストも予想通り。すべてが予想の範囲を出ないステレオタイプの作品と言えそうですが、安心して楽しめます。 海くんは天賦の才があります。でも楽譜が読めません。曲は聴いたら1回で覚えちゃいます。これって、まんま『の○め』と同じキャラ。どうしても既視感はついてきます。それをふまえても魅力的。雨宮君も女の子も先生も、登場人物それぞれの魅力が描けている作品。 子供同士の殴り合いに若干引いてしまう部分はありますが、それ以外に嫌なシーンは一つもありません。毒気は足りませんが、ささやかな高揚感につつまれて、なんか頑張ろうと気持ちにさせてくれる良作です。[DVD(邦画)] 7点(2019-04-17 14:08:43)《改行有》 788. クローズZERO 《ネタバレ》 原作未読。でもヤンキー漫画は好き。少年漫画系のノリも好き。だから単純にこの映画は自分の好みに合います。 本来登場人物の多い映画は苦手です。でもこのタイプの映画は別。強い人がいっぱい出てきて楽しい。性格。闘い方。ビジュアル。ファッション。ポジション。みんな個性爆発で最高。この辺が漫画原作の良さでしょうね。 ただし、漫画原作だけあって、リアリティのかけらもない。ヤクザをやたらリアルに演じる遠藤憲一と岸谷五朗が浮いちゃうくらい。でも良いんです。これで。 きっとヤンキー漫画に興味ない人には一切受け入れてもらえないんだろーなー。でもこーゆー作品を作ってくれる寛容さがあることが嬉しいです。だってあまりにいろいろつめこみすぎて、ストーリーとしては散漫な印象を受けちゃいます。ですから、映画として完成されているとは言い難い。更には黒木メイサのパートが個人的に要らない。ラストで歌いだしたときには寒いったらなかったです。そーゆーの求めてない。武装連合や阪東や、1年3人組もこんな中途半端な扱いにするくらいなら、入れないほうが良かったかも。そうすれば30分くらい短縮できて、よりスピード感のあるストーリーにできたんじゃないかな。 ラストの大乱闘が雨ということもあって非常に見づらかったのは残念です。[DVD(邦画)] 7点(2019-04-15 00:29:40)《改行有》 789. ヒルズ・ハブ・アイズ2 《ネタバレ》 前作ほどではないにしろ、今作もドキドキを堪能できる良作ホラー。正直、ホラーとして楽しめるかどうか不安でしたが、十分すぎるほどのクオリティ。前作と違って『武装した兵士』では戦力がある分、怖さが半減すると思ったのですが、『頼りないひよっこ新兵』という絶妙なバランス。更には『岩陰』と『洞穴』がいたるところにあるため、いつ何が飛び出してくるかわからない恐怖。前作が得体の知れないものへの恐怖心を喚起させるものとしたら、こちらは『お化け屋敷的びっくり箱』といったところ。 兵士達にとっては迷路でも、クリーチャー達にとっては『庭』。地の利が圧倒的に不利な状況が怖さを引き立てます。 いつの間にか消えるロープやライフル。精神的な追い詰め方、プレッシャーのかけ方が良い感じですね。 知らん俳優さんばかりで、『誰が生き残るのか』『それとも全滅パターンか』それさえも読めないから面白い。 こーゆータイプのホラーでは、犠牲者達のアホな行動にイライラさせられることもしばしば。特に『単独行動』は愚の骨頂なんですが、この作品ではその辺結構うまくて、自然に部隊が分断するような流れを構築。『本部への連絡係を2人残す』『ケガした隊員を引き返させる』など自然に危険なシチュエーションを作り出しています。 一番頼り無さそうだった人が一番活躍。女の子に1人すごくかわいい娘がいる。などなど、そーゆーところも自分好みでした。 [DVD(字幕)] 7点(2019-04-13 04:19:57)《改行有》 790. EX MACHINA/エクスマキナ(2007) 《ネタバレ》 最初はもうとにかくかっこいいです。画面に釘付け。映像の美しさ。キャラクターのビジュアル。アニメーションが生み出す躍動感。そのどれもが芸術の域。すばらしすぎます。日本のアニメもここまできたかと、誇らしくなります。 サイボーグによるテロ活動から物語がスタートするのも大変グッド。アニメーションがこれだけイケているのだから、ストーリーはむしろ単純なほうが良い。オープニングのテロ鎮圧のシークエンスが一番好きです。デュナンが一番かっこいいのもこのシークエンスでしょう。 で、美人が3日で飽きるように、素晴らしい映像もずっと見ていれば次第に慣れてきます。やはり最後にものを言うのはストーリーの面白さ。キャラクターの魅力。で、個人的には『バイオロイド』の設定が蛇足。『人間』と『サイボーグ』、これだけで十分です。バイオロイドの設定が、物語の面白さに結びついているとは思えません。テレウスじゃなくとも良い。負傷したブリアレオスの代わりに配属されたイケメンルーキーがいれば、同じプロットでいけたはずです。 そして後半のメインストーリー。陰謀系でいくのであればそれもいいでしょう。ただその陰謀がふわっとしすぎです。『皆一つになれば、争いは起こらない。』は観念であり、そこから導きだされるテログループの目的はもっと具体的なものにしていただきたい。『人間もサイボーグもバイオロイドもみんな洗脳』、それはわかります。で、洗脳した人たちに結局何をさせたかったのでしょう。そこが大事なのに、そこが明らかにされないまま、みんながゾンビみたいになって、突然走り出します。みんな、いったい何を目指しているのでしょう。それがよくわからないので、どーゆー危機が迫っているのがピンときません。だから緊張感も半減。『1つになる』をバカみたいに連呼されてもねえ。[DVD(邦画)] 7点(2019-04-07 22:28:28)《改行有》 791. サイレントヒル 《ネタバレ》 どうやら『現実世界』と『異世界』と『異世界の裏の世界』の3つがフィールドになっているようですね。 『異世界』が『死後の世界』なのか、それとも『生と死の境界』なのか、その辺がはっきりしません。ローズとベネット巡査が、交通事故により死んだのか、それとも生きたまま連れてこられた世界なのか、それさえもあやふや。冒頭『サイレントヒルでは大規模な火災事故があった。大勢の住民が死に、大勢の人間が行方不明のまま』と説明があります。とすると、アレッサが復讐のため、自分を焼いた人間たちを異世界に生きたまま閉じ込めた。そして異世界ではなぜか教会がアレッサも手を出せない聖域として存在し、住人達はそこへ逃げ込んだと考えるのが妥当かもしれません。教会はシャロンと同じように、アレッサの良心が具現化したものかも。 映像すばらしいです。クリーチャーも怖い怖い。冒頭の焼けた子供たち(おそらくアリッサをいじめた報いでしょう)。元用務員のクリーチャー。看護婦の格好した悪魔みたいなの。そのどれもが凄い迫力。特に序盤はわけがわからずひたすら怖かったですね。なのでホラー映画としては、もうかなりの完成度で満足です。 ストーリーに関しては、アレッサが自分勝手にローズとベネットを巻き込んだのがちょっと不満。ローズもベネットもあんなに頑張ったのに。なにより善人です。なのにベネットは殺されて、ローズは結局もとの世界に戻れないなんて可哀想じゃないですか。パパだって可哀想。バッドエンディングでも構わないと思うときももちろんあるのですが、この作品はハッピーエンドで良かったんじゃないでしょうか。アレッサはシャロンとなって、もう一度ローズ一家の娘となって幸せな人生をやり直すでいいと思うんですけど。後味悪いです。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-04-06 14:10:05)(良:2票) 《改行有》 792. ゾンビランド 《ネタバレ》 ポップで明るいゾンビムービー。主要キャラが誰も死なない稀有なストーリー。それでいてゾンビ映画としての終末感やドキドキ感もちゃんと味わえます。コメディ色が強すぎないのが良いバランス。 主要4人のキャラクターが非常に良い。姉妹の存在が、ゾンビムービーにまさかの青春的な味わいを添えます。 ゾンビ映画特有の『サバイバル感』も、割としっかり感じられます。車を調達したり、武器を調達したり。こーゆーささいだけど大事なところをきちんと押さえている丁寧さに好感がもてます。 コメディタッチでライトに仕上げつつも、ゾンビ映画特有の不安定な日常を感じられるのが良い。だからビル・マーレイの豪邸でのひとときで、心やすらぎます。ゾンビ映画のこーゆーインターバルのシークエンスが何気にお気に入りです。 ビル・マーレイを撃っちゃうシーンは評判良いようですが、個人的には悪ノリが過ぎた感じがします。撃たれたあとしばらくしゃべっちゃってるし。ぎりぎりのバランスだったのがここだけ壊れちゃってて、ちょっと気分が冷めます。 『遊園地を稼動させて、ゾンビを呼び寄せてしまう。』『あえて逃げ場の無いアトラクションに乗り込んで、自ら危機的状況を作っちゃう』など、終盤の姉妹の行動にイライラ。この4人は、したたかにこの世界を生き延びているわけだから、こんなミスするはずありません。無理矢理危機的状況を作っちゃうような安易なプロットにがっかり。 主人公が決めたルールもごく一部しか紹介されなかったのが物足りないです。主人公のルールにゾンビ映画あるあるをもっとぶち込んで、それが劇中機能するような痛快な演出を期待しちゃいましたね。[DVD(字幕)] 7点(2019-03-31 02:24:54)(良:2票) 《改行有》 793. スネーク・フライト 《ネタバレ》 正統派B級パニックムービー。愛すべきB級作品としてきっちり仕上がっています。 有名な俳優はサミュエル・L・ジャクソンくらい。あとはどっかで見たことあるけど、この人だれだっけ、っていう人ばっかり。でもそれが良い。舞台はほとんど飛行機の中だけ。で、蛇が襲ってきたから飛行機の前方へ避難。バリケードが崩れたから、今度はファーストクラスへ避難。今まで安全だった場所が少しずつ侵食されていくのって好きです。 ショッキングなシーンやグロいシーンが全く無いわけではありませんが、比較的抑え目。けど『蛇』『咬まれた人の救助』『飛行機の墜落』が同時進行で起きるので、結構スリリング。絶望的であればどんなシチュエーションでもハラハラします。ですので、ホラーの初心者から慣れた人まで、皆に楽しんでもらえるような、良いバランスに仕上がっています。コードがいっぱい。これはきっと蛇と見間違う恐ろしさってのを狙っているのでしょう。他にも子供が描いていた絵がヒントになって蛇の種類が特定できるなど、細かい部分の作りこみが丁寧。B級低予算ムービーではおざなりにされがちなディテールも丁寧に作られているのが好印象。ちっちゃい伏線でもつながると気持ちが良いもんです。 結構人は死んじゃいますが、生き残っている人も多いのが救い。死んじゃった人たちは気の毒だけど、それがバカップルだったり、性格の悪いオヤジだったりするので、嫌な気はしません。新婚夫婦はちょっとかわいそうでしたけどね。 サミュエル・L・ジャクソンが飛行機に穴開けちゃうとこだけがありえなさすぎて引きます。[DVD(字幕)] 7点(2019-03-21 15:26:03)(良:1票) 《改行有》 794. 踏み切り 《ネタバレ》 こーゆーホラーはストーリーが破綻していることも多いのですが、なかなかどうして立派なホラーです。 幽霊ものかと思わせて、実は殺人鬼もの。もはやあるあるで、定番になりつつありますが、このパターンはやっぱり面白い。 そしてメラニーを演じる女優さんや、その妹が可愛いのもグッド。メラニーの過去の過ちがメラニーが信頼されない原因となり、良い意味でメラニーの行動を制限しているのが上手いです。周りの協力が得られにくい状況を自然に作り出しています。オープニングの回想シーンはもはや反則ですが、私達をミスリードするのに一役かっています。 で、これは言ってはいけないんでしょうけど、ジュリーが不必要に主人公を怖がらせすぎです。 子供たちの霊が最後に復讐を遂げるという大オチは良かったです。だからこそ、エピローグが本当に蛇足。ちょっと欲張っちゃいましたね。 なにはともあれ、殺人鬼の正体がわかるまでは単純なホラーではなくミステリーとしても楽しめますので、隠れた良作と言えるでしょう。[DVD(字幕)] 7点(2019-03-18 04:13:51)《改行有》 795. 007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 アクション映画としては及第点。ただストーリー、特に後半は裏切りが多くて疲れます。 007シリーズをそんなにたくさん見たことがあるわけではありません。でも今までに見たやつと比べても、大分シリアスなタッチで描かれているように感じます。死んじゃう人も多い。その描写も結構生々しかったり。お笑い要素は少なめ。 ガンアクション、追いかけっこアクションはなかなかのスピード感。見応えアリます。ですが序盤の『工事現場⇒大使館の追いかけっこ』に代表されるように、1つ1つのアクションがやや冗長。スピード感はあるのに、ストーリー的なテンポはいまいちです。 また、アクションに力を入れすぎて、スパイ要素が少なめ。『どーせばれてるから』って名前言っちゃったりするし。007ならではのスマートなスパイシーンを見たい人は、これで満足できるのでしょうか。 スリリングさは申し分ありません。それはそれで好きなんですが、ちょっとジェームズ・ボンドが殺伐としすぎている感じがするのは気のせい?もうちょっと余裕が欲しいところではあります。 序盤が評価が高いようですが、個人的には中盤から終盤にかけてがかなり好き。ポーカーは好きなカードゲームなので、見ていて面白かったです。ただポーカーって、ディーラーとプレーヤーがグルになって神業的イカサマとかがあれば面白いんですが、そうでなければ戦略性に欠ける単純なゲームなんで、そういった意味ではカジノバトルとして盛り上げにくい部分もあるのかもしれません。この作品でも駆け引きが重要と言っておきながら、結局は単純なパワーゲームがメインとなっています。 終盤、裏切りに次ぐ裏切りはちょっと引きますね。黒幕みたいな人たちが次から次に出てきて誰が誰やら。ラストくらいヴェスパーとボンドとマティス3人で乾杯して終わるようなスッキリ感が欲しいです。本来であれば血生臭いスパイの世界を、軽妙洒脱に描いたからこそ007シリーズはオリジナリティを出せたのだと思いますよ。まあ007シリーズとして見なければ十分楽しい映画です。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-03-16 08:29:27)《改行有》 796. 屍体 《ネタバレ》 グロいし、怖いし、気持ち悪い。こんな病院でよく寝泊りできるなというくらい、絶好のホラーシチュエーション。よってホラー映画としては及第点です。 ゾンビは出ません。モンスターも出ません。殺人鬼もいません。幽霊も出そうで出ません。ミステリー形式のオカルト。オカルトチックなので、説明不足な部分はありますが、力技で押し切っている感じです。 正直B級には違いないでしょう。おそらく予算もそんなにはかかっていません。何の脈絡もなしに、次々と人が死んでいくのもB級ならでは。職員が死に、学生が死に、いつの間にか警察官まで死んでいるという謎。とくに終盤はかなりカオスな世界で、もはやストーリーに意味なんてないのでしょう。ただ、なにしろ妙な迫力とパワーを感じるホラーなので、終始飽きはしません。結構ドキドキしながら見ていましたね。でもこのドキドキは、お化け屋敷で感じるドキドキに近いのかもしれませんが。 ちなみに、主人公の女性アリソンは結構かわいいです。密かに期待しちゃいます。ですが、彼女の出し惜しみ感、半端じゃないです。もったいぶって、焦らされます。結果、最後まで何も出ません。そっち方面期待しちゃうと、肩透かしくらいます。ラストまでひたすら屍体と戯れるつもりでいましょう。[DVD(字幕)] 7点(2018-07-04 14:05:31)《改行有》 797. タイヨウのうた 《ネタバレ》 昔ドラマを見ていました。結構好きなドラマでした。 雨音薫は沢尻エリカよりYUIのほうが良い。でも藤代孝治は、塚本高史より山田孝之のほうが雰囲気があって好きですね。 ドラマでは、二人の交流をじっくり見ることができました。そのイメージがあったので、なんとなく映画は敬遠していたんですよね。時は経ち、ドラマの記憶もすっかり薄くなってしまったので、今回映画版も鑑賞。多少の不安はあったものの、見始めると驚くほど丁寧な人物描写に驚きです。 映画はスローペースで落ち着いた雰囲気。そんな淡々とした空気感の中、『ストリートライブ』や『迫り来る日の出』など、盛り上がるイベントや緊張感漂うシークエンスがあり、メリハリが効いています。映画として大変バランスが良いんじゃないでしょうか。 主人公や大切な人が、病気や事故や自殺で死んじゃう。この頃の邦画はそんなんばっかり。この作品も例外ではありません。ただ、そーゆーテイストではあるものの、悲しさ一辺倒ではないのがこの作品の良いところ。コメディタッチで、さわやかな雰囲気。孝治のキャラクター。YUIのキャラクター。そういったものが、さわやかな雰囲気や、生きる希望、そういった前向きなオーラを全面に押し出しています。 人の優しさや強さを感じられる映画は良い映画。 個人的には、序盤がちょっともったいつけすぎ、尺をとりすぎなのが気にかかるか。『藤代との恋愛』『ストリートライブ』『病気』『家族と友人』『CD製作』この辺りが作品のテーマとなるのでしょうが、本題に入るまでがもったいつけすぎかも。序盤でいきなり中だるみします。 それにしてもYUIの透明感あふれると同時に、芯の強さも感じられるキャラクターは貴重ですね。 薫の曲がラジオから流れてきたことがわかるクライマックス。ここをあえてサイレントにしちゃう演出のセンス、最高の余韻を感じさせてくれます。 不要だったのは棺おけに入った薫を映してしまったこと。そこはナレーションだけにしたほうが良かったと思います。[DVD(邦画)] 7点(2018-06-10 11:55:26)(良:1票) 《改行有》 798. カーズ2 《ネタバレ》 子供向けではない子供向けアニメ。 ビジュアルは子供向け。キャラも子供向け。でもプロット、ストーリーは大人向けなスパイもの。結構ごちゃごちゃ、複雑にしてあります。子供と一緒に見たら、途中途中で説明してあげないといけないでしょうね。 中盤から後半にかけては、キャラが定着してくるし、ストーリー全体が見えてくるので、俄然わかりやすくなります。 前半がわかりにくいかな。キャラがめっちゃ多いうえに、やっぱ車なんで、頭ん中でキャラが定着するのに時間がかかります。前半のうちは、『こいつ誰だっけ?』となることもしばしば。そのうえで、ドタバダコメディを取り入れるもんだから、しっちゃかめっちゃか。トイレでのトラブルなんか、誰がエージェントで誰が悪い奴なんか、最初全然わからなかったです。 まあ序盤のストーリーのわかりにくさはともかくとして、見所は結構多いこの作品。 フィン・マックミサイルのスーパースパイぶり。ホリー・シフトウェルのスカイアクション。マックィーンとメーターの友情など、楽しいシーンが盛り沢山。ラストでメーターが黒幕を追い詰めるシーンなんか爽快です。欠点ばかりのメーターが、自分の長所と知識を発揮して、友達のために最後に大活躍する流れは、ディズニーらしくて凄く好き。 多少のわかりづらさを除けば、良作のエンターテイメント作品です。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2018-06-06 11:05:57)《改行有》 799. カーズ 《ネタバレ》 擬人化させると右に出る者のいないピクサー。最初の方こそ、車しかいないこの世界に違和感を感じるが、高速を走り始めた頃からこの世界観になじんでしまっている。ピクサーは世界の作りこみが徹底しているので、気付いたら引き込まれちゃっていますね。なので、ラジエーター・スプリングスに来たときは、もうストーリーとマックィーンの行く末ばかりが気になります。 ストーリーそのものは安直。定番。『花形レーサー、田舎町へ。』『田舎町で、人との絆の大切さを知り、思いやりを知る。』まさに子供のための道徳ファンタジーです。大人が見れば、『今更』『物足りない』と感じるのももっともですが、僕はこーゆーの好き。ベタな人情ドラマにすぎないのですが、ピクサーはこーゆーの作らせたら天才的なので、いつも感動できます。 多くの方が指摘されている中だるみについては私も同感。マックィーンがラジエーター・スプリングスにつっこんで、逃げ出そうとしたり、裁判にかけられたり、不平不満を言いまくったり、田舎町を馬鹿にしたり、この辺がちょっと退屈でしたね。もちろん構成上必要なワンクッションではあるのでしょうが、イライラするばかりで、笑いのパワーもいまいちなので、中だるみするばかり。 でも道が完成してから、クライマックスまでは、これぞエンターテイメントという爽快なノリと楽しさでいっぱい。エンドロールまでしっかり楽しませてくれるのも、さすがピクサーですね。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2018-05-25 02:19:35)(良:1票) 《改行有》 800. イップ・マン 継承 《ネタバレ》 シリーズ3作品、ずっとイップマンを支え続けてきた奥さんが亡くなる、シリーズ中最も悲しい作品。 奥さんの看病をするイップマン。奥さんとダンスするイップマン。イップマンが奥さんとの思い出を振り返るクライマックスは、涙ナシでは見られません。 そしてアクション。3作品中最も豪華かもしれませんね。 お約束の、多対一の大乱闘あり。謎のタイ戦士とのバトルあり。マイク・タイソンとのバトルあり。更には、あのマックス・チャン演じるもう一人の詠春拳チョンとのバトルあり。見所盛り沢山。鑑賞中飽きるということはまず無いでしょう。 ストーリーも、すっきりしていてわかりやすい。 敵味方もはっきり分かれています。 ただ、前2作で描かれていた『抑圧された怒りの解放』からくるカタルシス、これは正直弱いです。 地上げ屋が小学校に乗り込んだり、火ぃつけたり。この辺は悪役全開でよかったのです。でも敵の準リーダー格の人間が、単なるチンピラ。大ボスのマイク・タイソンも、意外にクリーンファイトで決着をつけちゃいます。よって、イップマンが問答無用の鉄拳制裁って感じにはならないのですね。暴力、放火、子供の誘拐とやりたい放題やってきた悪行への制裁がなんか軽い。 つまりはアクションへの動機付けやストーリーテリングがきれいすぎて、パンチに欠ける内容になっちゃってます。もっと言うなら、物足りない。 ですので、この作品はイップマンの伝記的意味合いのほうが強いのかもしれませんね。 ちなみに、ブルース・リーのバトルが無かったのが個人的に残念でした。前作同様紹介だけで、本編にはからんでくれないのですね。[DVD(吹替)] 7点(2018-05-21 06:30:22)《改行有》
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