みんなのシネマレビュー |
|
781. ショーン・オブ・ザ・デッド 作り手のゾンビ愛が、イギリスコメディ独特の馬鹿なノリで炸裂中。日常にゾンビが溢れる異常事態をまれに見るユルさで乗り切る主人公たちといい、どんなゾンビ映画も考えつかなかった斜め上のオチといい、最高点ではないけど秀作くらいの評価を受けても良いと思う。で、なんでダイアー・ストレイツのレコードを投げてもOKなのよっ こらあっ。[DVD(字幕)] 7点(2013-12-01 00:30:41)(笑:1票) 782. 幸せへのキセキ ボーン・シリーズの後、しばらくぶりにこのM・デイモンを見てショックが大きいのは私だけかしら。もう中学生の父親を演じられるトシなのか・・少し減量したらどうかな・・、等まあそれは置いとくとして、お話は全体的にほのぼのと暖かく、優しさ先行の気持ちの良い作品に仕上がってます。子役のまあ存在感のあること。向こうの女の子は凄いなあ。小さい手でサンドイッチを作る、その馴れた手つきひとつで母親を亡くしてから色々家事もこなしてきたんだろうなあ、と思わせる。この子のいじらしさや、亡き妻の写真に涙するM・デイモンの情感溢れる演技、泣いてくれと言わんばかり。泣きました。 お兄ちゃんも飼育係のオネエサンもその妹もみんな美形というのはちょっと引っかかるかな。引っかかるといえばやっぱり邦題だな。カタカナにしてダブルミーニング狙いですかね?あんまり良いセンスではないなあ。直訳でも良かったよね。[DVD(字幕)] 7点(2013-12-01 00:15:03)《改行有》 783. ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 M・デイモンが前作よりも超人度をUP。ジミー大西氏と似ているにも関わらず、なぜだかカッコ良く見える摩訶不思議なシリーズ2作目なのだった。前作で主要キャラだった恋人を早々に削除、作り手の新作への意欲は感じるものの、ストーリー自体はわりとよくあるスパイ小説のよう。脚本は平凡かと思うんだけど、マットが寡黙に賢く試練を超えてゆくその姿に惹かれます。当然3作目も観よう、という感想を抱きます。[CS・衛星(吹替)] 7点(2013-11-24 00:30:57) 784. ミスター・グッドバーを探して 《ネタバレ》 D・キートン扮するテレサは心が壊れてる。メンヘラな彼女が生きたのが退廃感漂う70年代だというのが状況の酷さを加速しているよう。父権主義の強すぎな父親から逃げ出して、酷薄な教授、わが身可愛い生活保護課の男、ゆきずりの男たちに至ってはヒモに前科者に泥棒警官に、と手当たりしだい試してみたけど結局彼女は“グッドバー”氏には巡り会えなかった。 メンヘラであばずれではあってもそれは彼女の一面で、他方では他者への共感性が強く優しいテレサ。妹を理解し、聾の生徒たちには心を込めて接し、男の嘘八百な身の上話に胸を痛める。男との情交の合間に汚い部屋で授業用の資料を作る、先生テレサ。 彼女をめった刺しに追い込んだのは一体何なのか。婦人運動だの性の解放だのとかまびすしかった時代に、R・ブルックスが一石を投じたような衝撃作。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-10 01:11:14)《改行有》 785. ヴェロニカ・ゲリン 《ネタバレ》 道端に注射器が落ちているような退廃した北アイルランド、そこへ立ち上がる女性ジャーナリスト。使命感を大きく抱き、ガッツに溢れて妥協せず、容赦せず。なにしろ組織の黒幕オヤジが女相手に攻撃性向を100%むき出しにしてくるほどの、ある種の厚かましさもある。このタイプの人を身近なPTAなどのオバサンに当てはめるとイヤな気持ちになってしまいそうですが、ケイトで良かった。クールな美貌でテンション高く突き進むその姿、りりしく美しい。実に映画的。彼女が亡くなった翌週に法が改正されたなんて。何なのよ、できるのならもっと早くやれって。実話ならではの、やりきれない思いでいっぱい。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-10 00:47:35)(良:1票) 786. 張り込み(1987) 個人的にはエミリオ・エステベスがオジサンぽくて衝撃を受けた本作なのですが、中身は“脱力コメディー”とでも申せましょうか、ゆるくて楽しいです。後半のサスペンス部も手を抜かずに作っている感じで好感度高し。余白の遊びの部分が楽しいんですよ。張り込み班二組が、相手チームにケチくさい嫌がらせを互いに仕掛けてるトコ、大好きです。[ビデオ(字幕)] 7点(2013-11-10 00:16:01) 787. めまい(1958) 《ネタバレ》 ネタを中盤でばらしてしまうのね、と随分驚いたものでした。メイクひとつで随分雰囲気を変えてくるキム・ノヴァクにも。映画全体に妙な妖気みたいのが漂っていて、(あのぐるぐるめまいの描写のせいかな)彼女に同じ格好をさせようとするJ・スチュワートの粘着ぶりや、身もふたも無い突き放したようなラストに至るまでなんか気持ちの悪さが忘れ難い映画です。[地上波(字幕)] 7点(2013-11-08 00:55:02) 788. シンプル・プラン 《ネタバレ》 やっぱり、肩入れしたくなるのはB・B・ソーントン演じる冴えない兄貴。自分でも負け人生を自覚していて、良心のとがめにふらふら優柔不断で危なっかしいねえ。ああ、こんなのが仲間にいたらうまく行きっこないぞう、と予想できちゃう。その弟夫婦、一見、世間的にはまっとうなこの人たちがかなりの曲者。けっこうな小ずるさを正論で糊塗するハンクも嫌いだけど、欲に遠慮の無い鬼嫁ブリジットが怖い。ことごとく裏目に出る彼女の計画ったら冷血だわー怖いわー。ついにはヨメよりはるかに小心の主人公、札束焼却にて証拠隠滅。しかしヨメとの溝はもはや埋め難く残ったであろう。手に入らなくとも大金とは人生を狂わせるものなのね。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-08 00:30:37)(良:1票) 789. アルカトラズからの脱出 脱獄モノのジャンルでいえばやはり後年になってより洗練された“ショーシャンク”の方がドラマの広がりや深みでずっと優れているとは思うけど、こちらも先駆者として侮れない出来。ごついイーストウッドがちまちまと進める脱獄計画の緻密なこと、大胆なこと。精神破綻をきたした画家だとかねずみをペットにしている調達屋とか黒人の頭役とか、脇もバラエティに富んでいる。もう少しイーストウッドと絡んでほしかったけど。人形、ふつう気づくよな・・。いやきっと本物の牢獄はもっと暗いんだよきっとそうだ と自分に言い聞かせていた鑑賞後。[ビデオ(字幕)] 7点(2013-11-08 00:13:14) 790. ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 ぱっと見はオリジナルそっくりだなあ、というのが第一印象。ルーニー・マーラのリスベットは一瞬オリジナルの女優さんかと思うほどだし、鬼畜後見人への復讐場面や最後の地下監禁部屋の内装?などはほぼミレニアムのまま。でも映画を観終わってみると、こちらの方が滑らかにストーリー展開していたような感じを受ける。ここら辺は商業映画に長けた脚本家が上手いこと手を入れたんだろうな。ミカエルとリスベットの関係、心の通い方などはオリジナルより丁寧に描きこんである。ラストなんかね、リスベット、それまで抜群のIQの高さでもってミカエルを凌駕していたのが、突如恋する小娘に成り下がる。ミカエルにあっさり遊ばれてた感すらある。“大人の男”の一枚も二枚も上手な度量を見せつけて、ここにきてダニエル・クレイグが見事にこの役にはまる。リスベット、ますます男嫌いにならなきゃいいが。[DVD(字幕)] 7点(2013-11-04 01:20:21) 791. 第十七捕虜収容所 収容所が舞台だと、陰惨だったりキツかったら嫌だなあと身構えてしまう私ですが、ビリー・ワイルダーは捕虜いじめに精を出すといったことをしないので、お気楽なコメディーになっててひと安心。ラスト手前までほんと楽しかったのだけど、スパイの処遇には突如として戦争のダークサイドが顕れてびびった。なんかリンチみたいじゃん。キツイなあ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-27 23:58:22)(良:2票) 792. 三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 ここの点数は低いけど、私は93年度版のよりこっちのが好みです。画がキレイですし、枢機卿がお気に入りのクリストフ・ヴァルツだっていうのも大きいんだけども。他の人物たちもダメの典型王様もこれはこれで良いし、ロシュフォールの渋いかっこ良さ、見惚れます。ミラの悪女も美しい。4人の銃士の存在感はいまいちかな。ダルタニアンのロマンスがどうとかより、宮廷での王妃VS枢機卿の陰謀描写の方が見応えあったりします。飛行船がばーっと空を覆う場面は、映画館で観たかったなあ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-14 00:48:11) 793. フレイルティー/妄執 ラストの怒涛のタネ明かし、これなかなか凄いです。中盤までの、「ああーこのイカレ親父を誰かなんとかしてくれよう~」という辟易感が一気に変換されました。伏線がやたら早くに張られていたんだと気づくのもまた楽しい。子供の辛さに我慢して付き合って最後までご覧ください。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-11 00:41:21) 794. アルゴ 《ネタバレ》 脱出劇としては良く出来ていると思う。モンタージュが子供らの手で仕上がってゆくにつれてどきどき、バザールで絡まれてひやひや。搭乗寸前の空港では間一髪の連続。観てる私の貧乏ゆすりが止まらない。はるか遠い国で拘束されている人質救出のために恐るべき緻密さで映画作戦をたてるCIAの徹底ぶりも見所。・・でも、なんか私この映画にもろ手を挙げて快哉を叫べないんですよね。背景は複雑ですから娯楽映画に政治的意見を挟むのは適切じゃないと分かってはいるんですが。でも冒頭からしてせっせとパーレビの悪口だけど、いやいやお前が言うの?アメリカよ。と思ってしまうし、あの6人だって果たして英雄なのかともやもやする。大使館内に残った人たちよりかなり良い待遇を受け、他国の世話になり、先に脱出を果たす。イラン領空を抜けた機内で屈託無く喜んでいたけど、大使館の人質が報復を受ける危険も増したんじゃないか。誰も心配しないの?誰が英雄か、ってそれはもちろんカナダ大使に他ならないと思うんだけど。扱い軽いなーっ。等々、楽しめたんだけど瑣末な事が気になってぶつくさ文句言ってしまった。[DVD(字幕)] 7点(2013-10-07 00:52:19)(良:1票) 795. 真実の瞬間(1991) アメリカ映画が時折見せる、反省と自戒のこもった作品。自国の黒歴史をきちんと残しておこうというその姿勢、やはり思想の自由が保全された国として米国はチャンピオンだろうな。過去にはその自由が怪しくなった時代があったぞという、一個人としてはどうにも戦いようの無い怖い話。勝ち目が無くとも、個人の内なる尊厳を守るべく生きがいを引き換えに闘うデニーロの姿は眩しかった。生命すら失った文化人も多数いたと聞くと、どうしても一人の映画監督が頭をよぎる。今はいろんな意見があるようだけど、彼のしたことをもっと後の歴史はどう評するのだろう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-02 00:32:48) 796. バニー・レークは行方不明 《ネタバレ》 兄と妹がセットで動くってなんかおかしいなあとは思いつつ、“サイコ”要素が入ってくるとは予想外。ネタをばらされてみると色々プロットに粗が見えてきてしまうのが玉にキズ。お母さん、娘が行方不明なんですから、しかも自身が疑われてるんだし「いや実はうちの兄、少しおかしいんですよ」と警察に相談しないかね。とは言っても、そう感じたのは観終わってからでのこと。鑑賞中は孤立してゆく母親の焦燥感とか事件の不思議感の引きが強くて、わーどうなるんだろう、と楽しむことができました。モノクロのシャープな映像も印象的です。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-25 00:04:29)(良:1票) 797. 菊次郎の夏 暑い日が続くと思い出す一本。日本の夏をくっきりと焼き付けたような降り注ぐ蝉の声と濃い影、緑。男の子が、成長する過程で心の中から母親を切り離さなきゃならないその季節に夏ってのはまたぴったりだったりする。正男くんにとってなかなかキツイ試練だったけれど、誰もが通るその道をダメとデブとハゲが賑やかに彩ってくれる。なんという優しさ。菊次郎の照れ隠しのバカヤローが連発され、でもって観てるこちらは「ばかはあんただよ」と岸本加代子姐さんの気持ちで突っ込みつつ、何かほのぼのしてしまうのだ。 でも、やっぱりたけしを見てきた日本人としては“だるまさんが転んだ”にしても“ターザンごっこ”にしても、次のショットでハゲが絶対全裸で出てくる、と分かっちゃうわけで、このあたりのたけしギャグはもっと新鮮な気持ちで呆れ笑いをしたかったなあとちょっと残念ではある。[ビデオ(邦画)] 7点(2013-09-19 00:58:58)《改行有》 798. ノッティングヒルの恋人 やりすぎず、白けさせず。ご都合主義手前で寸止め、このへんのさじ加減が上手いので好感度の高い仕上がりになってます。ジュリアはちやほやされるのも納得の美貌をキープ、ヒュー・グラントはたれ目の目じりをさらに下げて困り顔のくよくよ君にぴったり。そして脇の面々が個性的で魅力的です。友人スパイクがのっけから変態Tシャツでかましてくれる導入部は最高。リッツのフロントや、書店の客(二回も来たおじさん)といった脇の脇に至るまで物語に参加してくる。こういう目配りの効いた脚本にはセンスを感じて嬉しくなります。ヒューがとっさに偽装したのが“馬と猟犬”誌の記者だというのがシュールで笑っちゃう。こんな雑誌イギリスにならほんとにありそう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-19 00:12:12)(良:2票) 799. 永遠のマリア・カラス カラス役はファニー・アルダン。なんかこう大きくて、ざくざくっと男っぽいんだけども、そのぶんフェロモンも奥ゆかしさ無く全開で迫ってくるものがある。好きです。劇中劇のカルメン、赤と黒の衣装が強烈に似合って、まさに“スター”といった風格。すごい存在感だ。カラスなのかアルダンなのかどっちに魅かれてるのか分かんなくなったりする。どこまで実話に沿ってるのかは分からない。アーティストである以上、カラスが偽りの興行に同意するとは思えないけども、自らを静かに見切ったラストのアルダンの表情は哀しいけど美しかった。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-13 23:57:06) 800. ボーン・アイデンティティー マット・デイモンがアクション映画に、って一体何をどう思っての承諾なのやらと思ったのは私だけではないと思うんだ。でもこれが意外と見せるんで「おお?」と意外性に引っ張られて最後まで観た。この人の真面目さ、律儀さがリアリティ度を増してるんだろうか。窓から壁を伝って、よじよじと慎重にビル壁面を降りてくる場面、このスーパーマン過ぎないさじ加減の上手さに感心。情報を手に入れるくだりで、マリーにあっさり綿密な計画をスルーされたりと、ちょっと笑わしてくれる演出もおしゃれ。トム・リプリーだった時の卑屈な目元を見事に消し去り、堂々たるエージェントぶり、新しいアクション俳優の誕生ですね。[CS・衛星(吹替)] 7点(2013-09-13 00:08:24)(良:1票)
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS