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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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881.  71フラグメンツ 《ネタバレ》 初期作にあたる"感情の氷河化"三部作の最後の割にレビューが全くない。 前二作に比べるとかなり地味なため致し方ないのかもしれない。 冒頭で「銀行銃撃事件により3人が死亡し犯人は自殺する」というテロップが流れる。 如何にしてこの事件が起こったのか興味を惹かれる。 しかし、この群像劇は盛り上がりの欠いたドキュメンタリーのように、 実在のニュース映像と並行的に進められる。 ハネケのインタビューによると、ここでカットすべきシーンを必要以上に伸ばしているそうで、 下世話なワイドショーを即物的に求める大衆の心理を逆手に取っている。 事件が発生するも銃撃した青年の動機は衝動的なもので、被害者は一切映されない。 不可解な事件は出涸らし同然になり、マイケル・ジャクソンの猥褻事件といった新しいニュースが陳列される。 誰かが重大な事件に遭おうが、我々視聴者は他人事のように更なる消費を求める。 無関係で無関心だからこそ、世界の悲惨な紛争地帯を眺めても当たり前すぎて何も感じられないし何もできない。 それでこの映画は何を言いたかったのだろう? 視聴者に対する余計なお節介は後の『ファニーゲーム』に続く。[DVD(字幕)] 5点(2015-05-19 00:28:46)《改行有》

882.  ベニーズ・ビデオ 《ネタバレ》 豚の屠殺映像を一旦巻き戻し、繰り返し再生される冒頭。「これが現実だ」と言わんばかりの映像を編集できる"神の能力"に浸るベニーの危険性を暗示させる。映像というフレームの中でしか現実を実感できない彼は、衝動的に少女を殺しても、その行為は零したミルクをふき取る行為と同等にしか映らない。頭を丸めたり、両親にビデオを見せるのも、罪悪感や贖罪からではなく、第三者に見せることによって現実を実感したい渇望によるものだろう。そこに普通の人間とサイコパスの隔絶した溝を深める。両親もまた普段からベニーの接し方が分からず擦れ違うばかりで、殺人の隠蔽もエジプト旅行もベニーのためというより、事なかれ主義や自己保身の側面が強い。一線を超えてしまった両親に殺人を無かったことにされ、再び現実を実感できなくなったベニーが、今度は警察にビデオを突き出す顛末に、今日のメディアの情報を現実だと鵜呑みにしている大衆と重なるのは自分だけかな。『セブンス・コンチネント』同様、衝撃的で先見性のある題材だが、後半の尻すぼみは残念。原題が英語であり、主役が『ファニーゲーム』の青年と同じであることを考えると、現実と虚構の境目が曖昧になっていく世界にセットで警鐘を鳴らしているよう。[DVD(字幕)] 5点(2015-05-19 00:22:11)

883.  セブンス・コンチネント 《ネタバレ》 20年以上前の作品なのにも関わらず、全く色褪せない。 今でこそ実感する文明社会の病理を題材にしたハネケの先見性には驚かされる。 今と比べればまだ荒削りではあるが、既にスタイルが確立しており、実験的で挑発的だ。 何せ冒頭10分まで家族の顔を一切見せないのだから。 この地点で閉塞的でモノに支配されている家族の肖像が浮かび上がる。 繋ぎ目に挟み込まれる居心地の悪い黒い間、効果的に登場する数字(=規則性の暗喩か)、 モノや人付き合いのしがらみから解放されたい家族の渇望を表しているようだ。 そして家族は決行する。顔を映さないまま、家具やレコードや衣服を黙々と破壊していく。 紙幣を便器に捨てるシーンからしても我々が如何にモノに支配されているか分かるもの。 虚栄とモノに満ち溢れた世界を破壊する背信的なカタルシスがここにある。 水槽を破壊して娘が悲しんでいるところでハッとしていれば、まだやり直しができたはず。 もう後戻りは出来ない。 何も映らないテレビの砂嵐の先にあるのは、黄泉の世界なのか、"無"なのかは誰も分からない。 自殺するだけならまだしもモノを破壊する理由も誰も分からない。 文明社会は本当に人々を豊かにさせたのか? それでも虚無感を抱えながら、社会を維持し続けるために"奴隷"を演じ続けるしかないのだろう。[DVD(字幕)] 7点(2015-05-05 21:37:31)《改行有》

884.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 ◆水彩画の如く色彩豊かな四季のように、時には生き生きと、時には激しく、感情を揺さぶられた。建前と見栄で成り立った都の高官のエゴに笑いを誘われつつも、生の歓びと逞しさに満ち溢れた山間との落差を際立たせる。女を所有物とみなす都の男とかぐや姫を幸せにさせたいが余りその価値観に従った翁とは対照的に、金や権力に執着せず田畑に勤しむ媼とかつての素朴な生活に目を輝かせるかぐや姫との対比が、理想主義vs現実主義という、現代の男女の価値観の違いにも通じるものがある。◆都の苦悩も悲しみもない月で地球に憧れることは果てして罪なのか? ちょっとしたエゴで周りを傷付き狂わせたかぐや姫は存在するだけで罪なのか? 生きている以上、周囲との摩擦は避けられず、息苦しさと生き辛さを感じるのは、人の業であり罪そのものだろう。誰もが自分勝手だから悶え苦しむ。◆避けられない結末、空気を読まない極楽な曲調で連れて帰っていく月の一行。天の羽衣を着せられ、記憶(=地上での人生)をかき消されたかぐや姫は死んだように見えた。それでも残酷で醜悪な世界だとしても、己が無力だとしても、生きているだけでも結構悪くないもんさ、と諦めにも似た希望が感じられるのは80近い高畑勲の集大成そのものかもしれない。[映画館(邦画)] 8点(2015-05-05 21:31:18)

885.  隠された記憶 《ネタバレ》 「盗撮テープが送られてくる」という筋書きから引き込まれる。 しかし、ハネケは犯人探しには興味なく、誰にでもある忘れ去りたい"疾しさ"を抉り出したいようだ。 無意識に葬った罪の記憶。それを洗い出す過程で最後まで流れないBGM、 盗撮映像と同化した長回し撮影によって、弛み切った辺りで挿入される中盤の自殺が最大限に発揮され、 焼き付けられる死の瞬間と後悔を刻み付ける。 背景には、かつての宗主国フランスとかつての植民地アルジェリアの関係が大きい。 移民問題で露わになった憎悪が原因か? しかし、ギクシャクした親子関係も影が深く、それを象徴するのがあのラストシーン。 息子同士の共謀なのか第三者による盗撮なのか分からないまま、正体不明の悪意が最後までひた歩く。 観客の心にそっと囁くように…… フランスとアルジェリアの確執を持ち出しても日本にはピンと来ないだろうが、 日本人と在住朝鮮人の関係に置き換えれば、意外と分かりやすい部類かもしれない。 どちらが真実かはこの映画同様、"隠されたソレ"(=Caché)でしかない。 では、あなたの黒歴史は?[DVD(字幕)] 5点(2015-04-28 22:56:32)《改行有》

886.  ファニーゲーム U.S.A. 《ネタバレ》 オリジナル版視聴済。 ストーリー、カット割り、カメラワークはほぼ同じなため、 逆にリメイク版から見た人にとっては結局不愉快なだけで手玉を取られることになる。 しかし、オリジナルを見た以上、どうしても比較せざるを得ないのも事実。 慣れなのか、オリジナルほどの不快感がなく、ナオミ・ワッツ、ティム・ロスといった有名俳優の起用、 生活感のない洗練された映像、ハリウッド特有のドライさがあってか、フィクション色がさらに強まり、 かえって陰惨な感じが薄まってしまった。 一線を超えた何かがこの映画には感じられなかった。 いっそのこと、ラストにもう一つ付け加えた方が良かったかもしれない。 暴力ゲーム(つまり本編)をクリアした子供とそれに無関心な親の会話を挿入するなりして。 アメリカへの嫌がらせのために焼き直しした割に全然効果なかったね、ハネケさん。[DVD(字幕)] 5点(2015-04-28 21:33:53)《改行有》

887.  ファニーゲーム 《ネタバレ》 「とにかく不快」と評判で、数軒のレンタル店を駆けずり回ってやっと見れた思い出。 ネタばれを見てしまったのでそこまで衝撃的ではないにしろ、 あの威圧感と不快感、双方とも「何かをしてくれるのでは?」の期待感の地点で、 ハネケの思う壺なのだろう。 昔、ディズニーの『101匹わんちゃん』を見てて、 クルエラと凸凹コンビがヘマせずに勝ったらどうなるかを妄想していただけに、 笑うに笑えない、観客の露悪を嫌でも晒け出してくれる。 極端な話、この映画の暴力とスーパーマンの暴力はベクトル的に違えど本質的にはほとんど同じだろう。 原題が英語なのも暴力という文化を量産し続けるアメリカへの皮肉だ。 しかし、アメリカではあまり話題にはならなかったように、 暴力の本質や「虚構は現実と同じくらい現実だ」と講釈を垂れたところで、 「だから何だ」と相手にされなければその映画の価値はゼロに等しい。 強盗に対して平和的な話し合いをしても無意味なように。 結局、ハネケを喜ばせるだけに過ぎないのだから、そういう意味では0点でもあるし10点満点でもある。 それでも、ある種の吸引力は相当なものでインパクトを残した点で7点献上。[DVD(字幕)] 7点(2015-04-28 21:31:03)《改行有》

888.  北京原人 Who are you? 『北京原人 (または勘違いかつ疑問すら抱かなかった主要スタッフこそ)Who are you?』が正しいタイトルでは? しかし、ジャンルに"エロティック"と銘打った奴、出てこい(確かに胸露出はあるけどさ)[ビデオ(邦画)] 1点(2015-04-22 20:59:24)

889.  シベリア超特急 《ネタバレ》 冒頭の「ボルシチうまかったぞ」の台詞から撃沈確実。揺れない列車に、洋画色出そうと起用した外国人モデルが泣かせる。部下の見せ場のためにわざわざ外から入ったり、次々と無意味に死んでいく乗客たち。極めつけは自分の足で捜査することなく、断定当然で解決してしまう晴郎の迷推理に尽きる。これでは如何なる反戦メッセージも虚しく響き渡る。エンドクレジット後の全てを台無しにさせる展開も強烈で、冒頭の伏線をここで回収してもセンスのなさを更に露呈させている。畑違いの才人が監督を務めるには相応の才覚と謙虚さが必要で、数多くの映画を見ていても、驕った未経験者がいきなり長編で佳作を撮れるとは限らないとある意味証明した珍作。[地上波(邦画)] 1点(2015-04-22 20:55:11)

890.  DRAGONBALL EVOLUTION 《ネタバレ》 如何なる巨匠もジャンプ編集部の圧力には逆らえないのか・・・名前を貸しただけで製作総指揮にクレジットされ、戦犯扱いされてしまった鳥山明氏の心境を思うと非常に心苦しい。孫悟空が高校生の地点で悪寒以外の何物でもなく、ポスターにしてもどれだけ中身が酷いかは覚悟していた。「誰かのルール? そんなの関係ない」を象徴するかのように、原作の世界観や登場人物に対しての最低限のリスペクトもないどころか、全てにおいて適当に片付けてしまった突貫工事のような作り。そのくせタイトルに"EVOLUTION"と付け加えたり、続編製作の意識があったりと、人気ブランドをネタにぼろ儲けしたい自信がどれから湧いてくるのだろう。心臓マッサージに使い、サイコクラッシャーみたいなかめはめ波など見たくなかった。87分という上映時間の短さに救われる。本来ならこんなレビューなんて書かず、存在自体忘却されるべきなのに、やり切れなかったので書いちゃった。[DVD(字幕)] 3点(2015-04-22 20:46:25)

891.  ハウス・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 才能のない監督がやってはいけない演出のオンパレード。原作ゲーム映像の使い回し、不必要なストップモーション風射撃フォーム(ほぼ全員分用意)、火事場の馬鹿力でラスボス撃破、続編を臭わせるラスト・・・それだけでも酷いのに、主な登場人物が性欲と薬の興味だけは人一倍の無知なティーンばかりで何一つ共感できず、誰が死んでもどうでも良かった。船長がゾンビ化した部下を憐れむ唐突なドラマも、結果的に危機を招くだけで酷さに拍車をかける。エド・ウッドのように資金繰りで苦労しているならまだしも、金持ちのボンボンがコネで商業映画を撮っている分、なおさら性質が悪い。何故かテンポだけは悪くないのでそこが唯一の救い。[DVD(字幕)] 3点(2015-04-22 20:41:19)(良:1票)

892.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) これほど納得のいかない作品賞は久しぶりだろう。あたかもワンカットで撮ったような映像世界で、映画と演劇、現実と虚構、娯楽と芸術、滑稽と悲哀、愛情と孤独が縦横無尽に駆け回り浮かび上がっていく。しかし、思わせぶりの哲学的要素を掲げ、深みが増したように見せかけて、それほどの奥行きにまで到達していないように見えた。百歩譲ってチャレンジ精神は買おう。それでも、ショービジネス、技巧、インテリ、如何にも会員や批評家が陥りやすい業界受けで観客無視の凡作だと思う。自分は、会員のほとんどを占める御老体のエリート白人男性の仲間になることができなかった。ここで思い上がらず、次回作は直球でお願いします。自分の感性が衰えてしまったのかな?[映画館(字幕)] 4点(2015-04-12 18:05:16)

893.  BIUTIFUL ビューティフル(2010) 《ネタバレ》 バラエティ旅番組では決して見ることのないバルセロナの熾烈。ただ生きていくことだけで手一杯で、あまりにも醜悪で悲惨な世界でもがく人たち。わずか二ヶ月の命を宣告された父親は自分に出来ることを最期まで捧げる。しかし全て裏目に出て、安いストーブの不燃焼で自分が斡旋した不法労働者は死に絶え、知人のセネガル人女性に後見人として頼むも裏切られる。残された姉弟は受け継がれる貧困を歩むのかもしれない。それでも父親から与えられた愛情を胸に、困難に立ち向かう未来を我々は願うしかないだろう。猥雑で汚わいに満ちた世界から一転して純白に染まった雪景色の中、彼を待つ父と共に黄泉の世界へ旅立つ。歪だがそれでも生きた証こそ<<BIUTIFUL>>そのものではないだろうか。[DVD(字幕)] 7点(2015-04-09 19:58:55)

894.  バベル 「頭の良い馬鹿ほど受けやすい映画」と誰かが言った。ブラッド・ピットと日本目当てで観たミーハーのほとんどは憤慨し、さしづめ神の怒りに触れて崩壊したバベルの塔のようだ。実のところ4つの物語が深く密接に関係することもなく、その構成を象徴するかのように、言葉も人種も宗教観も価値観も散り散りになっていく地球人のディスコミュニケーションに警鐘を鳴らしても、「だから何だ」で済まされる可能性が高く本末転倒だろう。ただ、2時間半に及ぶ長尺を冗長なくまとめた演出力は評価。賛否両論だが聾唖の女子高生を聖人君子として描かなかっただけ良い方。今の日本も映画のようなディストピアになってきているよね。[映画館(字幕)] 5点(2015-04-09 19:51:44)

895.  21グラム 単純で辛気臭い話を無意味に時間軸シャッフルして高尚に見せても、ただただ分かりづらく下品にしているだけ。話が飛びに飛び、逆に俳優陣の熱演に集中できなかった。変に高尚にしようと意識しているのがイニャリトゥの悪いところ。[DVD(字幕)] 4点(2015-04-09 19:49:13)

896.  アモーレス・ペロス 《ネタバレ》 冒頭のカーチェイスから鷲掴みにされる。 荒削りでギラギラした熱情の一方で冷徹な眼差しのコントラスト。 タランティーノの乾いた暴力とポール・トーマス・アンダーソンの濃厚な悲喜劇の融合だ。 しかし、あくまでイニャリトゥ特有の辛苦さがねっとりしたメキシコの空気を支配する。 三度繰り返される交通事故が及ぼした人間模様はあまりにも容赦なく、もう取り返しのつかない喪失感を際立たせる。 「それでも人生は続く」。 これが監督の取り組む一貫したテーマである。 犬と共に何もない荒野を前に一歩一歩踏み締める姿に、生きる強さを感じざるを得ない。 兄嫁に見放された青年も生きていく。片脚を失った元モデルも生きていく。 絶望を超えて達観している。[DVD(字幕)] 7点(2015-04-09 19:47:15)《改行有》

897.  さあ帰ろう、ペダルをこいで 《ネタバレ》 交通事故で両親と記憶を失ったブルガリア系ドイツ人の青年とブルガリアから飛んできた型破りな祖父がタンデム自転車で祖国へ帰るロードムービーを縦軸に、社会主義時代のブルガリアからの亡命を図った一家の回想を横軸として交差していく。バッグギャモンとタンデム自転車が重要なキーワードになっており、原作付きだから当然とは言え、脚本が素晴らしい。無理なく伏線が回収され、ミニカーと自動車事故がオーバーラップして記憶を取り戻す演出には感嘆。叙情性溢れる音楽も素晴らしく、二人と軌跡を追った気分になれる。亡命が皮肉にも家族の断絶を引き起こし、新天地でも暗い過去を送っていた青年が、祖父と始めたバックギャモンをきっかけに過去と決別し、新しい人生を始めるラストに「世の中捨てたものじゃない」と思わせる力があった。英題は『世界は広い、救いはどこにでもある』。とても良い掘り出し物でした。[DVD(字幕)] 8点(2015-03-20 22:02:42)

898.  風立ちぬ(2013) 確認のため、地上波で二度目の鑑賞。言いたいことは他の素晴らしきレビューの通りなので多くは語らない。子供には退屈なアニメだし、盛り上がりもなく淡々としているのは構わない。ただ、ゼロ戦完成までの苦闘を描きたかったのか、メロドラマを描きたかったのかどっちつかずで、挿入される夢のシーンも相まって、さらに支離滅裂なものに。劇中で度々描かれる"矛盾"は本作そのものと言える。もっとも「監督が自分自身のために作った」んだから、宮崎&ジブリという理由で話題に振り回されるのはもう御免。いずれにしても、『ひこうき雲』のプロモーション・ビデオとして見たら十分な出来ではないだろうか。[映画館(邦画)] 5点(2015-02-28 17:22:25)

899.  魔法にかけられて 二次元では動物と戯れ、楽しく歌う綺麗なプリンセスも、三次元では浮きまくって痛い女にしか見えない。そのギャップにひたすら引き攣った笑いが止まらなかった。ディズニーらしかぬ自虐さとシニカルさが逆に新鮮。ジゼルとエドワード王子が30代ってあたりも狙っているとしか思えないが、演技派のエイミー・アダムスでなければアニメの世界を実写に持ち込めなかったかもしれない。絵に描いたような薄っぺらいキャラクターが現実に触れることで次第に奥行きを与えられる過程とクライマックスの変化球に、ディズニーの正統進化が感じられた。惜しむらくは、ラストが強引で綺麗に締めてしまったところか。 もう少しブラックな結末にしても良いと思うけど。[地上波(吹替)] 7点(2015-02-28 16:39:49)

900.  6才のボクが、大人になるまで。 《ネタバレ》 アカデミー賞発表の前日に観賞。主要人物の誰かが事故や病気で亡くなったらどうする? 主役の少年が堕落したらどうする? 12年かけて撮るという、簡単そうで撮り直しの利かないリスキーな賭けに勝ったリンクレイターの集大成。ハリポタ、iMac、初代X-BOX、大統領選、レディー・ガガとその時代を象徴するアイコンを散りばめながら、両親の離婚、母の再婚相手からの暴力、学校でのイジメ、母への反発、初恋と失恋を経験しながら成長していく主人公の姿を生々しく等身大に、丁寧に掬い取っていく。ラストの母親役のパトリシア・アークエットが全てを持っていった。息子は自分の背丈を追い抜き、今、自分の元から巣立とうとしている。あとは葬式しかない。時間は平等で同じ瞬間は二度と訪れない。それでも人生は続く。ある少年の冒険譚を見届けた万感の思いを彼女が代弁してくれた。振り返れば、一年前は何をしていたのか、あのときの知人は今どうなっているのか、何事もないように見えて、実は壮大な歴史の一ページを自分達は歩んでいるのではないだろうか。新天地へ旅立つシーンで終わった方が潔かった。[映画館(字幕)] 8点(2015-02-25 22:02:23)

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