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941. ドラキュリアII 鮮血の狩人 《ネタバレ》 個人的には前作より面白いです。 ヴァンパイアに限らず、登場人物の誰もが狂気をはらんだ雰囲気をまとっているのが面白い。恐怖演出も前作より現実味があってパワーアップしている感じがします。 口の中を調べていたら、突然キバが伸びて指を切ったり、そこから少しずつ侵食されていったり、なかなかファンタスティックな演出。 ストーリーの面でも、教授が人間サイドの黒幕として存在し、最後にサプライズをお届けするっていう発想も凝っていて良いですね。 私利私欲にまみれた教授とその友人の卑小な悪役ぶりを見せ付けられると、ヴァンパイアの純粋悪が際立って、もはやダークヒーローの威厳さえ感じます。 前作とのつながりもちゃんとあり、『実はキリストもヴァンパイアだったんだぜ』ってなことを匂わせてからの背後からズドン。ヒロインとユダが手を取りあってエンドクレジットって、なかなか良いんじゃないでしょうか。 ユダを怒らせて顔を食いちぎられた人が、結局吸血鬼として蘇ったときのヴィジュアルがエキサイティングで最高。 本当は8点くらいつけたいのですが、途中若干ダラダラしたので7.5点くらい。とりあえず7点で。 タイトルは原題『ASCENSION(キリストの昇天)』のほうがかっこいいと思うけど、ネタバレになっちゃいますかね。[DVD(字幕)] 7点(2015-12-13 17:36:51)《改行有》 942. 恋にあこがれて in N.Y. 《ネタバレ》 うん、これは面白いと思います。 まずは主人公アマンダとモデルたちのカルチャーショックを楽しみ、アマンダとジムの恋の行方を見守り、突然始まるサスペンス&ミステリーな展開に息を呑む、三段重ねのおせちのような多彩なストーリーが本作の魅力でしょう。 基本的には気楽に見れるB級ライトコメディーですが、サスペンス内容が思ったよりよくできているがために、かえってラブストーリーに気持ちが入っていかないのは本作の欠点かもしれないですね。 絶対『そんなわけないやん。これラブコメやし』と思ってはいるのですが、もしかしてやっぱりこいつが・・・?みたいな感じでミステリーのほうが気になっちゃうんですよね。 ですが間違いなく隠れ良作に入る楽しい作品です。 見ている間は展開やオチが気になって終始くぎづけ、見終わった後の後味はすっきり爽やか、ハッピーエンド。 友人や知人にも全然オススメできるなかなかの良質なご家庭ムービーでした。[DVD(字幕)] 7点(2015-12-09 04:40:38)《改行有》 943. ドラキュリア 《ネタバレ》 オープニングから現代とゴシックホラーを融合させた雰囲気が際立つ傑作の予感。 しかし物語が進むにつれ、一般的なB級ホラーと変わらない内容に。うーん。残念。もっと面白くなりそうな感じがしたんですけどね。 中盤から後半にかけてはオカルトテイストがより際立ち、更にはアクションも入ってくるわけですが、何しろノリが軽いです。その軽いノリで人間も吸血鬼もばんばんやられちゃいます。まあ良いんだけどさ。 オカルトチックな作品は、今作のようにある程度説明を入れてくれないとわけがわからなくなります。 かと言って、説明過多になると、間延びして退屈しちゃうから大変です。ドラキュリアも例外ではないみたいです。正直中盤くらいにちょっとだるい展開になるんですよね。 『吸血鬼もの』ならではの、被害者の絶望感や悲壮感というものが、どんな作品でも漂うものですが、この作品に関してはそういった情緒は皆無に近いです。 吸血鬼になった人は、皆あっぱっぱーになります。そんで第2の人生を謳歌します。その潔さは良いですけどね。『金よりこっちのほうが良いぜー。ひゃっほー』って言っちゃってますからね。 それにしても『ユダ=ドラキュラ、だから十字架、キリストが嫌い。それは個人的な理由からだった・・。』というのは、なかなか斬新な切り口で面白いです。なのにそれがミステリーやサプライズとしての面白さまで昇華できていないのはもったいない。キリストに、『おまえはこっちの世界に来るんじゃねーよ』って言われたから死ねなくなったっつうのもはた迷惑な話で面白い。キリスト、めっちゃ人間小さいじゃないですか。 総評としては、アクション・ホラー・ドラマパート、どれをとっても1,5流作品といったところですが、相対的に見ると普通に面白いエンターテイメントで悪くないです。ただ少々、特にラスト、ちょっとこじんまりとまとまりすぎちゃいましたかね。 個人的には、いっそマリーだけではなくサイモンも吸血鬼化しちゃって、吸血鬼同士のバトルロワイヤルみたいになるのを密かに期待していたのですが、願い叶わずです。[DVD(字幕)] 7点(2015-12-05 07:04:04)(良:1票) 《改行有》 944. スパイダーズ 《ネタバレ》 こんなにわかり易いジャンルもなかなか無いですね。 『街中で突然大きなクモが出てきてパニックになる様子を見たい人』=『私』。つまり私にとって最高の映画でした。 上品な料理ばかり食べていると、時々マ○クが食べたくなる。そういった意味では大変貴重な作品。こーゆー作品も絶対に必要です。 ここから、完全空想レビューです。 『え、そんな展開にしちゃうんですか?今までのサスペンスホラーの雰囲気壊れちゃいますよ』 監督『そうかもしれん。これをやってしまえば、俺の監督生命は終わるかもしれん。だけど、大きなクモが町で暴れ、町中がパニックになる、見てみたくはないか?』 『み、見てみたいっす・・!』 監督『だろ?だったらいっちょ俺達の手で宇宙グモを大暴れさせてやろーぜ!』 『よーし、いっそ、これぐらいのサイズにして、新聞社ぶっ壊して登場ってのは、どーですかね監督!』 監督『はっはー、いいぞ、調子出てきたじゃないか!』 『女記者もランボーみたいにしちゃって、最後は目からレーザーでも出しますか!』 監督『ばか。調子に乗るんじゃない!・・・ロケットランチャーくらいにしておけ。』 『か、かんとくぅー。い、一生ついていくっすー。』[DVD(字幕)] 7点(2015-11-30 01:09:14)《改行有》 945. M:I-2 《ネタバレ》 これは面白いです。面白いですが『ミッション・インポッシブル』ではないですねー。前半、競馬場くらいまでは頑張ってスパイスパイしていましたが、後半からラストにかけてはもう『ミッション』なんてどうでもよくなっちゃうくらいのアクション押し。 ストーリーも『新型の細菌とワクチンの奪い合い』というのがメインのストーリーなんでしょうが、実際のところは『元カノをめぐる今カレと元カレの攻防』でしょう。 続編としてではなく、映画単体として見ればかなりの傑作。アクション映画として理屈抜きの面白さ。 ですが多くの人から批判を受けるのもよくわかります。 『なんちゃってミッション・インポッシブル』とか、『上手な彼氏の選び方。ミッション・インポッシブル風』とか、タイトルつけるとしたら、なんかそんな感じですもんね。ラストのカンフーにいたってはもう・・・ジャッキーやリー・リンチェイ出てくるかと思いました。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-11-28 02:25:38)(笑:1票) 《改行有》 946. クリムゾン・リバー 《ネタバレ》 ちょっと話を整理します。 『教授の娘と言っていたクライマーの女性。実は村娘。シスターの娘。双子の片割れ。生まれたときに、本当の教授の娘とすり替えられていた。・・・。大学側。大きくなったら、別人なのに同じ顔だから、二人が双子なのがばれる。よし、母親のほうに残してきたほうを殺そう。』 これが動機?じゃあ学長こそまず殺されるべき。結局学長はどうなったんでしょうね。 どうしても気になる謎が。母親が機転を利かせて、娘の死を偽装したわけですが、では代わりに死ぬことになった事故写真の少女は誰?もしかして、すり替えられた本当の教授の娘を身代わりに殺させた?だとしたら罪もなく命を奪われたその少女が一番可哀想なんじゃ・・・。 点と点がつながって線になり、線と線がつながってひとつの画を描き出す。全体像がようやく見えてきたとき、感動と興奮同時に味わうことができる。これがサスペンスの醍醐味と思っているのですが、この作品、最後まで見ても感じづらいですよねー。難しいというよりただの説明不足、情報量の不足でしょう。 あまり考えすぎると悪い意味で深みにはまるサスペンス。きっと、下手な推理はやめて、過程だけを目で追って楽しむと、意外とすんなり物語にはいっていける気がします。つまりは期待しすぎたらだめだってことですね。そうすれば名作の部類に入れてしまいそうになるほど、不穏な空気を満喫できると思います。 猟奇サスペンスの攻防としては、かなり良いほうだと思いますけどね。[DVD(字幕)] 7点(2015-11-24 13:34:04)(良:1票) 《改行有》 947. ギャングスター・ナンバー1 《ネタバレ》 主人公が思っていたより大分いかれていました。 爽快なタイプのサクセスストーリーをイメージしていたので、あまりにキレている主人公に唖然。 ただそのぶれない『いかれ具合』が最高にかっこいい映画でもあります。 また、ストーリーテラーは普通まともなキャラの人がすることが多いのですが、よりにもよって一番頭がおかしい人を主人公に据え置き、さらにストーリーテラーまでさせちゃうもんだから、ストーリーそのものに狂気の雰囲気が漂っちゃっているのがまた良いんですよね。 残念なのは、主人公だけ30年後の役者が変わってしまうこと。 他のメンツが老けメイクをしているのに対し、主人公だけはポール・ベタニーからマルコム・マクドウェルにチェンジ。いや、悪くはないんですけど、ポール・ベタニーの狂気が滲み出るあの『目線』だけは彼にしか出せないので、役者が代わってしまうと最早別人。どうしてもマルコム・マクドウェルが演じるギャングスターは普通の人が無理している感じがして同じ人とは思えませんでした。 もうひとつ付け加えるなら、フレディ・メイズもギャングスターが憧れる対象としてはちょっとパンチが弱いというか、カリスマに欠ける気がします。なんかヴィジュアルが『東京03』の飯塚に似ているんですよね・・・[DVD(字幕)] 7点(2015-11-23 03:07:50)《改行有》 948. コヨーテ・アグリー 《ネタバレ》 歌あり、ダンスあり、家族ドラマあり、恋愛ドラマありで、いたってわかり易いシンプルなストーリー。 ラストは夢を追う主人公が友人、父親に励まされながら成功するサクセスストーリー。 軽快なテンポだし、明るいし楽しいし、みんな良い人だし、気持ちよく見れるんですが、なんか物足りない気もします。 ああ、そうか。きっと主人公の努力と才能にスポットがあたりきれないまま物語が終わってしまうからでしょう。 それに、『コヨーテ・アグリー』が舞台及びタイトルとなることの必然性が弱いのが何よりの問題。 お店のトラブルを、主人公のヴァイオレットが歌を歌って場を収めるシーンがありましたが、そこだけなんですよね。あとはどちらかというと、お店の存在自体が主人公の邪魔をすることが多く、テーマのぶれを感じます。 特に、事前に連絡していたにも関わらず、『今お店を抜け出されたら困る。』っていう女主人。何だそれって感じです。そこは夢を追う主人公を応援してほしいです。そんで主人公も店に残って、チャンスをふいにするし。極めつけは、『彼氏が店に乱入したことによる規則違反でクビ』って。それで普通に辞めちゃうし。リアルかもしんないけど、これじゃあただのバイトです。 面白い題材ですし、見ていて飽きないからエンターテイメントとしては成功している作品だと思います。 ただ映画としては中途半端な印象が拭えない、もったいない出来。 ラストの曲も、屋上で歌っていた弾き語りのバラードなんかをやってほしかったな。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-11-21 14:57:37)(良:1票) 《改行有》 949. アラビアン・ナイト(1999) 《ネタバレ》 5つのストーリーをオムニバス形式で語っていくシステム。ということを知らなかったので、2つ目のバクバクとかいうのが死んじゃうストーリーに変わっても、物語が変わったということに気付きませんでした。 どのストーリーもそれなりに面白いのですが、メインのストーリーでいかれたサルタン王子がひたすらヒロインを殺そうとする前半が、ハラハラして一番面白いかも。 そんで5つのストーリーの中では、一番好きなのは4つめ。物乞いのアミンとイタズラ好きの王子が入れ替わる話。単純ながらも普通にありそうで楽しいです。 『アリババと40人の盗賊』や、『アラジンと魔法のランプ』、『魔法の絨毯』など、知っている話を映像で見られるのは嬉しいものですね。ただ物語そのものはどれも『絵本レベル』なので刺激が少ないのは確か。 どちらかと言えば、子供向けファミリー映画にカテゴライズされそうですね。[DVD(字幕)] 7点(2015-11-11 04:35:43)《改行有》 950. 4thフロアー 《ネタバレ》 限定された空間の中で次々と出てくる登場人物がみんな怪しすぎて、最後まで目が離せません。 最も犯人っぽい人が一番の協力者で、最も親密で親切な人間が実は黒幕というのはこの手のサスペンスにはありがち。 ありがちにも関わらず、ものの見事にミスリードされてしまいまして、犯人がわかったとき『おまえかよ』って単純に驚きました。 演出、構成が上手なんでしょうね。 とにかく、四面楚歌的雰囲気と、その雰囲気を煽る音楽がマッチしていて、不安感が絶妙でたまりません。 ①おばの遺体写真 ②向かいの人は実は絵を描いていただけで、殺人はしていない。 ③4Fの死体はおそらくアリス。虫の原因。⇒以前侵入したときに何故気付かなかったのかは謎。 以上3点において非常にわかりにくかったのは映画としてマイナス。 オチはわかりやすく、単純なうえ、サプライズとしてきまっていて完璧。 よく考えると伏線はちゃんと張ってあったのに、ものの見事に忘れていました。 最後に、ジュリエット・ルイス、最高です。[DVD(字幕)] 7点(2015-11-06 14:09:21)《改行有》 951. スポット 《ネタバレ》 デヴィッド・アークエット演じるスミス・ゴードン。いいんですけど、何回もうんこふんづけたり、ペットショップでいつの間にかすごいことになっていたりと、一人コントの無理矢理感が半端ないです。 まあ子供と犬がそろってしまうと、何でも面白く見れてしまいますので、この作品も例にもれず終始暖かい笑いにつつまれながら鑑賞しました。 この作品って、ハチャメチャなようでいて、意外とドラマとコメディのバランスが絶妙だと思います。そのためか、ぬるいストーリーのわりには最後まで面白く見れますね。 それぞれ笑いのつぼは違うのでしょうが、個人的にはマイケル・クラーク・ダンカン演じるマードッグの、11号への溺愛ぶりが笑えて仕方が無かったです。ですから、最後11号が主人公たちを選んじゃったのがちょっと安易でもあり、意外でもありました。個人的にはそこはやはりFBI捜査犬として、もといた場所にもどる選択をしてほしかったですね。[DVD(字幕)] 7点(2015-11-05 01:04:46)《改行有》 952. モンスターズ・インク 《ネタバレ》 思っていたよりお子様向けアニメですね。 個人的には『トイ・ストーリー』のほうが好きです。ですが、この作品にはこの作品の面白さ、趣きがあるものですね。 『子供を怖がらせて悲鳴を電気エネルギーに変換する。』というアイデアは、単純ながら斬新ですごく面白いです。お化けやモンスターといった類のものが、むやみやたらに人に害をなすという既視感を打ち砕く目からうろこ的なアイデア。いや、むしろ『コロンブスの卵』でしょうか。 『行為』に対し、ある種の理由を付加するだけで、そこに必然性が生まれ、途端にストーリーが面白く感じる不思議。ただ中盤以降はひたすら鬼ごっこに集中してしまうため、ストーリーが限定された枠の中で進行してしまい盛り上がりきれなかったのは残念ですね。 とは言え、社長とランドールが手を組んでいたいたというのはなかなかのサプライズですし、子供の笑い声はより効率的で効果的なエネルギー源となるというオチは、序盤からの伏線とつながっていてなかなか良いです。 この2点において、ややストーリーは広がりを見せるものの、残念ながらお話はここでおしまい。 まあ、小さい子供を対象にした作品という前提があるとすれば、これくらいのわかりやすさ、毒のなさがベストでしょう。 この辺が日本のジブリとの決定的な違いかもしれませんね。 『人を見た目で判断してはいけない。』という子供の情操教育にはうってつけの作品だと思います。 それにしてもこの作品、序盤でエース級のモンスターたちが、子供を脅かしに行く準備をしているシーンが今作一番の見所ではないかと思っています。こんときはこの作品に対する期待値が最高でしたね。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2015-10-24 06:54:08)(良:2票) 《改行有》 953. 少女たちの遺言 《ネタバレ》 アジアのホラーは雰囲気が日本寄りですね。 最初はなんかだらだらした学園ドラマみたいな雰囲気なんですけど、女の子が飛び降りてから徐々に空気感が変わっていくのが、良い意味で不気味です。程良い緊張感です。特にミナが霊みたいなのにつきまとわれるのは本当に怖い。 ですが、この作品の真骨頂は、真相を空かす過去パートですね。 ドラマとしては物悲しく切なく、ホラーとしてもちゃんと怖い。どうかするとどっちつかずになりそうなところを、ぎりぎりのバランスでうまく融合させていると思います。 それにしても前半と後半のギャップが、この作品に関しては功を奏していますね。 終盤がちょっとパニックに走りすぎたり、『天井から覗き込む顔』みたいな残念な演出があったりと、いまいち。 それに、細かい部分で不明な点が多すぎるのもマイナス。特にミナの立ち位置がわかりにくいです。 確かに雰囲気だけでも楽しめるクオリティに仕上がっていますが、特にラストは結局どうなったのか、もう少しだけはっきり教えて欲しかったです。やっぱりあれは、あそこから飛び降りて自殺しますよー、っていう解釈で良かったのかなー。[DVD(吹替)] 7点(2015-10-04 07:29:33)《改行有》 954. 回路 《ネタバレ》 所謂『ゾンビ』を『幽霊』に置き換えただけで、テイストは同じ作品かもしれません。 終末感を感じさせてくれる作品は本来苦手なんですが、ゾンビものだけは好きなんです。なのでこの作品も好き。 細かいところで不明な部分、不親切な部分が多々ありますが、そこを想像力や自分の推理で補っていくのも何気に楽しいです。 何より、この作品のホラー演出は極めて正々堂々としていて、気持ちいいくらいに怖い。本当に怖いです。 立ち寄ったコンビニで、レジに行っても誰も出てこない。レジの奥に目をやると、店員のシルエットらしきものがこちらを見ている。おそらくはこの人ももう・・・こういった演出は、外国産の映画ではまずお目にかかれない。邦画ホラーだけが醸し出せる良さってのを存分に堪能できます。 それに、『死後の世界がいっぱいだから、人間にはずっと生きていてもらおう』という発想は面白いですね。 そのためには、魂が肉体という器から離れてしまう前に、一人一人に特別な空間を作ってそこに閉じ込めてしまえということでしょうか。 ただしそのためには『生きている人に接触しなければならない』という条件が幽霊サイドにもあるみたいです。 『幽霊に会ってしまう』=『ゾンビにかまれる』といったものでしょう。会った時点でアウト。鬼ごっこですね。 幽霊に会ってしまった人たちは、本能的にどこかの空間に閉じ込められてしまうことがわかっちゃうので、人によっては自殺してそれを逃れようとする。ですが結局は自殺してもやはり空間に閉じ込められてしまう。空間に閉じ込められてしまった人たちは、その証であるかのように、黒い染みが現世に残る。なので、生きたまま黒い染みになる人もいれば、自殺した後に黒い染みになる人もいると思ったんですが違いますかね? 何にせよ、『つまりこーゆーことかな?』と勝手に自己解釈しながら見ていけば、結構楽しめる作品だと思います。[DVD(邦画)] 7点(2015-10-02 13:35:19)(良:2票) 《改行有》 955. ラットレース 《ネタバレ》 単純明快なストーリーから、広がっていく世界観が面白いです。登場人物の個性や見せ場、トラブルの割合なんかがほぼ均等で、がちゃがちゃコメディなのに大変バランスよくまとまっていると思います。ちょいちょいはさまれる、富豪たちのミニギャンブルも奇をてらっていて面白い。 1つ1つのギャグに関しては、大笑いできるレベルではありません。ですが、ここまで軽快なテンポで見せられると、飽きることはないですし、ノリの良い曲を聴いているときのような、楽しい気分になれます。 ちょっと勿体無いのは、全員が違うコースで進むため、お互いに競い合ったり妨害をしあったりというシーンが、極端に少ないこと。妨害やトラブルの発端になるのはすべて第三者であり、それがすべて偶然というのが、この作品の面白いところでもあるわけですが。 にしても、こーゆーアイデアだとラストのオチが難しいんじゃないだろーかと思っていたのですが、二転三転するラストには大満足。なんか良い話でまとめちゃうのは嫌いじゃないです。自分のことしか考えず、ずっと非常識な行為を繰り返してきた人たちが、最後に見せる良心に、心がほっとします。 観終わったあとに清涼感さえ残る、斬新ながらも王道をいく良質のコメディでした☆ ちなみに僕は、みんなが全然スタートせず、ドナルド・シンクレアが何回も『スタート!スタート!』っていうところが一番笑いました。[DVD(吹替)] 7点(2015-09-28 13:43:35)(良:1票) 《改行有》 956. BATS 蝙蝠地獄 《ネタバレ》 いやー、面白いです。これくらいの年代の映画になりますと、無名の作品でもなかなかのレベルに仕上がっているものが多くなってきますね。 そしてストーリーがいたってシンプル。しかもこの作品、さすがB級だけあってとにかく展開が速い。冒頭でバカップルが犠牲になったかと思いきや、わずか10分足らずでもう対策チームが出来上がっています。このノリ、このテンポ。自分がファストフードということをよく理解している。 そう、大作映画が時間をかける高級懐石料理なら、この映画はまさに今すぐおいしいものを手軽に食べたいひとのためのマ○クなわけです。 しかもパニック映画として前半だけなら、個人的に8点あげられるくらいのクオリティ。町人が非難してからは、主人公たちだけになってしまうのがちょっと物足りなく、少しばかりの中だるみを感じてしまったわけですが、それでも最後まで楽しく鑑賞することができました。 ラストのオチも、普通であれば『ちゃんと生き残りがいますよー。悲劇は繰り返されるのですよー。』ってな感じで終わるところですが、コメディなオチでしめくくる工夫が好きですね。 そこまでの期待はしていなかったというのもありますが、大変良かったです。[DVD(字幕)] 7点(2015-09-21 14:03:58)《改行有》 957. レジェンド・オブ・エジプト 《ネタバレ》 はじめてクレオパトラにまつわる物語を見ました。何しろ世界史にはてんで疎いもので、シーザーだの、オクタヴィアヌスだの、知っている名前がクレオパトラと絡むのを見て、変に感動しちゃいました。クレオパトラって、もっと神話的な人物かと勝手に思っていましたので、何とも打算的で人間臭いところが、新鮮で面白かったです。 140分の長い映画ではあるんですが、全く長さを感じさせない面白さ。むしろ、駆け足に感じてしまうくらい、ストーリーが次々と展開します。 ストーリー的には『シーザーとクレオパトラの第一部』、『アントニーとクレオパトラの第二部』となりそうですね。 タイトルも邦題より、原題の『クレオパトラ』のほうがしっくりきます。何しろ、エジプトに限定した話ではもちろんなく、ローマ主体のストーリーになっているからです。 ただ、面白い作品ではあるんですが、好みの面で尋ねられると、やはり悲劇の物語ですからね。後半につれて、どんどん状況が悪くなるってのは、見ていて気が滅入るし疲れますね。なーんかむかつくオクタヴィアヌスが、後半は我が物顔で活躍するわけですから、そりゃあ楽しい気分で鑑賞するのは無理ってもんです。 したがいまして、今回の採点はかなり自分の好みが入っていますが、歴史ものにしてはそんなにお難くなっていませんので、エンタメ作品としてのクオリティはなかなか高いと思いますよ。[DVD(字幕)] 7点(2015-09-20 17:29:05)《改行有》 958. エリン・ブロコビッチ 《ネタバレ》 エリン・ブロコビッチという一人の女性の物語としても面白いし、大企業相手の公害訴訟のストーリーとしても面白いです。 本作の主人公エリンは、その言動、性格から、共感したり感銘を受けたりは、見る人によって差が出るかもしれません。ですが、応援したくなるという点においては、多くの人がそう思うのではないでしょうか。 にしても、この作品、大変面白い作品ではあったのですが、本音を言うと、『法廷もの』=『裁判』という固定観念が邪魔をして、『調停』⇒『和解金』⇒『めでたしめでたし』、っていうのは、どうにも釈然としないものがありました。 子宮や乳房を摘出したり、幼い子供が癌に苦しんだり、これだけ多くの人の健康と命を蝕み人生をふみにじっておきながら、お金だけ払ってめでたしめでたしっていうのはねえ。 大企業側が追い詰められて、住人達が心の底から喜ぶような、そんなカタルシスを味わうシーンをもっと観たかった気がします。 それに、当然の権利とはいえ、3億3000万$の40%であれば、そりゃあ法律事務所は潤うんでしょうけど、それをラストでああもあからさまに『もうかりましたよ。』って見せられれば、『結局は金目当てかいっ!』って感じがして『公害訴訟ドラマならではの感動』が薄れちゃうんですけど・・・。 個人的には、企業側の弁護士3人を相手にして、エリンが完膚なきまでに3人を叩きのめすシーンが今作最高のクライマックスです。『どうぞお水をお飲みください。あなたたちのために特別に用意した、ヒンクリーの井戸水です。』は、最高でしたね。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-09-16 02:33:25)(良:2票) 《改行有》 959. リトル・ストライカー 《ネタバレ》 技術はあるのに勇気が持てないサッカー少年が、第三者からキーアイテムをもらって活躍し始めるっていう、よくあるサクセス・ストーリー。そのよくあるサクセス・ストーリーが好きです。 むしろ、ちょっと予想と反したのは、サッカー以外の人間ドラマが結構多いこと。校長とスポンサーの確執に始まり、監督ウィラルの過去、転校生との恋、いじめっこ達とのからみ、極めつけはお母さんの元カレ、今カレのエピソード。あんまりいろいろつめこんじゃったので、少々散漫に感じる部分もあったりなかったり。 それでもサッカードラマは面白し、主人公をいじめるゴードンとその父親が気持ち良いくらいのクソ野郎で、映画に起伏を持たせてくれるので、見ごたえ十分、爽快感ばっちりの快作には仕上がっていると思います。 ただやっぱりねー、スポーツドラマにスポーツ以外の要素をがんがん入れちゃうのって個人的にあまり好きじゃないです。前半のいじめはしつこいし、母親と新しい恋人とのエピソードは全編に渡って要らなかったのではないかと思います。 それに、いろいろ盛り込んじゃったから、細かい謎がいっぱい残ったままになっている気がしますよ。 本筋のストーリーはきれいに丸く収まりますし、みんなハッピーみたいなエンディングを迎えるので、細かいことを気にしない人には全然オススメできる作品です。[DVD(字幕)] 7点(2015-09-14 02:55:53)《改行有》 960. パトリオット 《ネタバレ》 独立戦争のストーリーですので、時代背景を知っていればより楽しめそうな作品ですね。 当然ラストは勝利することがわかっているわけですが、そのプロセスにおいて凄惨な内容、描写が多いのが本作の特徴でしょう。 もうひとつの特徴としては、歴史スペクタクルの体裁をとっていながら、その世界観が、かなり個人的で限定された枠内に収められていることでしょう。つまりはメル・ギブソン演じるベンジャミン・マーティン物語でもあるわけですね。 最初は『パトリオット=愛国者』というタイトルに違和感を感じたものですが、ベンジャミンの国が、=家族であり、友人であり、同じ国の人々であるとするならば、このタイトルは大変しっくりきそうです。 大義名分を掲げながら、実際のストーリーは復讐ベースになっているため、それ相応のカタルシスを得られるこの作品。 ですがそのためには犠牲が必要で、そのための生贄として本作に用意された息子のトマス、ガブリエル、ガブリエルのお嫁さんファミリーは本当にお気の毒です。それゆえ、決してハッピーエンドという結末はありえないのが、私としては苦手なところです。 まあ、少々反戦の主張を感じさせる示唆もあるのかもしれませんが、こういう作品にありがちな説教臭さや哲学的、宗教的な面というのが必要最低限に抑えられているのは本作の良いところですね。個人的にはこれくらいのほうが映画として純粋に楽しめます。 なぜなら、この内容であれば、ベンジャミンに肩入れしながら、大変主観的に物語に入り込めるからです。 本当は主観的に戦争映画を見るなんて間違っているのでしょうが、本来戦争とは大変主観的なもの。自分がメル・ギブソンになったつもりで鑑賞すると、今作はエンタメ作品としては高いクオリティを保っていることは間違いないと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-09-03 13:49:07)《改行有》
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