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81.  メゾン・ド・ヒミコ せっかく何人もの人物が同じハウスに集められているのに、それぞれの個性が全然ない時点でダメ。また、ハウス自体の作り物っぽさ、生活感のなさがさらにダメ。その上でこの尺の長さも問題ですが、これだけ使っておいて奥行きも掘り下げもないのも驚きです。何より、結局この主人公、何もしてないよね。[CS・衛星(邦画)] 3点(2024-06-12 23:53:06)

82.  ブーム・タウン 《ネタバレ》 2人組の男が偶然出会って、意気投合して石油採掘に突き進む・・・というスタートなのですが、その後も一方の奥さんがどうのとか会社の浮き沈みがどうのとかあって、結構いろんな展開があり、また年月も投下しています。ですがこれ、どう見ても連ドラ向きの素材ですね。何か大事件が起こりそうで起こらず、テンションが上がりそうで下がりそうでというままに、次のステップに行ってしまう。よって、それなりにドラマがありそうであるはずなのに、さほど実感が起こりませんし、また長く感じました。まあ、どこまでも石油採掘一本に軸足を置いた構成には、誠実性は感じますが。[DVD(字幕)] 4点(2024-06-11 23:50:28)

83.  四つのいのち カメラは定点。台詞はなし。ただじっとその場の光景を撮り続ける。動物の登場割合が多いので、そういう作品かと思っていたら、それだけではなくて、(タイトルにもあるとおり)「人間」とか「植物」もテーマであるようです。しかし、意図はそうであると分かっても、作中にそれが反映されているかといえばそうではなくて、つまりどうも自己満足で終わってしまっています。例えば動物の撮影なんかは、定点でじっと(しかもそれほど動かない動物を)撮っているのがかえって迫力を出したりはしていますが、それだけです。よって、雰囲気以上のものではありませんでした。[DVD(字幕)] 3点(2024-06-10 23:51:22)

84.  妖怪大戦争(2005) 妖怪の着ぐるみとCGを考えつく限り作ったら、そこで目的を達してしまって、あとはもうどうでもよくなったというのがミエミエでした。まったく芝居の指導をしてもらえなかったとしか思えない隆之介君は不憫ですが、こんなひどい扱いをされても役者の道を辞めなかったのには感心します。とにかく制作側の志の低さに吐き気がします。動く宮部みゆき(しかも一応演技までしている)に1点。[CS・衛星(邦画)] 1点(2024-06-07 01:48:26)

85.  やさしい女 《ネタバレ》 冒頭、若き妻の死が示され、以後は中年の夫の回想で延々とそれまでが語られるという構成。しかも、何でその人に対して語っているのかもよく分からない。回想の中身も、くっつきたいんだか離れたいんだかもよく分からない。と、分からない尽くしながら、落ち着いた画面の色彩感覚はどのシーンでも極上であり、ドミニク・サンダの無表情美人ぶりも手伝って、全体としては何か良い作品を見たような気になってしまうという、困った作品。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-06-06 01:02:35)(良:1票)

86.  NOVO/ノボ 《ネタバレ》 5分間しか記憶が保たない男と、その男に迫ってくるお姉さんの恋愛沙汰物語。すぐ気づくのは、その記憶が5分間だけという設定が、全然生かされていないというか、ディテールに反映されていないということ(結局、指のケガをめぐるくだりだけだったのでは?)。もっといえば、その設定がなかったとしてもそれほど差し障りがないようなやりとりしか行われていない。後半では、その陰には実は的な展開があるのですが、整理しきれていないため、裏返しインパクトもあまり感じさせない。そのため、前半にはまだあった独特の重々しさも、どこかに行ってしまいました。ムグラリスの魅力的な肢体(露出はそれほどありませんが)がもったいない。[DVD(字幕)] 4点(2024-06-03 02:27:42)

87.  クオ・ヴァディス(2001)<TVM> 《ネタバレ》 全6回のテレビドラマなのですが、51年の映画版と比較しても、実はこれって連ドラ向けなのではと分かりました。1回ごとに小テーマみたいなものがあって、それぞれにクライマックスと結果が用意されている。よって、順を追って自然と筋が理解できますし、無理なくついて行けます。また、エキストラや美術や衣装も、テレビ用とは思えないくらいきちんとしていますし、キリスト教徒迫害のくだりの粘着質ぶりは映画版以上かも。一方、リギアは美人は美人なのですが、何となく「現代風美人」に見えてしまうのが気になりました。この点では、映画版のデボラ・カーはやはり偉大でした。[DVD(字幕)] 6点(2024-06-02 01:05:49)

88.  もっともあぶない刑事 《ネタバレ》 監督が村川透なのですよ。よって、主人公2人をいかに格好良く撮るか、もっというといかにキザに撮るか、ということに演出が全集中しています。脚本もストーリーも後付けです。もちろんこの撮り方は大正解です。しかし、中盤くらいから、15年前の事件がどうのこうのとか、県警の関与がどうのこうのとかが入り組んできて、作品のテンションも落ちてしまいました。大体、柄本明もあの局長とやらも、ラスボスとして全然機能してないしね。こういうのは、とにかくとてつもないワルが出てきて、それを気持ち良くやっつけていけば、それでいいはずなのです。[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-05-26 23:59:32)

89.  またまたあぶない刑事 前作がともかく形になったことで制作側が安心したのか、ひたすら弛緩しまくりの作品。内容以前に、主人公2人を中心とする会話群のテンポが悪すぎるし、面白くもなっていない。浅野温子はただの変な人というだけ(テレビ版ではもっとちゃんとしていて活躍もしてなかったっけ?)、中条静夫はただうるさいだけ。唐突に無理矢理出番が作られる木の実ナナ、ひどい使われ方の宮崎美子にもびっくり。[CS・衛星(邦画)] 3点(2024-05-23 01:56:15)

90.  あぶない刑事 当時のドラマ版は、日曜9時というアクション連ドラにはあまり向かない時間帯で、裏番も強力で、割と地味な印象だったのです。しかしじわじわと評判を博していき、いつしか高視聴率となっていきました。それはやはり、舘ひろし&柴田恭兵のキャラの強力さに尽きるのでしょう。脇役の仲村・浅野・木の実・中条といった方々も、安心して演技をしていました。●ただこの映画版については、敵はそもそもそれほど強そうでもないし(室田親分の雑な使われ方にもびっくり)、浅野温子は騒いでいるだけで何もしてないし、やはり、キャラの押し出し力だけでいくのは1時間が限界だった、ということも同時に感じさせます。[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-05-22 02:29:25)

91.  ファイト★ガールズ 《ネタバレ》 クラブ経営者みたいな人たちが、女子ボクサーを集めてトーナメント戦をやるという、まったくそれだけです。一応、いろんな女子選手が集まってくる体裁にはなっていますが、個性はほとんどありませんし、例えばファイティングスタイルなどにもつながっていません。また、照明や美術や撮影の安っぽさにも驚きますが、それも最後までそのままでした。さらにまずいのが、トーナメント戦の設定をしながらいつの間にかいなくなっている選手多数ですし、ラストはもはや息切れ投げっぱなし状態です。リング上のボクシング選手より、制作側の方が先に疲れ切ってどうするの、という感じです。途中でやる気がなくなったのかを疑われても仕方のない出来でした。[DVD(邦画)] 1点(2024-05-17 01:45:00)

92.  今夜、ロマンス劇場で 《ネタバレ》 導入部からラストシーンまで、いくつもの先例有名作を分かりやすく下敷にしているのは、まあ意図的でしょうね。それだけだったらただの自己満足なのですが、この作品が途中から突き抜けて優れているのは、ヒロインはどこかで元の世界に帰るぞ帰るぞと見せかけておいて、クライマックスでここぞというミスリードまで用意していながら、その先の数十年間を用意していることです。それも具体的な描写はそれほどないのに、十分に主人公の決断と苦難(そしてそれを超えるほどの意味合い)を物語らせています。この一点において、強度な筋と芯が確保されています。[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-05-15 00:08:29)(良:1票)

93.  ニューヨーク、アイラブユー 《ネタバレ》 各短編は上品にまとまってはいるし、切れ味を感じさせる作品もある。しかし、技巧に優れてはいても、「えっそれだけ?」で終わってしまうものがほとんどなので、後には残らない。ところどころでシーンの順番をシャッフルしたり登場人物を絡ませたりしているのも、単調さを避けようとしたんだろうけど、それほど効果的に機能しているわけではない。最後のウォラック&リーチマンは、一言の中に背景と意味を込められる演出と演技が展開されていて、ここで初めてドラマを感じました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-14 02:07:28)

94.  アドリブ・ナイト 《ネタバレ》 主人公がいきなり街中で声をかけられ、危篤の男に対して娘のふりをしてほしい、と依頼される導入部。とすると、これがハリウッドなら、ここぞとばかりにコメディチックに決めまくるのでしょうが、韓国映画はそうはなりません。いや、韓国がどうのこうのという以前に、この作品の独自の色は突出しています。とにかく暗いです。演技もカメラも照明も、全部が暗いです。その中でじわじわと話は進んでいきますし、登場人物間の小競り合い的なものはあっても、感情のぶつかり合いはありません。ただ、本当に監督が撮りたかったのは、終盤に延々と続く夜道の車のシーンと(以後は現地関係者は一切無視される潔さも良し)、その後の、すべてを光で包むラストシーンだったのでしょうね。終わってみれば24時間もないくらいの間の出来事だったというこだわりに+1点。なお私は、主人公の正体はやっぱりミョンウンだったというオチを最後まで確信していたのですが、そんな小細工とは無縁でした。[DVD(字幕)] 6点(2024-05-13 00:07:53)

95.  悪魔とダニエル・ジョンストン 《ネタバレ》 タイトルにあるとおりのダニエル・ジョンストンのドキュメンタリーです。幼少期からのいろんな映像や音声や写真、そして関係者の談話は細かく積み上げられており、下調べに手間をかけたことを窺わせます。ただ、途中からは、彼の奇行の数々のような方向に話が行っていて、肝心の音楽部分の突っ込みには向かっていないような・・・(「あの曲は素晴らしかった!」的コメントは多数出てきますが)。よって、与える印象が「何か変な人」になってしまい、肝心の彼があまり格好良さそうに見えないのです。制作側の対象に関する愛情は感じますが、その見せ方をもう少し考えるべきでした。あと、一番ドラマを感じたのは、実は、喧嘩別れした元マネージャーが、実はその後も当初のレーベル業務を細々と手作業で行っていた、というくだりだったりして。[DVD(字幕)] 4点(2024-05-12 00:10:24)

96.  プロフェッサー(2007) 《ネタバレ》 リックマン/スティーンバージェン/プルマン/デヴィートとはまた何と豪華な、と重いながら見始めたのですが、内容はこのメンバーからは信じられないほどのB級サスペンスです。筋立てはそんなに悪くないのですが、撮り方とか編集がB級なのです。で、誘拐の盛り上げ方はなかなかですし、そこから別の危機に発展する持って行き方も悪くありません。しかし、終盤はなぜか息切れしたのか、肝心なところで伏線は投げっぱなしですし、一方でひねりのためのひねりのいくつかを無理矢理ねじ込んで終わらせたような感じでした。あの仮面ATMのくだりなんか、ミスリードとしては面白い割にはあっさり片づけられていますし、暴力よりも怖い家庭内侵略の部分なども、もっと時間をとってもよかったような。そうそう、あのカップの指紋は結局何だったのでしょうね。[DVD(字幕)] 5点(2024-05-07 01:46:42)

97.  アメリカン・ユートピア 《ネタバレ》 最初の数曲は、「やっぱりバーンも年取っちゃったかな・・・」という印象だったのですが、ステージ上に段々とメンバーが増えてからは、あの「ストップ・メイキング・センス」を彷彿とさせる怒濤のパフォーマンスが展開される。演者はすべて楽器を手持ちであり、ケーブルも付けられていないので、ますます自由自在な動きが可能となるわけです。そんな中でも、中盤、メンバー紹介に合わせて1人ずつ音を重ねていき、そのまま"Born Under Punches (The Heat Goes On)"になだれ込む流れがクライマックスです。また、最後の"Road To Nowhere"では、(詞の内容に合わせて?)全員で一列になって後進するというちょっとお茶目な一幕もありますが、もしかして、もともとはこういう光景が頭にあってこの曲が作られたのを、技術の発展に伴ってようやくこれが可能になったのかな、なんてことも想像したりして。とにかく、バーンの独自性と創造性は、あれから30年以上経った今でも健在です。●ただし、どうしても気になったのが、投票に行こうなどというそのまんまなメッセージを直接的な言葉で発したりとか、"Hell You Talmbout"ではやはりそのまんまなメッセージを発していたりとか、という点です。言っている中身との正当性とは別に、バーンは常にあくまでも音楽と詞を通じてすべてを表現していたはずで、それもここまで直接的ではなかったはずだし、そこに美学があったはず。この辺は、スパイク・リーに浸食されてしまったのかな、とも思いました。[DVD(字幕)] 6点(2024-05-06 22:53:31)

98.  時雨の記 設定からすれば、人生の酸いも甘いも噛み分けた二人の、さまざまな心理の重なりや時には思惑の交錯なんかもあってしかるべきなのだが、そんなことには微塵も配慮されていません。この脚本上の二人の台詞は、その辺の高校生や大学生であっても成り立ってしまいます。加えて、こういった話では周辺人物をいかに生かすかというのが分岐点なのですが、佐藤友美はほとんど出番がない上に夫との関係がどういうものだったかもまったく分からないし、林隆三もただの「仲の良い友人」というだけ(しかも最後の方で突然出てくるあのナレーションは何?)。あと、細かいところですが、神山繁先生まで起用していながら、意地のようにアップで撮らないのも腹が立ちました。[CS・衛星(邦画)] 2点(2024-05-02 02:20:16)

99.  昨日・今日・明日 《ネタバレ》 1話目はですね、私はてっきり、恩赦が出ていい気になって意気揚々とローレンが帰ってきたら、マスロトヤンニは「もう君とはやっていけん」みたいな書き置きを残していなくなっている、ローレン呆然、みたいなオチになると思っていたのです。すみません、私の心は汚れているようです(でも、面会のシーンなんて、普通に見ればそっち方向に振っていますよね)。●2話目はほんのりジム・ジャームッシュ風というかヴィム・ヴェンダース風というか、いずれにしても、このトリオっぽくはないです。●そしてメインはやっぱり3話目ですね。あの憎たらしい隣のババア(表情も怖い)をあっさり招き入れて相互理解してしまうという、衝撃的でトリッキーな展開。そこから動き出す関係者の心理の綾。最後に「誓い」まで巧妙にオチに取り入れてしまいますが、ここでさっき喧嘩したばかりのマストロヤンニを受け入れるところも含めて、この作品でのローレンはまさに「聖女」です。しかも脚本上なくてもよいはずのストリップシーンまで入れ込んでしまう(それも結構上手い)という素晴らしいサービスオプション付でした。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-04-30 00:43:51)

100.  八重子のハミング 《ネタバレ》 あの高橋洋子の、約30年ぶりの映画出演作品!!とそれだけで期待は高まったのですが、やはり、あの役者としての天性の才能も、演出や脚本の腕あってこそ引き出されたものと気づかされただけでした。癌手術を繰り返す夫とアルツハイマーを発症した妻という関係なのですが、一番分からないのは、夫が講演で回想するという設定で全体を構成していることです。結果、各俳優の演技部分については、語りを補助するにすぎない単なる再現映像になってしまっています。また、夫婦関係の描写自体、(関係者を含めて)各人物の頭の中にあることがそのまま語られているだけなので、生活表現になっていません。あと、タイトルにもあるとおり歌を要素にしたかったんだろうけど、それもいくつかのシーンで「ただ歌われているだけ」であって、それが登場人物との人生でどういう意味や関係を有していたのかというところには、踏み込まれていないのだな。[CS・衛星(邦画)] 3点(2024-04-29 21:17:07)

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