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プロフィール
コメント数 2524
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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81.  フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊  タランティーノの『グラインドハウス』の雑誌版みたいな構成、ならばもっと細かく色々盛っても良かったんじゃない?って。冒頭の自転車エピソードはともかく続く3つのエピソードはどれもちょっと長い感じがして、そしてどれもそんなには面白い話とも思えなくて。豪華キャストも人によってはなんか勿体ないカンジ。シャラメくん、そんなオチ? ビル・マーレーって狂言回し? パンフレット見て「え?どこに出てた?」って有名人もいっぱい。  だけど映像の見せ方、凝り方はとても楽しくて、それを見ているだけで特に他の事を気にする必要もない感じ。  基本はビスタサイズの土台にスタンダードサイズでの展開。たまに横にズレて黒味に文字が入ったり、上下黒帯でシネスコサイズになったり。モノクロだったりカラーだったり突然アニメーションになったり。  ウェス・アンダーソン監督お馴染みのシンメトリー、平行移動、前後移動、断面図みたいな世界、追いかけっこ、「映像で遊んでます」って感覚。フレームにキチッと納められた要素はまるで重箱に入ったお節料理や幕の内弁当、はたまた工具箱や食器棚、収納ケースの中身のようで、陳列された世界をただ眺める、それだけの映画だとも言えるかも。  ウェス・アンダーソン監督の全編作り物これ見よがし(もはや露出狂的かもしれないわね)な世界には賛否あるけれど、アタシはワリと好き。[映画館(字幕)] 7点(2022-02-15 16:54:53)《改行有》

82.  ウエスト・サイド・ストーリー(2021)  前回の映画はそんなに好きじゃなくて、今回もそんなにだったのだけれども、「そんなに」の感覚そのものは昔とは別だったわ。昔は物語に引っかかったのだけど、何しろ40年以上前に見たっきりだし。で、じゃあ何が今回そんなになのかな?ってしばし考え込んで。  一つには舞台のミュージカルをいっぱい観るようになって(ヅカオタだし)、生の歌と踊りと演技に触れる事で自分なりにミュージカル映画の在り様を考えるようになって。  古のミュージカル映画はアステアやジーン・ケリーのダンスをそれこそコッテリと見せてくれたわ。きっちり全身の動きを捉えて。だけど前回の『ウエスト・サイド物語』も含めて、以後ミュージカル映画ってカット割り過ぎになった感じがするのね。MTV時代を経て尚更細切れになって。テンポ良く繋ぐジョン・ランディスの『スリラー』の感覚、アレね。でもアレはリズムのキモチ良さを伝える手法ではあっても演者の実力はあんまり伝わらない。  ソロのヴォーカルならばアップでも細かくカット割ってもいいけれど、ダンスのソロやデュエットは足元をしっかり、全身を捉えて、群舞は俯瞰で、しっかと長く撮ってこそ。でもみんな細かく切っちゃう。それってリズム的にはキモチ良くてもダンスを魅せるという点についてはとっても物足らない。ミュージカル映画は演者の実力をあまり信用してないジャンルなんじゃないかしら?って思ってしまうのよね。実際の実力もそうなのかもしれないけれど。この映画もどうにもダンスを見る気持ち良さには繋がりきってゆかなかったわ。もっとステップを見せて、もっと全体を見せて、って。  そしてもう一つ。あたしアレだわ、やっぱりヤヌス・カミンスキーの撮影があんまり好きじゃないんだわ。スピルバーグ大好き!だけど昔の方がカメラは良かったわよねぇ、って。光と影の使い方が特徴的っていうのはスピルバーグ的には昔からだし、ならばバトラーやジグモンドやダビューの方がステキだったわ、って。スローカムはそんなでも、だけど。  今回の映画なんか冒頭にティーガーIのフリしたT34/85がキュルキュル出てきても、トライポッドがヴォーン!って言いながら出てきてもおかしくないような画でしょ。コレが今のスピルバーグ印だ、って言われても、それでいいのかしら?って思ってしまうのね。まあスピルバーグがカミンスキーに絶対の信頼を置いてるようなので仕方ない、こちらが合わないだけのハナシなのだけれども。  でもね、ミュージカルはカチッとした、被写体をしっかと捉える画で見たいのね。スティディカム使いながらなおガタガタするような画はあんまり見たくないのよね。  結局は好みの問題なのでしょうけれど、目とアタマで舞台を切り取ってゆくっていう行為が日常的になってからはミュージカル映画の見方も変わってきたわ。[映画館(字幕)] 6点(2022-02-15 15:47:56)(良:2票) 《改行有》

83.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》  初日に見たのだけど「これ絶対ネタバレしちゃいけないヤツ!」って。だけどネタバレ無しで感想なんて書けないので公開からひと月経過するまでレビュー書くの待ったわ。さすがにホントに見たかった人はもう見たでしょ? 以下激しくネタバレしてるのでご注意。  見終って「凄いモノ見た」って感じだったのね。  これまでのトムスパイダーマンってMCUの大きな流れの中の1つ、アベンジャーズに参加した大勢の中の一人って状態だったじゃない。スパイダーマン誕生エピソードすらすっ飛ばされて社長やサノスに振り回されまくりよ。  それが今回はそのポジションを維持しつつも過去のスパイダーマン映画を1本の映画の中に内包してひたすら救済に走るの。ヴィランズだけじゃなくてトビースパイダーマンもアンドリュースパイダーマンも、そして中途半端に終わってしまった感のある2つの映画シリーズの存在自体をも。  当然トムの顔が現れると思ったそこにアンドリューの顔が現れた瞬間、満員の場内からどよめきが、そして一拍置いて拍手が巻き起こって、その瞬間に立ち会えた事に感動したわ。  それぞれのスパイダーマンが抱えた辛さや痛みを共有し分かちあい、そして力を合わせて前進する、これまでの『スパイダーマン』の集大成にして大きなフィナーレになっているのね。  それは勿論ライミ版『スパイダーマン1~3』、マーク・ウェブ版『アメイジング・スパイダーマン1、2』、そして『スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を見ていてこそ成立するものだし、更に最低『ドクター・ストレンジ』と『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』程度は見てるべきだし、ならば『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と『アベンジャーズ/エンドゲーム』そして『スパイダーマン:スパイダーバース』も欠かせないし・・・ってマーベルモノにつきもののそれ単体じゃどうにもこうにも状態ではあるのね。  でもその歴史につきあってきた時間の流れの重さ、そこを経た上での感動、感慨は1本の映画だけでは到底語れない大きさね。  その上で、あんなに淋しい切ない結末でいいの?スパイダーマンの「大いなる力には大いなる責任が伴う」ってテーマ、孤独なヒーロー、スパイダーマンって結局こういうモノでしょ?っていうのを最後に持ってきてそれでトムスパイダーマン=ピーター自身は救われてるの?って思ったりもしたけれど、でもあれでやっとトムスパイダーマンは独立した存在になって彼だけの物語を歩み始めたとも言えるのね。当初からアベンジャーズに縛られ振り回されてきたスパイダーマンが総てのしがらみから切り離されて自分だけの空間から自分だけの人生をスタートさせる、ここがトムスパイダーマンの本当の始まりなのかもしれないわ。[映画館(字幕)] 8点(2022-02-08 19:53:09)《改行有》

84.  大怪獣のあとしまつ 《ネタバレ》  6点だと『シン・ゴジラ』より点数上だわね・・・  ネットではかなり騒がれてるけれど大袈裟過ぎるわね。悪いクセよ。コレ、いつもの三木聡監督作品。それ以上でもそれ以下でもなくて。マトモじゃないヘンな人達が出てきてユルい物語を展開する毎度のアレ。ふせえりさんと岩松了さんが出てきてわちゃわちゃするヤツ。  最大の問題は怪獣をモチーフにして大作然として作られた事でいつもの三木聡作品よりもずっと広い層、特に五月蠅い層にアピールしちゃった、ってところかしらねぇ。こんなのホントはテアトル新宿あたりで上映して判ってるお客さんだけで「あーやっぱり」って感覚を共有してればいいようなモノなのに新宿ピカデリーの1番スクリーンにかけるようなマネするから。前作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』あたりから作品の内容と製作・公開規模との間に齟齬が生じてるカンジね。  川の上に横たわる大怪獣の死体をどうするか、それぞれの思惑で動く政府の人々とそれに振り回される現場。シリアスほぼ無し、くだらない笑いと下ネタで繰り広げられる混乱劇。三木聡監督のセンスに慣れてなければ地獄かもしれないわ。慣れていてもシンドい部分が無きにしもあらずだけれど。  特に終盤のガス放出を巡ってのアクションからラストのオチまでのグダグダな展開は見ていてツラいわ。盛り上げるためのテンポの悪いタメ、結局は無駄になる部分にやたらに時間をかけて肝心なところで思いきり失速するの、三木監督のよろしくない点ね。  でもまあアタシはそういう三木監督らしさを楽しめもしたし、『シン・ゴジラ』や『パシフィック・リム』『クローバーフィールド』『バトルシップ』あたりを思いきりダメにしたような感じとかもそれはそれで楽しいし。一方で震災、原発事故やコロナ禍を映して皮肉った、悲観的な視点も感じられて。ちょっとネトウヨ的視点があったりしない?とも思ったけれど。  『亀は意外と速く泳ぐ』で蒼井優さんに「〇ンコ」言わせちゃうような監督だからシチュエーション的に土屋大鳳ちゃんにも「ウ〇コ」言わせそうだったけど言わなかったわね「ウン〇」。でも蒼井優さんが感電して頭チリチリになるような映画撮ってる監督の映画なので、そういうモンだって覚悟しなくちゃだわ。これでも『大日本人』や『ギャラクシー街道』なんかに比べたら全然フツーよ? 『デビルマン』は元からそこまで酷いと思ってないので基準にならないけど。[映画館(邦画)] 6点(2022-02-08 15:47:46)(良:2票) 《改行有》

85.  劇場版 呪術廻戦 0 《ネタバレ》  日曜の朝、神田沙也加さんの訃報にショックを受けて一週間でいちばん大切な時間「『プリキュア』見ながら朝ごはん」も味が全く判らず(コロナでなく)、何もやる気が起きなくて朝の9時半から夜の9時半までぼーっとアニマックスの『呪術廻戦』一挙放送を全部見てたわ。  それは伝統的なジャンプマンガフォーマットに最近のヤな流行りの人体欠損流血要素盛り盛りマンガでついでに『ハリー・ポッター』なカンジで(かなりスレたカンジのハリーとロンとハーマイオニーよね)、あんまり面白くなかったのね。もっともアタシは48年も前に『りぼん』『週マ』『別マ』に走って『ジャンプ』から離れてるので『ジャンプ』の何を語れるの?ってのはあるんだけど。  そんな状態でついでに『鬼滅』ボロクソに言ったアタシだから当然コレもボロクソに言いそうなモンだけれどこちらは楽しんだし面白かったわ。  何しろちゃんと映画一本で物語の始まりから終わりまで描かれてる、ここ大切ね。『呪術廻戦』の知識が一切無くてもこれ一作で楽しめる作りになってるの。  展開は早いし登場人物多いしエピソード盛り過ぎお団子状態で、もう少しゆっくり個々のキャラのドラマをじっくり見せて欲しいわ、とは思うものの、シネスコの画角に緩急、メリハリのあるアクションとドラマとスペクタクルの絵巻が繰り広げられて、映画見てる、って感覚をしっかりと感じさせて貰ったわ。  それに異形の者との純愛映画として『スタートレック』(ロバート・ワイズ版ね)『スペース・バンパイア』『パラサイト・イヴ』にも通じる(引用作品がイマイチ?)、クローネンバーグ的でもある物語を見せてくれてそれが感動的だったりして。  主人公・憂太は声だけじゃなくて性格的にもかなりシンジ君だけど正編の方の少年マンガ特有の最初から万能感丸出しな主人公・悠仁に比べると奥ゆかしく?って好感度高め。スクイブな真希姐さんは魅力的だしパンダ可愛いし。  あからさまに2曲の歌の尺に合わせた画面スカスカクレジットのろのろスクロールの長いエンドロールがウザかったのとマーベル映画的なエンドロール後のエピソードが???ってカンジだったけれど(アレで満席のお客さん達の余韻がヘンな事になってた気も)、洋画大作を蹴散らしてまで公開された事に怒りを覚えるような低レベルの作品ではなくてひと安心ってところ。[映画館(邦画)] 7点(2021-12-26 11:17:45)(良:1票) 《改行有》

86.  ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ 《ネタバレ》  「ミシェル・ウィリアムズがステキ」以外のコレと言った感想が出てこない映画で困っちゃったわね。  今回はヴェノムとエディの痴話喧嘩を延々と見せられる恋愛映画だったりして、そこを楽しめるのならばいいのだけど、いかんせんアタシから見たら魅力に欠ける2人なのよね。エディなんてただのダメ男以外になーんにもなしって状態だから見ててむしろツライし、ヴェノムは妙に人間臭過ぎちゃって怪物エイリアンとしての誇りは何処行っちゃったワケ?ってカンジだわ。いじけちゃってる夜の酒場シーンなんて共感性羞恥出ちゃうわよ。  で、もう一方のボニーとクライド組はただもう悪いだけ。それにくっついてるコピー赤ヴェノムはほぼキャラ無し。  何しろさっくりと終わっちゃう簡潔な短い映画なので世界もごく小さめ、ミシェルの扱いもその程度?って感じ、特に作品世界の発展的進行があるってほどでもなくて。こんなものなのねぇ、さっさとピーター・パーカー出しちゃってバキバキやってよ、くらいな。  IMAXでバーン!って見せるホドでもない、ちょっとしたドタバタアクションってところかしらねぇ。ついでにBRAVIAの宣伝とかもういいから。[映画館(字幕)] 5点(2021-12-21 21:24:25)《改行有》

87.  マトリックス レザレクションズ 《ネタバレ》  ただの焼き直しだったり一作目に比べて極端に精彩を欠いてたりとかしてたらヤだなぁっていう不安と、新しいマトリックスの物語が見られるっていう期待と。見終っての感想としては、前者と後者の印象が4:6くらいの割合だったので6点ね。  前者についてはきっと作ってる側もかなり意識したのよね、3部作をメタ化する事で作ってる側の心情の吐露とかホンネとか言い訳とかにも思わせて楽しませてくれたし、後者は結局なんだったのよ?ふざけてんの?って状態だった『レボリューション』を仕切り直してネオとトリニティの更なる物語を見せてくれたし。  ただ、いくら言い訳しても茶化しても精彩の欠きっぷりは如何ともし難いわ。映像表現と美術と音楽、明らかにレベルダウンしてるわ。一作目の独特なフィルムノワール感は失われて最近のCGいっぱい使ってます系映画の中に埋もれてしまうようなフツーなカンジになって。アクションも一作目こそが元祖で以降多くの作品で真似されたけれど、本家ですらそこに及ばなくて残念ね。  クライマックスなんてラナ監督ってばゾンビ映画やりたかったのねぇ、って。大したデキでもなかった『新感染半島 ファイナル・ステージ』のクライマックスの再現したかったのかしら?みたいな(カーチェイスとゾンビね)。  モーフィアスはメタ発言ばっかりで軽過ぎだし、スミスは妙に人間臭くなって喋り過ぎだし。  そうね、この映画、デキの悪いアニメみたいに設定をセリフで説明しまくりだわ。それだけ説明しなければならないほど、『レボリューション』で世界をややこしい事にしちゃってたっていうのもあるんでしょうけれど、仕切り直しに時間かけ過ぎね。押井守のウザいトコまで真似しなくていいのよ?  でも一作目の映像表現の最大の見せ場だったバレットタイムをキーワードに時間を操られたサスペンスシーンは見ていて面白かったし、女性艦長の活躍やトリニティの覚醒等、ラナ監督の変遷を感じられて良かったわ。ネオとトリニティの関係はちょっと某古典SFを思わせたりもしたけれど。  何かと不満はあるけれど、でも『リローデッド』以降そーんなには褒められたモンでもなかった気もするので、これもまあそんなモンよ、ってところ。[映画館(字幕)] 6点(2021-12-21 20:39:15)《改行有》

88.  フラ・フラダンス 《ネタバレ》  主人公の日羽が主体性のない、なかなか「自分」を見せないコなので始まってしばらくの間、映画自体につかみどころのない感じがしたのね。映画との距離がちょっと離れてる感じ。もちろん、そこに意図があるであろう事は判りはしたのだけど。物語が進んで群像劇となる事で映画に芯が生まれて段々と距離が縮まってゆく、加速してゆくようで、やっぱり吉田玲子氏の脚本は巧みなのだわ。  スパリゾートハワイアンズという現実の存在と、そこで架空の少女達がフラガールとなる創作と、そしてちょっとした(でも重要な)ファンタジーとが巧みなバランスで組み上げられた、いい映画だったわ。  5人の新人メンバー1人1人のパーソナルなドラマがあって、一方で震災によって傷ついた世界という現実が反映されていて、そこから一歩前へ踏み出すことの希望が優しく描かれているのね。単なる萌えアニメではなくて、今の日本を生きる人のための、ちょっと前を向いた作品。  直接的な震災被害の描写は極小だし、福島第一原発事故についての言及は全く無かったりもするのだけれど、そこは作品としてのバランス、という事なのでしょうね。  ネットでチラリと読んだ感想の中にお姉さんの死因が判らなかったっていうのがあってアタマ痛くなったケド。いやさすがにそこまでフォローするのも・・・ねぇ。脚本家さんも大変。  『フラガール』『がんばっぺ フラガール!~フクシマに生きる。彼女たちのいま~』と公開時に見てきて、更に今この作品を見た事で、1つの人びとの歴史を見ることが出来た感じがして、単体としての作品以上に時代時代に刻まれてゆく映画というジャンルの存在意義を実感したわ。  一方で5人組の物語ってことでプリキュアに喩えると5人それぞれ何色かしら?って思いながら見てたらクライマックスで映画側がきっちりと答えを出してくれたわ。主人公は当然ピンクでしょ、って思ってたけど、そうね、そうよね、あざとイエローだわ。ちなみにアタシがスキなコはポンコツ紫ね。[映画館(邦画)] 9点(2021-12-12 22:36:32)《改行有》

89.  ラストナイト・イン・ソーホー 《ネタバレ》  部屋を照らすネオンサインの青と赤がエロイーズとサンディそれぞれのイメージを示すように、リアルと夢、現在と過去、光と闇、鏡の外と中、反する2つの要素が散りばめられて、でもそれぞれが対立して存在するのではなくて混ざり合って混沌としてゆく映画ね。  見ていて「エロイーズ、過去のサンディを助けて!」って思ったけどそれじゃSF映画だわ。オシャレでスタイリッシュな映画っぽいけれどワリとマトモにホラー。  ちょっと映画そのものはアンバランスな、イビツな気もしたの。キャラはわりと単純な造形って思ったし(思考や行動が定石を踏んでゆくカンジね)、60年代ロンドン(アレから見て65年かしらね)はこれ見よがし感が。テーマ的にはフェミニズムに寄りつつ映像はセクシャルに、そして女性に対して加虐的に描かれていたり。  でもクライマックスからラストにかけて、性的欲求に支配された世界の男達をきっちり否定してみせる描写に溜飲を下げたわ。真相を描くシーンはミサンドリー大爆発!みたいな感もあったけれど、アタシ自身そういう意識に支配されてきた人生だったから、やれー!いけー!って感じだったわよ。ラストカットも納得ね。  とにかく2人の主役が総て。美しく儚げなトーマシン・マッケンジーも良かったけれど、やっぱり売れっ子アニャ・テイラー=ジョイの存在感が大きいわ。彼女の目ぢから(そしてくちびるぢから)ったら。彼女がスクリーンに映ってるだけでバアアアア!って輝いちゃうんだからズルいわよね。  エドガー・ライト監督としては大人しめなカンジもするけど狂騒的でも困っちゃうオハナシだしね。最初に書いた混沌はそのままロンドンという街の姿なのかもしれないわ。あの家はそのままロンドンを象徴しているのかも。[映画館(字幕)] 7点(2021-12-12 21:16:50)(笑:1票) 《改行有》

90.  ミラベルと魔法だらけの家 《ネタバレ》  思ったのはコレ、ディズニー版『ミッドサマー』ね。  ミラベルが歌って踊る楽しいミュージカルシーンを演じてみせるのだけれど、それは無理をしてる、本当は彼女の心は傷だらけでズタズタっていうのが最初から判るのよね。一人だけ魔法の能力を与えられず、家の中に居場所がなく(それは部屋割りというカタチで具体的に表現されてるわ)、家族から疎ましがられて。  家、血族という縛りに囚われた人々、ミラベルはそこからの解放、闘争を計るべく行動してゆく、これは「家族がいちばん」な『リメンバー・ミー』に対するアンチテーゼになってるの?って見ていて期待したのね。  ところがミラベルは救済されないの。姉妹達もまた家に縛られた存在である事が明らかになり、その呪縛を解く事でミラベルは家に破壊をもたらす者としての姿が明確になってゆき、そしてその通り、家は破壊されちゃう。破壊そのものこそがミラベルに与えられた役割で、そこからミラベルと力を失った家族とが同じ地平に立って新たな道を踏み出す・・・のならば納得できたのね。ところが戒めを受け止めた家族たちに対して魔法の力は家を再生し家族たちの能力を元へ戻すの。ミラベルの役割が明確になり居場所が得られたようにも思えるのだけれど、実際には単に破壊前の状態に戻ったのよね。家族の意識に変革は起きたのかしら? むしろそれを経た事で戒めを与えたミラベルを触らぬ神、悪魔の子、鬼子のように扱う事になるんじゃ?  唐突なハッピーエンドに見えるそれは、それぞれが更に強く家、血族という呪いに縛られる事になりました、という残酷なラストシーンに思えてしまうのね。ホラーだわ。  ディズニーがそこを狙ったのだとしたらなかなかに挑発的だと思うけど、多分あんまりそんなつもりは無さそうで(『アナ雪』の1作目で城を飛び出したエルサに結局何の救済も与えずに城に縛りつけてアイススケート場の管理人のおねえさんにしちゃった人達だし)。  いっぱいの花で飾られた世界で紡がれ続いてゆく因習にとらわれた人々の物語、この『ミッドサマー』感。[映画館(吹替)] 5点(2021-12-05 20:06:05)(良:1票) 《改行有》

91.  ロン/僕のポンコツ・ボット 《ネタバレ》  予告編などから受けるイメージそのまんま。『E.T.』フォーマットのアレ。規格外なロボットのハナシだから『ショート・サーキット』かしらね。スマホをそのままロボット化したような機能が今日的って言えるけれど、そういうガワの変化(進化ではなくて)はあっても中身は新鮮味に欠けるわ。  で、コレは個人的に受けた印象の問題で、気にならない人もいるでしょうけれど、ワリと最初の方の主人公の行動にドン引きしちゃって、以降、彼からキモチが離れまくっちゃって。彼、自分のBボットを守るための身代わりにデモ機を犠牲にするのよね。自分の特別な一体は他のBボットとは違います、っていう。アタシから見たら心っぽいモノが芽生えた彼のロンも他のコ達のBボットもデモ機も一緒の、それぞれに大切なモノよ?  その、善と悪、肯定と否定みたいな白黒ハッキリさせたような独善性が作品全体を貫いていて鼻に付いてしまったのね。結論にしてもロンこそが理想で、他のSNSや動画配信に縛られた道具としてのBボットは否定されるべきものとして、一つのカタチに統一させちゃう。いやそこは多様性、選択の余地があっていいでしょ? アレじゃ一つの思想で支配した方が幸せ、みたいな状態だわ(正確には1つのフォーマットの中での個性は存在してる、ってカンジね)。  それにモロにジョブズのカンファレンスまんまです、っていうアレはもう海外アニメーションで(実写映画でも)一体何度見たことかしら? もはや禁じ手にした方がいいんじゃない?ってレベル。  それも含めてサブスクで配信されている複数(結構多く)の海外アニメーションと似ていて(ついでに書くとこのテの海外アニメーション作品の多くが片親なのよね)、そしてそれらとの大きな差異、優位点は見られない作品ね。ひと昔前の海外アニメーションを見ているみたいで、今、コレをスクリーンで新作として見るのはちょっとねぇ、と思ってしまったわ。20世紀フォックスアニメーションの遺品としての哀感が漂っていたりはする、かしら?[映画館(吹替)] 6点(2021-11-16 13:18:04)(良:1票) 《改行有》

92.  アイの歌声を聴かせて 《ネタバレ》  ツイッターで話題になる映画ってアタシ的にはそーんなにそこまでは・・・な場合が多い(『シン・ゴジラ』とか『怒りのデスロード』とか『すみっこぐらし』とか『バーフバリ』とか)ので、この映画もあまり期待はしない、話半分くらいなカンジで臨んだわ。  人間まんまなアンドロイドよりもメカメカしいロボ子の方が好みよ、とか思ってたけどそもそもそういう映画じゃないのね。  基本はお馴染み『E.T.』フォーマット。タイトルのアイ=AI=愛な映画。出だしはアンドロイドがいかに人間の中に自然に紛れ込む事ができるか、というお話。とっととバレてしまって(というよりもサトミのママのガバガバなコンプライアンス意識のせいで事前にバレてる)、だけどみんなでバレていないように装うのが前半のポイント。ドタバタしたり青春してたり、ありがちだけど楽しくて面白くて、それでいて感動的な展開ね。  そして突然映画のカラーが変わって(その一瞬、マジで客席から悲鳴が上がったわ)、サスペンスとシオンの真実の物語に。心を持ったデジタル生命体の話が好物なアタシなので、シオンのココロが響きまくっちゃって、それはその前の青春物語がどうでもいいくらいに。アタシは最初からシオンばかり見ていて、シオンにばかり気持ちが向いていたわ。この映画はシオンを通して人の心、思いを描いた映画で、シオンにはサトミの心が映っていたのだから、サトミこそがこの映画の主役なのだけども。  サトミ=シオンの心はディズニープリンセス的な世界を背景にしていて、それをシニカルではなくて真正面から肯定的に描いているのもディズニーヲタな私としては良かったわ。  ただ、全肯定!とはいかない点が幾つか。  サトミのママは毒親でまかり間違うとマッドサイエンティスト状態なのよね。高校生の娘を放置気味で家事や家計の管理を投げてる上、自分の研究のためには娘にも容赦ない態度を取ったりもして。サトミはああいう人格を恐怖には感じてなかったのかしらねぇ?  あと、『魔女の宅急便』の昔からアニメ映画に漂う強迫観念的クライマックス増量(水増し)感。シオン救出作戦はいいとして、屋上到達~会長の到着~ヘリ回避の逃走~連絡通路での混乱劇あたりは間延び感がしたわ。それ以前も含めて会長の存在をハンパに秘匿しておく必要があったのかどうかも疑問ね。  一度下げまくってからの逆転劇という構造だけれども最終的にシオンの行く末も上がりきらなかったように思えて。衛星に逃がすのは見えていて、でもハッキリするまでの間、曖昧にボカした、みんなに曖昧な反応をさせてたのがラストシーンのためのタメだったのだとしたら、あまり上手く行ってないんじゃないかしらねぇ?  全体的には感動的な良くできたアニメ映画よ。アニメ映画(あくまでアニメ=国産ね、ディズニーとかはアニメーション映画)という括りでは年に2~3本あるかしら?くらいには。結構う~むむむ・・・ってなってしまった、今年公開された海外の類似作品『フリー・ガイ』『ロン 僕のポンコツ・ボット』よりはずっとストレートに響いたし。土屋大鳳サマはアテレコも歌も見事だし幾つかの大感動ポイントもあるし。だけどやっぱりツイッターでの評判を信じて大期待して見る、というのはちょっと違うかしらねぇ。逆に冒頭に挙げた映画群をどれも最高と思う人なら大期待して見てもいいのかな。[映画館(邦画)] 8点(2021-11-12 15:53:51)《改行有》

93.  エターナルズ 《ネタバレ》  主人公(いちばんメインになってる人)が大久保佳代子似でずっと「大久保さん・・・」って思いながら見てたのだけど、途中から少し印象が変わってきたわ。平野ノラにも似てるわね、って。  さて、映画の感想なんだけど、アベンジャーズ後にコレって、なんだかパッとしないわねぇ、って感じ。キャラクターにあまり魅力を感じられなくて、アクションシーンは少な目、ドラマに尺を取ってるけれど単に長いわ。  そうね、壮大なスケール過ぎちゃってて(冒頭の説明、中学生が考えた凄い世界、みたいなカンジね)、これまでのマーベルシネマティックユニバースと上手い事イメージが重なってゆかない、もう神様っていうか天使みたいなモンだから(ソーすらガキ扱いよ)、アベンジャーズを含む人類なんてアリンコ状態だわね。で、壮大なクセにごく小人数のゴタゴタでうら淋しい風景を舞台に物語が進んでいって、そのまま終わる、みたいな。『IT』の宇宙規模版っていうか『ファンタスティックフォー』リメイク版の人数多め版っていうか。  さすがにクライマックスのアクションシーンは魅せてくれるのだけど、でも各人の能力が大体他の作品で見たようなモノだし、ツッコミどころもあって(てくてく歩いてゆかずにあのフラッシュ属性のお嬢さんに押して貰えば良かったんじゃ?あれだけのスピードがあるなら別に彼との戦いに拘り続ける必要はないでしょ?)この作品ならではの魅力ってところまでには到達してないように思ったのよね。  IMAXでドーン!ってカンジの最後の方のアイツのスケールデカい画なんかは圧倒的・・・と言いたいところなのだけど、そう、アレは『エヴァ』で見ましたわね。っていうか『プリキュア』シリーズの最終ボスってあんなカンジのが多いわ。愛の力で超デカいヤツを鎮圧するとかプリキュアっぽいわ。日本のアニメは進んでるって誇っていいわね。  ちょっと気になったのはチラリとDCキャラの名前を出して、アチラは創作、こちらはリアル、みたいな線引きをしてみせた点ね。やっぱりマーベルのキャラの知名度はスーパーマン、バットマンの両巨頭には敵わないと思ってるのかしら?  ちゃんと終わらないし、アベンジャーズとは違う次元に生きてそうだし、これからのマーベルシネマティックユニバースがちょっと心配になるカンジだったわ。  でもドンソクは楽しかったわ。韓国で暴れてるおっちゃんそのままなのに天使です、みたいで。[映画館(字幕)] 5点(2021-11-07 20:17:05)《改行有》

94.  DUNE デューン/砂の惑星(2021) 《ネタバレ》  リンチ版の方が好き。  っていうか、意外とリンチ版とイメージそんなに変わらないのよね。大人しい、お上品なリメイクといった風情。だったらリンチ版の方が楽しいわよ。決して楽しいとは思えない、のっぺりとした砂漠を背景とした権力と血統と謀略の物語、だったら悪趣味とかグロとかぶっ飛んでるとかクセやアクが強いとかいう要素で彩った方がまだ見られるじゃない、端正にマジメに映像化しました、ってそれ必ずしも長所にはならないわ。  シャラメくんはいいと思うわ。マクラクランとはまた違った美形で大スクリーン映えするのよね。んでも、それを際立たせるだけの背景、センス・オブ・ワンダーはリンチ版という見本があるだけにハンパというか明らかに物足りないわ。ハルコンネンの一派の小物感はどうした事かしらねぇ。なんかニューヨークの路地裏で麻薬売ってそうな人達程度にしか見えないわよ?  IMAXで見てこその映像美!とか言ってるけど、現状の最大スペックであろうIMAXレーザーGTテクノロジーで見たけど、映像美!ってほどのモンでもないわ。上下に広い戦闘シーン、これトリミングされてるバージョンはどんな見え方になっちゃってるのかしら?って心配しちゃう事はあったけど。IMAXでも2種類の画角(1:2.35が基準で一部映像がGT版1:1.43、通常IMAX1:1.90)、通常上映の画角(1:2.35固定)と少なくとも3バージョンあるワケで、ヴィルヌーヴ、画角に拘りないんか?って考えちゃうとちょっとガッカリね。  毎度の、リズム打ち込んで重低音ずーっと鳴らして申し訳程度のメロディをトッピングしたようなジマーの音楽は苦手。うるさい。今回はもう過剰に音楽鳴らしておくことでダラダラした映画の間を持たせようとしてるような印象ね。  そう、じっくりドラマを描く事で重厚さを与えようとしてるわ。でもダラダラしてるばかり。その上で「僕たちの戦いはこれからだ!」で終了だもの。はぁ?あんだけ勿体つけといてそんなとこで終わり?って程度のところで終わるわね。リンチ版見てたらそんなに勿体つけなくてもどうなるか判ってるわよ!ってツッコミたくなるわね。  ヴィルヌーヴは好きな方なのだけど、コレは微妙だわねぇ。予算かかったスタッフめちゃくちゃ大勢な大作で好き勝手はできないんでしょうけれど、優等生的な映画作りを求められました、みたいなのってつまんないわ。冒険映画だけど映画自体が冒険してる感はあまりなかったわね。[映画館(字幕)] 5点(2021-10-16 23:47:46)(良:1票) 《改行有》

95.  007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 《ネタバレ》  007、コネリーから数えてスクリーンで見たのなんて10本しかなくて、これは面白いって思ったのは『トゥモロー・ネバー・ダイ』くらいで、だからそんなに思い入れはないのだけど(何らかのカタチで全作見てはいるわよね、と思ったけれど考えてみると『ムーンレイカー』と『オクトパシー』は見た記憶が全く無いわ)、でもクレイグボンドはなんか違うのよねぇ、って。粗野でスマートさに欠けていて、作風もヘンに重々しく深刻ぶったカンジで、でも007ってそういうモノ?(しかし唯一全作スクリーンで見ているのがクレイグボンドだわ)  で、今回、ダラダラと長いし、ベラベラとセリフ多いし、ジマーの音楽うるさいけど、それでもQが作った秘密兵器関係とか、敵の秘密基地とか、往年のシリーズのニオイを漂わせていて、まあ音痴というか色々な要素の密度が薄めながらも、らしくなったんじゃない?と思ったそばから何やらかしてるのやら。  ボンド殺しちゃダメでしょ。  いやね、だったらせめてもう少しマシな花道を飾らしてあげなさいよ。何あの、ギャグみたいなスペクター全滅は、出来損ないのレクター教授みたいなブロフェルドは、ボンドの浅はかな行動の数々は、敵基地での緊迫感の無いドタバタは、しみったれた敵ボスは、そして実質的にそのボスに敗北しちゃうボンドは。  今はもはやセクシーなボンドガールとの駆け引きが成立しない時代だからボンドみたいなのは死ぬしかないでしょ?って事かしらねぇ。恋人と娘を出してそれを守る、っていうのを大義名分というか盾にして。でも残念な事に楽しい、良かったのはキューバでのカッコいい女エージェントとの共闘シーンだったのよね。  007は時代との齟齬をきたしまくってきたシリーズって気もするのよね。世界情勢の変化に対応しきれないアナクロで荒唐無稽なお話、みたいな。正確には時代に合わせようとしつつ007っていうブランドを適応させきれなかった、みたいな。で、それを時代に寄せようとしたクレイグボンドが正解だったのか?っていうと、それはそれで疑問に思ったりもして。だって娯楽映画なのだから。  虚しいキモチで映画館を後にする007って、アリなのかしら? アタシは無しだと思うわ(ショボくて虚しい、ってのがありはしたけど)。まあ『女王陛下の007』が存在していて、それのオマージュをきっちり出してきてるワケだけども、エンドロールでその淋しいキモチを反芻をしているって、なんかねぇ。[映画館(字幕)] 5点(2021-10-11 22:20:40)(良:2票) 《改行有》

96.  サマーフィルムにのって 《ネタバレ》  ひと夏の青春物語、いいわよね。映画製作に賭ける高校生たちの姿は楽しくって愛らしくて。夜の体育館のシーンなんかあまりに楽しそうに青春していてこちらは逆に泣けてきたわ。出演しているコたちみんな活き活きとスクリーンの中に生きていて。  だけどラストシーンは監督とアタシとの間に「映画」に対する視点の大きな違いがある感じがして。  映画は撮影した瞬間から過去のものになってゆくわよね。永遠に閉じ込められてゆく過去。となるとそれまで映画=過去に固執していた主人公も未来から来たカレに対しても否定とまではいかないけれど、それじゃダメって言ってる気がするの。今を生き、そして未来を生きろ、ってコトで最終的に映画を棄ててる、映画を棄てたところから始まるような感じ。実際アレは映画から完全に離れてとても演劇的な世界なワケだし。それまで映画によって紡がれてゆく生のカタチを描いていながら最後は演劇としてオチる、その思考はなんていうか、現場主義的みたいな?  メインのコたちはともかく、あの場に「映画」を見に来ていた生徒達はアレで納得した、良かったのかしら? 本来は過去のモノとして完結しているハズの映画が止められて突如「今」がリアルに動き出す、それに置いてきぼりな感覚を受けなかったのかしら? アタシはモロに受けたのね。現場を生きてる、映画を生のモノとして感じてる人間からすればその感覚も理解可能なのかもしれないけれど、映画は出来上がったものが全てです、っていうアタシの視点からするとこれって激しい自己完結の物語に感じられちゃうのよね。そこに至って受け手はともかく送り手の自分は満足です、っていう。  やり直しの効く若さ、それはいいのだけど、映画はそのための踏み台? ならばそれはもはや映画じゃない他の何か、って気がするのね。まあ現実の世の中にも特別編とかディレクターズカットとかあるけどね。  コレって映画についての映画のように思えながら、映画を作る人についての映画なのね。その違いは大きいわ。そこに大いに引っかかって色々と考え悩んでしまったのだけど、でもそれはそれとしていい映画だと思ったのでこの点数。[映画館(邦画)] 7点(2021-09-07 22:03:14)《改行有》

97.  ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 《ネタバレ》  悪い奴らなクセにやたらグジグジとウェットで見どころと言えばハーレイとカタナくらいだった冴えない前作とは違って今回は面白かったわ。ジェームズ・ガン監督の作品は必ずしも好きとは言い難いのだけど(自分の中で0~10点まで振れ幅大きいわ)。  冒頭、こいつが主役?この連中の話?って思わせてからの意外な展開(いやポスター見てれば別に意外じゃないんでしょうけど、アタシ基本的に映画見る前にあまり情報をアタマの中に入れたりとかしないのよね)にドン引きしたり笑ったり。  メンバーは揃っておバカだし、前作から続く権力側のオバちゃんは今回あんなだし、スタッフもあんなだし、おふざけ度がかなり強くなっていて、でもそれはそれで楽しいので深刻ぶってるよりはよっぽどいいわ。スタッフ達の描写には『レディ・プレイヤー1』の敵側スタッフみたいに愛が感じられたしね。脇役に愛がこもってるのはいいわ。カタナ出てこなかったのは残念。でもハーレイとサメちゃんとで基本満足。あとネズミ姐さんと。  クライマックスは喜ぶ人間超限定的な大映映画リスペクトね。『宇宙人東京に現る』のパイラ人なボスったらフルCGなクセに中に人が入ってまーすって動きで街を破壊するし対抗するのは『大群獣ネズラ』だし。大きくないけど。  人の命の扱いが大変に軽い映画で、街を救おう!ってクライマックスの意志と相反してたりもして、そこはちょっとモヤるのだけれど、基本バカ映画なので『ホット・ショット』みたいなレベルで考えとけばOK、みたいなカンジ? ジェームズ・ガン監督にはあくまで気を許せないケドね。[映画館(字幕)] 8点(2021-09-06 22:04:13)(良:1票) 《改行有》

98.  シャン・チー/テン・リングスの伝説 《ネタバレ》  主人公が魅力に欠けてしまうのよね。華がないというか同じアジア人の目から見たら冴えない普通の平凡なおっちゃんみたいというか。それはどうにもこうにも、なのだけれど、でも楽しめたわ。  ワイヤーアクションとCGを駆使した武侠映画的優美さや、ジャッキー映画みたいに高低差を立体的に活かしたアクション、ファンネルか波動拳かかめはめ波か、みたいなテンリングス、それに怪獣映画的なスペクタクル。東洋趣味ごった煮なマーベル映画と言った風情ね。『ヒックとドラゴン』な展開になってからはCG感が出過ぎてアニメーション映画っぽくなってたケド。  ベテランのトニー・レオンとミシェル・ヨーと売れっ子オークワフィナの競演もスター映画らしいワクワク感で。特にご贔屓オークワフィナは意外なくらいスクリーンに映ってる時間が長かったし、活躍してたしで嬉しかったわ。オークワフィナ、お肌つるつるでキレイ。  ただちょっと長かったかしらねぇ。もう少し削れたと思うのよね。過去の回想シーンなんか全部ご丁寧に映像化して見せてくれるけれど、それ全部語る必要ないかも、みたいな。そのせいで中盤ダレ気味になってたカンジ。  あと出てくるのが世界中に暗躍する闇組織みたいな設定だけど『ブラック・ウィドウ』も別にそういう組織が存在してたワケで、どっちもお互いの存在を認識してたのかしらねぇ? 色んな悪がいっぱいあってアベンジャーズは結構放置気味だった?  東洋的なるモノで『ドクター・ストレンジ』とのリンクを見せてくれるのだけど『ブラックパンサー』や『ミズ・マーベル』などと共にマーベル・シネマティック・ユニバースが多国籍っぷり、多様性っぷりを示してゆく、その足がかりのひとつとして、これからの展開に期待したいわね。シャン・チーおじさん(というのは可哀想?な32歳のお兄さん?)、どうも冴えないケドね。[映画館(字幕)] 7点(2021-09-06 21:03:02)(良:1票) 《改行有》

99.  オールド 《ネタバレ》  ビーチでの混乱劇は構成や流れがあまりよろしくないように思ったわ(そこが映画の大部分を占めるのだけど)。事件が起きている中、それに気づかず過ごしている人もいて、って状況ばかりで、少ない登場人物と広いとは言えない舞台であるにも関わらず映画を動かす事象を置く事に追われて人物の配置や言動がキッチリと把握できてない、ユルい感じ。  それからラストは「シャマラン監督かくあるべし」みたいな世間の認識に対する強迫観念、プレッシャーからかしら、あまりに説明し過ぎて不粋なカンジになっちゃってて、キレイにオチてないわ。ヒッチコックみたいに自分の作品に顔を出すのが当然って状態になってるけれど、ヒッチコック作品のようなスマートなオチってワケにはいかないのね。  でもまあシャマラン監督だしねぇ。ファンならば「シャマラン監督だったらまあそれもあり」みたいなモノよ。シャマラン監督に求めてるのってそんな大層なモノじゃないでしょ? ねえ。  シャマラン監督は『シックス・センス』から一貫して見えない恐怖、見えてしまう恐怖を描いてきてるのね。  この映画の恐怖は老いの恐怖と大切な子供に対する不安や恐れ。老いて目が見えなくなる、耳が聞こえなくなる、目には見えない恐怖。皺が刻まれる、屍が朽ちてゆく、目に見える恐怖。そして大事な娘が親の知らない間に成長している恐怖、娘の妊娠の恐怖。家族のカタチが失われてゆく恐怖。  今回は時間の経過が与える身近で切実な恐怖を描いているの。それは歳を重ねたシャマラン監督自身が最近抱いている恐怖の反映みたいに思えて、映画見終って「お互い歳を取ったわねぇ」なんて思っちゃったわ。  時間ほど残酷なモノはないかもしれないわね・・・[映画館(字幕)] 7点(2021-08-31 22:50:11)(良:1票) 《改行有》

100.  クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 《ネタバレ》  今年の『クレしん』映画は今までの中でもベスト級の作品だったと思うわ。  学園ミステリーっていう「らしくない」設定であるにも関わらず『クレしん』映画として、そして娯楽エンターテインメントとして、とても純度の高い作品になっているの。  『クレしん』映画が陥りやすい難点、結局は毎度の「野原一家ファイヤー!」な家族の物語か「かすかべ防衛隊ファイヤー!」な友情の物語に帰結して終わりになるパターンと、最近の作品に顕著だったしんのすけを始めとするレギュラーメンバーがゲストキャラクターの引き立て役に終始しまうパターン。でも今回の映画は両方の要素を拾いつつもそのマンネリなパターンに陥る事を回避しているのね。  今作ではかすかべ防衛隊の5人がメインで、だけど学園に乗り込む事で大量のゲストキャラクターが登場するわ。バリエーション豊かな個性的な面々。脚本はかすかべ防衛隊の個々のメンバーと学園の生徒たちとの繋がりのドラマを多層的に紡いでゆくのね。カスカベ防衛隊で固まってしまう事なくレギュラーの面々とゲストの面々とが有機的に映画を構成してゆくの。それぞれみんなが魅力を持っていて。  ミステリー展開はおふざけでいい加減な作りではなくて「吸ケツ鬼は一体誰なのか」っていう謎と推理とをちゃんと見せてくれるのね(『クレしん』的飛躍の設定が絡む部分はあるにしても)。  そして事件が解決したかと思われた後に続く、最初は蛇足にも思えたかすかべ防衛隊の5人と生徒達が紡いだドラマが開花する感動的なクライマックスの盛り上がりと感動。ミステリー部分が物語の核ではなくて、あの2人こそが、永遠ではないこの一瞬の時が大切だと語る2人こそが今回の映画の核だと判る、『クレヨンしんちゃん』の大切な物語として昇華されるラストシーン。とても巧く美しく書けた脚本だと思うわ。  みさえとひろし(そしてひまわりとシロ)は出番こそ少ないけれど(いつもからすれば極端に少ない、ってレベルね)見事に「起・承・転・結」の要所を締めてみせてるの。  『オトナ帝国』とか『アッパレ戦国』、近作だと『新婚旅行ハリケーン』みたいな「名作だけどコレ子供楽しめてるのかいな?」っていうものとも違って、今回は子供から大人まで『クレヨンしんちゃん』が好きな全ての世代に対応した名作だったわ。[映画館(邦画)] 9点(2021-08-31 22:15:50)《改行有》

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