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81.  ラヴェンダーの咲く庭で 《ネタバレ》 乙女チックなジュディ・デンチ、TV「名探偵ポワロ」のヘイスティングス役が印象深い英国俳優チャールズ・ダンスの初監督作品。 戦争で恋をする機会を逸し少女の心を残すアーシュラと寡婦ジャネット(マギー・スミス)姉妹の静かな生活の変化は見ていて楽しく、おっかさんタイプの家政婦さん(ミリアム・マーゴリーズ)がいることでコミカルな雰囲気も。 胸に恋を秘める妹、妹の心が自分よりもろいのを知っている姉。 海岸に流れつきアーシュラの「王子様」となるダニエル・ブリュールは「グッバイ、レーニン!」ほど純朴な役柄ではないし、どんなに大事にされても若い小鳥は飛び立っていってしまうもの。 でも思い出とあの絵が残って、やっぱり出会いがあってよかったのだと思える。 去っていったから素晴らしいコンサートも聴けたのだものね。 村人もつかのまの住人の出世を誇りにしているみたいだった。 やもめの医師(デヴィッド・ワーナー、お年を召しました)も外は老いても内はまだ情熱的。 短編を脚色したダンスはリアリティよりも年を重ねてもかわらぬ人の心と邂逅がもたらす輝きを大事にしたように思われて、せつなくもやさしい余韻が残る。[DVD(字幕)] 8点(2011-06-08 07:00:10)

82.  歌え!ロレッタ 愛のために シシー・スペイセクはエイジレスで不思議な女優さん。 「キャリー」は26才、これは30才にして13才の幼な妻、ビヴァリー・ダンジェロとともに歌も聴かせる。 歌手ロレッタを生みだした夫トミー・リー・ジョーンズの粗野なようでいて抑制のきいた繊細な演技もよく、結婚早々父との約束を破り妻に手を上げてしまった時は「あ、やっちまった・・・」のがよくでていた。 山アリ谷アリの夫婦愛はベタな邦題とはウラハラに淡々としたシーンの積み重ねで画も美しく、冒頭のヤマの情景は味がある。 ツアーバスの正面に掲げられたCOALMINER(炭鉱夫)のプレートは早すぎる巣立ちを惜しんだ父への愛情と誇りが感じられて。 カントリー・ミュージックは得意ではないけれど、ロレッタ・リンの人生は実りあるもの。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-06-04 07:00:07)(良:1票)

83.  キャバレー(1972) 1930年代のベルリン。 芸人の華やかな世界を見せる一方でナチス台頭の時代背景をチラつかせることによりひきしめ、原作が「ベルリン・ストーリーズ」というように物語も一つじゃない。 イギリス人歌手とアメリカ人学生の関係にドイツ貴族もからんで、ブライアン(マイケル・ヨーク)の忘れていた設定が後で生きてくるのには思わずゾクッと。 白塗りMCのジョエル・グレイ、マリサ・べレンソンのユダヤお嬢様もオモシロイのだった。 ボブ・フォッシーの映画は自伝的な「オール・ザット・ジャズ」の方がより好きだけれど、ライザ・ミネリの強い個性が天真爛漫な歌手サリーで生きて、「私は子羊じゃなくてトラ、自由な根無し草」と歌う"MEIN HERR"、そして何といっても"CABARET"「人生はキャバレー」♪ 犠牲をはらっても夢を追おうとするサリーの望みはこの時代の中で潰えるのを予感させつつも、ライザの生命力にみちみちた存在感はオーディエンスの心からはずっと消え去らぬはず。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-05-20 07:00:03)

84.  天空の城ラピュタ 《ネタバレ》 ガリバーのラピュータのイメージをとりいれ膨らませた冒険アニメ。 宮崎作品としては湿気少なくグロテスクな要素も薄く、なおかつ監督の資質は十分生かされたバランスのよい作品。 欧米人にはラピュータを題材に東洋人が西洋的に描いた作品ということで、オリエンタルな「千と千尋」や独自の世界を構築した「ナウシカ」よりは珍しさが少ないかもしれないけれど、国内の支持はダントツ。 ヒロインを立たせず主人公が男女2人なのも、内容が濃くとも過剰までいかないのも均衡が保たれている所以、「未来少年コナン」的ともいわれるパズーのキャラがよい意味で健全。(声優さんの力も大きい) 輝く飛行石やシータの呪文、永遠の浮遊から解き放たれて飛んでゆく大樹など幻想的で美しいイメージと、ドーラ一家との追走劇などの活劇要素が一体となった世界は魅力あるもの。 シータの言葉にあるように人間は土から離れては生きていけない、でも同時に離れたい気持ちもある存在なんですよね。 そういった人間の相反する部分も主題として含まれていて、地上に生き空を見上げる人間の小ささも大きさも感じさせ、楽しさの裏側に哀しさもあるのがよいです。[地上波(邦画)] 8点(2011-04-30 11:59:59)

85.  ガリバー/小人の国・大人の国<TVM> 自分にとってガリバーの映像作品というとこれ、1996年のホールマーク・エンターテイメントによるテレビ作品で、ファンタジーの形をとったスウィフトの風刺小説が原作。 「アリス」(99)より先に作られたこちらも出来がよく、単調にならないよう回想と現在を組み合わせた構成も凝っていて、前編は有名な「小人国」と「巨人国」。(この2つは後の2つよりも時代背景を知らないと風刺の対象が理解しずらい) テッド・ダンソンが異世界に旅しそれぞれの国で「人間山」「人間虫」と呼ばれる船医レミュエル・ガリバー、息子とともに彼の帰りを待つ妻がメアリー・スティーンバージェン。 彼女に言い寄る医者もいてテンションが持続し、「巨人国」でガリバーの世話をする少女グラムダルクリッチ(「秘密の花園」のケイト・メイバリー)が自分よりずっと小さなガリバーに恋してしまうのがほほえましくも切ないエピソード。 俳優陣も豪華でピーター・オトゥールとオマー・シャリフが出演しているのも、デヴィッド・リーン作品ファンが喜びそうなキャスティングでした。[地上波(吹替)] 8点(2011-04-28 11:59:59)

86.  ミックマック 《ネタバレ》 「ロスト・チルドレン」以後の3作(「エイリアン4」「アメリ」「ロング・エンゲージメント」)はどれも自分にはものたりなかったけれど、15年後のこれはやっとあるべき場所にもどって本領発揮、いい感じです。 もともとスケール大きいのよりもマニュファクチュアなのが合う人だと思うし、「アメリ」の流行りモノとしてのヒットは異常だったので。 「デリカテッセン」の空気もある今作は、不運の主人公バジル(「ぼくの大切なともだち」のブーン)の仲間となる人間大砲、軟体女、発明家、言語オタク、計算機、ギロチン男、料理番の7人の住む隠れ家がジュネっぽく、ゴチャゴチャとせまくて薄暗いけれど居心地がよさそうで、廃品を使って作られる発明品もレトロかわいい。 現代のテクノロジーに逆行するようなハンドメイドな魅力。 元凶をパニッシュすべく彼らが繰りだすパリの街も、濃い暖色カラーでジュネ仕様の美しき舞台に変えられて。 反戦・反兵器のテーマは目立たたせず下地にねりこみ、おしおき大作戦も暴力を排除したオットリしたもの。 平行してバジルのときめく恋の予感も。 「ロング…」では温厚な叔父さんのフリしてたドミニク・ピノンが豪快オジサンに戻ったのもウレシイ、そうでなくっちゃ。 ワルのかたっぽがアンドレ・デュソリエなのもよい。 手間隙かけてコトコト煮込んで作られたジュネの最新作はいいお味。[映画館(字幕)] 8点(2011-04-10 00:00:13)

87.  海の上のピアニスト 《ネタバレ》 アレッサンドロ・バリッコの小説のうち映画になったのは2本。 これと「シルク」は、その幻想小説か散文詩のような雰囲気をよく伝えていると思う。 名も知らぬ少女への淡い恋は映画用に加えられたエピソードで、嵐の夜ホールを氷上のように優雅に滑るピアノ(「マジック・ワルツ」)や名うてのジャズピアニスト、ジェリー・ロール・モートンとの決闘とともに、ハイライトとして1900(原作ではノヴェチェント)の数奇な人生を彩る。 「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレによるイタリア映画だけれども、ティム・ロス主演の英語劇で客船ヴァージニアン号を舞台とし、モリコーネの美しい音楽も情緒過多でないことで無国籍的でもある。 意を決してのニューヨークでの下船が決行されずじまいだったのも、成功を尊ぶアメリカ的な物語ではない象徴、降りない理由も屁理屈っぽいようでいて彼にとっては真実。 彼を気遣うトランペッターの友情も、常人離れしたピアニストを現世につなぎとめるには至らない。 1900の存在そのものが一つの芸術のようだが、芸術とは必ずしも健全なものではなく、甘美なる滅びと隣り合わせでもある気がする。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-08 00:00:10)

88.  英国王のスピーチ 能力があれば誰でも王になれるわけではなく、またなりたくもないのに王にさせられる人もいる。 エリザベス女王の父ジョージ6世は「悲運の代理王」のイメージだったけれども、それを大きく覆す作品。 自分に不相応と思える場を与えられた人誰もが感じるであろう戸惑いと陰の努力を描いて衒いなく、洒脱なユーモアをまぶして踏み外さない。 インディーズでそれほど豪勢に金がかけられていないのも「しょせん王族の話」との冷ややかな見方もされにくいだろう。 父ジョージ5世がいみじくものたまうように王室という場所で仕事をする人の話。 コリン・ファースはどちらかといえば寡黙な役が多かったように思え、それゆえバーティが必死に言葉をつぎしゃべろうとする姿は新鮮に映り、最後のスピーチは感動的で新たな代表作に。 ともすれば自虐に陥りやすい王を友人として理解し導くライオネル(彼も舞台俳優として挫折を味わっている)のジェフリー・ラッシュは見せびらかすことなく巧み、始めは王が平民の自分に歩み寄ることを求め、最後には自ら一歩退くライオネルには引き際を知る人の清しさがある。 クレジットではファースとラッシュの名が横に並び、この二人三脚の映画にふさわしい。 芸暦長いヘレナ・ボナム=カーターは近年のバートン作品とは違う顔を見せ、愛情深く聡明な王妃。 王と療法士が親しく呼び合うのを内心快く思わぬ彼女が最後にライオネルを名前で呼ぶのは、深い感謝の表れ。 「高慢と偏見」でファースの相手役をつとめたジェニファー・イーリーが、ライオネルの妻として姿を見せるのも嬉しい。 映画の中で幼い王女として登場するエリザベス女王も鑑賞され、愛する父がこのように描かれたことに懐かしさと共に誇らしく思されたのではないかと思う。[映画館(字幕)] 8点(2011-03-10 02:01:46)(良:2票)

89.  ノーウェア・ボーイ/ひとりぼっちのあいつ 《ネタバレ》 ジャーーーン♪ イカしたオープニング。 アーリー・ビートルズをただなぞるのではなくベースにとどめて、音楽にめざめた若者の青春とその母たちの愛憎を織り交ぜた物語。 「幻影師アイゼンハイム」で少年時代を演じたアーロン・ジョンソンが若きジョン・レノン、ポール役のトーマス・サングスターももう子役ではなく純粋で才能ある音楽青年を演じ(「バック・ビート」と違いポールのキャラクターは非常にいい)、ロック・ミュージックに魅入られ刺激しあう彼らからは50年代の音楽ムーヴメントの熱気と息吹が感じられる。 叔母ミミの元で育ったジョンに音楽の手ほどきをしたのは、離れていた実の母ジュリア。 水と炎のように違う彼女たちに息子として愛されるジョンにとってはいいことばかりではない。 ミミとジュリアの場合は確執が深くとも姉妹であることで和解の糸口もあり、嵐が去って彼女らが並んで庭に座るシーンでは、それまで2人の衣装に使われていた黒と赤がグレーとピンクに変わっていて、2人の拮抗する心が穏やかに薄まったのをうまく表現していた。 だからこそその直後の悲劇が痛ましいが、陽気なジュリア寄りだったジョンがミミの元に戻ってきた時には安堵を覚えた。 冷静なミミの方が自分のために「息子」を愛しているのではないように感じていたからだろう。(抑え目のK・S・トーマスがすばらしい) ジョンはその「母」からも巣立って仲間と共に音楽の道をゆく。 アート系の女性監督がアーロンによってマザーにされるというオマケもついた、映像感覚的にも優れた青春映画。[映画館(字幕)] 8点(2011-03-08 00:00:01)

90.  輝きの海 邦題で損をしているようだけれども堅実で真摯な英国文芸映画。 ポランスキーの「テス」に並べても恥ずかしくないと思う。 ジョゼフ・コンラッドの小説を下敷きにした作品はハーディのように宿命的であっても最後まで重くすることなく解放があり、女性監督の繊細さが生かされた作品。 「灯台守の恋」のようによそ者が虐げられ、不幸な生まれの娘が疎まれる海辺の村での彼らの結びつきは天命といえ、お互いに相手しか持たぬ彼らの情愛は「僕の家は君だ」という言葉に表されるように深く、結末では哀感も含みながらそれまでの苦しみが氷解して静かな歓びに満たされる。 髪をまとめ質素な服に身を包んだレイチェル・ワイズが言葉より目で語るヒロイン。 母親までが自分の不遇の過去の遺物として娘に辛くあたるのは理不尽に思えてならない。 フランスのヴァンサン・ペレーズがロシア語とロシア訛りの英語を修得するのは難儀したのではと想像され、思わぬところで再び言葉の壁が立ちはだかる場面では熱演。 ヤンコには息子のように慈愛を注ぎながらエイミーには村人同様偏見も持つ医師のイアン・マッケランが重厚。 ヤンコを導いた海も「ライアンの娘」のように物語に添う美しい背景となって、ラストシーンは未来への希望を感じさせる。[DVD(字幕)] 8点(2011-03-06 00:00:04)

91.  ストレイト・ストーリー 《ネタバレ》 異色映像派監督の「らしくない作品」って必ずといっていいほどあり、スコットしかりバートンしかりギリアムしかり。 リンチにとってはこれ。 普段プライドがじゃまして出せないような作品を愛情をこめて作っていたりすると、人間のアザーサイドを知らされる気もする。 緑色のトラクターがゆっくりと進むさまは亀を思わせるノンビリ加減。けど車や自転車では早すぎて目にとまらないような景色をゆったりと眺められることでもある。 ファーンズワースは「赤毛のアン」の優しいマシューで、あの時よりお年を召していた。 ヒッチハイクの家出娘には毛利元就の束ねた矢に似た話をして家族の元に帰し、同年輩の戦争体験者にはそれまで人に言えなかった兵士時代の辛く苦しい思い出も口をついて出る、癒し癒されの道行き。 「老人になって一番悪いことは」 真実かもしれないけれど哀しい言葉だね。 ロードムービーってことでハリー・ディーン・スタントンも拝める。 2人で星空語りをしたら、また苦労しながら娘シシー・スペイセクが待ってる家まで帰るのかなあ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-04 01:35:37)(良:2票)

92.  ハリーとトント 《ネタバレ》 長年住んでいたニューヨークのアパートが取り壊され、ひきとられた長男の家には居ずらく旅に出る老いたハリーのロードムービー。 経済的に困窮していないのは安心感と物足りなさ半々だけれど、ニューシネマのようにただ自滅に向かうのではないのはいいと思う。 ハリーの子どものうち後からでてくる2人は有名な俳優さん(バースティン、ハグマン)、最初に同居していた親思いの長男は父親と妻の間に立たされてかわいそうだった。 キッツイ奥さんも旅の途中の電話に出た時に泣きだしたことになっていて、自分が追い出したようで良心がとがめてたんだろうな、と和む。 行く先々の様々な出会いが心をあたため、相棒の食いしんぼう猫トントもかわいくて、だからあの姿は胸にしみた。 昔語りをした友の死もハリーに寂しさと共に自分に残された時間がそう永くないのを感じさせてた。 トントに似た猫もいるあの場所で、ハリーは残された人生を心安らかに過ごしたんだね、きっと。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-03 00:25:40)

93.  ポリス/インサイド・アウト ミュージシャンのドキュメンタリー映画は少なくない。 コンサートに行けなくてもライヴに接することができる等の利点があり、07年のポリスの限定的なリユニオンを機に出されたこの作品もその1本だけれども、メンバー自身が自分たちの成長を撮った記録というのは他に例がないのではないかと思う。 ドラマーでありポリスのファウンダーでもある唯一のアメリカ人、スチュアート・コープランドがスーパー8で撮り続けた映像は経年劣化もあり粗いが、当時を直に伝えるフッテージの数々はファンには感慨深いものがある。 意外なほどステージが少ないのは「シンクロニシティ・コンサート」等の優れたライヴソフトが既にあるからだろうし、ツアーの移動やスタジオ・レコーディング時にひろった彼らの映像が中心。 初期ではバンやバスでの移動だったのが専用機に変わっていくのはそのまま彼らの急成長ぶりをあらわしつつ、バンドが大きくなるのはいい事ばかりではなく分散を招く要因にもなるのをも感じさせるが、一回り年長の小柄なギタリスト、アンディ・サマーズの大人の茶目っ気が多くのバンドが陥りやすい悲壮感からポリスを遠ざけていたのもまた事実であろう。 撮影者であるスチュアート自身の映像は少なくライヴの際にはマネージャーである兄のマイルスが撮っていると思われ、一番の悪たれはスティング。 罪もないアンディに襲いかかったりファンの女の子を抱きすくめたりと、カメラの前でもストレス発散をいとわない。 移動列車内で彼の横に同じプロデューサーを使っていたXTCのアンディ・パートリッジが座っていたりするのも意表を突かれるし、PV撮影現場では両方の素材をシンクロして多元的に見せたりとスチュアートが監督としての腕をふるう。 ロックバンドという呼び方が不似合いなほど個性的だった彼らの曲をコラージュした軽快で小気味よい時間は70分余と短いが、時を経て思いがけずポリスを内側から見る機会を与えられた。[DVD(字幕)] 8点(2011-02-19 23:59:58)

94.  運動靴と赤い金魚 イランの少年が誰かのためにがんばるのは「友だちのうちはどこ?」が好きですが、あれの10年後に作られた、これもいい作品。 どちらも子供をシビアな環境において、あちらは詩的でこちらはリアリズム、女の子も出てくる。 女の子の方が「人並みに」って気持ちが強いと思うのですが、直してはいていた古い靴さえなくしてしまったザーラは、すてきな靴をはいてる友だちがうらやましくって家までついていったりする。 その子が新しいのを買ってもらって古いのを捨てちゃうとカッとなってしまい、「あたしのほしかったあの靴を、まだはけるのに捨てるなんて!」と思っているのが伝わる。 ザーラの心も細やかに描写されているので説得力があります。 お兄ちゃんの靴を溝に流してしまって必死で追っかけるのも貧しい人にとってものがどんなにだいじか見せる。 アリがすぐメソメソ泣かないともっといいのにと思いましたが不満はそれくらい。 最後はああ!と思うんだけどお父さんを見てまたああ! かわいい妹のうれしい顔を見たくて、お兄ちゃんが走る! 走る![DVD(字幕)] 8点(2011-02-14 00:00:00)

95.  8人の女たち アガサ・クリスティの映画はそれほど得意じゃない、人間の汚い部分ばかり見せられるようでね。 似たタイプのミステリーだけれど、それはあくまで形式でフランス女優の華やかな競演をのせる舞台装置にも思え、正直ストーリーは二の次。 フランス映画にしてはカラフルな画面も「つくりもの」であることを強調、主演級の女優さんが8人も並ぶと圧巻、大御所・中堅のみならず若手も「コゼット」「ティンク」。 ファニー・アルダンの横にエマニュエル・ベアールがならぶと顔の大きさが全然違ったり、ドヌーブとアルダンの「百合」に驚愕したりとやや邪道な愉しみ方でも、こんな機会はめったにないものね。 皆さん歌やダンスは本職ではないと思うので、「他の人たちに見劣りしたくない」と秘かに一生懸命練習したんじゃないかと思わせるミュージカル・パートがいじらしくも見えてきたり。 一番凝っていた役は髪も染めたイザベル・ユペール、元々美人なので終盤では華麗に変身。 こんなに楽しいなら結末を変えてでもハッピーなFINにしてほしかった、「女はみんなしたたかなワル」な印象で終わってしまうから。 ともあれフレンチ・シネマ好きにはご馳走![DVD(字幕)] 8点(2011-01-28 00:00:03)

96.  幸せはシャンソニア劇場から 「コーラス」は少し雑な感じもしましたが、その余勢を駆って作られたこの作品は細部まで神経が行き届いた成長ぶりが伺えました。 イタリア映画のようだった前作とちがい、古きよき時代のフランスの下町の魅力がたっぷりと。 どこの国の人が見ても親しみをもつであろう風貌のジュニョさん(ピゴワル役)は前作同様控えめだけど、これだけのキャラクターがいるとちょうどいい露出具合なのかも。 新人女優ノラ・アルネゼデールも華がある美しさと歌で役を地でいくヒロイン・ドゥース、前作でペピノ役だった子(ペランの息子)が演じるジョジョはアコーディオンが大好きな少年。 年老いた「ラジオ男」が昔の輝きを蘇らせるのは常道ともいえるけどやっぱり嬉しい。 「手紙隠し」など昔ながらの手も使い、ジョジョの義理のお父さんの寂しさなども慮られて、たくさんの思いが渦巻く世界。 往年のハリウッド風ミュージュカル・シーンもあってワクワクしますが、いいことばかりは続かない、セ・ラ・ヴィ。 第二次大戦を入れないかわりに衝撃的な事件がおこってしまい(古典映画的でもこゆトコが今の映画?)、哀感も漂わせるラストに余韻しみじみ。 こういう映画は雰囲気が好きかどうかだと思います。 これはホント「劇場」で見たかったですね♪[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-22 00:00:07)(良:1票)

97.  パリ空港の人々 《ネタバレ》 「髪結いの亭主」のジャン・ロシュフォールがやむをえずド・ゴール空港内に足止めされる学者に。 狭いトランジット・ルームに宿を求めるアルチュロと故郷のない住人たち。 ふってわいた災難に戸惑いながらも彼は目新しい生活に何となく楽しげだ。 今までの仕事も肩書きもここでは意味をなさず、ただの初老の男にすぎないのが別に不服そうでもない。 うるさがたの妻はすぐ近くにいても一緒にはなれないかわり、若いアンジェラがいて若やいだ気分にもなる。 どんな環境でも必要に迫られれば慣れてしまうものなのだろう、人間は。 怪しげな身の上を語るセルジュ(オルガドは「髪結い」でも共演)の話にも耳を傾ける。 大晦日の夜セーヌ河に停泊する遊覧船からの眺めは彼らだけのパリ。 確かな身元があり自由な人々にはけっして味わうことのできない喜びもある。 新年あけて解放される彼を一人無言で見送るナックの表情が「行ってしまうのか」と語り、言葉は通じなくても仲間と認めていたのだろう。 黒人少年ゾラを突き放せず供い、荷物を盗まれていなければ知ることのなかった場所を胸にしまい歩みだす彼のこの先の人生はどんなものかと思わせる。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-10 00:00:09)

98.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 これはフランク・キャプラ流の「クリスマス・キャロル」(祝歌)ではないかと。 薄情な金貸しが不運続きの善人に、案内役の精霊が2級天使に置き換えられていますが、主人公に別の世界を見せて枯れた心を生き返らせる手法は似ていて、お○なども出てくるし、生まれ変わった彼が晴れ晴れとした表情で叫ぶ「メリー・クリスマス!」も。 けれどこんなにうまくアレンジされているならそれでいいのかもしれません。 守銭奴が気前よくなるよりも家族のために自分の夢をあきらめ辛酸を舐めてきた苦労人が報われる方が、見る人により大きな喜びを与えるでしょうから。 ジョージが見せられる世界では彼自身を登場させずに彼の存在意義の大きさを見せ、階段のタマネギや娘ズズの花びらをアクセントにし、彼がしてきた善行の見返りがあるなど独自の味付けをした、誰もが幸せやあたたかさを求めるクリスマスにふさわしい作品。 60年以上多くの人に勇気と力を与えてきたと思います。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-10 00:59:58)(良:1票)

99.  白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々 《ネタバレ》 ドイツは戦争映画で常に悪役にされるのに辟易して、当時の「内側」の状況を知ってもらいたい気持ちもあって、この映画を作ったのではないでしょうか。 美しく散った白バラの闘士ゾフィー・ショルはそのための触媒、彼女の真摯な言動に触れたナチスに迎合する人間たちの心の揺れが見所。 審問官モーアの厳しい尋問がしだいに「問答」へと変化していくように見え、彼が気圧され迷いが生じてくる有り様が映し出されていく。 また彼にも守るべき家族があり、容易に自分の立場を崩せないことも。 法廷で傍聴する将校たちも彼女の答弁に躊躇いがちに人間らしさを覗かせ、叫ばれる「ハイル・ヒットラー」にも心なしか精気がない。 現代の人間による理想主義的な描き方ではあるにせよ、ナチスドイツの在り方に疑問を持っていたドイツ人も少なくはなかった、そう訴えかけてくる作品。 処刑台に向かうゾフィーを見送りうなだれるモーアの姿が象徴的で、ゾフィーがまとう赤いカーディガンが白皙の彼女の内に流れる血の熱さを物語っているようでした。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-08 00:00:06)

100.  エディット・ピアフ~愛の讃歌~ 《ネタバレ》 エディット・ピアフに特別の思い入れはなく、時間も長くて国民的歌手の自我に溢れたもっと疲れるような映画かと懸念していましたが、そんなこともなく。 美貌をかなぐり捨てたマリオン・コティヤールの入魂の演技、独特のコクのある映像、節度あり流れるような運び。 今時の映画らしく時系列の入れ替えはありますが。 特に恋人マルセルを失った彼女がよろめきながら行きつく先は、はっとさせる演出。 ピアフの歌は要所要所で流されますが、使われすぎていないので飽きることなくもっと聴きたい、と思えるのもいいのでは。 市井から出た歌姫を支えた当時のスタッフたちのように、この作品にも彼女を愛し誇りとするフランスの愛情が幾重にも取りまいているようでした。 自身の人生はバラ色ではなかったかもしないけれど、聴く人の心はバラ色に染めたのでしょうから。 ドパルデューはゲスト的ですが、エマニュエル・セニエが幼い頃の彼女に愛を注ぐ娼婦ティティーヌを好演。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-07 00:00:02)

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