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プロフィール
コメント数 2259
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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81.  スイス・アーミー・マン 《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意ください。)十徳ナイフ並みの 、いやそれを遥かに上回る“万能死体“を使っての無人島からの脱出劇。ノッケからオナラ風腐敗ガスエンジンのボートに変化という飛ばしっぷり(苦笑)。斬新な着想はキャッチーなれど、出オチの危険性大かと危惧しておりましたが、いやいやどうして、見応え十分でした。しっかりコメディとして成立していたと思います。ただし中盤、観念的なアプローチが過ぎたというか、ハイセンスな部分を見せようと意気込み過ぎたというか、やや中弛みした感は否めません(手作りバスあたりの件ですね)。とはいえ、見終えてみれば主題は明快で、こんなキワモノ設定の中ブレることなく結末までたどり着いた点には拍手を送りたいと思います。いや、やっぱりたどり着いてないかな。スミマセンそこは要審議で(苦笑)。というように、反芻しても“苦笑い”がやたら多いのですが、決して駄目じゃなかったと思うのです。好意的な苦笑い。その最大要因は、ダニエル・ラドクリフくんにあります。もう手放しでホメたいチャーミングな死体ぶりでした。それに天下のハリー・ポッターがよくぞこんなヨゴレ役を引き受けたものだなと感心します。彼の熱演(死体だから冷演かな)無くしては、本作の成功はありませんでした。本年度のアカデミー最優秀死体賞は彼で決定ですな。さて、色んな見方・捉え方が可能なストーリー(真っ当な解釈は妄想・精神疾患系あるいは心理状態の比喩表現。そもそも漂流などしていない)ですが、私的には愚直に“メニーくん=宇宙人説”を推したいと思います(タイガー星雲か、ZOJIRUSHI系からやってきたと睨んでおります)。全部“ほんとう”と信じるなら、これしかラストの状況に対する説明はつかない気がいたします。まあ正直いいますと、“整合性なんてハナから気にしちゃいない“が真相だと思われますが。観客で勝手に判断してくれのスタイル。無責任かもしれませんが、個人的にはこんなのもアリだと思います。映画は究極の自由空間ですし。the endの神タイミングに対し+1点査定で。[映画館(字幕)] 9点(2017-09-25 08:51:46)(良:3票)

82.  独裁者、古賀。 《ネタバレ》 あざとい設定(母子・父子家庭、夕飯のうどん率高っ)、ヒネリ過ぎなフレーズ(「それって同じことなの」)、アクの強いキャラクター(黒柳哲哉)、面白シーン(ランニングVSママチャリおばちゃん)。どれもこれも、イチイチ心に引っ掛かってきます。良くも悪くも。極め付けはタイトルでしょうか。全体的に狙い過ぎで、それでいて甘々で、スキだらけで、今時こんな物語あるかいなと言いたくなるベタで古臭い脚本ですが、純なラブストーリーと絶妙なウィットに、まんまとハートを掴まれてしまいました。いやいや、正直に白状しましょう。何より、誰より、黒柳哲哉にゾッコンだったと。友達はもちろん、知り合いだって遠慮したいヤバイ奴ですが、何故か憎めない性犯罪者。ヤツの一挙手一投足に釘付けでした。何なんでしょうね、この気持ち。恋かしら(ウソウソ勿論私はノンケですよ!)。たとえばフグには毒があるけど、毒を取り除けば美味い魚みたいな。違うかな。でもそんな感じ。人は変われるし、変わらなきゃいけないし、戦うときは戦わなきゃダメだし、素敵な出会いも、ゲロみたいな人間関係も、どちらにも意味があるはず。人生は劇的であれ。踊ってナンボ。お前は自分自身の独裁者たれ。下手くそな人生賛歌ですが、だからこそ素直に沁みた気がします。ちょっと本気で切なくなりました(でも引っ越し先、そんなに遠くないですよね笑)。私の中で『黒柳哲哉』は『ナポレオン・ダイナマイト』や『ヒット・ガール』と肩を並べる愛すべきキャラクターに認定されてしまいました。危うく勢いで10点を付けそうになったくらい。作品の完成度的には全然なんですけども(苦笑)。『Vote For Pedro』Tシャツも買いました。だから新撰組Tシャツ俺も着る!どこで売っているのか教えて!![DVD(邦画)] 9点(2017-09-10 00:28:13)

83.  夜は短し歩けよ乙女 《ネタバレ》 一歩、いや半歩間違えば、“独りよがりなセンスの押しつけ”あるいは“分かるヒトにだけ分かるゲージツ作品”になりかねない本作。引き合いに出すのは適切ではないかもしれませんが、『ナイスの森』的とでも言いましょうか。しかしながら、その半歩を決して外さず、確実に一般大衆向け『娯楽作品』として成立しているのは、物語の幹を為すのがロマンスシネマの大正義“純愛”だからと考えます。先輩然り、パンツ総番長然り、紀子さん然り。みんな真剣なんです。間違った方向に。そう、誰もが経験した(または現在進行形で体験している)青春時代にありがちな、無様で、泥臭く、気恥ずかしい、完全にどうかしている心理状態を、アーティスティックにデフォルメしつつも、的確に表現していたと思います。詭弁踊り?韋駄天炬燵?時間軸無視?青春の“迷走感”に相通じる素晴らしき“ワケワカラナサ”。正直に告白しますと、20年以上昔、主人公とほぼ同じ年齢でリアルに“ナカメ作戦”を実行した私としましては、本作を否定するわけにはいかないのであります(もっとも私の場合は告白撃沈。未だに瘡蓋が取れません泣)。「これも何かのご縁」嗚呼なんと素敵な響きでしょうか。私も“私の黒髪の乙女”に言われたかったなと。おじさん、ニッコリ笑顔で泣けてしまいました。湯浅氏の傑作処女作『マインド・ゲーム』から実に13年ぶりの劇場監督2作目は、湯浅節のエッセンス健在に、見事に洗練された大人の映画に仕上がっておりました。大拍手を送りたいです(出張ついでに池袋にてレイトショー鑑賞。うん、やっぱり本作はレイトショーで見なきゃね)。[映画館(邦画)] 9点(2017-05-05 21:27:07)

84.  IAM A HERO アイアムアヒーロー 《ネタバレ》 はじまりは、平凡な日常に入り込む些細な違和感。種火はボヤを吹っ飛ばして瞬く間に大火へ。同棲彼女のアクロバティックな急襲に端を発した地獄絵巻は、半径3メートルのアパート室内から、煙幕上る阿鼻叫喚の市街地編まで、ドミノ倒しの如く、いやタクシー大爆走で、悪化拡大していきます。そうかと思えば、一転、主人公とJK2人の静かなひと時。心の交流を手際よく挟み込み、緩急をつけるニクイ展開。その後は当該ジャンル“らしさ全開”のショッピングモールを舞台に、ゾンビより恐ろしいヒトの集団が登場と。およそ定番と思しきプロットを漏れなく押さえた正統派ゾンビ映画の趣で、ゾンビ映画好きとしては、非情に好感度が高いです。JKを“半人半ゾンビ”に位置づけた点は、クロかシロかを問うゾンビ映画には通常存在しない特異点で、ホラー・スプラッター祭りの中の“良心”を担う“核”でもありました。極限下においても、弱者(あるいは障碍者)を切り捨てることを正義としないヒューマンドラマは、弱肉強食を旨とする無法世界に対するアンチテーゼ。胸に響きました。上戸『あずみ』の百人斬りを彷彿とさせる英雄渾身の銃撃戦は、ZQNについて絶妙なパワーバランスの調整が効いていてこそ。アクティブに動くゾンビ(いわゆる走るゾンビ)だらけでは到底耐え切れませんし、オールドタイプ(スローモースタイル)ばかりでは戦う必然性が担保されません。ZQNに個性を認めたことで成立した壮絶なクライマックスは見応え十分。徹底したゴア描写も正統派ゾンビ映画としての自己主張であり、それでいて汚らしい印象がない点も評価したいです。物語としては尻切れトンボな印象ですが、そもそもゾンビ映画とはそんなものでしょう。これ、続編を期待しない方が野暮というもの。私の中では「快作」認定です。有村架純も可愛かったし、言うことナシであります![CS・衛星(邦画)] 9点(2017-02-10 00:29:02)(良:1票)

85.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 誰もが経験している(であろう)“目覚めると夢の中の出来事を忘れてしまう” という“ヒトの特性”が本作の「要」となる設定でした。ラブストーリー上の命題であり、タイトルでもある『君の名は』なる問いかけ。2人の間に3年の隔たりが存在している事実を“当人に意識させない”仕掛け。ふたつの重要課題をきちんと満足させています。これはお見事。もしかしたら私も「大切な誰かを忘れているかもしれない」そんなセンチメンタルな気分に観客を誘う効果も併せ持っていたと思います。三葉だけでなく巫女一族に、未曾有の危機に際し時空を越えて他者(主題歌の歌詞的に、前世で縁ある者と見立てるべきでしょう。)と繋がる能力を持たせた点も、料理の味を引き締める塩の如き素晴らしいひと手間。基本事項の説明責任を果たすと共に、物語に奥行を与えていました(おばあちゃんの能力は大火の時発揮されたのかな?)。“かはたれどき=かたはれどき”(この言葉のチョイスもたまりません!)、二人の魂が時空を越えて交差するクライマックスは、この上なく美しく、感動的であるだけでなく、SF的訴求力も兼ね備えた名シーンでしょう。新海映画が美術的に優れていることは承知しておりましたが、脚本がこれほど練られているとは驚きました。新海SFは雰囲気重視との先入観が、完全に覆りました。お見それしました。粗探しは必要ない高い完成度と考えますが、唯一ラスト。何故あのタイミングでの再会だったのかという謎は残ります。必然性を担保してきたストーリーだっただけに尚更のこと。いやいや、違います。私の考え違いです。“偶然”が必要だったのです。言い換えるなら“運命”ということ。だって本作は上等なSFであると同時に、比類なき究極の“ロマンチック”ラブストーリーなのですから。[映画館(邦画)] 9点(2017-01-25 00:26:17)

86.  ダージリン急行 《ネタバレ》 序盤は意外と退屈しました。淡々と進む『真っ当なロードムービー』の様相。でもこれがウェス・アンダーソン監督の“リズム”であり“やり口”。案の定、3人のイカれ具合が露見していくに連れ、画面に釘付けになりました。結果的には今回も、監督の“センス”に見事にノックアウトされた格好です。京都修学旅行で木刀を求めるが如き感覚でのキング・コブラ購入、高級ベルトの執拗なやり取り、包帯をとったら普通に痛々しい顔など、思わず腹を抱えるネタ要素に加え、ビル・マーレイの無駄遣い、すぎむらしんいちが描きそうな瞳大きく唇厚い小顔客室乗務員の美女ぶりにも痺れましたが、やはりウェス・アンダーソン作品最大の魅力は、観客の予想の斜め上を行く脚本の出鱈目さ(失礼)でしょうか。コメディで子供を死なせる必要があったのかと。でも人生をきちんと描くのであれば人の死を禁忌とするのはかえって不自然なこと。事件、事故、病気。思うように行かぬ人の寿命。普段意識せずとも、死は常に私たちの隣に居ます。父の死、助けられなかった子供の命。2つの死と、母親の(愛ある?)身勝手さを目の当たりにして、3兄弟は悟ったのでしょう。何せ人生観が変わる異国の地NO.1のインドですから(完全な思い込み)。そう、“家族の絆”は美しく大切ですが、執着しても仕方がありません。全ては流れのままに。だから最後、ダージリン急行という名の人生の列車に乗るために、彼らは余計な荷物を捨てたと。うん、納得出来ます。共感します。何が幸せかは、実はとってもあやふやなこと。母が虎に食われずに生きている。息子が生まれる。それだけでどれほど幸せなことか。彼らは確かに成長しました。ただし、シガラミは捨てても、ホイットマンブラザーズは、もう少し常識を身に着けた方が良いとは思いますが。[DVD(吹替)] 9点(2016-12-31 23:59:59)

87.  ロマンス(2015) 《ネタバレ》 ラブホにて。「オッサン、絶ッ対に何もしないでね」と女。語感、表情ともに、本当にダメなヤツです。一応コインでイケるかどうか占った男ですが、手を出すつもりはなかったでしょう(そんな度胸はありません)。ところが、ところがです。風呂上りの女は明らかに様子が変わりました。弱音を吐き、さめざめと泣き、抱き寄せる腕を拒みません。この瞬間、男の脳裏に再生されたのは、豆絞りを被った小太り中年の四つん這い姿だったはず。熱湯風呂を前にして「ゼッタイに、押 す な よ」の図と同義なり(もはや大島というより、上島。よく見て、顔もソックリよ!)。一方、押し倒された女の心境は如何に。ラブホだしなあ、どうでもいいか、だいぶ金使わせたし仕方がないわ、やっぱ男だなMIX。実に冷静なものです。ところが、ここで男は行為をストッピング!!NOではないが、決してYESでもない女の様子を敏感に察知します。この時の男の気持ち、同世代として激しく理解します。男は女に“情”を寄せていたから。同情、友情、愛情、多分いろいろ。少なくとも一時のノリと欲情で“この関係を清算してよい”行きずりの相手ではありませんでした(一時の快楽より、一生モノの思い出を選択したとも言えます)。それにここで抱いたら本物の最低になってしまうから。やせ我慢して格好つけたいくらい、男にとって女は大事な人に変わっていたのでしょう。多分それは女にしても同じ。自身を蔑む男の背中に、そっと寄り添う気遣いからの“寝たふり”炸裂。このまま男の話を聞こうものなら、本気で抱かれる展開以外ありません。でもそれは御免。そこまで心は許していないし、そもそも万引き野郎だし、でもこの関係は嫌じゃない。「狸寝入り」の術にて現状維持成功。お見事でした。イイ男風キスへのお仕置きも、大人の女の嗜みでしょうね。さて、1泊2日の『ロマンス』は、2人の心境にどのような変化をもたらしたでしょうか。男の方。警官に手をひかれる老婆のように、公権力に頼った更生の道を選ぶのでしょうか。あるいは、まだ困難から逃げ続けるのかも。少なくともコインの表と裏は正しく理解したはず。正しい、いや後悔しない選択をして欲しいものです。女の方は、心のエナジー充電完了。実は上司や同僚に恵まれていた事にも気づけました。実母との“直接対決”にちゃんと営業スマイルが出来ればもう大丈夫。本当に“要るもの”と“要らないもの”を見極めて、自分の人生を歩んで行けるでしょう。今回もタナダ的“強い”ヒロイン像健在の物語を堪能させていただきました。昨今大流行のイケメン&美少女を主役に配したラノベor少女マンガ原作のふんわりマカロン邦画(勝手に命名&完全に偏見)に辟易していた私としましては、アンチテーゼのようなブサメン&アラサーコンビによる定番リアル寓話に大変満足した次第です。中年男の疲れた心と体には、このくらいしっかり甘くて、ちゃんと心に沁みる映画がぴったり。名付けるなら最中映画。苦い現実とよく合います。[CS・衛星(邦画)] 9点(2016-09-20 19:28:19)(良:1票)

88.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 ついに話題作を劇場鑑賞いたしました!なるほど、なるほど、こりゃヒットするワケです。下品な言葉使いで失礼しますが「クソ面白い!」が私の心情にピッタリ。キャッチコピーが的確かつ秀逸です。「現実VS虚構」。嘘っぱちをモチーフにした大真面目なリアルシミュレーション。『空想科学読本』の社会科編といったところでしょうか。こんな大人のお遊び大好きです。大御所&実力派&クセモノ揃いのキャストがこれまた抜群でした。オジサン俳優は漏れなくイイ味出しまくりですし、豪華脇役陣もきっちりスパイスを効かせた良いお仕事ぶり。巷で話題の尾頭さんも素晴らしいですが、個人的にツボに入ったのは高橋一生。あの演技はクセになります(佐藤二朗、荒川良々クラスの怪演技!)。作品のクオリティを下げる役者が一人も見当たらない奇跡の配役は、お見事の一言に尽きます。勿論、これも含めて監督のお手柄かと。庵野節炸裂、いやゴジラ版エヴァンゲリオン。監督の作家性が強烈に打ち出されているところも高評価いたします。はてさて、続編はあるのでしょうか。これだけの金脈を映画業界が放っておくとは思えませんが、続編で本作を超えるのは至難の業でしょう。それくらい満足度の高い作品でした。[映画館(邦画)] 9点(2016-09-10 19:28:04)(良:1票)

89.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 観終えたのが夜中の2時過ぎ。あまりの濃さに、そして毒気に中てられ、鑑賞直後は満足度よりも疲労感が勝りました。体感は4時間超の大長編クラス。面白い映画でしたが、2度観ることは無いなと感じました。ところが、です。翌日も同時刻にブルーレイをセットしている自分がいました。フラッシュバックされるハイスパート・カーアクション。狂乱の世界観。それに伴う高揚感。視覚情報の洪水に脳はビックリ、聴覚情報の臨場感で心臓ガッチリ。異なる感覚機能を同時に刺激され続ける苦痛が、いつの間にか快楽に変わる恐怖。もはやドラッグの領域です。面白過ぎて映画館で続けて鑑賞した経験はありましたが(『キック・アス』)、同じ興奮を時間差で感じさせるとは、いやはや恐れ入りました。砂漠と水とガソリンと。暴力と狂気とスピードと。絶望と希望と虚しさと。物語を構築する要素は単純です。しかし純度と密度が生半可ではありません。実に見事な、やり過ぎアナーキーな、ウルトラ馬鹿映画でありました。リニューアル『マッド・マックス』は、“新世紀の『ベン・ハー』”でした。手回しオルゴール一つで蘇る記憶。瞬時に前作(正確には前々作)と繋がれるのは、映画ならではの素晴らしき流儀であり、シリーズ映画の強み。私は本作を猛烈断然支持します。注文を付けるとすれば、生理的に受け付け難い描写が1か所あった事、マックスの顔面拘束具を序盤で取ってしまった事。あの屈辱的かつ無様なビジュアルがあまりに“魅力的過ぎた”ゆえ、ずっと観ていたかったなあと。決着が付いた後で拘束具を外し「俺の名はマックスだ」なんて痺れる展開だったら、3夜連続鑑賞間違いなしでした。レイトショーがよく似合う映画だと思います。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-05-20 19:59:47)(良:2票)

90.  グランド・ブダペスト・ホテル 《ネタバレ》 美しく、それでいて心に残る構図。俯瞰で覗き見るイメージのロングショット。其処はまるでお伽噺の世界でした。独特のセンスで彩られる映像美に、まずは魅了されます。どこまでもファンタジックでマンガチックな装いの中には、思わず笑みがこぼれてしまう滑稽さと、人の温かみと、予想外の猛毒と、そして現実の痛みが隠されていました。感情の4原色“喜怒哀楽”の何処に当てはめたらいいのか、自分自身見当がつきません。どうぞ映画の流れに沿って、気持ちを迷子にしてみることをお勧めします。“言葉で言い表せない、べらぼうに美味い極上の一皿”。それがウェス・アンダーソン映画と考えます。一度ハマったらもう抜け出せませんよ。天才コンシェルジュ・グスタヴ・Hと新米ロビーボーイ・ゼロの、信頼と友情の冒険譚は、人生の醍醐味という名の味付けが施されています。まさに人生万事塞翁が馬。作家に語らずにはいられない生き方が出来たのなら、今生を味わい尽くしたと胸を張ってよいでしょう。主人公が得た財産は、紛れも無く、金ではなく“記憶”です。[DVD(吹替)] 9点(2016-04-25 20:29:31)

91.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 文字通り“クソ”にまみれた主人公の人生が、軽薄なクイズバラエティショウを通して肯定されていく様に、強く胸を打たれます。学は無くとも経験はある。それが決して他人に誇れるものでなくとも、血となり肉となり、今の自分自身をかたち作る糧となっています。辛い思いも、苦い体験も、全てがクイズの答えに、いや人生の答えに繋がっていました。最も痺れたのは、主人公が司会者の卑怯な罠に引っ掛からなかったところ。『親切を装う大人を信用してはいけない』という痛恨の教訓がちゃんと活かされていました。終わり良ければ全て良し。そう思える素晴らしきラストシーンは、ラブストーリーとしてもこれ以上ない“正しい”結末でありました。それにしてもヒロインを演じた女優さんの魅力的なこと!“この人の為になら命を賭けられる”そんな説得力を持つ恋物語は“強い”と思います。フリーダ・ピントというお名前、覚えておきますね。(以下余談)本作は『勇気の物語』でした。ザ・ダメ人間な自分も一緒に肯定された気がしたのです。私が長年かけて貯め込んできた『深夜ラジオ(伊集院光)』『囲碁』『プロレス』『B級邦画』『ももクロ』に関する知識も、いつか陽の目をみる日が来るんじゃないかと。いや、やっぱ来ないか。来なくてもいいんです。来るかもしれないと思えることが希望なので。[CS・衛星(吹替)] 9点(2016-03-30 22:28:40)

92.  明烏 あけがらす 《ネタバレ》 やりました!やられました!!完全な『吉岡里帆』祭り!!!彼女の振り切れた演技、豊かな表情(大きなお口!そして絶品の般若顔!!)、その見事なコメディエンヌぶりに心を打ち抜かれました。デコおっぴろげ前髪ぱっつんイモ姉ちゃんぶりと、化粧バリバリドレスアップお嬢の落差は、『マルホランド・ドライブ』のナオミ・ワッツをも凌ぐ別人感。これなら堂々とポスターに顔出し出来るハズです。まさか『幕が上がる』の下級生メガネ娘が、これほどのポテンシャルを秘めていたとは。個性溢れまくる芸達者な役者陣の中で一際光る存在感たるや、驚愕の一言です。本作で完璧に彼女の大ファンになりました。『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツ級の衝撃。大絶賛させてください!さて、作品の評価の方。台詞回しの妙や、役者固有の演技力に由来する面白さを楽しむ趣向が強く、映画自体の完成度はさほど高いとは思いません。ワンシチュエーションに(舞台を店舗内に固定)出来る設定なのに、必要性の薄い店外カットを入れるコダワリの無さ。金の無い客の肩代わりをするなど、ホストとしてマイナス査定のはずなのに、美談風に仕上げるテキトー脚本。元ネタは落語のマルパクリという部分も含めて、点数的には6点が妥当と考えます。しかし、です。これが相当に笑えるのです。一人の男を立ち直らせる為の、思いやりに起因する幸せな笑い。コメディは笑いこそが正義。全ての短所が無効化します。初笑いにオススメできます。ただし、遊びの借金がある方は新年早々、キツイ説教をくらう羽目になるのでご注意を。吉岡里帆ちゃんへのお年玉込みで9点進呈いたします。[DVD(邦画)] 9点(2016-01-01 00:00:00)(良:2票)

93.  幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦 私はDVDなどで“特典”として付くメイキング映像の類が嫌いです。ジャッキー・チェン主演映画のエンドロールで提供されるNG集などもってのほか。観客へのサービスなのは分かりますが、正直いって有難迷惑な話です。物語の世界に浸りたいのに、その裏側を見せられるなんて艶消しもいいところ。そう、私のスタンスは“メイキング映像・NG集”否定派です。ですから、どんなに『幕が上がる』が好きな私でも、本作に高得点を付ける事は無いと考えていました。あくまでもファン向けのオマケ映画であると。ところが、ところがです!本作はももクロが『幕が上がる』を通じて、女優として成長する過程を追ったもの。弱小演劇部が全国大会を目指して成長していく『幕が上がる』の世界感と見事にリンクしていました。艶消しなんて、とんでもない。『幕が上がる』では描き切れていなかった“演技上達の道程”を図らずも補完する内容でありました。平田オリザ氏のワークショップで演技の意味を知り、監督に対して自らの思いを語る姿。5万人のライブでもおどけて見せる彼女たちが『肖像画』で見せた張りつめた表情。『ももドラ』での“なんちゃって女優”ぶりを知る者にとっては、実に感慨深いものがありました。例えるなら寝返りもままならぬ乳飲み子が、ランドセルを背負って駆けて行くまでを目にしたような。あくまで『幕が上がる』があってこその本作ですし、ファンサービス映画であることは否定しません。ですが、このように“本編の世界観を邪魔しないメイキング映画”があることに驚いた次第です。しおりん、れにちゃんの涙、美しかったなあ。夏菜子は、本当に大きくなりました。ももクロにとっても、そしてファンにとっても、『幕が上がる』が大きなターニングポイントであったと再確認することが出来た『その前に。』でありました。[ブルーレイ(邦画)] 9点(2015-08-14 22:29:59)

94.  人狼ゲーム ビーストサイド 《ネタバレ》 (本作は桜庭みなみ主演『人狼ゲーム』の続編です。もし未鑑賞でしたら、必ずご覧になってから本作にお臨みください。前作の予備知識必須です。B級和製サスペンスのパッケージですが、あっと驚く傑作シリーズです。以下、2作とも鑑賞済みの方のみお目通しいただければ幸いです……)最重要ポイントは生還要件と考えます。「ゲームに勝利すれば1億円」とのアナウンスですが、これが“正しくない”ことは前作で証明済み。まず拉致されたプレイヤーは「村人」として最初のゲームを戦います。生き残れたら、今度は「人狼」役でネクストゲームが始まります。ここまでは前作終了時点での確定事項。では「人狼」側で勝利を収めれば、晴れて1億円を手にして開放されるのでしょうか。これを確認するための「ビーストサイド」であったワケですが、生還要件にはもう一つ条件が付されていることが伺えます。「1人で勝ち残ること」。村人側で1人勝ち残りは在りえないので、必然的に「人狼」側で、かつ仲間の「人狼」を失うことが条件となります。高いハードルです。この裏ルールに気づいていたからこそ、主人公は仲間の人狼を「予言者」に仕立て上げるという危険な賭けに出たと推測されます。失敗すれば、自分にも疑いがかかる大博打。果たして彼女は窮地に追い込まれながらも、このミッションをやり遂げました。人狼1人、村人2人で迎える最後の夜。誰もが主人公の勝利を確信した直後に待っていた驚きの展開。そして意外な結末。震えました。目を疑ったのは、主人公が最後の夜に友人を襲おうとした決断。好きだから、決着は自分の手で。悲しいけれど、確かな友情が、其処には在りました。麗子が主人公の正体を明かさなかったのも同じ。一緒に死地を潜り抜けた連帯感が友情の礎。そして彼女の矜持。極限状態の中で輝く絆に、胸を打たれました。さて、最後の疑問。美海に問い詰められて主人公が告白した「自分は3度目、麗子は2度目」の真偽について。目が泳いでいるので嘘かもしれませんが、「由佳の嘘は見飽きた」という美海が信用しているので真実とも受け取れます。主人公の1戦目は「村人」側3人以上の勝利だったので、2戦目も「村人」を引いたと。ここで麗子が参戦。共に生き残れば、2人のゲーム経験数が違うことも説明が付きます。さらに彼女が「人狼」での勝利ではなく「1人勝ち」が必要と判断した裏付けにもなるのではないかと。修羅場を潜り抜けた経験値と生への執着心が勝敗を分けた納得の結末でありました。ラスト、仲間の形見を次々と捨てる主人公の胸中や如何に。無慈悲?冷血?いいえ、犯人を殺りに行くと腹を括ったロッケンローラーに、感傷なんてロックじゃないもの、要らないのです。(以下余談)今を時めく土屋太鳳。私は本作で彼女を知りました。そんな私からすると、最近の(?)普段の(?)彼女の喋り方が〝猫を被っている”ようにしか見えないのです。何、裏声で喋ってるんだよと。本作の土屋はとにかく強烈。そして凄まじく魅力的です。彼女の裏の素顔をどうぞご堪能ください。[DVD(邦画)] 9点(2015-07-16 22:20:24)

95.  みなさん、さようなら(2012) 《ネタバレ》 『アヒルと鴨のコインロッカー』『ポテチ』に続き、またしても中村義洋監督+濱田岳コンビに「してやられた」というのが率直な感想です。団地の中で一生を終えると決めた男。そんなどこか滑稽なシチュエーションの裏側に隠された真相が明かされるまで、理由に思いを馳せなかった自分の鈍感さが悔やまれるというか。少し考えれば想像できるはずなのに。それくらい“濱田岳マジック”が効いていたとも言えます。彼の醸し出すナチュラルなリラックス感は、サスペンスを際立たせる優秀な緩和剤。いつの間にか観客は、シリアスなお話に覚悟なく向き合わされている寸法です。本作のテーマは母の愛。傷ついた息子を信頼し、彼が立ち直るまで「待つ」と決めた覚悟の深さに震えました。一歩間違えば共倒れです。でも彼女は息子の芯の強さに賭けたのです。確かに彼は団地に居ながらにして、一歩一歩、成長の階段を上りました。手に職を付け、異性を知り、己が大切な者を守る力を身に付けました。そしてキッチリ過去のトラウマを克服したのです。周りから嘲笑された空手修行が、コツコツ積み重ねてきた努力が、報われた時のカタルシスや絶大でした。母からの命を賭した最期の贈り物は、息子の背中を押すこと。子に一人で生きていく力を身に付けさせられたのなら、親の役目は十分果たしたと胸を張れます。死んで本望。私も悟と一緒に泣きました(てっきり悪漢を病院送りにした事でお縄を頂戴し、公権力の力を借りて団地から出るストーリーを予想していたので、この結末なら文句なしのハッピーエンドでしょう)。悟ちゃん、お母さん、おめでとう。本当に頑張りましたね。本作製作時点で24歳(!?)の濱田が、小学生役をやるなど、本来なら作品の世界観を壊しかねない危険な行為。しかし子供の心のまま大人になった主人公のメンタリティを表現するには、有効な手段だったように思います。やりますな、中村監督。沁みるお話でありました。[DVD(邦画)] 9点(2015-07-09 00:57:16)(良:1票)

96.  かしこい狗は、吠えずに笑う 《ネタバレ》 これは凄い。スゴイです。一級品のミステリーです。先に投稿されているレビュワー様がおっしゃる通り、情報シャットアウトでご覧になる事をお勧めします。以下鑑賞済みの方のみ、お読みいただければ幸いです…。ややもすると、イズミの狂気が熊田に連鎖した、あるいは、イズミの人格が熊田に受け継がれたと解釈したくなる結末ですが、これは誤りと考えます。延々と観客が見せられていたのは、あくまで熊田の弁明(供述調書)。客観性を裏付けるものは何処にもありません。おそらく真相は、熊田がイズミの立場で、周りの人間をコントロールしていたのでしょう。熊田こそが事件の中心に居た張本人。マニキュアの色、生きていたインコ、ラストカットの席位置等の状況証拠に加え、鏡を割り『自分を守るための嘘、あなたの武器でしょ』とつぶやくシーンが決定打。こんな特殊なシチュエーションが偶然繰り返されるはずがありません。つまり、当初イズミの姿で再生された鏡割りは完全なフェイクと判断できます。さらに“あるミスリード”が、この仮説を強力に裏付けます。それはスーツ姿のふくよかな女性の正体について。体型と生理痛。たった2つの共通点だけで、観客はスーツの女=成人した熊田の姿と思い込まされました。しかもこのミスリード、本筋とは一切関係ないのです。本来必要のないミスリードを何故わざわざ仕組んだのか。其処に込められていたのは、監督からの“思い込み注意”のメッセージでありました。人は一度確定させた事実を覆したくないもの。何故なら自身の決断を否定するのは苦痛だからです。熊田=可哀相な被害者として一度認識してしまった以上、彼女が真犯人なんて不都合な真実、本当は認めたくないのです。ですから冒頭に示したような“イズミの狂気が熊田にも連鎖した”という、観客にとって都合の良い解釈が生まれてくるというワケ。何とまあ意地の悪い趣向でしょうか。全部まるっと熊田の創作話との解釈で問題ないと思いますが、そんな嘘の中にも幾つか“ほんとう”は隠されているはずで、それを想像すると…何とも味わい深い作品とも言えます。いやー、いい映画を観させていただきました。でも多分、監督はけっこう性格が悪いと思います。もちろんコレは褒め言葉ですが。[DVD(邦画)] 9点(2015-06-02 01:03:40)(良:3票)

97.  女子ーズ 《ネタバレ》 ノリノリでアドリブ(?)をかます佐藤二朗の怪演を頂戴出来るだけで、個人的には十二分に満足なのですが、それに負けない若手女優の熱演にも心打たれました。5人とも持ち味を如何なく発揮し、輝いていたと思います。中でも目を惹いたのは桐谷と高畑。桐谷の「うえっ」顔の口のかたちはまさに絶品。クロエ・グレース・モレッツはたらこ唇で世界を魅了しましたが、桐谷は“歪んだお口”で世界を獲れると思います。割とマジで。あと『チャン・グンソクに似ている時点でイケメンじゃない!』は近年邦画史に残る名台詞であると断言します。高畑のコメディエンヌとしての才能は本物。ボケもツッコミも両方イケる万能タイプです。スゴイと思いました。『数えを笑う者は数えに泣きますよ』をあの空気感で言える女優さんは、そうはいないはずです。シュールとベタミックスの福田雄一監督の流儀は好き・嫌いが分かれそうですが、私はドハマリしました。なんと『HK/変態仮面』の監督さんでしたか。どおりで手が合うワケです(笑)。これから大物女優に成長していくであろうキャストの皆さんがオファーを受けてくれるうちに、是非是非、続編をお願いします。[DVD(邦画)] 9点(2015-03-29 18:27:15)(良:3票)

98.  バイロケーション 《ネタバレ》 (ネタバレ厳禁映画につき、鑑賞後にお読みいただければ幸いです)劇場ポスターのメインコピーは『バイロケはもう一人の自分。必ず本人を殺す』。これは秀逸です。観終えて改めて、その味わいの深さに唸りました。サブコピーは『○○を超える、衝撃的な結末』。よく耳にするフレーズですが、こちらは酷いネタバレです。私のような盆暗はナチュラルにスルー出来ましたが、ミステリー好きならこのヒントで真相に気付けてしまうでしょう。上質なミステリーですので、興味のある方は情報をシャットアウトしてご覧になる事をお勧めします……。W○W○Wさんで『表』と『裏』バージョンを続けて放送という英断のおかげで改めて鑑賞し、その設定の秀逸さ、脚本の巧みさを再確認しました。やはりポイントは“バイロケが自分自身をバイロケと認識できない”という部分にあります。つまり、バイロケは自身をオリジナルと信じ、バイロケ被害者であると疑わないのです。加害者と被害者という関係ではなく、共に被害者が正しい認識。でも相反する生き方を選択した者同志、共存は叶わないのが道理です。本当に切ないお話でした。さて、今回『裏』を初めて拝見しましたが、単にアナザーエンディングという位置付で少々ガッカリしました。加賀美の忍への問いかけ「それであんたの結末が変わる」、あるいは高村から桐村への逆提案。後半に重大な岐路が2か所も用意されていたにも関わらず、どちらも完全無視で『表』と同じ道程を辿ります。いくら“裏切り”がミステリーの醍醐味とはいえ、これはいただけません。何をもってハッピーエンドと捉えるかは難しいところですが(其処が本作の素晴らしいところ。裏も決してハッピーエンドではありません!)、偶発的な要因に起因せず、主人公の能動的な選択で別の未来を手に入れる結末も観てみたいと思いました。それでこそ「私のことは、私にしかわからない」という鍵となる言葉が活きると思うのですが。監督の画づくりには少々趣味に合わない部分(例えば加納が忍を殴打するシーンの凡庸さ)もありますが、これだけ手の込んだミステリーを頂戴出来れば十分満足です。同じモチーフを有する黒沢清監督の『ドッペルゲンガー』(こちらも傑作!)と見比べてみるのも一興かと。[CS・衛星(邦画)] 9点(2014-10-03 17:58:36)

99.  シュガー・ラッシュ 《ネタバレ》 王様がラルフに話したヴァネロペの境遇は、十分腑に落ちるものでした。ゲーム開発途中に発生したバグが原因で、キャラクターがお蔵入り。そんな話、聞いたことある気がします。“死にたくないなら余計な冒険はしない”は真理です。しかしラルフから命の危険性を説かれてもなお、ヴァネロペの意志は揺るぎませんでした。渡辺美里の歌詞ではありませんが『死んでるみたいに生きたくない』ということ。そのへんのガキが同じ台詞を吐いたとしても、「命の有難味が本当に分かっているのか?」と説教したくなります。しかし不死のゲームキャラクターにとっては切実な悩みです。何も起きない日々が永遠に続く。それは正に地獄でしょう。ヴァネロペがどんな気持ちでレースにエントリーしたのか理解出来たとき、私もゲーム世界の仲間になれた気がします。では、ラルフの心情はどうでしょうか。彼がメダルに固執したのは、周りに認めてもらいたいから。それだけです。肯定されない人生は暗闇に違いありません。ラルフとヴァネロペは、共に闇の中に居たのです。願いは同じ。“人生を価値あるものに!”たった一人に認めてもらうだけで、人生は輝きます。2人の友情に胸を熱くしました。勿論、伏線見事な脚本があってのこと。王様の正体、滅亡回避奇跡のクライマックス。全てのピースがピタリとハマる快感は格別でした。人生の目的、友情の価値、社会的役割、騙される心理。豊富な示唆が含まれている物語を堪能いたしました。(以下余談)私が本作の観賞に至った経緯は、ヒロインがももクロの有安杏果(緑担当)にソックリとの噂を聞きつけたから。サイズ感、カラーリング、ヘアースタイル、どれをとっても杏果にしか見えません(笑)。挿入歌はAKBですけど、日本語吹き替えを彼女にお願い出来ないかしら。『「ちゅがー・らっちゅ」って、ほら言えてんじゃん!』そんな杏果を想像して一人ニヤニヤしてしまいます(重症)。[DVD(吹替)] 9点(2014-09-12 18:28:10)

100.  クリスマスドラマ 天使とジャンプ<TVM> 《ネタバレ》 センターメンバー脱退をうけ、残された4人はアイドルグループTwinkle5の解散を選択しました。それもあっけなく。いや「覚悟なく」でしょうか。其処にはアイドル活動に対する彼女らの姿勢が垣間見えます。与えられた目標、敷かれたレール、その中での役割分担。目標が消え、レールが取り除かれた今、彼女たちが立ち止まるのは必然でした。そんな時、4人の目の前に謎の少女カナエが現れます。彼女は問いかけました「このまま終わっていいの?」と。カナエはそれぞれのイメージカラーを纏っていた事から、カナエとメンバーの対話は、自分自身への問いかけと見て取れます。「私たちは、クリスマスライブがしたい!」自身の思いと向き合うこと。自分の頭で考えること、自発的に行動すること。大人への一歩を彼女らは踏み出せたようです。新しいセンター・カナエは、4人の中に芽生えた自立心の象徴。彼女たちはまだ雛鳥ですから飛べません。だから跳ぶのです。全力で……。本作は2013年12月24日・25日とNHKで放送されました。2度目の紅白歌合戦出場直前のタイミング。その時点でもモノノフ(ももクロファン)向けの仕掛けが嬉しい内容でしたが(「この手離さないよ」とか、あーりんロボ的受け答えとか)、国立競技場大会2日目、夏菜子聖火台での言葉「もう悪い大人たちは私たちの前に壁をつくってくれない」を受けて、本作は一段と価値のある作品となりました。どのメンバーも『ももドラ』より演技面で上達したと思えるのは、ファンの贔屓眼かもしれません。スタジオ別録音ではなく、現場生歌録音の『JUMP!!!!!』が、ももクロ史上屈指の良曲と感じるのも、私がモノノフだからでしょう。ですから今回の採点は無視してください。[地上波(邦画)] 9点(2014-08-30 17:29:26)(良:1票)

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