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81.  ラヴソング 大メロドラマの醍醐味。まず、このころの香港情勢があって、大陸から香港へ、香港からアメリカへ、という中国人の流れがあった。戦争などと比べれば穏やかなものだが、やはり一種の激動期、メロドラマの背景にふさわしい。そこにもう一つ、テレサ・テンの文化圏としての香港と、ウィリアム・ホールデンの『慕情』の文化圏としての香港との拮抗が重なる。そういう混淆の物語は、ラストでテレサ・テンの歌がニューヨークに流れて決まりをつけるわけだ。この二人はどちらも大陸から来て香港に根を下ろそうとしていて、いわば戦友のような感情で結びついている、それがいいなずけには乗り越えられないものだった。友だちよ、友だちなのよ、と釘を刺しつつ愛が深まっていくあたりがいいの。だんだんと沈黙が濃くなり、寒いからと重ね着させてボタンをかけ…、なんてあたり。すれ違いもちゃんとあり、これはかなり堪能できたメロドラマだった。[映画館(字幕)] 8点(2009-03-11 12:13:10)(良:2票)

82.  トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 現実のリアリティの喪失という社会的な気分から、世界は実在するかってな大きな哲学的なテーマまでカバーできる設定で、こういう豊かな寓話を生み出せるのはハリウッドの強みだ。そしてハリウッドの伝統である自由への脱出ものにもなっている。実際現代社会のあれこれって何かセットみたいに薄っぺらになってるし。途中に入るCMがおかしい。待機しているエキストラたち。急に作られ解消される渋滞。群衆シーンのおかしさ。かなり笑えた。エレベーターのセットぐらいちゃんと作っておいてもらいたい。月が大きかったのはイメージじゃなかったのね。妻のローラ・リニーに変に不気味な味が出ていた、追い詰められつつココアのCMをしたり。この設定が怖いのは、有名になりたい、という我々の潜在願望も突つかれてるところがあるからで、あるいは、自分が主役であることを知り晴れがましさを感じて島にとどまり続ける、というさらにグロテスクなエンディングも有り得たな。[映画館(字幕)] 8点(2009-01-18 12:13:28)

83.  プライベート・ライアン 《ネタバレ》 冒頭、ノルマディ上陸作戦のシーンは文句なしである。戦争映画というより戦場映画とでも言うか。勝ち戦を描いていながらなんら勇壮さがなく、ただ恐怖とヒステリーが支配している狂乱の場としての戦場を描き切った。水上の騒音と水中の静寂の対比は『ジョーズ』のときと同じだが、ここでは恐怖は水上の音のほうにある。自分の片腕を探している兵や、戦友を引きずって逃げていたら上半身だけだったとか、エピソードが詰まっている。で主ストーリーの、軍作戦としての美談に狩り出される話になっていく。一人の命は地球より重い、ということの正しさと矛盾とがせりあう。兵の母親にしてみれば、どんなにきたない“美談”にもすがりつきたいという切実さがあるわけで、ここらへんの設定が緊張を生んでいた。これでライアンがつまらない男だったほうがドラマとしては正しいように思うんだが、これが好青年で、するとけっきょくこの“美談”を肯定する話になってしまってるようで、アレレ? となった。そういう映画だったのか。ここらへんがハテナである。[映画館(字幕)] 8点(2009-01-15 12:10:53)

84.  カンゾー先生 《ネタバレ》 少数意見だと思うが、私は晩年の今村作品の中ではこれが一番好きなの。60年代のこの人の気分が感じられて。カンゾー先生、和尚、モルヒネ医らの怪しい男集団に、初期の彼の作品の猥雑感が思い出されてくる。学究の徒となり中央で認められる成功話になりかけるところで、ニガみが湧き出してくる構成。せがれが生体解剖やってやせんかというためらい、顕微鏡探し回っててバアちゃんを死なせてしまう失敗、その葬式で聞こえてくる東京の拍手、ここらへん最後まで迷う医者なのである。周囲の連中も、なにやら道を踏み外していく。その踏み外させる元凶としての肝臓炎=戦争に焦点が絞られていく。そしてラストが『神々の深き欲望』を思い出させる舟に漂う男女。そりゃ最盛期のバイタリティーには及ばないものの、これ『復讐するは…』以後では、一番今村らしい作品になったんじゃないか。[映画館(邦画)] 8点(2008-12-28 12:17:36)

85.  永遠と一日 《ネタバレ》 この監督が紹介され出したころの作品は、叙事詩と抒情詩が拮抗しているようなところに魅力があったんだけど、どうもこのころから抒情詩のほうへ傾斜していっていて、なんかもう一つ固い芯がほしいところ。叙事詩的な部分の映像のほうがいい。横一列の車、横一列の警官。十名ほどの人がぞろぞろ歩くってのは、もうこの人のサインみたいなシーン。結婚式の場面などは、またかと思うがやっぱりいい(この人はミュージカル監督なんだと思ってる)。そして水辺ということ、海、川、港、ここらへんは抒情詩的な題材だけど。国境の金網にぶら下がる人々、死体置き場の階上から見下ろす人々、つまりどれも“人々”の映像がいいんだ。そもそも“無言の無名の人々”っていうのが、叙事詩的なんだろうな。いつも一縷の希望を託すようなラストだったのだが、今回の朽ちたテラスでの幻影のダンスってのは、この人にしては退嬰的な気がした。[映画館(字幕)] 8点(2008-12-10 12:13:05)

86.  運動靴と赤い金魚 《ネタバレ》 イタリアのネオ・リアリズムがこんなところにまで流れてきてたのか、とも思うが、あちらはしばしば社会から見た子どもが登場したのに対し、こちらは子どもから見た社会が描かれている。子どもだってけっこう気遣いするのだ。なくした靴のことで親に心配をかけないように心を配る。妹は妹で試験を早く終わらせたりする。兄の妹への負い目、妹の兄への気遣い、と兄妹の間での心の揺れに、また友だちとの間でも、同情やその同情があっさり捨てられるところが描かれ、とても豊かに子どもたちの世界が立ち上がってくる。お父さんの庭師訪問のさいの内弁慶ぶりがケッサク。お父さんがかわいく見えた。マラソンのシーンで音楽が入らないのも正しく、ふと前を見ると誰もいないカットがうまい。そうした演出の的確さは、金魚が寄ってきて赤い靴となるラストで最高潮に達した。[映画館(字幕)] 8点(2008-11-19 12:12:55)

87.  ラン・ローラ・ラン 《ネタバレ》 昔は女が囚われてて男が助けに走ったものだが、いまは逆になってしまった。どちらにしろ人が走るってのは、見ていて気持ちのいいものだ。趣向頼りの映画ってしばしば薄っぺらになってしまうものだけど、ここまで徹底すればそれが全体の味になる。上映時間80分てのもちょうどよかった。『羅生門』に始まる変奏曲形式映画。ヤクザの車を回避したかと思った3回目で正面衝突してしまうのがおかしい。3回目では男も走り、そうするとメデタシメデタシになる。もちろん2と3は死にぎわのローラが見た束の間の夢かもしれないのだが。ただこのラストは物足りない。こんなつまらん男は捨てて、ローラは別角度を向いて走り出すべきではなかったか。[映画館(字幕)] 8点(2008-11-16 12:10:09)(良:1票)

88.  ホーホケキョ となりの山田くん ディズニーがひたすら縮小再生産しているのに対し、ジブリはあえて困難な企画で実験作品を手がける。この心意気を買いたい。冒頭の、イメージが次々と横滑りしていく感覚は見事だし(ボブスレーからウェディングケーキに至ったり、街を練っていくカタツムリとか)、エピソードによって画質を変えたりしている(暴走族のときは粗く)。夫婦のチャンネル争いや、遅く帰ってきてバナナをボソボソと食べるあたりの「演技」も的確、アニメにおける人物の演技がこれほど丁寧に為されるのは珍しい。ただ、一本の作品としてのウネリは当然ないわけで、そのぶん印象は希薄になるが、あくまで実験映画と思えば、健闘していたのではないだろうか。 [映画館(邦画)] 8点(2008-11-12 12:10:14)《改行有》

89.  マイ・ネーム・イズ・ジョー 《ネタバレ》 前半、若くもない男女が次第に親密になっていくあたりの丁寧な進行。壁紙、70年代ポップスの歌手あてゲーム、セーラの仕事場に行ったとき「ああ、ジョー?」と受付の女性にももう知られていることが分かる、なんて。で、ボーリングを経て、恋人を殴った過去を告白するまでに。いっぽう甥リアム周辺に不吉の影が立ち込め出し、ここらへんからドラマが動き出す。運び屋の仕事を引き受けてしまい、それがばれたときのセーラのせりふ「あたしを殴るの」がむごい。どこかエモーションは、仁侠映画に近いのではないか。主人公の回りをうろちょろするリアムみたいのって仁侠映画にもいるでしょ、殺され役。そして主人公の情感の爆発。ジョーがボスを殴るのは、健さんがドスを抜いたようなもんだ。リアムはジョーの分身でもあり、家庭を持てたジョーでもある。だからリアムが死んでジョーが再生し、ジョーの家庭がおそらく生まれるであろうラストになるわけ。主人公が殺されたり牢屋に入ったりしてこの社会から降りるという安易なラストにならない。地獄でも極楽でもないこの世界に踏みとどまる。いや、極楽ではないが地獄でもない、という順番かな。[映画館(字幕)] 8点(2008-11-09 12:15:30)

90.  ブレア・ウィッチ・プロジェクト 禁欲の徹底が成功だと思う。こういう試みは多くの人が考えただろうが、つい伏線めいたものを作りたくなったりするもんだ。そこをじっと我慢した。死体が一つも出てこないホラー、内臓みたいなものは出たけど。作品の性質上、当然音楽がないのもありがたい。だいたいホラーでは音楽が邪魔になることが多い。本作では、テントを包み込んでくる音、足音、子どもの笑い声に、耳を澄ませられる(ただ本当なら真暗になるべき場面で、日本だと消防法で劇場内がうすら明るく、また字幕も白く光って明るく出てくるのが難点だった)。そしてやっぱり家ってのが怖い。家は巣であり、他者の領域であり、この森がこっちを他者としつつあるとこで、ヌッと王宮のように出てくる。家が出ただけで、ああ怖いな、と思ったもん。とにかく作者たちがなにものかに似せて作っていないところが一番いい。[映画館(字幕)] 8点(2008-10-18 12:10:40)(良:3票)

91.  ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ 男性的な楽器チェロと女性的な楽器フルートとの対比があって、男社会に乗り出した女性の挫折、というフェミニズム的解釈も可能、またこの二つの対比を、平凡で安定した人生と芸術を極めて狂気に至る人生と見ることも可能。ただそう単純に割り切れるものではなく、そのとき姉妹という設定がいい。二つがまだ一つだった少女時代をも描けるので、対立が図式にならない。いろいろ細かなエピソードがあって、B♭の音とか、妹用に買った車で姉がフルート練習しようとすると窓につかえるとことか、シナリオがすごく丁寧だ。それにしても、いまさら難病もので泣かされるとは思わなかった。少女時代に姉妹でたどたどしく合奏した“モーツァルトの子守歌”を、エンディングで深々とチェロで奏でだされた日にゃ、ただただ落涙。[映画館(字幕)] 8点(2008-10-14 12:14:07)

92.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 みんな「こんな生活、もうヤ」と不満を持ちつつ、といって確固たる未来の夢がそうそうあるわけでもなく、永遠の過渡期のような“かけがえのある日々”に苛立ち、するとつい娘の友だちに恋心を募らせる中年男も出てくるわけで。どんな異常も平凡に回収されてしまうのが現代の悲劇なら、平凡が平凡であることを異常に嫌悪するのが現代の喜劇。ことさらアバズレを装った小娘とキレた中年男との間に、マゴコロが通じてしまったりもする。なんだか知らないけどあたしは、雨の部屋で、ねじくれた果てに、あたかも父と娘のようにちょっとだけ心が通い合う、男と娘の友人アンジェラの場にホロッとしてしまった。きっとこれピューリタン的には、邪恋を改心して歳の差にふさわしい正しい思いやりになった、と中年男の心理を解釈するのだろうが、どうだろう、ねじれが一回転してしまったとはとれないか。これはこれで邪恋の成就ではなかったか。[映画館(字幕)] 8点(2008-09-26 10:58:17)

93.  あの子を探して 《ネタバレ》 不機嫌な女の子って好き。女の子ったって代用教員なんだけど。不機嫌ではあっても不貞腐れているわけではなく、まっすぐゆえの仏頂面。とにかく彼女には生徒を一人も減らさない、という明確な目的がある。「…とか」といったイマドキの日本の若いモンの曖昧さが一切ない。逃げた生徒を捕まえるとなると、その目的だけに集中する。街にまで追いかけ、墨汁を薄めて尋ね人のビラをたくさん作る。目的の達成のためにあの手この手を使う。テレビ放送まで使う。局長さんがものわかりが良すぎるのが、この映画の唯一の欠点だが、ま、仕方がない。ずっと仏頂面だった彼女がブラウン管の中で泣き、自分を探している人物の存在を知ってホエクーも泣きだす、という名場面が、それがないと成り立たなかったのだから。[映画館(字幕)] 8点(2008-09-15 12:13:12)

94.  最愛の夏 台湾の基隆と言えば孝候賢の世界だが、それもそのはずでこの監督、彼の助監督してた人だそう。盲目の親、知的障害のある弟、肝臓を病んでる父、それにヤクザも絡んでとすごい設定なのに、17歳の少女のサラサラとした一夏の淡い恋物語に仕上がっている。もうほとんど歌謡曲の題材から(窓から港が見える)、これだけの充実した時間を紡ぎ出せるのが、台湾映画の恐ろしさだ。細かいエピソードを羅列して土台を固めてから、少し離れて顛末を語っていく。ラストの泣かせも爽やかにキマった。カラオケのシーン、メロディは「松の木小唄」だったな。[映画館(字幕)] 8点(2008-09-08 09:37:50)

95.  ペパーミント・キャンディー 「前向きに生きよう」なんて言葉を気安く使うな、という凄味がこの映画にはある。なにしろ「後ろ向き」が中心モチーフだ。「後ろ=過去」の復権、「後ろ」の重さ、「後ろ」の開き直り。20年をさかのぼっていく旅は、そりゃ暗い。最後に光州事件に至る韓国の現代史だもん。過去へ過去へとさかのぼった記憶の旅は、最後に一個のペパーミントキャンディーに結晶する、「人生は美しい」って。だからドラマの伏線も普通の因果関係ではなく、まず「果」が現われてから、「因」に至っていくわけ。これじゃ、何もかももう取り返しがつかないわけだ。過去のどこにも選択の間違い(あるいは選択の余地)はなく、すべてはゆっくり損なわれるように決定されていた、ってことを確認するための遡行。敗北主義とか、自己憐憫なんて言葉も浮かぶが、でも人生って、自己憐憫には値するのではないか。[映画館(字幕)] 8点(2008-09-03 12:11:26)

96.  スプリング・イン・ホームタウン 韓国の『非情城市』って感じ。民族にとっての悪い時代を可能な限り美しく描こうとする映画。ロング主体の非説明的映画なので、たぶん読み取れていないところも多いだろうが。米軍の洗濯物を引き受け羽振りが良くなっていく主人公の家。洗うこと、洗っても消えない汚れのことがテーマとなっていく。父さんが朝鮮戦争の戦況を気にしていたのは、米軍の撤退を気にしていたからで、自民族が殺し合っている悲劇には無関心だった。父さんの赤ペンキの汚れはけっして消えない。消えない記憶の汚れは焼かなければならない。歴史とは、こういう洗い落とせない汚れが堆積したものなのだろう。少年の目を通過することによって、特定の時代の悲しみが人の世の哀しみにまで普遍化された。もっぱら夏の映画なのにこの題は、あの困難の時期が民族にとっての春であってほしいという願いか、それとも皮肉か。[映画館(字幕)] 8点(2008-08-28 10:59:55)

97.  ゴースト/ニューヨークの幻 《ネタバレ》 自分の死を知るあたりは、このころでは『オールウェイズ』があったりして、新鮮味に欠ける予感が漂いだしたが、三番目の人物が悪人なのね。ウーピー・ゴールドバーグのインチキ霊媒師が出てきてから面白くなってきた。祖母や母は霊能力があったけどあたしはないんでインチキしてる、と自分で思い込んでいるという設定がうまい。ちょっと演技が大袈裟だったが。あと地下鉄の幽霊がおかしかった。縄張りがあるの。とにかく登場する主要な男性はみんな幽霊になっちゃう。このころアメリカ映画界は死人ばやりだった。あちらでも成仏してメデタシメデタシとなる。カールが悪人と分かる前に伏線を出しすぎちゃったか。[映画館(字幕)] 7点(2014-03-10 09:03:47)

98.  グッドフェローズ 《ネタバレ》 この監督、どうしようもない奴を描くのが好きで、そのどうしようもなさがクッキリ出てくる腕前は大したものだと思うんだけど、でもこんなにまでして「どうしようもなさ」を描きたがるその根本のエネルギーがどこから来るのかがわからん。こういう奴がいるんだということを言うために、2時間半の映画を作ってしまうその動力源が。仲間うちの感じなんかがすごくうまいの。「俺のどこがファニーなんだ?」と急に絡んでくるところなんか、こういう連中の空気が本当に良く出ている。カタギの人間の気持ちが不思議でたまらない。“マフィアになろうと考えない”人間がいるってのが理解できない。そういう狭い仲間内だけで閉じているいやらしさ。レイ・リオッタ、いいすね。こういう世界の中だけで成長した幼さみたいのがある。眼が現実を見てない。逮捕の日のシーン。怪しいヘリコプターが頭上をしつこくついてくる。まるで幻覚のような不気味さ。けっきょく真っ当な生活とまるで触れ合えずに保護監察下で毎日を潰していくラストの苦さ。つまらない男のつまらない人生を描く監督の手つきだけが、つまらなくない。[映画館(字幕)] 7点(2014-02-26 09:42:26)(良:1票)

99.  バッド・インフルエンス/悪影響 ジェームズ・スペイダー君が、セーター着て普通のサラリーマンを好演。ちょっと小心なとこが、やっぱり彼なの。ちょっと屈辱的な場面で・世間に対してチクショーと思っている場面でロブ・ロウが登場するってのが、分身の登場のようでもあってなかなか意味深。主人公は「世間に対してたかをくくること」を教育されていく。感化されていく。「世間なんてこんなものよ」と結局スーパー強盗にまでなり、同僚を殴り(と思い込む)、で怖くなってくるのは、ロブ・ロウがいなくなってから。財布を取りかえして戻ってきた部屋でのビデオによる殺人の記録シーン。時間のずれが重なる。血のあととか。ここらへんうまいですな。世間が敵になる。兄がロブ・ロウの指紋をとろうとする怪しいバーのシーン。蛍光灯振り回して女が踊ってて。世間から集団で逃げてるような人々。主人公の分身であるというより、『エクソシスト』みたいな純粋な悪の抽出、ってことになるのか。[映画館(字幕)] 7点(2014-02-11 09:52:42)

100.  太陽は夜も輝く 冒頭から寓話精神で始まる。樹の下の少年がおいでと呼びかけると、花びらが手のひらに舞い降りてくるの。有名俳優をけっこう使って、ミュージカル性も添えた。音への配慮がいつもどおり素晴らしく、衣擦れの音と雨の音が競い合ったり、羊の鳴き声の使い方とかいい。広い池は出たが海は出なかったな、この監督フェリーニと同じで海好きかと思っていたけど。これ主人公の三人の女性遍歴ものと見ることも出来そう。彼にとって真っ当な夫婦こそが、最大の憧れの対象だったのでは。他人に利用されることに極端に敏感に反発を感じてしまう主人公だったのが、修道士になっても心の平安が得られず、つまり自尊心が強すぎるという罪の保持者なんだろう。それが村人たちに善意の手助けをする生活で救済されていく、って話なのか。神様って、人に使われるのがヤな人が代わりに必要とするものなのかもしれない。この主人公、そういうことでずっと疲れている印象がある。この監督は俗人たちの話のほうが合ってると思う。「標高」の高い映画で、空気は澄んでいるけど、低地の俗人たちの俗な世界のほうが懐かしくなる。[映画館(字幕)] 7点(2014-01-25 09:41:45)

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