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プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  イージー・ライダー 《ネタバレ》 タイトルだけは良く知っていたが、これまで縁の無かった作品。つい先日デニス・ホッパー氏が亡くなられ、追悼番組で初めて観賞。自分にはズシーンと響きました。南部のお祭りを見物に行くことを目的としたロードムービーで、その目的自体に大した意味はないけれど、道中で遭遇するエピソードの羅列の中に現代でも色褪せないメッセージが潜んでいる、気がする。「ドラッグ」「自由の意味」「排他的南部気質」が主なテーマのようだった。特にジャック・ニコルソンが語る「自由」に関する講義にはびっくりした。現代の誰かがそのまま口にしても通用する。60年代の邦画と比べるとずいぶん垢抜けて見える作品だけど、見映えよりも台詞内容の普遍性に驚きました。余所者を疎んじる体質とは米国南部の気風というより、土地に縛られている精神の不自由と解釈しました。で、彼らが自由だったかというと、ピーター・フォンダの「失敗だった」という台詞が短く結論付けています。当時でいうところのヒッピーに成りきれず定職も持たない彼らは、自由という気分の中を気ままに泳いでいたが、どこにも辿り着く岸辺は無かった。それは自由ではないらしい。本作は、主人公たちも含めて「自由の国」の不自由を描いたことに意味があったのだろう。当時の日本人の観念とは違う尺度で自由を計っていたように思えて、それなりに衝撃的だったと想像できる。自分も若い頃に観ていたら、ちょびっとだけ人生が変わっていたかも…。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-21 00:23:57)(良:1票)

82.  バンビ、ゴジラに会う 人は一生のうちに靴の底でいくつの命を踏み潰すのだろう、てなことを考え始めてアホらしくなってやめた。ちなみに2分も無い。1分半くらい。[インターネット(字幕)] 5点(2010-06-07 22:52:25)

83.  猟人日記(1964) タイトルの猟人日記とはナンパの記録。ある男が狙った女性を落とした手順からベッドでの様子までを趣味として詳細に記している。基本的なナンパの手口がハーフに化けて女の興味を引くというもので、片言の日本語がウソ臭くって笑える。まぁ、かなり変な奴です。その日記に記された女性が相次いで殺される事件が起こり、男が逮捕され、弁護士が事件の究明に奔走するというストーリー。直木賞候補となった原作は未読だけど、出版当時その内容が話題となりベストセラーだったらしい。犯人のモノローグで顛末が一気に語られるくだりは金田一耕介シリーズみたいだけど、動機を遡って行くと思いもよらぬものに行き当たってびっくりする。50年ほど昔のミステリーとしては、よく組み立てられていると思います。中平康らしいテンポの良い演出も好感触です。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-06-06 03:56:38)

84.  硝子のジョニー 野獣のように見えて 《ネタバレ》 芦川いづみが人買いに売られる知的障害者を演じる。清楚な知的美人という印象が強い彼女にして、ちょっと驚く役どころ。それに絡む男が二人いるが、彼らとのやり取りのなかで浮かび上がってくるのは、芦川いづみの無垢な精神。虐げられても怒りや憎しみという感情が持てず、自分を売り飛ばそうとした男でさえ健気に看病する。やがて、近しい人に裏切られた過去を持つ男たちが彼女の聖母のような慈愛を認識するというストーリー。知的障害を抱えることと彼女の優しさは無関係ではない。世間に蔓延する悪意の表層しか認識出来ないことで、その優しさが醸成されるのなら、テーマはアダムとイブが知恵の実を食べたところまで遡る。結局、海に身を投げる彼女の心は、誰かを満たしても誰かから満たされることは無かった。重い見応えはあるが答えが見えない映画でした。ファンタジー的な色彩は無いが最近の「空気人形」にそっくり、ってこちらの方が50年近く先に作られていますが…。自分は、芦川いづみがちょっとユニークな女性という程度で、知的障害者らしく見えなかったことが残念でした。近頃は変な日本語を使うコミュニケーションレベルの低い人が多いし、女優に突飛なことをやらせる演出も多い。そんな環境に慣れてしまったからだろう。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-05-22 16:14:17)

85.  海底軍艦 《ネタバレ》 「戦争きちがい」とか「きちがいに刃物」とか。最近では聞かなくなった言葉が威勢良く吐き出されるとドキッとします。物事に熱中するという意味で使う分には好きな単語だったけど、これで傷付く人がいるらしい。英語の台詞で「crazy」はよく耳にするが、あれは大丈夫なのか? 公開年度の1963年は終戦から18年後。その間、大日本帝国の復興を誓って、せっせと軍艦を建造していた男が物語の真ん中にでんと居座る。先の「きちがい」は軍事国家の再建を指して使われていたが、神宮寺大佐の言い分を聞いていると愛国心の現われであって偏執的な戦争肯定者とも思えず、ステレオタイプに批判するシナリオがどうも浅薄に思えた。製作者たちも、まさかその10年後に横井さんや小野田さんが南方のジャングルから帰還するとは思っていなかっただろう。さて、本編の話ですが、海底軍艦が伊福部昭の音楽に乗って初めて水中から浮上するシーンはかなりカッコ良く、観ている方にも力が入ります。例の宇宙戦艦とイメージが被り、かなり影響を与えたことを確信しましたね。でも、面白かったのはその辺りまで。色とりどりの衣装を纏ったムーの人々の群舞は、モスラやコングへ捧げられた踊りに比べて数という点で圧倒しているが、踊る必然が無いので文字通りの空回り。鳴り物入りだったマンダが極めて弱っちいことと、戦闘らしい描写が無いまま動力部を破壊されただけでムーが滅ぶ流れが唖然とするほど呆気なく、後半はクソ映画に迷走した。設定に気骨があっただけに残念な出来映え。轟天はこの後、別の映画に何度もキャストされるが、登場シーンの存在感は今作がイチバンでしょう。[CS・衛星(邦画)] 4点(2010-05-20 01:33:59)

86.  砂の上の植物群 《ネタバレ》 製作当時の視線で、真面目に「官能」を追求したような作品でした。主人公が道を踏み外してズタボロになるって感じでもない。一歩ずつ確認しながら、いろんなことにチャレンジするという印象です。性風俗が花開く前、ノーパン喫茶が初出店するよりさらに20年以上前の時代なので、現代の視点に照会するとかわいいものだが、当時としては異色の作品だったのだろう。痴漢、覗き、軽いSM、制服コスプレ。妻と父親の密通を疑っていたあたりに、近親相姦的な要素も入っている。それらに背徳を覚えながら、その性癖の源泉として自分の中に流れる父親の血を意識する主人公。明確な台詞にはなっていないが、自身の意思というより、もっと大きな摂理が背徳を希求させているような語り口です。ラスト近くで一緒に食事をする女性の口がアップになる。それは粘膜質でものを咥え込むことの象徴。その描写の生っぽさが今作の全てです。ちょっと珍しい感じの映画で面白かった。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-05-15 13:02:21)

87.  学生野郎と娘たち 《ネタバレ》 50年前の大学と学生生活がどんなものだったのかが垣間見える作品でした。学問を究める場所、就職予備校、夢を追いかける場所、目標が見つかるまでの猶予期間、などなど…。色んな学生がいて、そこは現在とあまり変わらない。でも、多くの学生がバイトをしている理由が学費を稼ぐ為、と云うところが大きく違う。そんな大学へ、アメリカで実績を積んだ教授が帰国し、鳴り物入りで学長に就任する。彼の押し出す学究的な理想論は学生からも歓迎されるが、大学改革の一環として学費が値上げされたことで様相は一変。値上げ反対の学生デモが起こったりする。その学費値上げ騒動を軸に、多くの学生が絡む群像劇という体裁。学生たちの中心にいるのが、早口で思ったことをズバズバと言い放つ中原早苗。そのキップの良さたるや、相手が男でも女でも、中途半端な態度を取るような輩は片っ端から切り伏せられる。口調は、スピード、リズム、抑揚、どれを取っても天下一品。この映画の見どころは彼女のマウスパフォーマンスです。実は芦川いづみを目当てに観た映画だったんだけど、完全に中原早苗の映画でした。で、芦川いづみはというと、バイト先の経営者のバカ息子にレイプされて何かが壊れ、学費を稼ぐための水商売を恋人に見られたことに絶望(?)し、バカ息子を殺してから自殺すると云うとんでもない役。現在では、あんなことでは自殺なんてしないと思うが、彼女の死が学長の退任に繋がるという意味で重要な役回りではあった。骨太な中原早苗の演技とは対照的に、影のある儚い役回りでした。ちょっぴり下着姿も拝めたりする。この映画の白眉はラストシーン。結局は大学を辞めた中原早苗が校門を出たところに、上空を飛ぶ旅客機の爆音が被さる。おもむろに振り仰いだ彼女が「うるせぇぞ! ロッキード」と怒鳴って幕。たぶん米国帰りの学長を米航空機メーカーに掛けているのだが、この歯切れの良さは一見の価値有りです。日本に於ける大学教育の意義は「あやふや」で、現在と変わらない印象でした。今作の中平康監督は「あした晴れるか」しか観ていなかったんだけど、相当にデキル人ということが良く分かりました。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-09 23:13:11)

88.  アルプスの若大将 《ネタバレ》 今回はアルプスへ。タイトルを見て、勝手に日本アルプスかと思っていたらマッターホルンから始まった。大変失礼をしました。アルプスだけではなく、ウィーンやローマへも足を伸ばし海外旅行気分を味合わせようという趣向に見えるが、羽田空港のお出迎えの団体には笑わしてもらいました。スペースシャトルで帰還したような騒ぎよう。ヨーロッパへ行くことは、当時はそれほど珍しいことだったようです。舞台は東京オリンピックの2年後だけど、まだまだ外国人コンプレックスが根強かったようで、「外人」はまだしも「毛唐」という言葉は久しぶりに聞いた。ストーリーはほぼいつも通り。主人公が星由里子を追いかけて再びヨーロッパへ行くという流れには、明確なプロポーズの意思を感じるけれど、次回作はまた出会いから始まるのね。美人相手に恋愛の最も楽しい頃合を何度も反芻できる主人公はシアワセ者ですな。田中邦衛の免許証を見た白バイ警官の「オマエ、違反だらけだ」と云う台詞は、シリーズものの楽しみと受け取りました。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-04-25 20:48:10)

89.  女王陛下の007 この一作だけに登場し、降板したジョージ・レーゼンビー。役者としての存在感はショーン・コネリーに比べてグッと落ちる気がするのだが、ジェームズ・ボンドというキャラクターの中味を感じさせてくれる作品ではあった。主人公の内面を描くという意味では、普通の映画である。よくよく考えると、事件が起こるたびに関係する女性を片っ端からモノにするボンドという奴はとんでもない下半身偏重人間で、国家の仕事に就いていなければただのスケコマシ。今作のように、一人の女性と正面から向き合う姿勢にこそ人物としての共感は生まれるし、それは作品の完成度に跳ね返ってくるものの筈なんだけど、そんなキャラではシリーズとして長続きしないというのも事実だろう。次の作品でショーン・コネリーが復帰したことも含めて、今作は「番外編」という印象で、自分の中では何人もの俳優が受け継いでいるボンドの流れに組み入れて捉らえられない。ちなみに、ダニエル・クレイグのボンドは、今作のような湿っぽい部分を持ったボンド像をシリーズキャラクターへ取り込む試みだと思います。[地上波(吹替)] 6点(2010-04-18 01:18:19)(良:1票)

90.  007は二度死ぬ 《ネタバレ》 随分と前にTV放送で初めて観たときは、日本の描き方がとても馬鹿馬鹿しくて、007映画では最低だと思った。でも、久しぶりに観ると面白いじゃないか、これは。歳を重ね人間が丸くなったってことか? 出来映えが良いかどうかは別にして、間違いなくシリーズの中で最も荒唐無稽。日本人にとっては、真剣に吟味しなければ楽しみどころ満載の作品だろう。中味はみなさんがご指摘なさっている通り。自分はゴジラ映画で金星人をやっていた若林映子が比較的早めに死んじゃったのが残念でした。その昔、バラエティ番組で丹波哲郎が撮影中の裏話を披露していました。「欧米の奴らはみんな東洋の女が大好きだ。でも、奴らには東洋の女の顔は全部同じにしか見えないんだな。まぁ、東洋人なら誰でもいいと云うことだ。ショーン・コネリーも横で見ていたら、目も当てられないようなブ○を真剣に口説いていたよ」。そんな内容のことをとても得意げに、嬉しそうに話していましたよ。[地上波(吹替)] 5点(2010-04-15 23:43:51)(良:1票)

91.  007/サンダーボール作戦 《ネタバレ》 敵側のお姉さんが「寝た女を改心させるジェームズ・ボンドの神通力も地に堕ちたものね」って言ってました。そうか、ボンドの絶倫はただの女好きじゃなく、その筋では特殊能力として有名な話だったんだ。いつも肝心な部分はカットされてるけれど、どんなことを・どんなふうに・どこまで・やってるのか覗いてみたい。でも、本当にそんな名声があったとしたら、匿名性が必須の諜報員なんてやってらんねーだろ。前作「ゴールドフィンガー」で、まさにその能力で事件を解決したことに対するスタッフの照れ隠しと解釈して大いに納得。[CS・衛星(字幕)] 4点(2010-04-13 00:11:56)

92.  女の中にいる他人 《ネタバレ》 情事中のプレイに耽るあまりに不倫相手の女性を絞め殺した男が、自責の念から小出しに懺悔して、それでも悔やみきれずに自首しようとしたら、奥さんに殺されちまう映画。サスペンスとしての見どころは、男が弱気になって行くに従って、奥さんの眼光が俄然と強い光を帯びてくるところか。新珠三千代さんって、日本女性の鑑みたいな役が多かった気がしているんだけど、こういう役も出来るのね。それにしてもこの男。終始、陰気な面で苦しんでいる割には、殺した女に対する詫びはひと言も聞かれなかった。お前はボンドガールを殺したんだぞ、というのは楽屋オチですが、淫らな女ならそんな扱いで良いのかと突っ込みたくなる。仮に自首して刑務所に入ったからといっても、死刑にしてくれとか言い出しそうな面倒臭い男だったので、毒殺した奥さんには拍手もの。ああ、不謹慎発言。ちなみに、停電の夜に蝋燭の灯りに照らされながら告白するシーンは面白いほどにホラーでした。あれも見どころですな。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-04-11 23:46:45)

93.  日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 歴史ドキュメンタリーで何度も耳にした玉音放送「耐えがたきを、、、、耐え…」の直前にこんなドラマがあったことは知らなかった。今さらながらだけど、観て良かったと思う。日本人なら観ておくべき、とは言わないが、観て損はしない映画だと思います。国家が一丸となって臨んだ戦争を終わらせることの大変さ、特に「敗北」を受け入れることの難しさがよく伝わってきました。巨大な荷重がかかるテーマを受け止めるに足る東宝男優のオールスターキャスト。ほとんど全ての出演者が重要な役割を担っている。それが太く大きな流れとなって玉音放送本番へと繋がって行く構成に、タイトル通りの切れの良いまとまりを覚えます。明治時代から続く連勝が組織としての軍部・特に陸軍を肥大させて行った結果としての敗戦には、バブルが弾けたような印象を持っていましたが、今作ではその断末魔を観た想いです。勝手に個人賞を授与します。敢闘賞に黒沢年男、殊勲賞・笠智衆、技能賞・天本英世、審査員特別賞として小林桂樹、MVPは三船敏郎。[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-26 23:49:02)

94.  霧の旗(1965) 《ネタバレ》 大塚弁護士が九州の殺人事件の弁護を断ったのは、業務の流れからは当然といえる判断です。でも、倍賞千恵子側の視点では、資金の不足、(国選?)弁護人の無気力、兄の獄死といった不幸が、大塚弁護士の責任に転嫁されて行った。典型的な逆恨みです。実は、最後は真犯人を見つけてハッピーエンドかと思っていたので、復讐劇だったことに少なからず驚きました。敢えてテーマをあげるなら、人の心情が目に見えないことの怖さでしょうか。意思が強く頑なで、思い込みも激しそうな倍賞千恵子だったけれど、正義感が強そうに見えたので、まさかあそこまでドロドロの復讐心に囚われていたとは思わなかった。可愛い顔とのギャップを見せどころにしています。逆恨みに起因する仕返しなので、達成されたところで爽快感は皆無。人のネガティブな執念に引きずられる映画でした。山田洋次監督を勝手に人情ものの名手と位置づけていたけれど、これもある意味人情ものなのね。「男はつらいよ」以前の作品は初めてだったが、サスペンスタッチの今作でも、すでに堅実な演出手腕を感じました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-03-25 01:29:44)

95.  あした晴れるか 《ネタバレ》 この格別の晴れやかさ! 湿った部分が微塵も無い。メインキャストの間に恋愛感情が芽生える手前で意図的に関係をストップさせ、最後までドタバタの中で話を締めくくる。わんぱくな幼稚園児たちが悪口を言い合いながら仲良く遊んでいるような印象。裕次郎の天然キャラも嵌っていたが、面白かったのは芦川いづみ。細面には大きすぎる太い黒フレームのメガネをかけて、勝気な三枚目を演じている。素が美人だから許せるような屈折キャラです。終始、不機嫌そうな態度で眉と口角の上下だけで感情を表現しているんだけど、オーバーアクションとも言えるその仕草がベタなコメディタッチでこれまた可愛い。素顔を見せたのは登場シーンと泥酔シーンの2カットだけで、都合10秒もなかった。その2カットのチラ見せが、たぶんファン心理をくすぐったのでしょう。私はくすぐられました。彼女のこんなタイプの芝居はこれまで観たことが無かったので、古い映画だけどとても新鮮。きっと明日もよく晴れます。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-03-16 00:42:46)

96.  乱れ雲 《ネタバレ》 司葉子の表情を観る映画でした。まさか、あの二人が恋仲になるようなベタな展開じゃないよな~、と思っていたら、あらあら本当にそうでした。でも、司葉子の眼差しにある冷たい塊りを見ているうちに、どんどんと引き込まれた。恨み、悔しさ、哀しさ、拒絶。司葉子はほとんど目だけでそれらを表現していた。裁判でも過失を問われない事故との判決が出ているんだから、あの視線をぶつけられる加山雄三が可哀想でした。彼女は自分の理不尽さも理解していて、その葛藤も微妙な表情に表れる。酔いにまかせて本音をぶちまけてからは、まるで憑き物が落ちたように表情が和らぎました。この転換が見せ場とも言える。加山雄三の下宿を訪ねて、階段の下から彼を見上げる時の切ない表情は強く印象に残る。そして、最後の別れも理解できます。恨みや憎しみは忘れることが出来ても、深い悲しみが消えるためにはもう少し時間が必要だったようです。でも、悲しみで穿たれた心もいつかは埋まるはず。この二人は、これで終わりではないと思いました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-03-08 22:18:55)

97.  独立愚連隊西へ 前作とは全く別のお話でした。そして、前作には馴染めなかったけど、こちらはたいへん面白かった。日本軍の軍旗の争奪戦が軽快なテンポでコメディを交えて進行する。帝国陸軍のお堅い規律に対する風刺がしっかりと効いていて、本当は軍旗より命の方が大切だという思想が根底に流れているのが心地良い。敵方も含めて出演者全員のキャラが立っていて、その入り乱れた個性をねじ伏せるように1本の映画にまとめたの岡本監督の力技は大したものだと思います。銀幕デビュー間もない加山雄三が主演といえる役柄を担っているけれど、すでに爽やかで清廉な芝居を堂々と演じており、これはサラブレッドの血筋もあるけど、持って生まれた爛漫さではないかと思った。同じような空気を持っている人って長嶋茂雄さんくらいですね。[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-07 21:54:07)

98.  波の塔 なんと半世紀も前から不倫をやっていた津川雅彦、はどうでも良くって、有馬稲子の映画ですね。髪をあげて暗い顔をした和服姿はあまり似合うと思わなかったが、何度か見せた切ないまなざしには背筋がゾクゾクした。あれには、ほとんどの男はイチコロじゃなかろうか。個人的には、それ以外は観るところが無かったです。このサイトのレビューでは出来るだけ使わないようにしている形容だけど、典型的な「テレビで充分」な映画。[CS・衛星(邦画)] 4点(2010-03-01 21:06:45)

99.  霧笛が俺を呼んでいる 赤木圭一郎さんの映画を初めて観た。スケールを感じさせる芝居のなかに繊細さも滲ませている。惜しまれている訳が分かります。芦川いづみに背を向けて次の航海へ向かう背中が表現する哀愁は、誰にでも真似できるものではないと思いました。余談だけど、この頃の映画が好きでよくCSで観ています。昔の役者さんって、いかにもそれらしくフレームの中に納まっている。当時の原色が強く写るフィルム特性もあるのだろうが、そこだけがパッと明るくなったような、これこそ「映画スタア」って見映え。今作に関しては、赤木圭一郎はもとより、芦川いづみやデビュー間もない吉永小百合にもそんなオーラを感じます。こんな作品を観ると、現代の役者さんはもっともっと自分を主張しても良いのではと思ってしまう。ただの懐古趣味かもしれませんが…。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-03-01 02:56:39)

100.  けんかえれじい 《ネタバレ》 ひと言で形容するなら、戦前の「クローズZERO」。硬派を自認する野郎どもにとって、日々の喧嘩は義務のようなものらしく、同類が顔を突き合わせてはじゃれ合うように殴ったり蹴ったりしていました。喧嘩の技術を学ぶところなどが妙に真面目なんだけど、それが忍者の修行みたいで可笑しかった。好きな女の子がいても、脇目も振らず喧嘩に向かうやせ我慢が、今では観られない純情青春映画として神々しい。主人公に戦前の思想的巨魁である北一輝を意識させて、喧嘩のレベルが違う次元へステップアップする予感を漂わせたのは良いのだが、予感だけで終わってしまった。その先が観たかったです。あの終わり方では、ただの喧嘩好きの域を出ていない。会津の校長が言ってました。「人生には後で考えればバカバカしいと思うが、その時には命を張ってやることがある」。ちょっといい言葉だけど、おバカな喧嘩映画の照れ隠しに聞こえました(笑)。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-02-27 00:14:42)

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