みんなのシネマレビュー |
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81. ドニー・ダーコ 時間の歪みをさらりと描いた構成ゆえ"難解"のレッテルを押され、皮肉にもそれが話題になってDVDのヒットへとつながったわけだが、実のところストーリーライン自体は簡潔であり、また非常に静かである。その静けさが、ドニーの選択の尊さと物悲しさを鮮烈に引き立てている。 大らかな構成と自信なさげな脚本は意図したものではないだろうが、揺らぎに満ちた物語によく似合っており、全体的な統一感が取れていた。 手放しに絶賛できるほど大した映画というわけではない。気まぐれに作った料理がたまたま上手く出来た、といったところか。 しかし、美味いのは事実である。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-29 06:31:59)(良:1票) 《改行有》 82. サンセット大通り ドロドロした暗い映画といえばそれまでだが、グロリア・スワンソンのシャレにならなさが良い味を出している。余談だが「マルホランド・ドライブ」を観る前にはこれを観ておいた方がいい。ストーリー的なことはともかく、そうした方が映像的な遊びを楽しめる。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-29 06:29:07) 83. スターシップ・トゥルーパーズ シニカルな一面を持ったバカスプラッタSFアクション。含みのある構成だが、メッセージ性というよりは半笑いで皮肉を言う感じで、いかにもバーホーベンな出来上がり。パワードスーツの要素を省いたのは正解だったと思う。色んな意味で楽しめる一本。[DVD(字幕)] 7点(2012-12-29 06:22:47) 84. キング・コング(1933) ゴリラをデカくするというアイデアだけで有名なのかと思っていたが、思っていたより面白かった。巨大感の表現が秀逸な、よくできた娯楽作。[DVD(字幕)] 7点(2012-12-29 06:17:15) 85. アバウト・シュミット このまま年をとってゆくのが怖くなる映画。主人公が追いつめられていないようですごく追いつめられており、下手なホラー映画より先の展開が不安になった。画面に飛び込んでジジイを抱きしめてやりたくなる。[DVD(字幕)] 7点(2012-12-29 06:14:34) 86. アデル/ファラオと復活の秘薬 終始漫画チックな映画。事実、昔の漫画が原作らしい。これ単独で見ると可もなく不可もなくといった出来だが、原作の既読者にとっては喜ばしいシーンや演出もあるのかもしれない。その観点から観られなかった自らの無知を恥じる次第。ただ、予備知識無しで見てもわりと楽しめた。感情移入させようとせず、軽いノリを軽く楽しませる感じが、いかにもおフランス。[DVD(字幕)] 5点(2012-12-29 04:05:31) 87. フロム・ダスク・ティル・ドーン まるで教科書のような良質のクライム・ムービー。ちょっとした弾みでも人を殺す危うい犯人たちと、人質にされた善良な家族との間に漂う緊張感が、観る者の心臓をキリキリと締めつけてくる。この脚本と構成力は……ってアホか!! 9点。[DVD(字幕)] 9点(2012-12-29 01:50:44)(笑:2票) 88. 銀河ヒッチハイク・ガイド(2005) はっきり言って笑いの面は弱い。真面目なインテリが必死でひねり出したようなギャグの連続で、「うーむ何だか一生懸命だなあ」って感じ。 でもテンポは軽快だし、世界観もわりと愉快。そう、笑えるというよりは何となく愉快な映画。楽しめたといえば楽しめた、かな。[DVD(字幕)] 5点(2012-12-27 22:41:03)《改行有》 89. フライトプラン パッケージの印象より面白かった。わりとシンプルな話だし、ほとんど密室劇に近い内容なのに、ダレない。静かだけどテンポが良い映画。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-27 20:28:04) 90. エボリューション 安定感のあるコメディ。爆笑は無いが、わりと絶え間無いクスクス感で攻めてくる。スタンスを崩さぬままジャブを連発してくるタイプの笑い。やんわり微笑みたい時にどうぞ。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-27 09:15:10) 91. オーロラの彼方へ これほどひどい邦題の付け方もないだろう。日本では「泣けて感動するっぽい感じ」で宣伝すれば頭の軽い連中が観るとでも思っているのだろうが、そして実際そうなのかもしれないが、良質のSFサスペンスに泥を塗りたくるような真似はやめてほしいものだ。……まあ、それはいいとして。構成があまりスマートでなく、ストーリーの展開にやや強引なところはあるものの、それを補って余りあるアイディアが魅力的な作品。無線越しという限定的な過去への干渉が、段々と30年前の未解決殺人事件に関わってゆく緊張感にワクワクする。おすすめ。[DVD(字幕)] 8点(2012-12-27 06:12:44)(良:1票) 92. ズーランダー 純粋に笑いだけで構成された映画。面白い。バカ一辺倒のように見えて、コテコテから変化球まで様々な角度から攻めてくる。「いやいやいやいや!!」って画面に突っ込みながら観よう。[DVD(字幕)] 8点(2012-12-27 05:53:09) 93. モンスター(2003) 善悪や道徳を持ちこむとワケが分からなくなるタイプの映画。あくまで主観の物語。メッセージ(「わたしはこうおもいます」的簡略化)は用意せず、言語化できるほどには消化せぬまま、ジンワリと出来事を描ききる。ガラス越しに水槽の中を見せるような、上手い距離感。なかなか。[DVD(字幕)] 7点(2012-12-27 05:45:29) 94. ベオウルフ(1999) 古典冒険譚を中途半端に現代風にアレンジし、中途半端にロマンスを混ぜ込み、中途半端な役者ネタで笑わせにかかった中途半端な映画。それだけなら特に文句は無いのだが、残念ながら脚本がクドい。一言二言で終わるはずのやり取りを妙に引き延ばすので、ところどころテンポが悪くなっている。良い点を挙げるとすれば、うーん……まあ、シンプルなところかな。[DVD(字幕)] 4点(2012-12-27 04:52:49) 95. ゲド戦記 まるでそこらの素人が作ったみたいな映画。それもそのはず、実際にそうなのだから。「心の闇」や「親殺し」など、取って付けたような要素を投げ込んでは持てあます、浅く幼稚な脚本。アニメーションのクオリティ以前に、コンテの切り方がめちゃくちゃでアングルが暴れまくり、どこからどこへ歩いているのかも分からない稚拙な映像。はたして制作中、あのしろうと監督にアドバイスをしてくれるスタッフはいなかったのか? 壊滅的に幼稚なストーリーセンスはともかく、少なくともコンテの段階で、想定線の概念くらいは教えてあげられたのではないか。演出は、編集は何をしていた? ・・・敢えて何もしなかったのだろう。そこには静かながら確かな悪意がある。そうでなければ、このようなものが出来上がるはずが無い。これは正直言って映画と呼ぶのも憚られるものだし、もっと言えばこのようなものを「商品」として易々と流通させてしまう日本の映画界にも問題があるのだが、「ヴィンセント・ギャロは例外的存在だった」ということを再確認させてくれた点では評価できる"事件"であった。[DVD(字幕)] 0点(2012-12-15 23:55:28)(良:3票) 96. パニッシャー(2004) 「原作はマンガ」で、「ダークヒーロー」。この二言だけで七割の説明が終わる映画。「仕返し」を付け加えれば残りの三割も終わる。ストーリーなんかはどうでもよくて、どう殺してゆくのかを見物する感じ。すごく大まかに括れば十三金やエルム街と同じような視聴感。[DVD(字幕)] 5点(2012-12-15 23:18:07) 97. スーパーマン リターンズ 格式あるグダグダ感。これぞスーパーマンだ、と言われれば納得するしかあるまい。「よけいな人間ドラマなんていらないからずっと戦ってろよ」などと言うなかれ。スーパーマンにそんなこと言ったらバチが当たる。五点。[DVD(字幕)] 5点(2012-12-15 23:03:52) 98. トレインスポッティング 音楽のように楽しむ映画。「かったりー、イライラする、なんか上手くいかねー。でも全然楽しくないかっつったらそーでもねー。あー、なんだろなあ。どーしろっつーんだコレ」。そんな日常を似たような仲間と過ごした記憶がある人には、ちょっとしたノスタルジーを。今まさにそんな感じでいる若い子には、ちょっとした共感を。そんな作品。アンダーワールドの「ボーン・スリッピー」の余韻が心地良い。きっちりした性格の人にはもしかして向かないかも。[DVD(字幕)] 8点(2012-12-14 11:54:56) 99. バッファロー'66 映像面は型破りだが、ストーリーは恐ろしくストレート。最初こそ主人公の行動理念に付いてゆけず戸惑うが、彼の人格を構成する要素が見えてくるにつれ、だんだんと引き込まれてゆく。ピュアな作品。[DVD(字幕)] 8点(2012-12-14 11:36:07) 100. 未来世紀ブラジル ストレートな娯楽作ではないが、かといって見た目ほど難解ではない、案外多くの人が楽しめそうな映画。得も言われぬ不安をレトロフューチャー的な映像で見せ、仕上げにシニカルさをトッピングして、ミントのような後味を残してくれる。オシャレな一本。[DVD(字幕)] 8点(2012-12-14 11:30:57)
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