みんなのシネマレビュー |
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1001. ウィスキー 《ネタバレ》 作品の抑揚はかなり抑えられながらも登場人物の心の機微が(特にマルタ)ちょっとした表情や何気ない行動の中に挿入され、抑揚は無く淡々としていながらも、とても巧い演出でした。 前半、毎日決まった動作を感情も無く繰り返す工場の機械の如く、毎日が同じ行動、同じ台詞、同じ無表情のハコボとマルタを見せる。汚れた壁、古い設備、きっとこの工場もずっと何も変わっていないのだろう。そんな工場の雰囲気作りも巧い。 ハコボが久々に会う弟に見栄を張るため何日間か妻の役をマルタに頼みますが、マルタは何の見返りも求めず即座にOKし、化粧をして、工場とは見違えるほど雰囲気が変わる。マルタの想いが垣間見える一方でハコボは「しっかりしろよ!」と背中を押してやりたくなるほどに無口で無表情のまま。 家庭も仕事も順調で陽気な弟の人物像と前半の日々の対比が効いていて、弟が現れて以降の3人の見せ方からは切ない偽装結婚の結末を予感させます。しかし大袈裟じゃなくて、2人がはにかみ合いながらも微笑んでいるような、ちょっとだけハッピーな姿で終わるような、ハコボも少しずつ変わっていく終盤の展開が見たかったな。でも、写真に納まる表情は実に良かった。人生いい時ばかりじゃないけれど、そんな時こそ無表情はやめて笑顔でいこうよ。そんな作品に込められた思いも感じられました。 [DVD(吹替)] 7点(2011-02-04 02:37:46)《改行有》 1002. クジラの島の少女 自らも先祖から受け継いできたマオリの血や伝統の継承に危機感を感じる祖父と、男が受け継いでいかなければならない一族の長の家系に生まれた一人の少女。この祖父と孫の関係を軸にした家族愛や、時代と共に生活様式などは変わろうとも海と共に生きてきたマオリの人々の変わらぬ誇りや海への思いが伝わってくる作品です。 変化を頑なに拒み続ける祖父。冒頭の息子との口論もそんな祖父の価値観がよく現れています。一方、少女は自分なりに新たなマオリの進むべき道をしっかりと考えている。そんな彼女の思いが溢れる学芸会でスピーチする姿が感動的でした。(映画としてこのスピーチはおじいちゃんに聞いてもらいたかった…) 2人ともマオリである事が何よりの誇りであることに変わりはなく、そんな二人の思いが近付いていく終盤の展開も程よいファンタジーの挿入も良かったと思うし、マオリの伝統と未来が表現されたラストシーンの祖父と孫娘の姿も希望が感じられるとてもいい作品の締めくくり方でした。[DVD(吹替)] 7点(2011-01-27 22:17:27)(良:1票) 《改行有》 1003. みんな元気(2009) ジュゼッペ・トルナトーレ監督作「みんな元気」のハリウッド・リメイクです。 主演はオリジナルはマルチェロ・マストロヤンニ、リメイクはデ・ニーロと超大物を配し、子ども達を訪ねる旅に出るきっかけも、少しずつ垣間見える大人になった子ども達が抱える事情も、父が子を思う気持ちも、大人になってもいつまでも幼い頃の子ども達の姿を見るのも、子ども達は家を出て行き妻に先立たれた男の哀しさも、父に内緒で裏で子ども達が連絡を取り合う事情も、口笛も、多少異なる部分はあるものの設定はかなりオリジナルに通りに作られています。ただ、オリジナルより30分近く短い事もあり子ども達や孫との旅先での触れ合いはあっさり目。 マストロヤンニ、デ・ニーロという名優の持ち味が作品の雰囲気に大きな影響をもたらしており、それがそれぞれの作品の味でもあります。旅から帰郷後はオリジナルとはまた違った良さがあります。オリジナルとはちょっと異なる妻の墓前での報告も「みんな元気」の使い方も、息子デヴィッドの絵も良かった。クリスマスのラストもアメリカ映画らしい良さが感じられました。[DVD(字幕)] 7点(2011-01-19 21:07:43)(良:1票) 《改行有》 1004. 見知らぬ乗客 《ネタバレ》 ヒッチコックのサスペンスとしてはストーリー的にはもっと面白い作品があると思いますが、それでもヒッチコックの映画職人ぶりを随所に感じる作品です。いつもながらこの人は眼鏡やライターなどの小道具の使い方が巧いし、それを排水溝に落としてしまうシーンなどで発揮される1つの小道具を有効に機能させるアイデアや見せ方、アクシデントの挿入のタイミングの巧みさには唸らされます。テニスの試合の観客席でガイを一人凝視するブルーノ、ブルーノの屋敷にガイが訪れるシーンなど節目となる場面を見る者に印象に残させる見せ方も巧い。ヒッチコックの巻き込まれサスペンスの主人公は勇敢で善人であって欲しいし、主人公のそんな一面がよく出ている最後の試合と、それに続くラストのメリーゴーランドのシーンが見事でした。そしてブルーノを演じたロバート・ウォーカーの不気味でねちっこい存在感が最後まで効いている作品です。[DVD(字幕)] 7点(2011-01-16 20:39:06) 1005. 恋をしましょう ストーリーの方はキャストを見ればお分かりの通りイヴ・モンタンとマリリン・モンローによるラブコメです。終盤まで2人の間に大して何も起こらずロマンスとしては盛り上がりに欠けるのですが、それでも見所満載のとても楽しい作品に仕上がっています。 まず、イヴ・モンタン。俳優としても歌手としても一流のエンターテイナーである彼が歌も演技もド素人の役を演じるコミカルな演技は必見。彼にレッスンをする役で大物がノンクレジットで本人の役で出ていますが、彼らとの絡みも実に楽しい。 ミルトン・バールが4000万人が笑い転げるという必殺ギャグを伝授するコントや、歌を教えるビング・クロスビーが歌はダメだから踊りでも習った方がいいとジーン・ケリーに電話をかけるくだりなんて最高ですよ。 そしてマリリン。マリリンが歌を披露する映画は他にもありますが、本作のマリリンが歌う姿は実に魅力的で、彼女が歌うシーンの全てが素晴らしい。この恋多き2人、本作の共演がきっかけで実際にスキャンダルに発展したのは有名な話ですが、映画の中ではとても微笑ましく楽しい共演を見せてくれる作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2011-01-15 21:55:08)《改行有》 1006. ウェールズの山 《ネタバレ》 田舎の村に起こった一大事に村人が一致団結し、一大事のきっかけになった都会からの客を村ぐるみで誤魔化しながら、奮闘する村の人間模様をコミカルに描く。 たまに見かける題材であり、よそ者から見ればやっていることは結構バカバカしいものであったりする。しかしその土地ごとに歴史や文化があり、それを守るために最初はいがみ合うこともあるが、年寄りも若者も最後は皆が団結してやり遂げる。こういう映画、好きなんですよ。しかも本作の場合は実話というのもいい。 こういう映画は村人の個性のバリエーションに適度なアクシデントとユーモアの配分が重要なのですが、その点も実話をベースにしながらも巧くいっている作品だと思います。 そして「丘に登って山から降りた男」という原題が見事。このタイトルだけ見れば何の事か全く分かりませんが、見れば納得のユーモアがあって素敵なタイトルです。よって既に触れられている方もありますが邦題が残念な作品ですね。 [DVD(吹替)] 7点(2011-01-08 18:17:15)《改行有》 1007. バーレスク 《ネタバレ》 まずは、映画館で見て良かったと思える映画でした。この迫力のパフォーマンスは家のちっこいTVで見るのと映画館の音響と大スクリーンで見るのでは大違いです! 脇を固める登場人物については、まずはシェールの醸し出す存在感、オーラが凄い。さらにはお約束な感じになりますが、ヒロインに熱い視線を注ぐ、金持ち男とまだ夢を追いかけている途中の金の無い男、この2人の対照的な男に、ヒロインに主役の座を奪われライバル意識むき出しに時にはヒロインの邪魔をするダンサーといった登場人物の配置とストーリーを分かりやすすぎるくらいにして、さあクリスティーナのパフォーマンスを十分ご堪能下さい!といった映画でしょうか。 田舎から己の芸1つで成功を夢見て都会に出てくる若者の恋とサクセスストーリーを描いた映画は昔から幾度となく作られた題材。こういう映画は、そのパフォーマンスを堪能できて主人公がスターへの階段を登って行く様子を気分良く見ることが出来ればいいのではないでしょうか。 クリスティーナのステージに比重がかかっている作品ですが、衣装にダンスに曲調にステージの雰囲気に、と手を変え品を変えで彼女のパフォーマンスも十分堪能できる作品でした。 平日の昼イチの回で見たのですが、ご年配の方に冬休み中の学生さんに僕のようなスーツ姿で昼間から外回りサボってるの丸分かり風の男に、とても幅広い客層で満席になっていたのがなんか嬉しかったです。[映画館(字幕)] 7点(2010-12-27 20:41:13)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》 1008. センチメンタル・アドベンチャー 《ネタバレ》 一人の人間の壮絶な生き様と死を見つめた作品ですが、旅の道中の程よいユーモアのある人物描写とエピソードに途中は心が和まされる場面も多い作品です。特に実の息子カイルとの共演は勿論の事、旅の道中で出入りするおじいさんと女の子の存在がいい。冒頭から病魔に侵されたイーストウッド演じるレッドの運命は想像がつく。その上で彼が死の間際まで己の夢にかける生き様を見せる。作中の台詞にもありましたが文字通りラストチャンスの己の夢を追いかけた男の生き様は一緒に旅を続けた甥の心に生涯残るはずだ。そういう意味ではイーストウッドの作品で、最後には壮絶な結末が待っている、少年を連れて旅に出る男のロードムービーとしては「パーフェクト・ワールド」という作品もありますが、僕は本作の方が断然いいと思いました。[DVD(字幕)] 7点(2010-12-25 22:33:41) 1009. みんな元気(1990) 《ネタバレ》 観る前はもっとコメディ色が強いと思っていた。一方でトルナトーレ監督が普通にコメディは撮らないだろうとも思っていましたが、やはり本作もトルナトーレらしく人生のホロ苦さ、厳しさを見せ、本土に暮らす子ども達を訪ねる一人旅をする孤独なシチリアの老人の姿が哀しい作品でした。 特に列車の中で家族写真を落とす度に拾ってくれた人に延々と家族自慢を繰り広げていた彼が旅を終えて帰郷する最後の車中では実にそっけない受け応えをするシーンは辛いものがあります。今では子ども達は大人になりそれぞれに悩みや事情を抱え、妻もこの世を去っていますが、いつまでも昔の家族の姿を見続ける姿、子ども達は何の問題も無くみんな元気だと妻の墓前に報告するその姿は哀しかった。 その一方、冒頭で「親は子どもが小さい時には早く大人になれと言い、大人になるとずっと子どもでいてほしいと思う」というこの老人の台詞がありましたが、どれだけ年月が経ち状況が変わろうとも我が子を愛し誇りに思う気持ちが伝わってくるし、昔から変わらない一家の合図である口笛には何があろうともやっぱり家族なんだ、と感じさせてくれました。[ビデオ(字幕)] 7点(2010-12-23 17:11:22)《改行有》 1010. タイムトラベラー/きのうから来た恋人 《ネタバレ》 観る前はクリストファー・ウォーケンとシシー・スペイセクの2人が演じる夫婦の物語だと思っていた。勿論、この二人が組むのだから見応え十分の演技を見せてくれる事は分かりきっている。 こういう演技の2人はあまり見たことが無かったですが、2人の演技の守備範囲の広さを堪能させてもらいました。 息子アダムが地上に出て以降は「アダム35歳、初めてのおつかい」とでも言うべきカルチャーショックがもたらすコメディとなり、35年の事情や両親はほとんど登場しなくなる。 しかし、本当に何も知らないアダムと地上で出会う人々との交流がとても可笑しく、そんなアダムを魅力一杯に演じたブレンダン・フレーザーの演技も見事。 シェルターでの35年間はかなり足早に見せていくのですが、その中でアダムが両親から色々な事を学んでいる様子を見せる。それらが全て地上に出てから生きてくるストーリー展開も実によく練られています。 そしてイブを演じたアリシア。かなりクセが強くそれでいてベタな役どころではあるのですが、これを見事に可愛らしく演じていました。他にもゲイの親友や大司教様などの登場人物も魅力十分。魅力的な登場人物に演じるキャストの好演に、幸せそうな家族の姿のラストも良かったです。ムチャクチャな話なのかもしれないしツッコミ所もありますが、とても気分良く最後まで楽しめる作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-12-21 22:23:02)(良:1票) 《改行有》 1011. ボーイズ・オン・ザ・サイド それぞれの女性の抱えている過去や事情は重いけれど懸命に生きていこうとしている。そこに描かれる3人の女たちの友情の物語。これもハーバート・ロス監督らしい映画です。「マグノリアの花たち」なんかでも感じることですが、女たちが頑張っているロス監督の映画の中で控え目に登場する男の存在もいいですね。話が進むにしたがって重い展開になりますが、これも控え目に挿入される音楽(特に終盤のウーピーの歌!!)やユーモアもとても効果的です。重い事情が描かれますが人生に対する前向きな思いを感じさせてくれる映画です。 [DVD(吹替)] 7点(2010-12-19 20:57:45)(良:2票) 《改行有》 1012. 月に囚われた男 壮大な宇宙を舞台にしたSF・・・にしてはあまりにも地味な作品で、登場人物もその行動範囲もすごく限定されています。ですが冒頭から謎めいた奥歯に物が挟まったような語り口が巧く、この月面基地には何か隠された大きな秘密があることだけは分かり、見事にこの作品の世界に引き込まれました。宇宙という無限に作品の世界が広がる舞台で敢えてこの限られた設定の中、ほとんどサム・ロックウェルの一人二役のみで使い捨ての運命にあるクローンの哀しきドラマを完成させた意欲作。サム以外の唯一の登場人物?であるガーティの存在が重要な役割を果たしており、特に無機質なガーティの感情の表現方法がお見事でした。 [DVD(吹替)] 7点(2010-12-08 00:50:25)(良:1票) 《改行有》 1013. ランボー 《ネタバレ》 昔の戦友を訪ねた帰りにたまたま通りかかった町。帰る途中にただ食事をして通過するだけだ。しかしこの町の保安官も連行された警察署の人間も、誰も自分を受け入れてくれない。ランボーがラストで大佐に「人殺しと罵られ駐車場係のクチも無い。みじめだ」と吐露するベトナム帰還兵の心情は、帰還兵が登場する他の映画でも見られます。ランボーとこの小さな町は、戦後のベトナム帰還兵と、彼らが受け入れられないアメリカ社会の関係でもあったのでしょう。保安官や警察の描き方、一人で戦争を始めて町を破壊してしまうという結末は極端ではあるのですが、映画としてはテンポの良さ、発するメッセージの分かりやすさもとてもよく出来ている作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-12-01 23:19:12)《改行有》 1014. タッチ・オブ・スパイス 《ネタバレ》 ギリシャとトルコ、隣接する2つの国。違う歴史を辿り宗教も言語も異なる人々が混在する事の難しさ。そして歴史の文献などでは「19××年に両国の関係が悪化した」などと数行でその事実が書かれるのみですが、その裏側では名も無き庶民の苦難や悲しみがあることを主人公の男が少年時代からを回想する形でノスタルジックに、時にはコミカルな人物描写を交えて描かれた作品です。 主人公一家がトルコから国外退去になる前の祖父が語る味わい深い人生の教訓と、初恋の女の子の存在が良かった。映画なんだから祖父とは生きて束の間でも再会を喜び合って欲しかったけど、作品のテーマ上仕方が無かったのかな・・・。 初恋の女の子とは祖父の死を機に再会しましたが、二人が英語で会話しているところに違和感を覚えると共に、現在の両国間の関係がどうなのかは僕には分かりませんが、今でも両国間に存在する大きな溝を感じさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-26 21:46:35)《改行有》 1015. リトル・ランボーズ 共に父親がいない。一人は母親の宗教の厳しい戒律の下に子供らしい楽しみの無い家庭に育った、空想僻のある少しひ弱な感じのする少年。もう一人は母親が家に不在で気が荒い兄と暮らす不良少年が出会う。 この二人の繋げたのはスタローンの「ランボー」。本作の監督さん、お好きなんでしょうね。また、この二人の少年は「スタンド・バイ・ミー」のウィル・ウィートンとリバー・フェニックス演じる二人のようであり、特に不良少年役の男の子のくわえタバコのちょっといかつい風貌はリバーを髣髴とさせるものがありました。 映画の舞台は80年代前半のようでしたが、そこに巧く80年代の名作の世界観が重ね合わされているように感じられました。 大人に押し付けられた価値観に負けない元気一杯の子どもらしさや友情が微笑ましく、コンテストに出せなかった少年達の映画がどうなるのかな?と思っていたらラストはお見事!最後はまんまと感動させられました。 [映画館(字幕)] 7点(2010-11-22 20:50:26)《改行有》 1016. 冒険者たち(1967) 《ネタバレ》 3人が夢を追いかけている前半が好きです。後半の船上のワンシーンもそうですが、3人が笑い合い、はしゃいでいる。その場面では必ずあの音楽が流れている。演じる3人と音楽の素晴らしさもあって、淡々と見せるそんな3人の日常が凄く良かった。それだけにその後、3人の内2人が銃弾に倒れるという非日常的展開になるよりは、前半のトーンで最後まで男二人と女一人の友情と夢を追いかける姿をずっと観ていたかった。でも、ラストシーンまで変わらぬ二人の男の友情に涙。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-15 22:02:22)(良:1票) 《改行有》 1017. 月曜日に乾杯! なかなか観る機会が無いのでイオセリアーニ監督の作品はまだ2本しか見ていませんが、やはり独特の作風の監督さんです。台詞を極力排し、主人公さえもその作品の風景の一部であるかのようです。登場人物の台詞や喜怒哀楽ではなく、登場人物のいる風景全体が語る映画。音楽もほとんど使われていません。その代わりに登場人物が奏でる楽器や歌声が実に効果的で、延々と続く台詞の無い風景に小さく聞こえる鳥のさえずりに家畜の鳴き声や、映画の中の生活音や町の音がとても身近に感じられダイレクトに伝わってきます。映画のスピードも田舎町の風景も旅先のヴェニスの風景もとてものんびりとしていて、そんな映画の風景に挿入されるちょっとしたユーモアがとても微笑ましい作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-13 22:55:23)《改行有》 1018. やじきた道中 てれすこ 弥次さん喜多さんの珍道中に落語の世界にちょっとしたファンタジー的要素も巧くミックスされ、笑いドコロも十分の人情喜劇。お喜乃の故郷までに通過してい各宿場町ごとに丁寧に、かつテンポ良く笑い話が配置され、弥次さん喜多さんの二人を演じる中村勘三郎と柄本明が絶妙の名コンビぶりを披露してくれます。この二人と一緒に旅に出るのがお喜乃を演じるのがキョンキョン。観る前は微妙に感じていたこのキャスティングですが、良かったですね。3人が一緒のシーンでは大いに楽しませてくれて、弥次さん喜多さんが個別にお喜乃と絡むシーンでは少しずつそれぞれの事情を明らかにしながらしんみりとさせてくれる。分かりやすく何も考える必要も無く安心して楽しめるコメディです。 [DVD(邦画)] 7点(2010-11-11 20:17:06)《改行有》 1019. 輝ける女たち 《ネタバレ》 キャバレー「青いオウム」の支配人が亡くなるところから話は始まる。その支配人を父親代わりにキャバレーで育った男を軸に、彼の周りにいるみんな家族のようで、家族でない?複雑な背景がある人間関係が交錯する、「青いオウム」をめぐる人々を描いた群像劇。主要登場人物の相関図がやや複雑なのですが、この複雑な関係がポイントでもあります。支配人の死をきっかけにバラバラに暮らしていた家族が集いそれぞれに家族や人生を見つめなおす、といった作品。皆が亡くなった支配人を愛しているという共通項が効いていて、かなり複雑な事情のある家族の人間ドラマで遺産相続なんかも絡む話ですが、いい意味でのユルさやユーモアが心地よく楽しめました。豪華女優陣が魅力的ないかにもフランス映画らしい作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-11 20:12:18)(良:1票) 《改行有》 1020. 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 《ネタバレ》 第17作の池ノ内青観、第19作の藤堂の殿様、そして本作の加納作次郎。いずれも寅さんとの出会いのシーンがいい。偉い人とは知らずに、小遣いにも不自由してるようなじいさんと勘違いして寅さんが安酒や茶を奢る。この偉い人を演じるのがいずれも大物で、寅さんと実にいい味の間を作り出します。 本作は風情のある京都や鎌倉が舞台ということもあり、落ち着いた雰囲気が魅力のシリーズ中期の良作だと思います。京都や鎌倉の風景とマドンナ役のいしだあゆみの醸し出す雰囲気もとてもよく合っています。 ですが実は本作はシリーズ中の苦手な作品の1つなんです。それは他の作品には無い寅さんとマドンナとの間なんだと思う。丹後のかがりの実家、後半のとらやでの再会に鎌倉デート。寅さんらしさは影を潜め、二人のシーンを観ていると息苦しくなってくる。どうも寅さんを見て味わいたい雰囲気ではないんですね。 ですが、加納作次郎作?の怪しげな焼き物を売る寅さんと「買った!」と手を挙げる加納。バイの最中に2人が再会するラストは何とも粋な終わり方でした。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-11-07 15:46:13)(良:1票) 《改行有》
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