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プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1041.  マックィーンの絶対の危機(ピンチ) 《ネタバレ》 邦題には変遷があるが、原題は一貫して”The Blob”である。 以前「消えるヒッチハイカー」という本を読んだ時に、アメリカの都市伝説で夜間に車で出かけた若い男女が恐ろしい目にあう話が書いてあり、なるほど映画でもそういうパターンのがあるなと思った。その時に何となく念頭にあったのがこの映画で、その時点ではこれをアメリカの恐怖映画の代表のように思っていたわけである。実際、幼少時に見たときは非常に怖かったように記憶しており、最初からずっと夜の場面が続くので怖いまま息抜きができず、ラストに至って北極の場面だけが明るい青空なので少しほっとするが、そこでまたさらに?が出るのでもうやめてくれ、という感じだった。 しかしいま見ると、問題のブロブなどあまり出番はなく、出ても少し固目のをモソモソ動かしたり、粘度の低いのを押し出したりするばかりで、特撮映画としては極めてショボい。人が実際に食われる場面は映像化を回避して画面に出さず、またクライマックスの巨大ブロブはアニメーションでごまかしたりしている。そもそもオープニングテーマからしてノホホンとしてとぼけた感じだし、劇中でも主人公とヒロインが、穏やかな音楽をバックに信頼と愛情を深めていく場面が延々と続いたりする。どうも世評の通り初めから青春映画のようなノリで作っているらしく、古き良き時代の愛すべき娯楽映画という感じである。昔と今でこれほど印象が違う映画も珍しい。 また映画の中身と直接関係ない話だが、DVD封入のリーフレットを読むと、撮影が行われたペンシルバニア州チェスター郡フェニックスビルの映画館では毎年「ブロブ祭り」というのをやっているとのことで、映画館の公式サイトを見てみると実際に”Blobfest 2013”のPRをしていた。どうやら地域住民に今なお愛されている映画であるらしいことが窺える。 なお1958.9.12米公開のこの映画と直接の関連があったのではないかと疑われるのは、同年6.24公開の東宝映画「美女と液体人間」で、両者を比べればわが国の誇る昭和特撮の方がまだしも勝っていると思うのだが、ここでの現時点での平均点はこの映画の方が高くなっているのが悔しい。思い切って1点とか付けて点を下げてやるかとも思ったが、この映画はこの映画で愛着があるためそういうこともできず、適正と思われる点を付けるしかない。結果として、かえって平均点を上げてしまった。[DVD(字幕)] 7点(2015-01-19 21:22:36)(良:1票) 《改行有》

1042.  POV〜呪われたフィルム〜 《ネタバレ》 グロ映像などはなく雰囲気で感じさせるのは基本的に好印象である。主要人物2人が本人役で出ており、そのためフェイクにしてもあまり無理がないというか、初めから作り物と割り切って見ていられるところがある。序盤の携帯番組がとぼけた感じで楽しい。 ただストーリーとしては平凡なものであり、「リング」以来のメディアを通じた怪異の拡散といったところは冒頭から想像がつくわけだが、それが観客側まではみ出して来ると匂わせておきながら、実際は特に脅威を感じさせることもなく終わっていたのは拍子抜けである。ほかに若干の捻りはあるものの個別アイデアのレベルであり、映画全体の価値を高めるほどのものでもないと思われる。  ところで、突然の大音響で驚かすのは真面目なホラーファンなら嫌うのだろうが、この映画に関しては狙って多用しているらしい。皆が怯え切っているところで携帯のブザー音が鳴ったのは大笑いしたが、その後に正体不明の衝撃音が鳴り渡る中、浮足立った連中が一斉に走り出してわけがわからなくなる場面の臨場感は結構楽しめる。 またその場にいても立ってもいられない感覚の表現が巧みであり、特に前半では、画面に顔が映る直前に逃げ出す人々や再生を止めようとする人が交錯してカメラが倒れた場面が秀逸だった。後半では、一か所だけ明かりがついた場所から何かが近づいて来るのを実況中継で見ながら誰も動けないでいるのが印象的だったが、ただしこの場面では、一番怖がりなはずの人物が最前線の位置を動かずにいたのが不自然で残念である。  そのほか登場人物に関して、主要人物2人のうち志田未来は相方の川口春奈(166cm)と比べると小柄なのが目立ち、怖がっているところなど見ても非常に可愛らしい。この人が毅然とした発言でプロ意識を示したり、後輩思いなところを見せたりしていたのは、本人役でやっているため女優としてのイメージアップを促している感じもある。また個人的には、AD役の人(嶋﨑亜美)の微妙な顔つきも印象に残った(このADは何でわざわざ現場に来たのか?)。  以上、世間の評判はどうかわからないが、自分にとってはいろいろと面白い映画だったので、出演者への加算を含めて少しいい点を付けておく。[DVD(邦画)] 6点(2015-01-03 21:54:32)(良:1票) 《改行有》

1043.  リング0 バースデイ 《ネタバレ》 話の性質上それほど派手な場面はないが、イヤな場所感は要所でほどよく出ており、また小物や役者で前作との連続性も感じられる。ストーリーは原作とかなり違っているが、これはこれで悲恋物語になっており、劇団にまつわる性的に不道徳な雰囲気も出ている。また個別の場面としては、楽屋の鏡が割れた時の腹に響くような大音響が印象的だった。 そのほかこの映画最大の独自性は、当初は貞子が邪悪な存在とばかり思っていたのが途中から反転し、後半は貞子の方に共感する作りになっていることで、その決定的なポイントは車椅子の老人が立ち上がったところだろう。一人をわざわざ二人に分けたのも、片方をちゃんと人間として扱ってやるためだったと思われる。後に松嶋菜々子が共感したのは仲間由紀恵の心情であり、また真田広之を殺したのはもう片方だったと考えればいいのではないか(理屈が通らないところもあるが)。  ところで序盤で死んだ女優のほかに、年長の先輩女優もかつては団長のお手付きだったらしく、これが貞子討伐に率先参加していたのは見苦しい。しかしそれより劇中最悪の人物は何といっても新聞社の女であり、婚約者だったという下司な記者が自業自得で死んだからといって逆恨みしたこの女が愚かな情熱を燃やしたことで手が付けられなくなってしまい、それが後世の悲劇の拡大につながったということらしい。 こういう結果を引き起こした馬鹿には自決などさせず、どうせなら最高度に無残な殺し方をしてもらいたかった(顔に穴が開いて下顎の歯列が見えるなど)が、せめてもの救いは同行した劇団員が一人残らず全員ぶち殺されたことであり、ここはちゃんと正義が貫かれたストーリーになっている。音響係(音効)の男だけは巻き添えだろうが、本人もこれで満足だろう。  そのようなことで、とにかく貞子が哀れで悲しく切ない映画だった。ちなみに仲間由紀恵は特に好きな女優ということはないので、この人のせいで劇中の貞子に肩入れしているわけではない。[DVD(邦画)] 6点(2015-01-03 21:29:10)《改行有》

1044.  風切羽~かざきりば~ 《ネタバレ》 公式サイトに経過が書かれているが、もともと後半のロードムービー部分を先に制作し、後に前半部分を追加して長編にしたとのことである。撮影自体は2012年だが、序盤で出ていた震災関連のニュースは2011年のものであり(4/17日曜日、気仙沼の朝市)、自分としては現実世界のこの時期に、春の明るい陽射しと裏腹に感じていた内心の不安を呼び覚まされる気がしたが、これは意図されたものかどうかわからない。 映画のテーマは“親に愛されない子ども”ということらしいが、劇中の出来事自体は個人的知見から想像しうる範囲に収まっていて特に目新しいものはないように見える。しかし改めてこのように見せられるとやはり心穏やかではなく、劇中の少女が弛緩したような荒んだ感じを全身で出しているのも痛々しい(4月中旬にこの格好では寒いだろう)。まるで世の中にまともな大人がいないように見えるのは同じ大人としてつらいものがあるが、逆に少女の境遇が周囲をこういう連中ばかりにしていると解すべきか。 今回の件で、この少女としても何かふっ切れたものがあったようではあるが、しかし少年と違って閉じられた円環からは抜け出せず、元の場所に回帰しただけのようにも見えている。劇中で生じた現世的トラブルは残されたままであり、携帯を使う営業からも簡単に抜け出せるのか怪しい気がするが、まあ根本的な解決は劇中人物というよりも、現実世界での対策如何によるというのが映画の趣旨だろう。 ところで主演女優に関しては、舞台挨拶で「あたし走るのが本当に下手で…」と言っていたが本当に下手である。自分としてはこの人をよく知っているわけではないが、よく知っている人が持つイメージとはかけ離れた役をやっているのは間違いない。前髪を下ろしたことでも雰囲気がかなり違っているが、特にこの人の顔で特徴的な目が、いつもと同じはずだが全く違う目のように見えており、冒頭では視点の定まらないうつろな表情がいきなり印象的だった。公式サイトを見れば、オーディション時にこの人がとりわけ努力家だったことも記されている。 そういったことから私情にはなるが、評点はこの人のために若干加点しておく。[DVD(邦画)] 7点(2015-01-02 10:25:47)(良:1票) 《改行有》

1045.  ひ・き・こ 降臨<OV> 《ネタバレ》 監督(吉川久岳)、脚本(宮崎大祐)、製作(アムモ98)が前作「ひきこさんの惨劇」(2013)と同じだが、出来は一段違った印象がある。 普通一般のホラーを志向したようには全く見えず、社会の中の人間を主題にしているのは「口裂け女2」(2008)を思わせるものがあり、個人的にそれほど共感するわけでもないが言いたいことはだいたい伝わる。悪しきものがインターネット上で拡大する発想は基本的に同じだが、前作にはあった安手のホラー場面を思い切りよく放棄したことで、まともな映画としての印象が一気に増している。 ただ不満だったのは割と簡単に別映画のアイデアを流用したと思われる場面があること、及びラストの締め方である。ここでの主人公の表情はいいのだが、具体的にどのような脅威が本人に及ぶのかわからないので恐ろしくない。そもそも動画に撮られて晒されること自体が怖いのか、撮られる際に身体的な暴力を受けることの方が問題なのかが整理されていないように感じられ、まだ詰めが甘いところがあると思われた。 ところで前作に続き、劇中で実在の地名(千葉県K市)を特定しているのは目につく。以前、ここの近隣在住の人から“うちは臨海工業地域と都市部、農村部から限界集落までが一つの市に含まれている”と聞いたことがあるが、今回の舞台もそういう場所であり、普通の生活環境のようでもどことなく不穏で荒れた雰囲気と隣合わせのようなのは舞台設定として効果的だった。また劇中では先の震災が微妙に影を落としていたようで、「私の故郷を汚した政治家」への復讐が話として出ていながら実現しなかったのは残念だったかもしれない。 そのほか登場人物に関して、主人公は特別かわいく撮られているわけでもないが、ちゃんと健全な色気を見せている点で前作の制作姿勢とは著しい差がある。この主演女優は事態に翻弄される普通人の役柄を誠実に演じており、「風切羽~かざきりば~」(2013)に続いて脱・制服女子高生といった印象があった。他の2人もそれぞれ個性的かつ印象的な人物を演じており、ニコ役(小宮一葉)は全編にわたって凄味を出していたほか、紀里子役(サイボーグかおり)は役者本人がかなりユニークな人物らしく、ネット上でこのOVの魅力を極めてお堅い感じで語っていたのが可笑しい(真面目に読みました)。[DVD(邦画)] 6点(2015-01-02 10:25:14)《改行有》

1046.  ひきこさんの惨劇<OV> 《ネタバレ》 基本的には真面目に作ってある感じだが、何を売りにしようとしているかわからない。この都市伝説を題材にしたのが世界初というわけではなく、フェイクドキュメンタリー的な構成やPOV風の映像が珍しいわけでもない。劇中にネットワーカーの存在を組み入れる一方で、現実世界のネット上で映画と連動したフェイク情報を流すといったことも2013年時点では革新的とも思われない。 そういうわけで凡作としかいいようがないのだが、制作上の各種制約との関係ではパフォーマンスが結構いいのではと想像され、実際見てもそれほど悪い印象はない。逆に低予算C級ホラーを色気も何もなくひたすら真面目に作っていること自体が特徴というべきかも知れない。  ただし難があると思われたのは、誰が何のためにこの映像を撮っているか、という理由づけに関して多少綱渡り的なものが感じられたことである。また終盤では、たまたまこのタイミングで廃校に行った人間だけが殺されたように見えていたが、虐げられた連中の怨念が発端だったことはこの時点で関係なくなっていたようで、これは観客側からすると一貫性に欠ける気がした。そのほか具体的な日付(2012/3/11など)が特定されていたのは若干目につくが、これが劇中の出来事に関連付けられているように思われず、意図不明なまま終わってしまったのも不足な気がする。 一方で褒めるようなこともでないが特徴的だったのは、劇中で埼玉県内の実在の地名を出していたことである(実際は足立区や茨城県下妻市の映像も入っていたようだが)。マイナー感のある市名のため、これがリアルさの演出にも多少貢献していると思われたが、個人的にはこのM市を選んだ動機が何だったのか少し関心が持たれる。  なお主人公はアイドルという割には華がないが、役者がタレ目気味なこともあって嫌々やらされているような情けない雰囲気は出ていた。それにしてもこの監督(吉川久岳)は、主演女優をキレイに/かわいく撮ろうという気はないのであろうか。取材される側には普通にかわいい女子が出ていたが、その差がリアルということなのか。 一方で、AD(もっちー)役の人も本職の女優さんなのだろうが、劇中では顔もろくに見えないままAD役に徹しており、ほかではどういう役をやっているのかかえって気になる。[DVD(邦画)] 5点(2015-01-02 10:24:36)《改行有》

1047.  不安の種 《ネタバレ》 原作は実話系怪談集をマンガ化したようなものだが、この映画では近年のホラーにあるように時系列を錯綜させながらも一つのストーリーにまとめた形になっている。そのため原作ではかろうじて“実際あるかも知れない話”だったものが“ホラー映画として作った話”になっており、その点で原作とは完全に別物である。また場所を限定しているために、全国どこにもある日常の中に不安が潜む形になっていないのも本来の趣旨とは異なっている。そもそも怪異の発生が役所の管轄区域できっちり限定されるというのも変な話だが、特に隣接市との合併は本当にバカのように見えた。 また一方で、全体を一つのストーリーにまとめた割には何が起こっていたのかよくわからない。感覚的にいえば、幼少時の事件のせいでヒロインが邪悪なものを背負ってしまい、接触する男を次々に破滅させていたが、それを自分の意志で免れた男と結ばれてやっと幸せを掴んだと思ったにもかかわらず、結局は他ならぬ自分の身内に破滅させられた、というような印象がある。しかし個別場面の論理的な積み上げからそういった結論が出るわけではなく、また正確なところがわかったからといって感動が増すとかいうこともなさそうな予感がある。ほか映像面も造形物も安っぽく、全体として取り柄のない映画という印象だった。 ちなみにゴミ捨て場の女は作家の岩井志麻子氏がカメオ出演しているのだが、こういう人物に演技させると映画としての質にかかわるのでやめた方がいい。本人はどう思ったか知らないが、見る人間にとっては何の益もないことであり、ホラーファンなら許容するだろうと思うのは間違いである。  なお原作はショートヘアのカワイイ系女子(原作者の好み?)が災難に遭うことが多いので心が痛むマンガだが、この映画のヒロインは全くタイプが異なっている。しかし女優本人は極めて好印象であり(少し惚れてしまった)、そういう理由で結局最後に少し加点してしまうというのも困ったものである。毎度のことだが。[DVD(邦画)] 4点(2015-01-02 10:21:29)《改行有》

1048.  発狂する唇 《ネタバレ》 林間の乱闘がなし崩し的にカンフーアクションになっていくのは巧妙で可笑しい。また劇中で主人公がゲロを吐いていた理由が、終盤に至って突然明らかになるのは意外感があった。 しかしそれ以外は面白くない。以前に短編小説で、とてつもなく不謹慎で下品にもかかわらず笑いが止まらないものを読んだことがあるが(要は筒井康隆のスラップスティック系の作品だが)、仮にそういうものを目指したのだとすれば成功例とは思えない。 そのようなことで、自分にとってはほとんど無価値な映画である。ただし怒りを覚えるようなものでもないので0点にはしない。[DVD(邦画)] 1点(2014-12-29 12:38:03)(良:1票) 《改行有》

1049.  学校の階段(2007) 《ネタバレ》 形の上では人格の向上を伴う感動系学園青春物の枠組みができているが、中身は苦笑なり失笑なり爆笑の連続で、どこまで真面目に作ろうとしているのかわからない。明らかに笑いを取ろうとしている箇所もあるが、シリアスな場面であっても演技あるいは演出のせいで茶番としか思われずに大笑いしてしまうところがあり、そこまで狙ってやっていたとすれば大したものである。 一方で突然PV映像のようなものが入るのは「発狂する唇」(1999)に似ているが、何となく微笑ましいので抵抗なく受け容れてしまうのは事情が異なっている。主演女優の歌も3曲入っていて、この曲自体も悪くない(特に2曲目がキュートな感じ)。主演女優のためのアイドル映画と割り切れば、それなりに楽しく見られる映画になっている。 ただしせっかく美少女が多数出ているのだから、さらにみんなを可愛く目立つように撮ってもらえばもっと楽しい映画になったはずだが、必ずしもそうでなかったのは残念なことだった。これがTVドラマなら、メンバーそれぞれに焦点を当てた回もあったりして見どころも多かっただろうが。  なお原作は読んでいないが非常に面白いのだろうと想像する。本編だけで10巻もある人気作のようで、この映画と同程度のものとは思われない。[DVD(邦画)] 5点(2014-12-28 19:23:47)《改行有》

1050.  ライン<OV> 《ネタバレ》 「リング」(1998)以後、邦画ホラーが注目され始めた時期の制作かと思われる。「呪怨」OV版(1999)がその後に映画化されたのに対し、このOVはほとんど日の目を見ずに終わったようだが、それをなぜか2013年になって改めてDVD化したということらしい。全体として古くさい感じなのは「呪怨」OV版と大して変わらないが、大仰な音響や映像や演出が煩わしいところがあり、また“これが重要”という感じの台詞を長々と語られるのも閉口する。  ところで、ここでの中心的なアイデアは“情報通信ネットワーク上で増殖する悪意”といったものと思われる。さらにその原点にあったのは“死んだ人間も個人サイトが存続する限りネット上では死んでいない”という話だろうか。しかし、これだけ個人ブログやSNSが普及した現代では、常に新しい情報を発信していなければウェブ上でも死人または墓標とみなされる気がして、これ自体が古い発想に思われる。 また特にわからないのは、出発点が「呪いのネット」だったのに、何でそれが「呪いの伝言ダイヤル」に変化するのかということで、最初から最後までウェブ上で拡散すればいいだろうとしか思えない。いずれはインターネットも電話もTVも何らかの形で統合されていくだろうという想定とすれば、これはこれで先見性があったとも取れるが、一方で劇中では「ネット」「ライン」という言葉の整理もまともに付いていたのかどうか怪しい感じで、素直に納得できる映画にはなっていない。 そもそも制作過程で無理に辻褄合わせをしたのではないかという気もするが、まあICTの発達と邦画ホラーの変遷に関わる歴史的価値はあるのかも知れず、また妙に力の入ったような作りには見えるので、ここは少し甘い点を付けておく。  なお自分としては古いホラー映画を掘り起こすのが趣味というわけではなく、実際は大河内奈々子が主演という理由で見たわけだが(それもあまり普通でない?)、世間的には「呪怨」にも出た三輪ひとみの出演の方に価値が認められるかも知れない。この二人は劇中で女子高生を演じているが、当時20歳くらいの三輪ひとみより、当時21~22歳の大河内奈々子の方がまだしも可愛らしく見える。大河内奈々子は嫌いでないが、三輪ひとみは怖い。[DVD(邦画)] 4点(2014-12-20 19:28:38)《改行有》

1051.  リング(1998) 《ネタバレ》 先に原作を読んで、手足の末端が冷たくなるような怖さを感じた。レンタル店にビデオが並んでいるのを見てもこれを手に取る人々の気が知れないと思っていたが、その後にTV放映されたので、ビデオでないからまあいいかと思って見たのが初見である。 一応は身構えて見たわけだが、しかし冒頭の場面を乗り切ってしまえばあとは淡々としたものであり、せいぜい夜中に子どもが見てしまった場面が衝撃的だったのと、終盤の「眼」にギョッとさせられた程度で、TVから這い出す様子自体は当時としても間抜けに見えた。また基本的には原作を簡略化したストーリーのため既読者にとってはラストに意外性もなく、逆に主演女優の表情に悲壮感が今一つと感じられたくらいだった。 この映画で本当に革新的と思ったのはやはり映像面であり、問題のビデオは見返してみると物足りないところもなくはないが、基本的には ぞわぞわ感が満載になっている。特に個人的には指差し男が嫌な感じで、こういうものがどこかその辺に映り込んでいるのではないかと怯える日々がその後に若干続いた。ほか歪んだ写真や髪の毛で覆われた顔も別の様々な場所で流用されているようで、とりあえずこういった点だけでも邦画ホラーの名作とされる資格はある気がする。  なお貞子に関しては、実際に使われる人名としてはこの映画でとどめを刺されてしまった形だが、その後に国民的に愛されるキャラクターになった発端がこれだと思うと感慨深いものがある。また冒頭で惨殺される女子高生が竹内結子だった(ほくろの位置が今と同じ)のを見ると、若い頃にこんなことをやっていてもその後はちゃんとした女優さんになるのだなあという別の感慨を催す。[DVD(邦画)] 7点(2014-12-20 19:28:35)《改行有》

1052.  女優霊(1996) 《ネタバレ》 演出面で古臭いところもあるが、全体としていわば正統派の雰囲気を持った怪談になっている(終盤の一部を除く)。映画撮影の現場ということで内輪ネタという感じもなくはないが、もともと実話系怪談でもスタジオというのは何かが籠った場所として扱われる傾向があり、これはこれでオーソドックスな設定ともいえる。 ところでストーリーはよくわからない点が多いが、表題のモノが撮影所にいた理由に関しては、やはり昭和46年のドラマ制作が原因だったと思われる。ドラマの内容自体、母と娘の想像が架空の人物を生み出すような話だったらしく(これは結構怖い)、これを演じた結果、本当にその人物が撮影所内に現実化してしまったということらしい。映画制作というものが、何もなかった空間に別の世界や人間を創り出すことの神秘性を描き出そうとする意図があったのなら、撮影所を舞台にしたことにも一定の必然性が感じられる。 一方で劇中の監督が幼少時に今回の事件をあらかじめ体験していたらしいのは意味不明だが、そもそもこの記憶のせいで監督が映像の道を志し、ドラマのストーリーにヒントを得たかのような映画を作ろうとしたということであれば、むしろ初めから全てが仕組まれていたのではという疑いも生じる。今回もまたお蔵入りのフィルムができてしまったということだろう。 主人公は外見的にも情けない感じで監督としての威厳が感じられないが、終盤で醜態をさらすのは心が子どもに返っていたためだろうから仕方ないのだろうし、また故郷の母親は普通に気の毒に思われる。向上中だった若手女優を含め、登場人物がそれぞれ映画にかける思いがありながら、全て断ち切られてしまった悲哀も感じられなくはなかった。  なお完全に余談になるが、若手女優役の若手女優(石橋けい)を見ていて、「有言実行三姉妹シュシュトリアン」<TV>(1993)の出演者と気づいて笑ってしまった(役者が可笑しいのではなく番組が変)。劇中人物としては残念なことになってしまったが、本人は今も元気で(当然だが)女優として活動中のようである。[DVD(邦画)] 6点(2014-12-20 19:28:26)(良:1票) 《改行有》

1053.  プルガサリ/伝説の大怪獣 《ネタバレ》 まずオープニングで、この国定番の千里馬と白頭山が映るので期待が高まる。 プルガサリというのは伝説上の怪物とのことで、この映画としても時代劇になっている。登場人物が怪獣のことを「トッケビ」と言った(ように聞こえた)り、「ムーダン」に除霊を依頼していたりするのは、けっこう伝統的な感覚を生かした感じである。これを現代劇にして、人民軍の旧式戦闘機や貧弱な潜水艦が出動して怪獣を攻撃するというのも面白かったろうが、いくら怪獣映画でも現体制下の国家を破壊させるわけにはいかないだろうから、時代劇以外にはありえなかったのかも知れない。  また特撮映画としては日本人のスタッフが作っているので日本並みの水準だが、城の楼閣とか宮殿建築が非常に細かく作ってあるので破壊場面は見ごたえがある。怪獣の着ぐるみはスマートともいえないが硬質感があり、多少の攻撃など難なく跳ね返しそうな感じが出ていて頼もしい一方、顔に表情を付けられるようになっているのは芸が細かい。幼獣時代の動きがユーモラスなのは日本でいえばミニラかと思ったが、実際に中の人もミニラと同じだったらしい。劇中では一見間抜けな官軍側もいろいろ工夫して健闘していたようだが、特に新兵器「獅子砲」「将軍砲」のデザインはユニークで面白かった。  ところでストーリーとしては、よくこの国でこんなものを作ったものだと思うような皮肉含みのお話になっている。序盤から民衆の再生産が危うくなるほどの苛斂誅求をしていること自体、今も昔も大して変わらないと思わせるのは問題だろうが、平和になった後は圧政を覆した力そのものが民衆を圧迫する要因になるというのも、軍事が全てに優先する国家ではかなり強烈な体制批判のように思われる。さらに日頃から徹底的に自国本位なこの国で、なんと“世界平和のために”ヒロインが犠牲になるというのは思いもよらない展開で、これはもう絶賛に値する。こういうものをあえて作った制作者の気骨ある態度には感じ入ってしまった。  そのようなことで全く意外にも、かなり面白く見られる映画なのだった。これはやられたという感がある。  なお劇中に実写の王宮が出るので、高麗時代の王都だった開城にこういう遺跡が残っているのかと思ったところ、実際は北京の故宮で撮ったとのことだった。なるほどあまりに立派すぎる。[DVD(字幕)] 6点(2014-12-13 14:44:09)《改行有》

1054.  大怪獣ヨンガリ 《ネタバレ》 現在見られるのはアメリカ向け編集版だが、オリジナル版は現地で1967.8.13に公開されている。日本ではガメラ対ギャオス、ギララ、ガッパといった大怪獣映画花盛りの年であり、この映画もガメラの日本人スタッフが特撮を担当したとのことである。 怪獣そのものは単純な恐竜型で特徴がないが、その割に火炎攻撃(ガメラ)と切断光線(ギャオス)を兼ね備えた多機能型であり、F-104K(?)戦闘機や、走行中の車が真っ二つにされていた(ギャオス)のは既視感がある。また「アリラン」アレンジの曲に乗って踊るのは、ガメラのように子どもが親しめる性質まで詰め込んだということか。ほか遠方からのミサイル攻撃もバルゴンを思わせるものがあったが、独自性の感じられた場面として、怪獣がマンホールの蓋を踏んづけたのはちょっとスリルがあって面白かった。  一方で登場人物に小賢しい子どもがいるのもガメラ仕様だが、しかし昭和ガメラに慣らされた目で見れば大して不快感はなく、かえってラストを丸く収める役を担っていて賢明な少年に見える。この子どもとヒロインが少し年の離れた姉弟というのは日本でもよくある設定だが、このヒロインのツンデレ具合がけっこう可笑しかったりもして、登場人物は総じて好印象だった。 また特に異国の都市破壊場面が見どころであり、最初に映る政府庁舎(旧朝鮮総督府)は、その後“日帝残滓”として解体されて今はなくなっているので、この時点で早々に壊してしまえばいいだろうと思ったらそうはせず、続いて出た市庁舎(戦前の建物だが現存)の方をなぜか壊していた。その次に出た南大門(多分)は国宝第1号なのでさすがに破壊せずに済ませていたが、その後2008年に自国民の放火で消失したのは大変痛ましいことだった。ほか建物や橋もこの国では自然崩壊したりするので、怪獣が壊すのとどちらが先かという感じである。  以上のようなことで、単なる和製怪獣映画とはまた違った楽しさのある映画なのだった(皮肉交じりだが)。 なお余談として、今は現地に漢字の看板などほとんどないわけだが、劇中の「怪地震対策本部」「慶祝 怪獣退治歓迎記念式場」のように、漢語はちゃんと漢字で書いてくれればもっと近隣国とも分かり合えるはずである。何で自国産の文字にそこまでこだわるのかと言いたい(これも皮肉)。[DVD(字幕)] 5点(2014-12-13 14:44:05)《改行有》

1055.  呪怨 -終わりの始まり- 《ネタバレ》 [2014-11-30 DVD視聴に伴う改訂]  OV版1から劇場版2までの4作から各種素材を持ち寄ったように見えているが、基本的な筋立てとしてはOV版1の発端部分と劇場版2の受胎部分を直接つないだ形になっており、これを白塗り少年を軸にまとめたことで、けっこう筋の通ったストーリーができた感じである。 この映画でも時系列錯綜の特徴は継承しているが、呪いの原点に関して旧作になかった設定を追加しており、そのせいもあって初見時には時系列に関する個人的仮説が途中でひっくり返される感じもあった。また学校教員が関わるのはOV版1と共通だが、この人がただ巻き込まれるだけでなく、終盤で決然と現場に乗り込んで行ったのは少し感動的で、この辺は旧作の貧相で情けない主人公と一線を画している。今作は最後が涙で終わっていたのも好印象だった。 一方でホラーとしての怖さはほどほどで、旧作の形式を継承していることもあり、この辺で出るだろうと構えていられるのは観客に優しい面がある。しかし旧作だったらこうなるはずだと見せておいて、おっとそう来たか、と思わせる箇所もあったのは可笑しい。また特徴的と思われたのは音響面で、ピアノの場面に続いて何度も起こる楽音的な大音響や、人物の絶叫に続く電車の金属音は印象的だった。 ところで出演者に関して、まず主人公役の女優はこれまで特に注目していなかったが、この映画を見るとあまりにもキレイでカワイイので感動した。劇中ではこの人の脚がきれいなのをしつこく見せつけていたようで、そういったところにもこだわった映画かも知れない。 一方で女子高生の七海が他の3人に比べて特別扱いだったのはストーリー上の必然性がなく、これはキャスティング上の事情によるのかと思うが、こういう人は顔が汚れないで終わるのは不公平である。個人的には莉奈役の女優が好きで見たわけだが(意地悪な感じだが可愛い)、ほかの女子高生もそれぞれ個性的で、こういった多彩な女優を見られるのはこのシリーズのいいところなのかも知れないと改めて思った。またDVDの出演者インタビューを見たところ、佐伯伽椰子役の最所美咲という人が柔和な感じで心和むものがあった。これからもみんなに愛される女優であってほしいと他人事ながら願っている。 なおエンドロールで動物を虐待していない旨の表示が出るが、劇中の描写は人間を含めて悲惨であるから、よい子の皆さんは真似しないでいただきたい。[映画館(邦画)] 6点(2014-11-30 22:25:48)(良:2票) 《改行有》

1056.  闇の子供たち 《ネタバレ》 まず題名については「子供」でなく「子ども」と書く方が適切である。社会問題を扱っているつもりなら言葉には気を使って当然だろう。 解説文によるとこの映画は「社会的なドラマ」とのことであるから、やはり何らかの社会的メッセージを観客に投げかけることが製作目的と解される。そのような前提で書いておくと、個人的感覚としては臓器売買や「幼児売買春」(字幕より)が実在すること、及びその前提として、人間を叩き売り(切り売り)可能なモノとしか見ない輩がこの世界に存在すること自体は否定できないと思っている。 しかしこの映画はあくまでフィクションであるから、劇中に出たような「日本人に」「タイ人の」「子どもの」「心臓を」「移植」といった各要素を限定的に、かつ密接不可分なものと捉えるのは適切でないと考えられる。例えば「大人の」「腎臓を」なら劇中にも出ていたが、これだと意味が違って来るだろうし、あるいは「某国の」「死刑囚の」臓器という例の存在も考えられる。 またタイ以外の国で、インド洋大津波(2004)の孤児が人身売買の犠牲になっているとの噂が立ったこともあり、問題がタイ限定という気はしない。売買春に関しても、劇中では日本人と英語・フランス語・ドイツ語を話す白人の客しか出なかったが、他にもカネのありそうなアジア系外国人でも出せばもっと真実味のあるものになったと思われる。問題は国籍・民族の違いよりまず所得の大小だろうと思われるからである。 これを見た観客が映画の内容を丸呑みにして終わりにするのでなく、劇中世界をこえた国際社会のさまざまな出来事に広く思いを致すようであればいいとは思うが、しかし実際にこの映画が影響力を及ぼすのは主にこういった問題が存在すると思ってもみなかったナイーブな人々に対してだろうから、果たしてどこまで期待できるものか。初めから趣旨に賛同している人々なら喝采するだろうが。表向きは正論を掲げておいて実はわが国の名誉を貶めようとするかのような行動は卑劣である。 ところで最初の方で、タイ人の男が車を運転しながら歌っていたのは昭和の日本アニメ「タイガーマスク」のエンディングテーマだったようだが、この歌は最後まで聞くと素直に泣ける。極貧でも矜持をもって生きるのが厳しいのは日本でも同じだったのであり、これが指摘されている点では案外良心的な映画なのかも知れないと思える。[DVD(邦画)] 2点(2014-11-08 22:35:37)《改行有》

1057.  婚活バトルロワイアル<OV> 《ネタバレ》 どうせどうしようもないバカビデオだろうと思っていたが、しかし見ると結構まともな話になっていたので驚いた。 最初は作り手の良心が全く信用できない状態に見えたが最終的には許容範囲に一応収まり、また演者それぞれの性質に応じて適切な役が振られている(当然だが)ので、何でこの人がこんなものに出ているのか、という不審の念も一応解消される。中盤のインタビューで出ていたシンデレラ観には少し感心したが、最後は少なくとも主人公に関してはちゃんとしたシンデレラストーリーになっていた。 そういうことで、当初のマイナスイメージと、終了後のそれなり感とのギャップが感動的なお話だった。 なお主演女優はこれまでかろうじて存在だけは知っていたという程度だが、これを見るとけっこう可愛いタイプの人だったらしい。汚れ役になりそうでならないハラハラ感が大変結構でした。[DVD(邦画)] 4点(2014-11-08 20:53:30)《改行有》

1058.  ちょっとエッチな生活体験 接吻5秒前 《ネタバレ》 「ラブ&エロス シネマ・コレクション」というシリーズの一つである(R15+)。「エロス」の部分は主に別女優が担当しているが、主演女優も何気に相手なしの“ひとりエロス”をやっていたりするのでその方面の見どころは用意されている。 この映画の問題点としては、とにかく初期設定がたまらなく不自然なことである。日頃からロリータフェイスなどと言われている人物を「ショートヘアでボーイッシュな」役にしたギャップで効果を上げているのはいいが、しかしこれほど童顔で華奢で小柄で肌ぷりぷりとか言われていながらそれでもなお周囲の全員が男と思い込んでいるのは非常に変だ。こんなに可愛いのに男だと思うか普通。いつバレるとかの問題ではなく最初からバレバレではないか。そういうウソ臭さに呆れるというより微笑ましさを感じるのはやはり地が可愛いからだろうし、その辺は制作側の巧妙さとも思われる。 一生懸命男を演じていても否応なしに女性らしさが滲んでしまい、またそれらしい衣装などなくても「女」が表面化してしまう場面もある。それをどうやら本人は意識していないらしいが、それでいて「あたしだって女でいたい」と願う純な心情がいじらしいところへ前記のひとりエロスを演じるのでこれがまたたまらなく愛おしい。とにかく見ていてたまらなくなる映画である。 ところで一つだけ残念だったのはラストのオチであり、ここまでの間にもう完全にバレているに違いないと思っていたにもかかわらず相手役がまだ男だと思い込んでいたのはさすがに不自然である。そのため自分としてはここでのカミングアウトを一瞬本気にしてしまったが、まあこの場面自体は「女の本質」さえあれば生物学的な性差も問題にはならない、ということを言っていたのかも知れない。 何にせよ最後がほのぼのと幸せな感じで終わったのは大変結構なことで、年齢制限の割には(主演女優の実年齢の割には)ピュアな青春物語のようになっている。最後には「大好き!」という台詞をこの主人公にそのまま返してやりたくなった…おれに言われても嬉しくないだろうが。[DVD(邦画)] 7点(2014-11-08 20:53:26)《改行有》

1059.  NINIFUNI 《ネタバレ》 制作意図は言葉で説明されているが、そういう試みがこれまで映画(邦画)界にはなかったということなのか。それを特別なことのように言われても今さらという気がする。 まずは制作側の意向に応じて自由に感じたことを書くとすれば、共感の余地のない男が自己都合により変なところで死んだためにアイドルのPV撮影に影響が出るかと思ったら結果的に問題はなく、みんな笑顔で撮影を終えられてよかった、ということになる。ただし時には死んだ男に本気で感情移入する観客もいて、人が死んだことを何だと思っているのか、とかいう建前をふりかざす恐れもあるので言葉には注意する必要がある(してないが)。 以上は第三者的な見方だが、仮に自分を死んだ男の位置において考えると、世の中は忙しいのでさまざまなことが同時並行で進んでおり、自分などが死んでも関係なしに世の中は動いていく。それで当然なわけだが、これから伸びようとしている若い連中の姿は死人の目から見ても嬉しく感じられるだろうとも思う。実際に自分が死ぬ時は、登下校の児童生徒が窓から見えるような場所で死にたいものである。 ところで、もしこの映画の撮影予定と「東北地方太平洋沖地震」との間で時間的な前後が逆転していた場合、この場所(茨城県神栖市、千葉県旭市)では制作に支障を生じていただろうことを自分ならまず考える。何となくナルシスティックな印象のあるこの映画にとって、世の中全てを巻き込まずにはおかない大災害など想定範囲の外だろうが、しかし現実に多数の死者が出ている世界でなおアイドルというものが果たしうる役割を、他ならぬ劇中のアイドルグループもちゃんと担っていたことを自分としては想起せずにいられない。 そもそも社会的な意義を持つ存在であるアイドルと、ただの男を同列に扱うことなどできないわけだが、もし死んだ男が最初からこのグループのファンであったなら、あるいは結末も違っていたのではと思わなくはない…まあそういうことのできない(広い意味での文化性に欠ける)男だからこういうことになったのだろうが。 なお劇中のアイドルグループは「ももいろクローバー 」という名称が耳慣れないのと、人数が6人もいるため自分の立場としては若干の違和感があるが、今から3年以上前ということでまだ中学生が2人おり、みんな少しずつ若くて可愛らしく見える。メイキングも可笑しい。[DVD(邦画)] 3点(2014-11-08 20:53:22)《改行有》

1060.  裏切りの戦場 葬られた誓い 《ネタバレ》 一応説明すると、フランス領ニューカレドニアで1988年に起きた独立派による人質事件の経過を描いた映画である。邦画「天国にいちばん近い島」(1984)のわずか4年後であり、その場所も同作の主人公が“天国にいちばん近い島”を発見したウベア島でのことだというのは皮肉な話である。 ストーリーは事件の経過を主人公の視点から丁寧に追う形で進められている。主人公が一貫して交渉により人命の損失を防ごうとするのは理性的であり、またどこまでも次善の策を追求する執拗さも備えている。本人は「交渉人」(字幕)と自称していたが、これはいわゆるタフ・ネゴシエーターの部類だろう。最後は武力行使で終わってしまったが、そこに至る過程の方がこの映画の本体であり、戦闘場面があるからといって戦争映画というわけではない。真面目に見れば密度の濃い映画だが、真面目に見なければ何をやっているのかわからなくなるので疲れる映画でもある。なおこの映画を見る上で「国家憲兵隊治安介入部隊」(GIGN、字幕の略称では「治安部隊」)と、その他一般の「国家憲兵隊」の意味は調べた方がいい。 ところで最後のキャプションでは2014年に独立の是非を問う住民投票が行われると書いてあるが、実態としては現時点でメラネシア系住民の人口は全体の半数を下回っており、その中でも独立派が大多数というわけでもないだろう。また現地のニッケル鉱山に関わる利権がこの問題にどのような作用を及ぼしているのかわからない(個人的に知見なし、劇中にも出ない)が、何にせよ現実問題として、19世紀からの植民地支配に由来する現状を今から完全に覆すのは困難ではないかと想像される。 また劇中で軍隊が自国民を弾圧していたのは許されないことだろうが、しかし軍というもの自体はフランス共和国にとってなくてはならないものだろうし、一方でそれをコントロールすべき政府が選挙戦略で左右されるような現実にしても、当事者である政治家が一国の巨大な利害を背景にして動いている以上は個人レベルの倫理で対応できるものでもない。 そのようにどうにもならない世界であっても、まずは現状を起点にして、これから先を少しでも改善するよう粘り強く努力を続けるのが現実的な道であり、それをこの地味な交渉人物語は訴えていると感じられる。フランスの植民地支配が許せないとか、だから軍隊はいらないとか簡単に言い捨てて済ませられるような話ではない。[DVD(字幕)] 7点(2014-11-07 22:06:34)《改行有》

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