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プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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101.  ギャザリング 明らかにここ数年のハリウッド系クラシカルホラーブームの一端に位置する作品であると思うが、(これを言ったらミもフタもないんだけど)こういう映画が好きな人は好き、嫌いな人は嫌いだろう。敢えて傾向としてまとめるとしたら、例の大オチをとっぱらった「シックス・センス」を「それでも楽しめる」と言い切れる人ならノレるだろう。舞台はイギリス、主演はクリスティナ・リッチ、なのにアメリカが舞台だった「スリーピー・ホロウ」の半分も重厚感が出なかったのは現代劇の限界か。個人的にガーデニングを趣味としているので、本筋にあまり関係のないイギリスの田園風景や古い邸宅を彩る本格的なイングリッシュガーデンを堪能することができ、比較的満足度は高い。私はとにかくクリスティナ・リッチが異常に好きなので、あまり細かいことが目に入らなかったと正直に言っておく。一応、地味ながらオチもあるんだけど、そういうことにはあまり期待しない方が楽しめるのではないかとだけ言っておく。雰囲気一発系としては、それなりにいい感じが出た。8点(2004-03-01 21:56:47)

102.  ゴシカ 映画とは基本的に楽しむために作られているのであって、限界を超えた恐ろしさを追求した昨今のホラーにはよほどのマゾヒストでなければ楽しめないだろうという感想を持つ私にとっては、これは楽しめるギリギリのところを実に上手く突いて来たほどほど感が非常に嬉しい作品。最近のホラーに馴れた世代には手ぬるいと感じられるのかも知れないし、確かに正視できないほどの強烈さはない。あるのは由緒正しい極上のホラームーヴィー、ただし近未来的とさえ言える現代的なアメリカ建築としての精神病棟を持って来たところで不思議に今っぽさが出た。シャープな映像、ややSFチックな舞台設定が、シンメトリーを多用することによって絶妙のクラシック感覚を醸し出す、このバランスは古き良き時代のホラームーヴィーを研究し尽くしたもの。随所にちりばめられたお約束としてのヒッチコックへのオマージュも暑苦しいほどではなく、ファンならニヤリ、とさせられる品の良さ。全てにおいて非常にバランスが良く、総合点の高い作品であると思う。ハル・ベリーとペネロペ・クルズの競演はまさにせめぎあいの様を呈し、敢えてB級の仕立てにはなっているものの安っぽさは微塵も感じられない。一流のスタッフ、キャストが真剣に丁寧に作った、いわゆるB級ホラーとは完全に一線を画する作品。しかしそれにしてもペネロペ・クルズって英語上手くならないですね。はっきり言って、工藤夕貴の方がずっと上手いです。演技が出来ることは実感できたが、あれだけの演技センスがありながらあれだけ英語が上達しないのってある意味ひとつの才能だと思う。9点(2004-02-29 02:08:40)

103.  プレッジ 配役の上手さだけでも余裕で合格点の作品。実力のあるバイプレイヤーを集めて来て使い方にひとつの誤りもなく、それぞれが各自の持ち場をキチンと引き締めたこのバランスは見事。中西部独特の大自然に囲まれた町の持つ絶妙なスケール感と、刑事という仕事だけにアイデンティティを見出して来た男の孤独、その引退する最後の日に降って湧いた突然の「事件」に余生を引きずられて行く人間の危うさ。主観と客観との落差を調整するために必要不可欠な緩衝材としての「家族」を取り除かれた人間の孤独は、愛情さえも時として狂気にさえなり得ることを、観客の目にしか明かされない運命の皮肉という形であまりにも冷酷に描いた救いのない作品だが、逸脱した使命感を誰が何の権利を持って「異常」と決めつけるのか、その線引きの曖昧さ、難しさを描いた作品としてこれは明らかに傑作の域に達し得ていると思う。彼は本当に狂っているのか、あるいはどの時点からその心理状態は「狂気」と捉えて良いものなのか、物語はその経過を描きはするが結論は出していない。おそらく正常と狂気を見極める絶対的な価値観などは存在し得ず、万人が認めさえすれば愛情さえもその瞬間から狂気になるのだ。そして万人から認められた狂気はその瞬間から、人間を本物の狂気へと追い込んで行くのだろう。90年代以降、決して作品に恵まれて来たとは言えないジャック・ニコルソンが、老境に及んでなおその持ち味をいかんなく発揮できる作品に恵まれたことの意義は大きい。そしてその場を提供したジョーン・ペンこそ、実はニコルソンの最高のファンの一人と言えるのではないだろうか。10点(2004-02-21 12:50:39)(良:2票)

104.  PLANET OF THE APES/猿の惑星 前作の熱狂的な、おそらく生涯の大ファンである私が、そこまでではないが結構熱心なファンであるティム・バートンの「猿の惑星」を観ていったい何と言ったら良いのか。究極のジレンマな気もするが、こういうモノはとにかく前作と切り離すに限る。この作品にはもちろん、前作に色濃かった絶望的な未来感、壮絶な主従逆転の構図、といった趣はない。その代わりに、この作品には前作では技術的になし得なかった超越的な運動能力を誇る猿、スピード感溢れる演出、CGを駆使した圧倒的なスケール感がある。娯楽作品としてどちらが優れているかは自明の理であり、前作を支配していた世界観をそのまま引きずって低俗な二番煎じに落ち着けなかったという点で、全く別の現代の娯楽作品として正当に評価するべきだろう。ティム・バートンならではの茶目っけに溢れ、前作の時点で技術的に実現し得なかった部分については誠実にオマージュとしてやるべきことをやり、「ゴメンネ。」と観客に率直に頭を下げるエンディングは爽快。あくまでも前作に敬意を表しつつ、今どきの映画だったらこうなるんだよね、というところを無限のプレッシャーの下で上手く切り回したバートンには率直に拍手を贈りたい。残念ながら生涯に渡って愛し抜くほどの作品には至らなかったが、考えられるギリギリのバランスで上手くまとめられていると思う。この作品が前シリーズをどれだけ愛しているか、愛している者にはやっぱりわかると思うんだよね。どうしても誰かが作らなければならなかったんだとしたら、それがティム・バートンでやっぱり良かったと思う。一時はオリバー・ストーンまで名前が挙がっていたぐらいだし。被害は最小限に食い止められたんだと思いますよ、これ。8点(2004-02-18 00:58:54)(良:4票)

105.  ズーランダー すごいなあ。私こういうの大好きです。ベン・スティラーが本気出したらこのぐらいは、と思ってた人、けっこう多いんじゃないでしょうか。これまでもいろんな映画で、いい味も出して来たしみっともなさもさらけ出して来た彼ですが、ここまで本気の彼はなかなか見られることがなかったので、はっきり言って胸のすく思いがいたします。カメオで登場したキャストの豪華さも、彼の築き上げて来た人脈の厚さを伺わせます。お父さんのジェリー・スティラー、アメリカでは知らない人のいないぐらい超有名なコメディアンですけど親子共演はこれが初めてではないでしょうか。もちろん芸の道では全然格が上、存在してるだけで笑いが取れるスーパーお父さんなわけですが、息子と本気で渡り合っているところもプロ同士の心意気を見せられた気がして楽しかったです。ちょっと声が出ていなかったなあ、トシなのかなあ。ガソリンかけのシーンでは思わず声を出して爆笑こいてしまいました。あの無駄な清々しさ、爽やかなハッピーさ、たまりませんです。あと最後のショーの場面で舞台に出る直前と出た後のデレクのメイクが思いっきり違っているのとか、ネタなんだかグーフなんだかわかんない仕掛けも意外と細かく落ちている。もうちょっと研究の余地はありそうなので当分ハマりたいと思いますが、とりあえずベン・スティラーに敬意を表して10点。ここまでやられたら満点献上しなければ。10点(2004-02-17 01:27:22)(良:2票)

106.  ハンテッド(2003) 《ネタバレ》 ウィリアム・フリードキンにはもう騙されないぞ、と念仏みたいに繰り返しながら早30年。最後に騙されなかったのが1973年の「エクソシスト」であったことを考えたら、さすがにいい加減何かを学んでも良さそうなものだと自分自身に愛想が尽きる私である。ベニシオ・デル・トロ、トミー・リー・ジョーンズ、二人のカッコよく闘う姿が腹いっぱい見たいぞ、という一つのファンタジーは実現しているような気がするが、いくら頭がおかしいからって無動機殺人を繰り返して逃走中の犯人がノコノコ自宅に戻って来たり、それを追いかけて来るFBI捜査官が包囲網のひとつも敷かずにこれまたノコノコ犯人宅に上がり込んでいきなり逃げられたりとツッコミどころは数知れず。知らないうちにずいぶん老け込んでしまったトミー・リーの姿にちょっと切なくなったり、めちゃ強のアクション・スターと化したデル・トロのオスカー俳優なんてオラ知らないもんね的庶民感覚にホロッとさせられたり、内容以外で肩入れ出来る部分がこれほどあるのに、ここまで楽しくならない映画っていうのも正直どうかと思う。まあでも、そう言いながらもフリードキンがいまだに映画監督やってられるってことは、私ばかりじゃなくて世間全般が彼にはどうしても甘いのかもね。彼にどういう偶然で「フレンチ・コネクション」が撮れたんだか、そろそろ納得の行く説明を誰かがした方が良いような気がするのだが。悪魔に魂でも売ったのでしょうか。5点(2004-02-16 17:49:07)

107.  メラニーは行く! リース・ウィザースプーンには思いっきり期待している個人的な思い入れをもってしても、この作品は残念ながらNG。全体に、笑わせようという気迫も足りなければ、情に訴えようとする真剣味も足りない、要するにただリース・ウィザースプーンが可愛いだけの映画。可愛いし見せ場も多いんだけど、それだけで観客の心を掴むにはもうちょっと弱いんですよね彼女。持ち味を支え切るだけのストーリーがなければ。途中きちんとジョージア・サテライツで盛り上げようとしたワリには、タイトル曲であるはずのSweet Home Alabamaを何故かJewel版にしちゃったのも脱力感に輪をかけてしまった感じ。最終的にレーナード・スキナードでキメてくれれば、私なんか案外簡単にだまされてしまったんじゃないかとは思う。ああもったいない。6点(2004-02-16 14:04:18)

108.  レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード どうなんでしょう。例によって前作を観ずに「2」だけを観るというものすごく邪道な観方をしてしまっている私の意見があまり参考になるとは思えないのですが、正直、期待したものはしっかりある映画でしたヨ。どういうものを期待するかというのは本来「1」によって培われるモノじゃないかと思うので、ここのところが微妙にズレてるかも知れないんですが。何事も徹底的であって欲しい、と願う立場から、このぐらい徹底的におバカでク~ル、笑っちゃうほどのカッコ良さ、中途半端にやったらもう鳥肌モノだと思うんですが、明らかに確信犯で超本気だから安心して笑ってられます。ある意味「オースティン・パワーズ」と同じベクトルです。笑うつもりが全然なくて、本気で心酔したいと思ってる人とかが観たら、うっかり寒い内容ではあると思います。要するに映画に何を求めるかという立場によって印象が大きく変わる作品ではないかと思いますが、キネマの世界を愛し尽くしたおバカな活動屋たちが目に涙をためて嬉しそうに作っている雰囲気がプンプンして、バカな私は大いに笑いころげながらもこのアホらしさ、脱力感がやけに病みつきになってしまう。なんだかんだと後半はちゃんとクーデターになっているし、仕立てはかなり戦争映画でした。どう見ても007のパロディというか冗談にしか見えないギターケースの秘密兵器とか、思いっきりオスカーのノミネートと日本公開を重ねて来たのもわざとかと疑いたくなるジョニデの怪進撃とか、撃たれた人が(どんな端役でも)ちゃんと数メートル以上は派手にふっ飛ぶ無駄な律儀さとか、どこを取っても「・・・ステキ。」という感想がぴったりな作品でした。おバカに乗り切れる自信のない方、シャレっけに理解のない方には全然おすすめしません。アホ映画だと思います。偶然かも知れませんがブシェミ監督の「アニマル・ファクトリー」とほとんどキャストが一緒のような気がするんですが、彼らは一座でも始めたんでしょうか?(笑)10点(2004-02-14 09:59:44)(良:1票)

109.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 惜しいなあ、というのが本当に正直な感想。デカプリオは冴え冴えとしているし、トム・ハンクスの堅物ぶりも良い。ストーリーは期待した以上に面白いし、ちゃんと心に残る余韻も持っている。特に父親役を哀愁たっぷりに演じたクリストファー・ウォーケンは素晴らしい。シナリオはきちんと詰まっているし、運びはテンポ良く全体に実に無駄がない。ここまで誉めちぎっておいて本当にかえすがえすも残念で仕方がないのだが、いかんせんこの映画には絵が無さすぎ。ジャジーな音楽、60年代を意識したセンス溢れるアニメーションのオープニングタイトル、随所にちりばめられるレトロなアイテム、一見この時代を非常に良く再現しているかのように見えるのだが、どこからもキネマの香りがしない。60年代の作品であれば、どんな駄作からでもうっすらと漂って来る独特の香り。衣装やセットで可能な限り当時を再現していても、漂って来る空気は確かに21世紀のものなのだ。ここまでやったのだから、というよりはここまでやったのに、現代的な味つけでは済まされないほど、映像のどこからも影が見えて来ない。そしてこれだけ芸達者な出演者たちの誰一人として、60年代の顔をしていない。人の顔って変わりますよね。時代によって、明らかにその時代に特有の表情がある。そういうものが、この映画からはちっとも見えて来ない。たぶん監督がスピルバーグだからなんだと思うけど、この映画に本当に60年代のキネマの香りが出せたら、正直ちょっとした傑作になり得たはずだと思うので、すこぶる残念。レオナルド・デカプリオは腐ってもデカプリオだと強く信じる立場から、彼はやっぱり上手いなあと感心はするけれど、ティーンから大人の役者への過渡期にお約束の苦闘の時代が彼にもやはりあったわけで、どうしてそのタイミングでこの役が降って湧かなかったかなあという無念さも残る。そういう理由から点数的には辛めになったが、話は面白いしデカプリオはやっぱり上手い。観ておいて損のない作品ではあると思う。うーん、でもこれを「映画」とか「作品」と呼ぶのにはとっても抵抗あるなあ。6点(2004-02-07 02:49:47)(良:2票)

110.  タイムライン 素直に正攻法でこういう映画を撮ろう、という情熱はわからないでもないが、いくらなんでもベタすぎたような。昔懐かしい冒険活劇の現代版として、気軽に楽しめないこともないのだが、残念ながらそれ以上のものは特に感じられなかった。リチャード・ドナーはもともとキチンと丁寧に映画を作る人だと私自身は考えているので、それなりに合格点ではあるように思うのだが、やはりマイケル・クライトンの周落ぶりには、かつて彼の新作に熱狂した世代としては落胆せざるを得ない。21世紀の現代、ある意味成熟したSF界にあって、「タイムマシンで過去にびゅーんと飛んだぜ」だけで人々の賞賛を集めるのはいくらなんでも無理があったのでは。ジャンルとしてかなりの傑作を生んでいるタイムトラベル物として捉えると、これは残念ながら完全に落第作品。ただし時代物、コスプレ物としては「恐竜の島」とかあのへんで培われた未体験エリアへのいざないとしての楽しみ方はそれなりに出来る。やっぱり決め手に欠けてたかなあ。今年は東宝系ちょっと苦しそうですね。5点(2004-02-01 01:01:00)

111.  ニューオーリンズ・トライアル はっきり言って、ここ10年位の間に作られた法廷物の中では1、2を争うレベルの傑作なのではないかと思う。私はもはやハリウッドにここまで誠意に溢れた正当派の法廷サスペンスを作ろうとする誠実さは既に諦めていたのだが、そのぐらい、今やあり得ないほどの真正面から奇を衒わず、真面目に真正直に21世紀の「12人の怒れる男」をやっていること自体が驚きだ。ベタでありながらちゃんと現代的で、銃社会に対するメッセージもきちんと込められているがヒステリックでなく、さらにまっとうな仕掛けを用意してきちんとミステリ&サスペンスにもなっている。ほどほどの重厚感とほどほどのリアリズム、ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンをぶつけて来た辺りにはまたしてもスター隠し芸大会のニオイがしていて実に不安ではあったのだが、意外にも二人が上手く見せ場をシェアしていてバランスが良い。見せ場としては明らかにジーン・ハックマンの方が楽しそうなところだが、ホフマンとしては実に珍しく抑えの効いた良い芝居で太く短く見せ場をさらっていたところを高く評価したい。掴みも早く、プロットは緻密で良く練れている。個人的には「インサイダー」を秀作と言うなら明らかにこの作品は「インサイダー」に致命的に足りなかったものを持っている。泣かせどころもなく派手な仕掛けもないが、役者と演出の技量、手堅いシナリオなど極めて総合点の高い作品として、少なくとも私にとっては10年に1度出会うかどうかの傑作であることは間違いない。10点(2004-02-01 00:42:51)

112.  シービスケット 私は感動体質というか比較的映画を観て泣きやすい方だが、この作品には非常に安心して泣くことが出来た。実話であると言われれば、どんなに出来すぎた話であっても受け入れざるを得ないだろう。後で調べたら感動させるためにかなり脚色された部分はあったようだが、2時間21分にまとめるためには細かい部分を相当そぎ落とす必要もあったわけで、ある程度は仕方がないのかな、と思う。登場人物の背景を比較的丁寧に描く前半から、シービスケットが活躍を始める中盤以降とのつながりがやや薄いような気もするし、投げっぱなしの伏線もある。そもそも前半の謳い文句であったはずの、シービスケットが当時の人々にいかに夢と希望を与えたか、という話は途中から関係者3人の夢や希望にすり替えられてしまい、人々はただ競馬場に群がって騒いでいるにすぎない。だからどうした、と普段の私なら当然ツッコむところなのだが、すっかり巻き込まれてしまって観ている最中はさほど気にならなかったので忘れたふりをする。トム・スミスの前半生とか、ハワーズの別れた奥さんとか、レッドの生き別れたままの家族とか、盛り込もうとすればお涙頂戴に幾らでも持って行けたネタが潔く切り捨てられ、シービスケットの活躍のみに特化させた後半は、正しいエピソードの整理の仕方を知らない最近の無駄な長尺映画に比べれば圧倒的に素晴らしいと言える。実際のレッドは重傷を負って入院中に看護婦と恋に落ち、復帰戦直前に結婚したそうだが、ハリウッド感動系に最もふさわしいこういうエピソードが切り取られたことにこそ、この映画の作者達の映画作りに対する良識が伺われるような気さえする。あざとく持って行こうと思えばいくらでも持って行けたところを、涙を呑んでここまで絞り込んだ心意気が伝わって来るといった感じか。ウィリアム・H・メイシーも名バイプレイヤーの面目躍如といったところ。やはり特筆すべきはトビー・マグワイヤのなり切りぶり。自暴自棄の暴れん坊と言うにはちょっと線が細い気もするが、タフなばかりではなく心に傷を負ったナイーブな一面は彼でなければ出せない味になっている。体長150センチ、誰もが見捨てた足の曲がった馬が、どんな馬より凄い走りを見せる、そのレースシーンには競馬とはほとんど縁のない私でさえも叫び声を上げて応援したくなった。アメリカの劇場では、さぞ大変な騒ぎになったことだろう。9点(2004-01-27 00:48:08)(良:3票)

113.  25時(2002) スパイク・リーがとうとうニューヨークをめった斬りにしましたね。この罵詈雑言は、愛情の裏返し。愛して愛してやまないからこそ、ここまでとことん言えるのです。スパイク・リーでなければ出来ないことです。その狂おしいまでの愛情を、演技者として全て背負ってのけたエドワード・ノートン、ブライアン・コックス、素晴らしいです。これまではコミュニティを通して人々を語ることの多かったスパイク・リーですが、今回はアイルランド系、ロシア系、ヒスパニック系と意図的に人種の坩堝を目指したように思います。NYをボロクソにこき下ろすシーンでは、さらにアジア系、アフリカ系など様々な人々が槍玉に挙げられます。その全てがジグゾーパズルのようにNYを作りあげている、その全てを憎んで憎んで、怒りの全てを吐き出している、これほど強い愛情を私はこれまでどの映画にも見たことがありません。この作品の主役はNYそのものではないかと思います。スパイク・リーはこれからもまだまだ傑作を撮るでしょうが、この作品を越えて行くことが彼自身にとっても試練になるのではないかと思いました。9点(2004-01-27 00:28:36)

114.  スターリングラード(2001) ジュード・ロウが敵を撃って撃って撃ちまくる映画なんだろうと思い込んで戦争映画好きの血をめらめらとたぎらせて駆けつけてみたらなんだか渋い戦場を舞台にしたラブストーリーだった。どうでもいいけどジョセフ・ファインズってどうしてこんなに間男役が似合うんだ。ヘタレ顔なのにフェロモンきつすぎだ。「恋に落ちたシェイクスピア」ではすっかりそのフェロモンにアテられてしまった私だが、さすがに飽きた。それに舞台は寒くて渋い戦場だし主演はジュード・ロウで対決するのはエド・ハリスだ。なんでこんなところにオマエのフェロモンが必要なんだ。しかも女はミイラ映画のオッパイ役だ。この異常な違和感と、期待とはまったく違った物凄い緊張感に疲れ果ててしまった。私はジュード・ロウが戦場を走り回る大仕掛けの戦争映画が観たかったのだ。そんなもんあるわけないが、期待させた宣伝屋たちにもそれなりの責任は問いたい。3点(2004-01-25 13:41:01)

115.  デュラス/愛の最終章 愛に生き、愛を描き続けた作家マルグリット・デュラスと、その最後の愛人であった38歳年下のヤン・アンドレアの16年間をドキュメンタリータッチで描いた異色作。生前のデュラスとも親交のあったジャンヌ・モローが、過激なまでの自我を貫く晩年のデュラスを鬼気迫る迫力で演じている。対するヤン・アンドレアを演じたのは新人のエーメリック・ドゥマリニー。生きながらにして既に伝説的存在ですらある大女優を相手に、力まず、怯まずの好演は若手ながらなかなかの芸達者ぶりを伺わせる。「名声も知性も美貌も、全部自分が持っている。男はただ、若さだけをくれればいい」というのはジャンヌ・モローの伝説的名台詞だが、5年に渡って熱心なファンレターを送り続け、ついに訪ねて来た青年をそのまま自宅に軟禁してしまうデュラスの姿にモローの影が重なる。デュラスの死後、沈黙を守り続けていたヤン・アンドレアが初めて自ら筆を取り、その日々を綴った手記が原作。はっきりと覗き見趣味ではあるが、本人監修の下、やんわりとではあるが彼自身の同性愛的傾向も告白されており、極端に美化されたものではないある程度事実に近い形で描かれているのではないかという想像もできる。私自身はデュラスの作品を1つも読んだことがなく、デュラスという女性よりむしろジャンヌ・モローの演技が目当てで劇場に足を運んだことをここに告白しておくが、デュラスにさほどの思い入れのない私でもそれなりに楽しめる作品にはなっていたように思う。老境にあって愛への情熱を失わずにこの世への別れを告げるデュラスの死に様には清々しささえ感じるし、特に露骨な泣かせどころのツボもないあたり、ともすれば三文昼メロレベルの物語でさえプライドを失わないフランス映画の心意気を見せられるようで心地よい。カロリー高めのハリウッド映画に疲れた時には、こういう作品がたまに良かったりする。7点(2004-01-25 02:24:51)(良:1票)

116.  ザ・コア あらゆる点で「アルマゲドン」と対極をなす作品なのに着地点は同じ辺り、というのが笑える。このメンバーに地球が救えるわけなかろう、と思っていたら案の定かなりやばかった。でも地球内部の特撮のキッチュさといい、メンバーにほどよく釣り合った妙ちきりんなバランスの良さではある。もうひとつ突き抜けたB級感が出し切れなかったところがむしろ惜しいぐらい。掴みは良かったんだけどお尻がついて行っていなかった。仙人を通り超した浮浪者風のデルロイ・リンドーとか、髪の毛フサフサのスタンリー・トゥッチとか、あいかわらずとってつけたみたいなヒラリー・スワンクの女装など、コスプレを楽しむというのも一つの鑑賞方法かと思う。アーロン・エッカードはアクションスターの素質ありと見たが、トーマス・ジェーンと見分けがつかなくなるのも時間の問題であろう。少なくともジェフ・ブリッジスとカート・ラッセルの区別がつかない私にとっては、ちょっとした試練になりそうである。5点(2004-01-24 01:51:25)

117.  ボーン・アイデンティティー マット・デイモンがアクションヒーローだと聞いて完全に冗談だと思い込み、いきなりの大活躍にお腹を抱えて笑っていたはずが、馴れて来ると意外にカッコよく見えて来るのでやっぱり彼は大したヤツなのだと思う。この年齢でこの器用さはちょっと無視できないんではないだろうか。ついこの間、「リプリー」であのスゴいキミドリ色のパンツを履いて、内股で歩いてた彼とは別人のよう。話はシンプルで、展開は比較的ありがち。マット・デイモンの信じられない活躍ぶりで、ありふれたストーリーが思いがけなく楽しいものになった。私自身は「マイノリティ・リポート」と「スターリングラード」に期待したものをまとめて見せて戴いた気がしてお値ごろ感大でした。マリー役の女の子の微妙な可愛くなさがやけにリアルでカップルとしてのバランスも抜群でしたし。うっかり今日まで見逃していた愚かな私ですが、続編には思いっきり期待したいと思います。あと久しぶりにBGMの良い作品だと思いました。これはサントラも欲しいです。9点(2004-01-22 23:25:17)(良:1票)

118.  ザ・セル 《ネタバレ》 映画って映像だけ素晴らしくても駄目なんだ・・・と心の底から納得した映画。映像だけはイヤってほどいいんだけど、ストーリーが全然追いついてない。というか、ない。人間の心の中に入るという着想はものすごく新しかったし、技術的にはまさにそれができる時代になったんだ、ということも喜ばしいことではあるのだが、入って行った先に期待を裏切ってくれるものがほとんどなかった。というかオズの魔法使い。しかもあれだけ苦労して人の心の中に入り込んでさんざん辛い目に遭わされたわりに、監禁された女の子の救出にはほとんど何の役にも立っていない。要するに無駄骨。つまり人の心の中に入っちゃうのは、物語を目新しくするためだけに用意された仕掛けってこと。せっかくだからその斬新な手法で事件を解決してもらいたかったですが、これって典型的な企画倒れじゃないんでしょうか。ただし映像だけは鳥肌が立つほど素晴らしかったので点数甘め。一見の価値はあると思います。それだけですけど。6点(2004-01-20 23:17:52)(良:1票)

119.  ボブ・クレイン 快楽を知ったTVスター 全編ハンドカメラでBGM排除というドキュメンタリー風スタイル自体既にあまり目新しいものではないが、一度はやってみたかったんだろうなぁという気持ちはわからないでもない。人気スターの隠された私生活という覗き見趣味もゴシップ記事をそのまま描いたにすぎず特に意外性ナシ。強いて言えば毎夜繰り広げられる酒池肉林をベタベタに描いてしまった潔さは買える。成人雑誌が家の物置にあるということすら気に入らない潔癖健全な妻を持ち、コネチカットで5年、LAに出て来て5年、勤勉実直にラジオのモーニングショーを勤めた健全そのもののボブ・クレインが、ハリウッドで酒池肉林の快楽に溺れ、まっ逆さまに転落して行くという見事なまでの転落劇だが、彼を誘惑の道に引きずり込み、骨の髄までしゃぶり続ける「親友」を演じたウィレム・デフォーがはっきり主役を食い上げている。ビデオ技術者として時流に乗ろうとはしてみたが、色盲のためカラー技術に置いて行かれ、スター俳優をしゃぶって生きることしか出来なくなった典型的な人間のカスを奥行きもへったくれもなく演じたデフォーも楽しそうではある。実際のボブ・クレインを知らず、もちろん彼の出ていたTVシリーズも知らず、最後に彼が殺されることだけは知っている私のような人間でも最後まで結構楽しく見ることが出来たので、案外イケてるんじゃないだろうかという気もするが、実は謎解きとかはどうでもよくて70年代カルチャーやビデオというメディアが進歩して行く様子など、描きたかったものが別にあったせいなんじゃないだろうか。監督のご贔屓であるデフォーは明らかに浮いているし、真剣にボブ・クレイン像に迫ろうとしてもがいているのがグレッグ・キニアただ一人、という構図にはちょっと物悲しいものさえ感じてしまった。ミニシアターでレイトショーのみ公開2週間という取り扱いが全てを物語っているような気もするが。まあけっこう楽しかったですよ。70年代カルチャーを回顧できる世代にはそれなりにお勧めかと。7点(2004-01-18 12:30:36)(良:1票)

120.  ジャスティス(2002・ブルース・ウィリス主演) ジャンルが微妙に混乱しているので、何がやりたいんだかよくわからなくなりました。個人的にはブルース・ウィリスってみっともないぐらいがちょうどいいと思っているので、この作品の彼はちょっとカッコ良すぎて笑ってしまいますね。全員に微妙な後ろめたさを抱えているという点でハリウッド流勧善懲悪主義から一歩外れた目新しさはありますが、入れ物が思いっきりハリウッド大作だったりするので、全体としてまとめ切れてない印象が強いです。が、これだけ散漫なネタを寄せ集めてピンポイントでいい味出してしまった上、物語がどこを目指しているのか皆目読めないという妙なサスペンスが生まれてしまい、結果的にズレた面白さが発生してしまった気がします。戦争、ナチス、収容所、殺人、人種差別、権威主義、法廷、正義、必要悪、結束、友情、アメリカ万歳、ドンパチ・・・これだけの要素を詰め込もうと思った心意気はある意味スゴイのかも。ミックスフライ定食を頼んだら天ぷらやから揚げまでついて来ちゃった感じですね。食いしん坊な私はボリュームだけで満足してしまいましたが。8点(2004-01-17 15:01:21)

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