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プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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101.  アカルイミライ 《ネタバレ》 この作品で特異なのは、仁村があんな性格になってしまった背景や、有田が人を殺した動機が、最後まで明確にされないところだと思う。普通であれば崩壊した家庭だとか幼児虐待の過去とかをおざなりにでも付け足して、とりあえず説明をつけてしまうもの。しかしあえて一切説明しないことで(そもそも明確に説明できる類のものではないのだが)、作品の深みはいっそう増しているように思う。当然有田の父も仁村のことは一切わからないわけだけど、それでも仁村を抱きしめて「許す」と言う。その一言の大きさ、重さが印象に残った。 現代的でスタイリッシュな映像が心地良い。ちなみにオダギリジョーと浅野忠信の服装は映画の雰囲気を作るのには一役買っていたけれど、キャラクター的にはズレがあったような気がした。無気力で投げやりで、性欲も感じさせないようなさばさばした若者が、あんなにおしゃれでかっこよくいられるはずがないだろう。 タイトルが最後の最後に出るのもよかった。いちおうの着地点を見つけた仁村とは違って、あのぶらぶら歩く高校生たちの“明るい未来”がこれから始まる――というか、彼らはそれを見つけ出さなくてはならないんだなと思った。未来に向かう結末は、陰惨な作品にびっくりするほど爽快な後味を添えている。 むしろこの映画全体が、“アカルイミライ”のためのプロローグだったのかもしれない。[DVD(邦画)] 8点(2007-01-03 22:59:47)《改行有》

102.  アニー・ホール さすが代表作だけあって、これまで観たウディ・アレン作品の中では一番バランスが取れていると思う。非常にテンポがよく、ジョークはいつも以上に冴えているし、常識に捕われないユニークな表現は目を惹く。これだけ好き放題やっているのに違和感を感じさせないという力加減の上手さは天才的。 また、あくの強い作風が薄れて、全体的に整ったわかりやすい作品となっている。ウディ・アレンが苦手だという人でもこれならいけるんじゃないか――と思ったけど、みなさんのレビューを読むとそうでもないみたいですね…。 ほろ苦い結末がウディ・アレンのシビアな恋愛観を窺わせる。タマゴの比喩は、憎らしいくらいに的を射ていると思った。 しかしあれだけしゃべりまくれば、そりゃふられるわなあ。[DVD(字幕)] 8点(2007-01-01 14:22:58)《改行有》

103.  かもめ食堂 「フィンランド人ってなんでゆったりしているのかしら」という疑問に対してフィンランド人が、「森がありますから」と答える場面がある。で、実際に森に行ってみて、たいしたできごともなく、せっかく採ってきたきのこも落としてしまったのに、「よかったわぁ」と満足できてしまう。この映画全体が、そんな存在だった。 劇的なドラマもなく、人生の深遠に対する考察もない。だけど単純に居心地が良くて、忘れ難くて、またいつか観返してもいいかな、と思えた。「世界の終りに何をするか」という問いに対して、「好きな人たちとおいしいものを食べる」と答えられる単純さ、素晴らしさ。そうそう、なんだかんだ言ってそういうことが一番大切なんですよね。ありふれた日常の価値を噛みしめる力というものが。 役者さんがまた良い。ちょっと失礼な言い方ですが、これが美女三人組であればこうは行かなかったでしょう。片桐はいりの外見はたくましくて内面は繊細すぎるというキャラクターは、なんだかムーミン谷の住人を思い起こさせる。脇役みんなにも言えることだけど、これといった長所もなくむしろ欠点の方が目に付くのに、妙に可愛らしくて魅力的だったりする。不完全なものに対してあれこれ批評するわけでなく、やんわりと受容してしまう大らかな空気がある。 毎日が多忙で鬱病になりかかっているような人におすすめ。森林浴をするように安らげる作品です。[DVD(邦画)] 8点(2006-12-16 10:46:57)(良:1票) 《改行有》

104.  コーヒー&シガレッツ こういう作風は苦手だな、と思い込んで敬遠していたけれど、なかなかどうして面白かった。普段は時間を無駄にしないことにかりかりしている自分のような人間が、時間を無駄にすることの楽しさを描いた作品を楽しめたのは意外だった。コーヒーにスプーンを突っ込んでかちゃかちゃかき回す音までが心地よい。人によって合う合わないの差が大きいようだけど、合う人はとても幸せな気持ちになれるだろうと思う。[DVD(字幕)] 8点(2006-11-22 12:20:05)

105.  赤ちゃん泥棒 《ネタバレ》 意外と評判良くないみたいですね、これ。個人的には今まで観たコーエン作品のなかではダントツに良かった。昔のほうが面白かったんじゃん、コーエン兄弟。 笑えるだけじゃなく、洒落ている。刑務所入りする犯罪者と入所管理の警官が恋に落ちる冒頭から、夢のなかで平和な未来を垣間見るラストまで、ロマンティックで優しいユーモアがある。コーエン兄弟が登場キャラクターのひとりひとりを愛情をもって描いているのも心地良い。とんでもないやつばかりなのに誰一人憎みきれず、悪役までかわいらしい。 映画全体に明るくポジティヴなエネルギーが満ちていて、幸せな気持ちで鑑賞を終えられた。久々に、もう一度観たいと思わせられた作品。[DVD(字幕)] 8点(2006-10-26 19:47:48)(良:1票) 《改行有》

106.  ヒストリー・オブ・バイオレンス ありふれたアクション映画やコミックになりかねないネタを、抑えた表現であえて暴力の否定へと繋げる手法は秀逸。普通ならヒーロー役であるはずの主人公の振るう暴力に爽快感のかけらもなく、敵と同類の邪悪として描かれている。 また、(変な下心抜きに)セックスの場面がよかったと思う。上手くいえないが、なんというかあの描写があったからこそ、この夫婦の存在が厚みを持った人間として浮かび上がってくるのだと思う。男性サービスの意図はまったくなく、夫婦の愛情や、一言では言い表せない複雑な心の機微を巧みに表現していた。心理描写として意味のある性描写だ。 家族関係にリアリティがあるので、荒唐無稽な設定や展開もあまり気にならずに観ることができる。暴力シーンも厳密にいえばリアルではないのだが、もっともらしく感じられた。クローネンバーグ監督の手腕が、作品に強い説得力を与えている。[DVD(邦画)] 8点(2006-10-26 18:18:10)(良:1票) 《改行有》

107.  切腹 深い分析は皆さんにお任せして軽いことを言わせてもらいますが、とても「かっこいい」作品ですね。個人的には時代劇は苦手で、情念の濃い、野暮ったさと紙一重の熱さが好きになれないのだけど、その点この映画に関してはとてもクールで、ドライな描き方だと思う(かといって人間ドラマがなっていないというわけではない)。演歌調というよりは暗鬱なブリティッシュ・ロック的な。冒頭の音楽なんかは明らかに日本の伝統楽器を用いているのに、どことなくグランジっぽいし、直線で区切られることの多い武家屋敷の映像は日本的な美とは真逆の冷徹さを感じさせる。「スタイリッシュ」という形容詞の似合う時代劇はとても珍しいと思う。[ビデオ(邦画)] 8点(2006-08-09 16:48:46)

108.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 ほとんどの登場人物が善人とも悪人ともいえない人物に設定されているのがいいと思う。悪党に見えた人間が他人を救い、逆に善人に見えた人間が罪を犯してしまう。真に邪悪な人間はいないのに、いつのまにかいがみ合い、憎み合っている。完璧な者は一人もおらず、それぞれが欠点を負っている。積極的な人種差別というよりは、誰もが抱えている不幸の数々がやり場を失って、差別という形で発露している。小さな悪意が交叉し、誤解と偏見が連鎖し、やりきれない出来事を積み重ねていく。どんな人種でも、そういう意味ではみんな平等に人間らしく、不幸だ。  ところがこの映画では、そんな暗い世界をささやかな奇跡の数々が切り開く。なぜなら人間は欠点を持つのと同じように長所も持ち合わせていて、ちょっとした偶然から善意が交叉するときだってあるし、ときには理解し合うことだってできるからだ。救いがたい悲劇に転ぶことがある一方で、良い方向に転ぶことだってある。そういう意味でもみんな平等に人間らしく、幸福になれるチャンスを持っている。 この映画が提示する希望はとても控えめではあるが、それだけに力強い存在感を持っているように思える。[DVD(字幕)] 8点(2006-08-09 15:56:18)(良:1票) 《改行有》

109.  ぼくを葬る(おくる) 《ネタバレ》 あらすじを読んだだけだとべたなヒューマン・ドラマといった感じだが、そういうのを期待していると確実に肩透かしを食らうはず。決裂した家族と和解するエピソードなどは誰もが予想する展開だけど、そうした部分ですら徹底して冷静に描いている。感動ものというにはあまりにも切実で、生々しく、痛い。ちょっと引いてしまうような場面もある。 主人公は特定の宗教を信仰しているわけではないが、この作品には宗教的なイメージも強く漂っているようにと思う。幼い日の自分との邂逅は、死に近づくことで自分が生まれた場所へ再び戻っていくような、生と死が環を結んでいるような、不思議な感覚があった。日没と共に死んでいくラストシーンは、甦る可能性はないにもかかわらず再生を予感させる。主人公は既存の宗教の力を借りずに、もっと原初的で直感的なイメージを通すことで、自らの死を受容したのだと思う。 タイトルの通り、これは主人公が自身のために行なった葬送の儀式なのだろう。[映画館(字幕)] 8点(2006-08-03 13:34:37)《改行有》

110.  復讐者に憐れみを 動かないカメラや長い間、人物の表情だけを見せて多くを語らない手法など北野武風のテイストに、音楽のプロモのような現代的でスタイリッシュなセンスの映像が加わったという印象(ちょっとやりすぎな感もあるけど)。   シンプルながらも骨太で、観終えた後もしばらくは尾を引くドラマだった。シン・ハギュンとソン・ガンホという二人の主人公双方に観客が肩入れできるような描写をしておきながら二人を対決させたのが良かったと思う。   二人は敵対しつつも、互いに深い共感を抱く。それでもなお、あまりに大きな喪失感のために相手を許すことはできない。理解することと許すことは近いけれども同じではない。復讐という行為の虚しさと、虚しいと知りながらも自分を止めることのできない人間の業の深さが印象に残る。   物語に練り込まれた情念の濃さに息苦しさすら覚えた。力作。[DVD(字幕)] 8点(2006-06-29 15:40:11)《改行有》

111.  JSA 最初に悲劇的な結末が明らかにされているだけに、兵士たちが友情を深めていく中盤は辛かった。そして人間を描くのが上手いからだろう、結末の理不尽さは耐え難いほどで、やりきれない思いでいっぱいになった。本当ならわかりあえるはずの人間たちが、恐怖と混乱によってあっという間にお互いに銃を向ける。もちろん、ここで描かれている問題は韓国と北朝鮮の間だけのものではない。国境を挟んで笑いあう場面が印象に残った。物理的には何もない場所に目に見えない壁があって、互いにそれを乗り越えようとはしない。壁は厚いようで薄く、薄いようで厚い。あの場面の滑稽さが、なんともいえず哀しかった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-29 15:30:13)《改行有》

112.  ペパーミント・キャンディー 時系列をだんだん過去に遡っていくという『メメント』的構成で描かれる(こっちのが先ですが)、骨太の人間ドラマ。T・H・クックの小説を思わせる素晴らしい出来ばえ。独特の長回しは脚本で上手く消化された自然な仕上がりとなっているし、暗鬱だが不思議と美しさを感じさせる映像も悪くない。終盤で明らかになる主人公の過去がほぼ予想通りだったので一時冷めかけたが、そこはソル・ギョングの熱演に救われた。本当に素晴らしい役者さんで、彼がいなければこの映画の魅力は半減していただろうと思う。あの懐中電灯の場面はすごい![ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-29 14:14:33)

113.  エイリアン2/完全版 《ネタバレ》 昔何度も観たので比較的冷静に鑑賞したんだけど、やっぱりどきどきしてしまった。上手いんだもん、演出が。たとえばクライマックスには「一度は倒したはずの敵が再び襲ってくる」という今となってはありふれたシーンがあるのだが、ここを観るだけでも凡作との違いが明らか。アンドロイドのビショップが足元に落ちた数滴の酸に気づき、それが意味を悟るか悟らないかの次の瞬間、ビショップが口から体液を吐き出しながら絶叫する。背後からマザーエイリアンに串刺しにされているわけだが、観客の冷静な目から観てもその瞬間何が起きているのか状況がつかめず、パニックに陥ってしまう。第一作の常に張り詰めた緊張感とはまた違う、スリルとショックの絶妙な緩急。アトラクション的という言葉が悪口になるとしても、これほどに優れたジェットコースターは賞賛するしかない。製作からすでに二十年が過ぎているのに古さを感じさせないという意味では、娯楽作のプロトタイプとしての凄みを感じさせた(っていうか、この映画ができたとき俺はまだ三歳だったのか?! もっと新しいものとばかり思ってた……)。[DVD(字幕)] 8点(2006-04-13 14:08:32)

114.  レオン/完全版 《ネタバレ》 荒んだ生活によって無理やり大人になることを強いられた少女と、悲劇ゆえに心の奥に無垢な部分を隠し持ったまま大人になった男。少女は男の強さに憧れ、男は少女の温かさに憧れる。マチルダがレオンに読み書きを教える場面で思ったんですが、レオンとマチルダの関係は『ターミネーター2』のシュワルツネッガーとエドワード・ファーロングの関係に似ていますよね。お互いに欠けたものを補完しあう以上に強い絆はない。親友であり、親子であり、恋人である。殺し屋が少女を守っているようでいて、少女もまた殺し屋を救っている。 冷静に観るとむちゃくちゃだけど、よくできた物語だと思う。序盤でレオンはドアを開いてマチルダを明るい場所に救い出す。しかし最期、自分自身は光の差し込むドアにたどり着けないまま、暗闇の中に倒れてしまう。マチルダとの平和な生活に戻るには、レオンはあまりにも人を殺めすぎてしまっていたのでしょう。結局は暴力を持ってしか愛する人を救うことはできない、というレオンの宿命が切なかった。  ただ、マチルダがあからさまにセックスに誘う場面にはさすがに嫌悪感を覚えた。まあ小さい女の子が「将来はお父さんと結婚する」と言うようなもんかな、と好意的に解釈したいけど。あと他の方も言及なさっていたけど、あの観葉植物、枯れるよね。不用意に植え替えたらいかんと思う。通常版のほうが好きです。[DVD(字幕)] 8点(2006-03-31 16:54:55)《改行有》

115.  カメレオンマン 大いに笑った。ウディ・アレンはそれなりに重いテーマを扱うにしても、観客を楽しませることを第一においている。たくさん苦悩を抱えた人だからこそ、楽しむことの大切さを知っているのだろうと思う。吹替しか見つからなかったのだが、かなり力の入った吹替だったので不満は感じなかった。フィッツジェラルドや新聞王ハーストといった実在の人物が登場するのも楽しい。[ビデオ(吹替)] 8点(2006-03-17 20:08:29)

116.  柔らかい殻 《ネタバレ》 デヴィッド・リンチに『ぼくは怖くない』の舞台を与えたらこんな映画を撮るんじゃないだろうか。一面の小麦畑に囲まれた風景は美しいが、『ぼくは…』のように陽光を受けた穂がきらきらと光るような爽快感は一片もなく、むしろ逃げ場のない孤絶した雰囲気、寂しく陰鬱な光景にしか見えない。  大人たちはみんなどこか歪んでいて、主人公のセスもまた彼らの影響を受けてか否応なく間違っていく。神経質でヒステリックな母親、気弱な負け犬の父親、夫の死に正気を失っている近所の中年女。一番まともなのは主人公の大好きな兄だが、彼もまた核実験の後遺症を抱えている。  状況はすでに絶望的なのだが、主人公の幼い愚かさがやがて悪夢のような結末を招く。最後の最後になって自分の妄想を悟った少年の心は、決定的に壊れてしまう。幼さゆえに犯した罪には、本当は致し方ない部分もあるはずなのだが、彼がそれを一生背負っていくことは間違いない。そしてその重みに耐えられないであろうことも。  暗鬱な物語だった。最初から希望らしい希望も与えられず、登場人物たちの転落は必然的、運命的であったように思える。格調高い音楽と映像は宗教的ですらあり、人間の抱える醜さや愚かしさ、大げさな言い方をすれば原罪とでもいうべきものを突きつけるようでもあった。  意味不明でシュールな味付けはなくてもよかったんじゃないかと思ったが、それを差し引いても充分傑作であると思う。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-03-17 16:34:04)《改行有》

117.  グレムリン こういうちっこくて怖いんだか可愛いんだかよくわからないモンスター、最近は見ませんね。強力なモンスターや不死身の殺人鬼も怖いけど、一匹一匹はたいしたことないやつらが集団で襲ってくるとそれはそれでやばい。下手に恐ろしげな怪物を作るくらいなら、グレムリンみたいな個性的で愛嬌のあるキャラクターを創造すべきでしょう。アイディア賞ということで+1点おまけ[ビデオ(吹替)] 8点(2006-03-07 17:12:26)

118.  マグノリア 《ネタバレ》 あのカエルが降ってきた瞬間に、たぶんみんな気が抜けたんだと思う。なんというか、煮詰まって煮詰まって、破裂寸前まで膨らんだ風船のような緊張状態になっていたところで、急に空気がぷしゅうっと抜けてしまう感じ。それまで深刻に悩んでいたのが、なんだかバカバカしくなってくる。自殺しようと思って銃をこめかみに当てた瞬間にカエルが手を打って死に損ねるなんていう経験をしたら、きっともう一度自殺しようとしたときに思い出し笑いが出て、死に向かって盛り上がっていた気持ちが萎んでしまうだろう。  人生がお先真っ暗に思えるとき、実は現実が悪いことばかりというわけではなく、自らの手で目を塞いでいる場合がある。人生の暗い部分ばかり見つめていると視界が狭まって、確かに存在するはずのポジティヴなものも見えなくなってしまう。しかしそんな呪縛はふとした拍子で解けてしまうもので、いったん解けてしまえば前よりもっと大らかな気持ちで物事を見つめられるようになっている。自分の悩み事を突き放して見られるようになれば、なんとかやっていけそうな気がするものだ。  あのカエルの群れが大勢の人たちにとってそういうきっかけになったとすれば、この映画はやっぱりある種の「奇跡」の物語なのだと思う。 (ただ、ラストのような現象についてなんの知識もないような人が「は?」で終わってしまうのはわかる。自分は竜巻で巻き上げられた魚やカエルが降ってくることがあるという話をたまたま知っていたので、比較的抵抗は薄かった。欧米ではけっこう知られている現象なのだろうか?)[ビデオ(字幕)] 8点(2006-03-04 12:02:06)《改行有》

119.  ブラック・サンデー 《ネタバレ》 殺人という任務に疲れきったイスラエル諜報部の主人公と、彼らの国による暴虐のために生まれた美しい女テロリスト、そしてベトナムで精神を病んで母国に裏切られたかつての英雄。この影のある正義の味方と人間味のある悪役たちの造形が、わかりやすい娯楽作と一線を画す深みを与えている。犯罪者側に肩入れしてしまうという点では『ジャッカルの日』以上で、作戦に失敗の兆しが見えると思わず歯噛みをしてしまったくらいだ。  トマス・ハリスは荒唐無稽にならないぎりぎりのリアルに踏みとどまるのが上手な作家だが、その長所は本作でも最大限に発揮されている。とくにあのダーツを利用した究極兵器は奇妙だが、なさそうでありそうな不思議な現実味を持って観るものの記憶に刻みつけられる。  ベキム・フェーミュ演じるテロリストたちのボスとの銃撃戦は本筋とは直接関係していないのだが、この場面が本作を傑作たらしめているのだと思う。カットしても本筋には影響のないエピソードが入ることで世界観に奥行きが出ているし、圧倒的に不利な状況に置かれても不屈の意志と天才的な技術で捜査側に壊滅的なダメージを与えるテロリストの存在感は強烈だ。捜査側の不手際と敵側の有能さが対照的に描かれ、ここでもまた単純なヒーロー対テロリストの図式を微妙に崩している。この点、現在のハリウッド映画の幼稚なアメリカンヒーローとは別物だ。  唯一惜しいのはクライマックスで、急激に動的になる映像に興奮できればよかったのだが、現在ではありがちなアクションに感じてしまった(たぶん公開当時であれば楽しめただろう)。おまけに爽快なラストシーンがそれまでの展開とはちょっと不釣合いで、なぜこんなふうに料理したのかと疑問が残った。結末にもう少し苦味があれば(たとえばテロリストたちの生き様を偲ばせる場面を入れるとか…)『ジャッカルの日』にも負けない大傑作になっていたと思う。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-03-03 13:28:18)(良:1票) 《改行有》

120.  嘆きの天使(1930) 《ネタバレ》 ローラ・ローラ、別に悪女じゃありませんよね? 少なくとも自覚のある悪女ではない。むしろこの教授があほというか、真面目すぎて勝手に自滅した感じ。「美しいって罪よね」という言い回しがあるけど、この人に罪があるとしたら魅力的過ぎることぐらいだ。マレーネ・ディートリヒは不思議なオーラを持った人で、脚線美なんかは今見ても目がちかちかするぐらい眩い。真面目一辺倒に生きてきた人が虜になってしまうのも無理はないと思わせる。  教授がプライドを捨てて笑いものにされる場面はあまりの痛切さに胸が詰まる。だけど教授を玩具にした座長も根っからの悪人というわけでもなくて、後から教授に謝罪する。教授をあんな状況に追い込んだのは、他でもない教授自身なんだよね。  誰が悪いというわけじゃなく、自らの純粋さゆえに破滅する。この巨漢のおっさんを「天使」と形容するのは抵抗があるけど(そういえば生徒たちの落書きに天使のように翼を生やした教授のイラストがあったなあ)、彼の行動は美しい光に飛び込んで羽根を焼かれてしまう天使のような、純粋な愚かさに端を発するものだ。だから彼の行動を笑いものにすることができないのだろう。ただただ切なく、やるせなかった。[DVD(字幕)] 8点(2006-02-21 10:24:56)(良:2票) 《改行有》

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