みんなのシネマレビュー |
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101. 恋におちて 《ネタバレ》 他のレビューが意外と好評価なのに驚きました。未見の方に言っておきますが、ハッキリ言って起伏のないつまらない映画だと覚悟しておいた方がいいかと思います。 しかし、これはあくまで個人的な事ですが、本作は私のいくつかの恋愛経験と重なることが沢山あり、放っておくことができません。 私の恋愛でハッピーエンドに終わった事はありませんが、主人公二人と同じ感情になった経験があります。どうしても相手のことが忘れられないのです。 本作では、それぞれ二人の感情が丁寧に描かれていました。実際の経験では相手が何を考えていたのかは断言はできません。私の想っていた相手が同じ状況の時に本作と同じような気持ちでいてくれていたらと心底思いました。 私は未婚ですが、自分と全く接触がない世界で、同じような価値観を持ち、同じような不安に囲まれながら生きている人が、どこかに必ずいると思えるようになりました。 因みにテレビでは新婚さんやカップルをゲストに迎えたトーク番組が放送されていますが、毎回「セックス」の話ばかりで嫌気がさしてきます。 私はもう数年恋人がいませんが、相手を想う気持ちが存在した自分の過去を、時々は、こういった映画を観て思い出したいと思います。 因みに原題通りの邦題のタイトルですが実にセンスが悪い。タイトルの評価は「0点」です。こんなタイトルでは誰も興味を抱かないと思います。でも、この翌年に日本でも、いわゆる「不倫」ドラマが流行ったのも事実です。 私にとっては、今頃になっての偶然の産物です。[DVD(字幕)] 9点(2009-08-23 06:56:38)《改行有》 102. 太陽がいっぱい 《ネタバレ》 何十年ぶりの鑑賞だろうか? 今回リマスターDVDでの鑑賞だが、画質がどうであれ、子供の時に観た時の印象は全く変わりない。 殺人を犯した主人公の行動を追いかけながら「いつまでも誤魔化せる訳ないだろう…」と思ったのも、あの時と同じ。 恋人も奪い取って、砂浜でサングラスを掛けながら陽射しを受ける主人公の姿は映画史上に残る名シーンだと思う。 コレクターズ・エディションを手に入れたので、死ぬまでにあと何回か鑑賞したい。 ところで最近鑑賞した殺人映画のほとんどが、金持ちに妬みを覚えた貧乏人の犯行というのが現代の無差別殺人とどことなく繋がっているようで怖い。 [DVD(吹替)] 9点(2009-08-03 05:14:59)《改行有》 103. レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで 《ネタバレ》 始めに言いますが、絶対に「タイタニック」を期待しないで下さい。 ジャケットに騙されないで下さい。 とはいえ、この二人はタイタニックの船上で大恋愛をして、実は二人とも助けられて生き残っていたんです。そして円満な家庭を築いたのです。その「成りの果て」がこれです。…なんて解釈はちょっと意地が悪いかな? 「他人の不幸は蜜の味」なんて言うじゃないですか? 特典のインタビュー映像では、「この二人は理想の生き方を追い求めるあまり大切な家庭までも壊してしまう悲劇」と答えていますが、私にはそう解釈できません。 エイプリルは始めから家庭なんかどうでもいいのです。女優になれなかった妥協なんです。「子供を仕方なく生んでしまった」というセリフは、どう考えても本音を口走ったとしか解釈できません。 「理想の生き方」…いえ、この夫婦は日常の不満な生活から生まれた「欲望」を満たしたかっただけだと思います。その「欲望」はお互い、やりたいことが違っていただけで、二人は始めから愛し合ってなんかいなかったんだと思います。 男尊女卑が当たり前の50年代。この時代に本作が上映されていたら、まず批判されるのは妻のエイプリルだと思います。 あの時代に生きていた人がリアルタイムでこんな作品を観たいなんて思いませんよ。 この作品は「カッコーの巣の上で」と同じカラーを持っていると思います。 彼女は今風なんです。21世紀の現代的な女性なんです。 それがこの映画の失敗なんです。 ところで、私はよく宗教講話を聞いたりするのですが、「欲は次から次へ湧き上がってくるからキリがないんです」と欲望や邪念を否定的に捉える話をよく聞きますが、欲望ってそんなに悪いものなのでしょうか? 登場人物は、主役二人を中心に、正気なのか異常なのか、さらに精神病院から退院してきた若者まで混じり合って、複雑な交錯が織りなされていきます。意外と精神病患者の青年がもっともらしいことを言ったりする皮肉も描かれています。 ラストのエイプリルの朝食は、女優志願だった彼女の人生最後の演技だと私的に解釈しています。 ようやく自分を理解してもらえたと思う、勘違い男のデカプリオ。やはり50年代は男尊女卑が当たり前の時代なんです。 ですが、作品自体は人間の煩悩を追及した素晴らしい出来栄えだと思います。 私には意外な収穫です。[DVD(吹替)] 9点(2009-08-01 06:10:10)《改行有》 104. ミシシッピー・バーニング 実際の殺人事件をモデルに作られたようだが、冒頭の「1964年」のテロップは最後まで楽天的にさせてはもらえなかった。 1964年といえば、ビートルズが初渡米した年。 ベトナムが空爆を受ける前年。 アメリカが特に変わろうとしている年だったはず。 でも、それ以上に考えさせられたのはKKKによる「人種差別」。 これを他人事と考える日本人がいたら、私はもっと真剣に考えるべきだと訴えたい。 50年後、日本の人口は現在の半分になると言われている。今も介護ヘルパーが足りないという理由で東南アジアから外国人を招いている現実。 現在在住する友好的な外国人ならまだいい。 しかし、自国の営利目的のために招かれた人たちと私たちは共存することができるか? 私たち日本人はKKKほど残虐な行動を取らないと信じたいが、横浜ではアメリカ兵が街中で老人を殴り殺して財布を奪い、その金で風俗店へ足を運んだという事実がある。周囲の日本人は誰一人助けようともしなかったという。 沖縄のアメリカ兵によるレイプ事件もそうだ。 と言いながら、私たち日本人は自分より弱い者に対する「いじめ」という娯楽まで覚えてしまっている。 私たちは…特に発展途上国の違う文化を受け入れ、共存することはできるか? 私たち日本人は、1964年のミシシッピーの住民と同じ、人種差別の第一人者である自覚をまず第一に考えるべきだと思う。 [DVD(吹替)] 9点(2009-07-29 04:40:21)《改行有》 105. 陽のあたる場所 《ネタバレ》 どっかで聞いたことある話だなぁと思ってたら……そうだ! 富良野から、かぼちゃ持って上京してきた五郎さんだった。もし機会があれば、本作を観た後、「北の国から92 巣立ち」を鑑賞してみてください。「北の国から」を知らない人でも単独で面白い作品ですから。 まぁ、それは置いといて、主人公の青年、ジョージはとても純粋な奴なんです。後半の裁判で彼は全てを正直に告白している。それは映像でちゃんと描かれてあり、観客にも彼の誠実さは伝わっているはず。 問題は映像で描かれていない部分。この時彼が何を思っていたのか、何を考えていたのか、ジョージ本人でさえ分からない彼の本当の心理を、私たち観客が見抜けるか否かで本作の評価は大きく変わるだろうと思います。 因みに、吹き替えは途中でオリジナル音声に変わることがないので、とても見やすいです。[DVD(吹替)] 9点(2009-07-22 01:01:25)《改行有》 106. マイ・ボディガード(1980) この映画を観た人のほとんどが「水曜ロードショー」と言っているように思いますが、私もその内の一人です。 ビデオが普及されていなかったあの時代はテレビというものが大きな役割を担っていたように思います。 情報量が飽和状態の今の時代なら、こうしたシンプルな映画には巡り合えなかったかもしれません。 時代とともに色褪せていく映画が沢山ある中で、今回久しぶりに観た本作は、あの時と同じ感動を与えてくれました。 シンプルな展開の中に散りばめられたセリフのやりとりが、たまらなく素敵です。 少ない登場人物がそれぞれの役割をちゃんと果たしていて、無駄なシーンが全くありません。 その中でもマット・ディロンは功績は大きい。私の周りにいる、ほとんどの人が、この作品を「ああ、マット・ディロンのデビュー作ね」というのが興味深いところです。(実際はデビュー作じゃないのに…)[レーザーディスク(字幕)] 9点(2009-03-21 17:14:11)《改行有》 107. ハムレット(1990) 公開当時とても面白かった記憶があったのですが、未だにDVD化されていないことがわかって余計観たくなってしまいました。 ようやくレーザーディスクを手に入れて約20年ぶりに鑑賞……ウン、やはり面白いぞ! ウン!!! とりあえず内容に関しては映画そのものをはみ出してしまいそうなので省略。 この映画は、メル・ギブソン=マッドマックス・リーサル・ウェポン、ハムレット=ローレンス・オリビエという狭間に置かれてしまっているので、その先入観が抜けないと偏見が生まれてくると思います。 私にはそういった先入観が全くないので十分満足して鑑賞することができました。 何しろ字幕スーパーが「よくこれだけ省略出来たな……」と思わせるほど簡潔! ある意味、字幕作った人の勝利ってことかな? 私の文章をここまで読んでくれた人にはお勧めしますが、今もDVD化されてないなら、内心はそっと秘密にしておきたい気分です(笑)[レーザーディスク(字幕)] 9点(2009-03-21 00:38:11)《改行有》 108. 蜘蛛女のキス 《ネタバレ》 刑務所の独房の中で革命家の一員と同性愛者の心の結びつきがメインストーリーだが、字幕スーパーや解説で政治犯を「テロリスト」とし、同性愛者を「ホモ!」と訳すことで日本人の解釈はよくも悪くも偏見も加えて変わってくる。 二人の世界感は過去に観た映画の話を語り合う内にお互いが現実に抱えた課題に変化していき、主人公の同性愛者は出所後の生きる方向まで見出していく。 物語は同性愛者の視点から描かれているので、社会情勢や同僚の抱えた問題はあえて視点をぼやかしている。 それだけに彼が革命家の問題に巻き込まれた後にも同僚の物語の続きがあるのが、とても皮肉めいたものに思えてならない。なんだかホモの彼が可哀想過ぎる… 仮に独房で二人が語り合う内容が映画の話でなかったとしたらどうだろう? 例えばプロ野球や競馬の結果を「ああでもない、こうでもない」という話しだとしたら…。 映画を語り合いながら「愛」や「ロマン」を語り合うという行為は本当に素晴らしいとは思いませんか? この映画、日本でも頻繁に舞台化されたようだが少々気になることがある。 もしも映画のイメージシーンをなくして、二人だけの会話劇にしたらとても退屈なものになってしまうだろう。[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-02-28 05:24:01)(良:1票) 《改行有》 109. ウーマン・イン・レッド 《ネタバレ》 私の田舎では、たしか「ターミネーター」と同時上映だった。観客のほとんどが「ターミネーター」が目的だったので、鑑賞する前は期待していなかったと思う。 その反動もあってか、主役のジーン・ワイルダーが、赤いドレスの女に一目惚れするシーンから、私も含め、満席の会場はずっと爆笑の渦だった。 しかし、昨今ネット上に書かれた数少ない評価のほとんどが批判めいたものばかりで、私には悲しくてならない。 主人公とオールドミスのブラックユーモア溢れる無言のやりとり、愛妻と娘のボーイフレンドの関係、親友のゲイの告白など、ストレートな説明を全く使わずに描かれた脚本は「超」がつくほどの絶品だと思う。 主要人物全員が嘘のセリフを交わしながら相手を騙し、騙されて続けている。 ジーン・ワイルダーはビリーワイルダーに負けず劣らずコメディ映画の天才だと思う。 コメディというジャンルは、やはりリアルタイムで鑑賞しないと評価は厳しいものになると思う。特に本作は夜中に一人で観るような映画ではない。 最近、レーザーディスクを安価で手に入れたので久しぶりに観たのだが、ちょっとした細部の演出など計算がやはり上手くて、なつかしさもプラス、終始笑いっぱなしだった。 オールドミスのおばさんを演じていたギルダ・ラドナーは、私生活ではワイルダーの奥さんだったが、この作品の数年後に亡くなっている。 ジーン・ワイルダーは今何をしているのだろう。 最近日本で「大陸横断超特急」のDVD化が再評価されていることを彼は知っているだろうか? あの日、映画館を出て友人と心底笑いながら帰った記憶が今になって時の経過を感じずにいられない。 私にとって特に思い入れの深い作品である。[レーザーディスク(字幕)] 9点(2009-02-21 03:20:33)《改行有》 110. サラエボの花 《ネタバレ》 ボスニア紛争を知らなければ理解できないのではないかという、観る前から勝手な偏見を持つ人がいるかもしれないが、内容は世界中に通用する母と娘の親子愛、シンプルな話しである。 娘は男にも真っ向から喧嘩を買って出るほどの強気な性格で、母親の仕事ぶりからも二人が共に人生を乗り切ろうとしている姿が重ねて強調されている。 皆と一緒に修学旅行へ行く。父はシャヒード(殉教者)である。この国ではごく普通の人間でありたいと思う娘に母親は娘の出生の秘密を打ち明けることができない。教えたくない母親の気持ち。だが彼女もやはり女であり一人の人間、打ち明けてしまったことで本当に大切なものが何なのか悟る。その告白シーンがハイライトで胸を締め付ける。 全体を通して、娘の修学旅行が娘にとっても母親にとっても人生の岐路になったところに真のドラマを感じた。 娘は一見わがままで身勝手ではあるが、母への愛情を誰よりも必要としており、ラストのバスのシーンで、皆の合唱に合わせて少しづつ口ずさむシーンは、観客の誰もが「頑張って!」と応援したくなると思う。 登場人物全てがこの腐敗した国の現状から抜け出そうと必死に生きている。一見悪そうな大男まで真剣に生きようとしているところに人間の綺麗な部分が見える。 後で知ったが、監督は30代の女性。紛争経験がある。娘は12歳の設定だが、日本人でいえば高校生くらいにも見える。これは戦争というものが老若男女関係なく強く生きなければならないことを訴える姿勢で、とても自然に表現されていると思う。 「戦争待望論」という言葉が日本でも言われているが、戦争を起こした国ほど心から平和を願う人が多いことに皮肉めいたものを感じてしまう。 「あ~、いい映画観たなぁ~」と思える作品。沢山の人に鑑賞してもらいたい気持ちを込めて9点。 しかし、この邦題のセンスのなさ、なんとかなんないのか…(悲)[DVD(吹替)] 9点(2009-02-16 09:00:24)(良:1票) 《改行有》 111. 風の丘を越えて~西便制 先日、禅宗の僧侶の講演で「修行をしないアナタたちに修業とは何か、ここで説明しても絶対に理解できないだろう」と言われたのを思い出した。私は「だったら講演なんかすんなョ」と思った反面、もし、自分がこの坊さんについていくしか人生が残されていないとしたら、それはどれだけ辛い修行だろうと考えたりもした。 やりたくてやる修行とやりたくなくてやる修行とでは意味合いが違ってくる。 オ・ジョンヘ演じる女性唱者、ソンファにとってのパンソリ(韓国の音楽のジャンル)は全編を通じて様々な形で変化していく。 ソンファの道はもう一つしかない。 鑑賞して、私は自分の過去を振り返り、反省して、謝罪して、そして赦す気持ちを持ちたいと思った。 パンソリのシーンだけでも繰り返し鑑賞したくなる。 この映画のヒットした理由は壮大な四季を背景に唱う、美しいパンソリだけと言ってもいい。 その内容を字幕スーパーで理解するしかない自分に憤りを感じた。 この映画に満足された方に、フェリーニの「道」をお勧めしたい。 [DVD(字幕)] 9点(2009-01-25 01:48:44)《改行有》 112. オアシス ムン・ソリの演技ばかり注目されがちだが、ソル・ギョングもなかなかのもんだと思う。 他のレビューを読んでいると、彼が演じる青年が知的障害者だと気づかないでいる人も多いのではないかと思う。トップシーンを思い起こせば、青年の印象は、まるで亀田興毅が内藤大助に変貌するかのような、劇的な変化を遂げている。 映画は、健常者の毒を撒き散らして、愛の形を浮き彫りにして描いている。しかし、観終わって、もっと恐ろしいと感じたのは、その健常者たちを観て、自分と重ね合わせることができない人間が必ず存在していること。そういう人間が世の中の一番の毒なのではないかと考えたりもする。 健常者の私でも「愛」というものは簡単に表現できない。 もがき苦しむ二人にとても共感した。 韓国映画は当たりハズレある。特にハズレが多い。そして日本では、ある特定の人種のお陰で、ハズレばかりがヒットする。日本でも本作のような映画が製作されるようになれば少しはマシな国になるだろうにとため息が出てくる。 因みにDVDの特典映像にあるムン・ソリのインタビュー映像は必見である。彼女は私が初めて綺麗だと思った韓国人の女優だ。 私は観ていて「この話、最後どうなるんだろう…」と思わせる作品が好きだ。 限りなく10点に近い9点。 10点にしない理由は…ウ~ン、私にもわからない(笑)[DVD(字幕)] 9点(2009-01-22 02:34:52)《改行有》 113. 赤毛のアン/アンの青春 完全版〈TVM〉 原作未読。2日間で3部作鑑賞。1作目に比べると、ドラマの荒さが目立ち、たとえ未読でも話が飛んでいるのがわかります。でも面白いです。4時間は決して長く感じませんでした。原作を読んでみようというきっかけを作ってくれます……この第2部までは。 ミーガン・フォローズは本当に魅力的で、彼女以外にアン役は考えられません。原作も沢山あるのですから、大河ドラマみたいに50話くらいにして完全なものを作れなかったのかと残念でなりません。[DVD(吹替)] 9点(2009-01-19 23:57:05)《改行有》 114. テラビシアにかける橋 知り合いに勧められて、ジャケット見た時は「ゲッ!!!」って思い、顔が歪んでしまった。こういうファンタジー風の映画を紹介され、何度裏切られたことか…(泣)。 しかし…あらすじも確認せず蓋を開けてみたら、思わぬ掘り出し物で感激! この映画で「涙がこぼれた」なんて薄っぺらい言葉を簡単には使いたくない。 未見の方に警告したい。 予告、もしくは、あらすじは絶対に確認しない方がいい。 映画の宣伝マンは、この映画をどうやって売りこんでいけばいいか悩んだに違いない。予告編はあきらかに失敗である! 観終えた感想は賛否両論あるかと思う。 仮に、妖怪や魔法使いさえ出ていれば喜んでいた子供の頃のおバカだった私が、この映画を満足したかと考えれば正直疑問符を打ってしまう。 う~ん……「大人の入り口」という扉の前に立たされた少年のお話しと紹介してはどうだろうか? とりあえず、90分で終わる映画だし、観賞価値はある。絶対お勧め。 あらすじと全く関係ないが、お父さんが「Tー2」のサイボーグだったのは、後で知ってビックリ![DVD(吹替)] 9点(2009-01-17 12:01:33)《改行有》 115. 第三の男 これこそ脚本の腕ありきといった映画。 CGやミーハーな役者でごまかそうとしない面白さが発見できる。 因みに、このDVDは現在、様々なメーカーから発売されているが、最悪なのは「アイ・ヴィー・シー」。値段が高い上に、冒頭で淀川長治がラストまで全て語っている。この解説は早送りしない限り、自動的に再生されてしまうので、鑑賞するときは要注意! お勧めのメーカーは、マックスターで、日本語吹き替えがついている。このメーカーの吹き替えは、素人が字幕を棒読みしているような代物ではなく、無名かもしれないが、ちゃんとした声優がこなしている(字幕とセリフは完全に違う)。 オークションで購入すればレンタルより安い。 この時代の白黒映画はリマスターしたところで、画質の違いに差はほとんどないので不安なしに鑑賞できる。[DVD(吹替)] 9点(2008-12-22 01:05:07)(良:1票) 《改行有》 116. 宮本武蔵 巌流島の決斗 シリーズ物であるが、とりあえず一番興味を引くこの作品から観た。 画像も綺麗で、今でも現役の役者さんが出演しているが若い人は驚くこと必至。 台詞は今の時代劇のように現代語ではなく、かなり侍用語が並んでいるが聞いていて全く違和感がない。むしろカッコいい! シリーズの最初から観なくても充分面白い。私はこれから第一部から観直そうと思う。 中村錦之助は役者の中の役者だ![DVD(邦画)] 9点(2008-12-17 11:12:31)《改行有》 117. ザ・マジックアワー 最近、「僕達と駐在さんの700日戦争」「アフタースクール」と、立て続けに鑑賞した映画が、どれも冷たい私の心をヒットさせていたが、三本目の本作は、まさに満塁ホームランだった。(三本目だと正確にはスリーランだけど……) 「有頂天ホテル」があまりパッとしなかっただけに、観る前は不安もあったが、本作については、劇場へ足を運ばなかったことを、今とても後悔している。 こういう作品って満員のお客さん達と一緒になって観ると満足度はさらに上がる。 三谷監督はビリーワイルダーを超えてしまったようだ…… 今は亡きワイルダー監督は生前、周防監督の「Syall We Dance」をとても満足されていたそうだが、この作品を観たとしても、きっと満点をくれると思う。[DVD(邦画)] 9点(2008-12-10 05:59:10)《改行有》 118. 男と女 人生最良の日々 冒頭10分で見るのやめようと思いました。 正直、自分が見るには20年早過ぎると…。 でも、このサイトの点数がよかったので、とりあえず最後まで観ました。 この1966年の第1作目をリアルタイムで観た人の半分以上は既に亡くなっているのではないでしょうか? 私は10代の頃、80年代にテレビの深夜放送で第1作目を観ました。 現在、私は40代です。 40代で、第1作目を観ている人なんて、「みんなのシネマレビュー」を覗いているような、よほどの映画マニアしかいないと思います。 そんな私でさえ、この1966年の第1作目は古い映画と感じます。 で、本作なんですが、サブタイトルが「人生最良の日々」ですか。 素晴らしいタイトルですね。 実際、私にもそんな人生最良の恋愛経験が、2度ほどありました。 それぞれ20代、30代の時、この第1作目のような恋愛経験をしました。 でも、2019年の本作を見ていて、ふと、我に返ってしまったんです。 自分が20年後、もしくは30年後に、半分ボケてしまって、介護までされるような年寄りになったとき、彼女たちは会いに来てくれるだろうか? 映画の中では、男性の夢が随所に見受けられます。 それを考えると、急に現実に戻されたように感じて、感情移入できなくなってしまいました。 映画は90分で終わり、ネットで本作について調べてみて、アヌーク・エーメが87歳だと知ってビックリしました。 てっきり彼女は70歳くらいかとばかり思っていました。 こうなると話しは変わります。 私にとって20年後の自分は想像できるのですが、40年後の自分はどうしても想像できない。 40年後に自分が思い出をどのように大切に守っているのか全く想像できないことに気づきました。 映画の中で生き生きとしている87歳のアヌーク・エーメを見た私は、この映画を今後も大切にしていこうと決めました。 テレビで放送されたこの映画をディスクにダビングして、自分が87歳になったとき再鑑賞して、自分がどう感じるのか楽しみになりました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-03-28 15:06:19)(良:1票) 《改行有》 119. 欲望という名の電車(1951) 《ネタバレ》 この作品はまず原作を読んでから映画とセットでご覧になられたほうがわかりやすいです。 原作は戯曲で210ページほどなので簡単に読めます。 映画は原作では描かれていないシーンがあります。 当時はヘイズコードという表現の規制がありました。 原作では、ブランチが10代の頃に結婚していた亭主(青年)がホモだったという告白が、映画では曖昧な表現でミッチに告白しているので、その後、ブランチが精神不安定に陥る理由に説得力がありません。 それから原作では、ラスト、スタンリーに向かって、割れたビール瓶で抵抗するブランチが、力尽くでベッドへ連れて行かれるという描写が、映画では、鏡に映るブランチとスタンリーのシーンでストップモーションがかかり次のシーンへ行くので、映画だけ見た方にとっては、ブランチがレイプされたという意味が伝わらないかもしれません。 ラストが原作と映画では全く違います。 原作では、ステラは「もしブランチの言うことが正しければ、私はスタンリーとは一緒にいられない」と言っていますが、映画の字幕スーパーでは、「もしそれが本当なら」という簡潔な表現のため、読み飛ばしてしまうかもしれません。 ブランチが精神病院から医者と看護婦に連れて行かれた後、原作では、それを見守るステラにスタンリーは膝まづくところで終わりますが、原作では、ステラは、スタンリーの呼び声に「もうスタンリーのところへ戻らないわ」と言い、2階へ駆け込むところで終わります。 私は今回、ディレクターズカットと呼ばれる、公開時にカットされていたシーンを追加したオリジナルバージョンのDVDを観ました。 それに付属されたプロダクションノートを読むと、公開時、レイプシーン(実際には暗喩)のカットと、レイプしたスタンリーに何のお咎めもないラストの描写を変更しろという、上からの命令があったそうで、監督は相当苦労されたそうです。 実際、映画でステラがスタンリーのところに戻らない決心をするのは、そういった意図があったからだと想像できます。[DVD(字幕)] 8点(2021-03-18 17:08:38)《改行有》 120. テキサスの五人の仲間 まだご覧になっていない方は絶対に、ネタバレレビューを見てはいけません。 やはり高評価の点数をつける人が多いみたいですね。 これはもう、ジョアン・ウッドワードの役者冥利につきる作品なんじゃないでしょうか。 ポール・ニューマンの奥さんだということは、このサイトに書き込んでいる常連には説明する必要はないみたいです。 貞操な妻が次第に変わっていく過程がユーモラスに描かれていて面白かったです。 この時代の作品の価値観は道徳的なモラルが絶対必須だろうと考えてしまった私にとって、全ての根底を覆す結末には、ただただ驚くばかりでした。 もし私がこの映画を子供の頃に見ていたら、ひょっとしたら結末で描かれていたものを理解できなかったかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-01-03 17:33:54)《改行有》
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