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1241.  雁の寺 以前にも一度見ている映画だが、川島雄三監督の映画を何本か見ているうちにまた見たくなり、約10年ぶりに再見。以前見た時はなんせ川島監督の映画を「幕末太陽伝」しか見てなく、喜劇映画の監督という印象が強いままの状態だったので、暗く陰湿な物語にビックリしてしまったのだけど、今回改めて見てみると、全体に漂う雰囲気が独特で、里子(若尾文子)、和尚(三島雅夫)、慈念(高見国一)の三人の関係を川島監督は不気味な効果音や覗き込むようなカメラワークなどを駆使して描いており、和尚と里子、里子と慈念の関係それぞれにゾクゾクとさせられるもの(里子に対する和尚のなんともいえないスケベさや、里子を見つめる慈念の眼差しなど。)があり、見ていて本当にドキドキするようなゾクゾク感であふれている。また、それだけではなく、この映画は「女は二度生まれる」、「しとやかな獣」といった川島監督のほかの大映2本と比べても格段に芸術性が高く、これまで見てきた川島監督の映画の中でももっとも作家性を感じることの出来る映画となっていて、中でも慈念の母親への思いはひょっとしたら川島監督自身の母親への思いでもあるのではないかと感じる。ラストの修復された親子雁の襖絵のショットなどは川島監督のそんな思いが込められているような気がするのだが、やっぱり考えすぎだろうか。(でも、ちょっと考えとしては浅いかも知れない。)いずれにせよ本作は川島監督にとって大映での仕事の中でもとくに傑出している映画であり、間違いなく川島監督の晩年の代表作と言える映画だと思う。でも、あと何回か見ないとこの映画のすべてを理解することは不可能かもしれない。それだけとても深い映画だ。(2010年5月27日更新)[DVD(邦画)] 8点(2005-08-08 23:42:57)(良:1票)

1242.  華岡青洲の妻 市川雷蔵が主役の映画かと思いきや、嫁(若尾文子)と姑(高峰秀子)のドロドロしたバトルが中心で、雷蔵はあくまでも重要な脇役という位置づけ。(一応、クレジットではトップだけど。)でもなかなか見応えのある内容で満足することができた。最初のシーンで手術を受ける患者のあまりにも痛そうな絶叫が忘れられない。[CS・衛星(邦画)] 7点(2005-08-08 23:31:28)(良:2票)

1243.  どん底(1957) 期待しぎたのかあまり面白いとは言えなかった。最初のボーン、ボーンという寺の鐘のような音が印象的。[CS・衛星(邦画)] 5点(2005-08-08 23:10:48)

1244.  男はつらいよ 柴又慕情 《ネタバレ》 前作「寅次郎恋歌」の直後に亡くなった森川信に代わって、「純情篇」でヤブ医者を演じていた松村達雄が二代目おいちゃんに就任した9作目。森川信のおいちゃんを初めて見た時と違い、既に「まあだだよ」の内田百閒など別の役のイメージが固まっていたせいか最初はかなりの違和感を感じたが、何作か(おいちゃん演じてた期間は短いんだけど。)見ているうちになんとか慣れた。マドンナは吉永小百合。ちょっとこのシリーズには似合わないように思った。一戸建て住宅への夢を語っているのを機嫌の悪い寅さんにバカにされ、悔しがる博。数年後の作品では見事その夢を実現している。良かったね。[地上波(邦画)] 5点(2005-08-07 18:58:19)

1245.  ゲゲゲの鬼太郎 最強妖怪軍団!日本上陸! 《ネタバレ》 第3シリーズ劇場版第3作。鬼太郎のアニメと聞いてすぐに思い浮かぶのがこの第3期なのだが、本作は小学生の頃に新春アニメ大会みたいな特番(今、こういうの無いよなぁ。)で再放送されていたのを録画して何度か見ていたので、今でも話ははっきり覚えていた。(たぶん、初めて見たのはそれよりも前のような気がする。)鬼太郎たちが反物にされてしまう展開はトラウマとまではいかないが、よほど印象に残っていたのかとくによくおぼえていた。今見ると今回の敵である中国妖怪のリーダーであるチーのカリスマ性のようなものが印象に残るし、彼の率いる中国妖怪軍団もなかなか強烈だ。中でも画皮という黒い風を武器にしている空飛ぶ顔だけの姿の妖怪は今見てもやっぱりそのインパクトはすごかった。でも、妖怪反物で作った浴衣を着たユメコちゃんが操られているのを見た鬼太郎が我を忘れたようになってしまうシーンは今見ると助けないといけないのはユメコちゃんだけでなくて浴衣を着た人全員だろうと冷静に突っ込んでしまったのは仕方のないところか。冒頭でぬりかべが反物にされるのだが、いくらなんでも油断しすぎだろうとも思ってしまった。それでも今月ずっと見ている鬼太郎映画の中では敵妖怪の存在感は抜群で、ピンクのガスが鬼太郎たちを追ってくるクライマックスまでけっこう面白く見た。冒頭に那須高原が登場しているが、子供の頃に見た当時から那須高原といえばこの映画というイメージがある。思い出補正もあるかもしれないが6点を。(2021年9月25日更新)[DVD(邦画)] 6点(2005-08-07 13:11:27)

1246.  ドラミちゃん ミニドラSOS!!! 《ネタバレ》 全4作あるドラミちゃんを主役にしたシリーズの1作目。小学生の頃以来に見たが、今見るとやはり純粋に懐かしいし、それでいて今でも楽しく見られた。のび太の息子がジャイアンとスネ夫の息子をいじめている父親たちとの立場逆転(ジャイアンの息子が父親の少年時代に似ず見るからに気弱そうなのがなんかかわいい。)が面白いし、彼らとミニドラとの関わりも見ていて微笑ましく、40分ほどの中編だが、よくまとまっている。本作で初登場となるミニドラがとても可愛いのだが、そのミニドラが出す道具がすべてミニサイズなのも可愛くて良い。冒頭からノビスケが持っているビー玉がラストの伏線になっているあたりは脚本にも抜かりがない。大人になったレギュラー4人も登場してそれぞれの未来世界での暮らしを垣間見えるのもちょっと興味深かった。それに何といってもよこざわけい子のドラミちゃんがかなり懐かしい。でも、今になって見るとやっぱり舞台が2011年というのにちょっと複雑さを感じてしまう。(2023年2月23日更新)[DVD(邦画)] 6点(2005-08-06 13:27:53)

1247.  泥棒成金 《ネタバレ》 昔見た時はなんかイマイチだなと思った映画だが、やはり今見てもあまり面白味は感じられず、見ていて少し退屈に感じてしまった。サスペンス色は薄くコメディタッチで見やすいのは確かなのだけど、ストーリーとしては偽物の宝石泥棒は誰なのかというミステリーや、主人公(ケーリー・クラント)が犯人として追われるサスペンスが盛り込まれているため、もっと緊迫感が欲しかった。コメディとしても「ハリーの災難」がブラックユーモア全開なのに対し、本作は正統派ラブコメ路線のためか比べてしまうとやや物足りなさを感じる。しかし、舞台となるフランスの風景は美しく、ヒロインのグレース・ケリーも思ったほど前面に出ているという感じではないのだが美しかった。でも、今になって見ると、本作のグレース・ケリーはそんなイーディス・ヘッドの衣装を華麗に着こなしている美しい姿よりも、追手から逃れるために猛スピードで車を走らせる姿のほうが印象に残ってしまい、モナコ大公妃となった後年車の事故で他界してしまった(それも本作のロケ地の近くで。)ことを思うとかなり複雑な気持ちにさせられてしまい、いたたまれない。(2013年12月10日更新)[DVD(字幕)] 5点(2005-08-05 18:16:12)

1248.  雨月物語 僕も初めて見た溝口作品はコレ。それまで黒澤狂いで、邦画の最高傑作といえば「七人の侍」だと信じて疑わなかったからこの映画の凄さには衝撃を受けた。ラストの田中絹代のナレーションによる独白が悲しくて印象的。この映画を見て昔の日本映画を黒澤作品意外にももっと見てみようと思った。[ビデオ(邦画)] 10点(2005-08-02 22:37:26)(良:1票)

1249.  フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白 《ネタバレ》 昔、テレビで見てけっこう印象に残ってた映画。その時以来かなり久しぶりに見たのだが、今見ると単純で作りがSFとしては甘い部分もあり、ツッコミどころもあるのだが、それでもやっぱり安心して見ていられる映画で、今見てもそこそこ面白かった。設定自体はかなり突拍子もないのだが、恋人の事故にショックを受けたメル・ギブソン演じる主人公・ダニエルが冷凍保存されるまでをじっくり描くことで、ラストの告白シーンの感動につなげる構成はうまいと思うのだが、やはり目覚めた後のクーパー親子(ジェイミー・リー・カーチス、イライジャ・ウッド)との交流の部分にこの映画の良さを感じる。とくにナッドとのふれあいは微笑ましく、中でも好きな女の子への接し方を相談するあたりは思わずダニエルに対して良い父親だなぁと思わせてくれるのが良かったし、やはり二人で飛行機の操縦ごっこをするシーンも秀逸で、それがラストにつながる伏線になっているのも良い。恋人は既に死んでいて最終的にクレアと結ばれるのかと思わせる(初めて見た時はまんまとそう思ってしまった。サブタイトルの邦題で思いっきりネタバレしてるのに。)ミスリードも利いている。でも、やっぱり親子との交流を描いた中盤部分が良かっただけに、序盤20分と終盤がなんか違う映画のように見えてしまい、一体、この映画の主題は何だったんだろうと(もやもやするまでもないが。)見終わって少し考えてしまった。(2023年9月10日更新)[DVD(吹替)] 6点(2005-08-01 17:31:09)

1250.  AKIRA(1988) 《ネタバレ》 昔に見たときはとにかくストーリーのわかりづらさと一部のキャラクター(老化した三人の子供など。)の気持ち悪さだけが印象に残り、細かなところはほとんど忘れていたが、久しぶりに見てみるとストーリーはやっぱりよくわからないものの、そこまで難解というほどでもなく、(でも、たぶん原作の漫画を読まないと全部は理解できないかも。)キャラクターの気持ち悪さもあまり気にならなかった。映像的には冒頭のバイクチェイスシーンをはじめ、30年以上前の映画とは思えないほどの迫力で、作画もすごく、これを見ているだけでじゅうぶんに浸れるし、楽しめる。それにもっと暗い映画という印象も以前見たときには持っていたのだが、ところどころにユーモアもあり、決してシリアス一辺倒になっていないのもいい。金田のバイクが有名な本作だが、話にかかわる重要なアイテムかと思わせておいて全くそうではないのはご愛嬌かと。でも、確かにカッコよく、惹かれるものがある。第三次大戦後の2019年が舞台で、劇中では2020年に東京オリンピックが開催されるという設定なのが、実際に東京でオリンピックが開かれることになっている今現在に見るとなにか予知能力を持った人が考えた物語のように思えてしまうところにも、得体の知れない本作のすごさを感じずにはいれない。(まあ、偶然と言ってしまえばそれまでなんだけど。ちなみに本来開会式があるはずだった日にこれを書いてます。)なににせよ、アニメ界にとってエポックメイキングな映画だったことは理解できる。おっと書き忘れるところだったけど、芸能山城組の音楽もものすごく合っていてとても良かった。(2020年7月24日更新)[DVD(邦画)] 7点(2005-07-30 02:11:10)

1251.  うなぎ 《ネタバレ》 以前見た時は期待しすぎたせいかイマイチな感じがしたのだが、15年ぶりに改めて見てみるとそこまで悪くなかった。妻を殺した過去を持ち、仮出所後も刑務所で服役中に飼っていたうなぎにしか心を開かなくなった人間不信の男と、彼が偶然助けた自殺未遂の女の「人生の再生」を淡々と描いているのだが、やはり昔見たときはこのテーマが少々わかりづらかったのかもしれない。シリアスなストーリー展開だが、ところどころにあざとくない程度に笑えるシーンが盛り込まれていて見やすくなっているのもよかった。(人間不信の男が客商売の床屋を開くという矛盾も考えてみれば笑える発想だ。)今村昌平監督のカンヌでの最高賞受賞作といえば本作と「楢山節考」だが、個人的には本作のほうが「楢山節考」よりも好み。とはいえ「復讐するは我にあり」のようなギトギト感はなく、これはやはり今村監督の演出が丸くなっているのだろうなあと感じられる。(直球勝負の映画だった「黒い雨」よりはギトギト粘りのある映画だとは思うが。)冒頭の主人公が妻を刺殺するシーンは緊迫感とインパクトがあり、このシーンは印象に残った。今村監督の映画はあまり見ていないのだが、また機会があれば日活時代の若い頃の監督作も見てみたい。(2013年10月8日更新)[DVD(邦画)] 6点(2005-07-28 17:38:18)

1252.  續・姿三四郎 黒澤映画で唯一の正統派続編モノ。あんまり印象にないなあ・・・。[CS・衛星(邦画)] 5点(2005-07-27 17:17:54)

1253.  大冒険 クレイジー・キャッツの映画を見たのは初めて。この手の映画はストーリー云々はどうでもよくて、登場キャラクター重視の作品ばかりなので、評価も低くなりがち。この映画もあまり脚本が出来がいいとは言えない。しかし、この映画の見どころはなんといっても追っ手から逃げる植木等のアクション。バスター・キートンのような動きをして逃げまくる植木等がすごかった。かなり甘めだけど、植木等に完全に参ってしまったので、もうこれだけで満点つけちゃいます。[ビデオ(邦画)] 10点(2005-07-25 02:26:25)

1254.  眠狂四郎 勝負 《ネタバレ》 三隅研次監督が初登板となるシリーズ第2作。シリーズで初めて見たのがこの作品で、20年ぶりに見たのだが、この後のシリーズを何本か見ていると、(そんなに多く見たわけではないのだが。)雷蔵の狂四郎は確かに1作目ほどではないにしろ、まだ役をつかみ切れていない感じがするものの、話は1作目より面白く、また、今回のメインゲストとなる勘定奉行 朝比奈(加藤嘉)やおつや(高田美和)とのやりとりも楽しく、そこはそんなに気にならずに見れたし、三隅監督の映像美もシリーズで言えばこの後の「無頼剣」や「炎情剣」の方が今から見れば好みかなと思うものの、それでも三隅監督の映像美は今回ももちろん健在で、雪の降る中での五味龍太郎との対決シーンとか構図も美しく、思わず引き込まれてしまった。今回の狂四郎はお茶に薬を盛られたり、入浴中に刺客に襲われるなど、ピンチシーンも緊迫感というよりはどこか狂四郎の情けなさというのが出ていてそこにもどこか親近感のようなものが感じられる。さきほど書いた高田美和をはじめ、暗躍する女占い師を演じる藤村志保、悪役の久保菜穂子といった女優陣が充実しているのもこのシリーズらしいのだが、やはり、初めて見た時もそうだったのだが、朝比奈役の加藤嘉の飄々とした演技がとても印象的で、この役は今まで見た加藤嘉の演じた役の中では個人的には「砂の器」の千代吉に次いで好きかもしれない。(2022年5月23日更新)[CS・衛星(邦画)] 7点(2005-07-22 02:06:07)

1255.  男はつらいよ 寅次郎頑張れ! 《ネタバレ》 シリーズ20作目。食堂で働く幸子(大竹しのぶ)に失恋したと思い込んだ良介(中村雅俊)がとらやの二階で自殺未遂騒動を起こすシーンが最高だった。それにしても大竹しのぶも中村雅俊も若いなあ。[地上波(邦画)] 6点(2005-07-21 01:36:45)

1256.  ライジング・サン(1993) ここのページを見て、どんなにくだらない映画なのかと逆に見たくなってしまった映画。刑事ドラマとしては普通。だが、やはりショーン・コネリーの「フジャケルナ」とか、「ベリー、ベリー、オコッタ」などのたどたどしい日本語が妙に印象に残った。話題(?)の女体盛りのシーンで(予想はしてたけど)かなり脱力した。でもいちばん笑いそうになったのは「ハマグリ社」とかいう会社の社名。いくらなんでもそんな名前はないだろう。武満徹の音楽は良かったけど、洋画で日本的な尺八とかの音がするのはちょっと違和感があった。この映画がコメディー映画だったら7点くらいだけど、一応、まともなサスペンス映画として作られてるみたいなんでこの点数。[ビデオ(字幕)] 3点(2005-07-20 02:57:31)(良:1票)

1257.  座頭市(1989) 勝新による「座頭市」シリーズ最終作で、勝新本人が監督・脚本・製作も兼任するという相当な意欲作。シリーズとしてはテレビシリーズを経た久々の劇場公開作品ということもあってか、勝新の並々ならぬ意気込みが感じられる映画になっていて、勝新の座頭市への思い入れの深さも伝わってくる。勝新の殺陣はもうこの頃は晩年だというのにスピード感があり年齢を感じさせないほどの凄まじい迫力で、とても見ごたえのあるものになっているし、「座頭市二段斬り」に出演していた三木のり平(この人の起用はなんか嬉しい。)とのやりとりなども見ていて微笑ましく、かつてのシリーズのようにさりげなく笑えるシーンを挿入しているなど娯楽時代劇としてはじゅうぶん満足いくものになっている。しかし、昔、勝新の追悼番組でテレビ放送された際も見ている作品だが、大映のシリーズをほとんど見た状態で改めて見てみると妙な違和感を感じてしまうのも事実で、市を演じる勝新に貫禄がつき、一層渋みが増しているのはいいのだが、それがかえって市のキャラクターが大映のシリーズとどこか違うなと感じてしまい、また流血シーンのリアルさは黒澤明監督の「用心棒」や「椿三十郎」を意識してるのかもしれないが、「座頭市と用心棒」でも少し思ったんだけど今回はそれ以上にやりすぎ感があるような感じがするし、樋口可南子との濡れ場も大映のシリーズを見慣れているとかなり違和感がある。それに主題歌が英語というのもこのシリーズにはそぐわない感じがしたのが残念。とはいえ、さっき書いたように純粋な一本の娯楽映画としては存分に楽しめる出来になっているので見ていて退屈はしない。でもやはりシリーズとしては大映時代のもののほうが好きだな。(2009年12月17日更新)[DVD(邦画)] 6点(2005-07-18 21:20:34)(良:1票)

1258.  マルサの女2 《ネタバレ》 シリーズ第2作で伊丹十三監督の映画の中では唯一の続編映画。前作もこの間久しぶりに見ているが、以前に何回か見ていて覚えている部分が多く懐かしさを感じながら見れた前作に対して、この続編もテレビで昔一度見ているが、あまり覚えておらず、その分では新鮮な気持ちで見る事ができた。ただ、それは良いのだが、悪役として登場するのが地上げ屋や新興宗教といったスケールの大きな敵になっていて、その上、前作に権藤(山崎努)の電話の相手として名前だけ呼ばれた漆原(中村竹弥)をはじめとした国会議員も登場し、前作よりも社会性が上がっているが、前作にあったコミカルさが薄れ、どうしてもシリアスさが増していて、爽快感もないので、続編として見てしまうと微妙なのだが、あえて前作と違うことをやろうという伊丹監督の意図は理解できるし、マルサ側が負けて終わることで後味はよくないにしても、これが現実だというリアリティを見せつけられた気がした。でも今回はマルサ側よりも敵である新興宗教側に視線のウエイトが置かれていて、前半から雰囲気が重苦しい感じがするし、マルサ側の活躍も少なく、なにやら伊丹監督自身も力んでしまってる気がする。今回の悪役である鬼沢であるが、演じるのが三国連太郎とあって前作の山崎努のような軽妙さがなく、演技自体はもちろん上手いのだが、ただの憎たらしい悪役にしか見えずそこがちょっと残念で、最終的にも生き残る展開でないほうが良かったかも。管理課長役が小林桂樹から丹波哲郎に代わっているのも前作とは別人だろうけどなにか違和感を感じるが、しかし、この課長の見せ場となるシーンは丹波哲郎だからこその迫力と貫禄がある。テーマ曲も前作のものは使っておらず、新たに書き起こされた曲になっているのが凝っているが、しっかり前作を含めたイメージを壊さず違和感のない曲になっていてこちらもお気に入りだ。(2022年10月2日更新)[DVD(邦画)] 6点(2005-07-15 17:45:16)

1259.  タイムライン 《ネタバレ》 「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」に「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」を足したような内容なので新鮮味はほとんどないけど、思ったより面白かった。ただ不満なのはフランソワの扱い。みんなに「君が必要だ。」と説得されて同行し、あっけなく殺された挙句、その後は完全に忘れさられたような存在になってしまっている。あれだけ説得してたのは何でなんだ。[ビデオ(字幕)] 5点(2005-07-12 02:37:09)

1260.  瀬戸内少年野球団 《ネタバレ》 野球映画というよりは終戦直後の瀬戸内の島を舞台に、そこに暮らす人々の日常を描いているという感じで、女性教師と子供たちを中心にした物語であったり、瀬戸内の島の街並みも美しく撮られているなど今見ると篠田正浩監督は「二十四の瞳」をけっこう意識しているんだろうなと思ってしまうのだが、その女性教師役に夏目雅子というのがドンピシャにはまっていて、20年以上前に初めて見た時もそうだったのだが、やはり凛とした姿が非常に美しく、女優としてのうまさやオーラ、大人っぽさも感じられ、自信を持って好きな女優と言うことができるし、今後、夏目雅子のような女優は本当に二度と出てこないのではと思う。惜しくもこの映画が遺作となってしまったわけだが、とてもこの一年ちょっと後に亡くなるなんて思えないほど元気そうなのがまた切なく思えてくる。この映画はそんな夏目雅子の映画での最後の演技を見るだけでも価値があると思うし、個人的には今まで見た夏目雅子の出演作の役の中ではこの駒子先生がいちばん好きだ。本当にもっと長生きしていろんな作品に出て欲しかったと思う。さて、主軸となる子供たちのエピソード、中でもやはりメインとなる竜太(山内圭哉)、三郎(大森嘉之)、武女(佐倉しおり)の三人が織りなす恋物語、ベタな感じがするのは否定しないが、これが意外にも面白く見られたのは良かったし、なによりも子供たちが活き活きとしていたのが印象的で、それがこの映画の魅力の一つでもある。あと、出演者に関してもう少し書かせてもらうと、武女の父親役で伊丹十三が出ていて、この年に監督としてデビューしていることもあるので、本格的な俳優活動としてはこれが最後になるのかなぁと考えたりもした。それに夏目雅子の遺作であることはさっき書いたけど、駒子先生の義弟を演じた渡辺謙の映画デビュー作でもあり、彼がこの数年後に夏目雅子と同じ病気に罹ってしまうのは何の因果かとつい思ってしまう。渡辺謙は復帰して今も世界的に活躍しているが、これからも元気でいてもらいたいと切に願う。(2022年8月16日更新)[DVD(邦画)] 8点(2005-07-11 09:45:37)(良:1票)

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