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プロフィール
コメント数 2490
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1281.  ありふれた事件 《ネタバレ》 「どこがありふれんてんだよ!」という突っ込みは別ににしても、とてもよく出来たモキュメンタリーです。この手の題材になると私はどうしても『ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録』をどうしても想い出してしまうんですが、本作のブノワはヘンリーと違ってピアノを弾いたりして多芸で饒舌なので雰囲気は全然違います。ペラペラしゃべっていることはもっともらしいけど中身がないたわごとなんですが、ヘンリーとの最大の相違点はブノワにとって殺人とは生活の糧を得るための単なる手段であるということでしょう。つまり猟師が大自然の中で獲物を狩っている様に、都会で殺人を繰り返しているわけです。カネのためだけに無慈悲に人殺しをするというのもとんでもない話ですが、それでも『ヘンリー』よりは理解できるキャラではあります。彼の凶行を記録する撮影クルーたちも次第に犯行をともにするようになってゆきますが、これはクルーたちがブノワの自己分裂した魂の片割れみたいな存在にも見えてきます。でもその中でも一番狂っている様に感じるのはブノワのやってることを知っている恋人や友人たちで、あの誕生パーティのシーンは実にシュールで不気味でした。[DVD(字幕)] 7点(2015-01-03 22:37:21)

1282.  プレデター2 《ネタバレ》 またまた密林が舞台かと思わせておいて、カメラが進んでゆくとそこはLAでしたというオープニング・ショットは秀逸です。プレデターが熱い地域を好むみたいな前作からの設定もきちんとフォローしています。宇宙船の中に飾られているエイリアンのトロフィーをチラッと見せる遊び心も忘れていません。オリジナルより登場人物も多いしカネも掛けてますといった映像にもなっています。 でもなんか出来そこないのB級映画の様な雰囲気がぬぐえないんですよね。これはやはりダニー・グローヴァーをヒーローに持ってきたところに最大の原因がありますよ。だって銀河最強のプレデターを仕留めるのがおっさん暴力刑事と言うのはちょっと無理があり過ぎです、シュワちゃんならみんな素直に納得したと思いますけど。「続編では群れで出す」というモンスター系SFのセオリーはきっちり守ってますけど、あのお仲間登場シーンはほとんどコメディじゃないでしょうか。 だいたい、あんなデカい宇宙船が都市直下に埋まっていたことに気付かなかったなんて、LA市当局はどんだけ間抜けなんだよ![CS・衛星(字幕)] 5点(2014-12-31 12:57:13)

1283.  プレデター 《ネタバレ》 この映画も考えてみると『フロム・ダスク・ティル・ドーン』顔負けのハイブリッド・ムーヴィーなんですよね、バリバリのコマンド潜入アクションで始まったのがモンスターSFで終わってしまうんですから。シュワちゃんはこの映画のダッチ少佐が、“人間役”としては彼のフィルモグラフィの中ではベスト・アクトなんじゃないでしょうか。いやはや強いのなんのって、このキャラが後半のプレデターとの対決にリアリティを与えてくれます。部下たちも凄腕揃いという感じが良く出ていました。 何と言ってもこの映画のすごいところは、プレデターの事については最小限しか情報を観るものに与えない放置プレイに徹しているところです。プレデターの素顔にご対面したときの「醜いツラだ」というシュワちゃんの感想が全てを物語っているとも言えますが、それにしても気持ち悪いお顔です、このデザインをクリエイトした人には敬意を表したいぐらいです。さすがにこの映画を観ながら蟹とかシャコを食する気にはなれませんよね(笑)。 ラストでヘリの中でプレデターとの激闘に疲労困憊して呆けた表情を見せるシュワちゃんが印象的でした。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-12-29 20:27:40)

1284.  影法師捕物帖(1959) 《ネタバレ》 ご存知アラカンこと嵐寛寿郎の主演300本記念映画なんだそうです。300本も映画で主演するなんて現在ではとうてい考えられない偉業ですが、後年『神々の深き欲望』に出たとき今村昌平に「あなたは主演ばかりしてきたから人の顔をみて喋らない、自分のアップばかり考えてる」とこき下ろされたこともあったそうです。その酷評に「なるほど」と納得して演技に開眼したというから、アラカンという俳優は偉大です。 さてこの影法師は戦前から映画化されていたキャラみたいで、田沼意次の時代の鞍馬天狗みたいな義賊と説明すると判り易いでしょう。実際、色こそ派手ですが衣装は鞍馬天狗とほぼ同一で、孤児の少年を可愛がるというところも同じです。それにしても、まゆ毛のあたりから顎まで露出している頭巾がなんで覆面なんでしょうかね、顔もろバレじゃないですか。むかしから疑問なんです。 監督は新東宝唯一の巨匠(?)中川信夫です。記念大作と言ってもフォーマットが決まっているチャンバラ映画ですから、そりゃセオリー通りサクサクと観れます。室内での殺陣でカメラをグルグル回転させて撮ったり障子に映る影を強調させたりするところは、いかにも中川信夫らしさが出ています。新東宝の時代劇を観るといつも思うんですけど、現代劇の映画に比べるとセットや美術が格段に豪華なんですよね。同時期の東映チャンバラ映画にも引けを取らないんじゃないかな。 黒澤明が創造した斬撃音になれてしまっているので、どうしても50年代以前のチャンバラ映画には物足りなさを感じてしまうんですよね。でもアラカンの殺陣は実に華麗であることは確かです。[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-12-25 23:52:01)

1285.  黒部の太陽 《ネタバレ》 長い間封印されていて短縮版しか観れなかった伝説の映画だけに、こうやって完全版が鑑賞できるようになったことは素直に喜ばしいと思います。■観始めてまず感じたのは、現代の日本人の感覚からはかけ離れた(忘れられた?)価値観に満ち溢れているな、ということです。まず第一にあんな雄大な大自然を発破で吹き飛ばしトンネルを掘るなんてことには、いまのエコ重視の日本人には到底受け入れがたいことになるでしょうね。でも戦後間もなく貧しかったころには、電気のこない生活と言うのは個人にも企業にとっても死活問題だったことを無視してはいけないと思います。それは発展途上国では現代でも切実な問題で、“節電”に苦労するなんて昭和30年代に生きていた人々には想像もつかない贅沢だったんでしょうね。まさに「衣食足りて礼節を知る」と言うことです。■三時間超の映画ですが、こういうプロジェクトもの映画が陥りがちな説明映像で物語を進行させる愚は極力抑え、映像にストーリーを語らせる工夫を凝らしているところは大作映画らしくなく良かったです。ときには会話音や効果音をシャットアウトして三船敏郎や石原裕次郎の無言の芝居に映像を集中させるところなんかも良かったと思います。裕次郎の親父を演じた辰巳柳太郎がまた感情移入許させない様な激しいキャラで、この親子の葛藤はなかなかの迫力でした。■関電をはじめ参画した企業が全部実名で登場しているところも現在の日本映画界からは考えられない骨太さです。中でも滝澤修の関電社長は迫力がありました、熊谷組専務に手をついて頭を下げるシーンなんか、もう一筋縄ではいかない怪物財界人という感じでしたね。反面、史実では170人以上の殉職者を出したということには事実上映画では触れていないというのはどうかと思います、描かれた死者は三人(描写はないけど寺尾聡もその後死んでいるんじゃないでしょうか)だけですから。考えてみれば病死する三船敏郎の娘は、工事の成功のために山の神に差し出された人身御供だったと解釈することもできます。■全篇“土方”“労務者”といった放送禁止用語だらけのセリフなので地上波では放映は不可能でしょうね(笑)。でも、大手メジャーの手を借りずにこれだけの大作を撮りあげた石原裕次郎と三船敏郎の映画人としての功績は、伝説としてこれからも語り継がれてゆくことでしょう。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-12-24 21:45:03)

1286.  戦艦シュペー号の最後 《ネタバレ》 同じ英独の海戦をとりあげていても『ビスマルク号を撃沈せよ!』の様な悲壮感や滅びの美学といった要素は薄いですね。海戦が始まると英国側の視点だけになってしまうところはちょっと考えものです。予算や尺の関係かもしれませんね。 でもこの映画の凄いところは、4隻の英国とニュージーランドの巡洋艦のうち2隻は実際にラプラタ沖海戦に参加している実物で、他の2隻も艦形が良く似た準同型艦を使って撮影していることでしょうね。海戦映画は数あれど、その海戦に実際に参加した艦が出てくる映画って他にないんじゃないでしょうか。対するシュペー号は、もちろん現物は海の底なのでしょうがないですけど、米海軍の重巡セ―レムが演じていますがこれが全然シュペー号に似てない。セ―レムは重巡なのにポケット戦艦であるシュペーより大きいんですから困ったものです。ポケット戦艦という艦種は、巡洋艦より強武装だけど戦艦には太刀打ちできないというベルサイユ条約の制限下で建造されたドイツ独特の艦なので、艦隊戦をするには弱すぎて海賊みたいに行動して通商破壊戦をするのが精いっぱいだったんです。 この戦が第二次世界大戦での英独の初戦になるわけですが、双方とも正々堂々と戦ったというのがよく判ると思います。それが大戦が終わるころには互いに国際法を無視した壮絶な殺し合いになっていたというのは、実に皮肉なことです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-12-22 20:46:11)

1287.  ジェイコブス・ラダー(1990) 《ネタバレ》 この映画、オチはもろシャマラン監督のあれなんですけど、普通に観ていてこの主人公はベトナムで死んでいるんだなとかなり前半から判るように撮っています。その影響もあるんでしょうけど、ストーリーの展開がジェイコブの夢か麻薬摂取のバッドトリップなのかとも解釈できるところがこの映画の弱いところかと思います。でもその分かなり強烈なのはジェイコブの眼にする悪夢のような映像で、冒頭の亡者みたいな乗客が乗っている地下鉄が疾走するシーンはけっこうゾクっとしましたね。突然シェイクし始める亡霊なんか、後年に製作されたホラーで良く観たものですが、ルーツはこの映画だったんですね。ちょっととんでもない方向に暴走しそうだったところを上手くまとめました、と言う感じラストでしたね。たしかにエンターティメントとしてはこのラストしかあり得なかったでしょうけど、中盤のテイストでとことん突っ走っていたら映画史に残る様な傑作(というか怪作?)になっていた様で惜しい気がします。[DVD(字幕)] 6点(2014-12-20 23:17:03)

1288.  プロメテウス 《ネタバレ》 自らの手を離れた『エイリアン』シリーズが行き着くところまで行ってしまったので、原点と言うかマイナス点にまで戻って『エイリアン』を再構築したいわけですね、リドリー・スコットは。過去の『エイリアン』は暗い宇宙空間が主な舞台だったので、今度は地球型の惑星での探検物語にして荒々しい風景をリドリー・スコットの持ち味である映像美で見せてくれたところは良かったと思いますよ。ほんと冒頭の大滝のシーンといい、どこでロケしてきたんだろうと感嘆してしまいました。もっともいきなり宇宙人が出てくるこのシーンはけっこう謎なんですけど、この場所は宇宙人たちの母星なんじゃないでしょうか。ラストを観ればよく判りますが、スコットは続編を撮る気満々みたいですよね。とくにデヴィッドの謎めいた行動に次作への伏線を散りばめられているみたいです。リプリーに代わってノオミ・ラパスのエリザベス・ショウが強力なヒロインとなるんでしょうね。 一応あのクロワッサン型宇宙船の墜落で『エイリアン』第一作への橋渡しをしたつもりみたいですが、考えれば辻褄が合わないところも有ります。あの宇宙人ですが確かに大男と言ってよいガタイですけど、一作目で発見される死骸はどう見ても体長5メートルはあり比べるとだいぶ小さいと思うんです。そして彼は操縦席に座った姿で死んだはずなのに、プロメテウス号になぜか現れてエイリアンの餌食になるのはおかしいと思うんですがね。 本作で銀河一のブラック企業ウェイランド社の社長がついに登場しますが、彼の言動が思いのほか小物なので笑ってしまいました。はるか彼方の惑星まで出張って来たのは「不死になりたい」からだったとは、お前は始皇帝かよ!それにあんなミイラみたいに醜く老化してるのに永遠に生きたいなんて図々しいにもほどがあります(笑)。[DVD(字幕)] 7点(2014-12-18 21:59:15)

1289.  スターマン/愛・宇宙はるかに 《ネタバレ》 “愛”とか“ハート・ウォーミング”といったジャンルには縁遠いと思っていたカーペンター親父でも、その気になったら出来るんですよね。もっともこういうテイストの映画をカーペンターが撮ったのはこれだけで、おそらく今後も手がけることはないでしょう。 何と言っても素晴らしいのはジェフ・ブリッジスの演技で、地球人になり変ったスターマンをまるで知的障害者みたいな演技で表現するなんて素晴らしいアイデアです。いつものジェフらしい表情もほとんど見せないので、まるで違う俳優かと思うぐらいです。音楽もいつものようにカーペンター御大の♪ベン・ベン・ベンの重低音サウンドじゃなく、ジャック・ニッチェの美しいスコアを使っているのもグッドです。 ぶった切った様なラストはいかにもカーペンターらしさが出ていましたが、思いもよらずカーペンター映画でホロリとさせられるとこでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-12-16 23:02:16)

1290.  ミネソタ大強盗団 《ネタバレ》 『ライトスタッフ』のフィリップ・カウフマンの初期の監督作で彼が撮った唯一の西部劇です。と言っても、この人は『インディ・ジョーンズ』の原案者でもあり、元からウェスタン的な世界には思い入れがあったみたいに感じます。 さてこの映画は有名なジェシー・ジェームズとコール兄弟のミネソタ州ノース・フィールドで起こした銀行強盗事件の顛末がメインストーリーです。ジェシーを演じるのがロバート・デュヴァルと言うのがちょっとジェシー・ジェームズに対して私が抱いているイメージとはかけ離れているんですけど、なんせ後年にはブラッド・ピットが演じているぐらいですからイケメン男というイメージなんですよね。でも老け顔だけど素っ頓狂な奇声を発したりする過激な演技で、キルゴア中佐みたいな狂気をはらんだキャラをやらせるとこの人は上手いですね。ニューシネマ全盛期ですから正統派ウェスタンからはちょっとずれた雰囲気なんですが、全体にペキンパー西部劇の影響が強いみたいです。つまり文明化されてきたフロンティアで取り残されてゆく男たちの挽歌を見せてくれるということです。蒸気トラクターが町を走り、町民たちは流行りだしたばかりのベースボールに興じていて、クリフ・ロバートソンたちはそれにただ感嘆するばかりなのです。劇中故障していた蒸気オルガンが、ラストにクリフ・ロバートソンたちが町民たちに捕まって引き回されているシーンで突然音色を奏で出すところなぞ、ひとつの時代が終わって新時代の開幕を告げるファンファーレが鳴っているみたいでした。[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-12-12 20:59:52)(良:1票)

1291.  いそぎんちゃく “いそぎんちゃく”“くらげ”とくれば大映の軟体海棲生物シリーズ(なんちゅうネーミングでしょう)で一花咲かせた渥美マリです。このタイトルを見て「この映画は良い子が観ちゃいけないんだ」と子供心にも速攻で理解できる淫靡なネーミングでしたね。でもこの“いそぎんちゃく”はあくまで“礒の巾着(財布)”であって、渥美マリは肉体を駆使してひたすらカネをため込む女のお話しなんですね。まあ一種のピカレスク・ロマンみたいなもんですが、ここまで徹底してカネに執着する彼女の姿勢は、えげつなさを超越してカッコ良いと言えるところにまで昇華しています。演技力に欠ける彼女に無表情な芝居で全篇通させた演出は良い感じでした。通俗的なストーリーながらも淡々とした語り口の撮り方が好印象を与えてくれたので、プラス一点です。[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-12-09 21:56:56)(良:1票)

1292.  チェンジリング(1980) 《ネタバレ》 凄く怖い映画が観れるかと期待値大で鑑賞しましたけど、ちょっと期待外れでした。たしかに河に捨てたボールが家の中で転がっていたりする描写もあって見せかたに工夫はあるんですけど、お話しが進むにつれて私が怪談映画で重視している「訳のわからない恐怖」が薄れて行っちゃうのが残念なんです。刑事をあんな凄い技で殺せるなら、この霊なら核心人物をもっと簡単に誅することが出来るでしょうにね。あとジョージ・C・スコット、もうこの主人公が全然霊現象を怖がらないいつものスコットで、それどころか仕事をそっちのけで霊の復讐のヘルプに邁進しちゃいます。やはりこの人は悪魔と闘うエクソシスト見たいな役柄の方がお似合いですね。 どうも海外の怪談には日本と違って“ものの哀しみや哀れ”が希薄なんでどうも性に合わないんです。[DVD(字幕)] 6点(2014-12-07 23:54:02)

1293.  デンジャラス・ビューティー2 《ネタバレ》 ますますサンドラ・ブラックの一人舞台と化した感がある二作目、これで打ち止めになって『ビバリーヒルズ・コップ』みたいになれなかったのも納得の出来。まあこの人は自分がラブコメのヒロイン演じるにはちょっとトウが建ち過ぎているのは自覚してるみたいですけど、こういうカラダを張ったコメディに入れ込むというのはちょっと変わってますね。ストーリー展開もビッグ・バードの衣装をサンドラに着せるために無理矢理こじつけた様な強引さです。そもそも高利貸しが借金取り立てのために有名人を誘拐して大々的に身代金を要求するなんて、いくらなんでもありえなさ過ぎでしょう。犯人の兄弟もやってることがまるで意味不明でバカ過ぎです。脇役陣も前作に比べるとかなり格落ちしてるところもマイナスですが、ウィリアム・シャトナーだけは妙に可笑しかったです。[CS・衛星(字幕)] 3点(2014-12-06 22:59:14)

1294.  ブラックホーク・ダウン 《ネタバレ》 「あーる・ぴぃー・じぃー!!」、もう映画の中盤以降は米兵のこの叫び声が続いていた印象しか残りません。このRPGはナチス・ドイツが第二次大戦末期に開発した使い捨て対戦車兵器が発達した代物ですけど、ソ連のAK47(これもドイツの突撃銃が原型)と並んで20世紀後半の局地戦争の様相を一変させた驚異の発明品ですね、恐るべしナチ・ドイツ。もっともソマリアで使われたRPGは大部分は中国が売りつけたものらしいですけど。 リドリー・スコットに戦争映画を撮らせたらとんでもない映画になったという感じですかね。市街戦が始まってからはスコットらしい映像美は皆無で、ひたすら歩兵目線の地べたを這いまわるアングルで大銃撃戦が延々と描かれます。みんな血みどろの煤だらけで誰が誰だかもう判別不能、敵と味方の区別もつかなくなる市街戦の恐ろしさが伝わってきます。それでもジェリー・ブラッカイマーらしい臭みが随所に感じられてます。たとえばラストのレンジャーたちが駆け足でスタジアムに逃げ込む“モガディシオ・マイル”で、沿道に現地民たちが集まっているシーンがあります。私はてっきり彼らの身ぶり手ぶりからアメリカに対する抗議の声をあげているのかと思ってましたら、製作者の意図は逆で声援を送っている姿を見せているつもりだったみたいですね。 米兵の戦死者が19名、負傷者も合わせると100名近い損害と言うのも、多めに見ても作戦参加者は300人はいないと思われる感じなので凄い損害ですよ。民兵側にその10倍近い死者を強いたとは言っても、これはクリントン大統領にとっては痛かったでしょうね。観終わっての感想は「人の命は鴻毛のごとく軽い」の一語に尽きますね。今のシリアやイラクの戦争の状態をみても判りますが、人命を弾代わりに消耗出来る非対称戦争は仕掛ける側が無敵なのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-12-03 21:41:10)

1295.  モネ・ゲーム コーエン兄弟らしいトリッキーなストーリー・テリングでそこそこ笑えるんだけど、なぜか観終わっても印象が薄いんです、なんででしょうかね? キャメロン・ディアスがアラン・リックマンと一夜をともにしたのに、コリン・ファースとは何にもしないで終わっちゃうというハリウッド映画らしからぬ展開のせいですかね。でもあのサヴォイホテルでのいかにもコーエン兄弟らしいコテコテのギャグを、ズボンを脱いで軽妙に演じっ切っているコリン・ファースはさすが名優です。やはり最後のオチがイマイチ判りにくかったのがやはり自分には受けが良くなかった原因でしょう。 それにしてもアラン・リックマン、太りましたよねえ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-30 19:07:43)

1296.  ポール・ヴァーホーヴェン/トリック 《ネタバレ》 ポール・ヴァーホーヴェンと言えば、撮影中に拳銃をぶっ放したサミュエル・フラーと同じ様な無茶苦茶な映画監督というイメージがありますが、本作で観る限りは確かに感情表現は過多気味だけど喋っている内容はしごくまっとうかつ知的なので驚きました(まさか演技じゃないでしょうね)。“冒頭4分だけ脚本を書いておき、後は不特定多数の書いた脚本を繋ぎ合わせて映画を撮る”プロジェクトがしたかったなんて、思わず「お前はゴダールかよ」と突っ込みたくなりました。たしかに集合知で映画を撮るなんて斬新過ぎるアイデアではあります。 そして出来上がった映画ですけど、正直言ってこれが面白い、もう大笑いさせて頂きました。50分という中編なんですけど、エロあり、ちょっとグロあり、陰謀あり、そしてどんでん返しありと充実してました。女優たちはいずれも無名ながらちょっとエロい衆を揃えていて、ヴァーホーヴェンってこういうエロっぽい女優を見つけてくるのがほんと上手いな、とつくづく感心しました。でも具体的に脚本を繋いでゆく作業自体は映していないので判りませんけど、ほんとにこんなに上手にストーリーが繋がるもんなんですかね。そこは監督や編集の手腕の賜物なのかもしれませんが、ふとある疑念が自分の心に浮かんできました。実はこのプロジェクト自体がフェイクで、前半のパートは疑似ドキュメンタリ―(いわゆるモキュメンタリー)だという可能性です。映画の題名が“トリック”なのがどうも気になるんです、でもそうだったとしても良く出来たモキュメンタリーであることには違いありませんけど…[DVD(字幕)] 8点(2014-11-28 22:15:17)

1297.  ビッグ・アメリカン 《ネタバレ》 “ロバート・アルトマンがお送りする超大作!”って『ナッシュビル』みたいなおふざけの前口上が開幕早々流されます。でもポール・ニューマンが主演でバート・ランカスターも出ているなんて、カメオ出演多数の『プレタポルテ』や『ザ・プレイヤー』を除くとアルトマン映画史上もっとも格の高いスターが出演しているというのも確かです。西部劇の名作に多々出演している二人を起用しているからと言っても、そこはアルトマンの事ですから普通のウェスタンを撮るわけがありません。しかし、脂の乗り切った時期だけあってバッファロー・ビルのポール・ニューマンと言ったら、もう頭がクラクラするぐらいのカッコよさです。 アルトマンのことですから、ワイルド・ウェスト・ショーをモチーフにしてアメリカの建国神話を揶揄するという感じの映画だろうと想像して観ましたが、なんかそこら辺が中途半端で微妙な脚本ですよね。バート・ランカスターも狂言まわし的な役割かと思えばそうでもなく、この映画にはあんまし必要じゃなかったんじゃないでしょうか。けっきょくバッファロー・ビルとシッティング・ブルの対立というのがストーリーの軸となるわけですが、ブルの亡霊が現れるシークエンスでこの映画の主題を観客に訴えかけなければいけないところなのに、アルトマンはそこが全然盛り上がらないというヘマを犯してしまっているのが残念です。[DVD(字幕)] 5点(2014-11-26 18:10:13)

1298.  戦闘機対戦車<TVM> 《ネタバレ》 懐かしいっすね、たしか中坊ぐらいのときTV放映で観ましたね。その時は派手な戦争アクションかと思ったら子供の眼には地味な戦車と戦闘機の追っかけっこで、「なんじゃ、こりゃ」と大いに失望させられた記憶があります。40年近く経って見直してみると、アイデア一発勝負みたいなプロットながらも渋いところは渋く撮っていることを再認識いたしました。 ストーリー自体はスピルバーグの『激突!』を翻案したことは言うまでもないですが、戦闘機が飛びあがれなくなるまでのディティールが短いながらも丁寧に撮られているんですよ。戦車と追っかけっこが始まってからも、さすがにこれで30分以上も引っ張るのは映画としては無理があるのですが、元がTVムーヴィーだから上映時間自体が短いので程良い展開に収めることが出来てます。まああんなにノタノタ動き回ってる戦闘機に当てられないとは、この戦車の砲手は相当ド下手ということですが、そこはまあご愛敬ということで勘弁してあげて下さい。ラストの敵味方相まみえたところでの唐突な終わり方も、本家『激突!』へのオマージュのつもりみたいですね。 間違いなく言えることは、この映画のプロットはTVムーヴィー史上でも屈指の優れものだということでしょう。[DVD(字幕)] 7点(2014-11-23 22:58:47)

1299.  ブラック・レイン 《ネタバレ》 追悼、高倉健。この映画は日本人出演者の中では健さんよりも松田優作の方が今まで圧倒的に注目されてきてましたが、改めて観てみると随所にそれまでの高倉健のイメージを変える様な人物造形が見られます。上司に忠実な窓際族だったり、なんせあの健さんがヘンなサングラスをかけてレイ・チャールズのモノマネさせられるんですから、リドリー・スコットも怖いもの知らずです。対照的にマイケル・ダグラスはいつも通りで、『氷の微笑』の荒っぽい刑事と同一キャラを再登場させたのかと思いましたよ。 お話自体は前年に製作された『レッド・ブル』の設定を真逆にした様な感じがします。『レッド・ブル』と違って主人公の方が敵の母国に乗り込むわけですから、それだけ敵国たる日本の描写をどれだけ丁寧に撮れるかが映画の出来を左右するわけです。でもそこはリドリー・スコットはご覧のとおり自分のやりたい通りに大阪を撮っちゃってますが、センスが良いから様になってます。毎日自分が通勤で通っていた阪急梅田駅のコンコースが、あんな幻想的な映像になるなんて思いもよりませんでした。難波・十三・京橋・神戸とロケしていますが地元の人間が見ると確かに空間的にはおかしなところも有りますが、これはリドリー・スコット世界なんだから良いんです。でもクライマックスの田舎家の対決だけは風景からしてアメリカで撮影したことがミエミエだったのは残念でした。 ラスト、松田優作を殺さずに逮捕して府警本部に連行するところも普通のハリウッド・ポリスアクションとは一味違っていて良かったんじゃないでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-22 20:55:12)(良:1票)

1300.  ローマで起った奇妙な出来事 《ネタバレ》 ブロードウェイ・ミュージカルの映画化なんだそうですが、リチャード・レスターが監督だってことを差し引いてもかなり凡庸な出来でございます。愉しめるところと言えば、『プロデューサーズ』のゼロ・モステルの顔芸がたっぷり拝めるところでしょうか。こういうタイプのコメディアンは日本人には受けが悪いですが、私はなぜか好きなんですよね、この人。アカ狩りに引っかからなければもっとハリウッドで活躍できた人なんですけどね。 全篇スラプスティックなコメディの連続ですが、ほとんど泥臭いと言ってよいほどのセンスはいかにもリチャード・レスターらしいですね。ブロードウェイがネタ元とは思えないぐらいミュージカル・ナンバーもえらく少なかったですしね。でも偉大なるバスター・キートンが出ているので一点プラスです。セリフはありますが彼らしい寡黙なパフォーマンスは、終盤のドタバタ劇の中では「こんなの俺の趣味じゃないよ」と嘲っている様な気がしました。[ビデオ(字幕)] 5点(2014-11-20 21:40:55)

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