みんなのシネマレビュー |
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1321. 誘拐(1997) 《ネタバレ》 犯行動機や犯人像がなかなかわからず、公害訴訟という手がかりを得たのが1時間経ったくらい。 それまで身代金を持って走っているシーンが長すぎてだれる。 アイデアは面白く、真相には『オリエント急行殺人事件』を彷彿させる部分もある。 捕まる覚悟であの主犯のキャラなら、被害者仲間を共犯にしないために最初から単独で実行すると思うが、そこが少し矛盾しているようにも思えた。 復讐される側はされて当たり前という説得力をもって描かれているので、作り手の思惑通りに犯人を応援してしまう。 渡哲也というキャスティングが最大のカモフラージュ。[ビデオ(邦画)] 5点(2013-06-10 00:23:36)《改行有》 1322. バッファロー'66 《ネタバレ》 冒頭で刑務所から出てきて更には女を拉致する主人公は、どんな凶悪犯かと想像させる。 ところがこの男、賭けに負けた金を払えなくて犯罪者の身代わりをするハメになったオマヌケさん。 ダメ男にありがちな逆恨みで、賭けに負けたのはウッドのせいだと殺意を抱く。 ところが、ウッドを射殺して自殺のくだりがまさかの妄想シーン。 夢オチみたいな演出にはガッカリ。 結局、これといった盛り上がるストーリーではない。 ただ、会話はリアルで面白い。 実家での両親を含めた会話や、中学のときにフラれた女とバッタリ出会ったファミレスのシーンは秀逸。 主人公のカッコ悪さや中学生並みの頭の悪さが伝わってくる。 そんな男の良さをちゃんと見てくれる女もいて、ラストはハッピーエンドでめでたしめでたし。 ちょっとオシャレでちょっとハートウォーミングなラブロマンスに仕上がっている。[ビデオ(邦画)] 6点(2013-06-10 00:22:24)《改行有》 1323. レナードの朝 《ネタバレ》 以前に小説の『アルジャーノンに花束を』を読んだが、それとよく似ている。 臨床の経験がなく研究ばかりしていた医師の試行錯誤に生真面目な誠実さが見える。 覚醒して生の喜びを得た後だけに、再び症状を自覚したときの衝撃が倍加する。 病気が健康のありがたさを教えてくれるように、レナードの悲しい人生の追体験が生のあり方を教えてくれる。 普通に生きていることがどんなに尊いか、人生は喜びであり神からの贈り物――レナードの言葉が胸に蘇る。 レナードがポーラと別れのダンスで痙攣がおさまるシーンは感動的。 いつもながらロバート・デニーロの演技はさすが。 医師が彼女をコーヒーに誘ったラストは、レナードから学んだことが端的に表れていて後味の良い映画になっている。[ビデオ(吹替)] 9点(2013-06-10 00:21:17)(良:1票) 《改行有》 1324. 心の旅 《ネタバレ》 銃撃後の記憶障害で全く別の人格となってしまったことによる周囲との関係性の変化や以前の自分への違和感をうまく描いている。 以前の自分の姿を知れば知るほど幻滅し、最後は良心に従って以前の自分とは真逆の行動を起こす。 いかにもハリウッド映画らしい、家族を大切にするヒューマニズムにあふれたわかりやすい作品。 ベタなので展開も読めてハッとすることもないが、「いい話」として安心して楽しめる。[ビデオ(吹替)] 7点(2013-06-09 02:22:30)《改行有》 1325. Love Letter(1995) 《ネタバレ》 ストーリーはご都合主義が気にかかる。 藤井樹ってありふれた名前でもないのに、同じクラスに同姓同名の男女という偶然。 そういうのは同じクラスにしないような配慮がされるものなのに、3年間も同じクラスに。 亡くなった藤井樹と恋人だった渡辺博子が、もう一人の藤井樹とうり二つ。 初恋の相手とそっくりな博子と出会ってまた好きになったとしても、ありえない設定。 乙女チックなメルヘンの奇跡を見せられているようで、なんだか気恥ずかしくてお尻がムズムズする。 でも、中山美穂が一番かわいかった頃。 映像美に加えて、中山美穂と酒井美紀の魅力ですべてが許されそう。 中山美穂が演じる二役だが、最初は渡辺博子がメインだと思っていたが、実は初恋物語の藤井樹のほうがメインだった。 ラブレターも博子が樹に宛てた手紙のことかと思っていたら、ラストの図書カードにもかかっていた。 図書カード遊びはいったい何が面白いのかと不自然に感じていたが、そのアイデアを使いたいがための前フリだったわけだ。 そうしたことをあざといと気になると、感動できなくなるのだろう。[ビデオ(邦画)] 5点(2013-06-09 02:17:59)(良:2票) 《改行有》 1326. リダクテッド 真実の価値 《ネタバレ》 序盤は後半の異常な事件との対比を出すためにあえて単調に撮っているようだが、眠くなってくる。 ドキュメンタリーの体裁をしたフィクションだが中途半端でかえってウソっぽく感じられた。 完全にドキュメンタリーにするかフィクションにするか、どちらかに徹底したほうがよかった。 実際にあった事件が元になっているし似たようなこともたくさんあったのだろう。 でも、本物に見せかけたヤラセを見せられているようで、少女レイプ一家惨殺に至るリアルな狂気が今ひとつ伝わってこない。 むしろ事件発覚後の事情聴取での自己弁護に、醜い人間の本性が浮き彫りにされていた。[インターネット(字幕)] 4点(2013-06-09 02:11:44)《改行有》 1327. レオン(1994) 《ネタバレ》 奔放な少女に翻弄されるレオンがかわいく見えてくる。 無慈悲に人殺しを重ねてきたレオンが、調子を狂わされていく様子が楽しい。 結局、マルチダと関わらなかったらレオンが壮絶な死を迎えることもなかった。 他人からみればマルチダが疫病神にも見えるが、それでもレオンは人間らしい心を取り戻して幸せだったのだろう。 命をかけて少女を守ったレオンが切なくカッコいい。[DVD(字幕)] 8点(2013-06-09 02:08:01)(良:1票) 《改行有》 1328. リリイ・シュシュのすべて 《ネタバレ》 荒廃した中学生の実態として、レイプ、売春強要、恐喝、イジメなど刺激的な問題が描かれてもいるが、リリイ・シュシュに関することがよくわからない。 エーテルがどうのこうのとのくだりは、自己陶酔した痛い詩人か中二病を見るようで、こっちが恥ずかしくなってくる。 理解不能の世代のようでもやもやが残るが、それも作り手の思惑通りか。 なんだかわからないながらに、思春期の暴走や屈折、不条理などどうしようもない負のエネルギーを感じて、退屈はしなかったが。 学生時代にこうした陰湿で残酷な空気に触れた経験があるかないかで感想もずいぶん違ってきそうな作品。 自分には経験がないので、あまりピンとはこなかった。[ビデオ(邦画)] 6点(2013-06-09 02:02:48)《改行有》 1329. イングリッシュ・ペイシェント 《ネタバレ》 面白くないわけではないが、アカデミー賞作品賞に値するかはちょっと疑問。 規模の大きさと映像美は感じるが、まるでハーレクインロマンスのようなストーリー。 大火傷を負ったイギリス人患者が、失われた記憶を辿っていく過程で、不明だった人間関係やスパイ活動などの真相が明らかになっていく。 そこにサスペンス性はあるのだが、テンポが悪くて緊張感がなかなか高まらず、冗長で散漫な印象を受けてしまう。 妻の不倫に勘付いたジェフリーが、飛行機でアルマシーに心中覚悟で突っ込んだあたりからやっと面白くなった。 アルマシーがドイツに地図を売ったのはやむをえないことで、砂漠の洞窟でひとり死んでいったキャサリンとの悲恋が切ない。 だからこそ親指を失ったカラヴァッジョもアルマシーへの復讐する気が失せたのだろう。 ただ、その命がけの愛が不倫で、どうしてそこまで深く愛し合ったのかの描写が不足しているので、その分共感しにくいのが難点。 また、全体にテンポアップしてハナの恋愛エピソードもカットすれば、160分の長尺をもっと短くできたはず。 ハナがアルマシーの意図を汲んでモルヒネの量を増やし安楽死させてあげたのは、結末としては良かったと思う。[ビデオ(吹替)] 5点(2013-06-09 01:59:10)(良:1票) 《改行有》 1330. アンカーウーマン 《ネタバレ》 使えない女性レポーターがプロデューサーに育てられて人気キャスターに成長する。 よくあるサクセスストーリーで、目新しさは何もない。 ウォーレンのプライドの高さが邪魔をしてなかなか仕事にありつけないことが、ラストへの伏線になっている。 刑務所の暴動のライブ放送は、ウォーレンとの緊急共同作業がうまくいき、夢だったメジャーへの飛躍へとつながった。 夫のパナマでの死に打ちのめされながらも、タリーの内にウォーレンは生き続けるのだろう、バッドエンドにはなっていない。 展開に起伏がしっかりとあり、物語としてまとまってはいるのでそれなりに楽しめる。[ビデオ(吹替)] 5点(2013-06-08 00:23:31)《改行有》 1331. 地雷を踏んだらサヨウナラ 《ネタバレ》 実在の人物がモデルだが、主人公の戦場カメラマンに共感できない。 動機がよくわからないからだ。 子供の遺体撮影を激怒するおばさんがいたが、そちらの気持ちならよくわかる。 正義感や使命感、ジャーナリズム精神などといえば聞こえはいいが、どうしても空々しく聞こえる。 戦争に対する怒りよりも、いいショットが撮れたとの興奮が優先して見える。 金や功名心を臭わせるシーンもあったが、人が命を落としている場面をカメラに収めて回る姿に腹立たしさを覚える。 共感できない主人公の行動を淡々と追われても、見ていておもしろくない。 なぜアンコールワットを目指したのかが伝わってこないので、それを目の前にした姿を見ても感動も何もない。 戦争の巻き添えになったとしても、リスクは承知の上だろうから自己責任としか思えない。 下手に反戦やヒロイズムに脚色して主人公を美化したりはしていないので、リアルさだけはある。 地雷で吹き飛ばされる子供や簡単に人が殺されていく様子に、戦争の実態、狂気を感じる。 それだけになお、そこへ自ら好んで身を置くことがわからなくなる。 「自分探し」をするにはあまりに危険な場所なのに、自分は大丈夫という思いがどこかにあったのだろうか。 「地雷を踏んだらサヨウナラ」という言葉とは裏腹に、死を自らに降りかかる現実として受け止めていないようにも見えてしまう。[ビデオ(邦画)] 3点(2013-06-08 00:16:42)《改行有》 1332. ホーム・アローン わかりやすくてファミリーで楽しめるコメディ。 予想を裏切らない展開なので、刺激と毒気が欲しい人には物足りないかも。[地上波(吹替)] 5点(2013-06-08 00:15:25)《改行有》 1333. Lie lie Lie 《ネタバレ》 豊川悦司の抑揚のない饒舌が、詐欺師の胡散臭さをうまく醸し出している。 息を吐くようにウソをつくキャラがピッタリ。 その友人に振りまわされる佐藤浩市も適役。 ペイシェンス・ワースの自動書記の再来とのデタラメ話で幽霊が書いた本として売り出そうとするが、鈴木保奈美扮する編集者には通用しない。 そこから編集者も詐欺に加担する展開になるのはいいが、大ヒットの結果となるまでに説得力のあるエピソードが欲しかった。 三人のキャラには惹かれるが、ストーリーにやられた感じがせず、少し盛り上がりに欠ける。 詐欺師の話なんだから観る人も気持ちよく騙してくれるのかなと思ったが、そういう物語ではなかった。 ラストはペイシェンス・ワースがおりてこなくなったという波多野が、自分の言葉をキーボードで打って美咲に愛の告白。 ちょっとオシャレなラブコメに仕上がっている。 原作は中島らもの小説、監督は中原俊というのは、なかなか意外性のある面白い組み合わせだった。[ビデオ(邦画)] 5点(2013-06-08 00:14:06)《改行有》 1334. es[エス](2001) 《ネタバレ》 実際に行なわれた心理学の実験を元にしているだけに、人間の心理がよくわかる。 映画では実験結果が誇張脚色されているが、戦争、権力者による弾圧、虐待、イジメなども原理は同じだろう。 ごく普通の人間が置かれた状況次第で簡単に狂気に走る。 しかも狂気だということを自覚していないので始末が悪い。 性悪説をとりたくなるような人間の負の部分が強調されるので、後味はきわめて悪い。 ワキガやアレルギーなど一番デリケートな部分に触れることで対立する立場の相手にダメージを与える。 屈辱を受けたほうは更なる屈辱を与えて報復することで、どんどんエスカレートしていく様子がリアル。 客観的にみれば虐待でも、当人は秩序の維持などを理由に自己正当化するので罪の意識は起きず抑制がきかない。 集団心理も自浄機能をマヒさせている。 例え良心の呵責に目覚めて異を唱えるものが出てきても、それは裏切り行為として糾弾されてしまう。 コントロール下に収めていると信じていた教授たちでさえ暴走は止められず、思い上がりに過ぎないことが露見した。 主人公の新聞記者が記事のためにあえて緊張状態を作り出したことも騒ぎの沈静化を妨げた。 こうしたメカニズムは、確かに貴重な研究材料となりうるのだろう。 心理学に興味があるなら、見て損はない。[DVD(吹替)] 7点(2013-06-08 00:12:25)(良:2票) 《改行有》 1335. サイコ(1960) 《ネタバレ》 サイコスリラーのエポックメイキング的な作品ということで評価が高くなるのは当然か。 大金を持ち逃げした女が、宿泊先のモーテルでサイコキラーの生贄になる。 持ち逃げ事件と殺人事件が絡まって、両事件に何か因縁があるのかと思えばそうではなく、ラストの衝撃的なネタばらしへとつながっていく。 当時としては斬新で驚きの展開と結末だったろう。 今見ても十分おもしろいが、二重人格や多重人格を用いた類似の作品がその後いくつも出ているのでインパクトは薄れている。 バスルームの有名な殺害シーンは、見えそうで見えない裸と排水口に吸い込まれていく湯に血が混じっていくのがやっぱり印象に残る。[DVD(字幕)] 7点(2013-06-08 00:10:53)《改行有》 1336. スワロウテイル 混沌とした無国籍状態の世界観が、当時の邦画では新鮮でおもしろかった。 警察の遺体置き場で勝手に葬儀を始める移民たち。 社会の底辺でドブネズミのようにうごめきながら生きている姿が逞しい。 闇社会の抗争で、江口と渡部のアウトローぶりがクールだった。[ビデオ(邦画)] 8点(2013-06-07 00:52:01)《改行有》 1337. 大誘拐 RAINBOW KIDS 《ネタバレ》 お婆ちゃんが誘拐犯の身代金を吊り上げるのが面白い。 途中から少し頼りない三人組に知恵を与え、犯行を主導するお婆ちゃん。 黒澤映画の名作『天国と地獄』は社会性が高かったが、岡本喜八監督の本作はエンターテイメント性が高い。 体重激減からガンかもしれないと思い込み、死んだら自分の財産が国に奪われることに思いが至る。 戦争で三人の子供を国に奪われたことが伏線となっており、誘拐されたのを利用して国へのリベンジともいえる。 犯人は三人とも欲がなく分け前を放棄したり堅実な生き方歩き出したり、誰も傷つくことのないハッピーエンドなメルヘンに仕上がった。 北林谷栄ありきの映画で、その存在感はすばらしい。[ビデオ(邦画)] 7点(2013-06-07 00:17:01)(良:2票) 《改行有》 1338. ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 「帰れって言われて帰るようなヤツははよ帰れ」 泣きながら恒夫を叩くジョゼがいじらしい。 池脇千鶴、上野樹里、江口のりこと、恒夫を取り巻く女性たちが個性的でいい味を出している。 ジョゼの施設仲間のヤンキーもバカっぽくておもしろい。 実家にジョゼを連れて行く道中で、現実のギャップを肌で感じてひるんでしまった恒夫。 ジョゼが海が見たくなったからと行き先変更の指示をしたのは、その気持ちの変化を敏感に察知したからだろう。 別れを予感しながら「お魚の館」というラブホテルで愛し合う二人の姿がせつない。 愛する人と一緒に見たかった魚は水族館が休みで見ることができず、ホテルで見たのは壁に映し出された虚像の魚。 サガンの小説にあるジョゼとベルナールの話は、二人の別れを予知していたかのようだ。 前の彼女に乗り換えてジョゼのもとを去る姿に、恒夫のずるさが浮き彫りになる。 涙を流してはいるが、それさえも軽く感じる。 障碍者とパートナーになることを本当の意味でわかっていなかった。 覚悟もなく中途半端なやさしさで付き合ったのと同じ軽薄さだ。 ドライな選択をしながら号泣したのも、自分自身に免罪符を与えようとしたともとれる。 一番傷ついたはずのジョゼが、ふっきれたように淡々と日常を送っていたのが救い。 人間を描けているいい映画だとは思うが、主人公を好きになれないということはどうしてもマイナス材料になる。[地上波(邦画)] 6点(2013-06-07 00:14:18)(良:2票) 《改行有》 1339. ジュマンジ ボードゲームで遊んでいるとサイコロの出た目に止まったメッセージ通りの不思議なことが巻き起こる。 子供にウケが良さそうで大人も楽しめる内容のため、家族連れで映画館で観るのに最適。 ビックリ箱のような映画。 今回たまたまテレビでやっていたのを久々に懐かしく見たが、やっぱり以前みた映画館の迫力とは違った。[映画館(字幕)] 5点(2013-06-07 00:12:30)《改行有》 1340. うなぎ 《ネタバレ》 妻が自宅で不倫中に踏み込んで殺害した男だが、その後は人間不信でうなぎが話し相手。 なんとベタな心の閉ざし方の表現だろう。 その男の前に、妻子ある男との恋愛が原因で自殺未遂をした女が現われる。 よくあるパターンで二人は惹かれていくが、うなぎと重ねて描いているのが切り口として変わっている。 赤道まで旅をしたウナギは、そこで誰の子かわからない子を産み落とす。 そんなうなぎの話をする男には、女の腹の中にいる他人の子を育てる覚悟が見える。 しつこく付きまとうムショ仲間の柄本明が、思わず主人公に肩入れしてしまうほどのウザさ。[ビデオ(邦画)] 5点(2013-06-07 00:11:18)《改行有》
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