みんなのシネマレビュー |
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121. トリプル・リベンジ 《ネタバレ》 見応えのある正統派刑事もの、といった風情です。ただ、ここで言いたい「正統派」はどっちかっていうとテレビドラマ的な見応え感に基づくもの。重厚で骨太のドラマと言うより、いろいろ仕掛けを施して謎が謎を呼ぶ的、二転三転ありきに作り上げたって感じの物語かなと。 特にTVMの方が劇場版より軽いとか薄いとか言うつもりはサラサラありませんが、どうしても劇場版であるからこその見応えは求めてしまいがちでして、そういう意味でちょっと物足りなさを感じてしまった次第です。裏切り感が見え見えだったり。それと、主演のカールさんを「スタートレック」より「THE BOYS」のイメージで見てしまったのも一因かもしれません。もっと凶暴に!みたいに。 贅沢なキャスティング、二転三転のスリリングな展開、十分面白いと思います。私の理解力が足りないせいか邦題が何で「トリプル」なのかイマイチ解らないのですが、決して退屈する余裕のない1本だと思います。が、何かあと一歩物足りなさを感じてしまうところが減点要素です。[インターネット(字幕)] 5点(2025-02-06 14:32:41)《改行有》 122. インフィニット・ストーム 《ネタバレ》 実話ベースと聞いてビックリするばかり。まさに決死の下山。てか生きてるのが不思議なほどのダメージに次ぐダメージ。個人的に登山の趣味がないので解りませんが、人間はこんなにも強いのですね。 そして明かされるヒロインを襲った過去の悲劇。なんとなく悲劇の内容は予想出来ました。冒頭、愛娘たちの愛くるしい姿に何故かうなされる彼女。寒風吹きすさぶにも関わらず窓を少し開けて寝ている。あぁもしかして火事かガス漏れか。予想させられるカットはありました。 一方、ジョン(仮)の胸に抱いた悲しみも予想出来るものでした。最愛の人を失った。自分も彼女のところに行きたい。迎えに来て欲しい。吹雪の山頂に軽装で佇み下山を拒む姿から見て取れました。 きっと二人は命からがら下山し、お互いの哀しみを語り合うことで前向きに人生を歩んでいくのだろうな。そんなことを思いながらの鑑賞でした。 つまりは、基本的には想定内に展開していく物語。そういう意味では「面白さ」には欠けるのかも知れません。ただし、これは実話だと言う。決して手に汗握る山岳アクションアドベンチャーフィクションではない訳です。だからこその感動でした。 ヒロインのナオミさんの演技は今更言うまでもなく、今回も素晴らしいものでした。少々年齢を感じさせるようになった風貌は年輪を重ねて魅力的ですし、命からがら帰宅して冷たいピザをビールで流し込み全裸になってバスタブに浸かるシーンは命そのものを感じさせてくれるものでした。そしてジョン(仮)役のビリー・ハウルさんもいいですね。死にたいけれど生きていたい、生きたいけれど死んでも構わない、そんな矛盾する心の動きが息も絶え絶えの表情の中に表現されてました。 少々地味な作品ではありますが、見応え十分の感動作でした。[インターネット(字幕)] 8点(2025-02-06 13:59:06)《改行有》 123. 禍里荘 《ネタバレ》 短い尺の中にいろいろと盛り込まれていることもあり少々解りにくい作品。 主なところとしては、 ・禍里荘105号室はゴミ部屋になっていて人の気配はないが家賃は滞納していない。 ・105号室にはゴミ以上に特定のブランドの生活用品が箱で積み上げられている。 ・ヒロインは父親の死去により禍里荘を相続した。(妹の相続分は不明) ・妹はヒロインと違って感情に左右されずに合理的に考える。 ・ヒロインは105号室の住人と面識がない。 ・ヒロインの父親は何らかの詐欺にあっていて犯人側はヒロインを新たなターゲットにしている。 ・謎の男がアパートの近辺をうろついている。 ・見知らぬ男が訪ねて来て父親から恩を受けたと言う。 ・しかし、男の語る父親はヒロインの知る父親像と齟齬がある。 そんなところですね。観ていて分かりにくいという程ではないのですが、総じて見ると少々散らかり感があると言うか、不都合な部分は描かれていないと言うか…流れ的には仕方ないとは思いますが。 結局、訪れた男は父親の知人に成り済ました詐欺グループの下っ端。正義の味方は105号室の住人。元々は彼が詐欺の被害者で父親は優しさ故に巻き込まれていた。で、父親譲りの優しいヒロインは被害に遭わずに良かったね、というお話。 尺の短さもあって面白くないとは言いませんが、正直なところムリムリまとめた感じは否めない1本でした。[インターネット(邦画)] 5点(2025-02-06 13:25:24)《改行有》 124. 彼方に 《ネタバレ》 まさか!と思いつつも、短編作品だけにその一瞬はあっという間に訪れてしまいました。 理不尽な事故や犯罪によってもたらされる悲劇は途絶えることなくニュースから聞こえてきますが、この作品を観る直前にも連続してそのような事故・事件が起きました。それだけにリアルに映像化された悲劇は衝撃的です。主人公を襲った哀しみと喪失感は到底想像出来ません。 そんな絶望の淵にあって、家族との別れを契機にそれまでの生活に別れを告げながらも、新たな職としてタクシードライバーを選んだダヨは、人との触れ合いだけは失いたくなかったのかも知れませんね。 そして、結果としてその職業を選んだからこその出会いを果たす。それは自らの家庭には決してなかった家族関係。否、あったのかも知れない。見えていなかっただけかも。更には見ず知らずの彼に助けを求める少女。泣き崩れるダヨ。 彼はこれからどうやって生きて行くのか?好ましからざる家族関係を見せつけられた彼は、自らの幸せだった日々を思い出さずにはいられないはず。それは彼に未来を見せるのか?それとも更なる喪失感をもたらすのか? 鑑賞後、様々考えさせられた佳作でした。ただし、実際にこのような事件に出遭ってしまった人には、冒頭の悲劇シーンは厳し過ぎる気がします。他の演出はなかったのか?そこも考えさせられました。[インターネット(字幕)] 6点(2025-02-06 12:08:34)《改行有》 125. キャンバス 《ネタバレ》 誰よりも愛していた妻に先立たれた悲しみから、愛する妻の肖像画を描き上げることが出来なくなってしまい、アトリエを封印してしまった老人。寝床には今も妻の枕が置かれたまま。時折訪ねて来てくれる愛娘と孫娘は彼の心を癒してくれるものの、妻を失ったことによる喪失感は決して満たされない。 初老の身となった自分と照らし合わすと、老人の哀しみが直接的に伝わって来ていたたまれなくなります。老人、愛娘、孫娘、そして思い出の中に登場する愛妻。それぞれの表情がいいですね。台詞以上に語ってくれます。 絵の大好きな孫娘が封印された部屋に入り込み、そこで未完の肖像画を見つけ、老人は怒りにも似た感情を抱きながらも純粋な孫娘の「続きは描かないの?」という無言の問い掛けに戸惑いながら応える。それをそっと見守る愛娘。ここには意外性は全くありません。ある意味予定調和そのものといった展開。それでも感動します。激しいアクションや派手な演出とは全く無縁のアニメ。静寂の中から雄弁に語りかけて来る佳作でした。[インターネット(字幕)] 8点(2025-02-06 11:41:54)《改行有》 126. 寫眞館 《ネタバレ》 短い尺の中に凝縮されて描かれる各時代の潮流に翻弄された喜怒哀楽。殆ど心を開こうとしない少女が、何十年も経た後に年老いた写真館の主人にやっと見せてくれた笑顔。ただし、直接ではなく一枚の写真を通して。劇中にはそんなシーンは登場しませんが、現像してネガから浮かび上がって来た彼女の微笑みに、主人は残り少なくなった人生を飾るに相応しい最高の喜びを感じることが出来たことでしょう。 奇を衒うような展開は一切なく、ある意味予想通りに展開していく物語。きっとそうなるだろうな、あぁなるだろうな、と容易に予想可能ながらも感動させてくれるという、短編ならではの佳作でした。[インターネット(邦画)] 8点(2025-02-06 11:20:37)《改行有》 127. バクラウ 地図から消された村 《ネタバレ》 なんとも取っ付きにくいと言うか、何を言いたいのか解らずじまいの作品でした。 バクラウというのは架空の村なんですね?どうも脳内では馬喰と変換してしまう。(すいません、オヤジギャグは思いつくと言わずにいられなくなるもんでして) その小さな村が何で水資源の利権を持っている?民兵組織は近隣市の市長と結託して水資源を狙っている?違法行為あるあるの民兵組織なのに何で襲撃はして来ない?村人は市長を受け入れないのに寄付は貰うし娼婦を提供するのは何故?市長が個人的に武装グループを雇ってるということは民兵組織を出し抜いて水の利権を手にしようとしているから?なにもかもが良く解らないままに進んでいく感じ。 よくよく考えたら登場人物も何だかよく解らない。冒頭帰村するテレサはヒロインかと思いきや思いっきり脇役だし、ギャングのルンガの立ち位置もシンプルなようでいてよく解らないワケアリ感に満ちているし。挿入意味不明な全裸シーンとかセックスシーンとか、貧しい村の印象なのにスマホやタブレットや大型テレビの普及率が高かったりとか、全裸夫妻が自動翻訳機使ったりUFO型ドローンが自由に飛び回ったり…あぁ何もかもやっぱり解らんです。 結局、この村は昔から自分たちの身は自分たちで守るんだという高い自立意識のもとに存在していて、守り切る度に記念品を博物館に飾って来たのです。村人にいろんな職業の者がいるけれど善人ばかりです。これからも頑張ります。みたいな物語だったのか…。 何やら1960年代とか70年代の作品的なオープニングからキャスト紹介し始める時代錯誤感と、予告編から受け取れるSFホラー感と言うか不思議感に期待したものの、妙に後味の悪い作品でした。もうちょっと短い尺なら印象変ったかも知れません。[インターネット(字幕)] 4点(2025-02-04 10:04:43)《改行有》 128. ペンギンが教えてくれたこと 《ネタバレ》 これは実話なんですね。突然の事故で下半身の自由を失ってしまった女性。仮令誰であろうと絶望の淵に立たされてしまうであろう状況。まして、人一倍アクティブに人生を謳歌していた人物だった彼女にとって、突如陥ってしまった人生の激変には到底対応出来なかったことでしょう。 そこに舞い降りた一羽のカササギ。どの程度カササギ自身の演技で、どの程度VFXを活用しているのかは知りませんが、自称トリ馬鹿の私としては、その一挙手一投足を見ているだけで至福。いや、本当に自然。大好きナオミさんの白熱の演技、ウォーキングデッドのリックでお馴染みリンカーンさんの静かな存在感、子どもたちの自然な演技等々、観るべきものは沢山散りばめられている作品ですが、個人的にはこのカササギの演技?に参ってしまいました。 そして、物語的には一羽のカササギが窮地に陥った一家を救うみたいな流れですが、紛う方なくサムを始めとする家族一人ひとりの自らの力によって立ち直っていく、否、以前以上に固く結び付いていく物語。エンドロールで流れるモデルとなった家族の姿も含め、大いに感動した1本でした。トリ馬鹿なので贔屓目に+1点です。 ちなみに、行方知れずとなったペンギンが相方を連れて帰って来るという伏線回収的なベタなオチがなくて良かった。実話だからこそかもしれませんが、そのあたりの演出にも好感。[インターネット(字幕)] 9点(2025-02-03 09:41:42)《改行有》 129. イラックス 《ネタバレ》 ニーナの家庭環境やオパル叔母さんとの関係性については殆ど説明なしで物語は始まりますが、本の中から飛び出して来たモンスターと二人で力を合わせて戦っていく姿を見るうち、語られることのない物語の背景が浮かび上がって来ますね。言葉としては決して多くを語らない作品ながら、脚本と演出には大いに惹かれるものがありました。 モンスターの出来映えは正直言って如何にも低予算的ではありますが、そんなことは気にせずに楽しめる作品。ネットフリックスのショートフィルムは充実しているなぁと思わせてくれる1本でした。[インターネット(字幕)] 7点(2025-02-01 22:33:29)《改行有》 130. 警察と泥棒 《ネタバレ》 後を絶たない警察による人種差別的な事件への批判、ストレートに糾弾するショートストーリー。ひとりの黒人青年が町を走りながら独白する7分間。遠く離れた我が国でも元になった事件については報道されていただけに、短い尺でも言わんとしているテーマは明確に伝わります。スタイリッシュな編集・演出が悲劇性を逆に際立たせている作品でした。[インターネット(字幕)] 7点(2025-02-01 22:12:20) 131. スペースボール 《ネタバレ》 やっぱりアメリカン・コメディはこうでなくっちゃ!というベタなコメディ。(誉め言葉です)邦画コメディとは大いに異なる味わい。個人的には大好物です。 パロディとしては殆どがSW関係で、終盤を除けば他作関係はほぼ無しという潔さ。他作は最後の最後にまとめてパロってる感じでしょうか。 下ネタやグロネタはほぼ無い状態でここまで作り上げるというのは称賛に価すると思います。宇宙船を始めとするCGの出来映えも80年代ということを考えれば相当ハイレベル。流石です。 まぁ既に製作後40年近く経ってしまっていますから、どのネタにも大笑いの捧腹絶倒という訳にはいかないところですが、今の時代に観ても十分にクスクス笑いを誘いまくってくれました。納得満足の7点献上です。[インターネット(吹替)] 7点(2025-02-01 22:00:44)《改行有》 132. ロスト・ワールド(1925) 《ネタバレ》 今年で100年。これはもう歴史的価値を語るべき作品ですね。そして、それと同時に100年後の現代であっても新鮮さを感じさせてくれる作品でもあります。 子どもの頃、原作小説を読んで興奮した記憶。必ずしもその時に脳裏をよぎったビジュアルと等しくはないものの、当然現物としての恐竜は見たことがない訳で、ストップモーション(それもかなり微に入り細に入り作り込まれた)によって命を吹き込まれた恐竜たちの姿には感動するばかりです。原作との相違点は映像化にあたっての創意工夫の結果かと。 難を言えば、少しばかり尺が長過ぎるか。字幕も多過ぎるか。BGMが単調に過ぎるか。製作当時の流行として作品の長尺化があったのかとか、公開当時は劇場でどのように演出されていたのかとか、殆ど何も知らないのですが、サイレントだからこその魅力を少々削いでしまっている感がなきにしもあらず。まぁ、「今」観ているから故の印象なのでしょうけれど。 あくまでも歴史的価値、作品の持つ普遍性という観点での7点献上です。[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-31 10:16:49)《改行有》 133. プー あくまのくまさん 《ネタバレ》 発想としては「本当は怖い〇〇童話」みたいなノリかなと。著作権OKだからヤッチマッタ感のみが感じられる作品。 じゃ、原作へのリスペクトのひとつもあるんかな?と思ってみても無駄。そもそもプーさんってぬいぐるみじゃなかったけか?原作をキチンと咀嚼してこそのパロディ。これはプーさんみたいなマスクを被った変態による猟奇事件ってだけです。 そうなってくると、個人的にはスプラッターやらスラッシャーは元々好きではないので登場するおバカキャラ(ほぼ全員)への感情移入の欠片も見当たらないおバカ作品としか見えず、何だか関係ないエピソードが無駄に盛り込まれてたり、とは言えその手のホラーのセオリーだけは辛うじて踏み外していないようにも思え、百歩譲って(譲る必要はありませんが)まぁ話題性優先のみで一発勝負のイロモノとしては成立しているかなと。 兎にも角にも一発勝負なんだから続編作るなよと言いたくなる超ヒマつぶし向け作品でした。(続編観ちゃうかも知れない自分も情けないが) あ、邦題は馬鹿らし過ぎて好きです。[インターネット(字幕)] 2点(2025-01-31 09:45:36)(良:1票) 《改行有》 134. アリス・スウィート・アリス 《ネタバレ》 タイトルは承知していたものの未見だった作品。アマプラ見放題の期限が24時間を切り慌てて鑑賞しました。 が、慌てて観るまでもなかったかも。公開当時としてはそこそこ衝撃的な展開と演出だったかとは思うものの、最近のスリラーやらサスペンスと比べてしまうと特に目立った意外性とかなくて、個人的には真犯人は結構早い段階でプンプンとしていた感じです。 思うに、聖体拝領のタイミングで愛娘を亡くし、心の傷を癒すべく教会に全てを捧げて来た女性が、いつの間にやら神父に対して一信徒以上の感情を抱いてしまい、神父が矢鱈良くしてあげる母子世帯に憎悪の炎を滾らせた挙句、まずは可愛い次女を愛娘と同じ目に遭わせ、憎々しい長女を犯人扱いさせ、ヒステリックで気に入らない伯母を血祭りにした上で、真相に迫りそうな父親を亡き者に。恐らくは次は母親がターゲットだったのでしょうけれど、最早これまで、バレちゃったわねとばかりに憧れの神父を手にかけた。そして全てを了解した長女は、殺人鬼セットを手に入れてこれからどうしていくかを心に決める。そんな物語かと。 見応えがないとまでは言いません。黄色いレインコート、不気味なマスク、刃物によるスラッシャー描写等々、当時モノとしての衝撃度は高いものがあると思います。教会を冒涜しているような思い切った過激気味の演出も当時は話題になったようですね。妙なサブキャラやその他大勢の描き方とかも面白い。思いの外、集中して鑑賞出来ました。が、とは言え観るなら当時観ておけば良かったと言う感じは否めず、ブルック・シールズのこれでもかと言わんばかりの可愛さに+1して7点献上です。[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-30 16:22:41)(良:1票) 《改行有》 135. 陽なたのアオシグレ 《ネタバレ》 実にシンプルな初恋ラブストーリー。なのでしょうけれど、なんだか素直に受け入れられない。ラブコメや純愛物は好物なのに。 それは主人公を小4に設定しているからなのか?にも関わらず微妙(ストレート?)にエロティシズムを感じさせる表現が垣間見えるのも原因か? 個人的には自称トリ馬鹿なので、現実にはあり得ない学校の鳥小屋で飼育されている風な様々なトリさんの登場に喜ぶべきところかも知れないけれど、ワクワク感があるのは高層ビル沿いに落下する主人公を救うハシビロコウの登場ぐらい。 なにか全体的にワチャワチャしているのが落ち着かない。自分が歳をとったせいに過ぎないのかも知れないけれど。 どんな層を対象に製作されたのか?イマイチ理解に苦しみつつも、スピッツの楽曲に救われた十数分でした。[インターネット(邦画)] 4点(2025-01-30 10:10:02)《改行有》 136. SNS 少女たちの10日間 《ネタバレ》 これは評価が難しい作品ですね。チェコという国の内情は知りませんが、この手法、逆に訴えられたりしなかったのでしょうか?もし本邦であれば、オトリ捜査の如き手法は許されるのでしょうか?そもそも論としてその辺りが気になって仕方ありませんでした。 内容的には言うまでもなく胸糞悪いエロオヤジの登場に次ぐ登場。予想通り過ぎる展開に驚きはありませんが、胸糞悪さは相当激しいものがあります。どう考えても性犯罪者のオンパレード。ラストに警察の対応がサラリと紹介されますが、是非に罰して欲しいと願うばかりです。 ただ、冒頭彼女らに主催側から示されるルールの中には、オヤジ側の反応を無理やり引き出すような所謂「挑発」的なものが含まれているような?特にフェイク画像を作成し相手に送るというのは明らかに法的問題があるのではないかと? 更には、果たして二千数百件のアクセスのうち何パーセントが犯罪行為を行ったのか?そこはデータとして必要ですね。途中唯一素顔で登場するイケメン好青年が女優たちや制作側の涙を誘いますが、彼のような普通の?常識的な?男性はどのくらいいたのか?更には女性はどのくらいいたのか?ドキュメンタリーを標榜する以上は最低限の統計データは必要だと思います。 センセーショナルなドキュメンタリーとして話題性はあったと思います。世の親たち、勿論ネット上で冒険する子どもたちの中には何も分らず何も知らないままの人々が多いことでしょう。その人たちへの警鐘としての価値はあると思います。が、このアプローチと纏め方が正解なのかどうか?疑問は尽きません。手放しで「良作」と言うべきではないように思えた次第です。[インターネット(字幕)] 5点(2025-01-29 10:12:09)《改行有》 137. 獣人島 《ネタバレ》 H・G・ウェルズの「ドクターモローの島」の初実写化作品ですね。原作があまりに有名なので今更ネタバレも何もないような気がしますが、初めて原作に触れたのは幼かった頃のこと。動物を生体改造して人間化するというアイディア、コンセプトは、子ども心に相当恐ろしかった記憶があります。一応「SF」というカテゴリーとして読んだのが救いと言うか、あくまでも空想科学小説なのだ!という理解が恐怖心を和らげていた気がします。 そして今、この1933年という自分が生まれるよりだいぶ前の作品を観て、やはり相当に恐い物語であることを再確認。その後に製作された1977年と1996年の作品は未見ですが、本作を観ればこの恐ろしさは十分過ぎるぐらいに伝わりますね。H・G・ウェルズという天才的な作家は19世紀にこの作品を生み出していたとは。いやはや何とも恐れ入ります。 神になりたかったマッドサイエンティスト。彼は最早自らが神の領域に達したと信じていたのですね。しかし、彼の創造物である獣人たちが「掟」の中に偽りを見出し「心」を手に入れたことによって彼は神の領域から引き摺り下ろされてしまう。現代に当てはめてみるに、物語の本質における原作者の天才的な先見性に驚きを感じるばかりです。 島のセット、獣人たちのデザインと特殊メイク、そして獣人たるキャラクター設定等々、重ね重ね1933年という時代に本作が製作されたことは驚くべきことと感じ入りました。[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-27 11:01:13)《改行有》 138. みんな死んだ 《ネタバレ》 実に北欧(ポーランドが北欧なのか自信がありませんが)ホラー的作品。(あくまでも個人的なイメージですが) これは満点か零点かの両極端に受け止められる作品に違いありません。 かく言う私はというと高評価です。とんでもなく下品でエロくグロい作品ですが、倫理観も宗教観もかなぐり捨てて笑いに昇華させようという作り手の姿勢は、ある意味振り切れていて潔く思えました。 人の命をここまで軽く、人の感情や人間性をここまで軽く、あたかもどうでもいいようなものと描き切る。支持されるか否かは別として潔いとしか言いようがありません。 そして、だからと言って粗雑な見世物的作品なのかと言うと意外にも緻密(と言うと言い過ぎかもしれませんが)で丁寧な作り。登場人物のキャラクターや関係性を漏らさず描き、どうでもいいような伏線回収をきちんと済ませる。相当オタクな作りと言っても良いと思います。 矢鱈理不尽な殺戮シーンが見たいという要望に応えつつ、ただ単に綺麗なオネーさんの裸体を見たいと言うだけの要望にも応え、ナンセンスな笑いが欲しいという要望にも応え、この作品にどうしてそんなに気合いを入れて作ったの?と問いたくなるぐらいにある意味良く出来た作品でした。(ただし、伏線回収のひとつであるラストのパラレルワールドについては、蛇足とは決して言わないまでもちょっとヤリ過ぎてしまったが故の言い訳に思えないこともないというか…) そんな訳で高評価したい気持ちはあるのですが、その反面日本人的感覚としては手放しで称賛できない不道徳極まりない作品であることは間違いないとも思え、これに満点や9点を献上してはいかんかな?というブレーキがかかった上での7点献上です。[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-25 10:43:37)《改行有》 139. 聖なる証 《ネタバレ》 ホラーかなと思い観始めたらサスペンス?ミステリー?観応えのある1本でした。 ただし、実はこれ、時代背景を現代に持って来たら全然違う作品になってしまうというか、1860年代のアイルランドがどういう社会だったのか、英国との関係はどうだったのか、恥ずかしながらほぼ何も知らないままに観たので、実は半分も理解出来ないままに観てしまったのかも知れません。 何より、宗教的視点に欠けている自分。母親が何故にそんなことをしてまで娘を尋常ではない状況のもとに生活させたのか。おそらくは(間違いなく)娘より深い愛情を注いでいたであろう失った愛息への思いにオーバーラップする母親の宗教観。否、実のところは彼女の宗教観は自らの感情を封印するための手段に過ぎないのかも。 歪んだ愛情。地域社会の求める宗教観。合理的で科学的な思考に基く倫理観で対峙する看護師。とは言え人間的な弱さに脆さを隠し切れない看護師。そして、何より誰より主人公の少女。純粋に信仰心のみによって事態を受け入れているとは到底思えない辛い過去。登場人物の一人ひとりが丁寧に描かれていきます。 ラスト。純粋なハッピーエンドとは少しばかり、否、大いに違いますね。この3人を待っているのは新天地での幸福に溢れた生活なのか。3人それぞれの思いはこれで全て切り替えられたのか。残された者たちはこれからどんな思いで生きて行くことになるのか。考えさせられました。[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-25 10:29:52)《改行有》 140. ヴィジット 《ネタバレ》 観たつもりになっていたのに観ていなかったシャマラン作品。観ていなかったのは不覚。今回観て良かった。 ひとことでシンプルに言えば「まさにシャマラン」、これは見事でした。冒頭からのPOV風表現(あくまでも「風」であってPOVとも言い難い気が)で方向性を見定め切れずにいると唐突に始まる本題。祖父母の振る舞いはどう考えても尋常じゃないし、徐々に浮かび上がって来る精神疾患或いはパーソナリティ障害の様相。不安定極まりないながらギリギリのバランスの中で成立している祖父母と孫の期間限定の安息。そのギリギリのバランスを壊そうかとでもするが如く作り手自らが投げつける石礫。微に入り細に入り巧妙に仕組まれた細工には(好き嫌いは間違いなくあるにせよ)すっかり没入。いやいやホントに久々のスマッシュヒットかなと。 結果として、とんでもなくアンハッピーな巻き込まれさんは居はするものの、概ねハッピーエンド。トラウマを払拭出来た者もいれば、将来に向けての不安材料を消し去れた者もいる。ここまであっけらかんとハッピーエンディングにされてしまうと、その部分もまた恐れ入りました感に包まれてしまう。うん、楽しかった。まだまだこの監督さんには期待し続けたいと再確認した次第です。(裏切られることも相当あるでしょうが)[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-22 23:51:51)(良:1票) 《改行有》
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