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1541. 黒い画集 第二話 寒流 《ネタバレ》 原作未読。遊び慣れていない生真面目支店長が融資先の女に溺れ、「惨めな人は嫌い(=常務より見劣りする)」と捨てられ、常務への私憤(大部分)公憤(ちょっぴり)入り混じった反撃も悪あがきに過ぎなかった。清張作品ならではのやるせなさを嫌と言うほど味わう事に。風間重吉のイメージがこびりついている池部良の奥歯噛み締めている惨めっぷりは見応え充分。銀行の恥部に触れた場面での丹波哲郎、志村喬は流石の存在感。特筆すべきは平田昭彦演ずる常務の厭らしさで、ジェームズ・メイソン顔負けの腹黒さ全開の送別会に於けるスピーチが圧巻。新珠三千代が奈美役が荷が重かった事を差し引いてもテルミンの不穏な音色に包まれるサスペンスの一級品。[DVD(邦画)] 8点(2018-11-18 12:16:12)(良:1票) 1542. 希望の降る街 魅力的だった喧しくないケイリー・グラント、惹き込まれた気風の良いジーン・アーサー、惚れ惚れした生真面目なロナルド・コールマン。サスペンス、コメディ、ロマンスの塩梅が絶妙な脚本上で展開する三角関係を堪能し、とりわけ男同士の友情に胸熱に。本作のリプレイタイムはコールマンの右ストレートパンチ一閃シーンで背中に殴るオーラが滲んでおりました。他にも忘れ難い見事な演出シーンが満載の傑作。[DVD(字幕)] 9点(2018-11-17 23:58:12) 1543. 天国は待ってくれる(1943) ヘンリーの一代記は地獄に堕ちる事は何もしておらず、とりたててドラマチックでもなく、笑えるところも少なく抑揚に欠ける作品。ヘンリーのいとこやマーサの両親の心中を思うと、人はその生涯で誰かをこっぴどく傷つけているのだなぁと実感させられる。[DVD(字幕)] 6点(2018-11-17 23:10:58) 1544. 名探偵ホームズ/黒馬車の影 「暗闇にベルが鳴る」のスタッフが、切り裂きジャック、王室スキャンダル、フリーメイソン、政府の工作というダークな物語の雰囲気を盛り上げています。 その用意された舞台で躍動するジェームズ・メイソン、クリストファー・プラマーのお宝映像満載。 「ローマ帝国の滅亡」(1964)での共演(直接の絡みは無し)に大感激した身にとって、本作は大大大…感激。冒頭からエンディングまでこれでもかっ!という程のツーショットに夢見心地。ホームズへのとどめの一撃を間一髪で阻止して自らが刺され「犯人を追え」というワトソン。何という事はないシーンだけど、もうね・・・、子供の様に「あ~、○×△□◇・・・」興奮・悶絶状態。存在感たっぷりの70歳ジェームズ・メイソンを従えた50歳クリストファー・プラマーの喜怒哀楽豊かな表情(涙のシーンにホロリ)とキレのあるアクション、スカーフェイスの超絶オトコマエでの首相との対決、見目麗しい姿での熱演ぶりはベスト・オブ・クリストファー・プラマーと呼べるもの。 我を忘れて酔いしれた逸品。[DVD(字幕)] 9点(2018-11-13 23:57:41)《改行有》 1545. 幽霊と未亡人 《ネタバレ》 毅然として凛とした語り口が美しいジーン・ティアニーと、悪態を吐きながら彼女を見守るレックス・ハリソン、二人に見惚れます。眠る彼女に別れを告げるシーンに身をよじり、ラストシーンの切なさに涙が溢れました。案の定のキャラクターであったジョージ・サンダースが二人をしっかりとひきたてていました。[DVD(字幕)] 8点(2018-11-12 16:42:52) 1546. 陽気な中尉さん モーリス・シュバリエ「昼下がりの情事」の滋味深い父親役からは想像がつかない能天気、もとい、ご陽気なキャラクター。物語も他愛なく記憶から直ぐに消えてしまいそう。ただ一点、クローデット・コルベールとミリアム・ホプキンスのビンタの応酬シーンは大変貴重なシーンで印象に残ります。男前な潔さだったクローデット・コルベールに点数の全てを[DVD(字幕)] 6点(2018-11-12 16:30:34) 1547. 邂逅(めぐりあい)(1939) 57年版鑑賞済み。アメリカ人・イギリス人とは味わいが異なるフランス人スターの気品が漂うシャルル・ボワイエを只々堪能。ラストシーンでの気づいた瞬間が絶品。リプレイタイムでお相手がデボラ・カーだったらと思い浮かべながら身悶えしまくりました。[DVD(字幕)] 7点(2018-11-11 22:02:37) 1548. ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲 シリアスなストーリー及びキレのあるアクションと笑いの塩梅が絶妙な2作目>爆笑に次ぐ爆笑の1作目>深みの足りないストーリーとクスクス笑い止まりの本作。かなり豪華な俳優陣だっただけにちょっぴり残念。それを差し引いても、63歳ローワン・アトキンソンはハイテク機器に翻弄されて市井の人々に狼藉の限りを尽くす本領発揮のシーンを始めとして衰えを感じさせず、寄席の様に笑い声で包まれる楽しい鑑賞が心地良かった。[映画館(字幕)] 7点(2018-11-11 01:00:24) 1549. マルクス一番乗り マルクス兄弟初体験。個々のキャラクターにクスクス笑いが止まらず、三位一体のギャグの数々に大笑い。ストーリーもしっかりしていて、それに即したミュージカルシーンの力の入り具合に驚かされる。ハープ演奏しているハーポのピアノ演奏とは別人の様な真摯な表情が印象深い。結末も心地良く良質なコメディを堪能させてもらえました。[DVD(字幕)] 8点(2018-11-05 15:37:32) 1550. ヒズ・ガール・フライデー ケーリー・グラント出演の不安が的中してしまった彼の持ち味全開の作品。私は人の話の腰を折って火の点いたカンナ屑のようにペラペラペラペラ喋りまくる人間が大大大っ嫌い。「喧しいわ、アホ!」音量を聞き取れる最小限にして我慢の鑑賞。輪をかけたのがこの男の人物像「ええ加減にしとけよ、クズ!、アホ!、(以下省略)」結末知りたさに我慢を重ねた私へのとどめが女が最後にこのクズに示す態度。「アホなんか? オマエも同類か?(以下省略)」年に一度あるか無いかの胸糞悪さを味わった本作がコメディに分類されているのに心の底から仰天。[DVD(字幕)] 2点(2018-11-05 15:14:00) 1551. Mr.ホームズ 名探偵最後の事件 《ネタバレ》 93歳のシャーロック・ホームズが衰えに苦悩する、思ってもみなかった展開。とってつけた感がある日本のエピソードが物語の中で浮いているのが残念。目元がジョン・ハートにソックリなイアン・マッケランは風格ある映像に映える佇まいだった。[インターネット(字幕)] 6点(2018-10-31 15:10:06) 1552. ガスパール/君と過ごした季節 他人の痛みを知る者同士寄り添って生きる姿が風景同様カラリと描かれている。野暮を承知で言うならばコソ泥行為はやめて欲しかった。[DVD(字幕)] 6点(2018-10-31 14:37:57) 1553. 愛しのタチアナ 男女四人の心模様に喜怒哀楽を感じられないまま終わってしまった作品。独特の色使いが興味深いカラー作品で無かったのが退屈さに輪をかける。[DVD(字幕)] 4点(2018-10-31 14:30:33) 1554. 浮き雲(1996) 《ネタバレ》 失業した夫婦それぞれの求職過程でドツボにはまってゆく姿が身につまされる。二人と違ったのは戦力外通告を受けた事と一人であった事。ホッとした結末に、自分を憐れむ事無く山あり谷ありの毎日を過ごせば良いと思わされる。 余談ながら、カウリスマキ作品には接客という概念がないのかと常々感じるところで、本作でも他作よりほんの少しましと言う程度。こちらでは自動販売機でもお愛想を言ってくれるのに。[DVD(字幕)] 6点(2018-10-31 14:15:01)《改行有》 1555. 美女と野獣(2017) 《ネタバレ》 苦手なミュージカル仕立ての他愛のないお伽噺に感動したのは目を瞠る映像美の賜物。惹かれて止まなかったのがルミエール、コグスワース、ポット夫人。それぞれの魂が抜ける描写に涙腺が危険水位に。沁み入る歌詞に決壊したエンディングシーンで知ったユアン・マクレガー、イアン・マッケラン、エマ・トンプソンに心底仰天。ディズニーの底力をまざまざと感じた作品。[DVD(字幕)] 8点(2018-10-29 15:32:23)(良:1票) 1556. 中国の鳥人 《ネタバレ》 地球の広さを実感させられる雲南省の光景は一見の価値あるものの、ヘルツォーク作品に見られる狂気を孕んだ迫力は感じられない。貴石・鉱石をめぐるビジネスものかと期待を寄せたのですが。珍道中コメディ、ロマンス、自然と文明の共生の何れもが中途半端な描写であり、とってつけた感が強い暴力描写に辟易。♪♪きっと今は自由に空も飛べるはず♪♪ が浮かんだ鳥人伝説にも惹かれるものがなかった。一方で和田が30年後に妻子を連れて訪れたというエピローグに、商社マン若き日の物語の一つであり、他に幾つも物語を作って定年まで勤め上げたのだろうか。村の開発に残りの人生を捧げた氏家に何を感じたのだろうか。余韻が残ります。[DVD(邦画)] 6点(2018-10-29 00:02:06) 1557. ある秘密 《ネタバレ》 マチュー・アマルリック出演という事で鑑賞。本作では語り手であり極々静かな存在であったのに物足りなさを感じたものの、何一つ罪が無いにもかかわらず原罪を背負わされ苦しんだ幼少期のフランソワが大人になったキャラクターはドンピシャのはまり役で流石だと感心しきり。アンナ、マキシム、タニアの三角関係は艶めかしいカメラワークも相まって気品あるものでした。マキシムへの復讐としてシモンを道連れにした行為はシモンが憐れであり、ヴィシー政権下でナチスに加担してユダヤ人を迫害したフランス黒歴史と併せて、どうにもこうにも遣り切れない。描かれた3つの時代の色彩の違いが各々の心模様を写したかのようで見事な演出が印象深い。[DVD(字幕)] 7点(2018-10-28 13:25:27) 1558. レマゲン鉄橋 スタンリー・コルテス目当ての鑑賞。冒頭シーンはクライマックスのような手に汗握るもので否応なく作品に引きずり込まれます。破壊される建物、戦闘模様、橋上で巻き添えになる避難民、それぞれの映像に生死は運の有る無しに尽きると痛感させられます。また、空の青色の鮮やかさに下界の修羅場のやるせなさも思い知らされます。俳優では「誰が敵なのか」と呟いたロバート・ヴォーンが一際印象に残ります。名作です。 1968年8月にソ連に軍事介入された本作ロケ地チェコスロバキアの人々は作りものでない悲劇に襲われたのでしょう。[DVD(字幕)] 8点(2018-10-22 01:33:39)《改行有》 1559. パッセージ・死の脱走山脈 数多描かれてきたSS将校の中にあって、そのキ〇〇〇っぷりが空前絶後であり一世一代の名演を見せたマルコム・マクドウェルに、数多の名優全てが霞んでしまった。ジェームズ・メイソンは役不足感が否めず「寒かったでしょうね」と同情を誘う姿だった。結末に歯痒い思いをしたものの、短い尺の中にキッチリ収められた戦争アクションものの良作。[DVD(字幕)] 8点(2018-10-22 01:06:29) 1560. ローラ殺人事件 期待通りのダンディさであったお目当てダナ・アンドリュースを上回ったのがクリフトン・ウェッブであり、ピンと伸びた背筋同様に筋の通った毅然とした物言いに見惚れました。春日八郎の唄が浮かんだ展開に無理筋があったものの、誰が犯人かの興味が尽きない良作。[DVD(字幕)] 8点(2018-10-21 00:27:46)
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