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プロフィール
コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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1601.  ネオン・デーモン 《ネタバレ》  久しぶりに気持ちのいいシネスコで。画面の情報量の多さこそを貴ぶ向きもありますが、幅広画面の1~2割程度しか使ってない、その情報量の少ないカットの美しさにうっとり。そして、それだけの映画だったかな・・・  この監督の作品はあと『ドライヴ』しか見てなかったりしますが、センス良さげだけど、どうも中身は既存のモノのコラージュに終始しているような感じがして、新しいモノを見せて貰ってるって感じが薄いんですよね。  鏡が頻出する要素になっていて、その向こう側とこちら側とを超えてゆく者と超えられない者とが描かれて。鏡を割る女、鏡に落書きをする女、それは鏡の中に自分を置く事が出来ない、出来なくなった、超えられない女。  壁や扉も隔てた世界を象徴して、でもそれってワリとよくある表現ですよね。  女のエゴと男のエゴが単純化され記号化されて並べられている状態は単細胞的。冒頭の映像から容易に想像される結末、白い無垢な背景の世界から映画が進むに従って血で汚されてゆくさま、ナイフが示すシンボル、もう1つ1つが「はいはい、そうですね」って。  エル・ファニングは美しい、けれどそれを期待して見にいくと激しく鬱になる事でしょう。っていうかディズニープリンセスを演じた人にはもう少し仕事を選んで欲しいところですわねぇ。とりあえず『ドライヴ』同様、グロに耐性が無い人は無理な映画です。  あと、キアヌ・リーヴスはただ出てるだけ、みたいな。別に誰でもいいような役。  「これまでに見た事が無いような映像が綺麗でミステリアスでステキな作品」なんて言っちゃうとダリオ・アルジェントとデ・パルマとデヴィッド・リンチとキューブリックが全力で殴りかかってくるような映画、そんなところで。[映画館(字幕)] 5点(2017-01-21 20:47:57)(笑:1票) 《改行有》

1602.  コウノトリ大作戦! 《ネタバレ》  設定とか美術デザインとか人間側のドラマとか、いいところはいっぱいあるのに肝心の主人公のコウノトリに魅力が薄くて、となると映画全体の進行そのものがシンドくなってくるという。  主人公の思考と行動が理解できないんですよね。一貫性が無く、その場その場でどんどんブレていっちゃう。スラップスティックな線を狙っているんでしょうけれど、彼が物語の導き役である以上、そこに共感を得られるようにしてくれないとどんどんと取っ散らかった映画になっていっちゃう。  基本的には自己保身のための行動で、途中からは赤ちゃんを届ける使命感に変化してゆく、のですが、その明確な変化がドタバタの中に隠れて見えてきません。っていうか、先を急ぐ旅なのにフロートにわざと穴を開けて停滞させたのは、あれ、なんのためだったんでしょ? ちゃんと見てなかったのかなぁ。ひと休みするため?  一方で赤ちゃんを待つ一家の物語の方は家族の愛が描かれていてなかなか良かったのですが、これもそれまで子供を顧みない両親がコロリと子供寄りになる展開が唐突で、そこも取っ散らかり印象の一因かな。  あと、コウノトリ以外の鳥も色々と描かれながら、あまり活躍しない、伏線→伏線回収だけで真ん中がなかったりする存在がいたりして、ドタバタもいいけれど、もう少し腰を据えて落ち着いて描いて欲しい感じがしました。特にチリチリ赤毛のヒロインの個性、そのドラマをもっと落ち着いてみていたかったかな。ここはどうも扱いが軽すぎな気が。  切り捨ててしまうには色々と惜しい作品ではありますが。  でも、考えてみればこれって『モンスターズ・インク』とほぼ同じオハナシよね・・・[映画館(吹替)] 5点(2016-11-04 22:18:37)《改行有》

1603.  スーサイド・スクワッド 《ネタバレ》  ビジュアルデザインだけは最高で、あとはメタクタ。まあ、最初からハーレイ・クインとカタナしか期待してなかったですし、その点ではそこそこ満たされたんでいいんですけど。  本当にビジュアル「デザインだけ」で、ビジュアルの見せ方自体はダメですし(そこら辺『マトリックス』とかザック・スナイダーの監督作くらいやってくれれば良かったんですけどねぇ)、映像やエピソードがちゃんと繋がってないのは、多分撮る要素が多過ぎて取捨選択しきれなかったんだろうねぇ、って。  物語的にはワルが集まったはいいけどヤケにウェットな連中で、尖がったのがおらずに皆丸い仲良しチーム、みたいなのが「あらら」って感じでしたし、敵がこの世の者ではないので力と力の戦いみたいな面白さがありません。各人その能力を存分に発揮できているとは言えず、それどころか何のために出てきたのか、何してたのか、あまりよく判らないようなメンバーもいる状態で。バットマンとジョーカーの中途半端なポジションも、映画に華を与えるどころか足を引っ張ってるように思えますし。  もっとイケイケ(死語)でいいのにねぇ。せっかくの素材がもったいないです。  でも正直『バットマンVSスーパーマン』もワンダーウーマンくらいしか見るところなかったし、考えてみれば『アベンジャーズ』だってブラック・ウィドウくらいしか見てないんだし、まあ私にとってアメコミ系の映画なんて、そんなモンなんでしょう。[映画館(字幕)] 5点(2016-11-02 23:01:36)(笑:1票) 《改行有》

1604.  ジェーン 《ネタバレ》  予告編のイメージだとナタリー・ポートマンが家族を守るために勇ましく銃を取る西部劇って感じだったのですが、実際のところは会話シーンと回想シーンばっかりのジミな映画で。  ナタリー自身は大して強くないというか、元婚約者に頼りっぱなし。クライマックスの対決に向けて『ホームアローン』的逆転劇を見せるように思わせながら、なんとも大雑把な展開で肩透かしを食らいますし。そんな見せ場なんて要らない、重要じゃない、大切なのは切ないドラマと情感溢れる風景描写、そう言ってるような感じだけれど、やっぱり大人数と少数との対決のシチュエーションはキチンと見せて頂きたいもので。  多用される回想シーンによって徐々にドラマの輪郭が浮かび上がってくる構成になっていますが、その構成ゆえに逆になかなか人物像が見えてこない、思わせぶりな時間ばかりが続く感じで、むしろそれって逆効果では?  そしてそのドラマも男頼りのやたらヒロインが弱い『キル・ビル』みたいな状態で新しいものを見ている感覚の薄いこと。  短尺ながら心動かされる瞬間がほとんどない(娘のところだけかなぁ)がゆえ、やたら冗長な映画に思えてしまうのでした。キャスティングからアミダラVSオビ=ワンなんてのを期待しちゃうと、もう全くまるで全然な、そんな世界なのでした。[映画館(字幕)] 5点(2016-11-01 21:48:51)《改行有》

1605.  アズミ・ハルコは行方不明 《ネタバレ》  東京国際映画祭で鑑賞。  オヤジ狩りの女子高生達は、あれ、つまり『2001年宇宙の旅』のモノリスみたいなモンですね。  描いているのは今の時代を生きる若い人達、映像表現はとんがった映画なのですが、なんだか随分古い感覚を受けてしまって、まるで70年代の青春映画みたいで、それは描いている事が普遍性を持ったものだから、だけでは説明できないような気がします。  実は結構芯が脆い映画なように思います。皮を剥いてゆくと意外と殆ど何もないような感じで、時系列バラバラなのもそれを少しでも隠すためのようで。それは映画の内容に符号してはいるのですが。  フェミニズムに寄っているように見えながら、単に男女の差異を描いているようで、そこに更に双方に対する差別的な意識が感じられてしまうのは、それこそがリアルなのかもしれませんが、でもその捉え方が昔からあるものだから、だから古い感じを受けるんですね。郊外の若者の暮らしぶりの描き方も含めて、リアリティという名の差別意識が働いてしまっているように見えてしまって、実はこれかなり救いのないネガティヴ志向な映画なんじゃない?って。登場人物全員馬鹿にしか見えない作りになってますし。  蒼井優は最近『オーバーフェンス』といいこれといい、ちょっと壊れ気味な役が多くなっていますが、それでいいのかなぁ?  キャラの抱くジレンマがそのまま映画の抱えたジレンマに直結しちゃてるようで、勢いの良さは虚勢を張っただけな芯の脆い映画という印象でした。[映画館(邦画)] 5点(2016-10-31 23:43:56)《改行有》

1606.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》  1作目を見逃すと当然2、3作目も見れなくて、そんなこんなでシリーズを最初にスクリーンで見たのが『レガシー』っていう。1~3はBSだかCSだかで一挙放送したのをゴロゴロダラ~っと見た程度。で、シリーズ通しての印象は1作1作の物語のカサがあまり無いって事と動かし過ぎのカメラワークがウザいって事。今回も印象はあまり変わらず。マンネリ度が更に増したけれど「それで終わりかよ!」って感じは少し軽減したかな?  とにかくあのカメラワークはもう要らないんじゃないかと。ひたすら見辛いだけです。前世紀末に流行ったのをいまだに引っ張ってる状態で、それこそがこのシリーズのアイデンティティだと言われるかもしれませんが、カメラが意思を持って存在をアピールしちゃうとね、それは一体誰の視線、もしくは誰の持ってるカメラよ?って事になっちゃう。いや、臨場感を出すために観客の視線を作ってあげてるんですよ、って事なんでしょうけれど、大きなスクリーンと対峙してるこちらにとっちゃ、そりゃ余計なお世話。せっかくのスタッフとキャストの仕事がガチャガチャな状態でしか記録されてませんっていうの、勿体なくないかなぁ?  それから念押しするような映像がクドくて。冒頭のギリシャのデモシーン、後半のカーチェイスシーンは不要なショットがかなりありますし、父親が殺害される回想シーンを何故あそこまで繰り返す必要があるのやら。これもまた親切心から?の余計なお世話ね。  物語はジェイソン・ボーンのごくパーソナルな話ですよ、っていうのが明らかになると共に底が見えて中盤以降は退屈気味。  せめてアクションやサスペンスに独自性があればいいのですが、なんかもうシリーズだけでなく、このジャンルの見せ場の繰り返しですね、っていう。その上、クライマックスの大事なところでモタモタと弱みを見せちゃうあたりはかなりガッカリ。続編をなんとなく意識したのか、微妙にボヤかしたエピローグも含めて、この程度の続編作っちゃったのねぇ、って印象。  もっとスゴい状態に成長したジェイソン・ボーンを見せて欲しかったのですが、むしろ退行してなかった?[映画館(字幕)] 5点(2016-10-10 14:39:59)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

1607.  SCOOP! 《ネタバレ》  『モテキ』『バクマン。』に続いて、またまた編集部が拠点となる群像劇って事で、この監督の引き出しはソレだけなのかいな?  前半は快調です。ベテランのフリーカメラマンに無理矢理押し付けられた新人記者。まるでかみ合わない二人が夜の東京を舞台に繰り広げるドタバタ劇はスピーディで笑いもあって。  ところが中盤以降、徐々にテンポダウンしてきて、何やら小さなところでまとまりそうな感じもして、その程度の映画なのかなぁ、と思っていると更に続いて、この映画は一体いつになったら終わるの?というとりとめのなさを見せ始め。  そして唐突な展開によって映画のカラーそのものが変わるのがクライマックス。ここはサスペンスという事になるのでしょうが、どうにも緊張感に欠ける、ダラダラした画が連なっていて、登場人物それぞれの行動にまるで共感も納得もできず、その上で立てまくっていたフラグを当たり前に回収するという。カルいモノを撮るのは得意だけれど、シリアスな展開になるとボロが出る、みたいな感じですかねぇ。  更にその事が起きて以降がまた長くて、体感3時間、みたいな映画になっちゃってました。    大体、バディものとしてベテランがルーキーに夢を託し、その成長を描くのはいいとして、ロバート・キャパの精神を写真週刊誌のカメラマンに重ねるセンス、その写真を記事にするあたりのセンスを理解しろというのはかなり無理なハナシで。キャパの「崩れ落ちる兵士」の真贋騒動や、写真週刊誌のあり様(最初に最悪な仕事だと言わせつつ、最後には見ているこちらを置いてけぼりにする美化っぷり)を皮肉った上でそうしているのかいな?と考えたりもするのですが、じゃあ福山雅治の役はただの道化だったのか?って事になっちゃいますしねぇ。ドラマ上、福山雅治がそうなる事の必然性が薄い気がしました。  ラストの編集部一同の酔いっぷりも自己満足、自己完結っぷりがハンパなく、ずいぶんとスクリーンとこちらの距離が離れた映画だねぇ、って感じでした。妙に悟っちゃったような二階堂ふみや吉田羊はともかく、あの娘さんの物語上のフォローはしておいて欲しかったなぁ。[試写会(邦画)] 5点(2016-09-26 20:15:45)《改行有》

1608.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》  昔から庶民の視点で描かれた怪獣映画が好きで、政治家や役人や自衛官や専門家が右往左往するようなのは好きじゃないのですが、コレがそうだからと言って悪く言うつもりはありません。  ゴジラがむしろアチラのモンスター風になっちゃった、ってのも、CGが期待したほどではなくて舟だの車だの列車だのが重量感もなくパタパタ舞ってるなんてのも、まあ些細な事。人物シーンのライティングはもう少しどうにかなんなかったのか?とは思いますが。  私がひっかかって仕方ないのはゴジラを「戦後日本の亡霊」として登場させた部分で。  空回りする会議と会話を繰り広げるばかりで決断力と実行力が欠ける連中には途中で退場願って、異端であろうが傍流であろうがゴジラの暴走を止めるという共通の目的を果たすためにプロフェッショナルがその仕事を果たす、って点は良いと思います。ですが、それがいつまでも変わらない「戦後」に対する呪詛を基にしているようで、それは前向きと言えるのかどうか。  終戦直前から現代に至るまでの(原爆投下から東日本大震災による被害と、福島第一原発のメルトダウンによる被害と)この国家を襲った災厄に対して、それでも「頑張ろう日本」と言いたい映画、でも安保やら核やら、終戦から今の日本に変わらぬ重圧を与え続けている「戦後」に恨み節のひとつもヒネリたい、みたいな映画で。  両監督と同世代なので判らないではないんですよ、団塊に蹂躙された後の世界を生きてきた世代な訳ですし(笑) だけど、映画に漂う旧『日本沈没』と旧『日本のいちばん長い日』の影響が、まるでそこに留まる事に対する自虐的な言い訳のようにも思えて。  ナショナリズムをシニカルに捉えつつ(でも実際にそこに陥っているような感想がネット上に大量に見られるという)、それが自嘲、自虐の域から出ていない、その先の示すべき道を語ってくれていない気がするんですよね。まるで「仕方ないけど頑張ろう」みたいな。  怪獣映画における不可侵領域である皇居に言及しない今作には、もちろんそうする事の意味があるのでしょうが(東京駅と皇居はさほど遠くないのであの作戦をあの場所で展開するというのは国家的にかなり問題な訳で、即ちこの作品世界に皇居は存在しない)東京の中心に鎮座する事となるゴジラにそれが象徴されちゃってるとすれば、それはそれで、ねぇ。  個人的にポイントが高い点はご贔屓、市川実日子嬢がひたすらヘンなキャラだった石原さとみ嬢よりよっぽど良い扱いだったところ。彼女目的に見に行ったと言っても過言じゃないです。[映画館(邦画)] 5点(2016-08-02 17:13:17)(良:3票) 《改行有》

1609.  エベレスト 3D 《ネタバレ》  IMAX3Dでドーン!と立体感溢れる峰々が、って、どうして大ロングの景色に立体感付けちゃうとミニチュアにしか見えないってのが判らないかなぁ。遠くの景色ってのは左右の視差なんて殆ど生じないわさ。  映画自体は「撮るの大変でしたね」って状態は伝わってくるのですが、地理が明確じゃないの。一体それはどの部分なの?っていうのがまるで判らない、っていうかそもそも判るように描かれてないんです。  その上、みんな似たような風貌になっちゃうので「誰が誰やら」って事になって、エベレストのあちこちに大変な事になってる人が散りばめてあります、って状況ばかりがあって、物語としての流れは諦めちゃってる感じ。実際に何があったのかはネットで調べないとちゃんと見えてこないっていう。  災難に遭った人達に寄りそう事で「臨場感こそが大切、状況の把握なんて出来ないからこその恐怖なんです」とでも言いたいのかな? でも特定の人とポイントの間でシーンがポンポンと飛ぶのでエベレスト全体が大して広くも高くもない、ごくごく限定された空間に映ってしまって、それは大きな間違いなんじゃないかなぁ。  そこにある筈の大自然に対する畏怖とか人間の非力さとか、そういうのは案外伝わってこない、だけどそここそがこの映画では大切なんじゃない?  いや、最大の問題点は見終わって結局人は何故山に登るのか?って事に対してなんの答えも見いだせなかったところですか。利己的な人達が他人を巻き込んで自滅しました、っていう状況ばかりが見えてきて。それじゃ実際に亡くなった人達が浮かばれないわ。  それでも難波康子さんのエピソードはやはり日本人として胸に迫ってきました。でも、最終キャンプ地からわずか300メートルのところで亡くなったっていうのは映画じゃ判らないんですよね・・・。[映画館(字幕)] 5点(2016-04-07 20:55:26)(良:1票) 《改行有》

1610.  バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生 《ネタバレ》  画面が暗くて見辛い毎度のザック・スナイダー。いや、一応明るいIMAXで見たんですけどさ。  何がいかんって、スーパーマンとバットマンって言ったら光と影、陽と陰の戦いだと思うじゃないですか。ところがこの映画ではどっちも陰気くさいの。スーパーマンが暗くっちゃ対比になりゃしない。っていうか、このスーパーマンって腹に一物ありそうな、悪巧みしてそうな顔しててイヤンな感じ。  一方でベン・アフレックのブルース・ウェインは人生に疲れたような雰囲気が醸し出されて、いい感じでした。  で、両者ウダウダしてるわけですよ、延々と。正義とは、悪とは、って。長い上映時間のかなりの部分がウダウダに費やされて華が無さ過ぎ!(スナイダーじゃ仕方ない)って状態が続いた上で、やっとキター!っていうのがワンダーウーマン登場シーンね。だけどそこまでワンダーウーマンはドラマが存在しないですし(ただその存在が仄めかされてゆくだけで)、その成り立ちと能力についての説明が一切なくいきなりババーン!って状態のドーピングキャラ。私はリンダ・カーターのワンダーウーマンが大好きだったからこそ、燃えられたのですが、ワンダーウーマン自体知らない人が突然出てくるコレ見てどう思うのやら。  そのワンダーウーマンもあまり活かされる事なく、またバットマンも大した活躍もできず、結局また『マン・オブ・スティール』同様クリプトン野郎どもの自己完結ワールドになっちまいましたとさ。っていうかレックス・ルーサーが何やりたかったのか意味不明。  今作は『マン・オブ・スティール』の欠点をそのまま引き継いだ感じで、エピソードの繋がりが悪くて音痴な状態でキャラクターの意味不明な行動も多く、誰にも感情移入できず、またご都合主義的な展開もお馴染み。エイミー・アダムスが槍捨ててまた拾いに行って溺れるのってなんなん? それがクリプトナイトで出来てるって知ってた? 一見して理解できた? クリプトナイトがスーパーマンの弱点だって知ってたっけ?  これだけメジャーな二人の映画なのにスナイダー映画のファン向けなマニアックなシロモノになっちゃっておりますね。  っていうか、いい加減、核兵器をただのでっかい爆弾として映画の中で安易に爆発させるの、やめない?[映画館(字幕)] 5点(2016-04-04 21:25:19)《改行有》

1611.  ファンタスティック・フォー(2015) 《ネタバレ》  『クロニクル』に『ベイマックス』を足したような世界の話。  特殊能力を持ってしまうまでのシチュエーションをじっくり描いているのですが、そこに肝心のドラマが無いんですよね。ひたすら状況が描かれるばかりで、それぞれがどういう関係性、感情の流れで結びついていくのか、特殊能力を持ってしまった事に対してどう感じているのか、そこがすっぽり抜け落ちていて。事故後の時間を一気に飛ばした事によって、事故とその結果がもたらした物に向き合う部分が無い状態。せっかくアクションを犠牲にしてまでチームの成り立ちを中心に描いているのに、そこに心が無いのは問題です。  また、仲間だった筈の一人が敵となってしまう、そこからも感情が抜けちゃってて。見捨ててしまった負い目とか見捨てられた事に対する恨みとか、そういうのは無しでとにかくやっつけなくちゃ、で終わっちゃう。その割り切りがクライマックスのアクションすらもスッキリしない結果を招いてしまう訳です。  やっぱりアガるアクションシーンが無いってのはヒーローものとして致命的だと思うんですよね。尺が短いので決して退屈はしない、のでこの点数なのですが、じゃあ何か誉めるべきところがあるかというと、うーん。 各人の特殊能力を駆使したと言えるだけのアクションもありませんし、ラストもなんだか強引だし、マーベル映画定番のエンディング後のオマケは無いし、3か月後には殆ど記憶から消えちゃいそうな映画ではありました。[映画館(字幕)] 5点(2015-10-12 21:24:38)《改行有》

1612.  ヒロイン失格 《ネタバレ》  映画として見た時に5点くらいかなぁ、と。  話はありきたり。ドロドロした四角関係がクライマックスで突如都合の良い展開によって想定内のハッピーエンドに落ち着く、それだけ。  光を散りばめた映像もありがち、キーになる夕景は加工感バリバリ。  ドタバタギャグレベルのネタの数々は笑えるけれど、それが流れを作っているわけではなくてバラバラ散りばめられているだけで、シリアスな展開になる後半は姿を消しちゃう。  でも、そんなゴタクをゴチャゴチャと並べたところでこの映画に対してはなんの意味もないんですよね。これは映画でなければならない意味すらないんですから。  日曜午前の新宿のシネコンはほぼ満席で、その95%が小学生からの若い女性、中心層は中学生と高校生。おっさん一人で見に来てるのなんて私だけ。彼女達が大人しく映画を見ているわけもなく、普通の映画館のマナーからしたら最悪、なのだけれども、この映画の場合、彼女達はちっとも間違ってないとしか思えないんですよね。  スクリーンに向かって容赦なく投げつけられるツッコミ、そのツッコミが更に巻き起こす笑いの渦、本当にみんな映画を楽しんでる事が伝わってきて、おっさん場違いっぷりハンパないけどそのリアルガールズトークサラウンドシステム上映によって、この映画を最高に楽しむ事ができました。  彼女達の反応から男と女の捉え方の違いも見えて、なるほどねぇ、って納得したりもして。彼女達からすると弘光は「かっこいい」「ステキ」で、未帆は「ウザい」「重い」「気持ち悪い」そうで。私から見ると弘光は計算高くて姑息なチャラ男にしか見えないんですけどねぇ。男からは嫌われるタイプ。未帆はむしろそのチャラ男の言動に惑わされる犠牲者に見えて。  彼女達の激しい共感を呼ぶ桐谷美玲の弾けまくった魅力がこの映画のチカラ。これまでの主演作は微妙なものばかりでしたが、やっと代表作と呼べる映画に出会えた感じ。  単体で見ると大した事ない映画なんですが、この映画の本当の価値を決めるのはシネフィルだの映画オタクだのなんかじゃないので、点数なんて参考にするだけ無駄なんですよね。映画単体としては5点だけど観客が創造した環境までを含めて完成されたものとするならば10点あげたいです。映画レビューなんて時として全く無力だわ。[映画館(邦画)] 5点(2015-09-27 21:40:57)《改行有》

1613.  日本のいちばん長い日(2015) 《ネタバレ》  スリリングな会話劇は原田眞人監督が得意とするジャンルですから、その点での面白味はよく出ていたと思います。  岡本喜八版には無かった、陸軍大臣の生活を描く事、昭和天皇の思いを描く事によって、そこに生きた日本人の心を映そうとしているのでしょう。  だけど、ここに登場するのは仕方なく戦争をしていた、戦争をやめる事に苦労する優しい日本人達ばかりなんですよね。なんだか時代の渦に巻き込まれちゃった被害者としての日本人。  他界した父は徴兵で満州に渡り、ソ連に抑留され、終戦よりかなり遅れて復員した経験を持つのですが、そんな父がよく口にしていたのが「軍の上の連中はみんなキチガイみたいになってた。露助の方がよっぽどまともだった。」という話。  あの戦争に存在していた狂気、人を狂わせたもの、この映画はそこから完全に逃げちゃいましたね。無条件降伏に納得できず、クーデターを起こそうとする陸軍の兵士、そこにあった狂気こそがあの戦争の狂気を反映しているのではないかと思うのですが、そこはほぼスッポリと抜けちゃってるんですね。信念とか意志とか、そういう常識の範囲の話になっていて。でも、あの戦争を考え方や立場の違いだけで語られてしまうと、あの時代を生きた人達や死んでいった人達に対して失礼なんじゃないかなぁ。決してスケープゴートを描いとけって訳じゃないですけど。  岡本版はスプラッターホラーみたいになっちゃってるところもあって、アレはアレでちょっと、って思ったりもするのですが、少なくともその狂気がビリビリと伝わってくるのですね。それに対してこの作品は明らかに控えめに、優しく、ヌルくなっていて、それが一体どういう方向に気を遣っているのかいな、って考えるとどうもヤな感じがしちゃうんですよね。  あの戦争に存在した明確な狂気、その狂気がもたらした明確な結果、そこから目を逸らしてあの戦争を描く事にどれだけの意味があるのでしょう?[映画館(邦画)] 5点(2015-09-25 21:03:56)(良:2票) 《改行有》

1614.  愛を積むひと 《ネタバレ》  話はほぼ『あなたへ』と同じ。アレの旅が石塀作りに代わったようなもの。  夫婦二人の静かな北海道生活。まー邦画にありがちなリアリティのない甘ったるいスローライフな世界。幾ら都内(蒲田)とは言え、親から継いだ工場を手放して借金返済した上で北海道に新築一戸建ての広めな土地を購入して働きもせずに老後過ごせる、ねえ、無いよねぇ。車プリウスだし。軽に乗って細々と暮らしてゆくのが精一杯でしょうねぇ。  でもまあシネスコ画面に広がる北海道の景色はいいですし、役者も悪くないですし、あとはセリフを5分の1にカットして、ベタベタとした音楽も5分の1にカットして、説明的な映像を半分にすればいい映画になるんじゃない?みたいな感じ。  とにかく全部セリフと音楽で説明するものだから、別に映像なんてほとんど無くたって話としちゃ成立するんじゃね?って。真珠のエピソードなんか全部先読みできるの。ああ、じゃあ毎年1つずつなんだな、で、あの時に盗まれたんだな、みたいな。新しいモノを見るのではなくて確認作業をしているような感覚。  作る側が「見る側のアタマの程度はこの程度だから」みたいに思っているので親切にコマゴマ説明した作りになるんでしょうけれど、子供だって判るハズの『インサイド・ヘッド』に対する理解力を見るに、本当に日本の観客は何から何まで親切丁寧に説明されないとダメになってきてるのかもしれませんね。アニメも含めて邦画全体がそういう作りになってきている気がしますもん。  そのうち日本で上映される映画の画面には「この後想像を絶する大事件が!」みたいなキャプションと映像見て判りやすいリアクションとるタレントの顔が必要になってくるのかもしれませんね。[映画館(邦画)] 5点(2015-07-20 14:34:38)(良:1票) 《改行有》

1615.  アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 《ネタバレ》  「今回は社長の発明が地球の危機を呼ぶの? じゃあなんでもアリな神様相手と違って面白いかも」って思ったんですけどねぇ、結局いつものヤツで。そもそもあの杖の存在が一見さんお断りを高らかに宣言しちゃってる訳で、ちゃんと関連作全部見てきてるハズの私だっていちいち覚えてないっての。  とにかくゴチャゴチャ。ただでさえヒーローいっぱいな上に絡んでくるキャラがいっぱいでエピソードが複雑に絡み合う、と言うよりももう少し整理しようよ、ってレベルでゴテゴテと盛られてる状態。マイケル・ベイとかクリストファー・ノーランの映画みたいにとにかくエピソードたっぷり詰め込んでおかないと不安です系ハリウッド大作のパターン。  ウルトロンが成立してゆくまでの過程とか、新ヒーロー誕生までの過程とか、なんであんなに回りくどい必要があるの?みたいな。  ヒーローに対する洗脳もいちいち進行の足を引っ張ってる気がしますし。その恐れから見る夢というか幻覚がキャラによって過去か未来かの差がある点が興味深くもあったりするのですが、全員洗脳される訳でもないのでなんか半端です。  クライマックスのスペクタクル要素満載なアクションシーンはもちろん面白いのですが、そこまでさんざん自分達のせいで大ゴトになってるのに人命救助がメインな展開になるっていうのはツッコミどころですか。ヒーローはやっぱり人命救助してこそ!みたいな?  ハルクVSハルクバスターとか、アクションシーンは総じて面白かったと思いますけど、何やってるのか判りづらい状況が多かったのはIMAXのいちばん前なんて席で見た私が悪かったのかな?  結局ファンのためのお祭り映画。そんなに各キャラに思い入れない私としてはスカヨハのブラックウィドウが心の拠り所でしたね。クインジェットからバイクで降りるシーンなんか、『ガッチャマン』でゴッドフェニックスから降りる白鳥のジュンのバイクを思わせて心躍りましたわ。  クライマックスで敵だったスカーレット・ウィッチにホークアイが「ここから外に出たら君もアベンジャーズだ」って言うあそこの上がりっぷり、あの上がりっぷりをもっともっと体験したかったなぁ。[映画館(字幕)] 5点(2015-07-05 09:32:45)(良:2票) 《改行有》

1616.  新宿スワン 《ネタバレ》  演出は特に語るべきものも無く。強いて言えば「安っぽいタランティーノ」?  問題は脚本ですね。マンガ原作をまとまりの無さの免罪符にしてる、原作がマンガだから脚本もこの程度で仕方ない的な仕上がり。エピソードが羅列されるばかりで流れが無いのでダラダラした印象。  それでも男側のエピソードにはまだ起承転結があるけれど、女側はただ状況があって結末がある(あるいはそれも無い)だけ。まるでドラマが形成されておらず、セリフにあった「女を道具にしている」状態を映画自体が実践しているという皮肉。  栄子の腕にリストカットの痕が無数にあるというのは栄子の設定を語っているだけで、具体的な要因となる描写も無く自殺へと至ったところで、そこにドラマは生まれません。「元々死にやすそうだった娘が死んで悲しい」と龍彦のキャラを立たせるためだけに存在しています。  それに比べればアゲハは幾分マシな扱いを受けているようですが、道具的なポジションという意味では実は栄子と一緒。栄子の反省もなくエピソードを重ねているだけに見えます。  まあ、いかにも「オッサンが作った映画」ではあります。  見せ場と言えば格闘シーンなのですが、どれも同じような撮り方で、肝心なクライマックスも盛り上がりに欠ける感じ。  そんな映画での見どころと言えば、山田孝之と伊勢谷友介の顔。二人のキレのあるオトコの顔がこの安っぽい映画にシャープな印象を与えています。綾野剛も普段のカッコつけた役よりもこっちの方が似合ってる感じでヘラヘラとバカっぽい役がハマっておりますが、山田孝之と対峙してしまうと、ちょっと格の違いが出ちゃうなぁ。  風景的な新宿らしさは出てたと思うので、東京観光をした気分にはなれるんじゃないかと。その内側で生きる者のドラマはともかくとして。[映画館(邦画)] 5点(2015-05-31 20:18:23)《改行有》

1617.  ピッチ・パーフェクト 《ネタバレ》  困ったなぁ。結構良かったんですよ。笑えるし、エキサイティングだし、感動もできるし。でも。  全体的にはコメディで軽め。結構、描き足りていないエピソードがある感じ。恋愛部分はかなり物足らないですし、父親とのわだかまりも類型的で薄べったい、基本的なキャラ設定レベルの背景があるだけ。メンバーでキャラ立ちしているのは半分程度ですし、寮のルームメイトの韓国人の扱いは殆どどうでもいいレベル。  それに悪役ポジションの存在に最終的に全く罰を与えていないのが気になりました。ヤツはあのままでいい訳がないのですが。  それでも、スタイルに固執して退屈なパフォーマンスしかできなかった大学のアカペラ・グループが個性的な新入生を寄せ集め、バラバラでまるで調和していなくて、それぞれ反目しながらも実力を付けて上を目指してゆく、それはそれは熱いドラマを見せてくれます。  主人公ベッカを演じるアナ・ケンドリックは表情の変化に乏しい気もしますが、『イントゥ・ザ・ウッズ』の冴えないシンデレラよりは血が通っている感じですし、突き抜けたおデブの“ファット”エイミーや、ちいさな声で恐い事を言う東洋人リリーが魅力的。  ライブ・パフォーマンスシーンは鳥肌モノですし。  で、だけど最大の問題はゲロネタ。この映画の場合、ちょっとしたお笑いのために出てくるのではなくて、ドラマの中心に存在しちゃってる状態なんですよね。ゲロネタやめて、ってこれまで何度も何度も何度も書いてきてるわけですが、これは他とはレベル違い。かなりヤバめで。映画見てる間に具合悪くなりました。なので、良かったのだけれども、もう二度と見たくない映画になってしまっていて。もう少し他の何かにできなかったんでしょうかねぇ。ゲロで笑い取る映画ってのが苦手なので大減点状態になってしまいました。カンベンして・・・[映画館(字幕)] 5点(2015-05-29 21:32:30)(良:2票) 《改行有》

1618.  天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 《ネタバレ》  いつものFROGMAN作品。『天才バカボン』に『フランダースの犬』を絡めるという離れ業をやってのけた!って程のモノでもなく、まあ毎度のように小ネタは面白いけど(「命運」の静かなる笑いの表現に大ウケ)、全体を俯瞰するとありきたりという。世界征服を企てる組織が云々って時点で器が変わっても中身はあまり変わらないわけで。  問題は『天才バカボン』を原作にしながら、この映画の作品世界の設定ゆえにバカボンのパパが受動的な立場の存在になってしまっている点。あくまでマイペースではあるのですが、物語自体を動かすのは悪を実行する側とそれを阻止する側、そして悪の側が地獄から甦らせたネロとパトラッシュですから。組織の施設に潜入する、ネロとパトラッシュを救済する、なんていう類型的な物語のワクの中にバカボンのパパを納めちゃってる、それはちょっとつまらないなぁ、と。  全体的にイメージが貧困で(闇落ちネロとパトラッシュのビジュアルなんか、もう少しなんとかならなかったかなぁ)、ウェットなドラマを描くとあまりに凡庸になってしまうので、もっとギャグ方面での個性を強調した方がいいと思うんですけど。  あと、お客さんからお金貰って成り立ってる表現者としてはアレは思ってても口に出して言っちゃダメなんじゃないかなぁ。たとえギャグという形にしても。ならばやめちゃえば?って思いますよ。  それにしても主題歌に表れているように、元はやっぱり初代のアニメなんですね。『元祖』でも『平成』でもなく。  いつものFROGMAN作品が好きならば楽しめる作品だと思います。進歩を期待してしまうと微妙ですが。[映画館(邦画)] 5点(2015-05-25 21:25:10)《改行有》

1619.  駆込み女と駆出し男 《ネタバレ》  役者は皆とても良かったと思います。題材もいいですし。だけど脚本、演出、カメラ、編集には疑問湧きまくり。  冒頭で市川崑監督リスペクトを高らかに宣言しているのですが、ならば中途半端はやめようよ、と。「なんなのよ、そのちょっとだけ市川崑風味な原田眞人作品は」みたいな。カメラ動かし過ぎだし、微妙な高さからの俯瞰が多過ぎるし、編集のリズムは乱れまくりだし。ライティングだってもっと工夫して欲しいし、女優の顔はもっともっと印象的に撮って欲しいし。市川作品のモダンなスタイルに及ばない野暮がいっぱい。  複数のエピソードが同時進行してゆきますが、それが多層的に絡んで大きなドラマを織り成している感じではないんですよね。もうブツ切れで並んでる状態で、いちいち話がいきなり飛ぶ飛ぶ。だからせっかくの感動的なエピソードも突如山場が訪れたり、ブッツリ切れて余韻無しで終わったり。戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、陽月華といった女優陣のせっかくの印象的な好演がもったいなくて。  せっかくいい素材を贅沢に集めたのに、それを生かしきるには色々と足らない感じの映画でした。[映画館(邦画)] 5点(2015-05-24 22:40:53)《改行有》

1620.  王妃の館 《ネタバレ》  基本はドタバタコメディの群像劇ですが、ツアー客やツアコンのキャラを作り過ぎていて、笑うというよりはヒクわ、って感じ。  キャラ一人一人に与えられた設定やファッションにあまり必然性が感じられないのですよね。平行するように描かれる小説世界と綿密にシンクロするようなキャラやエピソードがあるというのならば判りますが、それがあるのかどうか、と言われると殆どあるようには思えない状態で。  オーバーアクションが笑いに繋がる、みたいな単細胞的な演出で、ウソくさいキャラがドタバタと混乱しているばかり。  登場人物を整理して描くのがあまり上手くないなぁ、と。    それでも田中麗奈、吹石一恵、安達祐実と女優はみんな魅力的に撮れていて、一方男優の方は何やらいい加減なビジュアルって感じがして、なんか監督に意識の差があるのかいな、みたいな感じがしないでもなく。  映画としてのまとまりに欠いていて、何をとっかかりにして映画を見進めてゆけばいいのかを掴み兼ねる状態で、相当キビシい出来の作品。  と、ここまでは映画そのものの話。ここからは個人的な趣味の話で。  最近、宝塚が好きで、去年はフランス絡みの舞台だと星組の『太陽王』や宙組『ベルサイユのばら』を見まして。今年の雪組『ルパン三世』もマリー・アントワネットネタでしたし、来月には月組の『1789 バスティーユの恋人たち』もあって。  で、そんな私ですから、この映画に出てくるキーワード「太陽王」「ブルボン朝」「ベルサイユ宮殿」に反応しない訳もなく、右京と共にその世界に想いを馳せ、深く気持ちが入っていって。小説のエピソード自体はフィクションですが、ルイ14世の人物像を考えると、いかにもありそうな切ない話で。  小説部分でのフランス人を全員日本人が演じている事も宝塚を見慣れていれば、ねぇ。  更にシネスコ画面に広がるベルサイユ宮殿やパリの街並に心囚われ、デキの悪い映画なのに、随分と堪能してしまったっていうのが正直なところ。困った作品ではありました。[映画館(邦画)] 5点(2015-05-05 19:43:58)《改行有》

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