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1661. サウンド・オブ・サンダー 《ネタバレ》 本来、蝶を踏んだことで未来があんな風に変わるなら、その瞬間にタイムトラベルして来た連中はみんな消えるか気持ち悪い未来人類に変身しなければならない。 “時間の波(?)”が徐々に伝わってくると言うのは、そこを上手くクリアーする理屈にはなる(かなりひどいご都合主義だけどね)。しかしもう一回過去に戻って蝶を救ったとしても、元の世界が変わるわけではないしパラレル・ワールドをひとつ増やすだけなんではないかな。過去へのタイムトラベルは、何も過去へ影響を与えなくてもパラレル・ワールドがひとつ出来ると言うのが自分の感性なので、どうもこの映画のオチはピンとこないんです。 未来の街を走る車がシュワ版『トータル・リコール』みたいだなと思いましたが、データを見るとこの05年製作と知ってびっくりしました。それぐらいCGがしょぼかったんです、90年代初期のレベルですよ。 P・ハイアムズは自分が好きな『カプリコン・1』を撮った監督なのに、なんでここまでヘタな映画しか創れなくなっちゃったんでしょうか。きっとプロデューサーが悪いんだ、と無理に自分で納得したいところですが、やっぱこれが彼の実力かなぁ。それからB・キングズレー、あんた名優なんだからもう少し仕事を選びなさい!そういやこの人『スピーシーズ/種の起源』にも出てたよなぁ(涙)。[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-09-14 18:55:55) 1662. ポセイドン(2006) 《ネタバレ》 開幕して約18分で転覆するのはほぼ『ポセイドン・アドベンチャー』と同じペース。だがその後はジェット・コースターなみのスピードでストーリーが展開する。リメイクは普通オリジナルより上映時間が長くなることが多いけど、オリジナルは二時間弱程度とさほど長尺じゃないので、ある意味珍しい例でもある。脱出に挑むのは10人で生き残るのが6人というのはオリジナル通りだが、それぞれのキャラ設定はオリジナルの登場人物を再構成した様な感じで、K・ディロンみたいに新規のキャラもいる(もっともこの“ラッキー・ラリー”はストーリー上では不必要な存在でしょう)。本作が印象悪くなった最大の原因は、この登場人物たちの性格付けが曖昧かつ弱いところだろう。K・ラッセルとJ・ルーカスなんか完全にマッチョなキャラがかぶってしまってる、オリジナルのJ・ハックマンとA・ボーグナインとは大違いなんだな。R・ドレイファスが“地図くん”を蹴り落として助かるシークエンスなんか、「なにもそこまで見せなくても…」ととても嫌な感じである。ここは今まで非情な海洋映画を幾つも撮ってきたペーターゼン監督の拘りなのかもしれない。密航して来た女性はオリジナルではC・リンレーに相当するキャラなんだが、その死に方は同じくS・ウィンタースを思い出させてくれる。そこで気がつくのは、このリメイクにはS・ウィンタースに相当するキャラがいないんです、これじゃあ盛り上がりに欠けるのも当然かな。 CGは確かに高レベルなんだから、さかさまになった船内での冒険・スペクタクルをじっくり見せて欲しいところです。原題から『アドベンチャー』を抜かしたからというわけではないでしょうが(笑)。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-09-12 19:37:53) 1663. 地獄(1960) 《ネタバレ》 肝心の地獄よりも、天地茂たち主要な登場人物がほとんど死に絶える現生の方が、不気味なんです。上から見おろす、下から見上げる、そんなとてもシュールで居心地の悪いショットが一時間の現生編の半分は占めているような気がします。何度も挿入される走る蒸気機関車や線路のカットがどんどん鬱な気分にしてくれます。 しかし新東宝でも屈指のカルトにこの映画を押し上げたのは沼田曜一のそりゃ鬼気迫る怪演に違いなく、この演技を説明するには適切な言葉が思いつかないぐらいです。彼が悪魔なのか天地茂のダーク・ハーフとして出現したのか、けっきょく最後までよく判らんところがまた良いですね。 地獄で苦しめられる天地茂に何か光明がさしてくるような雰囲気もあり、まさか夢オチの最悪なハッピー・エンドかと危惧させられるも、あまりに無常なラスト・ショットで締めてくるとはさすが中川信夫です。 この映画、未成年とお迎えが近い老人は、決して観てはいけません!![DVD(邦画)] 6点(2012-09-08 20:04:12) 1664. 永遠に美しく・・・ 《ネタバレ》 実は私も、観た回数がいちばん多いゼメキス映画がこれです。やっぱ好きなんですよね。M・ストリープ、G・ホーン、B・ウィリス、この豪華配役でここまでブラックなおバカ映画を見せてくれるなんてもう最高です。ホーンとウィリスはもともとコメディ畑の人ですけど、その二人を完全に喰っちまったメリルの弾けっぷりがまたすさまじい。メリルを軸とした三人の辛辣なトーク・バトルもこの映画の楽しみのひとつです。今後も自分の中では、年に一回は観たい映画としてきっと君臨してゆくでしょう。 ところでお腹に散弾銃で大穴をあけられちゃったG・ホーン、背骨が途切れちゃったのにどうして立ってられるんでしょうか(笑)。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-05 20:27:03) 1665. 影武者 《ネタバレ》 黒澤映画の中で、本作が史実の出来事をネタにした唯一の時代劇なんですね。橋本忍は脚本に参加していないので、黒澤のロマンチスト気質が濃厚な物語に仕上がっています。言い古されていますけど、勝新太郎の代わりに急遽登板した仲代達矢のあまりにオーヴァーな演技がこの映画の最大の失敗でしょう。影武者が盗人らしい下品な本性を表わすところなんか、勝新ならきっとこんな風に演るだろうなと仲代達矢も意識して苦労したんじゃないかな。皮肉にも、仲代達矢は勝新の影武者だったようなものでしょう。あとちょっと理解しがたいのは黒澤の俳優起用ポリシーで、家康役が俳優は初体験の人とは恐れ入ります。そう言えば、幻の黒澤版『トラ・トラ・トラ!』でも山本五十六に素人の一般人を使う予定だったそうですし、なんか変わってますよね。 長篠の騎馬突撃をああいう風に見せてくれたのは私には不満で、その直前までの騎馬の映像が「さすが黒澤!」と唸らせるほどだったので、余計に残念でした。 それにしても、黒澤映画は馬の映像が素晴らしい。[DVD(邦画)] 7点(2012-09-01 22:11:52) 1666. マンディンゴ 《ネタバレ》 これが日本では幕末、もうすぐ明治維新というころのアメリカ南部のお話しとはもうため息をつくしかありません。公開当時は全米で非難の嵐を巻き起こしましたが、「こんな話はウソだ」という批評はなかったそうで、最近世間を騒がせている自国の歴史を平気で改竄しちゃうどこかの国とは大違いですね、米国は。 異人種性交、近親相姦、そして反吐が出るほど醜悪な人種差別とダークなテーマを扱っている割には、思ったより淡々とした映画です。でもジェームズ・メイスンをはじめ、白人の登場人物が男も女もクズみたいな人間ばかりなのはある意味凄すぎる。リューマチは他人にうつしたら治るなんておバカな迷信を信じて、メイスンなんか奴隷を敷物がわりにするんだから、もう絶句です。 こういう映画を観ると、やっぱ奴隷の子孫が大統領になって初めてアメリカは贖罪を果たしたことになるんだろうと思いました(オバマさんはケニア人移民の子)。[DVD(字幕)] 6点(2012-08-31 14:15:38)(良:1票) 1667. ゆりかごを揺らす手 《ネタバレ》 別に怖いとは感じなかったけど、これはとことん後味が悪い映画ですね。お話のプロット立てにも私は少々疑問がありまして、まず自殺しちゃう産婦人科医。直接描写はないけれど、触診するシーンでナースを退出させるは手袋を外すはで、“彼はやっちゃいました”と観客に宣言しているわけです。ここは本当は何があったかは藪の中状態(もちろんアナベラ・シオラはやられたと思っているわけですが)という見せ方で撮った方が、不幸のどん底に突き落とされて逆恨みにいたるレベッカ・デモーネイの心情により説得力が出ます。この映画の脚本では、アナベラ・シオラを観客が感情移入できないようなキャラにしているのも上手くない。これじゃあデモーネイの逆恨みの理不尽さが深くならないし、逆にデモーネイを応援しちゃってる自分に気がついたりします。狂言まわし役のサイモンにしたってストーリーの中でもう少し使い道があったんじゃないかと思うし、だいいち彼が登場した最初のシーンでラスト・シーンが予想できたし、実際思った通りのエンディングでした。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-08-27 22:33:42) 1668. フォー・ルームス 《ネタバレ》 オムニバス好きのわたくしですが、これはつまらない一本でしたね。まず狂言まわし役のティム・ロスの過剰な演技が生理的に合わないんですから、どうしようもない。“タランティーノと仲間たち”といってもその後も活躍しているのはロドリゲスだけで、第一話と第二話の微妙さを見ればそれも納得です。 まああえて言えばロドリゲスの第三話がなんでも大げさに撮っちゃう彼らしさが良くて、後の『スパイ・キッズ』に繋がるところがあります。 と、貶しながらも実はこの映画では第一話が好きで、なぜかと言うとあの魔女たちのオッパイ見せながらやってくれる脱力系の踊りが、『死霊の盆踊り』みたいで自分にはストライクなんです(笑)。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-08-25 22:50:53) 1669. バロン テリー・ギリアムのフィルモグラフィ中で最悪の予算トラブルに見舞われたのが本作だそうです。スタッフに名を連ねた大家たちで判るように、イタリアのチネチッタ撮影所で製作しちゃったのがそもそも間違いの始まり。安く撮るつもりだったのに、ハリウッドで製作するよりもはるかに高いコストをぼられて大予算オーバー、最後は保険会社が現場を取り仕切ってようやく完成したんだとか。確かにごてごてと作りこんだセットや衣装ですけど、正直いってどこにそんなお金をかけたの?って感じもします。 ギリアムのファンには堪えられない映像世界なんですが、実はミュンヒハウゼン男爵はギリアムたちベビー・ブーマー世代の暗喩になっているんですね。自分の妄想ワールドを面白がって映像化しているだけじゃなく、ギリアム映画はけっこうメッセージ性を持っているところが自分は好きです(判りにくいけどね)。 しかし、ほら吹き男爵の次はドン・キ・ホーテに挑戦してほんとに大失敗をやらかすとは、この人はある意味首尾一貫しています(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-08-19 23:04:23) 1670. 真夜中のサバナ 《ネタバレ》 原作はアメリカではベストセラーのノン・フィクション小説なんだそうですが、映画化された本作はまったくノン・フィクションらしさがない、原作者が怒ったと言うのはそういう部分じゃないかと思います。この物語の主人公はサバナという町とそこに住む住人たちなのに、原作では第二部で語られてたケヴィン・スペイシーの裁判が映画ではメインに据えられているのでよくある法廷ミステリー映画になってしまったのが失敗でしょう。 サバナという所は、日本で言うと京都か金沢みたいな古都なんでしょうね。独自の文化を誇っている排他的な土地柄というわけです。そのサバナの実在の有名人であるレディー・シャブリなるオカマちゃんを出演させちゃったのが、やはり大失敗だったんじゃないでしょうか。だってスペイシーもキューザックも完全に喰われてしまってますもの、この素人に。 イーストウッドは真面目に丁寧に撮っているのは好感出来るのですが、この脚本ではどうしようもないところです。どうせベストセラーを映画化して原作者を怒らせるなら、『シャイニング』のキューブリックぐらい弾けて欲しいものです。そういう所はイーストウッドという人は固すぎるんだよなあ。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-08-17 22:20:07) 1671. マイノリティ・リポート 《ネタバレ》 スピルバーグにしては珍しく他監督の映画からの引用が多い。とくにトム・クルーズが目玉の取り換え手術をするあたりからで、手術で瞼を固定するのは『時計じかけのオレンジ』、部屋の壁スクリーンに映っているのはサミュエル・フラーの『東京暗黒街 竹の家』(渋すぎ!)、傘をさしてサマンサ・モートンと逃げるカットはヒッチコックの『海外特派員』、そしてヘンなクスリを注射して不細工に変装しますが、その顔は『バニラ・スカイ』の事故で醜くなったトムの顔とそっくりじゃないですか。そうか、それで『バニラ・スカイ』のクロウとディアスの両キャメロンがチョイ役で出演しているわけが判りました(笑)。 捜査局内のPCシステムは、まるで現在のスマートフォンを予言しているみたい、そして未来の縦横に動く自動車のスピード感あふれる映像は、さすがスピルバーグと言わせていただきます。ところがそれ以外の街並みや地下鉄そしてファッションなどは現代とほとんど同じというのはどうなんだろう。手抜きだと言う人もいるでしょうが、これはスピルバーグの未来観だと思います。40年後もきっとワシントンDCでは騎馬警官がパトロールしているだろうし、人間社会には変わらないことが多々あると言う見方は正しいのじゃないでしょうか。 「疎遠な父子関係」というのがスピルバーグ映画の特徴だと言われてきましたが、「子供の不在」に苦しむ父親という今までとは違った視点を持っているのが新しいところです。家族関係に対するどちらかというとシニカルな彼の視線も、21世紀に入ってだんだん変化してきたのも事実でしょう。トム・クルーズの最初と最後のカットがいずれも妊婦と会話していると言うところも、なんだか意味深でした。[DVD(字幕)] 6点(2012-08-14 00:27:26)(良:3票) 1672. トータル・リコール(1990) ジェリー・ゴールドスミス入魂の勇壮なテーマ音楽、出来の悪いアメコミの様なおバカなストーリー、不必要と思えるほどの人体破壊に走るグロ描写、となんか全体的にアンヴァランスなんですよね。『ロボコップ』を撮った後だから、ヴァーホーヴェンも確信犯だったんじゃないかな。『ロボコップ』と本作、そして『スターシップ・トゥルーパーズ』の三作は、その後のハリウッドSFに多大な影響を与えたヴァーホーヴェンの偉業だと私は思います(ちょっと褒めすぎかな)。 それにしてもシュワちゃんの拙い演技、ほとんどコメディですよ。[CS・衛星(吹替)] 7点(2012-08-11 23:12:14) 1673. おしゃれ泥棒 《ネタバレ》 いまリメイクするとアン・ハサウェイとブラッド・ピットなんかがキャスティングとしては自分の妄想イメージですが、ヘップバーンとオトゥールの軽妙洒脱さにはとうてい及ばないだろうな。ヘップバーンが映画で着こなしたジバンシー・モードは数多いけれど、この映画で見せるファッションが私の中ではベストです。最初に登場するシーンで着ているあの白い帽子のファッションなんかあまりにも有名ですよね。ピーター・オトゥールのとぼけた軽妙な演技がまた絶妙でして、ほんとこの人は上手い役者です。 泥棒映画は盗み方をいかに工夫して見せるかが命ですが、まるでこのジャンルの名作『トプカピ』をおちょくった様な脱力系の手口には意表を突かれました。いろいろと粗が見えるところはあるストーリーですけど、そこはラブコメですから楽しんだ者勝ちです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-08-09 22:45:58)(良:1票) 1674. 宮廷料理人ヴァテール 《ネタバレ》 ジェラール・ドパルデュー、ユマ・サーマン、ティム・ロス、と顔を揃えてこの面白くなさにはちょっとびっくりしました。なんですかねー、とにかく散漫なんですよ全篇にわたって。 ふつうこの手の題材を扱った映画なら、豪華な料理をもっと前面に出さなきゃだめでしょ。ヴァテールやルイ14世を取り巻く人間関係やエピソードもつながりがなくバラバラだし、悪役であるティム・ロスも何をしたいのか良く判りません。やっぱり、映画は悪役に魅力がないとね…[ビデオ(字幕)] 3点(2012-08-05 23:31:47) 1675. ウホッホ探険隊 《ネタバレ》 原作通りなのか森田芳光の色の濃いシナリオなのかはよく判りませんが、登場人物の造形がいかにも80年代の世相を反映したように薄っぺらいのが致命的。柴田恭平や陣内孝則の役柄はこのストーリーになんの意味があったのでしょうか。まして時任三郎のカメラマンにいたっては、こういうキャラを登場させる意味がない。そして田中邦衛が十朱幸代を妻としながら藤真利子を愛人にするような仕事の出来る男に見えますかね? だいいちこの男は何を考えているのか、さっぱり理解できない。妻に自分から愛人がいると告白するにいたる心情が不明だし、藤真利子にしたって十朱幸代に写真まで送って嫌がらせしてるくせにいざ離婚したとなると逃げてしまうなんて、現実にはよくある話かもしれないけどあまりに類型的すぎて鼻白んでしまいます。同じ離婚をテーマとしても、相米慎二の傑作『お引越し』とは雲泥の差があります。 まあ森田芳光の脚本は、彼独特の巧妙な「間」を表現できる演出じゃないと粗ばかり目立っちゃうので、根岸吉太郎が監督では無理だったかもしれません。[CS・衛星(邦画)] 4点(2012-08-03 21:47:41) 1676. Bubble/バブル(2005) 《ネタバレ》 ド素人の俳優を使って自らビデオ撮り、そしてたぶん即興演出、でも天下のソダーバーグですからそりゃぐいぐいと引き込まれてしまいます。こういう映画って、映画学校出たての新人に同じプロットで撮らせて比較してみればきっと面白いでしょう。いちばん頭を悩まされたのは題名で、どこがBubbleなんでしょうかね? ちなみに、主演の赤毛のおばさん、ウェスト・ヴァージニア州のケンタッキー・フライド・チキンで勤続24年の店長さんだったそうです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-07-31 23:20:49)(良:1票) 1677. デスカッパ 《ネタバレ》 なんで不況に苦しむ世の中なのにこんな映画が撮れるんだ、と首をかしげてしまいましたが、『片腕マシンガール』の“TOKYO SHOCK”シリーズだと知って納得です。「どうせアメリカ人のおカネだからやりたい放題しちゃえ」というわけなんですね。というわけで、日本の資本ではとうていOKされないようなデタラメなストーリーを見せられる観客はたまったもんじゃありません。スタッフが拘っているのは昭和特撮映画をオマージュしたミニチュア・ワークやプロップで私の様なマニアはニヤリとさせられますが、とても一般受けするわけもない。とは言えこういうのが好きな自分としては他のレビュアーさんたちに逆らって最高点をつけてあげようと思いましたけど、やっぱ三点が限度ですね(笑) それにしても、なべやかん、いったいお前ひとりで何役やっているんだよ![CS・衛星(邦画)] 3点(2012-07-31 19:53:25) 1678. 白い巨塔 《ネタバレ》 タイトルバックが実際に開腹手術をしているところを撮っているのにはびっくりです。この映画はその他の手術シーンも実写でカメラに収めていて、現代では絶対に不可能なことでしょう。モノクロだからまだましですが、けっこうグロいです。78年のTV版に衝撃を受けた年代ですので、「あれ、財前五郎はガンで死ぬんじゃなかったっけ?」と拍子抜けしましたが、本作は原作の正編だけの映画化だったんですね。 とは言え、上映時間2時間半でもかなり駆け足で物語を進行させていると言う印象はぬぐえないかな。それでも、田宮二郎のド迫力には終始圧倒されてしまいました。 でもやはりTV版をもう一度観たくなりました、ビデオ屋で探してみよう。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-07-28 23:07:37) 1679. 小早川家の秋 《ネタバレ》 小津安二郎のラス前作なのですが、『秋刀魚の味』よりよっぽど遺作っぽい不思議な作品です。まず、原節子、『秋刀魚の味』には出てないのでこれが最後の小津映画。『東京物語』と似た設定の未亡人なんだけど、本作では『東京物語』での役柄とは違ってなんか凄味まで感じさせられるたくましい女性だと思います。お見合い相手の森繁久彌を翻弄しちゃうところなんか、この役は性格が悪い設定なのかなと思ってしまいました。小津映画の特徴である登場人物たちのアンサンブルは円熟の域に達していますが、やはり新珠三千代がとくにいい演技を見せていますね。 この映画のテーマは、中村鴈治郎が演じる道楽旦那が天寿を全うするまでの数カ月の出来事なんですが、小津安二郎の“死”に対する恐れと無常観が痛いほど伝わってきます。とくに鴈治郎と19年ぶりに再会して、結局その死を看取ることになった浪花千栄子とその娘団令子、この二人のキャラクターは個人的には不気味に感じました。まるで死期が近づいた鴈治郎を黄泉の国からお迎えに来た物の怪じゃないかと思えるぐらいで、とくに死んだ鴈治郎を前にした二人の会話は凄くシュールじゃないですか。笠智衆が出てくるシーンも本筋には関係なくてちょっと変だし、この辺りで流れる音楽がまた突然暗くなってきてなんか不気味です。 よく「脚本に全然無駄がない」という褒め言葉を聞きますが、小津映画、とくに本作は不思議なほど無駄なところや隙がある。それでも名匠の手にかかると傑作になる、映画とは実に不思議なものです。[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-07-24 21:58:49) 1680. ヒドゥン(1987) 《ネタバレ》 まず邦題、“Hidden”をそのままカタカナにしたのがナイスです。ほとんどの日本人には通じない単語だけど、“ヒドゥン”と表記されるとなにか怪しく禍々しい雰囲気が伝わってくるから不思議なものです。 アクション映画は星の数ほどあるが、これほどのスピード感が持続する映画は滅多にあるもんじゃない。この映画はもちろんSF・アクションだが、バディ・ムーヴィーとしてもいい味出しています。ギャラガーとベック刑事の掛け合いはテンポが良くて、ラストには思わずホロリとさせられます。善玉も悪玉も、なぜかエイリアンはフェラーリやポルシェみたいなスポーツ・カーがお好きみたいなのも、可笑しい。 色んな過去の映画からの影響が感じられますけど、個人的にはこの映画は『ウルトラマン』の第一話にインスパイアされたのではないかと思います。ベムラーを追っかけて地球まで来たウルトラマンが瀕死のハヤタ隊員に乗り移る、あのプロットですよ。[ビデオ(字幕)] 8点(2012-07-22 21:43:02)(良:4票)
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