みんなのシネマレビュー |
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1681. ニア・ダーク/月夜の出来事 《ネタバレ》 西部劇風味・ロードムーヴィー・ヴァンパイアの三プロットが絶妙にミックスされた秀作です。『エイリアン2』に出演したばかりのキャメロン組俳優や、『ターミネーター』を彷彿させるトレーラーの爆発シーンなどジェームズ・キャメロン臭は強いけれども、キャサリン・ビグローは実質監督デビューとは思えない力強い演出を見せてくれます。罪のない人間を殺しまくる良く考えたらとんでもないヴァンパイアたちなんですが、疑似家族である彼らの絆がとても悲しく切ないのです。「楽しかったな」と微笑みながら文字通り燃え尽きて果てるランス・ヘンリクセンとジャネット・ゴールドスタインには、思わず落涙です。カルトとしての評価が高い本作ですが、モダン・ヴァンパイアというジャンルを創った功績も忘れてはなるまい。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-17 23:46:19)(良:1票) 1682. パイレーツ・ロック 《ネタバレ》 海賊ロック放送に夢中になっている英国庶民の姿を見ていると、米軍放送FENに夢中だった昔の自分を思い出してしまいました。ケイシー・ケイサムの“アメリカン・トップ40”なんか懐かしいよね。 キンクスで始まりデヴィッド・ボウイで終わる(ちょっと時代がずれてますけど)ヒット曲の数々は、選曲と使い方はセンスが良いので満足なんですが、なぜかビートルズが一曲もかからないのはどうしたわけでしょう。版権がとれなかったのかしら? 脚本にキレがなくエピソードの積み上げ方も下手くそで全体に冗漫な出来なのは残念です。船が沈没するシークエンスも『タイタニック』のパロディになっているんですけど、あまりにだらだらしてしまって逆効果です。悪辣な政治家を嬉々として演じているケネス・ブラナーと、ぶっ飛んでいるお母さん役でカメオ出演したエマ・トンプソンのかつてのカップルの怪演はなかなかのものでした。トンプソンなんか、彼女だと気づく人いないんじゃないかと思えるほどです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-07-13 23:46:19)(良:1票) 1683. インソムニア 《ネタバレ》 私は未見ですのでオリジナル映画の雰囲気は判りませんけど、リメイクって難しいよなとつくづく感じさせられました。クリストファー・ノーランとしても雇われ監督だからオリジナルを大胆にいじることもできないし、オリジナルのプロットの弱い部分は自分なりに消化しなければならない。ロビン・ウィリアムスの演技は文句のつけようがないけど、殺人犯としてのキャラが弱すぎるし、だいいちこの事件は過失致死としてしか裁けないでしょう。若造を犯人に仕立て上げるために部屋に忍び込んで拳銃を押しつけるなぞ、一介の小説家に出来る事じゃないです。そこら辺の粗さをカヴァーしているのが、アラスカの大自然を鮮明に捉えたウォーリー・フィスターのカメラで、これは文句なしに良かった。ロス市警から派遣されてきたアル・パチーノのキャラは、自分には『ヒート』のヴィンセント・ハナの落ちぶれた後日談みたいで面白かったところです。六日間も眠れずに、死んでやっと安眠できたというわけですね。渋い。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-07-11 23:12:12) 1684. 遥か群衆を離れて(1967) 《ネタバレ》 原作は『テス』で有名な英国の文豪トーマス・ハーディが若いころに執筆した小説。トーマス・ハーディの小説と言うとヒロインがボロボロになる暗いお話しが多いけど、まだ若いころに書いた小説なので『テス』や『日蔭者ジュード』とはだいぶ作風が違います。ジュリー・クリスティが伯母の遺産である農場を相続したヒロインです。彼女と求婚してきた三人の男たちとの波乱万丈の物語というわけで、ひたすらに農場を守ろうとするジュリー・クリスティの姿は『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラに似たところもある。このヒロインが実は大変に困ったちゃんで、男性や恋愛に関する感覚が自己チューすぎるのです。 映画が開幕してわずか5分あまりで振られてしまうアラン・ベイツはしょうがないとしても、お隣の農場主であるピーター・フィンチから求婚されても、なかなか返事をしない。ぐずぐずしてるうちに女癖の悪い騎兵軍曹テレンス・スタンプと出逢ってこいつとあっという間に結婚しちゃう。可哀想なピーター・フィンチはその後も彼女に翻弄され、ついに人生を破滅させられてしまうのです。 ある意味元祖ハーレイ・クイン・ロマンスみたいなお話しですが、英国南部の美しい田園風景が丁寧に映し出されていて、インター・ミッションまである長さも不思議と退屈せずに観れちゃいました。きっとオスカーにノミネートされたリチャード・ロドニー・ベネットの音楽が良かったせいでしょう。 まあ元が大した小説でもないので(失礼)、映画化するにはもっと大胆な脚色が必要だったかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-07-06 20:53:08) 1685. 逢びき 《ネタバレ》 本作は元祖不倫映画という異名があるそうですが、肉体関係の一歩手前でふたりの恋が終わってしまうところは製作年代を考慮するとそれでも精一杯がんばったと言えるでしょう。それでもノエル・カワード脚本の上品でありながら巧妙な語り口は、現在の眼で観ても十分に通用するレベルです。セリア・ジョンソンは決して美人ではないけど大きな眼に魅力があって、現代の女優ではヘレナ・ボナム=カーターに雰囲気が良く似ているなと思いました。もし本作をリメイクするなら、ぜひ彼女を使って欲しいですね。そして生涯名バイプレイヤーだったトレヴァー・ハワードの一世一代の二枚目演技がとても新鮮です。 この映画では列車の疾走がふたりの官能の高まりのメタファーになっています。サイレント時代から喜劇なんかで良く使われてきた手法ですが、デヴィッド・リーンはメロドラマの情感表現として巧みに使っています。 リーンは大作を手掛ける映画監督というイメージですが、初期の小品にけっこう味がある作品が多いんですよ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-03 09:28:38) 1686. 裏窓(1954) 《ネタバレ》 “怪しいセールス・マン”はやっぱり悪い奴だった、というオチがどーも昔から気に喰わないのです。実は新婚カップルの方がずっと深刻で、あの部屋で恐ろしいことが起こっていたという展開にした方がずっと面白いのにと観るたびに感じるんです。ヒッチコック先生もでかいセットを作ってもらえたので、ちょっとカメラの技巧に凝り過ぎちゃったのかな。 この時のグレース・ケリーは、その美しさと優雅さは間違いなく頂点に達していたと断言しちゃいます。やっぱグレース・ケリーとジェームズ・スチュアートのカップリングは最高です。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-06-30 00:10:08)(良:2票) 1687. 暁の追跡 《ネタバレ》 先ほど亡くなられた新藤兼人が脚本を書き市川昆が監督した警察もの映画です。新人警察官の池辺良(そういやこの方も先日鬼籍に入られましたね)が、新橋駅前の交番勤務をしながら、警察という組織になじめない自分に折り合いをつけつつ犯罪と対決すると言うストーリーです。ドキュメンタリー的な語り口を交えた撮り方は明らかにジュールス・ダッシンの『裸の街』の影響が感じられます。実際の新橋駅前交番にカメラを据えて撮ったところなどは当時としては斬新だったと思います。この交番、てっきり低予算ででっち上げたヘタなセットだと思いました、それぐらい汚くてボロボロなんです。思えば当時はまだ昭和25年、日本はまだ進駐軍に占領されていてマッカーサーが東京にいた時代なんですよね、復興途上だった日本の貧しさが垣間見えます。新藤兼人の脚本は丁寧に書き込まれていて、池辺良は勤務の合間に転職活動に必死だし同僚警官たちもキャラが良く描かれています。その中で光っているのは拳銃を暴発させてしまってクビになる伊藤雄之助で、ほんと若いころから味がある演技ができた人です。 随所に市川昆らしい才気あふれるカットが観られるなかなかの佳作です。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-28 21:19:07) 1688. サイコ(1960) 60年代のヒッチコック映画は、一作ごとにテーマも出演者もがらりと変わり、それにつれて評価もドンドン堕ちていったのは事実。しかしトップバッターである本作は、ホラー・スプラッター映画というジャンルを創りだした“偉大なるオリジナル”であることは間違いない。 ジャネット・リーを始め俳優陣は今までヒッチコック映画に起用されたことがない顔ぶれ、おまけにモノクロ撮影と当時としては実験的な手法を使っているけれど、緻密に計算されたカット割りと演出は現在の眼で見ても見事の一語。基本的に役者の演技は50年代のものでちょっと物足りない感じはするけど、ラストで独房で毛布をかぶって笑うアンソニー・パーキンスは、何度観てもゾーっとさせてくれます。 そう言えば、『ハロウィン』のジェイミー・リー・カーチスはジャネット・リーの娘なんですよね。元祖スクリーミング・クィーンの子供が母の芸を引き継ぎ発展させるなんて、まるで伝統芸能の世界みたいで微笑ましい限りです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-24 22:16:01) 1689. 召使 《ネタバレ》 ジェームズ・フォックスが劇中「魚の様な男」とダーク・ボガートのことを評するけど、これぞどんぴしゃりの表現。無表情というわけではないけどあまり顔の筋肉が動く感じが見えない、まさにお魚の様な顔なんですよ。家の中にある鏡はなぜか円形や楕円型をしていて、そこに映る画がまるで魚眼に映っているかの様なのも、意味深です。こんな演技ができるのは、ダーク・ボガートのほかにはいないでしょう。 屋内でほとんど話が進行するのでこのフラット(屋敷)が影の主人公みたいなもんですが、壁に映る影の映像が多用されてドイツ表現主義の教科書みたい。そして屋外はありふれた風景なのに、名カメラマンであるダグラス・スローカムの静謐なモノクロ映像が素晴らしく、屋内とは対照的である。 最後の悪夢のようなパーティはいまいち意味不明っぽいのではありますが、ハロルド・ピンターの脚本はかなりの完成度だと思います。 今ではカルト映画みたいな位置づけになってますが、本作はジョセフ・ロージーの最高作なのかもしれない。[DVD(字幕)] 8点(2012-06-23 01:14:43) 1690. レッド・サン 《ネタバレ》 サムライ対ガンマンというプロット一発勝負の映画だろうと想像して長い間観なかったけど、けっこうテンポも良く面白いじゃないですか。さすがは三船敏郎、その貫禄と存在感はアラン・ドロンなんか眼じゃないぞ、って感じです。製作資本からみてもマカロニ・ウェスタンに近いテイストのウェスタンですが、ウルスラ・アンドレスを脱がせたり出来るのは、やっぱヨーロッパ系映画だからですかね。そしてチャールズ・ブロンソン、他の俳優と絡み引き立て役にまわったときに彼の真価が発揮されるということが良く判りました。三船とブロンソンの駆け引き、けっこう楽しませていただきました。三船の黒田重兵衛も、ただの堅物じゃなく、ちゃんと西部の娼婦のお相手もして“日本男子”を見せつけてくれたみたいで、微笑ましい限りです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-19 01:29:48) 1691. 天国と地獄 《ネタバレ》 黒澤明の現代もの映画は今一つ好みではないのですが、本作だけは例外・別格です。序盤の舞台劇を思わせる対話劇からして緊張感でもうピリピリですし、身代金受け渡しシークエンスから一挙に躍動し始める作劇も見事です。あの特急列車を実際に走らせて一発勝負で撮った(実際には撮り直したそうですが)シーン、これほど緊迫した映像は映画史の中でも類を見ない壮絶さです。そして煙突から牡丹色の煙が上がるシーンになると、満席の映画館でいっせいに拍手が沸き起こったのは、そんなこと初めての経験だったのでほんとびっくりしました。これこそ、初めて黒澤映画に色彩がついた瞬間なんですよね。 思えばその当時(70年代)、黒澤や小津の映画を褒めることはダサいというのがジャーナリズムの風潮だった時代に、黒澤映画の価値が判っていたのは市井の映画ファンたちだったのだなと、しみじみ感じます。[映画館(邦画)] 10点(2012-06-15 00:41:04) 1692. ハート・ロッカー 《ネタバレ》 始まりもなければ終わりもないような泥沼のごとき任務に就く爆弾処理兵、決してカタルシスを与えてくれる映画ではないが、今までにない戦争映画だと思います。表現としての手ぶれ映像は最近の流行りだからもう珍しくもないが、爆弾処理班の三人に徹底的に近接した視点は戦争ものとしては珍しい。彼らの上官はいっさい画面には登場しないしどこから命令が下りてくるのかも判らない。ガイ・ピアースやレイフ・ファインズという主役級のスターが、まるで雑踏の中の通行人の様な軽さで画面に登場したかと思うとあっけなく死んでゆくのには驚かされました。考えてみれば、どんなにハンサムだろうと高潔な人格だろうと戦争ではいとも簡単に死んでしまうものだし、贅沢かもしれないけどこういう俳優の使い方はありかもしれません。 この映画を観ての最大の収穫はジェレミー・レナーを知ったことで、こんな不敵な面構えの俳優がいるとはハリウッドも奥が深い。邦画界に彼と同年代でここまで存在観のある風貌の男優がいるでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-12 21:30:26) 1693. 陰謀のセオリー 《ネタバレ》 まずキャスティング、実際の言動を考えると、陰謀論に取り付かれた様に見える主人公にメル・ギブソンを持ってきたのは、まず成功です。だってメル・ギブソン、陰謀論をほんとに信じていそうですから(笑)。しかしですね、ヒロインがジュリア・ロバーツってのは無駄に豪華なキャスティングの見本みたいな失敗です。彼女の現実味のない映画での行動は脚本のせいだからしょうがないけど、このキャラは花のある女優を使ってはいけません。 ストーリー・テリングも「虚実とり混ぜて」という風に引っ張っていくのが常道なのに、意外とあっさり黒幕を出しちゃって、しかもそれが薄いキャラだから嫌になっちゃいます。私の大好きな名曲"Can't Take My Eyes off of You"にしても、下手な使い方をされてしまって可哀そう。ジョエル・シルバー製作だから深みのあるお話しのはずもなくドンパチ・アクションを期待していましたが、その方面もびっくりするほどつまらなかった。[CS・衛星(字幕)] 3点(2012-06-08 22:39:32) 1694. THE SILENT WAR 戦場の絆 《ネタバレ》 第一次世界大戦のとき、西部戦線では塹壕線がスイス国境から英仏海峡の海岸線まで繋がってしまい身動きが取れなくなってしまった。実にほぼ四年間にわたって戦線が動かなかったわけで、相手の塹壕や陣地の真下までトンネルを掘って爆薬で吹っ飛ばしてしまおうとイギリス軍は考えた。ドイツ軍もトンネルを掘ってイギリス軍を阻止しようとし、両軍の間で実に地味~な坑道戦が展開されたという史実をもとにした映画です。この戦いに参加したオーストラリア兵のトンネル中隊を取り上げているのですが、地味な戦いを丁寧に映像化しています。この中隊は将校・兵士とも本国で鉱山技師や鉱夫だったからトンネル掘りはお手の物、でも戦場の中ではそれは大変な苦労です。オーストラリア人とイギリス人の気質の違いや確執も良く描かれており、けっこうドラマとしても質が高いです。戦争映画としてのアクションはほとんどないと言ってよく、ドイツ軍の攻撃トンネルを爆破する唯一のサスペンス・シークエンスすら実にあっけなくてちょっと残念。ラストは敵陣のある“80高地”の爆破に成功するのですが、その前に主人公の将校が悲しい決断をしなければいけなかったのが涙です。史実では、このときの爆発音がロンドンでも聞こえたというから凄まじさが判ります。もっと凄いのは、これだけ苦労して作戦に成功して1万人以上の損害をドイツ軍に与えたのに、戦局にはなんの影響も与えなかったということでしょう。日本人には想像もつかない戦争です。[DVD(字幕)] 6点(2012-06-05 21:38:33) 1695. ハーヴェイ 《ネタバレ》 観る前は、てっきりハート・ウォーミングなコメディだと思っていましたが、かなりシュールなところもあり、一歩間違うとサイキック・ホラーじゃないですかこの映画は。ふつうに考えるとハーヴェイが見えるジェームズ・スチュアートは立派なキ○ガイ、むかしで言うところの精神分裂病なんでしょうけど、実はお姉さんにも見えていたと言うのがミソ。終いには精神病院の院長までもハーヴェイが見えるようになるところは、ちょっと不気味です。またハーヴェイが妖精の様なものだという説明はありますが、とくに可愛らしいことをするわけでもなく、ジェームズ・スチュアートにくっついているだけというのも変です。 本質的には大層ヘンな話しなのに、ファンタジーみたいな演出にしたのは監督のヘンリー・コスターも確信犯なのだろうか。 この作品が持つダークな本質を21世紀に甦らせたのが『ドニー・ダーコ』なんでしょうね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-06-02 23:15:59) 1696. 4番目の男 《ネタバレ》 ヴァーホーヴェンにしては珍しく宗教色が濃いのですが、この人やはり信心深くないことが逆に良く判ります(笑)。 『氷の微笑』の原型だと良く言われていますけど、“謎の女”がシャロン・ストーンの迫力に足元にも及ばないんじゃ、『氷の微笑』より遥かに映画としての面白さは落ちます。また主人公の作家が、ホモなのはしょうがないとしても、あまりにおバカなのがまたイラつきます。女に手相占いしてやるシーンなんか、脚本からしてアホまる出しじゃないですか。 よく考えると、この映画ニコラス・ローグの『赤い影』に雰囲気が良く似ているんですよ、個人的には「パクったな、ヴァーホーヴェン」と思っています。[ビデオ(字幕)] 5点(2012-05-31 23:42:13) 1697. ソードフィッシュ 《ネタバレ》 ×××が×××を付けているのを×××に見られたのや、バスの中に×××があることに×××が気づくのも、すべてトラボルタの仕掛けだったと言うのかい!こいつは神か悪魔か!(確かにお名前はガブリエル“大天使”ですが) この映画を貫いているご都合主義とラストのオチは、もう夢オチみたいなもんです。だいいち、人質を連れて銀行から出てきたテロリストを、なんで警察が狙撃しちゃうのかわけ判りません。そんな粗いお話しでも、有名スターを揃えて華麗な映像を怒濤のごとくぶつけてくれば、映画としてはなんとか観られるものが出来ると言ういい見本かも。 映画史に残るムダ脱ぎをしてオッパイを見せてくれたハリー・ベリーに一点献上です。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-05-30 01:08:55) 1698. コンテイジョン 《ネタバレ》 始まったとたんにグウィネス・パルトロウが感染死したと思ったらケイト・ウィンスレットも死んじゃうし、こりゃこの豪華出演俳優たちはみな逝ってしまうのかなと心配しちゃいました。最近のソダーバーグの傾向として、新型ウィルスのパンデミックを冷徹にシミュレートしまくる実験的な作品かと予想していましたが、人間同士の触れ合いに未来の希望があるんだ、というけっこう熱いメッセージが感じられました。グウィネス・パルトロウの不倫や拉致されたマリオン・コティヤール消息などを、あまりにばっさりそぎ落とした脚本にはちょっと疑問が残りますけど。でもサブ・ストーリーを膨らませてゆくとまた『トラフィック』みたいな映画になっちゃうので、ソダーバーグはあえてこういう展開にしたんだろうなと思います。インフルエンザみたいな症状なので『アウトブレイク』みたいな派手な死に方ではなくよっぽどリアルな恐怖が伝わりますが、グウィネス・パルトロウの解剖シーンだけはギョッとさせられました(なんせ頭の皮がペロリですから)。そしてジュード・ロウの怪しいブロガーぶりから、ソダーバーグのネットに対する辛辣な見方が意外でした。[DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 23:45:12) 1699. ある戦慄 《ネタバレ》 むかしTV放映で観たとき、「NYの地下鉄って真夜中でも動いてるんだ、それにしても汚い車両だな」と感じたことが思い出されます。この映画の乗客たちの様なシチュエーションには絶対遭遇したくないものですが、大人になっても体験してないのはラッキーなのかもしれません。この二人のチンピラは、良く考えると肉体的な暴力はほとんど乗客に加えず言葉の暴力と突拍子もない動作で痛めつけているのです。その絡み方がけっこう理屈っぽいところが無教養な若者らしくないんだが、ヤクザに理詰めで詰められるほど怖いものはないと言うことのいい見本かもしれません。まあそのプロットが乗客たちの赤裸々な実像を浮かびあがらせると言ういかにも演劇的な効果を生むわけで、良く練り込まれている脚本です。 ラストにやっと登場した警官までもが、刺されたボー・ブリッジスを介護しようともせず、黒人を見たとたんに犯人と決め付けて飛びかかるなぞ、とにかく観る者の不快指数を上げてくれる素晴らしい映画でした。[DVD(字幕)] 7点(2012-05-26 01:23:50)(良:1票) 1700. キャット・ピープル(1982) 《ネタバレ》 個人的には、ポール・シュレイダー作品の中で一番好きな映画です。オリジナルは未見なんですが、低予算を逆手にとって変身シーンなどを見せない工夫がされているとは聞いています。このリメイクは、その「見たいけど見れなかった」シーンを撮りたいがために創った様なもので、きっとこの監督もオリジナルのファンなのでしょうね。それに都合がいいことに、ナスターシャ・キンスキーとマルコム・マクダウェルという類まれなる猫顔をした俳優がいたから、シュレイダー「もう撮るっきゃない!」と意気込んだんじゃないでしょうか。数あるナタキン映画の中でも、これほど美しいナタキンは観たことがないというくらい。 たぶんオリジナルにはなかったであろう、兄と妹が近親相姦をしないと血族が絶えてしまうという悲しい運命が悲劇的な結末に繋がっちゃうんですね。あの不思議な雰囲気に満ちている動物園など、けっこう画としても凝った撮り方してます。ラストで映る黒豹がとても美しく見えてくるから不思議です。[ビデオ(字幕)] 7点(2012-05-22 22:30:59)
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