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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2490
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1781.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 「オスカー獲るほどの映画か?『ソーシャル・ネットワーク』の方がいいじゃん」という批判があったことは承知してますけど、まあこれはこれで良かったんじゃないですか。作品賞はともかくとしても、演技賞は三人とも受賞すべきだったのは間違いなしです。とくにジェフリー・ラッシュ、なんか怪しげなところもあるライオネル・ローグを絶妙な演技で表現していて、脱帽です。コリン・ファースが手に汗握るスピーチをしている前で、始めはまるでオーケストラの指揮者の様に奮闘していたラッシュが、最後には王の言葉に打たれて畏敬の念を示してゆくのはホント名シーンでした。そしてバックにベートーベンの交響曲七番第二楽章を流されては、もう泣くしかありませんでした。 余談ですが本作の日本版予告編は予告編史上に残る大傑作だと思います、これだけで泣けます。[DVD(字幕)] 8点(2011-11-16 20:54:41)(良:4票)

1782.  主人公は僕だった 《ネタバレ》 神さまエマ・トンプソンは最近スランプに陥っている。自らの創造物であるウィル・フェレルの人生を、どうやって華々しく終わらせようかと試行錯誤の日々である。神のライバルである悪魔クイーン・ラティファは、フェレルの死後の魂が欲しいので、ここはグッとこらえて神さまに協力している。トンプソンとの関係がギクシャクしている天使ダスティン・ホフマンは、フェレルを助けて“神のみ業”を妨害しようとしている。 と、いう様なプロットだと私は思うんですよね、この映画は。ラストで“神のみ業”の出来栄えに恐れ入った天使がフェレルを見捨てちゃうのに、悪魔が逆に情にほだされてハッピー・エンドになるのに力を貸すというところが皮肉になっているんですよね。かなりシュールなお話を、ここまでふつうの出来事みたいに淡々と語るストーリー・テリングは、けっこう新鮮でした。[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-13 00:33:19)

1783.  いのちの紐 《ネタバレ》 名匠シドニー・ポラックの監督デビュー作です。シドニー・ポワチエ、アン・バンクロフト、テリー・サバラス、音楽クインシー・ジョーンズ、衣装イーディス・ヘッド、とてもデビュー作とは思えない豪華なキャスト・スタッフですこと! ポラックはそれまでTVドラマの演出で評価されていただけあって、ポワチエやバンクロフトからも高いレベルの演技を引き出しています。睡眠薬を飲んで自殺を図った女性がホットラインに電話をしてきて、それをボランティア相談員であるポワチエが必死に話を続ける一時間あまりの出来事がストーリーです。その間に電話を逆探知しようとするのですが、アナログ交換機を使っていた時代の原始的な逆探知の手法が面白いです。結末は、まあ予想通りなのですが、ポワチエとバンクロフトが最後まで顔を合わさないで映画が終わるところがいいですね。そしてクインシー・ジョーンズ、この映画はシアトルが舞台だけど彼の都会的な音楽が実にマッチしていてサントラが欲しいくらいです。ポラック、シドニー・ルメット、ペキンパーとハリウッドではTV界出身の名匠が多いのに、なんで日本ではTVディレクターから良い映画作家が出てこないのか、実に不思議です。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-10 00:11:23)

1784.  ギャング・オブ・ニューヨーク 《ネタバレ》 冒頭、ディカプリオが父のかたきデイ・ルイスと出会うまでの30分は、スコセッシらしいスピード感溢れるけれんみたっぷりの演出で大いに期待をもたせてくれますが、その後はいけません、ディカプリオがデイ・ルイスに喰われっぱなしです。「これじゃあいかん」とスコセッシもラスト30分では怒涛の急展開を図るけど、如何せんあまりに詰め込み過ぎで二人の宿命の決闘まで尻すぼみに終わってしまいました。あの暴動は「ニューヨーク徴兵暴動」として知られる史実ですが、徴兵される側も黒人をリンチして処刑するなど、とてもじゃないけど我々には感情移入できない連中なので困ります。スコセッシはこの映画の構想に30年かけたそうですが、こねくり過ぎて結局なにが言いたいのか良く判らん映画になってしまいました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-11-07 20:51:54)

1785.  僕らのミライへ逆回転 《ネタバレ》 やるじゃないか、ミシェル・ゴンドリー! チャーリー・カウフマンと組んでいるときにはこの監督にこんな素敵な感性があるとは思いもよりませんでした。ジャック・ブラックたちにリメイクされた映画は『欽ちゃんの仮装大賞』を見せられている様な出来ですが、映画ってとことん脱構築してゆけばこういうカタチに因数分解されるのじゃないかな。ある意味、映画というものの本質を提示されたみたいで、けっこう奥が深いところがあります。考えてみればVHSビデオテープは現在のディスクとは違って映画フィルムと形態も似ているところがあり、ゴンドリーはそこにノスタルジーを感じているのが良く判ります。それにしてもアメリカ人が撮った映画で、こういう映画愛とノスタルジーに満ちた作品が見当たらないのが不思議です(『カイロの紫のバラ』くらいですかねえ)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-02 23:01:38)

1786.  if もしも.... 《ネタバレ》 「造反有利、毛沢東万歳!」の嵐が全世界で吹きまくり団塊世代が暴れまくっていた時代ですから、こういう若造の反乱は当時としては“直球ど真ん中”のテーマだったんでしょうね。英国のエリート養成機関でもあるパブリック・スクールの坊ちゃんたちまでもがついに…、というプロットですが登場人物たちの人物描写が妙に浅いので、彼らの怒り(らしきもの)が全然響いてこないのは困ったものです。『時計じかけのオレンジ』のアレックスを十分の一に薄めた様なマルコム・マクドウェルのキャラはいかにも物足りない(もっともアレックスのリハーサルみたいな経験だったかもしれませんが)。この監督、『オー!ラッキーマン』は三時間超える上映時間ですから、ほんとはこの映画も長かったのをプロデューサーあたりが勝手に30分くらいカットしたのかもしれませんね。ですけど、モノクロとカラーの使い分けやシュールな演出も交えるなど、英国フリーシネマの掉尾を飾るに相応しい映像に満ちているのも確かです。[ビデオ(字幕)] 5点(2011-11-01 23:12:51)

1787.  ベルリン陥落 《ネタバレ》 実はこの映画、ソ連初のカラー映画なんだそうです、占領したドイツのアグファ社から接収したカラーフィルムが使われたというところがまたソ連らしい。ソ連という国は、歴史的な出来事を映画にするのが得意でしたが、敗戦直後のベルリンで撮っただけあり、本作も伝統に背かない堂々たるものです(NHKの『映像の20世紀』で記録映像とともに本作のベルリン・シーンが使われてたぐらいです)。スターリン・ヒトラーの二大独裁者のそっくりさんぶりは見もので、とくにヒトラーは俳優の熱演もありますがほんとそっくりです。スターリンは顔を造り過ぎたせいか表情があまり動かず、まるで蝋人形が動いて喋ってるみたいで不気味でした。 この映画のすごいところは史実に忠実なのは、「ソ連にスターリン、ドイツにヒトラーという人がいました。ヒトラーはソ連に攻め込みましたが、最後はソ連がベルリンを陥落させ、ヒトラーは自殺しました」ということだけで、後はねつ造と偽善のオン・パレードに終始していることです。あの有名なスターリンがベルリンの空港に降り立つシーンはもうほとんどSFの世界で、「世界最凶のプロパガンダ映画」に相応しく観たらトラウマになること間違いなしです。「映画って、ここまで政治の道具になれるんだな」というのが率直な私の感想です。[ビデオ(字幕)] 0点(2011-10-30 20:42:45)

1788.  ビスマルク号を撃沈せよ! 《ネタバレ》 なんせ50年前の映画ですので色あせてはいますが、ビスマルク追撃戦をテーマにした映画はいまだに本作だけなので貴重とは言えます。CGの存在しない時代ですから海戦モノは模型による特撮の出来に評価がおかれますが、考証的にはまあ満足できるレベルで、特撮も同時代の東宝特撮と同水準ですかな。ドイツ海軍もこの時代にしては公平に描かれていますが、史実と違ってリュッチェンス提督をゴリゴリのナチ信奉者にしてるが目立ちます。ビスマルクが袋叩きにされて沈むラストがけっこうあっさりしてるのも印象が悪いです。実際には英国海軍の戦艦が多数参加しているのに、バジェットの関係か1隻しか出てこないのもさびしいところですね。この海戦は有名な“フッド轟沈”など見せ場が多い戦いなので、CGを駆使してジェームズ・キャメロンかヴォルフガング・ペーターゼンあたりにぜひリメイクして欲しいところです。[地上波(吹替)] 5点(2011-10-30 00:52:43)

1789.  ジョン・レノンの僕の戦争 《ネタバレ》 ジョン・レノンはいちおう出てますけど、あまり目立たない役です。この映画の出演のために切ったそうですが、それでも彼の短めのマッシュルーム・カットは周囲からは浮いてましたねー。レノンより遥かに存在感を見せてたのはジャック・マッゴーラン(『エクソシスト』でリーガンにぶっ殺される映画監督です)で、ほとんど彼の独演会みたいな印象でした。この映画、まるでキャロル・リードの『最後の突撃』を思いっきり茶化してパロディにした様な内容で、まあ、無能な上官のせいで兵士がバタバタ死んでゆくという本作のプロットの方が現実に近いというのが強烈な皮肉です。「戦場にクリケット場を造れ!」なんて不条理な設定は非常にシュールで面白いのですが、戦場が北アフリカからヨーロッパに移ってからは普通の戦争映画みたいになっちゃって、どうせなら「クリケット場を造って転戦してるうちに戦争に勝っちゃった」というストーリーの方がはるかに良かったと思います。笑いのセンスは実にベタで、悪い意味での英国調なのですが、監督のリチャード・レスターは生粋のアメリカ人というのは実に不思議です。[ビデオ(字幕)] 4点(2011-10-28 18:35:50)

1790.  パットン大戦車軍団 《ネタバレ》 “ドイツ軍が恐れた連合軍の唯一の将軍”パットンの伝記映画。その生涯が映画化された第二次世界大戦の指揮官は、ロンメル、マッカーサー、パットンの三人ですけど、その中でもパットンはキャラの面白さでは飛び抜けています。この映画はベトナム戦争真最中に製作され、オスカー受賞にも政治的な影響があったなどといまだに非難している人もいますが、そんな批評は的外れもいいとこで、ひとりの特異な人間を通じてアメリカ人の本質に迫った傑作だと思います。脚本を書いたのはコッポラで、彼の数ある脚本の中では本作が最高傑作、バイオグラフィーと戦争スペクタルのバランスがとれた非の打ちどころがないシナリオでしょう。パットンの性格は粗暴ながら詩人でセンチメンタル、とても同一の人間とは思えない複雑さですが、これまた非の打ちどころがないジョージ・C・スコットの演技でした。また脇にはカール・マルデンのブラッドレー将軍がいて、彼の真面目っぷりがきらりと光るいぶし銀の名演です。 最近出てきた史料からは、慰問に訪れたマレーネ・ディートリッヒと情事を楽しむなど、けっこうパットンはそっちの方も豪胆だったみたいです。[映画館(字幕)] 9点(2011-10-27 00:11:10)

1791.  U・ボート 《ネタバレ》 私のベスト・オブ・戦争映画は文句なしに『Das Boot』です。この映画ぐらい映画館で観ないと真価が判らない映画もないと言って良く、その音響効果たるや凄まじいものでした。あの爆雷攻撃を執拗に受けるシーンは、まるで自分がドラム缶の中にいて外からガンガン叩かれている様な体験で、攻撃が終息した時にはほんとぐったりしてしまいました。またジブラルタル海峡で海底から浮上するまで修理に奮闘する乗組員たちの行動がこれまたリアルで、このままダメージ・コントロールの教科書として使えそうなぐらいです。この映画に登場するのは“UボートⅦc型”と言う大戦中もっとも建造されて最高の戦果をあげたタイプですが、艦内の異様なほどの狭さは閉所恐怖症の人には観てるだけで耐えられないでしょう。また俳優たちがいかにもドイツ人って顔つきなのもリアル、その顔や服装がどんどん汗まみれ・油まみれになってゆくのがたまりません。 「潜水艦映画にハズレ無し」なんていうフレーズは、そもそも本作が世に出てから言われる様になったものですが、本作の登場で以前の潜水艦映画が一気に色あせてしまったのは事実です。『プライベート・ライアン』と並んで、映画の歴史を変えた戦争映画ですよ。[映画館(字幕)] 10点(2011-10-24 21:29:15)(良:1票)

1792.  デカメロン 《ネタバレ》 「パゾリーニ艶笑三部作」のトップバッターは、ボッカチオのご存知「デカメロン」と来たもんだ! それまでの“コミュニスト・パゾリーニ”としての難解な映画から、“詩人パゾリーニ”が前面に出た作風で、とことん明るいタッチながら随所に見せる中世的で詩的な映像は、パゾリーニの美的センスを堪能させてくれます。のっけからフランコ・チッティとニネット・ダヴォリが登場で、中でもダヴォリはパゾリーニが大好きなウンコまみれになって笑わせてくれます。出てくる俳優は素人が多いのですが、それにしても男優たちの歯並びのすごさは圧巻です(笑)。中には上下合わせても前歯が一本しかない人もいたりして、「わざわざこういう歯並びの人を探してきたのかな?、まさか撮影のために…」と真剣に考え込んでしまいました(笑)。女優(と言うか裸体)も素人起用が多いのですけど、みんな日焼けで水着の跡が付いているのは中世イタリアではあり得ないので不自然でした。原作にはない画家役でパゾリーニ自身が狂言回しを演じるのですが、「なぜ私は作品を作るのだ、夢見ているときの方がずっと素晴らしいのに?」と美しい言葉で独白するラストは、完全に“詩人パゾリーニ”の素に戻ってました。[DVD(字幕)] 7点(2011-10-24 00:31:53)

1793.  それぞれのシネマ 《ネタバレ》 カンヌ映画祭60周年を記念して、カンヌで賞を受けたり縁があった映画作家ち30余人に、時間は3分間テーマは映画で撮らせたオムニバスです。数あるオムニバスでもこれだけの映画作家が参加した例は今までなかったのでは。そうそうたる顔ぶれですが、個人的にはゴダール(彼の場合はカンヌとは因縁ですけど)、クストリッツァ、タランティーノが参加してないのが残念でした。それぞれの作品の傾向として、面白いことに欧米系の監督は詩的・観念的・政治的な切り口で撮った作品が多いのに対し、アジア系はノスタルジーな視点で映画を視ている傾向が強いことでした。そして“盲人が映画を観る”と言うプロットの作品が3本あって、それぞれ男性・女性・子供と別れているのが面白かったです。日本からは北野武が参加してますが、この『素晴らしき休日』はちょっとがっかりな出来で、他の監督に比べて一段落ちるなと感じました。 さてベスト作品ですが、私はエリア・スレイマンの『臆病』を選びたいと思います。自作が酷評される映画監督って大変だよなと同情しちゃいました、爆笑まちがいなしです。ワーストはたぶん観た人の意見が90%は一致すると思うのですが、ラース・フォン・トリアーの『職業』でしょう。この人、ちょっと人格異常なんじゃないでしょうか(怒)。コーエン兄弟も『ワールド・シネマ』で参加していますけど、版権の問題か何かで日本では観れないそうで残念です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-10-22 17:33:07)

1794.  ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 《ネタバレ》 デイ・ルイスのダニエル・プレインヴューは、ゼロ年代に製作された映画の中では最高の演技、これで当代一の名優の座を揺るぎないものにしました。並みの名優ではこのキャラは単なる粗野な成り上がり者としてしか表現できない、とてもじゃないけどデイ・ルイスの様な怪物にはなり様がないのでは。ジャック・ニコルソンでも難しいでしょう。 そしてポール・トーマス・アンダーソン(P.T.A)、今までロバート・アルトマン的な作品を撮ってきて本作でも献辞まで捧げていますが、この映画はどうも今までのとは作風が違う気がしました。プレインヴューが石油を掘り当てるまでのほとんどセリフ無しの冒頭15分、不協和音を強調した音楽、シメントリーな室内、双子と無表情な子供、なんかとてもキューブリック的な演出なんです。そう、実はこの映画は『2001年宇宙の旅』を再構築した構成なんですよ。極めつけはラスト、プレインヴューが足を引きずりながらイーライを追い詰めボウリングのピンで仕留めるシーンは、まるで『2001年宇宙の旅』の道具を使うことを覚えた猿人が仲間を倒して君臨し始めるシーンとそっくりです。さしずめ初めて石油を掘り当てたときにプレインヴューが手のひらをくっつける掘削リグは、“モノリス”を暗示しているかもしれません。 考えてみると、P.T.Aはキューブリックの後継者になるのかもしれませんね。今後の作品が楽しみです。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-10-21 22:41:55)

1795.  ブレイキング・ニュース 《ネタバレ》 ケリー・チャンを見てると「この女優って深津絵里にそっくりだ」と感じてきて、そうなると『踊る大捜査線』を観ている様な錯覚に陥り困りました(笑)。ド派手な銃撃戦や手榴弾の爆発の割にはほとんど警察に死傷者が出ないのはご都合主義っぽかったけど、あの香港名物の魔窟の様なビルの内部にほとんど舞台を限定したのはなかなか良いアイデアです。人質の解放する手段なんか、まさかスパイク・リー、これを観て『インサイド・マン』でパクったんじゃないかと思うほど似てました(笑)。“警察の突入をショーにする”というアイデアは面白いんですが、映像的にはあまり生かされた様には思えませんでした。香港ノワールらしい強盗と殺し屋のボスたちの友情と、気合が入ったオープニングにプラス一点です。[DVD(字幕)] 6点(2011-10-19 23:53:10)

1796.  昼下りの決斗 《ネタバレ》 考えてみると、ペキンパーは劇場公開の西部劇をあまり撮ってないんですよね(TVでは『ガン・スモーク』など多数を監督してますけど)。それでも少ない彼のフィルモグラフィの中では半数はウェスタンだというのは大したものです。本作はランドルフ・スコットとジョエル・マクリーの引退記念作みたいな感じで撮られていますが、全盛期のふたりを知らない私でもその存在感だけはひしひしと感じました。冒頭、自動車が登場したりして、ペキンパー・ウェスタンお決まりの「フロンティア時代の終焉」がこんな初期の作品からプロットに盛り込まれていんですね。結局、世間知らずの娘っ子の早まった行動が老雄ふたりの運命を翻弄した騒動だったわけですが、ジョエル・マクリーのラストの死にざまは実に印象的でした(そう言えば本作のマクリーって、『ワイルド・バンチ』の“パイク”ウィリアム・ホールデンに風貌からしてそっくりですね)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-18 00:05:22)

1797.  その土曜日、7時58分 《ネタバレ》 シドニー・ルメットの映画では犯罪者には悲惨な末路が用意されている場合が多いのですが、それにしても本作は極めつけ、ルメットの遺作に相応しい陰惨さです。親殺し、子殺し、まるでギリシャ悲劇を現代に甦らせたみたいなものです。ルメットの演出は最後までシャープさが衰えないのですが、個人的にはあの時間軸や視点をいじった演出にはあまり意味がなかった様な気がしました。この手法はどんでん返しや意表を突くプロットが隠されている様な映画でもっとも効果が出るのだと思います。俳優陣ではイーサン・ホークが「うまいなあ」と感心させられましたが、やっぱ努力賞はマリサ・トメイでしょう。のっけから激しいSEXシーンを見せるわ(相手がシーモア・ホフマンと言うのにはちょっと引きましたが)、『もっとも脱ぎっぷりの良いオスカー女優』の面目躍如でした。これからも頑張ってください、期待してます(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-10-16 19:21:22)(良:1票)

1798.  プラダを着た悪魔 たしかにファッションは眼の保養にはなりましたけどね… まずメリル・ストリープは「これぐらい出来て当たりまえ」の余裕で好演。まあこの役は、現在のハリウッド女優陣を見まわしても彼女以外には考えられないキャスティングでしょう。アン・ハサウェイも好演ですけど、しかし皆さん、このアンドレアと言うキャラに好感が持てます? まあ予定調和通りの展開なのであまり眼くじら立ててもしょうがないけど、この女、結局ファッション業界から何も得るものがなかったみたいなのは情けない(ミランダからはいろいろ学んだみたいですが)。そしてなんかジャーナリストがファッション業界よりステイタスが高い様な描かれかたもどうなんでしょうか、マスコミだってしょせんゲスの集まりみたいなもんですよ。人使いの荒い有能な上司なんてどの業界にもいるもんですよね、プラダは着てないかもしれませんが(笑)。[CS・衛星(字幕)] 4点(2011-10-15 22:59:57)(良:1票)

1799.  ダウト ~あるカトリック学校で~ 《ネタバレ》 シーモア・ホフマンや司祭たちの男の世界と、メリル・ストリープが君臨する修道院内の女の世界、対照的な食事シーンを交互に見せるところが面白い。シーモア・ホフマンも単純な熱血神父ではなさそうだし職場内では如才なく上司の受けは良いみたいで、追放されたと思いきやまさかの栄転人事には意表を突かれました。ラストのメリルの涙は、私には悔し涙の様に思えます。不思議とこの映画は生徒の視点からの描写が皆無に近いのですが、母親ヴィオラ・デイヴィスのメリルへの悲痛な告白でそこら辺のモヤモヤも吹っ飛んでしまいました。主役ふたりの演技合戦も確かに凄いのですが、ヴィオラ・デイヴィスの演技、オスカー・ノミネートも納得です。余談ですが、この映画がもし50年代に撮られたら、きっとモンゴメリー・クリフトとキャサリン・ヘップバーンのキャスティングだったんじゃないかとふと思いました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-10-14 20:59:40)(良:1票)

1800.  ●REC/レック(2007) 《ネタバレ》 『ブレアウィッチ』が世に出て『バイオ・ハザード』の様な一人称視点のゲームが流行り出したころから、“こういう映画ってありだよな”と思っていたので、本作の登場でやっと妄想が現実化したなと感慨もひとしおです(笑)。この手の映画では“バッテリーが切れないスーパービデオカメラ”が失笑のネタになりがちですが、TV取材班だから長時間まわせるビデオを持っていて当たり前ってのは良いアイデアですかな。ただアンヘラ嬢、いくらなんでもギャーギャーうるさすぎですよ、途中から出演者全員が喚きどおし状態になるけど彼女のテンションだけは突出してました。ほんと最後に謎ときらしきものが余計で、これがなければもっと怖かったのではと思います。この世でいちばん私が怖いのは、説明のつかない不条理な現象なのです。[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-10-13 00:24:03)(良:1票)

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