みんなのシネマレビュー |
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1921. モロッコ 日本初のトーキー映画ということで、評判が高いがそれだけのことで、内容がどうなのかが問題だろう。男は浮気好きの遊び人であり、女は薬物中毒(原作)の歌手兼娼婦、まったく好きになれないタイプである。しかも男女とも煙草をふかしまくって格好だけをつけるのも見苦しい。またそれがどうして惹かれ合うようになるのかも、心理描写が乏しい。 問題のラストシーンだが、サソリが多く過酷な砂漠の中を何の準備もせず素足で歩くなどとは非現実的。それに朝の間は気持ちよいが、日中は砂が高熱になってしまう。[DVD(字幕)] 3点(2011-07-07 20:36:22)(笑:1票) 《改行有》 1922. オー!マイDJ とぼけた馬鹿げた映画で、イ・ウンジュさん以外魅力ないと思っていた。特に音楽に合わせて歌いまくるバスの運転手には、そのとんでもなさに驚いた。目の不自由な女性に対し、自分の年齢を大幅にさばよむ悪どい奴かと思いきや、そうではなかった。 最初おもしろおかしく、徐々にシリアルになって最後はハッピーエンド、先が読めるにも関わらず引き込まれてしまう。こういうさえない男の純情ってやつ大好き。 ところで何度も出てくる「行進」という曲だが、私には「へーんじん」(変人)と言っているように聞こえて仕方がない。[DVD(字幕)] 7点(2011-07-07 09:00:36)《改行有》 1923. イル・ポスティーノ 《ネタバレ》 韓国映画「永遠の片思い」の中で、この映画を知った。それほど好きという映画ではないが、チリ国内の状況や実在の人物パブロ・ネルーダについて知ることができる。 後にノーベル賞の文学賞も受賞し大統領候補にも挙げられた人だが、1948年に始まった共産党弾圧によって国外退去を命じられ、イタリアに亡命していた。映画では隠喩に長けた詩人として紹介されている。 それゆえ映画の中では、私たちは主人公マリオとともに詩のすばらしさを学ぶことができる。この主人公マッシモ・トロイージは、心臓が悪く手術が必要な状態であったにもかかわらず撮影を続け、終了後に亡くなったという。映画の中で集会デモの中で死んだことになったはそのためかもしれない。[DVD(字幕)] 6点(2011-07-06 16:12:21)(良:1票) 《改行有》 1924. 永遠の片想い 《ネタバレ》 最初に見たのはチャ・テヒョンの「猟奇的な彼女」を見て韓国映画に見はまった頃、その次がイ・ウンジュさんの訃報を知った時、そして今度このレビューを書こうと思って昨日と今日、繰り返し見る度にこの映画への想いがますます強くなってくる。良い映画、すばらしい映画というのはこういうものかもしれない。 彼女ら二人が高校卒業後大学も行かず定職につかないでいたのか、なぜ3人の良い関係が壊れたのかなどなど、今思えば最初見た時はあまり理解できていなかった。時間の軸が行ったり来たりで揺れ動いているからかもしれない。 ところで1997年ワールドカップアジア最終予選、ホームでの韓国戦は山口のループシュートで先制したが、試合終了間際の2失点で逆転負けした因縁の試合、私もテレビで見ていた。 書くのを忘れていた。ソン・イェジンが歌うときの膝を曲げる動作がとてもキュート、歌のメロディとともに忘れられない。[DVD(字幕)] 8点(2011-07-06 14:34:52)《改行有》 1925. 瀬戸内少年野球団 戦争直後の日本がよく表されている。墨で塗りつぶされた教科書、チョコやガムをばらまく米国進駐軍兵士、傷を負った復員兵、混乱の中に復興を願ってた時代・・・。 右から左に書いていた横書きの文字が左から右へ、男女別々だったクラスが男女一緒のクラスに変わっていった。 この映画は夏目雅子さんの最後の映画になってしまった。それだけに想いで深く、また女教師役を上手く演じている。野球はまったくといって似合わないと思うのだが・・・。一方渡辺謙さんはこれが初めての映画だというのも驚き。 それと何と言ってもこどもたちがすばらしい。こういう明るくさわやかでちょっとだけほろ苦い青春映画は好きでたまらない。初めと最後に流れるイン・ザ・ムードも。 [ビデオ(邦画)] 8点(2011-07-05 17:42:13)《改行有》 1926. 雁の寺 《ネタバレ》 水上勉の原作を読んだわけではないが、映画を見るだけでもそのすばらしさを感じる。 捨て子として育ち寺にあずられた慈念、母を慕う気持ちはいくら修行を積もうとも消えることはなかった。彼の目の前で繰り広げられる和尚と里子の痴態の数々、それが人を殺めるという犯行を引き起こしたのだろうか。それでも気持ちは救われず木村功の竺道に問いつめる。その結果が寺を去る決心になったのだろうが・・・。 映画は三島雅夫の和尚がすばらしく、若尾文子も美しく悩ましい。しかし何と言っても南嶽が描いた雁の絵、最初に出てきて最後に全容を現す。慈念によって破られた親子の雁、それだけが新しく張り替えられている。物語の主題を現すかのように・・・。[DVD(邦画)] 8点(2011-07-04 20:06:26)《改行有》 1927. 赤ちゃん教育 《ネタバレ》 映画そのものは好きではないが、スクリューボール・コメディという時代の流れに沿ったものだから、否定はしない。むしろグラントやキャサリン他、役柄をよくこなしていると思う。私も見終わった後疲れてしまい、お互いご苦労様と言いたくなった。 ところで、この問題となる動物は赤ちゃんのペットと動物園から脱走した凶暴なのと2頭もいたとは驚き。それと一見ハッピーエンドで終わるようなラストシーンも、苦労して築き上げた模型が崩れ落ちるのを見て、これからもデヴィットは大変だろうなとご同情申し上げたい。[DVD(字幕)] 5点(2011-07-04 14:55:16)《改行有》 1928. おかしなおかしな大追跡 《ネタバレ》 この早口で喋りまくり、スピーディに展開するコメディ、いわゆるスクリューボール・コメディというものだが、その代表作と言えば「赤ちゃん教育」ハワード・ホークスである。そのハワード・ホークスに敬意を表して作られたのがこの映画だ。 この映画は若い頃映画館で見たものだが、そのときは深いことは知らずただおもしろかったという印象しか残っていなかった。 何十年か後、「赤ちゃん教育」などのスクリューボール・コメディを見た後、DVDでこの映画を再鑑賞した。DVDには主役のストライサンドや監督のボグダノヴィッチの解説があり、映画の進行とともに語られているので、実にその様がわかる。 バーブラのコメディはお手のもであり、ライアン・オニールは初めてのコメディだったそうである。特にライアンは「ある愛の詩」を撮ったばかりであり、その変容ぶりには監督自身が驚いたそうである。私ももちろん・・・。 ところでサンフランシスコはさすが坂の街ですね。これまた改めて感心。 [映画館(字幕)] 7点(2011-07-03 22:10:28)《改行有》 1929. アンナ・カレーニナ(1967) 《ネタバレ》 本場ロシア(旧ソ連)の威信をかけた映画だけあって、スケールが大きく本格的である。これでもトルストイの原作を忠実に表しているとは言えず、映画観賞用としてぎりぎりの長さかもしれない。この長さは、ガルボやヴィヴィアンの映画で省かれてしまった重要なシーンを見ることができる。 映画はカラーで美しく、ロシアの広大な自然を背景に映し出されるが、主役のサモイロワだけでなく登場する女優陣がすべて美しい。 音楽もまた旧ソ連を代表するロディオン・シチュドリン、現代感覚と少々耳に付くしつこさはあるもののすばらしい。 ところでこの映画の公爵夫人ベッツイを演じているのは、世界の名バレエダンサーのマイヤ・プリセツカヤであり、シチュドリンの妻でもある。[DVD(字幕)] 6点(2011-07-03 12:42:35)《改行有》 1930. シャレード(1963) 《ネタバレ》 最初見た時はすごくハラハラどきどきした映画だけど、何回も見ているとどこでどうなるのかがわかっているので、見る度に感動がなくなっていく、サスペンスとしては仕方ないところだ。(最初は10点だったが、見る度に1点ずつ減少) この映画はケイリー・グラント、ウォルター・マッソー、ジェームズ・コバーン、ジョージ・ケネディと役者がそろっていて見応えはあるし、25万ドルの価値があるものが目の前にありながら、終盤まで誰も気づかないということがおもしろいし、セーヌ河を中心にした昼と夜の風景が紹介されるのもすばらしい。 このセーヌに浮かぶ遊覧船にはしゃれたサービスがあり、この映画の中でも紹介されている。船客がセーヌのロマンティックな雰囲気に酔いしれた頃、突如として船の灯りを消し、用意のサーチライトで河岸を照らし、恋人達を映し出すというものである。 また蛇足ついでに、グラントとヘプバーンが踊る珍妙なダンス(手を使わずオレンジを送るゲーム)は格別、音楽を担当したヘンリー・マンシーニは「オレンジ・タムレ」と名付けたそうな。 こういうエレガントな洒落た感覚こそ、この映画の魅力なのだろう。[映画館(字幕)] 7点(2011-07-02 21:02:56)《改行有》 1931. 恋愛小説家 途中で見るのをやめていた映画をようやく最後まで見た。どうもこの手の映画は苦手で、男女の微妙な心理は私自身理解力不足だし臆病である。 それとニコルソンの恋愛小説家は顔が恐ろしく怖いし、性格も毒舌家というより自分勝手、ワンちゃんをダストシュートに投げ込むとは人間業ではないし・・・。それが後半どうして性格まで変わるのか、こんな甘いものではないだろうし、着いて行けない。 それにしてもニコルソンは若い、私よりずっと年上でヘレン・ハントやグレッグ・キニアとは親子ほど年齢が違うのに、映画では同年代の設定か?[DVD(字幕)] 4点(2011-07-02 17:09:08)《改行有》 1932. 刑事コロンボ/ビデオテープの証言<TVM> この映画は何度も見たことがあり、トリック解明も実に鮮やかで、はっきりと覚えている。コロンボの頃ビデオテープというのは、よほどの金持ちかマニアでなければなかった開発途上の時代、日本デではVHSかベータマックスかで争われる前のことだった。 事件の起こった家は金持ちでありマニアであり両方がそろっていた。その仕組まれたトリックのちょっとしたミスを突いた好作品であり、コロンボシリーズでも私の好きな映画の一つである。 [地上波(吹替)] 7点(2011-07-02 07:30:24)《改行有》 1933. サンダカン八番娼館 望郷 《ネタバレ》 山崎朋子さんのノンフィクション小説「サンダカン八番娼館」の映画化であり、栗原小巻さん演じるルポライター三谷圭子さんは、まさに山崎さんその人であろう。彼女は女性史研究の第一人者であり、この小説によって「からゆきさん」を広く紹介した。 戦前の日本の恥部とまで言われ海外で働くことになった娼婦たち。映画は田中絹代、高橋洋子の二人のおサキさんによって、つらく悲しく物語られる。そこには私たちが目を背けてはならない「からゆきさん」の実態がある。 しかし、この映画はそれだけではない、人間が何を信じどう生きるかを教えてくれているようにも思う。 映画の最初の方で、田中絹代さんが栗原さんのことを息子の嫁と紹介するが、映画が進むにつれ、なぜ嫁と言ったのかわかってくる。そして圧巻なのがラスト近くの栗原さんが明日帰ると田中さんに告げた場面だろう。「私の素性を聞こうともしなかった」「人には都合というものがあるじゃろう。」このあたりになると私は何度見ても涙が止まらない。 誰かが言った、「役者は演じるのではなく、その役になりきることだ」と。[映画館(邦画)] 9点(2011-07-01 23:52:08)《改行有》 1934. 最高殊勲夫人 「青空娘」に続いての鑑賞。原作監督主演が同じメンバーでの映画だが、サラリーマンということで、いくらかは源氏鶏太らしくなっている。同じシチュエーションが2度も起こった。ならば3度目はあるのかということが注目の的になるが、途中までで結論が見えてくる。2度あることは3度あるのだと・・・。 あとはどのようにまとめるのかということだが、これも無難に落ち着いた。[DVD(邦画)] 6点(2011-07-01 13:13:10)《改行有》 1935. 青空娘 源氏鶏太と言えば「三等重役」に代表されるサラリーマン小説が有名であり、私も若い頃何冊も読んだものである。ユーモアに富んだ軽妙な語り口と明るくさわやかな感じが私の好みであった。その源氏鶏太の映画作品とあればと期待して見たのだが、評価は微妙。映画にしてしまうとわざとらしさが目立って気になってしまった。 [DVD(邦画)] 5点(2011-07-01 10:42:57)《改行有》 1936. 男はつらいよ 奮闘篇 《ネタバレ》 寅さんも第3作以降渡世人ぽくっていまいちと思っていたが、ここで久しぶりのヒット(だと思う。)いつもの馬鹿さ加減もほどよくセーブされ、世話好きで人情味のある寅さんになっている。 映画2作目の出演となる榊原るみが、津軽から出てきた少女(一番若いマドンナ)を好演している。寅さんも女性の方から結婚を持ち出されたのは初めてであり、訳ありとは言えいじらしかった。 その他久々登場の実母お菊さんや妹さくらさんの、寅さんを心配する心もひとしお、この映画には心打たれてしまった。 「緑は異なるもの、味なるものよ」は私もさくらさん同様わからなかったが、博さんはさすがだった。[DVD(邦画)] 8点(2011-06-30 21:28:09)(良:1票) 《改行有》 1937. ビッグ・フィッシュ 《ネタバレ》 おおぼら吹きのエドワードの話には着いてはいけないけど、だからといって嫌いではない。むしろ夢があって楽しいし、良いと思う。 父の本当の姿を追い求めたウィル、結婚式以来の長い確執が父親の死の直前になって解消できたのが何よりうれしい。おおぼら吹きだった父親に、父の死んでいく物語を息子が逆に作り上げるなんて、最高だと思います。思わず涙、涙・・・。[DVD(字幕)] 8点(2011-06-30 15:09:12)《改行有》 1938. グッバイ、レーニン! 最初に見た時は名作と感じつつも好きになれなかった映画だった。それは母の容態が心配で嘘をつくのはわかるけども、西ドイツの難民が東ドイツに流れてくるというような事実とまったく逆の嘘が許せなかったからだと思う。 しかしそれは数年後改めて見て変わった。宇宙飛行士のエピソードにもあるが、広い宇宙からすれば地球はちっぽけな星、そこで資本主義とか社会主義などと対立したり、東と西に分かれていがみ合うなどとはほんの些細なこと。家族の思い人々の思いが通じ、皆仲良く暮らせればそれに越したことではないか。 この映画は、ベルリンの壁崩落からドイツ統一までのわずかの間に急激に起こったことを背景に、家族と家族を取り巻く人々をの笑いと涙、喜びと悲しみを実にていねいに描いている。 母親のため嘘を貫いたアレックスと嘘と解りながらそのまま死んでいった母親、亡命しても家族のことを思い続けた父親、その他の人々の様々な想い、すばらしい。ひときわ陰の功労者なのが恋人ララだと思う。 音楽もまた実にすばらしい。ヤン・ティルセンはアメリでも印象に残ったが、「グッバイ、レーニン!」の音楽はピアノ演奏を中心に実によい。名作の影に名曲有り。 [DVD(字幕)] 9点(2011-06-30 10:19:11)《改行有》 1939. アンナ・カレニナ(1948) 先にグレタ・ガルボの「アンナ・カレニナ」を見ていたので、どうしても比較になってしまう。 ガルボは1927年(サイレント、未見)と1935年の2度出演したが、堂々とした貫禄のあるアンナであった。しかし、それがそれが逆に作用して、原作本来の恋に悩み惑う姿にはほど遠かった。 その意味からすれば、ヴィヴィアンのアンナは、情熱的であり悲劇的な要素を十分に持っていて、後半に進めば進むほど見るのがつらくなる。 映画自体は前半のあっさりした展開に比べ、後半が重たすぎて私は好きでない。点数も絶賛していた淀川さんには悪いが・・・。[DVD(字幕)] 5点(2011-06-28 23:50:15)《改行有》 1940. アンナ・カレニナ(1935) 《ネタバレ》 「戦争と平和」とともにトルストイの有名な長編小説である。映画はずいぶん短くしてあるが、ほぼ原作に忠実であり、比較的良くできた映画といえるだろう。 冒頭の山と積まれた料理、ヴロンスキーらの勇壮な飲みっぷりの儀式など、帝政ロシアを物語る絢爛さである。(その後の舞踏会やオペラも) その中でグレタ・ガルボの演じるアンナは堂々とした貫禄があり、さすがは名女優である。しかしそれは、原作の恋に悩み苦しむアンナと食い違って見えることが難点である。また人妻に恋する青年将校ヴロンスキーにしてもしかり、母親が気を揉むような年齢にはとても見えない。 [DVD(字幕)] 6点(2011-06-28 07:20:19)《改行有》
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