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プロフィール
コメント数 731
性別
自己紹介 奥さんと長男との3人家族。ただの映画好きオヤジです。

好きな映画はジョン・フォードのすべての映画です。

どうぞよろしくお願いします。


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人生いろいろ、映画もいろいろ。みんなちがって、みんないい。


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【製作年 : 1940年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  續・姿三四郎 開巻まもなく、横暴なアメリカ人水夫を三四郎が海に叩き込む場面。ああ、これってフライシャー兄弟のアニメ「ポパイ」じゃないか! そして、怪しげな日系人(だったかな)プロモーターが主催する異種格闘技の会場。リングサイドで歓声やら野次をとばす外国人観客の姿と、強烈なライトに浮かび上がるリングなど一連の描写は、ほとんどアメリカ映画そのもの! ・・・日本の敗戦の年に公開された「戦意高揚映画」だというのに、本作には驚くほど「ハリウッド映画」のテイストが満ち満ちている。しかも、まるで後の白戸三平の劇画に登場してもおかしくないほど強烈(であるとともに漫画チック)な柔術家兄弟のキャラクターをはじめ、ここには、他のクロサワ作品にはない特異さがたっぷり盛り込まれているのだ。  前作の好評を受けてしぶしぶ撮ったというこの黒澤監督の第2作は、しかし、この未来の巨匠が他の作品では決して見せなかったような、「B級娯楽映画」に徹したことによる魅力に満ちあふれている。お仕着せの企画なんだから、俺様の好きなように撮ってやる! といわんばかりに、前述のアニメやらボクシング映画やら西部劇の決闘場面やら、とにかく「アメリカ映画」のスタイルをこれでもかと踏襲することでデッチ上げたことは、何よりその画面そのものに現れているだろう。クライマックスの雪原での対決場面も、ほとんどバカバカしいくらいデタラメじゃないか。「面白けりゃいいんだろ!」という若きクロサワの声が聞こえてきそうだ。 だがしかし、これが実に面白いのだ。後年、『用心棒』といった西部劇テイストの映画を撮っても、ここまで「自由」じゃなかった。もちろんやっぱり超面白かったけれど、あの作品には(他のクロサワ作品がそうであるように)どこか「傑作」であることを義務づけられたような、そんなどこか重苦しさがあった。でも、そんなことなどお構いなし、おまけに敗戦濃厚な戦時下の空気なんぞもどこふく風といったクロサワの「B級」映画は、今見ても実に軽やかで、才気にあふれ、面白いのである。 もし黒澤明が、世界的巨匠ではなく、この『続・姿三四郎』のような映画づくりの道こそを進んでいったなら・・・。この“If”に思いを馳せられるだけでも、本作は貴重この上ない1本だと思う。[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-02-26 19:21:58)《改行有》

2.  The Man I Love(1946) 欧米では、マーチン・スコセッシ監督の『ニューヨーク ニューヨーク』の元ネタ映画として有名な本作。日本では未公開であるものの、小生は20数年前に地元TV局の放映によって見ました(で、その時に録画したビデオで再見)。その際の放映題名は『哀愁のメロディ』。ただ、このタイトルでの記録がまったくないので、原題のまま新規登録した次第。どなたか、何か情報をお持ちの方おられませんか…。 内容はと言えば、ヤクザなクラブ経営者から弟と妹を救うために、あえてその店の歌手となるヒロインの恋と人間模様を描くメロドラマ。妹の亭主は戦争後遺症で入院中だし、弟はヤクザ世界に憧れて裏社会に足を踏み入れようとしている。そんな彼らをまとめて面倒みようとする、鉄火肌の姉(というより、まさに“姐さん”)。この酸いも甘いも噛み分けたクラブ歌手を演じる、アイダ・ルピノがまず素晴らしい。冒頭、親しいミュージシャン仲間と音合わせする場面では、大人の女としての艶っぽさと剛毅さを漂わせて貫禄十分。ロバート・アルダ扮するヤクザなクラブ経営者と渡り合うあたりも、色目を使う男に毅然としつつ、つれない仕種が、粋っちゅうか、見事ないなせっぷりちゅうか。それが、ピアニストくずれの船乗りに恋したとたん、彼の前では一途で可愛い女になるあたり、もう泣かせるのなんの。…ああ、まるで『非牡丹博徒』のお竜さんじゃないか! こういう、「大人」のオンナとオトコの機微や人情を描く時のラオール・ウォルシュ監督は、間違いなく我が日本の加藤泰に通じる濃密さとあだっぽさを醸し出す。特にクラブ店内の場面など、テレビの小さな画面からでさえ煙草とアルコールの匂いが漂ってきそうな雰囲気を作りだしている。ガキの映画ばかりがまかり通る昨今を思う時、映画とは洋の東西を問わずどんどん幼稚化していることは、やはり間違いないらしい。 惜しむらくは、ぼくが見たテレビ放映版では、音楽場面の多くがカットされているらしいこと。ぜひ完全版を見たいと思わせる(その時は、必ず満点を献上するであろう)、これはヴィンテージものの1本であります。9点(2005-01-05 17:16:51)(良:1票) 《改行有》

3.  命ある限り(1949) 《ネタバレ》 舞台は、戦争が終わって間もないビルマの野戦病院。その一室で帰国の時を待つ連合国の兵士たちは、リーダー格のアメリカ兵をはじめヤンチャ坊主のよう。そして、彼らを見守る美しく聡明な看護婦は、憧れの女教師といったところか。そんな彼らのところへ、誰にも心を閉ざしたスコットランド兵が送られてくる。さあ、ますます「学園ドラマ」風になってきたぞ。彼は、自分が余命いくばくもないことを知らない。この偏屈者で困った“転校生”の残りわずかな生を何とか幸せなものにしてやろうと、心優しきヤンチャ坊主どもの奮闘努力がはじまった…!  原作は舞台劇ということで、役者たちのアンサンブルが主体。確かに映像的な面白味には欠けるかもしれない。けれど、この作品全体から発散される「健康さ」はどうだろう。その屈託のない笑顔が素晴らしくチャーミングなロナルド・レーガン(!)をはじめ、「内面」を演じることが優れた演技だとするスタニスラフスキー・システム風の演技にまだ“毒されていない”俳優たちの、すがすがしい佇まい。そんな彼らを常に複数で画面におさめるため引き気味に置かれたキャメラと、思わせぶりな陰影など邪魔だと言わんばかりにたっぷり注がれたフラットな照明。今じゃ少年マンガですら取り上げられない「友愛」という主題ひとつをストレートに押し通すことで1本の映画を創ってみせた演出の、控えめな、だが慎ましい“野心”。…どれをとっても、そこには心洗われる清潔感とまっとうさがある。 1930年代の黄金期も過ぎ、やがてテレビの台頭で衰退期を迎える映画。それが決定的になる1950年代の直前に製作された本作は、たぶん映画が「健康」であり得た最後の時代の産物であり、“証人”だ。ぼくたちがこの地味な作品を見て、今なお感動し心打たれるのは、きっとそういった「健康さ」こそがもはや失われてしまった映画の「本質」のひとつだからに違いない。 映画の中で、スコットランド兵にみんなが贈った民族衣装のスカート(「キルト」でしたっけ?)。アメリカ兵たちは、「あの下に、下着をはいているかどうか」でスッタモンダする。で、最後の最後に彼らは「答え」を知るんだけど…ズルイぞ、観客にも教えろよっ!(笑)8点(2004-12-28 18:04:07)《改行有》

4.  南部の人 《ネタバレ》 息子が敗血症になり、毎日どうしても新鮮な牛乳が要る。けれど、貧しい農夫一家にはとてもそんな余裕がない。苦しむ子どもを前に悲嘆にくれていると、おばあちゃんが再婚(!)相手と現れて乳牛をプレゼントしてくれた。めでたし、めでたし。 また、度重なる不幸と苛酷な農作業で、すっかり偏狭な性格になった近所の意地悪オヤジ。その嫌がらせに怒りを爆発させた主人公は、オヤジを叩きのめす。復讐のため銃を持ち出すオヤジだったが、長年の夢だった川の大ナマズを主人公が釣り上げたのを見るや、コロリと態度を変え、「このナマズを俺の獲物にさせてくれりゃ、もう嫌がらせはしねぇ。井戸も使わせてやる」と言い出す始末。これまた、めでたし、めでたし。 …もう、万事がこの調子なんである。苛酷な、あまりにも苛酷な農夫一家の生活ぶりを、おそらくオール・ロケで描きながら、この映画には大らかな楽天性が息づいている。ほとんどデタラメすれすれのご都合主義が、リアルな写実主義風展開のなかに突然顔を出して、あれよあれよと主人公一家を救うのだ。 結局、豪雨で農作物が全滅し、一度は土地を手放そうと考える主人公。けれど、コンロに火を入れてコーヒーを沸かす妻の姿に、ふたたびやり直すことを決意する。…このラストにも、ぼくらは「うん、彼らは大丈夫だ。きっとうまくいく」と確信する。何故なら、彼らは“祝福”されているのだから。誰に? もちろん、この映画に。というか、この映画を撮ったジャン・ルノワールに!  映画のなかで、町の工場で働く主人公の友人が、「苦労ばかりの農業なんかやめて、工場へ来いよ」と誘う。が、「俺は青空の下で働きたいんだ。自由な気がするから」と答える。…どんなにつらい人生でも、何より「自由」こそが大切なのであり、生活の細部(ディテール)には幸せが、生きる歓びが宿っている。…こんな風に“貧しさ”をかくも“豊か”なイメージで描き得るのは、たぶんこのルノワ-ル監督をおいてないだろう。 ぼくは見ながら、何度も泣いた。この映画のなかに描かれる、文字通り「人の生きる姿」としての人生の、あまりの美しさに。 たぶん、間違いなく、これが本当に「幸福な映画」というものだ。[映画館(字幕)] 10点(2004-07-27 14:08:01)(良:1票) 《改行有》

5.  わが谷は緑なりき 炭坑で働く屈強な兄貴たちが、ひ弱な末っ子にケンカの仕方を教えたり、何かとさりげなく気を配る。 ああ、これってジム・シェリダン監督が『マイ・レフトフット』で美しく“再現”していたなぁ…と、しみじみ思い出す。 その末っ子がある日病気で立てなくなり、神父の励ましにより、大きな樹の下でよろよろと立ち上がる。 …少なくともこの映画を見ている間は、これ以上崇高なシーンなど、これまでもこれからも絶対にあり得ないとかたく信じ込む。 そして、主人公一家の長女を演じるモーリン・オハラの、何という美しさ! 彼女こそ映画の中で描かれた最高の女性だと、これも見ている間じゅうぼくは狂おしく“恋”してしまう。 この世界が耐え難く醜く思えたり、自分を含めた人間が嫌いになった時、ぼくはいつもこの映画に「還る」。そうすると、ふたたび生きていけるような気がする。 そういう意味において、これはぼくにとっての「理想の映画」に他ならない。ジョン・フォードにとっても、この作品よりも完成度の高いものや優れたものはあるだろう。ぼくだって他に好きな作品、感服する作品はいっぱいある。けれど、間違いなく、この映画は「特別」な一本なのだ。単なる「映画」としてでなく、「人生」においての。 ところで、貴方にとって「映画」とは何なのでしょう?10点(2004-06-21 21:57:38)(良:4票) 《改行有》

6.  揺れる大地 貧しい漁村を舞台に、素人の役者を使ってイタリア社会の“現実と悲惨”を告発するという、「ネオレアリスモ」とひと括りにされる映画を撮っても、ビスコンティの手になればかくも「贅沢(!)」なものになる。そもそも、この当時に2時間40分もの映画を、しかもクレーンまで使って(…とは、ぼくの記憶違いかもしれない。けれど、確かにクレーンを使ったショットがあったという“驚き”が、今も生々しく残っている)撮るなどという贅沢な真似を、ロッセリーニもデ・シーカもやりたくても出来なかったろう。内容にしても、権力者に搾取される漁民たちと、それに抗った若者の悲劇という、いかにも共産党の資金を得たという「プロパガンダ臭」が漂う物語ながら、ビスコンティの主眼は、決して「告発」に向かうことなく、ただ「滅びゆく者」への大いなる共鳴を、悲歌(エレジー)ではなく交響楽(シンフォニー)として奏でるのだ。…そう、この時からすでにビスコンティはビスコンティそのものだった。貧しい漁師の若者も、ルードヴィッヒも、「人間、この卑小なるもの」として、この巨匠の前では「等価」なのだ。ビスコンティの「リアリズム」をいうなら(そして、その真の偉大さは)、たぶんその一点に尽きるとぼくは思うのであります。10点(2004-04-13 15:51:35)(良:2票)

7.  青い山脈(1949) その全盛期には“社会派の「巨匠」”と呼ばれ、黒澤明や小津、溝口以上に批評家から称揚されていた、今井正。そして今やすっかり忘れ去られようとしているこの監督さんだけど、改めて見直す時、最良の今井作品とは常に「少女(たち)」を描いたものであったことに気づかされる。『ひめゆりの塔』しかり、『純愛記』しかり、そしてこの『青い山脈』しかり…。そこには、戦前までの封建社会において抑圧されていた女性性と、戦後社会になってなお残る社会の諸矛盾を、彼女たちを通して浮き彫りにしようという意図があったのかもしれない。けれど、それ以上にこの「巨匠」が少女たちそのものを、ある特別な眼差しで見つめている気配が、その作品から伝わってこないだろうか。この『青い山脈』のなかでも、杉葉子演じる女子高生と女教師である原節子がほとんどチークダンス(!)のように身体を寄せてダンスする場面に漂う、何とも言えない“妖しさ”はどうだ…。なるほど、これは戦後民主主義を謳歌する若い世代を明るく肯定することで、未だ残る戦前的価値観(その象徴である男性教師たちの滑稽さときたら!)へのアンチテーゼたらんとした…という「意図」なのだろう。が、そんな「良識的」な主題以上に、今井正は、女子高生が美しい女教師を慕うそのエロチシズムにこそ、自身が魅せられているのじゃあるまいか。そして、そういった一種の《倒錯》をあらわにする瞬間に、この監督の「本質」があるのだと、ぼくは思う。彼の謳う「正義」や「教条主義」はもはやほとんどタイクツかつ偽善的でしかないけれど、その「少女愛(!)」に満ち満ちた眼差しは、現在においてもなお生々しく見る者に迫ってくる。そう、大いなる肯定と賞賛を込めて、今井正作品は偉大な“ロリコン”映画なのだと、ぼくは断言したいと思う。8点(2004-02-23 18:28:05)(良:1票)

8.  死刑執行人もまた死す 戦時下に作られた反ナチ・プロパガンダ映画なんだけど、それ以上に、何か異様な「悪夢」めいた雰囲気に包まれた群集劇といった趣き。ナチの司令官を暗殺したチェコのレジスタンスと、その報復のために市民が犠牲になる…という暗澹たる図式はもちろん、ハイキーなモノクロ映像とめまぐるしい編集が迷宮めいた印象を与えるためか? そういう中でもチェコ市民の勇気が称えられてはいるけれど、同じフリッツ・ラングがドイツ時代に撮った無声映画『メトロポリス』の群集シーンと同じ”誇張”と”様式化”が働いているようで、それがシュールな印象を与えているんでしょう…あそこまで表現主義的とまでは言えないとしても。で、個人的にこういうオブッセショナル(偏執的)な感触が生理的にダメなんで、いかに「名作」と言われてもちょっとツライ。ベルトルト・ブレヒト(『三文オペラ』!)が脚本に関わったことへの敬意を含め、実に興味深くはあったんですけどね。7点(2003-11-13 12:03:09)(良:1票)

9.  怒りの葡萄 《ネタバレ》 こういう映画を、正真正銘ホンモノの名作と言うんです。大恐慌下の悲惨さを全面に出しながらも、類稀なる人間讃歌になっているあたり、まさにジョン・フォードの、そしてアメリカ映画本来の真骨頂。最愛の息子が殺人を犯し、逃亡しながらも、あくまで残された家族を支えて生き抜く決意をする母親役のジェーン・ダーウェルが、絶品中の絶品。オンボロトラックに家財道具を積み上げて、土ぼこりの荒野をヨロヨロと旅していく前半部分から、過酷なリアリズムを貫きながらも映像は息をのむほど詩的な瞬間の連続です。スタインベックの原作が20世紀の「ある真実」を直視した《叙事詩》なら、その映画化である本作にあるのは、祈りと憐憫に満ちた《叙情詩》的な眼差し、でしょうか。いつの時代にあってもその価値が失われない、これが「本当の映画」です。10点(2003-11-05 14:00:29)(良:2票)

10.  市民ケーン 映画に「革命」を起こしたと言われる本作ですが、ここのレビューでは結構シビアなコメント&点数の方も多いですね…。確かに60年以上前の作品を今初めてみる時、ぼくたちはいろんな情報だの先入観だのにとらわれすぎて、逆に作品そのものが見えにくくなっているかもしれない。だから「どこが映画史上の最高傑作やねん!」と反発したり、「古臭いだけじゃん」と思ったり、「やっぱりパンフォーカスの映像や、ち密な構成など、古典的名作はスゴイっ!」と知識の後追いで満足したり…と、ちょっと映画そのものから離れて評価が下されすぎるんでしょうね。(それにしても、ざっと他の方のレビューを拝見していたら、途中になにか論争めいたコメントがチラホラ…。何があったのかなあ。その「発端」となったコメントは削除されたんでしょうか? なら、ちょっと残念な気も…)。あ、前置きがいささか長くなりました。ぼく個人は、「今見ても十分に面白いやん!」と、そのたたみかけるようなテンポとハッタリ度満点なセット、若きウェルズの堂々たるカリスマ的演技に、感心させられました。ただ、オーソン・ウェルズ作品としては、『オセロ』や『黒い罠』の方こそを圧倒的に評価する者なので…。いやぁ~、映画(の評価)って本当にムツカシイですねっ! 《追記》蛇足めいて恐縮ですが、この作品でウェルズが駆使した映像手法は、例えば「パンフォーカス」にしても決して彼の「独創」ではありません。すでにジョン・フォードやウィリアム・ワイラーといった監督が、部分的にしろ本作以前に試みていたいたものです。ウェルズは、それらの作品の撮影監督だったグレッグ・トーランドを起用することで、先人たちの手法をより徹底化した。そういった意味において、ウェルズの「天才」をやみくもに賞賛するんじゃなく、この「若く才能にあふれ野心的な」新人監督にふさわしいデビュー作だとぼくは評価したい。そして、これが「映画史上の最高傑作」とおっしゃるぶんには異論はなくても、ウェルズが「これ1作のみ」みたいに言われる向きには断固反論したいです。ウェルズは、本作の後にも素晴らしい映画を撮った。ある意味、このデビュー作以上に真に「天才的」な映画だって何本もあるんだ…と。 彼のキャリアは、この1本で「終わった」わけじゃない。そういった意味も込めて、ぼくは「8」評価にしました。8点(2003-10-17 16:58:10)(良:5票)

11.  自転車泥棒 《ネタバレ》 こういう名作中の名作に、今さらながら満点献上することの野暮をあえて承知で…。ネオリアリズムうんぬんを言うより、あの当時のイタリアでは日常茶飯事だったろうような庶民のささやかな哀歓を、オールロケで、ここまで見事な「人情ドラマ」に仕立て上げたデ・シーカ監督の人間味溢れる眼差しがまず素晴らしい。父親と一緒に盗まれた自転車を探し回るあの男の子の使い方など、多分にチャップリンの『キッド』を意識しているんだろうけれど、本当に巧いし。特にあのラストで、自転車を盗もうとして人々に捕まり、小突き回される父親に男の子がすがりつくシーンは、今こうして書いていてもナミダが…。父と子にとってつらい1日となったけれど、きっとこの家族なら何とか生きていくだろう、といった願いとも希望ともつかない感情(感傷?)を抱かせる幕切れまで、人の子であり親なら生涯に一度は見ておきたい映画ではありますまいか。 10点(2003-10-17 15:46:32)(良:1票)

12.  哀愁 昔の映画って、やはりセットや照明などの技術面がしっかりしているから、例えばこんなくだらない・安っぽい・ご都合主義的なストーリーでも一応「名作」っぽく見せてしまうんですなあ。確かにヴィヴィアン・リーは美しいけど、彼女が出ていなきゃ、とっくに風と共に忘れ去ってしまわれていたでしょうね。この映画を翻案したとおぼしい溝口健二の映画もあったけど何だっけ? あれも溝口にしちゃ正直ヒドイ出来だったなあ… 《追記》うわあぁああっ! 何だこのヒドイ文章は!! 自分で書いたなんて、未だしんじられましぇ~ん(泣)。たぶんあれだな、カミさんとケンカしたか、仕事でトラブッたか、ひそかに好意を寄せていたコが結婚しちゃったか…いずれにしろ、“八つ当たり”以外の何物でもありません。もう、見てから20年近くたってるはずだけど、その時は特に前半のヴィヴィアン・リーの完璧な美しさにア然ボー膳としていたっけ。それだけでも、高評価に値するでありましょう。もうひとつ、溝口の『夜の女たち』も今見直せば、きっと自分の不明を恥じ入って、自殺したくなるに違いない…。削除も考えましたが、点数だけ変更しておのれのスットコドッコイさ加減をさらしておくことにします。この映画を正当に評価されておられる皆さん、本当に申し訳ありませんでしたっ!8点(2003-10-07 11:14:07)

13.  赤い河 《ネタバレ》 フランスのインテリどもに神格化され、今や映画史上の偉大な巨匠に祭り上げられたハワード・ホークスだけど、そんな者どもの小賢しい贅言など、この映画の問答無用の痛快さ・面白さ・素晴らしさの前にどーでもいいやい! クライマックスのジョン・ウェインとモンゴメリー・クリフトの殴り合い直前、ウェインがカウボーイのどてっ腹にいきなりズドンとぶちかますのにも(あれってジョン・アイアランドだっけ?)ビックリ。それが、あんな小娘の一喝で急に仲直りするいきなりな展開に、「映画はこうでなくっちゃ!」と、これまた理由もなく感激したぼくなのだった。10点(2003-09-30 11:12:40)

14.  飾窓の女 《ネタバレ》 ジョーン・ベネットの、モノクロ画面からも匂いたってくるような色香に、クラクラ。悪夢のようにトラブルが加速度的に膨らんでいくエドワード・G・ロビンソンの「災難」も、ベネットを前にしたなら全オヤジすべからくナットク! でしょう(だからこそ、怖い…)。問題の夢オチも、まだ戦時下(!)の倫理コードじゃ、ここまで不道徳な内容だと、こういう結末でないと観客の不興を買うと判断したんでしょう。とにかく、今見てもめちゃくちゃ面白いです。必見!9点(2003-09-18 10:55:41)

15.  カサブランカ この映画のボギーは、他の映画にもましてカッコつけすぎでは? きっと、「これは絶対ロクな映画にゃならんだろうから、好き勝手演技させてもらうぜ」とばかりにやっちゃったんだろうか…。実際、脚本も撮影直前まで完成されてなかったというし。それをなんとかまとめあげたマイケル・カーティス監督の職人技には、素直に敬意を払いたい。が、やっぱりたいした映画じゃないよなあ。本作のバーグマンなんて最低のビッチじゃんすか、ねえ!《追記》…ううむ、これも自分が書いたものとは思えんなあ。何か、ムシの居所が悪かったとしか…。「たいした映画じゃない」というのは、見る前から「ロマンチシズムあふれる大傑作!」みたいな先入観を吹き込まれていて、期待しすぎたということがあったみたいです。あらためて思い返すと、「男のヤセがまん」をここまで切なくカッチョよく描いた映画も、そうはないよなあ…ということで、点数大幅にアップ! …でも、ここでのバ-グマン的ヒロインは、やっぱり気に食わんです(笑)8点(2003-08-07 12:03:20)

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