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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 戦場のピアニスト ポランスキー氏は、ひたすらまっすぐに斬り込んだと思う.ピアニストの人生と、生命や尊厳を踏みにじられたユダヤの人々の人生とを見る目が同じなのだ.映画のあちらこちらから彼の慟哭が聞こえてくる.そして、バラードの美しさと強さにうろたえてしまい、声を上げて泣きたくなるほど揺さぶられた.10点(2003-06-24 23:33:19) 2. ダンサー・イン・ザ・ダーク 見事な映画.そして、セルマ役にビョークを得てはじめて成立した映画だと思う.ビョークの“天才”に打たれっぱなしだった.映画“サウンド・オブ・ミュージック”の挿入歌が効果的に使われており、特に刑務所で刑の執行間際で唄われる“私のお気に入り”には、セルマをミュージカルの世界にいつまでもいさせてやりたい(なんてささやかな、そして彼女に切望された世界)と心が震えた.ジーンの母親としてのセルマは一言一句私を裏切らなかったし、息子への最上で最良の愛情を貫き通した.それは彼女でなければ示せない愛情、そして最後に彼女を死へと立ち向かわせたのも、ジーンへの愛情.---とてつもなく大きく、無私そのものの、そしてどこか父性をも感じさせる愛情.この愛情は息子にとって人生最大の宝になるだろう.こてんぱんに打たれた.10点(2001-10-09 17:56:11) 3. ヘヴン 山ほどいる教師の中でもとりわけ愛情深い教師であり妻でもあった人の必然と、全く理屈の介在しない愛情を秘めた人(父親の慈しみの賜でもある)の必然とが作り出した映像として、受け取りました.やはり A. ミンゲラが総指揮を執っていた、と思える映像の美意識がとてもとてもとても好きです. G. リビシの静かな揺るがない眼差しが C. ブランシェットの絶望をぴたりと凝視していて、今でも残像として残っています. 作り手が心を込めて作り出した映画だと思う. 9点(2004-05-05 11:10:53)《改行有》 4. 息子の部屋 《ネタバレ》 息子が亡くなってからの、欠落感、空白感、喪失感が、観る側にありのまま伝わってくる演出だった.思いもかけない身内の死を受け入れようが受け入れまいが容赦なく時間は流れていき、どうやっても繕えない感情をじっと抱えたまま苦悶することも間違いなく人生の一部なのだと.ラストの展開も、この意図からするといかにも自然だ.9点(2003-08-22 14:26:16) 5. 千と千尋の神隠し まっくろくろさんのコメントとても好きです.旧き日本と中国四千年と時代不明のヨーロッパをかき混ぜたような豪華絢爛な背景.目眩く色彩や空間の、のしかかり方がまず印象的.その中で小さくて細っこい千尋が、得体の知れない魑魅魍魎とクロスしながら生き抜いていく様が描かれる.背景の重量感が観ている者の身体にずしりと感じられるほどの迫力なのが、さすがだ.そしていやがおうにも観客は千尋になる.豆粒が主張し始めて、だんだん大きくなっていく心地よさを味わう.力作です.そして木村弓さんの唄も清冽.9点(2001-11-07 22:15:02) 6. シッピング・ニュース 先祖の悪行も現代人のそれも、人間を苛み打ちのめすのは同じなのだ.J. デンチが兄の遺骨をトイレに流すところが圧巻で、センチな癒しなどの入り込む隙もない.自らは人を傷つけることなどあり得ない、K. スペイシーと J. ムーアもそのまっとうさ故に傷つき貶められ、そして再生していく.ハルストレムの目線がそこにきっちりと据えられていて、私はよかった. C. ブランシェットがものすごい弾けっぷりで唖然.8点(2003-09-28 21:50:41) 7. アバウト・ア・ボーイ H. グラントが演ると役処がチャーミングにクレード・アップされてさすがです.彼の精神構造は子供の世界と波長が合っているので、きっちりと少年のことが分かっちゃったりするのですが、対大人だと、すぐばれるようなつまらない嘘(子供がいるとか)をついたりするのがちょっと興ざめ.ここをもう少し詰めたらもっと面白かったかも.コンサートのシーンも自分の世界に入り込んでついやり過ぎちゃうところが、よかった.8点(2003-08-24 23:20:56) 8. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち J. デップの登場早々から笑えてきた.なのに人物に奥行きを持たせていて、さすがです.ほんとに彼は楽しそうでした.G. ラッシュも楽しんでいた、という点では負けていませんでしたが.家族で観る映画としては、一押しの作品かと思います.8点(2003-08-24 22:55:39) 9. I am Sam アイ・アム・サム 本人の頭の上を飛び交う幸せ論を、こどもはちゃんと強い意志でねじ伏せて、自分に必要な愛情の在処を指し示すところが小気味良い.ところどころ心に残る科白があって、特に好きなのは“貴女はいい香りがするのね.香りは人柄を表すのよ”という隣人の言葉.冒頭のスタバでのシーンは、サムの実直な仕事ぶりを表しながら色使いが綺麗だし、全編流れるビートルズがはっとするほど美しい.そして、S. ペンの巧さに唖然.8点(2003-08-04 21:53:39) 10. めぐりあう時間たち この映画は、繰り広げられる役者陣の演技を追うことで、満足してしまった.観てから大分経つが、N. キッドマンとJ. ムーアの繊細な演技が忘れられない.N. キッドマンは迷いなく的確な演技をし、J. ムーアは難しい役処を驚く程自然に演じていたと思う.私はムーアの演じた人物像に惹かれた.限りなく優しく愛情溢れる人でありながら、心のベクトルの方向が不幸にも相反していた、というような.ラスト近くで見せる、親切を受けた時のはにかむような笑顔が哀しかった.8点(2003-07-14 00:13:02) 11. 耳に残るは君の歌声 C. リッチの科白の少なさは、却って役柄の内面の強靱さを引き立てていて、私はよかった.表情や仕草で多くを語れる例だと思う.C. ブランシェットはどんな役を演っても、自分のものにしてしまうし、J. デップも寡黙でいながら、多くを表現出来る役者であることを再確認.そして、監督が拘ったであろう“音楽”抜きには語れない.繊細にテンポを落とす“真珠採り”にセンスの良さを、ジプシー・バンドの本物の音に、高い見識を感じた.そして、監督の少数民族を見る目の温かさにも共感した.8点(2002-10-05 16:28:24)(良:1票) 12. メメント ネタばれありです.エンドレスに生きる目的を作り続けていかなきゃならない業を背負った“哀しさ”に行き着く.最愛の奥さんから示された死と引き替えの愛情も(サミー夫婦がここで活きる)、かすかに記憶をかすめながら、すぐに記憶がリセットされる、という酷さは、全てがレナードの愛情の大きさに起因していることで、倍増される.8点(2002-06-23 01:20:29) 13. クイルズ 身を刻もうが滅びようが、「創り出す」ことへの抗えない欲求.手足をもがれようとも、この得体の知れない(実は明確すぎるほど明確な)業から逃れられない人間を、全身で演じた G. ラッシュを深く深く尊敬します.J.フェニックスも他の人は考えられないほど好演.8点(2002-06-23 00:57:47) 14. グラディエーター あれは心臓一突きでは.皇妃エリザベトの暗殺を思い出しました.R.ハリス、いい味でした.8点(2001-05-10 09:13:52) 15. ロード・トゥ・パーディション 役作りに拘って引き算の演技をしたのであろう T. ハンクスと、同じく役作りに拘って足し算の演技をしたのであろう J. ロウの間で、相手の出方を見ながら火花が散ったような気がします.どちらもどうしようもなく哀しいギャングだが、この人間としての哀しみを息子が引き継がないラストでよかった.7点(2003-10-14 23:14:32) 16. 命 柳美里の著書は「家族ゲーム」以来ほとんど敬遠していて、この映画も豊川悦司が出演しなければ観なかったと思う.柳ならではの強引さに引っ張られるのだろう、と思っていたのだが、江角マキコの真摯でしかも弱さを自然に引き出す演技と、豊川の凄みのある役作りとで救われた気がした.生まれたての丈陽くんを抱き上げたときに豊川悦司の見せた染み入るような顔が印象的だ.7点(2003-10-05 20:31:15) 17. ショコラ(2000) 時代も場所も特定出来ないような不思議な雰囲気の中で、古い街並や店構えがとても美しく、周到に創られたメルヘンのよう.そしてJ. ビノシュが生き生きとチョコレートを作る様子もとても綺麗.L.オリンとの共演は「存在の~」とは全く別の役作りでいながら、なんだかとても懐かしかった.J. デンチはさすがの貫禄(この人大好きです).ストーリーは奇抜でいながら、ストンと落ちる内容で矛盾がない.7点(2003-09-28 21:31:31) 18. アザーズ 前半でキッドマン演ずるキリキリ・カリカリした文字通り過保護で口うるさい母親が、実は何にもましてかけがえのない子供たちへの大きな愛情の持ち主であることが解ってきて、深い哀しみをおぼえた.愛情が下地にあることで、単なるホラーに終わっていないところに映画としての厚みがある.7点(2003-09-21 20:44:11) 19. キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 娯楽映画の王道だわ、と思いました.ディカプリオは何故か突っ込まれやすい人ですが、単なる美形(?)役者じゃないから、よけいそうなっちゃうんでしょうね。この映画でも並々ならぬプロ根性を観させてもらいました.この作品では彼に華のある役作りをするのが当然で、T. ハンクスは巧い具合にちょっと自分を霞ませた、というところでしょうか.長丁場なのに飽きさせず、スピルバーグの映画職人的な面がよく出ていたと思います.7点(2003-09-21 14:24:10) 20. 8人の女たち うわ、面白かったです.C. ドヌーヴの歌と踊りって、“ロシュフォールの恋人たち”では可憐だったが、ここでは大女優をかなぐり捨てた感じでふっ切れていて、よかった.F. アルダンとの絡みも迫力で、貫禄と際どさのぶつかり合いが逆に妙な余裕を感じさせていた、.8人のファッションの各々の色味がいかにもフランスっぽいし、I. ユペールがチグハグな色彩から一気に垢抜けるところがとても綺麗だった.7点(2003-08-26 22:59:33)
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